JP2020172601A - 蓄冷材 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄冷材が融点10℃以下でかつ潜熱量約200J/g以上を有すること。【解決手段】テトライソペンチルアンモニウムカチオン、カルボン酸アニオン、および水を含み、カルボン酸アニオンが第3級炭素原子を有することを特徴とする、セミクラスレートハイドレート系蓄冷材。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄冷材に関する。
従来技術は、4級アンモニウム塩セミクラスレートハイドレートのアルキル鎖をテトラノルマルブチルからテトライソペンチルに置換すると、調和濃度における融点が14℃以上に上昇し、同時に潜熱量も増大する。(この効果は4級アンモニウム塩全般に共通であり、融点上昇&潜熱量増大の策として有効である。) しかしながら、融点上昇をさせずに(融点を12℃以下に抑制しつつ)潜熱量を増大させることが出来ない課題があった。
特許第5104159号
本発明の目的は、以下の条件(I)を満たす蓄冷材を提供することにある。
条件(I) 蓄冷材が融点10℃以下でかつ潜熱量約200J/g以上を有すること。
本発明は、
テトライソペンチルアンモニウムカチオン、
カルボン酸アニオン、および
水、
を含み、
前記カルボン酸アニオンが第3級炭素原子を有することを特徴とする、
セミクラスレートハイドレート系蓄冷材を提供する。
本発明は、以下の条件(I)を満たす蓄冷材を提供する。
条件(I) 蓄冷材が融点10℃以下でかつ潜熱量約200J/g以上を有すること。
本発明による蓄冷材は、冷蔵庫、空調、または保冷物流のために好適に用いられ得る。
図1は、蓄冷材の融解過程における温度挙動を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
蓄冷材の結晶化により、蓄冷材はセミクラスレートハイドレートとなる(特許文献1参照)。クラスレートハイドレートとは籠状に形成された水分子(ホスト分子)の中に他の物質(ゲスト物質)を取り込んだ結晶構造を持つ。セミクラスレートハイドレートとは、クラスレートハイドレートと同様にゲスト分子がホスト分子に包接された結晶構造を持つものの、ゲスト分子がホスト分子による籠状構造を一部破壊して複数の籠状構造に跨って存在している物質である。
セミクラスレートハイドレートのゲスト物質としては、例えば4級アンモニウム塩や4級ホスホニウム塩が挙げられる。4級アンニウム塩の例としては、テトラブチルアンモニウムブロマイドがあり、その場合、カチオンはテトラブチルアンモニウムイオンであり、カウンターとなるアニオンは臭素イオンである。アンモニウムイオンを中心とする4本のブチル基の周りにそれぞれ水分子から成る籠状構造を有しており、結晶構造は極めて複雑である。
ここで、セミクラスレートハイドレートが形成された時に、ゲスト物質と水分子が過不足なく籠状構造を形成する濃度を調和濃度という。本明細書では、セミクラスレートハイドレートの融点について述べる時は、調和濃度における融点を指す。一般的に、調和濃度における融点は、当該ゲスト物質と水分子の組合せから成るセミクラスレートハイドレートの中で、最も高温である。
蓄冷材の融点は、蓄冷材の技術分野においてよく知られているように、示差走査熱量計(以下、「DSC」という)を用いて測定され得る。
図1は、加温時における蓄冷材の融解過程における温度挙動を示すグラフである。図1において、横軸および縦軸は、それぞれ、時間および温度を指し示す。区間Eの間、蓄冷材の温度は、結晶化温度以下に維持されている。例えば、冷蔵庫内の蓄冷材は、冷蔵庫のドアが閉められている間、冷蔵庫の内部の温度に等しい温度(結晶化温度以下)に維持されている。
次に、蓄冷材は、徐々に加温される。(図1における区間Fを参照)。例えば、区間Eの終わり(すなわち、区間Fの始まり)で、冷蔵庫のドアが開けられると、冷蔵庫の内部の温度は、徐々に高くなる。
蓄冷材の温度が、当該蓄冷材の融点に達すると、蓄冷材の温度は、蓄冷材の融点付近に維持される。(区間Gを参照)。万一、蓄冷材がない場合には、冷蔵庫の内部の温度は、区間Zのように連続的に上昇する。一方、蓄冷材がある場合には、区間Gの一定期間の間、冷蔵庫の内部の温度は、蓄冷材の融点に維持される。このようにして、蓄冷材は蓄冷効果を発揮する。区間Gの終端において、蓄冷材の結晶は消失する。その結果、蓄冷材は液化する。
その後、液化した蓄冷材の温度は、周囲温度に追随して上昇する。(区間H参照)。
