<第1実施形態>
本発明の磁性配線回路基板およびその製造方法の第1実施形態を、図1A〜図2Bを参照して説明する。
なお、図2A〜図2Bにおいて、第2層32(後述)は、変形を引き起こす流動圧を矢印で明瞭に示すために、そのハッチングを省略している。
図1A〜図2Bに示すように、磁性配線回路基板1の製造方法は、2つのプレス板20で、絶縁層2と、複数の配線部4と、第1磁性シート5と、離型クッションシート6とをその順で挟み込む工程(図1A参照)、および、2つのプレス板20で、絶縁層2と、複数の配線部4と、第1磁性シート5と、離型クッションシート6とを熱プレスする第1プレス工程(図1B参照)を備える。磁性配線回路基板1の製造方法では、上記した工程が、順に実施される。
図1Aに示すように、挟み込み工程では、まず、絶縁層2と、複数の配線部4と、第1磁性シート5と、離型クッションシート6とのそれぞれを準備する。
絶縁層2は、厚み方向に対する直交方向(面方向)に延びるシート形状を有しており、厚み方向一方面である第1絶縁面3および他方面である第2絶縁面9を有する。絶縁層2は、次に説明する複数の配線部4を支持する支持材であり、ひいては、磁性配線回路基板1を支持する支持層でもある。また、絶縁層2は、靱性を有する。絶縁層2の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの絶縁材料が挙げられる。また、絶縁層2は、単層および複層のいずれであってもよい。絶縁層2が複層である場合には、仮想線で示すように、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)からなる第1支持層12と、例えば、アクリル樹脂からなる感圧接着層13と、例えば、ポリイミド樹脂からなる第2支持層14とを、厚み方向一方側に向かって順に備える。この場合には、第2支持層14は、感圧接着層13を介して支持層12に感圧接着(支持)されている。第2支持層14は、第1絶縁面3を形成する。支持層12は、第2絶縁面9を形成する。
複数の配線部4は、絶縁層2の第1絶縁面3において、面方向(所定方向の一例)(具体的には、図1Aにおける左右方向に相当する第1方向)に互いに間隔を隔てて配置されている。複数の配線部4の平面視(厚み方向に見たときの)形状としては、特に限定されず、例えば、略コイル形状、略ループ形状、略S形状などが挙げられる。
複数の配線部4のそれぞれの断面視(詳しくは、厚み方向および第1方向に沿って切断したときの断面視)形状としては、特に限定されず、例えば、略矩形状、略台形状など、少なくとも、厚み方向に対向する一組の面が平行するな四辺形状などが挙げられる。
また、複数の配線部4は、絶縁層2の第1絶縁面3に配置されている。好ましくは、複数の配線部4は、絶縁層2が支持層12、感圧接着層13および第2支持層14を有する場合には、第2支持層14に接触することによって、絶縁層2に支持されている。
複数の配線部4のそれぞれは、絶縁層2の第1絶縁面3に対して厚み方向一方側に間隔を隔てて対向配置される対向面15と、絶縁層2の第1絶縁面3に接触する被支持面16と、対向面15および被支持面16の周端縁を連結する側面(詳しくは、第1方向における両端縁を連結する両側面)17とを一体的に備える。
対向面15は、第1方向に沿う平坦面である。
被支持面16は、対向面15に平行する平坦面である。
側面17は、厚み方向に沿って延びる。側面17は、1つの配線部4に2つ備えられる。2つの側面17は、第1方向に間隔を隔てて対向配置される。2つの側面17は、配線部4が略台形形状であれば、厚み方向一方側に進むに従って、互いに近づくように傾斜する形状を有する。つまり、側面17は、厚み方向に一方側に向かうに従って対向長さが短くなるテーパ面である。
複数の配線部4の材料としては、例えば、銅などの金属(導体)が挙げられる。
複数の配線部4の寸法は、磁性配線回路基板1の用途および目的に応じて適宜設定され、例えば、厚みT1(対向面15および被支持面16の対向長さ)が、例えば、20μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、150μm以下である。配線部4の幅は、対向面15の第1方向長さとして、例えば、1900μm以下、20μm以上であり、被支持面16の第1方向長さとして、例えば、2000μm以下、30μm以上である。複数の配線部4間の間隔は、隣り合う配線部4における側面17の第1方向における間隔として、例えば、2100μm以下、60μm以上であり、隣り合う配線部4における被支持面16の第1方向における間隔として、例えば、2000μm以下、30μm以上である。
配線部4の厚みT1の、配線部4の幅(対向面15または被支持面16の第1方向長さ)に対する比(T1/幅)が、例えば、0.01以上、好ましくは、0.025以上であり、また、例えば、10以下、好ましくは、5以下である。配線部4の厚みT1の、配線部4間の間隔(対向面15または被支持面16の第1方向における間隔)に対する比(T1/間隔)が、例えば、0.01以上、好ましくは、0.025以上であり、また、例えば、10以下、好ましくは、5以下である。
絶縁層2および複数の配線部4は、例えば、それらを予め備える配線回路基板40として準備される。具体的には、配線回路基板40は、絶縁層2と、絶縁層2の第1絶縁面3に配置される複数の配線部4とを備える。配線回路基板40は、好ましくは、絶縁層2および複数の配線部4のみからなる。
第1磁性シート5は、面方向に延びるシート形状を有する。第1磁性シート5は、磁性配線回路基板1における磁性層21(図1C参照)を形成するための磁性シートである。第1磁性シート5は、厚み方向一方面である第1磁性面18および他方面である第2磁性面19を有する。
第1磁性面18は、面方向に沿う平坦面である。
第2磁性面19は、第1磁性面18と厚み方向他方側に間隔を隔てて対向配置されており、第1磁性面18に平行する平坦面である。
なお、第1磁性シート5は、第1プレス工程における熱プレスによって、変形(流動)して、複数の配線部4の対向面15および側面17に沿って配置される。
第1磁性シート5の材料として、例えば、磁性粒子48および樹脂を含有する磁性組成物などが挙げられる。
磁性粒子48を構成する磁性材料としては、例えば、軟磁性体、硬磁性体が挙げられる。好ましくは、インダクタンスの観点から、軟磁性体が挙げられる。
軟磁性体としては、例えば、1種類の金属元素を純物質の状態で含む単一金属体、例えば、1種類以上の金属元素(第1金属元素)と、1種類以上の金属元素(第2金属元素)および/または非金属元素(炭素、窒素、ケイ素、リンなど)との共融体(混合物)である合金体が挙げられる。これらは、単独または併用することができる。
単一金属体としては、例えば、1種類の金属元素(第1金属元素)のみからなる金属単体が挙げられる。第1金属元素としては、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、その他、軟磁性体の第1金属元素として含有することが可能な金属元素の中から適宜選択される。
また、単一金属体としては、例えば、1種類の金属元素のみを含むコアと、そのコアの表面の一部または全部を修飾する無機物および/または有機物を含む表面層とを含む形態、例えば、第1金属元素を含む有機金属化合物や無機金属化合物が分解(熱分解など)された形態などが挙げられる。後者の形態として、より具体的には、第1金属元素として鉄を含む有機鉄化合物(具体的には、カルボニル鉄)が熱分解された鉄粉(カルボニル鉄粉と称される場合がある)などが挙げられる。なお、1種類の金属元素のみを含む部分を修飾する無機物および/または有機物を含む層の位置は、上記のような表面に限定されない。なお、単一金属体を得ることができる有機金属化合物や無機金属化合物としては、特に制限されず、軟磁性体の単一金属体を得ることができる公知乃至慣用の有機金属化合物や無機金属化合物から適宜選択することができる。
合金体は、1種類以上の金属元素(第1金属元素)と、1種類以上の金属元素(第2金属元素)および/または非金属元素(炭素、窒素、ケイ素、リンなど)との共融体であり、軟磁性体の合金体として利用することができるものであれば特に制限されない。
