JP2020200423A - ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法、及び該精製方法を含むポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法、及び該精製方法を含むポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を高温で溶融し成形体を形成させても、その成形体が黒変せず、変色の少ない成形体を形成することができるポリアリーレンエーテルケトン樹脂の提供。【解決手段】ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を、水酸基を有し、かつ酸解離定数pKaが5〜15である有機溶剤(1)と、前記有機溶剤(1)よりも前記ポリアリーレンエーテルケトン樹脂に対する溶解度が低い貧溶媒(2)とに混合して混合液を得る第1の工程と、前記第1の工程で得られた前記混合液からポリアリーレンエーテルケトン樹脂を分離する第2の工程とを含むポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法、及び該精製方法を含むポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法に関する。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(以下「PAEK樹脂」と略すことがある。)は、耐熱性、耐薬品性、強靭性等に優れ、高温で連続使用可能な結晶性スーパーエンプラとして、電気電子部品、自動車部品、医療用部品、繊維、フィルム用途等に幅広く利用されている。
従来、PAEK樹脂としては、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンとハイドロキノンの2つのモノマーを、ジフェニルスルホン中で炭酸カリウムを用いた芳香族求核置換型溶液重縮合反応(例えば、特許文献1参照)により製造される、1つの繰り返し単位中に2つのエーテル基と1つのケトン基を持つポリエーテルエーテルケトン樹脂(以下「PEEK樹脂」と略すことがある。)がよく知られている。
しかしながら、芳香族求核置換型溶液重縮合反応は、モノマーに高価な4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを使用するため原料費が高く、かつ、反応温度が300℃以上で製造工程費も高いという欠点があり、樹脂の価格が高くなる傾向にある。
そこで、モノマーに4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを用いることなく、かつ、温和な重合条件で、PAEK樹脂を製造する芳香族求電子置換型溶液重縮合反応が知られている。
芳香族求電子置換型溶液重縮合反応を用いた例として、4−フェノキシ安息香酸クロリドをフッ化水素−三フッ化ホウ素の存在下で反応させる方法によるポリエーテルケトン樹脂(例えば、特許文献2参照)、テレフタル酸クロリドとジフェニルエーテルをルイス酸の存在下で反応させる方法によるポリエーテルケトンケトン樹脂(例えば、特許文献3参照)、4−フェノキシ安息香酸をメタンスルホン酸と五酸化二リンの混合物存在下で反応させる方法によるポリエーテルケトン樹脂(例えば、特許文献4参照)等がある。
また、優れた特性を有するPAEK樹脂の重要性から、従来より、PAEK樹脂の精製方法についても各種の検討がなされている。
例えば、PAEK樹脂を、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルピロリドンからなる群より選択される水溶性の非プロトン溶媒と混合することにより、PAEK樹脂を精製する方法が開示されている(例えば、特許文献5参照)。また、PAEK樹脂を、100℃を超える温度及び大気圧を超える圧力の溶媒調合物(より具体的には、高圧及び高温の液体の水)を接触させることにより、PAEK樹脂を精製する方法が開示されている(例えば、特許文献6参照)。また、PAEK樹脂を、炭素数が2ないし18の脂肪族α−ヒドロキシカルボン酸、又は芳香族オルトヒドロキシカルボン酸(より具体的には、乳酸、サリチル酸、グリコール酸等)と接触させることにより、PAEK樹脂を精製する方法が開示されている(例えば、特許文献7参照)。
米国特許第4320224号明細書 米国特許第3953400号明細書 米国特許第3065205号明細書 特開昭61−247731号公報 特許第5534815号公報 特表2004−526859号公報 特公平6−62760号公報
上述した従来のポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン等は、部分結晶性のポリマーであり、そのガラス転移温度は140℃以上と高く、耐熱性に優れるものの、結晶融点も340℃以上と高く、成形加工温度としては、390℃以上の温度が必要となる。
本発明者らが検討したところ、従来のPAEK樹脂は、そのような高温での溶融状態で成形体を形成すると、その成形体は黒変してしまうため、外観が重視される外装部材等での使用ができないという問題が生じることがわかった。
そこで、本発明は、PAEK樹脂を高温で溶融し成形体を形成させても、その成形体が黒変せず、変色の少ない成形体を形成することができるPAEK樹脂を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の工程を含むPAEK樹脂の精製方法により精製されたPAEK樹脂が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1]ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を、水酸基を有し、かつ酸解離定数pKaが5〜15である有機溶剤(1)と、前記有機溶剤(1)よりも前記ポリアリーレンエーテルケトン樹脂に対する溶解度が低い貧溶媒(2)とに混合して混合液を得る第1の工程と、