冷蔵庫、空調、保冷物流のために用いられる蓄冷材には、以下の条件(I)が求められる。
条件(I) 蓄冷材が融点10℃以下でかつ潜熱量約200J/g以上を有すること。
条件(I)の理由は、食品衛生法及びJIS規格に基づく。即ち、食品衛生法では、刺身などの生食用鮮魚介類は10℃以下での保存が定められている。これを受けて、JIS規格では、冷蔵庫の冷蔵室は「室温が15〜30℃において、冷蔵室内を0〜10℃の範囲で調整できること」と定められている。従って、冷蔵庫内を10℃以下に維持するために蓄冷材の融点は10℃以下であることが必須であり、使い勝手を考慮すれば、例えば3〜5℃に設定されるからである。
本発明は、上記の条件(I)を充足する蓄冷材を提供する。本発明による蓄冷材は、
テトライソペンチルアンモニウムカチオン、カルボン酸アニオン、および水を含む。本発明では、カルボン酸アニオンが第3級炭素原子を有することを特徴とする。
蓄冷材に含有されるテトライソペンチルアンモニウムカチオンと水分子とがケージと呼ばれる安定な籠構造を形成し、調和濃度において、高い潜熱量を確保する。また、カルボン酸アニオンが第3級炭素原子を有することにより、アニオンと水分子が形成する籠構造の安定性を低減し、融点を下げる効果が発現する。
一般にカチオンがテトライソペンチルアンモニウムカチオンでアニオンが直鎖のカルボン酸の場合、具体例としてはアニオンがプロパン酸の場合、調和濃度における融点は22℃であり、一般的な蓄冷用途である冷蔵用には使い難い。しかしながら、カルボン酸アニオンが第3級炭素原子を有することにより、アニオンと水分子が形成する籠構造の安定性を低減し、融点を下げる効果が発現し、調和濃度における融点を10℃以下に低減することができる。
融点を10℃以下に抑制しながら高い潜熱量(約200J/g以上)を確保できる為、蓄冷時間を長く保てる。
カルボン酸アニオンは2,2−ジメチルプロパン酸イオンであってよい。
カルボン酸アニオンが2,2−ジメチルプロパン酸イオンであることにより、アニオンと水分子が形成する籠構造の安定性を低減し、融点を下げる効果が発現し、調和濃度における融点は5.5℃で、潜熱量は198J/gを確保できる。その結果、蓄冷時間を長く保てる。
カルボン酸アニオンは3,3−ジメチルブタン酸であってもよい。
カルボン酸アニオンが3,3−ジメチルブタン酸であるであることにより、アニオンと水分子が形成する籠構造の安定性を低減し、融点を下げる効果が発現し、調和濃度における融点8.0℃で、潜熱量は218J/gを確保できる。その結果、蓄冷時間を長く保てる。
カルボン酸アニオンは2,2−ジメチルブタン酸であってもよい。
カルボン酸アニオンが2,2−ジメチルブタン酸であるであることにより、アニオンと水分子が形成する籠構造の安定性を低減し、融点を下げる効果が発現し、調和濃度における融点は3.0℃で、潜熱量は205J/gを確保できる。その結果、蓄冷時間を長く保てる。
(4級アンモニウム塩セミクラスレートハイドレート)
4級アンモニウム塩セミクラスレートハイドレートとは、カチオンとアニオンとHOから成る。カチオンとしては、例えば、テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBA)イオン、テトラ−イソペンチルアンモニウム(TiPA)イオンなどがあり、化学式は各々化学式((CH(CH)、((CHCH(CH)CHCH)により表される。蓄冷材の技術分野においてよく知られているように、TiPAイオンは、蓄冷材の主成分、すなわち蓄冷主成分として用いられる。
(TiPAの水に対するモル比)TiPA:HO = 1:20 〜 1:50
後述される蓄冷材の製法からも明らかなように、TiPAイオンは、TiPAカルボン酸塩に由来し得る。
(アニオン)
アニオンは例えば、カルボン酸イオンであり、カルボン酸は以下の化学式(I)により表される。
R−COO (I)
ここで、Rは炭化水素基である。
望ましくは、カルボン酸イオンは、1以上10以下の炭素数を有する。
Rは第3級炭素原子を有する。例えば、カルボン酸イオンは、化学式OCOC(CHCHにより表される2,2−ジメチルプロパン酸イオン、化学式OCOCHC(CHCHにより表される3,3−ジメチルブタン酸、化学式OCOC(CHCHCHにより表される2,2−ジメチルブタン酸である。
後述される蓄冷材の製法からも明らかなように、カルボン酸イオンは、TiPAカルボン酸塩に由来し得る。
実施形態によるセミクラスレート系蓄冷材は、
テトライソペンチルアンモニウムカチオン、
カルボン酸アニオン、および
水、
を含み、