第1金属元素は、合金体における必須元素であり、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などが挙げられる。なお、第1金属元素がFeであれば、合金体は、Fe系合金とされ、第1金属元素がCoであれば、合金体は、Co系合金とされ、第1金属元素がNiであれば、合金体は、Ni系合金とされる。
第2金属元素は、合金体に副次的に含有される元素(副成分)であり、第1金属元素に相溶(共融)する金属元素であって、例えば、鉄(Fe)(第1金属元素がFe以外である場合)、コバルト(Co)(第1金属元素がCo以外である場合)、ニッケル(Ni)(第1金属元素Ni以外である場合)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ストロンチウム(Sr)、各種希土類元素などが挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
非金属元素は、合金体に副次的に含有される元素(副成分)であり、第1金属元素に相溶(共融)する非金属元素であって、例えば、ホウ素(B)、炭素(C)、窒素(N)、ケイ素(Si)、リン(P)、硫黄(S)などが挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
合金体の一例であるFe系合金として、例えば、磁性ステンレス(Fe−Cr−Al−Si合金)(電磁ステンレスを含む)、センダスト(Fe−Si−Al合金)(スーパーセンダストを含む)、パーマロイ(Fe−Ni合金)、Fe−Ni−Mo合金、Fe−Ni−Mo−Cu合金、Fe−Ni−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Cr−Al合金、Fe−Ni−Cr合金、Fe−Ni−Cr−Si合金、ケイ素銅(Fe−Cu−Si合金)、Fe−Si合金、Fe−Si―B(−Cu−Nb)合金、Fe−B−Si−Cr合金、Fe−Si−Cr−Ni合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al−Ni−Cr合金、Fe−Ni−Si−Co合金、Fe−N合金、Fe−C合金、Fe−B合金、Fe−P合金、フェライト(ステンレス系フェライト、さらには、Mn−Mg系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ni−Zn−Cu系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Cu−Mg−Zn系フェライトなどのソフトフェライトを含む)、パーメンジュール(Fe−Co合金)、Fe−Co−V合金、Fe基アモルファス合金などが挙げられる。
合金体の一例であるCo系合金としては、例えば、Co−Ta−Zr、コバルト(Co)基アモルファス合金などが挙げられる。
合金体の一例であるNi系合金としては、例えば、Ni−Cr合金などが挙げられる。
これら軟磁性体の中でも、磁気特性の点から、好ましくは、合金体、より好ましくは、Fe系合金、さらに好ましくは、センダスト(Fe−Si−Al合金)、とりわけ好ましくは、高い透磁率を得る観点から、Si含有割合が9〜15質量%であるセンダストが挙げられる。また、軟磁性体として、好ましくは、単一金属体、より好ましくは、鉄元素を純物質の状態で含む単一金属体、さらに好ましくは、鉄単体、あるいは、鉄粉(カルボニル鉄粉)が挙げられる。
磁性粒子48の形状は、特に限定されず、略扁平状(板状)、略球形状、略針形状、不定形状が挙げられ、好ましくは、略扁平状(板状)が挙げられる。なお、第1磁性シート5は、異方性の磁性粒子48に加え、非異方性の磁性粒子をさらに含有することもできる。非異方性の磁性粒子は、例えば、球状、顆粒状、塊状、ペレット状などの形状を有していてもよい。非異方性の磁性粒子の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下である。
異方性の磁性粒子48の平均粒子径(平均最大長さ)は、例えば、3.5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下でもある。
磁性粒子48の磁性組成物(第1磁性シート5)における容積割合は、例えば、15容積%以上、好ましくは、50容積%以上であり、また、例えば、90容積%以下、好ましくは、80容積%以下である。
樹脂としては、例えば、熱可塑性成分、熱硬化性成分が挙げられる。これらは、単独使用または併用することができ、好ましくは、熱可塑性成分および熱硬化性成分の併用が挙げられる。熱可塑性成分および熱硬化性成分の併用であれば、第1工程において、磁性組成物が十分に流動して、複数の配線部4間を充填できつつ、その後の完全硬化によって、耐久性に優れる磁性層21を形成することができる。
熱可塑性成分としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂(6−ナイロンや6,6−ナイロンなど)、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、飽和ポリエステル樹脂(PETなど)、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これら熱可塑性成分は、単独使用または2種以上併用することができる。
熱可塑性成分として、好ましくは、アクリル樹脂が挙げられる。
アクリル樹脂としては、例えば、直鎖または分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、その他のモノマー(共重合性モノマー)とを含むモノマー成分を重合してなる、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルコポリマー(好ましくは、カルボキシル基含有アクリル酸エステルコポリマー)などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1〜6のアルキル基などが挙げられる。
その他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマーなどが挙げられる。
熱可塑性成分の樹脂における割合(固形分割合)は、例えば、25質量%以上、80質量%以下である。
熱硬化性成分は、例えば、主剤、硬化剤および硬化促進剤を含む。
主剤としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビニルエステル樹脂、シアノエステル樹脂、マレイミド樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。主剤としては、耐熱性などの観点から、好ましくは、エポキシ樹脂が挙げられる。主剤がエポキシ樹脂であれば、熱硬化性成分は、後述する硬化剤(エポキシ系硬化剤)および硬化促進剤(エポキシ系硬化促進剤)とともに、エポキシ系熱硬化性成分を構成する。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などの2官能エポキシ樹脂、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などの3官能以上の多官能エポキシ樹脂などが挙げられる。これらエポキシ樹脂は、単独で使用または2種以上を併用することができる。
好ましくは、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂が挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の具体例としては、下記一般式(1)で表される化合物などが挙げられ、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂の具体例としては、下記一般式(2)で表される化合物などが挙げられる。
なお、nは、それぞれ独立にモノマーの重合度を示す。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、10g/eq.以上、好ましくは、100g/eq.以上であり、また、例えば、300g/eq.以下、好ましくは、250g/eq.以下である。