前記第1の工程で得られた前記混合液からポリアリーレンエーテルケトン樹脂を分離する第2の工程と
を含むことを特徴とするポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法。
[2]前記有機溶剤(1)と前記貧溶媒(2)との合計質量に対する、前記有機溶剤(1)の質量の割合が、5〜95%である、前記[1]に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法。
[3]前記ポリアリーレンエーテルケトン樹脂が、下記一般式(3)で表される構造を有する、前記[1]に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法。
Figure 2020200423
ただしXは下記一般式(3−1)、Yは下記一般式(3−2)で表される。
Figure 2020200423
(式中、mは0〜2のいずれかの整数を示す。)
Figure 2020200423
(式中、nは0〜3のいずれかの整数を示す。)
[4]前記ポリアリーレンエーテルケトン樹脂が、下記一般式(4―1)及び(4−2)で表されるモノマーの群から選ばれるモノマーを、有機スルホン酸及び五酸化二リンの混合物の存在下で反応させることで製造される、前記[3]に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法。
Figure 2020200423
(式中、mは0〜2のいずれかの整数を示す。)
Figure 2020200423
(式中、nは0〜3のいずれかの整数を示す。)
[5]ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を合成する工程と、
前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法を用いて、前記ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を精製する工程と
を含むことを特徴とするポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法。
本発明のPAEK樹脂の精製方法、及び該精製方法を含むPAEK樹脂の製造方法によれば、PAEK樹脂を高温で溶融し成形体を形成させても、その成形体が黒変せず、変色の少ない成形体を形成することができるPAEK樹脂を提供することができる。
本発明者は、PAEK樹脂を高温で溶融し成形体を形成させる際に生じる成形体の黒変について検討した。その結果、PAEK樹脂を高温で溶融する際、PAEK樹脂中の低分子量成分が熱劣化して変色するため、その成形体が黒変することがわかった。
そこで、PAEK樹脂中の低分子量成分の含有量を低減する方法として、PAEK樹脂の精製方法について検討をすすめた。
しかし、従来知られている上記特許文献5〜7に記載のPAEK樹脂の精製方法では、下記実施例でも示す通り、変色の少ない成形体を形成できるPAEK樹脂を提供することはできなかった。
そこで、本発明者らはさらに検討をすすめた結果、以下の構成のPAEK樹脂の精製方法を用いると、変色の少ない成形体を形成できるPAEK樹脂を提供することができることを見出した。
以下、本発明のPAEK樹脂の精製方法、及び該精製方法を含むPAEK樹脂の製造方法について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の一実施態様としての一例であり、これらの内容に特定されるものではない。
(ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK樹脂)の精製方法)
本発明のPAEK樹脂の精製方法は、PAEK樹脂を、水酸基を有し、かつ酸解離定数pKaが5〜15である有機溶剤(1)と、有機溶剤(1)よりもPAEK樹脂に対する溶解度が低い貧溶媒(2)とに混合して混合液を得る第1の工程を含む。
本発明のPAEK樹脂の精製方法は、第1の工程で得られた混合液からPAEK樹脂を分離する第2の工程を含む。
本発明に係るPAEK樹脂を製造する方法については、後で詳しく説明する。
<第1の工程>
第1の工程では、PAEK樹脂と、有機溶剤(1)と、有機溶剤(1)よりもPAEK樹脂に対する溶解度が低い貧溶媒(2)とを混合して、混合液を作製する。
有機溶剤(1)は、水酸基を有し、かつ酸解離定数pKaが5〜15を示す。
有機溶剤(1)は、PAEK樹脂のケトン基と親和性が高く、PAEK樹脂を溶解する力が強く、低分子量成分の除去効果も大きいと考えられる。有機溶剤(1)を用いることで、PAEK樹脂に含まれる低分子量成分の含有量を効果的に低減させることができ、その結果、PAEK樹脂を高温で溶融し成形体を形成させても、その成形体は黒変せず、変色しないと思われる。
有機溶剤(1)のpKaが15より大きいと、PAEK樹脂に対する溶解力が弱く、低分子量成分の除去効果が小さいことから、成形体が黒変しないという本発明の所望のPAEK樹脂を得ることは難しい。一方、有機溶剤(1)のpKaが5より小さいと、有機溶剤(1)とPAEK樹脂との相互作用が強すぎて、PAEK樹脂中に有機溶剤(1)が残存し、PAEK樹脂の十分な精製が行われず、本発明の所望のPAEK樹脂を得ることは難しい。また、有機溶剤(1)のpKaが5より小さいと、有機溶剤(1)とPAEK樹脂との相互作用が強すぎて、貧溶媒(2)とPAEK樹脂との分離工程(濾過工程)の所要時間が長くなるという問題も生じる。
有機溶剤(1)のpKaは、6〜13がより好ましく、7〜10がさらに好ましい。
有機溶剤(1)としては、例えば、下記の有機溶剤が挙げられる(尚、カッコ()内はpKaの値を示す)。
フェノール(9.95)、オルソクロロフェノール(8.56)、メタクロロフェノール(9.12)、パラクロロフェノール(9.4)、2,4−ジクロロフェノール(7.89)、2,6−ジクロロフェノール(7.02)、2,3,4,6−テトラクロロフェノール(5.22)、トリクロロフェノール(6.0)、2−フルオロエタノール(13.92)トリフルオロエタノール(12.5)、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール(9.3)、2−クロロエタノール(12.38)、トリクロロエタノール(12.24)等の有機溶剤が挙げられる。