カルボン酸アニオンが第3級炭素原子を有することによって特徴づけられる。
後述される実施例においても実証されているように、本形態の蓄冷材は、融点を10℃以下に抑制しながら高い潜熱量(約200J/g以上)を確保できる為、蓄冷時間を長く保てる。したがって、このような蓄冷材は、冷蔵庫、空調、保冷物流のために好適に用いられ得る。
万一、第3級炭素原子を有しない場合、比較例1からも明らかなように、蓄冷材は高い融点(例えば20℃以上)を有し、冷蔵室内を10℃以下に保つために貢献しないという不具合を有する。
実施形態による蓄冷材は、テトライソペンチルアンモニウムカチオンを蓄冷主成分として含有する。
以下、実施例を参照しながら、本発明がより詳細に説明される。
(実施例1)
(テトライソペンチルアンモニウム−2,2−ジメチルプロパン酸の合成)
以下の化学式(I)により表されるテトライソペンチルアンモニウム−2,2−ジメチルプロパン酸が、以下のように合成された。
[CHCH(CH)CHCHOCO−C(CHCH (I)
まず、以下の化学式(II)により表されるトリイソアミルアミン(東京化成工業株式会社より入手)0.10モルに、1−ヨード−3−メチルブタン(化学式(III)、東京化成工業株式会社より入手)0.16モルが添加された。110℃で6h、攪拌しながら加熱し、その後、トルエンに再沈殿させ、トルエンで2回洗浄し、未反応のアミンとヨウ化物を抽出した。最後に減圧加熱乾燥(50℃5時間1Pa)して、テトライソペンチルアンモニウムヨージド(化学式(IV)(0.062モル)を得た。
[CHCH(CH)CHCHN (II)
I−CHCHCH(CH)CH (III)
[CHCH(CH)CHCHN−I (IV)
次に、水酸化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社)(0.049モル)を蒸留水100mlに溶解する。水浴中で、2,2−ジメチルプロパン酸(化学式(V)、東京化成工業株式会社より入手)(0.049モル)に、水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと滴下し、2,2−ジメチルプロパン酸ナトリウム(化学式(VI))を得た。
HOCO−C(CHCH (V)
Na−OCO−C(CHCH (VI)
次に、硝酸銀(シグマアルドリッチジャパン合同会社)(0.049モル)を蒸留水50mlに溶解させた。
2,2−ジメチルプロパン酸ナトリウムを攪拌しながら、硝酸銀水溶液をゆっくりと滴下した。析出した結晶をろ過、水洗して減圧加熱乾燥(60℃3時間10Pa)し、2,2−ジメチルプロパン酸銀(化学式(VII))(0.044モル)を得た。
Ag−OCO−C(CHCH (VII)
2,2−ジメチルプロパン酸銀(0.033モル)を無水メタノール(富士フィルム和光純薬株式会社より入手)100mlに分散し、テトライソペンチルアンモニウムヨージド(0.033モル)を分散した無水メタノール100mlに少しずつ投入して50℃で2時間攪拌させる。析出したヨウ化銀を濾別し、無水メタノールで洗浄後、減圧加熱乾燥(70℃2時間10Pa)し、テトライソペンチルアンモニウム−2,2−ジメチルプロパン酸(化学式(I))(0.026モル)を得た。
(蓄冷材の調製)
以下のようにして、実施例1による蓄冷材が調製された。
まず、テトライソペンチルアンモニウム−2,2−ジメチルプロパン酸(0.893ミリモル)を水35.714ミリモルに溶かして攪拌した。このようにして、実施例1による蓄冷材が調製された。上記から明らかなように、実施例1による蓄冷材は、以下の表1の組成を有する。
(凝固点、融点、および潜熱量の測定)
(DSC)
示差走査熱量計を用いて、実施例1による蓄冷材の凝固点、融点、および潜熱量が以下のようにして測定された。まず、実施例1による蓄冷材(10ミリグラム)が、アルミニウム製の容器に投入された。次いで、アルミニウム製の容器は蓋を用いて密封された。
アルミニウム製の容器は、示差走査熱量計(パーキンエルマー社より入手、商品名:DSC−8500)に組み込まれた。アルミニウム製の容器に含まれる蓄冷材は、常温からマイナス20℃まで2℃/分の速度で冷却された。次に、蓄冷材は、マイナス20℃で5分間、静置された。このようにして、蓄冷材は、結晶化されたセミクラスハイドレート(semiclathrate hydrate)となった。最後に、蓄冷材は、マイナス20℃から常温まで2℃/分の速度で加温された。このようにして、結晶化された蓄冷材は融解された。