主剤(好ましくは、エポキシ樹脂)の樹脂における割合は、例えば、5質量%以上、例えば、50質量%以下である。
硬化剤は、加熱によって、上記した主剤を硬化させる成分(好ましくは、エポキシ樹脂硬化剤)である。硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂などのフェノール樹脂が挙げられる。
硬化剤の割合は、主剤がエポキシ樹脂であり、硬化剤がフェノール樹脂であれば、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、フェノール樹脂中の水酸基の合計が、例えば、0.7当量以上、好ましくは、0.9当量以上、例えば、1.5当量以下、好ましくは、1.2当量以下となるように、調整される。具体的には、硬化剤の配合部数は、主剤100質量部に対して、例えば、70質量部以上、150質量部以下である。
硬化促進剤は、加熱によって、主剤の硬化を促進する触媒(熱硬化触媒)(好ましくは、エポキシ樹脂硬化促進剤)であって、例えば、有機リン系化合物、例えば、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(2P4MHZ)などのイミダゾール化合物などが挙げられる。好ましくは、イミダゾール化合物が挙げられる。硬化促進剤の配合部数は、主剤100質量部に対して、例えば、0.05質量部以上、5質量部以下である。
樹脂の磁性組成物(第1磁性シート5)における容積割合は、上記した磁性粒子48の容積割合の残部であり、具体的には、例えば、10容積%以上、好ましくは、20容積%以上であり、また、例えば、80容積%以下、好ましくは、50容積%以下である。
なお、磁性組成物には、公知の添加剤(例えば、分散剤、レオロジーコントロール剤など)などの適宜の割合で配合することができる。
第1磁性シート5は、磁性粒子48および樹脂を配合して、これらを均一に混合して磁性組成物を調製する。この際、必要により、溶媒(有機溶媒)を用いて、磁性組成物のワニスを調製する。その後、ワニスを、図示しない剥離フィルムに塗布し、乾燥して、第1磁性シート5を調製(作製)する。
第1磁性シート5の厚みは、後述する磁性層21の厚みT3が確保されるように、適宜設定される。
離型クッションシート6は、次に説明する第1プレス工程において、第2プレス板11と第1磁性シート5との間において、それらが粘着(感圧接着)することを抑制しながら、熱プレス後には、磁性層21を第2プレス板11から離型することができる離型シートである。また、離型クッションシート6は、第1プレス工程における熱プレス時に、第2プレス板11の圧力を複数の配線部4の形状に対応して分散して第1磁性シート5に作用させ、第1磁性シート5に変形を生じさせ、第1磁性シート5を複数の配線部4の形状に追従させるためのクッションシートでもある。
離型クッションシート6は、面方向に延びるシート形状を有しており、厚み方向一方面である第1離型面22および他方面である第2離型面23を有する。
第1離型面22は、第2プレス板11(後述)に面状に接触することができる。第1離型面22は、面方向に沿う平坦面である。
第2離型面23は、第1磁性シート5の第1磁性面18に面状に接触することができる。第2離型面23は、第1離型面22と厚み方向他方側に間隔を隔てて対向配置されている。第2離型面23は、第1離型面22に対して平行しており、面方向に沿う平坦面である。
離型クッションシート6は、第1層31と、第2層32と、第3層33とを厚み方向一方側に順に備える。好ましくは、離型クッションシート6は、第1層31と、第2層32と、第3層33とのみからなる。
第1層31は、離型クッションシート6における厚み方向最他方側に位置する。これにより、第1層31は、第2離型面23を形成する。つまり、第1層31は、第1磁性シート5(具体的には、熱プレス後の磁性層21)に対する離型層(第1離型層)である。第1層31は、面方向に沿って延びる形状を有する薄膜(スキン膜)である。また、第1層31は、次に説明する第2層32を厚み方向他方側から被覆する被覆層(外殻層)である。第1層31の厚み方向他方面(第2離型面23に相当する表面)には、適宜の剥離処理が施されていてもよい。
第1層31は、次の第1プレス工程における熱プレスにおいて、第1磁性シート5の第1磁性面18に対して追従して接触できる一方、その厚みが熱プレスの前後で実質的に変化しない物性を有する。また、第1層31は、上記した熱プレスにおいて、面方向(具体的には、第1方向に)に伸長できる層である。なお、第1層31は、第1プレス工程における熱プレスの温度(例えば、110℃)において、次に説明する第2層32に比べて、硬い。
具体的には、第1層31の110℃における引張貯蔵弾性率E’は、例えば、50MPa以上、好ましくは、100MPa以上、より好ましくは、150MPa以上であり、また、例えば、300MPa以下である。引張貯蔵弾性率E’は、周波数1Hzおよび昇温速度10℃/分の条件で動的粘弾性測定して求められる。後述する第2層32および離型クッションシート6の引張貯蔵弾性率E’も同様にして求められる。
なお、第1層31の引張貯蔵弾性率E’を特定する温度110℃は、第1プレス工程における第1磁性シート5の熱プレスの温度またはそれに近似する温度を想定した温度である。第2層32および第3層33の引張貯蔵弾性率E’を特定する温度110℃も、第1層31における上記したそれと同様である。
また、第1層31の融点は、高く、例えば、熱プレスの温度(例えば、110℃)を超える温度であり、具体的には、200℃以上、好ましくは、210℃以上、より好ましくは、220℃以上であり、また、250℃以下である。第1層31の融点は、示差走査熱量計で測定される。なお、後述する第2層32および第3層33の融点も、上記と同様の方法で測定される。
第1層31の材料としては、後述する第1プレス工程における熱プレスによって少なくとも第1方向に流動しない非熱流動材料が挙げられる。
非熱流動材料は、例えば、芳香族ポリエステル、ポリオレフィンなどを主成分として含有する。
芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などポリアルキレンテレフタレートが挙げられ、好ましくは、PBTが挙げられる。
ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチルプロペン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンのホモポリマーおよび/またはコポリマーが挙げられ、好ましくは、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)が挙げられる。
非熱流動材料として、好ましくは、芳香族ポリエステルが挙げられる。
第1層31の厚みは、例えば、50μm以下、好ましくは、25μm以下であり、また、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上である。
第2層32は、第1層31の厚み方向一方面に配置されており、離型クッションシート6において、第1層31および第3層33に挟まれる中間層である。第2層32は、第1工程における熱プレス時に、第1方向および厚み方向に流動して、第1層31を第1磁性シート5の第1磁性面18に追従させる流動層である。
第2層32は、第1層31に比べて柔らかい柔軟層であり、具体的には、第1プレス工程における熱プレス時において、変形することができる。具体的には、第2層32の110℃における引張貯蔵弾性率E’は、第1層31の110℃における引張貯蔵弾性率E’に比べて低い。より具体的には、第2層32の110℃における引張貯蔵弾性率E’は、例えば、50MPa以下、好ましくは、40MPa以下、より好ましくは、30MPa以下、さらに好ましくは、20MPa以下であり、また、例えば、5MPa以上である。第1層31の引張貯蔵弾性率E’は、周波数1Hzおよび昇温速度10℃/分の条件で絶縁層を動的粘弾性測定して求められる。
第2層32の110℃における引張貯蔵弾性率E’が上記した上限以下であれば、第1プレス工程における熱プレス時において、柔軟に変形でき、具体的には、複数の配線部4に追従するように、変形できる。