貧溶媒(2)は、有機溶剤(1)よりもPAEK樹脂に対する溶解度が低い溶媒であり、有機溶剤(1)に対して相溶性を示す溶媒である。貧溶媒(2)としては、これらの要件を満たせば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、例えば、有機溶剤(1)と混和する下記(a)から(b)に記載の有機溶剤や、(c)水が好ましく挙げられる。
(a)水酸基を有し、かつ酸解離定数pKaが15を超える有機溶剤(尚、カッコ()内はpKaの値を示す);
例えば、メタノール(15.5)、エタノール(15.9)、イソプロピルアルコール(16.5)、ターシャルブタノール(17.0)等。
(b)水酸基を有さない有機溶剤;
例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン等。
(c)水
中でも、コストや入手容易性等の実用上の観点から、貧溶媒(2)が、水もしくはメタノールであるとより好ましい。
混合液中には、塩基性物質やアミン等の添加剤を含有させてもよい。
PAEK樹脂の製造の際に使用した反応溶媒であるメタンスルホン酸がPAEK樹脂中に残留している場合もあり、そのメタンスルホン酸を中和する目的で、これらの添加剤を含有させることができる。
ここで、塩基性物質としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を用いることができる。また、アミンとしては、例えば、アンモニア水、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等を用いることができる。
これらの添加剤の中でも、コストや入手容易性等の実用上の観点から水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。
有機溶剤(1)と貧溶媒(2)との合計質量に対する、有機溶剤(1)の質量の割合は、5〜95質量%であることが好ましい。
有機溶剤(1)の質量の割合が、95質量%より多いと、混合液に含まれるPAEK樹脂の溶解量が多く、混合液の粘度が高くなり、濾過が遅くなり、固液分離に長時間を要し、経済性が悪くなる。一方、有機溶剤(1)の質量の割合が、5質量%より少ないと、混合液に含まれるPAEK樹脂の溶解量が少なく、低分子量成分の残存量が高くなり、PAEK樹脂を高温で溶融し成形体を形成させた際に成形体に黒変が生じる場合がある。
有機溶剤(1)と貧溶媒(2)との合計質量に対する、有機溶剤(1)の質量の割合は、10〜90質量%であることがより好ましく、15〜85質量%であることがさらに好ましく、50〜70質量%であることが特に好ましい。
第1の工程において、混合液を得る際のPAEK樹脂と有機溶剤(1)との混合割合は、5:1〜1:50(質量比)が好ましく、2:1〜1:20(質量比)がより好ましく、1:1〜1:10(質量比)がさらに好ましく、1:5〜1:9.5(質量比)が特に好ましい。
第1の工程において、混合液を得る際、PAEK樹脂に対する有機溶剤(1)と貧溶媒(2)の混合順序は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、第1の工程における混合手順として、下記(A)から(C)に示す各態様を挙げることができる。
(A)有機溶剤(1)と貧溶媒(2)とを同時にPAEK樹脂に混合させる。
(B)有機溶剤(1)を先にPAEK樹脂と混合させ、その後、貧溶媒(2)を混合させる。
(C)貧溶媒(2)を先にPAEK樹脂と混合させ、その後、有機溶剤(1)を混合させる。
第1の工程において、有機溶剤(1)と貧溶媒(2)の混合に供されるPAEK樹脂は、乾燥された状態のPAEK樹脂であっても、メタノール等の溶媒を含むスラリー状態のPAEK樹脂であってもよい。
例えば、PAEK樹脂の製造において、溶媒中に析出したPAEK樹脂を濾過し、その濾過物を乾燥させることにより、乾燥された状態のPAEK樹脂を作製した場合、係る乾燥状態のPEAK樹脂を用いて、第1の工程を行うことができる。
係る乾燥状態のPEAK樹脂に対して、上記(A)又は(B)又は(C)の混合手順により、有機溶剤(1)と貧溶媒(2)とを混合させ混合液を得ることができる。
あるいは、PAEK樹脂の製造において、溶媒中に析出したPAEK樹脂に対して、濾過工程を行わず、又は濾過工程を行っても乾燥工程は行わずに得られた、溶媒を含むスラリー状態のPAEK樹脂を用いて、第1の工程を行うこともできる。
溶媒を含むスラリー状態のPAEK樹脂に対して、上記(A)又は(B)又は(C)の混合手順により、有機溶剤(1)と貧溶媒(2)とを混合させ混合液を得ることができる。
尚、溶媒を含むスラリー状態のPAEK樹脂に対して、第1の工程を行う場合、上記(B)の混合手順により、有機溶剤(1)と貧溶媒(2)とを混合させることがより好ましい。より好ましい態様として、下記(D)の態様を挙げることができる。
(D)溶媒を含むスラリー状態のPAEK樹脂に対して、有機溶剤(1)を混合させる。その得られた混合物を昇温することにより、PAEK樹脂に含まれている溶媒を揮発させる。その後、貧溶媒(2)を混合させ混合液を得る。
第1の工程において混合液を得るための混合条件(温度、時間等)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜設定することができる。例えば、20から200℃の温度条件下で混合することができる。混合時間は、適宜設定することができるが、例えば、0.5から10hrsとすることができる。より好ましい実施態様として、40から100℃の温度条件下で1から5hrs混合することができる。
