JP2022013902A - オレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒、及び、オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒、及び、オレフィン重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】充分に分子量分布が広く、高分子量側に分布が広がっており、且つ、分子量分布の高分子量側領域に充分な量の分岐鎖を含むオレフィン系重合体を製造することができるオレフィン重合用触媒成分を提供する。【解決手段】成分(I)として特定のメタロセン架橋構造を持ちコモノマー共重合能が低い遷移金属化合物(メタロセン錯体)と、成分(II)としてコモノマー共重合能が高い特定の遷移金属化合物を組み合わせたオレフィン重合用触媒成分である。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィンの重合体及び共重合体の製造に有用なオレフィン重合用触媒成分、当該触媒成分を含むオレフィン重合用触媒、及び、当該オレフィン重合用触媒を用いたエチレン単独重合体またはエチレン/αオレフィン共重合体の製造方法に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系重合体は、プラスチック成形材料として広く用いられている。成形材料としてのオレフィン系重合体は、溶融状態での流動性、溶融張力、伸長粘度などの成形性、及び、成形後の硬度、剛性、耐衝撃強度、耐熱性、耐久性、透明性など成形体の用途に適した物性が求められる。
このような中で、オレフィン重合用メタロセン触媒で製造されるポリオレフィンは、分子量分布や共重合組成分布といったポリマー分子構造の均一性が高く、衝撃強度や長期寿命等、様々な機械的物性に優れることから、近年、その使用量が増加してきている。しかし、メタロセン系ポリオレフィンは、機械的諸物性には優れているものの、狭い分子量分布故に、溶融張力や溶融流動性といったポリオレフィンの成形加工上重要な特性において劣り、成形加工面においては十分な性能を満たすものではなかった。
オレフィン系重合体の成形性や成形後の物性を改善することを目的として、2種類のメタロセン触媒を組み合わせた触媒系を用いることが知られている。
例えば、特許文献1には、広い分子量分布と高い分子量を有するポリオレフィンの製造方法として、特定のメタロセン化合物群から選ばれる2種類のメタロセン混合物を用いることが開示されている。
また、エチレンとコモノマーであるαオレフィンを、コモノマー共重合能が異なる2種類のメタロセン触媒を組み合わせた触媒系を用いて共重合することにより、分子量分布、及び、αオレフィン由来の分岐鎖の量(すなわち、コモノマーの導入量)を調節したエチレン/αオレフィン共重合体を得る試みが行われている。
例えば、特許文献2~4は、エチレンとコモノマーを、コモノマー共重合能が低いメタロセンと、コモノマー共重合能が高いメタロセンを、組み合わせた触媒系を用いて共重合することにより、ただ1種類のメタロセン触媒を用いて製造されたエチレン/αオレフィン共重合体と比べて、多峰性(マルチモーダル)の広い分子量分布を有し、かつ、分子量分布の高分子量側領域にコモノマー由来の分岐鎖を多く含むエチレン/αオレフィン共重合体が得られたことを開示している。
特許文献2には、コモノマー少量取り込み触媒化合物とコモノマー多量取り込み触媒化合物を組み合わせて用い、エチレンとコモノマーを共重合することが記載されているが、前者のコモノマー少量取り込み触媒化合物は相対的にコモノマー共重合能が低いメタロセンであり、後者のコモノマー多量取り込み触媒化合物は相対的にコモノマー共重合能が高いメタロセンである。
特許文献3には、特定の第1メタロセン化合物と特定の第2メタロセン化合物を組み合わせて用い、エチレンとコモノマーを共重合することが記載されているが、特許文献3の段落0006の記載によれば、前者の第1メタロセン化合物は相対的にコモノマー共重合能が高いメタロセンであり、後者の第2メタロセン化合物は相対的にコモノマー共重合能が低いメタロセンである。
特許文献4には、周期表第4族メタロセン化合物群から選ばれる2種類の異なる成分(、A)及び成分(B)を組み合わせて用い、エチレンとコモノマーを共重合することが記載されているが、特許文献4の段落0020の記載によれば、前者の成分(A)は相対的にコモノマー共重合能が低いメタロセンであり、後者の成分(B)は相対的にコモノマー共重合能が高いメタロセンである。
また、非特許文献1には、架橋メタロセンの一つである、ジクロロ{o-フェニレンジメチレンビス(η5-1-インデニル)ジルコニウム}を用いてエチレン及びプロピレンそれぞれの単独重合体を合成した実験が記載されている。
特開平7-179512号 特開2007-284691号 特表2009-504901号 特開2010-202791号
Macromolecules, 1995, vol.28, p.4801
複数の遷移金属化合物を用いて分子量分布やコモノマー組成分布を制御する技術においては、成形性、及び、剛性と強度や耐久性とのバランスに優れたオレフィン系重合体を製造するために、分子量分布を広くし、かつ、分子量分布の高分子量側にコモノマーを選択的に導入して高分子量側のコモノマー導入量を大きくすることができるオレフィン重合用触媒が求められる。
しかし後述するように、特許文献2~4に開示されているメタロセン触媒は、上記のような技術的要求を必ずしも充分に満足させることができない。
また、上記非特許文献1には、エチレンとαオレフィンを共重合する場合における、ジクロロ{o-フェニレンジメチレンビス(η5-1-インデニル)ジルコニウム}の共重合能について何も記載されていない。
上記のごとき従来技術に対し、本発明は、充分に分子量分布が広く、高分子量側に分布が広がっており、且つ、分子量分布の高分子量側領域に充分な量の分岐鎖を含むオレフィン系重合体を製造することができるオレフィン重合用触媒成分を提供することを目的とする。
また本発明は、上記のごときオレフィン重合用触媒成分を用いて、成形性、及び、剛性と強度や耐久性とのバランスに優れたエチレン系重合体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のメタロセン架橋構造を持ちコモノマー共重合能が低い遷移金属化合物(メタロセン錯体)と、コモノマー共重合能が高い特定の遷移金属化合物を組み合わせた触媒成分を含む触媒を用いることにより、充分に分子量分布が広く、高分子量側に分布が広がっており、且つ、分子量分布の高分子量側領域に充分な量の分岐鎖を含むオレフィン系重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のオレフィン重合用触媒成分は、以下の成分(I)及び成分(II)を含むことを特徴とする触媒成分である。
[成分(I)]
下記式(1)で表される遷移金属化合物
Figure 2022013902000001
[式中、
は、周期表4族の遷移金属を示す。
とLは、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。
及びXは、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
とJは、炭素原子を示す。
とAは、それぞれJとL、JとLとを結合する架橋基を示し、以下の群から選ばれる。
-CR -、-SiR -、-NR-、-PR-、-O-、-S-、[ここでRは水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であり、2つのRが結合して環状構造を形成してもよい]、
とRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基を示す。RとRは、それらが結合しあってJおよびJと一緒に環状構造を形成してもよい。]
[成分(II)]
下記式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物群から選ばれる遷移金属化合物
3’3’ 式(2)
[式中、
は、周期表4族の遷移金属を示す。
とL3’は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。該シクロペンタジエニル構造を含む配位子は、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基で置換されていてもよい。LまたはL3’上に、隣り合う置換基が存在する場合、それらが結合して環構造を形成してもよい。
とX3’は、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
は、LとL3’を架橋する架橋基を示し、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合にはLとL3’の間に架橋構造を有する。
qは0または1であり、Aの数を示す。]
式(3):
4’
[式中、
は、周期表4族の遷移金属を示す。
は、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。該シクロペンタジエニル構造を含む配位子は、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基で置換されていてもよい。
とX4’は、それぞれ独立して、金属Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
は、Lに結合しているヘテロ原子を有する有機基を示し、ヘテロ原子を介してMに結合している。]
式(4):

[式中、
は、周期表3~11族の遷移金属を示す。
m個あるLは、それぞれ独立して、2つ以上の酸素、窒素、リン、硫黄原子から選ばれる原子を有する置換基で置換されている炭化水素基を示しており、少なくとも2つの該酸素、窒素、リン、硫黄原子から選ばれる原子がMに結合している。
p個あるXは、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または中性のルイス塩基を示す。
mはLの数を示しており、1または2である。
pはXの数を示しており、式(4)の遷移金属化合物が電気的中性になるように選ばれる数である。]
また、本発明のオレフィン重合用触媒は、以下の成分(I)、成分(II)、成分(III)及び成分(IV)を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒、及び、以下の成分(I)、成分(II)、成分(III)及び成分(IV)を混合することにより製造されたオレフィン重合用触媒である。
[成分(I)]
上記式(1)で表される遷移金属化合物
[成分(II)]
上記式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物群から選ばれる遷移金属化合物
[成分(III)]
成分(I)および成分(II)の遷移金属化合物と反応してカチオン性化合物を生成させる化合物
[成分(IV)]
微粒子担体
さらに、本発明のエチレン系重合体の製造方法は、上記本発明のオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンとエチレン以外のαオレフィンよりなる群から選ばれるαオレフィンの共重合を行うことを特徴とする。
本発明によれば、充分に分子量分布が広く、高分子量側に分布が広がっており、且つ、分子量分布の高分子量側領域に充分な量の分岐鎖を含むオレフィン系重合体を製造することができるオレフィン重合用触媒成分を提供することができる。
また、この触媒成分を含むオレフィン重合用触媒、及び、この触媒を用いたオレフィン重合体の製造方法、特にエチレン系重合体の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1で得られたポリエチレンのGPC-IRの結果である。 図2は、実施例4で得られたポリエチレンのGPC-IRの結果である。 図3は、実施例7で得られたポリエチレンのGPC-IRの結果である。
以下、本発明について説明する。
なお、本発明において「重合」とは、1種類のモノマーの単独重合と複数種のモノマーの共重合を総称するものであり、特に両者を区別する必要がない場合には、総称して単に「重合」と記載する。
また、本発明において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明において「Ph」はフェニル、「Me」はメチルまたはメチル基、「Et」はエチル又はエチル基、「Pr」はプロピルまたはプロピル基、「Hex」はヘキシルまたはヘキシル基を表す。さらに、アルキル基名称に付随する「i」はイソ、「n]はノルマル、「t」はターシャリー、「c」はシクロの異性体構造を表す。なお,アルキル基に異性体構造が付随していない場合は,ノルマル構造であることを示す。
I.オレフィン重合用触媒成分
本発明のオレフィン重合用触媒成分は、後述する式(1)で表される遷移金属化合物である成分(I)、及び、後述する式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物群から選ばれる遷移金属化合物である成分(II)を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒成分である。成分(I)と成分(II)の比較において、成分(I)は共重合能が相対的に低い遷移金属化合物であり、成分(II)は共重合能が相対的に高い遷移金属化合物であり、いずれの遷移金属化合物も、オレフィン重合の触媒活性を有している。
本発明のオレフィン重合用触媒成分は、充分に分子量分布が広く、高分子量側に分布が広がっており、且つ、分子量分布の高分子量側領域に充分な量の分岐鎖を含むオレフィン系重合体を製造することができるオレフィン重合用触媒の触媒活性成分として有用である。本発明のオレフィン重合用触媒成分を助触媒や担体と組み合わせて、オレフィン重合用触媒とすることができる。
複数の遷移金属化合物を用いて分子量分布やコモノマー組成分布を制御する技術においては、成形性、及び、剛性と強度や耐久性とのバランスに優れたオレフィン系重合体を製造するために、分子量分布を広くし、かつ、分子量分布の高分子量側にコモノマーを選択的に導入して高分子量側のコモノマー導入量を大きくすることができるオレフィン重合用触媒が求められる。
特許文献2の表1及び段落0035~0036には、エチレンとヘキセンコモノマーを、コモノマー少量取り込み触媒化合物(すなわちコモノマー共重合能が低いメタロセン)、又は、コモノマー多量取り込み触媒化合物(すなわちコモノマー共重合能が高いメタロセン)を単独で用い、ヘキセン/エチレン比(C6/C2)を変えて他の条件を同じにして、気相プロセスで共重合することによって得られたいくつかのエチレン-ヘキセン共重合体について、ヘキセン/エチレン比と密度、メルトインデックス(MI)及びMFRの関係が示されている。
一般に、コモノマー共重合能が低いメタロセンを用いてオレフィンを共重合する場合には、仕込みモノマーのコモノマー/モノマー比が高くないとコモノマーを充分に導入することができず、一方、コモノマー共重合能が高いメタロセンを用いてオレフィンを共重合する場合には、仕込みモノマーのコモノマー/モノマー比が低くてもコモノマーを充分に導入することができる。