また、第2層32の110℃における引張貯蔵弾性率E’の、第1層31の110℃における引張貯蔵弾性率E’に対する比(第2層32の110℃における引張貯蔵弾性率E’/第1層31の110℃における引張貯蔵弾性率E’)は、例えば、1未満、好ましくは、0.5以下、より好ましくは、0.1以下であり、また、例えば、0.005以上である。
なお、第2層32の110℃における引張貯蔵弾性率E’は、例えば、第1磁性シート5の110℃における引張貯蔵弾性率E’と比べて、低くあるいは同一である。
また、第2層32の融点は、第1層31の融点に比べて低く、例えば、熱プレスの温度(例えば、110℃)以下の温度であり、具体的には、105℃未満、好ましくは、100℃未満であり、また、例えば、50℃以上である。
第2層32の材料としては、後述する第1プレス工程における熱プレスによって第1方向および厚み方向に流動する熱流動材料が挙げられる。熱流動材料は、例えば、オレフィン−(メタ)アクリレートコポリマー、オレフィン−酢酸ビニルコポリマーなどを主成分として含む。
オレフィン−(メタ)アクリレートコポリマーとしては、例えば、エチレン−メチル(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン−エチル(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン−プロピル(メタ)アクリレートコポリマー、エチレン−ブチル(メタ)アクリレートコポリマーなどのエチレン−アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、例えば、プロピレン−メチル(メタ)アクリレートコポリマーなどのプロピレン−アルキル(メタ)アクリレートコポリマーなどが挙げられる。
オレフィン−酢酸ビニルコポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマーが挙げられる。
熱流動材料として、として、好ましくは、オレフィン−(メタ)アクリレートコポリマーが挙げられ、好ましくは、エチレン−アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、より好ましくは、エチレン−メチル(メタ)アクリレートコポリマー、さらに好ましくは、エチレン−メチルメタクリレートコポリマーが挙げられる。
第2層32の厚みT2は、例えば、30μm以上、好ましくは、50μm以上、より好ましくは、100μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、200μm以下、より好ましくは、150μm以下である。
第2層32の厚みT2の、配線部4の厚みT1に対する比(第2層32の厚みT2/配線部4の厚みT1)は、0.3以上、好ましくは、0.5以上であり、また、例えば、3.0以下、好ましくは、2.0以下である。
第2層32の厚みT2の配線部4の厚みT1に対する比(T2/T1)が上記した下限以上であれば、第1工程において、所望の形状(後述)を有する磁性層21を形成することができる。
また、第2層32の厚みT2の、第1層31の厚みに対する比は、例えば、2以上、好ましくは、5以上、より好ましくは、7以上であり、また、例えば、15以下である。
第3層33は、第2層32の厚み方向一方面に配置されており、離型クッションシート6における厚み方向最一方側に位置する。これにより、第3層33は、第1離型面22を形成する。また、第3層33は、第2プレス板11に対する離型層(第2離型層)である。第3層33の形状、物性、材料および厚みは、第1層31におけるそれらと同一である。
第2層32の厚みT2の、第1層31の厚みおよび第3層33の厚みの合計に対する比は、例えば、1.5以上、好ましくは、3以上、より好ましくは、4以上であり、また、例えば、8以下である。
離型クッションシート6の厚みは、第1層31の厚み、第2層32の厚みT2および第3層33の厚みの合計であり、例えば、50μm以上、好ましくは、100μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、200μm以下である。
なお、離型クッションシート6は、市販品を用いることができ、例えば、離型フィルムOT−A、離型フィルムOT−Eなどの、離型フィルムOTシリーズ(積水化学工業社製)などが用いられる。
その後、2つのプレス板20により、配線回路基板40と、第1磁性シート5と、離型クッションシート6とを、それらの順に挟む。
2つのプレス板20は、厚み方向に互いに間隔が隔てられる第1プレス板10および第2プレス板11からなる。第1プレス板10および第2プレス板11のそれぞれは、面方向に沿って延びる形状を有する。
第1プレス板10および/または第2プレス板11は、第1磁性シート5と離型クッションシート6とを加熱できるように、図示しない熱源を備える。
第1プレス板10および第2プレス板11は、相対移動して、上記した絶縁層2と複数の配線部4と第1磁性シート5と離型クッションシート6とを厚み方向にプレスできるように構成されている。
第1プレス板10は、面方向に沿って延びる第1プレス面7を有する。第1プレス面7は、面方向に沿う平坦面である。例えば、第1プレス板10は、厚み方向に移動しないように、図示しない固定部材に固定されている。
第2プレス板11は、第1プレス面7に平行する第2プレス面8を有する。第2プレス板11は、動力装置(図示せず)に接続され、厚み方向に移動可能である。
2つのプレス板20により、配線回路基板40と、第1磁性シート5と、離型クッションシート6とを挟み込むには、2つのプレス板20の間に、配線回路基板40と、第1磁性シート5と、離型クッションシート6とを配置(挿入)する。この際、例えば、第2絶縁面9は、第1プレス面7と接触する。
これにより、挟み込み工程を実施する。
その後、図2Bに示すように、第1プレス工程を実施する。第1プレス工程では、2つのプレス板20で、配線回路基板40と、第1磁性シート5と、離型クッションシート6とを熱プレスする。
例えば、第2プレス板11を、第1プレス板10に対して近接するように移動(下降)させて、第2プレス板11を離型クッションシート6を介して第1磁性シート5に押し付ける(プレスする)。
同時に、熱源により、第1磁性シート5と離型クッションシート6とを加熱する。
プレス圧は、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、0.3MPa以上であり、また、例えば、10MPa以下、好ましくは、5MPa以下である。
加熱温度は、例えば、第2層32の融点以上であり、かつ、第1層31の融点未満である。また、加熱温度は、具体的には、例えば、100℃以上、好ましくは、105℃以上であり、また、例えば、190℃以下、好ましくは、150℃以下である。
プレス時間は、例えば、10秒間以上、好ましくは、20秒間以上であり、また、例えば、1000秒間以下、好ましくは、100秒間以下である。
この第1プレス工程において、図1の矢印および図2Aに示すように、第2プレス板11の第1プレス板10に対する移動が開始すると、第1離型面22と第2プレス面8とが接触し、また、第2離型面23と第1磁性面18とが接触し、第2磁性面19と対向面15とが接触する。つまり、第1プレス板10、絶縁層2、配線部4、第1磁性シート5、離型クッションシート6、および、第2プレス板11は、厚み方向に隣接する部材同士が互いに接触(密着、密接)し、続いて、さらに、第2プレス板11の移動がさらに進行する(熱プレスが開始する)。
すると、厚み方向に投影したときに、離型クッションシート6において対向面15と重複する重複部分34は、図2Aの横向き矢印で示すように、対向面15と、第2プレス面8とによって、厚み方向に狭まれながら押圧(狭圧)される。
なお、厚み方向に投影したときに、離型クッションシート6において対向面15と重複しない非重複部分35は、第2磁性面19が対向面15と接触せず、かつ、第1絶縁面3において複数の配線部4から露出する露出面36と間隔が隔てられていることから、上記した狭圧を受けない。