また、第1の工程が、上記(D)の態様である場合には、混合条件(温度、時間等)としては、例えば、以下のように設定することができる。溶媒を含むスラリー状態のPAEK樹脂に対して、有機溶剤(1)を混合した後、80から200℃程度まで昇温する。設定温度に到達後、0.5から10hrs混合する。その後、40から80℃程度まで冷却し、貧溶媒(2)を混合する。さらに、その冷却温度で0.5から10hrs混合する。より好ましい実施態様として、溶媒を含むスラリー状態のPAEK樹脂に対して、有機溶剤(1)を混合した後、100から200℃程度まで昇温する。設定温度に到達後、1から5hrs混合する。その後、60から70℃程度まで冷却し、貧溶媒(2)を混合し、さらに、1から5hrs混合することができる。
<第2の工程>
第2の工程では、第1の工程で得られた混合液からPAEK樹脂を分離する。
混合液を自然、減圧、加圧、又は遠心といった各種の濾過を施すことにより、混合液からPAEK樹脂を分離することができる。
固液分離により、濾液としてPAEK樹脂の低分子量成分を含有する有機溶剤(1)が、濾物として低分子量成分を非含有あるいは含有量をかなり低く抑えたPAEK樹脂が、それぞれ得られる。濾物として得られたPAEK樹脂は、低分子量成分を含まないかあるいは含有量がかなり低く抑えられているため、該PAEK樹脂を高温で溶融し成形体を形成させても、その成形体は黒変せず、変色は生じない。
濾過後は、得られた濾物を乾燥することにより、本発明の所望とする精製されたPAEK樹脂を乾燥状態で得ることができる。
尚、濾物を乾燥させる前に、より好ましい態様として、洗浄工程を行うとよい。洗浄工程としては、メタノール等の溶媒で洗浄する、及び/又は水で洗浄することが挙げられる。これにより、PAEK樹脂から有機溶剤(1)を確実に取り除くことができ、より精製されたPAEK樹脂を得ることができる。
(ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK樹脂)の製造方法)
本発明のPAEK樹脂の製造方法は、PAEK樹脂を合成する工程と、本発明のPAEK樹脂の精製方法を用いて、PAEK樹脂を精製する工程とを含む。
本発明のPAEK樹脂の製造方法を用いると、PAEK樹脂中の低分子量成分の含有量を低減することができ、PAEK樹脂を高温で溶融し成形体を形成させても、その成形体が黒変せず、変色の少ない成形体を形成することができる。
<ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK樹脂)の構造>
本発明で製造対象とするPAEK樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、例えば、下記一般式(3)で表される構造を有するものであることが好ましい。
Figure 2020200423
ただしXは下記一般式(3−1)、Yは下記一般式(3−2)で表される。
Figure 2020200423
(式中、mは0〜2のいずれかの整数を示す。)
Figure 2020200423
(式中、nは0〜3のいずれかの整数を示す。)
以下に、本発明に係るPAEK樹脂の製造方法について詳しく説明する。
<ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK樹脂)の製造方法の具体的態様>
PAEK樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記(i)又は(ii)に示す反応工程を含む製造方法により、PAEK樹脂を製造することができる。
PAEK樹脂の製造方法の第1の実施態様としては、(i)下記一般式(4−1)及び下記一般式(4−2)で表されるモノマーを、有機スルホン酸及び五酸化二リンの混合物の存在下で反応させる反応工程を含むPAEK樹脂の製造方法が挙げられる。
Figure 2020200423
(式中、mは0〜2のいずれかの整数を示す。)
Figure 2020200423
(式中、nは0〜3のいずれかの整数を示す。)
また、PAEK樹脂の製造方法の第2の実施態様としては、通常用いられているPAEK樹脂の製造方法、例えば、芳香族求核置換反応によりPAEK樹脂を製造する方法や、ルイス酸触媒を用いてPAEK樹脂を製造する方法等が挙げられる。中でも(ii)ルイス酸触媒下で、上記一般式(4−1)で表されるモノマーを反応させてPAEK樹脂を製造する方法が挙げられる。
上記一般式(4−1)で表されるモノマーとしては、ジフェニルエーテル(m=0)、1、4−ジフェノキシベンゼン(m=1)、4,4’−オキシビス(フェノキシベンゼン)(m=2)が挙げられる。
上記一般式(4−2)で表されるモノマーとしては、テレフタル酸(n=0)、4、4’−オキシビス安息香酸(n=1)、1,4−ビス(4−カルボキシフェノキシ)ベンゼン(n=2)、4,4’−ビス(p−カルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル(n=3)が挙げられる。
PAEK樹脂の製造方法においては、本発明に係るPAEK樹脂の効果を維持する範囲で、上記一般式(4−1)で表されるエーテル基を有する芳香族モノマーや、上記一般式(4−2)で表されるカルボン酸モノマー以外にも、他のエーテル基を有する芳香族モノマーや他のカルボン酸モノマー等のその他のモノマーを併用することができる。その他のモノマーとしては、例えば、イソフタル酸、5−メチルイソフタル酸、2−メチルイソフタル酸、4−メチルイソフタル酸、5−エチルイソフタル酸、2−エチルイソフタル酸、4−エチルイソフタル酸、5−プロピルイソフタル酸、2−プロピルイソフタル酸、4−プロピルイソフタル酸、5−ブチルイソフタル酸、2−ブチルイソフタル酸、4−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸、2、2’−ビフェニルジカルボン酸、6,6’−ジメチルビフェニル−2,2’−ジカルボン酸等が挙げられる。