もし、コモノマー共重合能が低いメタロセン、及び、コモノマー共重合能が高いメタロセンをそれぞれ単独で用い、仕込みモノマーのコモノマー/モノマー比以外の重合条件を同じにして共重合を行って、同じ密度の共重合体を得ようとする場合には、メタロセンのコモノマー共重合能が低いほど、仕込みモノマーのコモノマー/モノマー比を高くする必要がある。
すなわち、2つの異なるメタロセンを用いて得られた共重合体を、同じ密度を有するもの同士で、すなわち密度見合いで対比する場合には、重合時の仕込みモノマーのヘキセン/エチレン比が大きかった共重合体ほど、用いたメタロセンのコモノマー共重合能が低く、一方、重合時の仕込みモノマーのヘキセン/エチレン比が小さかった共重合体ほど、用いたメタロセンのコモノマー共重合能が高い。
特許文献2の段落0036には、触媒のコモノマー少量組込み触媒が密度0.920 g/ccのポリマーを作るのに必要とするコモノマー/モノマーのモル比は、多量組込み触媒が密度0.920g/ccのポリマーを作るのに必要とするコモノマー/モノマーのモル比の値の少なくとも2倍であることが好ましく、3倍であればより好ましく、4倍であればさらに好ましく、5倍であればよりいっそう好ましい旨が記載されている。
特許文献2の表1に示されたデータによると、コモノマー少量取り込み触媒を用いて得られた共重合体の仕込みモノマーのヘキセン/エチレン比とコモノマー多量取り込み触媒を用いて得られた共重合体の仕込みモノマーのヘキセン/エチレン比とを、密度見合いで対比する場合には、コモノマー少量取り込み触媒の使用例のなかで最もヘキセン/エチレン比が大きいものと、コモノマー多量取り込み触媒の使用例のなかで最もヘキセン/エチレン比が小さいものとの比は10倍程度である(例えば特許文献2の表1の8行目に記載されたMeso-O(Me2SiIND)2錯体におけるC6/C2のモル比が0.056で密度0.934を示す例と、同表の35行目に記載されたMeSi(H4IND)2錯体におけるC6/C2のモル比が0.005で密度0.929を示す例を比較した場合である。)。しかし、共重合能の比が10倍程度となるようなコモノマー少量取り込み触媒とコモノマー多量取り込み触媒を実際に組み合わせて共重合を行った実験は記載されていない。
また、特許文献2の実施例5Cには、コモノマー少量取り込み触媒とコモノマー多量取り込み触媒を組み合わせて用い得られたエチレン-ヘキセン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は約3.5~4.5であった旨が記載されており、成形性の観点から分子量分布が十分に広いとは言えない。
特許文献3には、第1メタロセン化合物(すなわちコモノマー共重合能が高いメタロセン)を単独で用いた場合の共重合能と、第2メタロセン化合物(すなわちコモノマー共重合能が低いメタロセン)を単独で用いた場合の共重合能の差、すなわち反応性比が明確には記載されていない。
しかし、特許文献3の図2に示されたGPC-IRのデータを参照すると、第2メタロセン化合物を単独で用いて得られる低分子側ピークにおけるポリマー中の短鎖分岐鎖数と、第1メタロセン化合物を単独で用いて得られる高分子側ピークにおけるポリマー中の短鎖分岐鎖数の比は、3倍程度であると推測される。
特許文献4の表5には、成分(A-1)~(A-5)(すなわち相対的にコモノマー共重合能が低いメタロセン)を単独で用いた場合の短鎖分岐数(1/1000C、炭素数1000個当たりの短鎖分岐の数)と、成分(B-1)~(B-2)(すなわち相対的にコモノマー共重合能が高いメタロセン)を単独で用いた場合の短鎖分岐数(1/1000C)が示されており、成分(A-1)~(A-5)を単独で用いて得られる低分子量成分の最も小さい短鎖分岐数と、成分(B-1)~(B-2)を単独で用いて得られる高分子量成分の最も大きい短鎖分岐数の差、すなわち比率は、5.5倍程度である。
上記のような従来技術に対し、本発明においては、共重合能が低い遷移金属化合物として上記成分(I)、及び、共重合能が高い遷移金属化合物として上記成分(II)を組み合わせた触媒成分を含むオレフィン重合用触媒を用い、オレフィンメインモノマーと、オレフィンコモノマーを共重合させる。この重合反応により、一つの反応系の中で、成分(I)が媒介する触媒反応によって分子量が小さく且つコモノマー含有量が少ない共重合体が合成され、同時に、成分(II)が媒介する触媒反応によって分子量が大きく且つコモノマー含有量が多い共重合体が合成される。その結果、成分(I)が媒介する触媒反応によって生じたコモノマー含有量が少ない共重合体が低分子量側に多く含まれ、一方、成分(II)が媒介する触媒反応によって生じたコモノマー含有量が多い共重合体が高分子量側に多く含まれたオレフィン系重合体が得られる。
したがって反応系全体としてみると、充分に分子量分布が広く、高分子量側に分布が広がっており、且つ、分子量分布の高分子量側領域に充分な量の分岐鎖を含むオレフィン系重合体を製造することができる。
特に、上記成分(I)と上記成分(II)を組み合わせた触媒成分は、低分子量側のコモノマー含量と高分子量側のコモノマー含量の差を、従来の触媒よりも大きくすることができるという特長がある。
成分(I)がコモノマー含量の低いポリマーを生成させる理由としては、成分(I)の2つの配位子(L、L)は架橋基(A、A)と結合して特定の化学構造(-L-A-J=J-A-L-)をとるため、この2つの配位子(L、L)が中心金属(M)に配位したときに、配位子上の置換基が、モノマーが配位してくる方向にせり出している構造を取るためであると考えられる。ただし、配位子がインデニルの場合には、5員環を基準に考えると5員環に縮環した炭素数4の縮環部分が、モノマーが配位してくる方向にせり出している構造を取ると考えられる。特定の化学構造(-L-A-J=J-A-L-)において、J=JがSP2混成軌道を取り、架橋基(A、A)がsp3の混成軌道でつながると、ちょうどよい角度と距離が成立し、上記のようなせり出しが可能になる。
このようにモノマーが配位してくる方向に障害があると、より大きいコモノマーが配位困難になるため、エチレンなどのモノマーは中心金属に配位してポリマーへ変化するが、1-ヘキセンのようなコモノマーはポリマーに取り込まれにくくなる。
なお、上記のような構造をさらに取りやすくするには、配位子(L、L)がインデニルの場合に、そのインデニルの1または3位の位置で架橋基(A、A)と結合していることが好ましい。
上記のように、成分(I)である特定の架橋部分による結合距離と角度を持たせた共重合能の低いメタロセンを、成分(II)である共重合能の高い遷移金属化合物と組み合わせることにより、共重合体中の低分子量側のコモノマー含量と高分子量側のコモノマー含量の差を大きくすることができる。成分(II)としては、共重合能を有する分子量が高い遷移金属化合物を用いるが、好ましくは架橋のビスインデン型、架橋のシクロペンタジエン-フルオレン型、架橋のビスフルオレン型が用いられる。この場合の架橋基は、ケイ素や炭素原子であることが好ましい。架橋基により、2つの配位子の5員環部分がそれぞれ形成する2つの面の二面体角が広がり、コモノマーが配位する障害がなくなってコモノマーとの反応性が大きくなると考えている。
配位子には種々の配位子の組み合わせが考えられるが、シクロペンタジエニル構造を含む配位子のなかでも分子量も高いものとして、ビスインデン、シクロペンタジエン-フルオレン、ビスフルオレン型が好ましい。
低分子量側のコモノマー含量と高分子量側のコモノマー含量の差は、以下のいずれかの方法により評価することができる。
方法1:
オレフィン系重合体の分子量分布曲線と、当該オレフィン系重合体に含まれる重合体の分子量とコモノマーに由来する分岐の数の相関曲線を、一つのグラフ上で分子量を共通軸にとり重ね合わせ、分子量分布曲線の形状から低分子量側領域と高分子量側領域を分け、低分子量側領域に存在する分岐の数と高分子量側領域に存在する分岐の数を比較する。この方法では、分子量分布曲線の低分子量側ピークにおける分岐の数と、分子量分布曲線の高分子量側ピークにおける分岐の数を比較してもよい。
方法2:
オレフィン系重合体の分子量分布曲線と、当該オレフィン系重合体に含まれる重合体の分子量とコモノマーに由来する分岐の数の相関曲線から得られるコモノマーに由来する分岐の数の累積曲線を、一つのグラフ上で分子量を共通軸にとり重ね合わせ、分子量分布曲線の形状から低分子量側領域と高分子量側領域を分け、低分子量側から高分子量側に向かう分岐の累積数の傾き(急進性)を観察する。
方法3:
成分(I)を含むが成分(II)を含まない重合触媒、及び、成分(II)を含むが成分(I)を含まない重合触媒を、それぞれ単独で用い、同じ重合条件でオレフィンを共重合させることにより、共重合能が低い遷移金属化合物である成分(I)から低分子量の共重合体を、一方、共重合能が高い遷移金属化合物である成分(I)から高分子量の共重合体を製造し、低分子量の共重合体に含まれる分岐の数と、高分子量の共重合体に含まれる分岐の数を比較する。
本発明に属する一つの例としての説明にすぎないが、本発明によれば、オレフィン系重合体を、分子量分布(Mw/Mn)を6以上、60以下の範囲とし、同時に、上記の方法3によって特定される低分子量側のコモノマー含有量に対する高分子量側のコモノマー含有量の比(高分子側コモノマー含有量/低分子量側コモノマー含有量)を、4倍以上、さらに8倍以上、さらに10倍以上とすることができる。
以下、成分(I)及び成分(II)について説明する。
なお、本明細書において、例えば「酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基」や「1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基」のように「酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子などの異種原子Xを含む炭素数a~bの炭化水素基」という記述を用いる場合がある。
この場合、「異種原子Xを含む炭化水素基」とは、水素原子との結合を持たない又は炭素原子との結合のみ有する異種原子Xが、炭化水素基の炭素鎖上または炭素鎖内に存在していることを意味する。
例えば、炭素原子との結合のみ有する異種原子が炭化水素基の炭素鎖上に存在する場合としては、アルコキシ基、チオエーテル基、ジアルキルアミノ基またはトリアルキルシリル基が、アルキル基の末端に結合している場合や、アルキル基の途中にペンダント状に結合している場合や、アルキル基の末端または途中にオキソ基が結合している場合が挙げられる。
また、「炭化水素基の炭素鎖内に存在している」とは、炭化水素基の炭素鎖が異種原子で中断された状態を意味している。
例えば、炭化水素基の炭素鎖内に存在する場合としては、鎖状炭化水素基の途中にエーテル結合またはチオエーテル結合が挿入されている場合や、環状エーテルの構造をとる場合が挙げられる。
また、この場合、異種原子を含む炭化水素基の炭素数とは、異種原子を含む炭化水素基全体に含まれる炭素原子の数を意味する。例えば、「異種原子を含む炭素数a~bの炭化水素基」とは、炭化水素基内で異種原子によって分断された炭素鎖の炭素原子を含む炭素原子の総数がa~b個であることを意味する。より具体的には、メトキシメチル基(CHO-CH-)の炭素数は2である。
1.成分(I)
本発明で用いられる成分(I)は、下記式(1)で表される遷移金属化合物である。
Figure 2022013902000002
[式中、
は、周期表4族の遷移金属を示す。
とLは、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。
及びXは、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
とJは、炭素原子を示す。
とAは、それぞれJとL、JとLとを結合する架橋基を示し、以下の群から選ばれる。
-CR -、-SiR -、-NR-、-PR-、-O-、-S-、[ここでRは水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であり、2つのRが結合して環状構造を形成してもよい]、
とRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基を示す。RとRは、それらが結合しあってJおよびJと一緒に環状構造を形成してもよい。]
は、周期表第4族の遷移元素である。Mとしては、例えば、チタン原子(Ti)、ジルコニウム原子(Zr)又はハフニウム原子(Hf)が用いられるが、ハフニウム原子よりジルコニウム原子の方が共重合能を低くし且つ重合活性を高くすることができるため、ジルコニウム原子が好ましい。
とLは、シクロペンタジエニル構造を含み、Mに配位する配位子である。シクロペンタジエニル構造を含む配位子としては、例えば、シクロペンタジニル骨格を有する配位子、インデニル骨格を有する配位子、フルオレニル骨格を有する配位子等が挙げられる。シクロペンタジエニル構造を含む配位子は、骨格に含まれる不飽和結合の一部が水素原子で置換されていてもよく、例えば、インデニル骨格を有する配位子としてはテトラヒドロインデニル基であってもよい。また、LとLがそれぞれシクロペンタジエニル骨格とインデニル骨格、シクロペンタジエニル骨格とフルオレニル骨格、インデニル骨格とフルオレニル骨格のように異なるものであってもよい。
シクロペンタジエニル構造を含む配位子は、置換基を有していてもよい。特にシクロペンタジエニル骨格を有する配位子の場合には、2置換以上であることが好ましい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基を挙げることができる。LまたはL上に、隣り合う置換基が存在する場合、それらが結合して環構造を形成してもよい。また、LまたはL上の置換基の位置は任意に選ばれ、インデニル骨格の場合、2位、3位、4位の1置換型、4,7位や5,6位の2置換型が挙げられる。
ハロゲン原子の具体例としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子を挙げることができる。
炭素数1~20の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基またはシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;シクロペンチルメチル基、2-シクロヘキシルエチル基等の脂環式置換基を有するアルキル基;フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、3,5-ジ-t-ブチルフェニル基、4-ビニルフェニル基、3-アリルフェニル基、4-(3-ブテニル)フェニル基、ナフチル基等の飽和又は不飽和の炭化水素基が置換していてもよい単環又は縮合環のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基等の芳香族置換基を有するアルキル基などを挙げることができる。
炭素数1~20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基、フェノキシ基などを挙げることができる。