すると、第2層32の重複部分34における熱流動材料は、非重複部分35に向かって流動する(押し出される)(変形する)(詳しくは、塑性変形する)。すると、図2Aの縦向き矢印で示すように、非重複部分35には、上記した重複部分34からの熱流動材料の流動(押出し)に基づく流動圧が増大する。非重複部分35における流動圧は、厚み方向両方側に作用する。
図2Aおよび図2Bに示すように、流動圧のうち、厚み方向他方側に作用する流動圧は、非重複部分35における第1層31を、厚み方向他方側に押し出す(押し下げる)とともに、かかる第1層31を介して、第1磁性シート5において非重複部分35と厚み方向に対向する被押出部分38を厚み方向他方側に押し出す(押し下げる)。なお、厚み方向一方側に作用する流動圧(破線で示す矢印)は、非重複部分35と対向する第3層33に作用するが、上記したように、第3層33が第2プレス板11に強固に支持されていることから、第3層33の変形を生じない。
その後、上記した流動圧に基づく被押出部分38の押し出し(押し下げ)は、被押出部分38の第2磁性面19が、側面17と、露出面36とに接触するまで続く。
そして、被押出部分38の第2磁性面19が、側面17と露出面36とに接触することにより、図1Cに示すように、複数の配線部4間を充填する磁性層21が形成(成型)される。
なお、この熱プレスによって、第2層32では、重複部分34は、熱プレス前に比べて薄くなり、非重複部分35は、熱プレス前に比べて厚くなる。
一方、第1層31および第3層33では、重複部分34および非重複部分35のいずれにおいても、熱プレスの前後において、実質的に変動しない。他方、第1層31は、第2層32の変形に伴って、第1方向に伸長する。
要するに、熱プレス後において、離型クッションシート6の第2離型面23は、磁性層21(成形後の第1磁性シート5)に対応する形状を有する。
なお、熱プレス後における磁性層21(第1磁性シート5)は、例えば、Bステージである。
磁性層21の厚みT3は、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、300μm以下である。なお、磁性層21の厚みT3は、配線部4の対向面15と、磁性層21の頂部28(後述)との厚み方向長さと定義される。
また、磁性層21の厚みT3の、配線部4の厚みT1に対する比(第1磁性層の厚みT3/配線部4の厚みT1)は、例えば、0.3以上、好ましくは、0.4以上、より好ましくは、0.5以上であり、また、例えば、5.0以下である。比が上記した下限以上であれば、第1プレス工程において、磁性層21が隣り合う配線部4間を確実に充填することができる。
これにより、第1磁性シート5から、所定形状に形成(成型)された磁性層21が得られる。これにより、配線回路基板40および磁性層21を備える磁性配線回路基板1が得られる。
磁性層21は、複数の配線部4間を充填し、かつ、配線部4の対向面15を被覆するように形成されている。
具体的には、磁性層21は、凸部25と、凹部26とを有する。
凸部25は、複数の配線部4に対応して、複数形成されている。複数の凸部25は、複数の配線部4の対向面15に配置されている。また、複数の凸部25は、第1方向において間隔を隔てて隣り合って配置されている。複数の凸部25のそれぞれは、厚み方向一方側に向かって隆起する形状を有する。凸部25は、配線部4の対向面15に対して厚み方向一方側に間隔が隔てられる凸面27を有する。
凸面27は、厚み方向に投影したときに、対向面15と重複しており、対向面15に対して厚み方向一方側に間隔が隔てられている。凸面27は、頂部28を1つのみ有する。頂部28は、凸面27において、厚み方向最一方側に位置しており、つまり、対向面15から最も遠い部分に位置している。
凸面27は、頂部28から第1方向両側のそれぞれに向かうに従って、厚み方向他方側に緩やかに落ち(沈み)込む湾曲形状を有する。凸面27における厚み方向他方側への落ち(沈み)込みの程度は、頂部28から第2方向両側に離れるに従って、大きくなる。
凹部26は、複数の配線部4に対応する複数の凸部25の間に位置しており、隣り合う凸部25に対して厚み方向他方側に向かって沈下する形状を有する。
凹部26の一部、具体的には、厚み方向他方側部分は、隣り合う配線部4間の隙間を充填している。すなわち、上記した凹部26の一部は、第1方向に投影したときに、配線部4と重複している。
一方、凹部26の残部、具体的には、厚み方向一方側部分は、第1方向に投影したときに、配線部4と重複せず、詳しくは、凹部26の残部の投影面は、配線部4の投影面の厚み方向一方側に配置されている。
凹部26は、第1絶縁面3の露出面36に対して厚み方向一方側に間隔が隔てられる凹面29を有する。
凹面29は、凸面27の第1方向端縁に連続している。凹面29は、少なくとも露出面36と対向しており、好ましくは、露出面36および側面17の両面に対向する。凹面29は、厚み方向他方側に向かって略湾曲形状に沈下する(凹む)形状を有する。凹面29は、底部30を有する。
底部30は、凹面29において、隣り合う配線部4の対向面15を通過する仮想面Sに対して、厚み方向一方側に位置する。つまり、底部30は、上記した仮想面Sに対して、厚み方向一方側に間隔が隔てられている。また、底部30は、凹面29において、露出面36に対して最も近い部分に位置している。つまり、底部30は、凹面29における最底部(厚み方向最他方側に位置する部分)である。
その後、必要により、磁性層21を、例えば、加熱により、Cステージ化(完全硬化)させる。具体的には、さらなる加熱、あるいは、上記したプレスを解放して、磁性配線回路基板1を加熱炉に投入する。
これにより、Cステージ化(完全硬化)した磁性層21を調製する。
この磁性配線回路基板1は、例えば、無線電力伝送(無線給電および/または無線受電)、無線通信、センサ、受動部品などに用いられる。
そして、この磁性配線回路基板1の製造方法によれば、図1Bに示すように、2つのプレス板20で、絶縁層2と、複数の配線部4と、第1磁性シート5と、離型クッションシート6とを熱プレスする第1プレス工程によって、磁性層21を一度に簡便に形成することができる。
しかも、離型クッションシート6における第2層32の110℃における引張貯蔵弾性率E’が、第1層31の110℃における引張貯蔵弾性率E’に比べて低いので、上記した温度で第1プレス工程を実施するときに、第2層32が、第1層31に比べて、柔軟となり、そのため、第2層32が第1層31に比べて流れ易く、第1層31を介して、第1磁性シート5を複数の配線部4間に押し出すことができる。そのため、第1プレス工程において、複数の配線部4間を充填し、かつ、配線部4の対向面15を被覆する磁性層21を確実に形成することができる。
この磁性配線回路基板1の製造方法では、第2層32の110℃における引張貯蔵弾性率E’が、20MPa以下と低ければ、第1プレス工程において、上記した温度で熱プレスするときに、第2層32が確実に流動することができる。そのため、第2層32が、第1磁性シート5を、複数の配線部4間に押し出すことができる。その結果、磁性層21で、複数の配線部4間を確実に充填することができ、高いインダクタスを有する磁性配線回路基板1を得ることができる。
この磁性配線回路基板1の製造方法では、第2層32の厚みT2の、配線部4の厚みT1に対する比が、0.5以上と高ければ、第1プレス工程において、磁性層21の厚みT3を、配線部4の厚みT1の半分以上の厚みに設定することができる。そのため、配線部4の厚みT1の半分を超える厚みT2を有する第2層32によって、配線部4の対向面15における第1磁性シート5を柔軟に熱プレスすることができ、そのため、かかる部分に対応する磁性層21の厚みを十分に確保することができる。その結果、磁性層21により、配線部4の対向面15を確実に被覆することができる。
この磁性配線回路基板1の製造方法では、離型クッションシート6は、第2層32の110℃における引張貯蔵弾性率E’より高い引張貯蔵弾性率E’を有する第3層33をさらに備えるので、上記した温度で第1プレス工程を実施するときに、硬い第3層33によって、離型クッションシート6の厚み方向一方側への変形を抑制することができる。そのため、第1プレス工程を確実に実施することができる。