有機スルホン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸等が挙げられる。中でも、脂肪族スルホン酸が好ましい。より具体的には、有機スルホン酸として、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸(トシル酸)等が挙げられる。
有機スルホン酸の添加量と、五酸化二リンの添加量との割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、質量比で、100:25〜100:1の範囲であることが好ましく、100:20〜100:2の範囲であることがより好ましく、100:15〜100:5の範囲であることがさらに好ましい。
上記第1の実施態様の製造方法について、以下詳しく説明する。
上記第1の実施態様の製造方法において、上記一般式(4−1)で表されるモノマーの添加量と、上記一般式(4−2)で表されるモノマーの添加量との割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、以下の割合であることが好ましい。尚、反応成分中、エーテル基を有する芳香族モノマーが、上記一般式(4−1)のモノマー以外の他のエーテル基を有する芳香族モノマーも含む場合には、下記割合は、上記一般式(4−1)のモノマーを含む芳香族モノマー全体の合計量を基準としている。また、反応成分中、カルボン酸モノマーが、上記一般式(4−2)のモノマー以外の他のカルボン酸モノマーも含む場合には、下記割合は、上記一般式(4−2)のモノマーを含むカルボン酸モノマー全体の合計量を基準としている。つまり、エーテル基を有する芳香族モノマー(上記一般式(4−1)のモノマーを含む)/カルボン酸モノマー(上記一般式(4−2)のモノマーを含む)は、モル比で、0.8〜1.2が好ましく、0.9〜1.1がより好ましく、1.0〜1.1がさらに好ましい。
芳香族モノマー/カルボン酸モノマーが0.8以上であれば、カルボン酸モノマーの割合が高くなることにより生じる問題、つまりポリマー末端構造にカルボキシ基が存在し、そのカルボキシ基により成形加工時に脱炭酸反応が起こりガスが発生し、成形物にボイドが生じるという問題を有効に防止することができる。一方、芳香族モノマー/カルボン酸モノマーが1.2以下であれば、実用上十分な分子量のPAEK樹脂を得ることができる。
上記一般式(4−1)で表されるモノマー及び上記一般式(4−2)で表されるモノマーの合計の添加量と、有機スルホン酸及び五酸化二リンの合計の添加量との割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、質量比で、1:100〜40:100の範囲であることが好ましく、2:100〜30:100の範囲であることがより好ましく、5:100〜20:100の範囲であることがさらに好ましい。
上記第2の実施態様の製造方法について、以下詳しく説明する。
上述したように、PAEK樹脂の製造方法の第2の実施態様としては、(ii)ルイス酸触媒下で、上記一般式(4−1)で表されるモノマーを反応させてPAEK樹脂を製造する方法が挙げられる。
上記(ii)の方法のさらに具体的な態様として、(ii−1)上記一般式(4−1)で表されるモノマーと、イソフタロイルクロリド及びテレフタロイルクロリドとを、ルイス酸触媒の存在下で反応させるPAEK樹脂の製造方法を挙げることができる。
ここで、ルイス酸触媒としては、例えば、無水塩化アルミニウム等が挙げられる。
また、例えば、溶剤として1、2−ジクロロベンゼンを用いて、1、2−ジクロロベンゼンと、イソフタロイルクロリドと、テレフタロイルクロリドと、上記一般式(4−1)で表されるモノマーとを、ルイス酸触媒の存在下で反応させることによりPAEK樹脂を得てもよい。
上記(ii−1)の実施態様において、上記一般式(4−1)で表されるモノマーと、イソフタロイルクロリドと、テレフタロイルクロリドとの混合割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、モル比で、100:10:90〜100:50:50であることが好ましい。
1、2−ジクロロベンゼンの溶剤を用いる場合、1、2−ジクロロベンゼンの添加量と、上記一般式(4−1)で表されるモノマー、イソフタロイルクロリド、及びテレフタロイルクロリドの合計の添加量との割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、質量比で、100:1〜100:20の範囲であることが好ましい。
本発明のPAEK樹脂の精製方法を含む、本発明のPAEK樹脂の製造方法により製造されたPAEK樹脂は、他の配合物と合わせて樹脂組成物を作製することができる。また、本発明のPAEK樹脂の精製方法を含む、本発明のPAEK樹脂の製造方法により製造されたPAEK樹脂は、後述する各種成形品への適用が可能である。
<ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK樹脂)を含有する樹脂組成物>
本発明に係るPAEK樹脂は、他の配合物と合わせて樹脂組成物を作製することができる。
他の配合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
フィラーの形状としては、特に限定はなく、例えば、粒子状、板状、繊維状等のフィラーが挙げられる。
PAEK樹脂を含有する樹脂組成物は、フィラーとしては繊維状フィラーを含有することがより好ましい。繊維状フィラーの中でも、カーボン繊維とガラス繊維は、産業上利用範囲が広いため、好ましい。
<ポリアリーレンエーテルケトン樹脂(PAEK樹脂)を含む成形体>
本発明に係るPAEK樹脂は、耐熱性に優れ高いガラス転移温度(Tg)を有するとともに、高い結晶性を保持したまま結晶融点(Tm)を制御することが可能で、良好な成形加工性を有する。そのため、ニートレジンとしての使用や、ガラス繊維、炭素繊維、フッ素樹脂等のコンパウンドとしての使用が可能である。そして、本発明に係るPAEK樹脂を成形することで、ロッド、ボード、フィルム、フィラメント等の一次加工品や、各種射出加工品、各種切削加工品、ギア、軸受、コンポジット、インプラント、3D成形品等の二次加工品を製造することができ、これらの本発明に係るPAEK樹脂を成形してなる成形品は、自動車、航空機、電気電子、医療用部材等の利用が可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1%、5%重量減少温度(Td1、Td5(℃)))