示差走査熱量計から出力された、蓄冷材(すなわち、セミクラスレートハイドレートとなった蓄冷材)が融解する際の吸熱ピークに基づいて、実施例1による蓄冷材の凝固点および融点が特定され、かつ実施例1による蓄冷材の潜熱量が計算された。実施例1による蓄冷材の融点は、5.5℃であった。実施例1による蓄冷材の潜熱量は、約198ジュール/グラムであった。
(実施例2)
(テトライソペンチルアンモニウム−3,3−ジメチルブタン酸の合成)
以下の化学式(VIII)により表されるテトライソペンチルアンモニウム−3,3−ジメチルブタン酸が、以下のように合成された。
[CHCH(CH)CHCHOCO−CHC(CH (VIII)
実施例2では、実施例1の2,2−ジメチルプロパン酸の替わりに、以下の化学式(IX)により表される3,3−ジメチルブタン酸(東京化成工業株式会社より入手)が使用されたこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。
HOCO−CHC(CH (IX)
まず、実施例1と同様にしてテトライソペンチルアンモニウムヨージド(化学式(IV)(0.062モル)を得た。
次に、水酸化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社)(0.045モル)を蒸留水100mlに溶解する。水浴中で、3,3−ジメチルブタン酸(化学式(VIII))(0.045モル)に、水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと滴下し、3,3−ジメチルブタン酸ナトリウム(化学式(X))を得た。
Na−OCO−CHC(CH (X)
次に、実施例1と同様にして3,3−ジメチルブタン酸銀(化学式(XI)(0.041モル)を得た。
Ag−OCO−CHC(CH (XI)
最後に3,3−ジメチルブタン酸銀(0.033モル)を無水メタノール100mlに分散し、テトライソペンチルアンモニウムヨージド(0.033モル)を分散した無水メタノール100mlに少しずつ投入して50℃で2時間攪拌させる。析出したヨウ化銀を濾別し、無水メタノールで洗浄後、減圧加熱乾燥(70℃2時間10Pa)し、テトライソペンチルアンモニウム−3,3−ジメチルブタン酸(化学式(VIII))(0.026モル)を得た。
(蓄冷材の調製)
以下のようにして、実施例2による蓄冷材が調製された。
まず、テトライソペンチルアンモニウム−3,3−ジメチルブタン酸(0.817ミリモル)を水36.765ミリモルに溶かして攪拌した。このようにして、実施例2による蓄冷材が調製された。上記から明らかなように、実施例2による蓄冷材は、以下の表2の組成を有する。
示差走査熱量計から出力された、蓄冷材(すなわち、セミクラスレートハイドレートとなった蓄冷材)が融解する際の吸熱ピークに基づいて、実施例2による蓄冷材の凝固点および融点が特定され、かつ実施例1による蓄冷材の潜熱量が計算された。実施例2による蓄冷材の調和濃度における融点8.0℃で、潜熱量は218J/gであった。
(実施例3)
(テトライソペンチルアンモニウム−2,2−ジメチルブタン酸の合成)
以下の化学式(XII)により表されるテトライソペンチルアンモニウム−2,2−ジメチルブタン酸が、以下のように合成された。
[CHCH(CH)CHCHOCO−C(CHCHCH (XII)
実施例3では、実施例1の2,2−ジメチルプロパン酸の替わりに、以下の化学式(XIII)により表される2,2−ジメチルブタン酸(東京化成工業株式会社より入手)が使用されたこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。
HOCO−C(CHCHCH (XIII)
まず、実施例1と同様にしてテトライソペンチルアンモニウムヨージド(化学式(IV)(0.062モル)を得た。
次に、水酸化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社)(0.043モル)を蒸留水100mlに溶解する。水浴中で、2,2−ジメチルブタン酸(化学式(XIII))(0.043モル)に、水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと滴下し、2,2−ジメチルブタン酸ナトリウム(化学式(XIV))を得た。
Na−OCO−C(CHCHCH (XIV)
次に、実施例1と同様にして2,2−ジメチルブタン酸銀(化学式(XV))(0.039モル)を得た。
Ag−OCO−C(CHCHCH (XV)