1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基の具体例としては、1つ~6つのトリアルキルシリル基が置換した炭化水素基であってアルキルシリル基の炭素原子を含む炭素原子の総数が1~20の炭化水素基が挙げられる。より具体的には、ビス(トリメチルシリル)メチル基、ビス(t-ブチルジメチルシリル)メチル基、トリメチルシリルエチル基、トリエチルシリルエチル基、2-トリメチルシリルプロピル基等のアルキルシリル置換アルキル基;4-トリメチルシリルフェニル基等のアルキルシリル置換芳香族炭化水素基などを挙げることができる。
炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基の具体例としては、ブロモメチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2-ブロモプロピル基、3-ブロモプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、4-クロロブチル基、3-フルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基等のハロゲン化アルキル基、2-ブロモシクロペンチル基、2,3-ジブロモシクロペンチル基、2-ブロモ-3-ヨードシクロペンチル基、2,3-ジブロモシクロヘキシル基、2-クロロ-3-ヨードシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基、2-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル基等のハロゲン化芳香族基、4-トリフルオロメチルフェニル基等のハロゲン化アルキル芳香族基などを挙げることができる。
酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基の具体例としては、次のものがある。酸素を含むものとして、エトキシメチル基、n-プロポキシメチル基、i-プロポキシメチル基、n-ブトキシメチル基、i-ブトキシメチル基、t-ブトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、4-メトキシブチル基、3-エトキシブチル基、6-メトキシヘキシル基等のアルコキシアルキル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2,4-ジメトキシフェニル基等のアルコキシ芳香族基、アセチル基、1-オキソプロピル基、1-オキソ-n-ブチル基、2-メチル-1-オキソプロピル基、2 ,2-ジメチル-1-オキソ-プロピル基、フェニルアセチル基、ジフェニルアセチル基、ベンゾイル基等のオキソ基含有炭化水素基、2-フリル基、2-テトラヒドロフリル基、2-メチルフリル基等の環状エーテル基など;硫黄原子を含むものとして、2-チエニル基、2-テトラヒドロチエニル基、2-メチルチエニル基など;及び、窒素原子を含むものとして、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジi-プロピルアミノメチル基、ビス(ジメチルアミノ)メチル基、ビス(ジi-プロピルアミノ)メチル基、(ジメチルアミノ)(フェニル)メチル基、アミノエチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、1-(メチルイミノ)エチル基、1-(フェニルイミノ)エチル基、1-[(フェニルメチル)イミノ]エチル基、ジメチルアミノヘキシル基等のアミノ置換アルキル基、4-アミノフェニル基、4-ジメチルアミノフェニル基等のアミノ置換芳香族基などを挙げることができる。
炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリt-ブチルシリル基、ジt-ブチルメチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基等のアルキルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等の芳香族シリル基などを挙げることができる。
及びXは、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基である。
ハロゲン原子の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明したハロゲン原子の具体例を、X及びXについても挙げることができる。
炭素数1~20の炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20の炭化水素基の具体例を、X及びXについても挙げることができる。
炭素数1~20のアルコキシ基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20のアルコキシ基の具体例を、X及びXについても挙げることができる。
酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基の具体例を、X及びXについても挙げることができる。
炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn-プロピルアミノ基、ジi-ブチルアミノ基、ジt-ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などを挙げることができる。
とJは、炭素原子を示す。JとJが二重結合で結合し、さらにJとJがsp2混成軌道になることにより、架橋基A及びAと共同して配位子LとLが遷移金属Mに適度な角度で配位することができる。配位子LとLが遷移金属Mに適度な角度で配位させることができる原子として、J及びJの位置には炭素原子が最適である。
とAは、それぞれJとL、JとLとを結合する架橋基であり、以下の群から選ばれる:-CR -、-SiR -、-NR-、-PR-、-O-、-S-、[ここでRは水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であり、2つのRが結合して環状構造を形成してもよい]。
である炭素数1~10の炭化水素基の具体例としては、L及びLの置換基について説明した炭化水素基の具体例のうち炭素数1~10のものをRについても挙げることができる。
及びAとしては、無置換または炭素数1~4のアルキル基を有するメチレン基、及び、無置換または炭素数1~4のアルキル基を有するシリレン基が好ましい。
とRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基である。
炭素数1~20の炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20の炭化水素基の具体例を、RとRについても挙げることができる。
炭素数1~20のアルコキシ基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20のアルコキシ基の具体例を、RとRについても挙げることができる。
1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基の具体例を、RとRについても挙げることができる。
炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基の具体例を、RとRについても挙げることができる。
酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基の具体例を、RとRについても挙げることができる。
炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基の具体例を、RとRについても挙げることができる。
およびRとJおよびJが一緒に環状構造の一部を形成する場合、環状構造としては例えば、ベンゼン-1,2-ジイル基、ナフタレン-2,3-ジイル基、フェナントレン-9,10ジイル基等の芳香族環、シクロブタン-1,2-ジイル基(シクロブチリデン基)、シクロペンタン-1,2-ジイル基(シクロペンチリデン基)、シクロへキサン-1,2-ジイル基(シクロへキシリデン基)などの炭素原子で構成される4~7員環;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-ジイル基(ノルボルナン-ジイル基)、ビシクロ[4.4.0]デカン-ジイル基(デカリン-ジイル基)等の脂環式ビシクロ環などが挙げられる。
これらの環状構造は、環骨格上にJとJの間の二重結合以外の二重結合を含んでいてもよいし、環骨格上にアルキル基、アルケニル等の炭化水素基、ハロゲン、その他の置換基を有していてもよい。また、この環状構造は、環骨格を形成する原子間を架橋する架橋構造を有していてもよい。
さらに、RおよびRとJおよびJを含む環骨格上に置換基が2つ以上存在する場合、それらの置換基が結合しあって閉環し、RおよびRとJおよびJを含む環骨格の構成原子の一部を共有する縮合型の多環構造を形成していてもよい。
およびRとJおよびJを含む環骨格と他の環骨格を含む縮合環は、RおよびRとJおよびJを含む環骨格以外の環骨格上に置換基を有していてもよい。縮合環上の置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル等の炭化水素基、ハロゲン等が挙げられる。
およびRとJおよびJとで形成される環状構造としては、例えば、以下の構造aから構造nが挙げられる。
Figure 2022013902000003
上記式(1)で表される化合物の中でも、下記式(1-1)乃至式(1-5)のいずれかで表される化合物が好ましい。
式(1-1)乃至式(1-5)は、式(1)において、RとRが結合しあって閉環し、RおよびRとJおよびJを含む6員環の環状構造を形成した化合物である。
Figure 2022013902000004
Figure 2022013902000005
Figure 2022013902000006
Figure 2022013902000007
Figure 2022013902000008
[式中、
、L、L、X、X、J、J、A及びAは、前記式(1)と同じである。
は6員環上に存在する置換基を示し、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合にはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~9の炭化水素基、炭素数1~9のアルコキシ基、炭素数1~9のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~9の炭化水素基、炭素数1~9の炭化水素基置換シリル基または炭素数1~9の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基である。Rは、当該Rが存在する6員環内に架橋構造を形成してもよい。Rが2つ以上存在する場合、それらが結合し、当該Rが存在する6員環の構成原子の一部を共有する縮合環を形成してもよいし、当該縮合環上に置換基を有していてもよい。
nは6員環上に存在するRの数を示し、0~4を示す。]
ハロゲン原子の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明したハロゲン原子の具体例を、Rについても挙げることができる。
炭素数1~9の炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20の炭化水素基の具体例のうち炭素数1~9の例を、Rについても挙げることができる。Rが炭素数1~9の炭化水素基である場合の具体例としては、特に、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基等の炭素数1~4のアルキル基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基等の炭素数1~4のアルケニル基が挙げられる。
炭素数1~9のアルコキシ基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20のアルコキシ基の具体例のうち炭素数1~9の例を、Rについても挙げることができる。Rが炭素数1~9のアルコキシ基である場合の具体例としては、特に、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1~4のアルコキシ基が挙げられる。
炭素数1~9のハロゲン置換炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基の具体例のうち炭素数1~9の例を、Rについても挙げることができる。Rが炭素数1~9のハロゲン置換炭化水素基である場合の具体例としては、特に、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基が挙げられる。
酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~9の炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基の具体例のうち炭素数3~9の例を、Rについても挙げることができる。Rが酸素原子を含む場合の具体例としては、特に、メトキシブチル基、エトキシブチル基、メトキシヘキシル基、エトキシヘキシル基等の酸素原子を含む炭素数5~8の炭化水素基が挙げられる。Rが硫黄原子を含む場合の具体例としては、特に、メチルチオブチル基、エチルチオブチル基、メチルチオヘキシル基、エチルチオヘキシル基等の硫黄原子を含む炭素数5~8の炭化水素基が挙げられる。Rが窒素原子を含む場合の具体例としては、特に、ジメチルアミノブチル基、ジメチルアミノヘキシル基等の窒素原子を含む炭素数6~8の炭化水素基が挙げられる。
炭素数1~9の炭化水素基置換シリル基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基の具体例のうち炭素数1~9の例を、Rについても挙げることができる。Rが炭素数1~9の炭化水素基置換シリル基である場合の具体例としては、特に、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等の炭素数1~2の炭化水素基置換シリル基が挙げられる。
炭素数1~9の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基等の炭素数1~4のアルキル基で置換されている3級アミノ基が挙げられる。
式(1)においてMがジルコニウム原子で、X及びXが塩素原子である遷移金属化合物の具体例としては、以下のものを挙げることができる。
Figure 2022013902000009
Figure 2022013902000010
は、ジルコニウム原子以外にチタン原子、ハフニウム原子も用いることができるが、好ましくはジルコニウム原子である。
上記化合物のうち、J、J、R及びRによって形成される環状構造が、ベンゼン-1,2-ジイル基、すなわちベンゼン環であることが好ましく、上記表中の化合物番号が5、6、7、8、9、10,11、13、14、15、19、20、21のものがさらに好ましく、化合物番号が5,6,7、10、11、14、15のものが特に好ましい。
式(1)で表される遷移金属化合物は、メタロセン化合物の一般的な合成方法を利用して製造することができる。