リガク製TG−DTA装置 TG−8120を用いて、20mL/minの窒素流下、20℃/minの昇温速度で測定を行い、1%、あるいは5%の重量減少温度を測定した。
(成形体の外観)
得られたPAEK樹脂を400℃で溶融して、プレスしたのち、急冷することによって非晶性を示すダンベルを作製し、更に240℃で3時間アニーリングさせて結晶化させ、成形体を作製した。その後、成形体の外観を観測した。
(参考例)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、1、4−ジフェノキシベンゼン50.4gと4,4’−オキシビス安息香酸49.6gを添加し、60℃に昇温して40時間反応させた。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌したメタノール中に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、濾過した。その後、ポリマーを真空下の120℃で20時間乾燥させた。
(実施例1)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とパラクロロフェノール50質量部とメタノール50質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、70℃に昇温して5時間混合した(第1の工程)。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した(第2の工程)。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
得られた精製後のポリマーについて、1%、及び5%の重量減少温度(℃)を測定した。
1%、及び5%の重量減少温度は、溶融安定性の指標である。PAEK樹脂の成形体を形成するうえで、実用上、例えば、1%の重量減少温度は500℃以上、5%の重量減少温度は540℃以上であることが望ましい。
また、得られた精製後のポリマーに対して、400℃で溶融して、成形体を作製したときの成形体の色を下記基準で評価した。
さらに、第2の工程における混合液からポリマーを分離する際の濾過時間について、下記基準で評価した。
それぞれの測定及び評価結果を表1に示す。
[成形体の色の評価基準]
◎:かなり薄い橙色
○:薄い橙色
△:濃い橙色
×:黒色
[濾過時間の評価基準]
◎:3時間未満
○:3時間以上5時間未満
△:5時間以上10時間未満
×:10時間以上
(実施例2)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とパラクロロフェノール70質量部とメタノール30質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、70℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
得られた精製後のポリマーについて、実施例1と同様にして、1%、及び5%の重量減少温度(℃)を測定し、及び成形体の色と濾過時間について、評価した。
それぞれの測定及び評価結果を表1に示す。尚、以降の実施例3〜16、及び比較例1〜5についても、実施例1と同様にして、1%、及び5%の重量減少温度(℃)を測定し、及び成形体の色と濾過時間について、評価した。実施例3〜5の結果を下記表1に、実施例6〜10の結果を下記表2に、実施例11〜16の結果を下記表3に、比較例1〜5の結果を下記表4にそれぞれ示す。
(実施例3)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とパラクロロフェノール10質量部とメタノール90質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、70℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(実施例4)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とパラクロロフェノール90質量部とメタノール10質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、70℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(実施例5)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とパラクロロフェノール5質量部とメタノール95質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、70℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(実施例6)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とパラクロロフェノール95質量部とメタノール5質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、70℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(実施例7)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とパラクロロフェノール2質量部とメタノール98質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、70℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