この磁性配線回路基板1の製造方法では、磁性層21の厚みT3の、配線部4の厚みT1に対する比が、0.5以上と高く、つまり、磁性層21の厚みT3を、配線部4の厚みT1の半分以上の厚みに設定することができる。そのため、配線部4に対して比較的厚い磁性層21を、複数の配線部4間を確実に充填しながら、形成することができる。その結果、配線部4間の実効透磁率を向上させることができ、高いインダクタスを有する磁性配線回路基板1を得ることができる。
また、この磁性配線回路基板1では、凸部25が頂部28を1つのみ有し、かつ、凹部26が、厚み方向他方側に向かって湾曲形状に凹む形状を有し、かつ、隣り合う配線部4の対向面15を通過する仮想面Sに対して、厚み方向一方側に位置する底部30を有するので、上記した凸部25および凹部26を滑らかに通過する磁路によって、配線部4の周囲の実効透磁率を向上させることができる。
具体的には、図3に示すように、磁性粒子48は、凸部25では、第1方向、あるいは、頂部28から厚み方向他方側に向かって落ちるように緩やかに湾曲する方向に沿って配向され、凹部26における底部30では、第1方向、あるいは、隣接する2つの凸部25に向かって厚み方向一方側に向かって駆け上がるように緩やかに湾曲する方向に沿って配向され、また、凹部26において、2つの配線部4の周側面17間では、周側面17に沿い、また、露出面36を被覆する部分では、露出面36(第1方向)に沿って配向されている。従って、この磁性層21では、凸部25および凹部26に沿う滑らかな磁路が形成される。
その結果、この磁性配線回路基板1は、高いインダクタスを有する。
<変形例>
以下の各変形例において、上記した第1実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例は、特記する以外、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
図1Aに示すように、第1実施形態では、離型クッションシート6は、第3層33を備えるが、例えば、図示しないが、第3層33を備えず、第1層31および第2層32のみなることができる。この場合には、好ましくは、離型クッションシート6は、第1層31および第2層32のみからなる。
第1実施形態および上記した変形例のうち、第1実施形態が好適である。第1実施形態では、図1Aに示すように、離型クッションシート6が第3層33を備えるので、図1Bに示すように、110℃で第1プレス工程を実施するときに、硬い第3層33によって、離型クッションシート6の厚み方向一方側への変形を抑制することができる。そのため、第1プレス工程を確実に実施することができる。
図1Aに示すように、第1実施形態では、離型クッションシート6では、第1層31、第2層32および第3層33のうち、互いに隣接する層が接触している。しかし、変形例では、図示しないが、これらのうち、厚み方向に隣接する層は、互いに間隔が隔てられ、別々に準備されていてもよい。
例えば、図示しないが、第2プレス板11および離型クッションシート6の間に、別の離型シートを介在させることもできる。離型シート(図示せず)は、例えば、離型クッションシート6における第2層32より硬い。
離型クッションシート6は、厚み方向に複数積層して用いることもできる。
図1Cの仮想線で示すように、なお、磁性配線回路基板1は、絶縁層2の厚み方向他方面に配置される第3磁性層37を備えることもできる。
さらに、絶縁層2は、磁性粒子を含有する磁性絶縁層であってもよい。
また、第1実施形態では、磁性層21は、単層であるが、図示しないが、複層であってもよい。この場合には、複数の第1磁性シート5を、複数の配線部4および離型クッションシート6で挟み込み、一度の第1プレス工程で、複数の第1磁性シート5を熱プレスして、磁性層21を形成する。この変形例において、挟み込み工程における複数の第1磁性シート5の厚みの合計T3は、第1実施形態における単層の磁性層21の厚みT3と同一である。
また、磁性層21における磁性粒子48の割合は、磁性層21において一様でもよく、また、各配線部4から離れるに従って、高くなってもよく、あるいは、低くなってもよい。
<第2実施形態>
以下の第2実施形態において、上記した第1実施形態およびその変形例と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、第2実施形態を、第1実施形態およびその変形例とを適宜組み合わせることができる。さらに、第2実施形態は、特記する以外、第1実施形態およびその変形例と同様の作用効果を奏することができる。
第1実施形態では、図1A〜図1Bに示すように、1度の第1プレス工程で、第1磁性シート5から磁性層21を形成している。
第2実施形態では、図4A〜図5Eに示すように、第1磁性シート5を熱プレスする第1プレス工程に加え、第2磁性シート45を熱プレスする第2プレス工程を備える。つまり、第2実施形態では、2度のプレス工程で、磁性層21を形成する。
図5Cに示すように、第1磁性層41の厚みT3は、配線部4の厚みT1に比べて薄いことが許容され、具体的には、例えば、100μm以下、さらには、80μm以下、さらには、60μm以下であり、また、例えば、5μm以上である。第1磁性層41の厚みT3の、配線部4の厚みT1に対する比が、例えば、0.5未満、さらには、0.3以下であり、また、例えば、0.05以上である。
また、第1プレス工程において、第1磁性シート5(磁性組成物)における磁性粒子48の含有割合は、第1実施形態のそれに比べて低く設定することができ、例えば、60容積%未満、好ましくは、55容積%未満、より好ましくは、50容積%以下であり、また、例えば、15容積%以上である。第1磁性シート5における磁性粒子48の含有割合が上記した上限を下回れば、柔軟な第1磁性シート5が、第1プレス工程における熱プレスによって、容易に変形して、側面17および露出面36に確実に接触することができる。なお、樹脂の含有割合は、上記した磁性粒子48の含有割合の残部である。
第1プレス工程では、図4A〜図5Aに示すように、第1磁性シート5から、上記した形状を有する第1磁性層41を形成(成型)する。なお、この第1磁性層41は、好ましくは、まだBステージである。
なお、図4Bおよび図5Cに示すように、第1プレス工程では、配線回路基板40(絶縁層2および配線部4)と、第1磁性層41とを備える第1の磁性配線回路基板51が製造される。この第2実施形態では、第1の磁性配線回路基板51は、例えば、底部30が仮想面Sと同一位置またはそれより厚み方向他方側に位置する場合(後述)する場合には、第2実施形態で得られる第2の磁性配線回路基板52(後述)(製品)(図5E参照)を製造するための中間部品であって、第1磁性層41を備える一方、第2磁性層42(後述)(図5E参照)をまだ備えない。
図5Cに示すように、なお、第1磁性シート5が上記したように薄ければ、この第1磁性層41は、隣り合う配線部4間の隙間の厚み方向他方側部分のみを充填し(つまり、厚み方向一方側部分を充填せず)、また、底部30が仮想面Sと同一位置またはそれより厚み方向他方側に位置することが許容される。
図5Dに示すように、第2プレス工程を、第1プレス工程の後に実施する。
具体的には、まず、第1プレス工程における熱プレスを解除(開放)し、続いて、第2プレス板11を、離型クッションシート6から離間させる。すなわち、離型クッションシート6を磁性層21から離型する。換言すれば、離型クッションシート6を第1磁性層41の一方面から引き離す。その後、この離型クッションシート6をは、第1磁性層41および第2プレス板11の間から取り出す(引き抜く)。
別途、離型クッションシート6(上記したように、取り出された(引き抜かれた)離型クッションシート6とは異なる離型クッションシート6)を準備する。
併せて、第2磁性シート45を準備する。
第2磁性シート45の材料および物性は、第1磁性シート5のそれらと同様である。
とりわけ、第2磁性層42における磁性粒子48の含有割合は、第1磁性シート5における磁性粒子48の含有割合に比べて、例えば、高く設定することができる。第2磁性層42における磁性粒子48の含有割合の、第1磁性シート5における磁性粒子48の含有割合に対する比は、例えば、1超過、好ましくは、1.1以上、好ましくは、1.15以上であり、また、例えば、2以下、好ましくは、1.5以下である。