一般的な手順として、インデンとブチルリチウムとからインデニルリチウム塩を合成し、その2当量のリチウム塩を、α、α’-ジブロモ-オルトキシレンに反応させて、メタロセン用の配位子であるα、α’-ビス(1-インデニル)-オルトキシレンを合成する。この後、さらにブチルリチウムで配位子のリチウム塩を合成してから、四塩化ジルコニウムと反応させて、メタロセンを得ることができる。
上記インデンの代わりに各種のシクロペンタジエニル構造を持つ化合物を用いることで、LやLを変えたメタロセン化合物を得ることができる
また、式(1)で表される遷移金属化合物を合成する際には、特開平9-286812の実施例1、およびJournal of Organometallic Chemistry 535(1997)29-32記載の化合物1aの合成例を参考にすることができる。
式(1)においてRおよびRとJおよびJが一緒に環状構造を形成している或いは当該環状構造がさらに多環構造を形成している化合物を合成する場合、上記説明のように、式(1)のRおよびRとJおよびJに相当する部分がすでに単環又は多環の環状構造を形成している原料化合物を用いてもよいし、合成の途中又は最終段階でRとRを反応させて閉環することにより環状構造を形成してもよい。
2.成分(II)
本発明で用いられる成分(II)は、下記式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物群から選ばれる遷移金属化合物である。
[式(2)の化合物]
本発明においては、成分(II)として、下記式(2)で表される遷移金属化合物を用いることができる。
式(2):
3’3’
[式中、
は、周期表4族の遷移金属を示す。
とL3’は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。該シクロペンタジエニル構造を含む配位子は、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基で置換されていてもよい。LまたはL3’上に、隣り合う置換基が存在する場合、それらが結合して環構造を形成してもよい。
とX3’は、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
は、LとL3’を架橋する架橋基を示し、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合にはLとL3’の間に架橋構造を有する。
qは0または1であり、Aの数を示す。]
は、周期表4族の遷移金属であり、Mとしては、例えば、チタン原子(Ti)、ジルコニウム原子(Zr)又はハフニウム原子(Hf)が用いられるが、触媒の高活性化の点から、ジルコニウム原子が好ましい。
及びL3’は、シクロペンタジエニル構造を含み、Mに配位する配位子である。シクロペンタジエニル構造を含む配位子としては、例えば、シクロペンタジニル骨格を有する配位子、インデニル骨格を有する配位子、フルオレニル骨格を有する配位子等が挙げられる。
配位子L及びL3’は、次の組み合わせとすることができる:いずれも置換または無置換のシクロペンタジニル骨格を有する配位子;いずれも置換または無置換のインデニル骨格を有する配位子;いずれも置換または無置換のフルオレニル骨格を有する配位子;Lが置換または無置換のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子で、L3’が置換または無置換のインデニル骨格を有する配位子;Lが置換または無置換のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子で、L3’が置換または無置換のフルオレニル骨格を有する配位子;Lが置換または無置換のインデニル骨格を有する配位子で、L3’が置換または無置換のフルオレニル骨格を有する配位子。
これらの組み合わせのなかでも、L、L3’がいずれも置換または無置換のインデニル骨格を有する配位子である組み合わせ、Lが置換または無置換のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子でL3’が置換または無置換のフルオレニル骨格を有する配位子である組み合わせ、及び、いずれも置換または無置換のフルオレニル骨格を有する配位子である組み合わせが好ましい。
配位子L及びL3’は、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基で置換されていてもよい。また、LまたはL3’上に、隣り合う置換基が存在する場合、それらが結合して環構造を形成してもよい。
ハロゲン原子の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明したハロゲン原子の具体例を、L及びL3’についても挙げることができる。
炭素数1~20の炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20の炭化水素基の具体例を、L及びL3’についても挙げることができる。
炭素数1~20のアルコキシ基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20のアルコキシ基の具体例を、L及びL3’についても挙げることができる。
1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基の具体例を、L及びL3’についても挙げることができる。
炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基の具体例を、L及びL3’についても挙げることができる。
酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基の具体例を、L及びL3’についても挙げることができる。
炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基の具体例としては、上記L及びLの置換基について説明した炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基の具体例を、L及びL3’についても挙げることができる。
、L3’がいずれも置換インデニル基の場合、少なくとも一方の、好ましくは両方のインデニル基が、2位の位置に炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフリル基又は置換基を有していてもよいチエニル基を有することが好ましい。
また、少なくとも一方の、好ましくは両方のインデニル基が、4位の位置に置換基を有していてもよいアリール基を有するものも好適に用いられる。
とX3’は、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基である。
及びX3’の具体例としては、前記式(1)のX及びXについて説明した具体例を、X及びX3’についても挙げることができる。
は、LとL3’を架橋する架橋基であり、存在しても存在しなくてもよい。式(2)のqが0(ゼロ)の場合、Aは存在せず、LとL3’の間に架橋構造を有しない。
式(2)の化合物は、架橋していないメタロセン、架橋したメタロセンいずれでもよいが、架橋したメタロセンであることが好ましい。
架橋基Aは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の2価の炭化水素基、置換基を有していてもよいシリレン基、または置換基を有していてもよいゲルミレン基の何れかであることが好ましい。
置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基を挙げることができる。
上に複数の置換基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記のアルキルシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
また、環構造を形成する場合、4~7員環である、シラシクロブタン、シラシクロペンタン、2,5-ジメチルシラシクロペンタン、シラシクロヘキサン、シラフルオレンなどの構造を有する2価の基を挙げることができる。
これらの中では、炭素数1~20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1~20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
式(2)で表される遷移金属化合物のなかでも、下記式(2-1)で表される遷移金属化合物が好ましい。
Figure 2022013902000011
[式中、
は、チタン原子(Ti)、ジルコニウム原子(Zr)又はハフニウム原子(Hf)を示す。
とX3’は、それぞれ前記式(2)のXとX3’と同じである。
Yは、炭素原子、珪素原子又はゲルマニウム原子を示す。
11とR21は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフリル基又は置換基を有していてもよいチエニル基を示す。R11とR21の少なくとも一方は、置換基を有していてもよいフリル基又は置換基を有していてもよいチエニル基のいずれかである。
12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28及びR29は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルケニル基、炭素数1~6のハロゲン置換アルキル基、トリアルキルシリル基を有する炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6の炭化水素基を有するシリル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数6~18のハロゲン置換アリール基又は置換基を有していてもよい5員環若しくは6員環を構成する複素環基を示す。R12乃至R19及びR22乃至R29のうち隣接する基同士が結合し6~7員環を構成してもよく、6~7員環が不飽和結合を含んでいてもよい。
31とR32は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルケニル基、炭素数1~6のハロゲン置換アルキル基、トリアルキルシリル基を有する炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6の炭化水素基を有するシリル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数6~18のハロゲン置換アリール基又は置換基を有していてもよい5員環若しくは6員環を構成する複素環基を示す。R31とR32はYと一緒に4~7員環を形成していてもよく、R31及びR32の少なくとも一つが環状構造を有する場合、R31とR32とYにより構成される4~7員環は、R31及びR32が有する環状構造の構成原子の一部を共有する縮合環を形成してもよい。]
式(2)で表される遷移金属化合物のなかで好ましいものとしては、以下のものを挙げることができる。
(i)ビスインデン型
{1,1’-ジメチルシリレンビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-t-ブチルフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-トリメチルシリルフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(3-クロロ-4-t-ブチルフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(3-メチル-4-t-ブチルフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(3-クロロ-4-トリメチルシリルフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(3-メチル-4-トリメチルシリルフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(1-ナフチル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(2-ナフチル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(2-フルオロ-4-ビフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(2-クロロ-4-ビフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(9-フェナントリル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロ-2-ナフチル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-エチル-4-(4-クロロフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-n-プロピル-4-(3-クロロ-4-トリメチルシリルフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-エチル-4-(3-クロロ-4-t-ブチルフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルゲルミレンビス{2-メチル-4-(2-フルオロ-4-ビフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルゲルミレンビス{2-メチル-4-(4-t-ブチルフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-(9-シラフルオレン-9,9-ジイル)ビス{2-エチル-4-(4-クロロフェニル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