(実施例8)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とパラクロロフェノール98質量部とメタノール2質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、70℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(実施例9)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とパラクロロフェノール70質量部とメタノール30質量部と48%水酸化ナトリウム水溶液0.2質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、70℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(実施例10)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、メタンスルホン酸818gと五酸化二リン82gを仕込み、窒素雰囲気下の室温で20時間撹拌した。その後、1、4−ジフェノキシベンゼン50.4gと4,4’−オキシビス安息香酸49.6gを添加し、60℃に昇温して40時間反応させた。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌したメタノール中に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、濾過した。更に得られたポリマーをメタノールで2回洗浄した。得られたポリマーは80質量%のメタノールを含有していた。
窒素導入管、温度計、トラップ、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、得られたポリマー50質量部(うち40質量部はメタノール)とパラクロロフェノール70質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、180℃に昇温した。昇温過程においてメタノールが揮発し、トラップ内にメタノール40質量部を捕捉した。180℃に到達後、5時間混合した。70℃まで冷却後、メタノール30質量部を添加して、更に5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。更に得られたポリマーをメタノールで2回洗浄し、続いてイオン交換水で2回洗浄した。その後、ポリマーを真空下の180℃で10時間乾燥させた。
(実施例11)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、1、2−ジクロロベンゼン864gとイソフタロイルクロリド5.4gとテレフタロイルクロリド21.6gとジフェニルエーテル23.0gを仕込み、窒素雰囲気下で−5℃まで冷却した。その後、無水塩化アルミニウム86gを添加して均一になったら、2時間かけて30℃に昇温し、同温度で50時間反応させた。室温まで冷却後、反応溶液を強撹拌したメタノール中に注ぎ込み、ポリマーを析出させ、濾過した。更に得られたポリマーをメタノールで2回洗浄した。得られたポリマーは80質量%のメタノールを含有していた。
窒素導入管、温度計、トラップ、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、得られたポリマー50質量部(うち40質量部はメタノール)とパラクロロフェノール70質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、180℃に昇温した。昇温過程においてメタノールが揮発し、トラップ内にメタノール40質量部を捕捉した。180℃に到達後、5時間混合した。70℃まで冷却後、メタノール30質量部を添加して、更に5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。更に得られたポリマーをメタノールで2回洗浄し、続いてイオン交換水で2回洗浄した。その後、ポリマーを真空下の180℃で10時間乾燥させた。
(実施例12)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とヘキサフルオロイソプロピルアルコール50質量部と水50質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、60℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(実施例13)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とトリクロロフェノール50質量部とエタノール50質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、80℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(実施例14)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とトリフルオロエタノール50質量部とメタノール50質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、70℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(実施例15)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部と2,3,4,6−テトラクロロフェノール50質量部とイソプロピルアルコール50質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、80℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(実施例16)