具体的には、第2磁性シート45における磁性粒子48の含有割合は、例えば、50容積%超過、好ましくは、55容積%以上、より好ましくは、60容積%以上であり、例えば、90容積%以下である。第2磁性シート45における磁性粒子48の含有割合が上記した下限を上回れば、高い含有割合で磁性粒子48を含有する第2磁性層42によって、磁性配線回路基板1のインダクタンスを向上させることができる。
続いて、第2プレス工程では、2つのプレス板20で、第1の磁性配線回路基板51と、第2磁性シート45と、離型クッションシート6とを熱プレスする。
まず、第2磁性シート45および離型クッションシート6を、順に、第1の磁性配線回路基板51における第1磁性層41の一方面に配置する。具体的には、第2磁性シート45および離型クッションシート6を、第1磁性層41と第2プレス板11との間に配置(挿入)する。
その後、2つのプレス板20で、第1の磁性配線回路基板51と、第2磁性シート45と、離型クッションシート6とを熱プレスする。第2プレス工程の条件は、第1プレス工程の条件と同様である。
これにより、第2磁性層42を、第1の磁性配線回路基板51における第1磁性層41の厚み方向一方面に、第2磁性シート45から形成(成型)する。この第2磁性層42は、例えば、Bステージである。これにより、第1磁性層41および第2磁性層42を厚み方向一方側に順に向かって備える磁性層21を得る。磁性層21は、好ましくは、第1磁性層41および第2磁性層42のみから形成される。
第2磁性層42の厚みT4は、例えば、第1磁性層41の厚みT3および第2磁性層42の厚みT4の合計(T3+T4)の、配線部4の厚みT1に対する比が、0.5以上、好ましくは、0.6以上、また、例えば、5.0以下、好ましくは、3.0以下となるように、設定される。第2磁性層42の厚みT4の、第1磁性層41の厚みT3に対する比(T4/T3)は、例えば、1.5以上、好ましくは、2.0以上であり、また、例えば、40以下、好ましくは、30以下である。具体的には、第2磁性層42の厚みT4は、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、450μm以下、好ましくは、250μm以下である。
これにより、配線回路基板40と、磁性層21とを備える第2の磁性配線回路基板52を得る。なお、第2の磁性配線回路基板52は、第1の磁性配線回路基板51と、第2磁性層42とを備える。
その後、必要により、第1磁性層41および第2磁性層42がBステージであれば、第1磁性層41および第2磁性層42をCステージ化(完全硬化)させる。
そして、この第2の磁性配線回路基板52の製造方法は、図5Dに示すように、第2プレス工程をさらに備えるので、第1磁性層41および第2磁性層42を備える(から形成される)、厚い磁性層21を確実に形成することができる。そのため、配線部4間の透磁率を向上させることができ、高いインダクタスを有する第2の磁性配線回路基板52を得ることができる。
また、第1磁性層41の厚みT3の、配線部4の厚みT1に対する比が、0.5未満と低ければ、図5Cに示すように、第1磁性層41が薄くなり易く、そのため、複数の配線部4間を第1磁性層41で充填することが困難になり易い。
しかし、この第2の磁性配線回路基板52の製造方法において、第1磁性層41の厚みT3および第2磁性層の厚みT4の合計の、配線部4の厚みT1に対する比が、0.5以上と高ければ、第1磁性層21および第2磁性層21を備える厚い磁性層21で、複数の配線部4間を確実に充填することができる。その結果、高いインダクタスを有する第2の磁性配線回路基板52を得ることができる。
この第2の磁性配線回路基板52の製造方法によれば、第1磁性シート5における磁性粒子48の含有割合が、第2磁性シート45における磁性粒子48の含有割合に比べて、低ければ、第2磁性シート45に比べて柔軟な第1磁性シート5を、確実に、複数の配線部4間に配置し、続いて、第1磁性シート5に比べて剛直な第2磁性シート45であっても、それを、すでに複数の配線部4間に配置された第1磁性層41に配置することによって、複数の配線部4間を、第1磁性層41および第2磁性層42を備える磁性層21によって、充填することができる。
さらに、第1磁性シート5における磁性粒子48の含有割合に比べて高い含有割合で磁性粒子48を含有する第2磁性シートから形成される第2磁性層21によって、第2の磁性配線回路基板52のインダクタンスを向上させることができる。
<変形例>
以下の各変形例において、上記した第2実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例を適宜組み合わせることができる。さらに、各変形例は、特記する以外、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
第1プレス工程で用いた離型クッションシート6を取り出し、別の離型クッションシート6を配置して第2プレス工程の熱プレスに供した。しかし、共通の離型クッションシート6で、第1プレス工程および第2プレス工程で用いることもできる。つまり、第1プレス工程で用いた離型クッションシート6を第2プレス工程で再利用することができる。
さらに、第2実施形態では、第2磁性シート45は、単層であるが、変形例では、複層であってもよい。好ましくは、3層以上であり、また、10層以下である。
また、第2プレス工程を複数回実施することもできる。例えば、図示しないが、第2プレス工程を2回実施する場合には、合計3回のプレス工程によって、磁性層21を形成する。この場合には、第1磁性シート5を熱プレスする第1プレス工程(1回目のプレス工程)によって、第1磁性層41を形成し、続いて、第2磁性シート45を第1磁性層41に対して熱プレスする第2プレス工程(2回目のプレス工程)によって、第1磁性層41および第2磁性層42を形成する。
その後、別の第2磁性シート45を準備し、これを、第2磁性層42に対して熱プレスする第2プレス工程(3回目のプレス工程)を実施する。この工程は、2回の第2プレス工程における2回目であって、別の第2磁性シート45は、1回目の第2プレス工程における第2磁性シート45とともに、本発明における「第2磁性シート」に含まれる。
また、2回目の第2プレス工程では、第2磁性層42は、別の第2磁性シート45から形成される。2回目の第2プレス工程で形成される第2磁性層42と、1回目の第2プレス工程で形成される第2磁性層42とは、ともに、本発明における「第2磁性層」に含まれる。なお、第2磁性層42の厚みT4は、すべての第2磁性層42の厚みの合計である。具体的には、上記の例では、1回目の第2プレス工程で形成される第2磁性層42の厚みと、2回目の第2プレス工程で形成される第2磁性層42との合計厚みが、第2磁性層42の厚みT4である。
第1実施形態および第2実施形態では、配線部4は、断面視四辺形状を有するが、この変形例では、図6Cおよび図7に示すように、断面視略円形状を有する。
配線部4は、導線43と、それを被覆する第2絶縁層44とを備える。
導線43は、配線部4と中心軸線を共有する断面視略円形状を有する。
第2絶縁層44は、絶縁層2とは別の絶縁層である。第2絶縁層44は、導線43の外周面(円周面)全面を被覆しており、配線部4と中心軸線(中心)を共有する断面視略円環形状を有する。
第2絶縁層44の材料は、絶縁層2の材料と同様である。第2絶縁層44は、単層から構成されていてもよく、複数の層から構成されていてもよい。
配線部4の直径Dは、上記した厚みT1に相当する。なお、第2絶縁層44の厚みの、配線部4の直径Dに対する比は、例えば、0.005以上、0.1以下である。
この変形例の製造方法において、図6Aに示すように、挟み込み工程では、まず、複数の配線部4を、絶縁層2の第1絶縁面3に配置する。具体的には、配線部4の厚み方向他端縁を第1絶縁面3に接触させる。
第1プレス工程では、図6Bに示すように、第1磁性シート5の第2磁性面19が、配線部4の第1半円弧46(配線部4の厚み方向他端縁を包含し、厚み方向他方側に位置する半円弧)に接触する。但し、第2磁性面19は、配線部4において第1絶縁面3に接触する厚み方向他端縁には接触しない。