さらに、インデニル基の2位の位置がフリル基またはチエニル基である化合物として、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(2-フリル)-4-フェニル-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(2-チエニル)-4-フェニル-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジフェニルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルゲルミレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-フェニル-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルゲルミレンビス{2-(5-メチル-2-チエニル)-4-フェニル-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-フェニル-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-トリメチルシリル-2-フリル)-4-フェニル-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-フェニル-2-フリル)-4-フェニル-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(4,5-ジメチル-2-フリル)-4-フェニル-インデニル}]ジルコニウムジクロライドジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(2-ベンゾフリル)-4-フェニル-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(2-フルフリル)-4-フェニル-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-クロロフェニル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-フルオロフェニル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-トリフルオロメチルフェニル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-t-ブチルフェニル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-トリメチルシリルフェニル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(2-フリル)-4-(1-ナフチル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(2-フリル)-4-(2-ナフチル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(2-フリル)-4-(2-フェナンスリル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(2-フリル)-4-(9-フェナンスリル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(1-ナフチル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(2-ナフチル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(2-フェナンスリル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(9-フェナンスリル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-(1-ナフチル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-(2-ナフチル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-(2-フェナンスリル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、
[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-t-ブチル-2-フリル)-4-(9-フェナンスリル)-インデニル}]ジルコニウムジクロリド、などである。
(ii)シクロペンタジエニル-フルオレニル型
ジフェニルメチレン(1-シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(2-トリメチルシリル-1-シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(1-シクロペンタジエニル)(2,7-ジメチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(1-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(1-シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(1-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシランジイル(1-シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(1-シクロペンタジエニル)(9-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、などが挙げられる。
(iii)ビスフルオレニル型
ジメチルシランジイルビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジ(n-ブチル)シランジイルビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジエチルシランジイルビス(1-メチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
(1,1-ジフルオレニルメタン)ジルコニウムジクロリド、
(1,2-ジフルオレニル)エタンジルコニウムジクロリド、
(1,3-ジフルオレニルプロパン)ジルコニウムジクロリド、
(1,2-ジ(1-メチルフルオレニル)エタン)ジルコニウムジクロリド、
(1,2-ジ(2-エチルフルオレニル)エタン)ジルコニウムジクロリド、
(1,2-ジ(2-t-ブチルフルオレニル)エタン)ジルコニウムジクロリド、
(1,2-ジ(1-t-ブチルフルオレニル)エタン)ジルコニウムジクロリド、
(1,2-ジ(4-メチルフルオレニル)エタン)ジルコニウムジクロリド、
(1,2-ジ(4-t-ブチルフルオレニル)エタン)ジルコニウムジクロリド、
(1,2-ジ(2,7-ジ-t-ブチル-4-メチルフルオレニル)エタン)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
式(2)で表される遷移金属化合物を製造する方法しては、配位子構造のもとになるシクロペンタジエン構造を持つ化合物を合成し、ブチルリチウムなどで配位子のリチウム塩を製造する。2当量のリチウム塩とジメチルジクロロシランとを反応させ、架橋された配位子を合成する。この架橋された配位子に2当量のブチルリチウムを反応させてジリチウム塩とし、これを四塩化ジルコニウムと反応させることで架橋メタロセン化合物を得ることができる。最初に用いるシクロペンタジエン構造をもつ化合物に、置換基を結合させたシクロペンタジエン、インデン、フルオレンを用いることで、種々のメタロセン化合物が得られる。また、配位子のリチウム塩を1当量のジメチルジクロロシランと反応させ、その後別の配位子のリチウム塩と反応させることで、異なった構造の配位子が架橋された配位子を得ることもできる。
[式(3)の化合物]
本発明においては、成分(II)として、下記式(3)で表される遷移金属化合物を用いることができる。
式(3):
4’
[式中、
は、周期表4族の遷移金属を示す。
は、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。該シクロペンタジエニル構造を含む配位子は、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基で置換されていてもよい。
とX4’は、それぞれ独立して、金属Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
は、Lに結合しているヘテロ原子を有する有機基を示し、ヘテロ原子を介してMに結合している。]
は、周期表第4族の遷移元素である。Mとしては、例えば、チタン原子(Ti)、ジルコニウム原子(Zr)又はハフニウム原子(Hf)が用いられるが、好ましくはチタン原子が用いられる。
は、シクロペンタジエニル構造を含み、Mに配位する配位子である。シクロペンタジエニル構造を含む配位子としては、例えば、シクロペンタジニル骨格を有する配位子、インデニル骨格を有する配位子、フルオレニル骨格を有する配位子等が挙げられる。
配位子Lは、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基で置換されていてもよい。
配位子Lの上記置換基の具体例としては、上記式(2)で表される遷移金属化合物の配位子Lについて説明した具体例を、Lについても挙げることができる。
とX4’は、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基である。
及びX4’の具体例としては、前記式(1)のX及びXについて説明した具体例を、X及びX4’についても挙げることができる。
は、Lに結合しているヘテロ原子を有する有機基であり、ヘテロ原子を介してMに結合している。このときAは、Lに結合している有機基Qと、ヘテロ原子を有する部分Zとに分けられ、Q-Zと記載できる。
Q-Z構造のQとしては、炭素数1~20の二価の炭化水素基、炭素数1~20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基又は炭素数1~20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基が挙げられる。具体例としては、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジ-i-プロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル―i―プロピルシリレン基、ジメチルゲルミレン基、ジエチルゲルミレン基、ジ-i-プロピルゲルミレン基、ジフェニルゲルミレン基、メチルフェニルゲルミレン基、メチル―i―プロピルゲルミレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、1,2-ジメチルエチレン基、1-フェニルエチレン基、1,2-ジフェニルエチレン基、シラシクロブタン基、シラシクロペンタン基、2,5-ジメチルシラシクロペンタン基、シラシクロヘキサン基、シラフルオレン基、フェニレン基などを挙げることができる。
これらの中でも好ましいのは、ジメチルシリレン基、ジ-i-プロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、シラシクロブタン基、シラシクロペンタン基、シラシクロヘキサン基、フェニレン基であり、特に好ましくはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、シラシクロヘキサン基である。
Q-Z構造のZとしては、アミド基、ホスフィド基、酸素原子、硫黄原子、フェニレンオキシ基またはアルキリデン基が挙げられ、好ましくはアミド基、フェニレンオキシ基、酸素原子であり、最も好ましいのはアミド基である。
式(3)で表される遷移金属化合物を製造する方法しては、シクロペンタジエン構造を持つ化合物の金属塩を準備し、これにジクロロジアルキルシランを反応させてシクロペンタジエン構造を持つ化合物にジアルキルクロロシランが結合した化合物を生成させる。次にアミン類を反応させるとアミノ(ジアルキル)シラン基に変換され、これにブチルリチウムを作用させてリチウム塩に変換したのち、四塩化チタンと反応させることで、Cp化合物-SiR-(NR)が配位した錯体が生成する。
この時、原料であるシクロペンタジエン化合物、アミン化合物の種類を変えることで、各種の式(3)の遷移金属化合物を製造できる。
[式(4)の化合物]
本発明においては、成分(II)として、下記式(4)で表される遷移金属化合物を用いることができる。
式(4):
[式中、
は、周期表3~11族の遷移金属を示す。
m個あるLは、それぞれ独立して、2つ以上の酸素、窒素、リン、硫黄原子から選ばれる原子を有する置換基で置換されている炭化水素基を示しており、少なくとも2つの該酸素、窒素、リン、硫黄原子から選ばれる原子がMに結合している。
p個あるXは、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または中性のルイス塩基を示す。
mはLの数を示しており、1または2である。
pはXの数を示しており、式(4)の遷移金属化合物が電気的中性になるように選ばれる数である。]
は、周期表第3~11族の遷移元素である。Mとしては、例えば、スカンジウム原子、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子、コバルト原子、ロジウム原子、イットリウム原子、クロム原子、モリブデン原子、タングステン原子、マンガン原子、レニウム原子、鉄原子、ルテニウム原子、オスニウム原子、イリジウム原子が用いられるが、好ましくはスカンジウム原子、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子、コバルト原子、ロジウム原子などであり、より好ましくは、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、コバルト原子、ロジウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子などであり、特に好ましくはチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子が好ましい。
の具体例としては、後述の式(L5-1)、式(L5-2)、式(L5-3)、式(L5-4)、式(L5-5)に示す基が挙げられる。これらについては、式(4)で表される遷移金属化合物の具体例の一部として後述する。
の具体例としては、前記式(1)のX及びXについて説明した具体例を、Xについても挙げることができる。
式(4)で表される遷移金属化合物の具体例としては、以下の式(4-1)、式(4-2)、式(4-3)、式(4-4)、式(4-5)に示す基を挙げることができる。
これらのうち、式(4-2)、式(4-4)に挙げる化合物が、成分(I)と組み合わせたときの分子量の差が適切であり、好ましいものである。
[式(4-1) で表される遷移金属化合物]
式(4-1)で表される遷移金属化合物は、式(4)のLとして、式(L5-1)で表される置換基を有する。
Figure 2022013902000012
Figure 2022013902000013
[式(4-1)及び式(L5-1)中、
は、周期表第3~6族の遷移金属原子を示す。
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基または酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基を示す。
pはMの価数-2である。
51およびR52は、それぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、有機シリル基または、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種の元素を有する置換基を示す。
mは、0~2の整数であり、nは、1~5の整数である。
Aは、周期表第13~16族の原子を示す。
nが2以上の場合には、複数のAは、互いに同一でも異なっていてもよい。
Eは、炭素原子、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ホウ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種の元素を有する置換基を示す。