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部と2−フルオロエタノール50質量部とメタノール50質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、70℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(比較例1)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とイソプロピルアルコール100質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、80℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(比較例2)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部と乳酸100質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、80℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。10時間経っても濾過が終了しなかったので、その後の試験は中止した。
(比較例3)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とスルホラン100質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、270℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(比較例4)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例で得られたポリマー10質量部とジメチルスルホキシド100質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、180℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
(比較例5)
窒素導入管、温度計、還流冷却器、及び撹拌装置を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、参考例1で得られたポリマー10質量部とN−メチルピロリドン100質量部を仕込み、窒素雰囲気下で、200℃に昇温して5時間混合した。室温まで冷却後、混合物を濾紙No.5Aを敷いた桐山ロートSU−95に移し替えて、40mbarの減圧下で吸引濾過した。その後、ポリマーを真空下、120℃で20時間乾燥させ、更に180℃で10時間乾燥させた。
Figure 2020200423
Figure 2020200423
Figure 2020200423
Figure 2020200423
実施例で示すように、本発明のPAEK樹脂の精製方法を用いると、良好な特性を示すPAEK樹脂を得ることができる。本発明のPAEK樹脂の精製方法を用いることにより、高温で溶融し成形体を形成させても、黒変が生じず、成形体の変色が防止できるPAEK樹脂を提供できることが確認できた。

Claims (5)

  1. ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を、水酸基を有し、かつ酸解離定数pKaが5〜15である有機溶剤(1)と、前記有機溶剤(1)よりも前記ポリアリーレンエーテルケトン樹脂に対する溶解度が低い貧溶媒(2)とに混合して混合液を得る第1の工程と、
    前記第1の工程で得られた前記混合液からポリアリーレンエーテルケトン樹脂を分離する第2の工程と
    を含むことを特徴とするポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法。
  2. 前記有機溶剤(1)と前記貧溶媒(2)との合計質量に対する、前記有機溶剤(1)の質量の割合が、5〜95%である、請求項1に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法。
  3. 前記ポリアリーレンエーテルケトン樹脂が、下記一般式(3)で表される構造を有する、請求項1に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法。
    Figure 2020200423
    ただしXは下記一般式(3−1)、Yは下記一般式(3−2)で表される。
    Figure 2020200423
    (式中、mは0〜2のいずれかの整数を示す。)
    Figure 2020200423
    (式中、nは0〜3のいずれかの整数を示す。)
  4. 前記ポリアリーレンエーテルケトン樹脂が、下記一般式(4―1)及び(4−2)で表されるモノマーの群から選ばれるモノマーを、有機スルホン酸及び五酸化二リンの混合物の存在下で反応させることで製造される、請求項3に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法。
    Figure 2020200423
    (式中、mは0〜2のいずれかの整数を示す。)
    Figure 2020200423
    (式中、nは0〜3のいずれかの整数を示す。)
  5. ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を合成する工程と、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアリーレンエーテルケトン樹脂の精製方法を用いて、前記ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を精製する工程と
    を含むことを特徴とするポリアリーレンエーテルケトン樹脂の製造方法。
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