また、第1プレス工程を実施すれば、複数の配線部4間を充填する凹部26と、配線部4の第2半円弧47(第1半円弧46の厚み方向一方側に連続しており、配線部4の厚み方向他端縁を包含し、厚み方向一方側に位置する半円弧)に追従する凸部25とを有する磁性層21が形成(成型)される。
図7に示すように、磁性粒子48は、配線部4の周辺領域(近傍領域)では、磁性粒子48が配線部4の円周方向に沿って配向されており、これにより、配線部4の円周方向に沿う略円環状の磁路が形成される。
また、上記した変形例では、図6Aに示すように、配線部4を絶縁層2に配置し、その後、図6Cおよび図7に示すように、絶縁層2を備える磁性配線回路基板1を得ているが、例えば、図示しないが、配線部4を、絶縁層2の一例として第2離型フィルムに配置し、続いて、第1磁性シート5を、配線部4を被覆するように、第2離型フィルムの厚み方向一方面に配置し、その後、第2離型フィルムを、第1磁性シート5および配線部4から剥離することができる。
第2離型フィルムは、例えば、面方向に延びるシート形状を有しており、具体的には、厚み方向に対向する一方面および他方面を有する。第2離型フィルムの材料としては、特に限定されず、例えば、PETなどの樹脂が挙げられる。第2離型フィルムの一方面は、公知の剥離処理が施されていてもよい。第2離型フィルムの厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、2000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
この変形例で得られる磁性配線回路基板1は、複数の配線部4と、磁性層21(第1磁性シート5)と備え、第2離型フィルムを備えない。
図6A〜図7に示す変形例では、配線部4および導線43は、断面視略円形状を有するが、これに限定されず、図示しないが、例えば、略矩形状、略台形状なども挙げられる。この変形例において、図示しないが、第2絶縁層44は、配線部4の外周面全面を被覆する。
さらには、上記した磁性配線回路基板1は、配線部4の厚み方向他端縁を被覆するように、磁性層21の他方面に備えられる第3磁性層37を備えることができる。この磁性配線回路基板1では、配線部4は、第1磁性シート5および第3磁性層37からなる第1磁性シート5によって、円周面(外周面)全面が被覆される。
また、第1実施形態、第2実施形態および各変形例は、適宜組み合わせることができる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
実施例1
(挟み込み工程)
絶縁層2と、その第1絶縁面3に配置される複数の配線部4とを備える配線回路基板40を準備した。
配線回路基板40において、絶縁層2は、ポリエチレンテレフタレートからなる第1支持層12と、アクリル樹脂からなる感圧接着層13と、ポリイミド樹脂からなる第2支持層14とを、厚み方向一方側に向かって順に備える。
配線回路基板40において、複数の配線部4は、銅からなり、厚みT1が100μmである。対向面15の第1方向長さが245μm、隣り合う配線部4における対向面15間の第1方向における間隔が190μmである。被支持面16の第1方向長さが336μm、隣り合う配線部4における被支持面16間の第1方向における間隔が100μmである。
別途、第1磁性シート5および離型クッションシート6を準備した。
第1磁性シート5は、まず、第1磁性組成物を表1の処方に従って調製し、これをシート形状に形成して、Bステージシートとして準備した。
離型クッションシート6は、離型フィルムOT−A160(積水化学工業社製)をそのまま準備した。
離型クッションシート6の厚みは、160μmであって、厚みが20μmの第1層31と、厚みT2が120μmの第2層32と、厚みが20μmの第3層33とを備える。
第1層31および第3層33は、融点が223℃であり、110℃における引張貯蔵弾性率E’が190MPaであって、その材料が、ポリブチレンテレフタレートを主成分として含有する。
第2層32は、融点が80℃であり、110℃における引張貯蔵弾性率E’が5.6MPaであって、その材料が、エチレン−メチルメタクリレートコポリマーを主成分として含有する。
続いて、2つのプレス板20により、配線回路基板40と、第1磁性シート5と、離型クッションシート6とを挟み込んだ。
(第1プレス工程:第1の磁性配線回路基板51の製造)
プレス圧2MPa(2kNに相当)、110℃で、60秒間のプレス条件で、2つのプレス板20を用いて、配線回路基板40と、第1磁性シート5と、離型クッションシート6とを熱プレスした。
これにより、第1磁性シート5から第1磁性層41を形成(成型)した。第1磁性層41の厚みT3は、10μmであった。これにより、配線回路基板40と、第1磁性層41とを備える第1の磁性配線回路基板51を製造した。
(第2プレス工程:第2の磁性配線回路基板52の製造)
まず、第1プレス工程で用いた離型クッションシート6を取り出した。
別途、新たに離型クッションシート6(第1プレス工程で準備したものと同様の離型OT−A160)を準備した。
第2磁性シート45は、まず、第2磁性組成物を表1の処方に従って調製し、これをシート形状に形成して、Bステージシートとして準備した。
次いで、4枚の第2磁性シート45、および、新たに準備した離型クッションシート6を、第1の磁性配線回路基板51における第1磁性層41と第2プレス板11との間に挿入した。
プレス圧2MPa(2kNに相当)、110℃で、60秒間の条件で、2つのプレス板20で、第1の磁性配線回路基板51と、第2磁性シート45と、離型クッションシート6とを熱プレスした。
これにより、第2磁性シート45から第2磁性層42を、第1の磁性配線回路基板51における第1磁性層41の厚み方向一方面に形成(成型)した。第1磁性層41および第2磁性層42からなる磁性層21を形成した。第2磁性層42の厚みT4は、100μmであった。
これにより、第1磁性層41および第2磁性層42を備える第2の磁性配線回路基板52を製造した。なお、第2の磁性配線回路基板52は、配線回路基板40と、磁性層21とを備える。
実施例2〜比較例4
離型クッションシート6の種類、厚み等を表2に従って変更した以外は、実施例1と同様に処理して、第2の磁性配線回路基板52を製造した。
なお、比較例1および比較例2におけるTPX(離型クッションシート6)は、メチルペンテン樹脂(融点235℃)からなる離型シート(三井化学社製)である。
また、比較例3および比較例4におけるMRA(離型クッションシート6)は、ポリエチレンテレフタラート樹脂(融点260℃)からなる離型シート(三菱ケミカル社製)である。
(評価)
[インダクタンス]
第2の磁性配線回路基板52における配線部4のインダクタンスを測定した。
[SEM観察]
第2の磁性配線回路基板52の厚み方向および第1方向に沿う断面を、SEM観察した。その画像処理図を、図8〜図15に示す。
(考察)
比較例1〜比較例4では、いずれにおいても、離型クッションシート6が第2層32を備えない。
比較例1〜比較例3では、第1プレス工程および第2プレス工程のそれぞれにおいて、第1磁性シート5および第2磁性シート45のそれぞれを均一にプレスできず、離型クッションシート6において第1方向における収縮力が作用して、凸部25における凸面27に頂部28が2つ形成されている。
とくに、比較例2では、底部30が、厚み方向他方側に向かって尖っている。
さらに、比較例4では、離型クッションシート6の110℃における引張貯蔵弾性率E’が過度に高い。そのため、非重複部分35に対応する第1磁性シート5および第2磁性シート45に大きな応力がかかり、その結果、底部30が、仮想面Sに対して、厚み方向他方側に位置する。
これら比較例に対して、各実施例では、離型クッションシート6が第2層32を備え、第2層の110℃における引張貯蔵弾性率E’が、第3層の110℃における引張貯蔵弾性率E’に比べて低い。そのため、凸面27は、頂部28を1つのみ有する。また、凹面29は、厚み方向他方側に向かって湾曲形状に凹む形状を有し、仮想面Sに対して、厚み方向一方側に位置する底部30を有する。その結果、各実施例は、各比較例に比べて、高いインダクタスを有する。