mが2以上の場合には、複数のEは、互いに同一でも異なっていてもよく、またEで示される2個以上の基が互いに連結して環を形成していてもよい。]
51およびR52は、水素原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、有機シリル基または、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種の元素を有する置換基である。
炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、t-ブチル基等の炭素数1~20の直鎖または分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20のアリール基;これらのアリール基に前記炭素数1~20のアルキル基等の置換基が1~5個置換した置換アリール基;シクロペンチル基、ノルボルニル基等のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基などが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基としては、例えば、前記炭化水素基にハロゲンが置換した基が挙げられる。
有機シリル基としては、例えば、メチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。
窒素原子、酸素原子、リン原子、イオウ原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種の元素を含む置換基で置換された炭化水素基としては、例えば、前記炭化水素基に-COOCH、-N(CH)C(O)CH 、-OC(O)CH、-CN、-N(C、-N(CH)S(O)CH、-P(C等が置換した基が挙げられる。
Aは、周期表第13~16族の原子であり、例えば、ホウ素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、硫黄原子、ゲルマニウム原子、セレン原子、スズ原子などが挙げられる。
Eは、炭素原子、水素原子、酸素原子、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ホウ素原子およびケイ素原子から選ばれる少なくとも1種の元素を有する置換基である。
このような-((E m)A)n-で示される2個の窒素原子を結合する結合基として、例えば、以下のような基が挙げられる:-CH-、-C(Me)-、-C(Ph)-、-Si(Me)2-、-Si(Ph)-、-Si(Me)(Ph)-、-CHCHCH-、-CHC(nPr)CH-、-CHC(cHex)CH
上記の式(4-1)で表される遷移金属化合物は、特開平10-330412号公報の化合物(I-1)と類似しており、当該公報を参考にすることできる。
[式(4-2) で表される遷移金属化合物]
式(4-2)で表される遷移金属化合物は、式(4)のLとして、式(L5-2)で表される置換基を有する。
Figure 2022013902000014
Figure 2022013902000015
[式(4-2)及び式(L5-2)中、
は、周期表第3~11族の遷移金属原子を示す。
mは、1~2の整数を示す。
53~R58は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。
nは、Mの価数を満たす数を示す。
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基または酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基を示す。]
53~R58は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、t-ブチル基等の炭素数1~30の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の炭素数2~30の直鎖状または分岐状のアルケニル基;プロパルギル基等の炭素数2~30の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロヘキシル基、アダマンチル基等の炭素数3~30の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基等の炭素数5~30の環状不飽和炭化水素基;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、ビフェニル基等の炭素数6~30の芳香族基;トリル基、t-ブチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基等のアルキル置換芳香族基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、フッ素原子等のハロゲン原子;他の炭化水素基;後述するヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基が置換していてもよい。
ヘテロ環式化合物残基としては、例えば、ピロール基、ピリジン基等の含窒素化合物、フラン基、ピラン基などの含酸素化合物、チオフェン基などの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素数1~30アルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
酸素含有基としては、例えば、アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基などが挙げられる。
窒素含有基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、アミド基、ヒドラジノ基、ニトロ基、シアノ基などが挙げられる。
ホウ素含有基としては、例えば、ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などが挙げられる。
イオウ含有基としては、例えば、メルカプト基、チオエステル基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、スルホ基、スルホニル基などが挙げられる。
リン含有基としては、例えば、ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などが挙げられる。
ケイ素含有基としては、例えば、シリル基;シロキシ基;メチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等の炭化水素置換シリル基、トリメチルシロキシ基等の炭化水素置換シロキシ基などが挙げられる。
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、例えば、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
上記の式(4-2)で表される遷移金属化合物は、特開2000-63415号公報の一般式(I)で表される遷移金属化合物(B)と類似しており、当該公報を参考にすることできる。
[式(4-3) で表される遷移金属化合物]
式(4-3)で表される遷移金属化合物は、式(4)のLとして、式(L5-3)で表される置換基を有する。
Figure 2022013902000016
Figure 2022013902000017
[式(4-3)及び式(L5-3)中、
は、周期表第8~11族の遷移金属原子を示す。
61~R64は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基などを示す。
65及びR66は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基などを示す。また、R61とR65が互いに連結して環を形成していてもよく、 R62とR66が互いに連結して環を形成していてもよく、 R61とR63が互いに連結して環を形成していてもよく、R62とR64が互いに連結して環を形成していてもよく、 R63とR64が互いに連結して環を形成していてもよい。
nは、Mの価数を示す。
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基または酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基を示す。
nが2以上の場合には、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよい。
Yは周期表第15族または第16族の原子を示す。]
61~R64、R65及びR66のハロゲン原子、ハロゲン化炭化水素基、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基の具体例としては、上記式(4-2)のR53~R58について説明した具体例を、式(4-3)のR61~R64、R65及びR66についても挙げることができる。
上記の式(4-3)で表される遷移金属化合物は、特開2000-191719号公報の一般式(I)で表される遷移金属イミン化合物と類似しており、当該公報を参考にすることできる。
[式(4-4) で表される遷移金属化合物]
式(4-4)で表される遷移金属化合物は、式(4)のLとして、式(L5-4)で表される置換基を有する。
Figure 2022013902000018
Figure 2022013902000019
[式(4-4)及び式(L5-4)中、
67及びR68は、それぞれ独立して、アルキル、アリール、複素環式基及び水素原子を示す。
69及びR70は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1~20のアルキル、アリール、アルケニル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヒドロカルボキシ基、アミド、ホスフィド、スルフィド、シリルアルキル、ジケトネート及びカルボキシレートを示す。
各Xは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基または酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基を示す。]
上記の式(4-4)で表される遷移金属化合物は、特表2003-515628号公報の段落0027に記載された一般式で表される第二金属化合物と類似しており、当該公報を参考にすることできる。また、当該公報の段落0030に記載された化合物1、及び、段落0031に記載された化合物2を、本発明における式(4-4)の遷移金属化合物として用いることができる。
[式(4-5) で表される遷移金属化合物]
式(4-5)で表される遷移金属化合物は、式(4)のLとして、式(L5-5)で表される置換基を有する。
Figure 2022013902000020
Figure 2022013902000021
[式(4-5)及び式(L5-5)中、
nは1、2または3である。
は、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を示す。
71~R78は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基またはハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基を示す。
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基または酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基を示し、X5Lは中性のルイス塩基を示す。X5Lが複数ある場合は、複数のX5Lは同一でも異なっていてもよい。
lは、0、1、または2である。]
71~R78は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基またはハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。
炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、t-ブチル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の直鎖状または分岐状のアルケニル基;プロパルギル基等の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロヘキシル基、アダマンチル基等の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基等の環状不飽和炭化水素基;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、ビフェニル基等の芳香族基;トリル基、t-ブチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル基等のアルキル置換芳香族基などが挙げられる。
酸素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基等の酸素含有基を有する炭化水素基が挙げられる。
窒素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、アミノ基、イミノ基、アミド基、ヒドラジノ基、ニトロ基、シアノ基等の窒素含有基を有する炭化水素基が挙げられる。
ハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
上記の式(4-5)で表される遷移金属化合物は、特開2013-53308号公報に記載された一般式(1-1)で表される成分(A1)と類似しており、当該公報を参考にすることできる。
II.オレフィン重合用触媒
上記成分(I)及び上記成分(II)は、それぞれオレフィン重合の触媒活性成分であるが、これらの組み合わせは、充分に分子量分布が広く、高分子量側に分布が広がっており、且つ、分子量分布の高分子量側領域に充分な量の分岐鎖を含むオレフィン系重合体を製造することができるオレフィン重合用触媒の触媒活性成分として作用する。
上記成分(I)および上記成分(II)を助触媒や担体と組み合わせてオレフィン重合用触媒とすることができる。
本発明においては、例えば、次の成分(I)、成分(II)、成分(III)及び成分(IV)を必須成分として含むオレフィン重合用触媒を用いることができる。それぞれ成分は、2種以上を用いてもよい。
成分(I) : 上記式(1)で表される遷移金属化合物
成分(II) : 上記式(2)、(3)又は(4)で表される化合物群から選ばれる遷移金属化合物
成分(III): 成分(I)及び成分(II)の遷移金属化合物と反応してカチオン性化合物を生成させる化合物
成分(IV) : 微粒子担体
成分(I)及び成分(II)は上記したとおりのものである。以下に、成分(III)及び成分(IV)について説明する。
1.成分(III)