最後に2,2−ジメチルブタン酸銀(0.028モル)を無水メタノール100mlに分散し、テトライソペンチルアンモニウムヨージド(0.028モル)を分散した無水メタノール100mlに少しずつ投入して50℃で2時間攪拌させる。析出したヨウ化銀を濾別し、無水メタノールで洗浄後、減圧加熱乾燥(60℃2時間10Pa)し、テトライソペンチルアンモニウム−2,2−ジメチルブタン酸(化学式(XII))(0.026モル)を得た。
(蓄冷材の調製)
以下のようにして、実施例3による蓄冷材が調製された。
まず、テトライソペンチルアンモニウム−2,2−ジメチルブタン酸(0.817ミリモル)を水36.765ミリモルに溶かして攪拌した。このようにして、実施例3による蓄冷材が調製された。上記から明らかなように、実施例3による蓄冷材は、以下の表3の組成を有する。
示差走査熱量計から出力された、蓄冷材(すなわち、セミクラスレートハイドレートとなった蓄冷材)が融解する際の吸熱ピークに基づいて、実施例2による蓄冷材の凝固点および融点が特定され、かつ実施例1による蓄冷材の潜熱量が計算された。実施例2による蓄冷材の調和濃度における融点3.0℃で、潜熱量は205J/gであった。
以下の表4は、実施例1〜実施例3の結果を示す。
(比較例1)
比較例1では、2,2−ジメチルプロパン酸の替わりにプロパン酸(化学式(XVI))が用いられたこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。以下の化学式(XVII)により表されるテトライソペンチルアンモニウム−プロパン酸は、実施例1と同様に合成された。すなわち、比較例1による蓄冷材は、テトライソペンチルアンモニウム−プロパン酸と水を含有していた。
HOCO−CHCH (XVI)
[CHCH(CH)CHCHOCO−CHCH (XVII)
(比較例2)
比較例2では、3,3−ジメチルブタン酸の替わりにブタン酸(化学式(XVIII))が用いられたこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。以下の化学式(XIX)により表されるテトライソペンチルアンモニウム−ブタン酸は、実施例1と同様に合成された。すなわち、比較例2による蓄冷材は、テトライソペンチルアンモニウム−ブタン酸と水を含有していた。
HOCO−CHCHCH (XVIII)
[CHCH(CH)CHCHOCO−CHCHCH (XIX)
(比較例3)
比較例3では、2,2−ジメチルブタン酸の替わりに2−メチルブタン酸(化学式(XX))が用いられたこと以外は、実施例1と同様の実験が行われた。以下の化学式(XXI)により表されるテトライソペンチルアンモニウム−2−メチルブタン酸は、実施例1と同様に合成された。すなわち、比較例3による蓄冷材は、テトライソペンチルアンモニウム−2−メチルブタン酸と水を含有していた。
HOCO−CH(CH)CHCH (XX)
[CHCH(CH)CHCHOCO−CH(CH)CHCH (XXI)
以下の表5は、比較例1〜比較例3の結果を示す。
(考察)
表から明らかなように、実施例においては蓄冷材が融点10℃以下でかつ潜熱量約200J/g以上を有する。一方、比較例では融点が10℃よりも上昇する弊害が認められた。実施例では、テトライソペンチルアンモニウムイオンのアルキル鎖が潜熱量確保に役立ち、第3級炭素原子を有するカルボン酸イオンが融点上昇を抑制すると考えられる。
本発明に係る蓄熱材料は、空調用の冷房に必要な冷熱を、高い潜熱量で取り出せるシステムとして広く利用可能である。また、空調用途に止まらず、冷蔵用途から保冷物流用途に対してまで幅広く適応可能である。

Claims (4)

  1. テトライソペンチルアンモニウムカチオン、
    カルボン酸アニオン、および
    水、
    を含み、
    前記カルボン酸アニオンが第3級炭素原子を有することを特徴とする、
    セミクラスレートハイドレート系蓄冷材。
  2. 請求項1に記載の蓄冷材であって、
    前記カルボン酸アニオンが2,2−ジメチルプロパン酸イオンであることを特徴とする、
    セミクラスレートハイドレート系蓄冷材。
  3. 請求項1に記載の蓄冷材であって、
    前記カルボン酸アニオンが3,3−ジメチルブタン酸であることを特徴とする、
    セミクラスレートハイドレート系蓄冷材。
  4. 請求項1に記載の蓄冷材であって、
    前記カルボン酸アニオンが2,2−ジメチルブタン酸であることを特徴とする、
    セミクラスレートハイドレート系蓄冷材。
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