成分(III)、すなわち、成分(I)及び成分(II)の遷移金属化合物と反応してカチオン性化合物を生成させる化合物は助触媒である。成分(III)としては、例えば、有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物、後述する層状珪酸塩等を用いることができる。これらのうち、ボランやボレート化合物は微粒子担体への固定化に難があり、有機アルミニウムオキシ化合物が好ましく用いられる。
(1)有機アルミニウムオキシ化合物
有機アルミニウムオキシ化合物は、分子中にAl-O-Al結合を有する化合物であり、Al-O-Al結合の結合数は通常1~100、好ましくは1~50個の範囲にある。
典型的には、下記式(5-1)又は式(5-2)で表されような、-(O-Al)-単位の連鎖構造を含む有機アルミニウムオキシ化合物が用いられる。
Figure 2022013902000022
Figure 2022013902000023
[上記の各式中、R41は、それぞれ独立に、水素原子または炭化水素基であり、好ましくは炭素数1~18、さらに好ましくは炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基であり、R41の少なくとも一部は炭化水素基である。pは0~40、好ましくは2~30の整数を示す。]
このような有機アルミニウムオキシ化合物は、通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる。
有機アルミニウムと水との反応は、通常、不活性炭化水素(溶媒)中で行われる。不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が使用できるが、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用することが好ましい。
原料の有機アルミニウム化合物としては、下記式(6) で表される化合物を使用できるが、好ましくはトリアルキルアルミニウムが使用される。
41 AlX 3-t 式(6)
[式(6)中、R41は、上記式(5-1)及び(5-2)と同じであり、Xは、水素原子又はハロゲン原子を示し、tは、1≦t≦3の整数を示す。]
トリアルキルアルミニウムのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のいずれでも差し支えないが、メチル基であることが特に好ましい。上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は、0.25/1~1.2
/1、特に、0.5/1~1/1であることが好ましく、反応温度は、通常-70~100℃、好ましくは-20~20℃の範囲である。反応時間は、通常5分~24時間、好ましくは10分~5時間の範囲で選ばれる。
反応に要する水として、単なる水のみならず、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物等に含まれる結晶水や反応系中に水が生成しうる成分も利用することもできる。
原料の有機アルミニウム化合物としてトリメチルアルミニウムを用いた有機アルミニウムオキシ化合物をメチルアルミノキサン(MAO)と呼び、特に好ましく使われる。MAOは未反応のトリメチルアルミニウムを含んだ形で成分(III)として使うこともできる。この未反応のトリメチルアルミニウムは、トリメチルアルミニウムとメチルアルミノキサンの合計のアルミニウム原子に対して、1~30mol%で存在し、少ないとMAOが溶液中で析出して使いづらく、トリメチルアルミニウムが多いと取り扱い時の危険性が高くなって使いづらい。好ましくは10~15mol%のトリメチルアルミニウムを含むMAO溶液がよい。また、MAOの濃度は濃すぎると取り扱い時の危険性が高くなることと保存中にMAOが析出して使いづらくなること、薄いと安全性と析出しにくさは増すが、取り扱う容器や設備が大きくなって経済的なデメリットになる。MAOの濃度は好ましくは10~20質量%のものが用いられる。さらにMAO溶液は気温中で析出しやすいということもあり、-10℃を下回る低温保管が好ましい。
もちろん、有機アルミニウムオキシ化合物として、上記した有機アルミニウムオキシ化合物の2種以上を組み合わせて使用することもでき、また、前記有機アルミニウムオキシ化合物を前述の不活性炭化水素溶媒に溶液または分散させた溶液としたものを用いても良い。
(2)ボラン化合物
ボラン化合物としては、例えば、次の化合物が挙げられる:トリフェニルボラン、トリ(o-トリル)ボラン、トリ(p-トリル)ボラン、トリ(m-トリル)ボラン、トリ(o-フルオロフェニル)ボラン、トリス(p-フルオロフェニル)ボラン、トリス(m-フルオロフェニル)ボラン、トリス(2,5-ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボラン、トリス( パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボラン。
これらの中でも、次の化合物が好ましい:トリス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル) ボラン、トリス(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランがより好ましい。
これらの中でも、次の化合物がさらに好ましい:トリス(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボラン。
(3)ボレート化合物
ボレート化合物の第1の例としては、例えば次の式(7)で表される化合物が挙げられる。
[L-H][BR42437’ 式(7)
式(7)中、Lは、中性ルイス塩基であり、Hは、水素原子であり、[L-H ]は、アンモニウム、アニリニウム、ホスフォニウム等のブレンステッド酸である。
アンモニウムとしては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリ(n-ブチル)アンモニウムなどのトリアルキル置換アンモニウム、ジ(n-プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウムなどのジアルキルアンモニウムを例示できる。
また、アニリニウムとしては、N,N-ジメチルアニリニウム、N,N-ジエチルアニリニウム、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムなどのN,N-ジアルキルアニリニウムが例示できる。
さらに、ホスフォニウムとしては、トリフェニルホスフォニウム、トリブチルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムなどのトリアリールホスフォニウム、トリアルキルホスフォニウムが挙げられる。
また、式(7)中、R42およびR43は、炭素数6~20、好ましくは炭素数6~16の、同じか又は異なる芳香族又は置換芳香族炭化水素基で、架橋基によって互いに連結されていてもよく、置換芳香族炭化水素基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等に代表されるアルキル基やフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンが好ましい。
さらに、X及びX7’は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、1個以上の水素原子がハロゲン原子によって置換された炭素数1~20の置換炭化水素基である。
上記一般式(7)で表される化合物の具体例としては、例えば、次の化合物が挙げられる:トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6-ジフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6-ジフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6-ジフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル) ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレート。
これらの中でも、次の化合物が好ましい:トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート。
ボレート化合物の第2の例としては、例えば次の式(8)で表される化合物が挙げられる。
式(8):
[L[BR42437’7’
式(8)中、Lは、カルボカチオン、メチルカチオン、エチルカチオン、プロピルカチオン、イソプロピルカチオン、ブチルカチオン、イソブチルカチオン、t-ブチルカチオン、ペンチルカチオン、トロピニウムカチオン、ベンジルカチオン、トリチルカチオン、ナトリウムカチオン、プロトン等が挙げられる。また、R42、R43、X及びX7’は、前記式(7)における定義と同じである。
上記式(8)で表される化合物の具体例としては、例えば、次の化合物が挙げられる:トリチルテトラフェニルボレート、トリチルテトラ(o-トリル)ボレート、トリチルテトラ(p-トリル)ボレート、トリチルテトラ(m-トリル)ボレート、トリチルテトラ(o-フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(p-フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(m-フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5-ジフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピニウムテトラフェニルボレート、トロピニウムテトラ(o-トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(p-トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(m-トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(o-フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(p-フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(m-フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5-ジフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、NaBPh 、NaB(o-CH-Ph)、NaB(p-CH-Ph)、NaB(m-CH-Ph)、NaB(o-F-Ph)、NaB(p-F-Ph)、NaB(m-F-Ph)、NaB(3,5-F-Ph)、NaB(C、NaB(2,6-(CF-Ph)、NaB(3,5-(CF-Ph)、NaB(C10、HBPh・(EtO)、HB(3,5-F-Ph)・(EtO)、HB(C・(EtO)、HB(2,6-(CF-Ph)・(EtO)、HB(3,5-(CF-Ph)・(EtO)、HB(C10・(EtO)
これらの中でも、次の化合物が好ましい:トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、NaB(C、NaB(2,6-(CF-Ph)、NaB(3,5-(CF-Ph)、NaB(C10、HB(C・(EtO)、HB(2,6-(CF-Ph)・(EtO)、HB(3,5-(CF-Ph)・(EtO)、HB(C10・(EtO)
これらの中でも、次の化合物がさらに好ましい:トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル) ボレート、トロピニウムテトラ(2,6-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、NaB(C、NaB(2,6-(CF-Ph)、HB(C・(EtO)、HB(2,6-(CF-Ph)・(EtO)、HB(3,5-(CF-Ph)・(EtO)、HB(C10・(EtO)
なお、成分(III)として、前記の有機アルミニウムオキシ化合物と、上記ボラン化合物やボレート化合物との混合物を用いることもできる。さらに、上記ボラン化合物やボレート化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
2.成分(IV)
成分(IV)、すなわち微粒子担体としては、無機物担体、粒子状ポリマー担体またはこれらの混合物が挙げられる。無機物担体は、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩、炭素質物、またはこれらの混合物が使用可能である。
無機物担体に用いることができる好適な金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
また、金属酸化物としては、周期表1~14族の元素の単独酸化物または複合酸化物が挙げられ、例えば、SiO、Al、MgO、CaO、B、TiO、ZrO、Fe、Al・MgO、Al・CaO、Al・SiO、Al・MgO・CaO、Al・MgO・SiO、Al・CuO、Al・Fe、Al・NiO、SiO・MgO などの天然または合成の各種単独酸化物または複合酸化物を例示することができる。ここで、上記の式は、分子式ではなく、組成のみを表すものであって、本発明において用いられる複合酸化物の構造および成分比率は特に限定されるものではない。また、本発明において用いる金属酸化物は、少量の水分を吸収していても差し支えなく、少量の不純物を含有していても差し支えない。
金属塩化物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物が好ましく、具体的にはMgCl、CaClなどが特に好適である。金属炭酸塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩が好ましく、具体的には、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。
炭素質物としては、例えば、カーボンブラック、活性炭などが挙げられる。
以上の無機物担体は、いずれも本発明に好適に用いることができるが、金属酸化物、シリカ、アルミナを用いることが好ましく、シリカを用いることがさらに好ましい。シリカとしては、平均粒径が10μm~150μm程度の小粒径シリカを用いることが好ましい。ここで、平均粒径は一般的に用いられるレーザー回折を用いた測定方法で、体積基準により表されたデータより、メジアン径として示される値である。
これら無機物担体は、通常、200℃~800℃、好ましくは400℃~600℃で空気中または窒素、アルゴン等の不活性ガス中で焼成して、表面水酸基の量を0.8mmol/g~1.5mmol/gに調節して用いるのが好ましい。これら無機物担体の性状としては、特に制限はないが、通常、平均粒径は5μm~200μm、好ましくは10μm~150μm、平均細孔径は20Å~1000Å、好ましくは50Å~500Å、比表面積は150m/g~1000m/g、好ましくは200m/g~700m/g、細孔容積は0.3cm/g~2.5cm/g、好ましくは0.5cm/g~2.0cm/g、見掛比重は0.20g/cm~0.50g/cm、好ましくは0.25g/cm~0.45g/cmを有する無機物担体を用いるのが好ましい。
上記した無機物担体は、もちろんそのまま用いることもできるが、予備処理としてこれらの担体をトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物や、Al-O-Al結合を含む有機アルミニウムオキシ化合物に接触させた後、用いることができる
III.オレフィン重合用触媒の調製
触媒活性成分として成分(I)及び成分(II)を含むオレフィン重合用触媒は、成分(I)及び成分(II)、必要に応じてさらに成分(III)及び成分(IV)等の助触媒や担体を混合することにより、調製することができる。
成分(I)及び成分(II)を含むオレフィン重合用触媒を調製する際に、成分(I)及び成分(II)を助触媒や担体と接触させる方法は、特に限定されない。例えば、成分(I)及び成分(II)を、上記成分(III)及び成分(IV)と接触させる場合には、以下の方法が任意に採用可能である。
方法(1):
成分(I)及び成分(II)を、最初に成分(III)と接触させた後、成分(IV)と接触させる。より詳しくは、成分(I)と成分(II)を一つの成分(III)と接触させた後、または、成分(I)及び成分(II)それぞれを、別個に分けた成分(III)と接触させた後、得られた接触処理物を成分(IV)とを接触させる。
成分(I)と成分(II)を一つの成分(III)と接触させる場合、成分(I)と成分(II)の混合物を成分(III)と接触させてもよいし、成分(I)と成分(II)を成分(III)に対し同時に又は順次接触させてもよい。
成分(I)及び成分(II)を、それぞれ別個に分けた成分(III)と接触させる場合、成分(I)の接触処理物と成分(II)の接触処理物を一つの成分(IV)と接触させてもよいし、成分(I)の接触処理物と成分(II)の接触処理物それぞれを、別個に分けた成分(III)と接触させた後、得られた2つの接触処理物を混合してもよい。
方法(2):
成分(I)及び成分(II)を、最初に成分(IV)と接触させた後、成分(III)と接触させる。より詳しくは、成分(I)と成分(II)を一つの成分(IV)と接触させた後、または、成分(I)及び成分(II)それぞれを、別個に分けた成分(IV)と接触させた後、得られた接触処理物を成分(III)とを接触させる。
成分(I)と成分(II)を一つの成分(IV)と接触させる場合、成分(I)と成分(II)の混合物を成分(IV)と接触させてもよいし、成分(I)と成分(II)を成分(IV)に対し同時に又は順次接触させてもよい。
成分(I)及び成分(II)を、それぞれ別個に分けた成分(IV)と接触させる場合、成分(I)の接触処理物と成分(II)の接触処理物を一つの成分(III)と接触させてもよいし、成分(I)の接触処理物と成分(II)の接触処理物それぞれを、別個に分けた成分(III)と接触させた後、得られた2つの接触処理物を混合してもよい。
方法(3):
成分(III)と成分(IV)を最初に接触させて接触処理物を得た後、成分(I)及び成分(II)を接触処理物と接触させる。より詳しくは、成分(III)と成分(IV)を接触させて接触処理物を得た後、成分(I)と成分(II)を一つの接触処理物と接触させるか、または、成分(I)及び成分(II)それぞれを、別個に分けた接触処理物と接触させ、得られた2つの接触処理物を混合する。
成分(I)と成分(II)を一つの接触処理物と接触させる場合、成分(I)と成分(II)の混合物を接触処理物と接触させてもよいし、成分(I)と成分(II)を接触処理物に対し同時に又は順次接触させてもよい。
これらの接触方法の中で、成分(I)及び成分(II)を最初に成分(III)と接触させる(1)の方法と、成分(I)及び成分(II)を成分(III)と成分(IV)の接触処理物と接触させる(3)の方法が好ましく、さらに(1)の方法が最も好ましい。さらに、成分(I)と成分(II)の混合物を、成分(III)、成分(IV)または成分(III)と成分(IV)の接触処理物と接触させることが好ましい。
いずれの接触方法においても、通常は窒素またはアルゴンなどの不活性雰囲気中、一般にベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素(通常炭素数は6~12)、ヘプタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素(通常炭素数5~12)等の液状不活性炭化水素の存在下、撹拌下または非撹拌下に各成分を接触させる方法が採用される。
この接触は、通常-100℃~200℃、好ましくは-50℃~100℃、さらに好ましくは0℃~50℃の温度にて、5分~50時間、好ましくは30分~24時間、さらに好ましくは30分~12時間で行うことが望ましい。
接触方法の具体例としては、成分(I)と成分(II)の混合物、または成分(I)と成分(II)を上記したような不活性溶剤に溶解または分散させた液と、成分(III)を不活性溶剤に溶解または分散させた液とを混合し、得られた混合液を、成分(IV)のスラリーと混合する方法が挙げられる。
また、成分(I)、成分(II)、成分(III)及び成分(IV)の接触に際しては、ある種の成分が可溶ないしは難溶な芳香族炭化水素溶媒と、ある種の成分が不溶ないしは難溶な脂肪族または脂環族炭化水素溶媒とがいずれも使用可能である。
各成分同士の接触反応を段階的に行う場合にあっては、前段で用いた溶媒などを除去することなく、これをそのまま後段の接触反応の溶媒に用いてもよい。また、可溶性溶媒を使用した前段の接触反応後、ある種の成分が不溶もしくは難溶な液状不活性炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素あるいは芳香族炭化水素)を添加して、所望生成物を固形物として回収した後に、あるいは一旦可溶性溶媒の一部または全部を、乾燥等の手段により除去して所望生成物を固形物として取り出した後に、この所望生成物の後段の接触反応を、上記した不活性炭化水素溶媒のいずれかを使用して実施することもできる。本発明では、各成分の接触反応を複数回行うことを妨げない。
本発明において、成分(I)、成分(II)、成分(III)及び成分(IV)の使用割合は、特に限定されないが、以下の範囲が好ましい。
成分(I)と成分(II)のモル比(成分(I):成分(II))は、得られる重合体の分子量分布の形を決めるために任意に調整され、通常1:500~500:1、好ましくは1:100~100:1、さらに好ましくは、1:10~10:1の範囲が望ましい。
成分(III)として、有機アルミニウムオキシ化合物を用いる場合、成分(I)及び成分(II)に含まれる遷移金属(M)の合計量に対する有機アルミニウムオキシ化合物のアルミニウム原子のモル比(Al/M)は、通常、1~100,000、好ましくは5~1000、さらに好ましくは50~200の範囲が望ましく、また、ボラン化合物やボレート化合物を用いる場合、成分(I)及び成分(II)に含まれる遷移金属(M)の合計量に対する、ホウ素原子のモル比(B/M)は、通常、0 .01~100、好ましくは0.1~50、さらに好ましくは0.2~10の範囲で選択することが望ましい。
さらに、成分(III)として、有機アルミニウムオキシ化合物と、ボラン化合物、ボレート化合物との混合物を用いる場合にあっては、混合物における各化合物について、成分(I)及び成分(II)に含まれる遷移金属(M)の合計量に対して上記と同様な使用割合で選択することが望ましい。
成分(IV)の使用量は、成分(I)及び成分(II)に含まれる遷移金属の合計量が成分(IV)1g当たり、0.0001mmol~5mmol、好ましくは0.001mmol~0.5mmol、さらに好ましくは0.01mmol~0.1mmolである。
成分(I)、成分(II)、成分(III)及び成分(IV)を前記接触方法(1)~(3)のいずれかで相互に接触させることでオレフィン重合用触媒が得られるが、接触工程に続き、未反応物や不要な生成物を除去するための洗浄工程を実施した後に、溶媒を除去してもよい。
洗浄工程においては、オレフィン重合用触媒を沈降させ、その後に不要な上澄み液を抜き出してから新たな溶媒を追加し攪拌均一化させる方法、前記の攪拌均一化を繰り返す方法、フィルター装置を使って洗浄する方法などが用いられる。洗浄工程で使用される溶媒は、成分(I)~(IV)の接触で用いることができる溶媒が用いられる。また、洗浄工程の途中で溶媒を変更することもできる。
溶媒を除去する工程としては、溶媒の沸点に応じた圧力において溶媒を蒸発させる留去方法や、乾燥した不活性ガスの気流によって溶媒を気化させる方法などを用いることができる。溶媒の除去は、常圧下または減圧下、0℃~200℃、好ましくは20℃~150℃で1分~50時間、好ましくは10分~10時間で行うことが望ましい。
洗浄工程後に得られたオレフィン重合用触媒はスラリー状態で取り扱い或いは保管することができ、溶媒を除去する工程で得られたオレフィン重合用触媒は、粉末状固体触媒として取り扱い或いは保管することができる。
なお、オレフィン重合用触媒は、以下の方法によっても得ることができる。
方法(4):
成分(I)及び成分(II)と微粒子担体である成分(IV)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で助触媒である成分(III)と接触させる。
方法(5):
助触媒である成分(III)と微粒子担体である成分(IV)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で触媒活性成分である成分(I)及び成分(II)と接触させる。
上記方法(4)及び上記方法(5)の場合も、成分比、接触条件および溶媒除去条件は、前記と同様の条件を採用できる。
また、助触媒である成分(III)と微粒子担体である成分(IV)とを兼ねる成分として、層状珪酸塩を用いることもできる。層状珪酸塩とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる珪酸塩化合物である。大部分の層状珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、層状珪酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
一般に、天然品は、非イオン交換性(非膨潤性)であることが多く、その場合は好ましいイオン交換性(ないし膨潤性)を有するものとするために、イオン交換性(ないし膨潤性)を付与するための処理を行うことが好ましい。そのような処理のうちで特に好ましいものとしては、次のような化学処理が挙げられる。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状珪酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。
具体的には、(イ)塩酸、硫酸等を用いて行う酸処理、(ロ)NaOH、KOH、N H等を用いて行うアルカリ処理、(ハ)周期表第2族から第14族から選ばれた少なくとも1種の原子を含む陽イオンとハロゲン原子または無機酸由来の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも1種の陰イオンからなる塩類を用いた塩類処理、(ニ)アルコール、炭化水素化合物、ホルムアミド、アニリン等の有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
前記層状珪酸塩は、全ての工程の前、間、後のいずれの時点においても、粉砕、造粒、分粒、分別等によって粒子性状を制御することができる。その方法は、合目的的な任意のものであり得る。特に、造粒法について示せば、例えば、噴霧造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、ブリケッティング法、コンパクティング法、押出造粒法、流動層造粒法、乳化造粒法および液中造粒法等が挙げられる。特に好ましい造粒法は、上記の内、噴霧造粒法、転動造粒法および圧縮造粒法である。
上記した層状珪酸塩は、もちろんそのまま用いることもできるが、これらの層状珪酸塩をトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物やAl-O-Al結合を含む有機アルミニウムオキシ化合物と組み合わせて用いることができる。
触媒活性成分である成分(I)及び成分(II)を、層状珪酸塩に担持するには、成分(I)及び成分(II)と層状珪酸塩を相互に接触させる、あるいは成分(I)及び成分(II)、有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウムオキシ化合物、及び、層状珪酸塩を相互に接触させてもよい。
各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
方法(6):
成分(I)及び成分(II)と有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウムオキシ化合物を接触させた後、層状珪酸塩担体と接触させる。
方法(7):
成分(I)及び成分(II)と層状珪酸塩担体を接触させた後、有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウムオキシ化合物と接触させる。
方法(8):
有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウムオキシ化合物と層状珪酸塩担体を接触させた後、成分(I)及び成分(II)と接触させる。
これらの接触方法の中で方法(6)と方法(8)が好ましい。いずれの接触方法においても、通常は窒素またはアルゴンなどの不活性雰囲気中、一般にベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素(通常炭素数は6~12)、ヘプタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素(通常炭素数5~12)等の液状不活性炭化水素の存在下、撹拌下または非撹拌下に各成分を接触させる方法が採用される。
成分(I)及び成分(II)を層状珪酸塩に担持する場合の担持、溶媒洗浄および溶媒除去の方法は、前記の無機物担体と同様の条件を採用できる。
触媒活性成分である成分(I)及び成分(II)と、有機アルミニウム化合物または有機アルミニウムオキシ化合物、層状珪酸塩担体の使用割合は、特に限定されないが、以下の範囲が好ましい。
成分(I)及び成分(II)の担持量は、層状珪酸塩担体1gあたり、成分(I)及び成分(II)に含まれる遷移金属(M)の合計量が、0.0001mmol~5mmol、好ましくは0.001mmol~0.5mmol、さらに好ましくは0.01mmol~0.1mmolである。
また、有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウムオキシ化合物を用いる場合、成分(I)及び成分(II)に含まれる遷移金属(M)の合計量に対する、有機アルミニウム化合物又は有機アルミニウムオキシ化合物に含まれるAl原子のモル比(Al/M)は、0.01~100、好ましくは0.1~50、さらに好ましくは0.2~10の範囲であることが望ましい。
IV.オレフィン重合用触媒の予備重合
こうして得られるオレフィン重合用触媒は、重合槽内で、あるいは重合槽外で、オレフィンの存在下で予備重合を行ってもよい。オレフィンとは炭素間二重結合を少なくとも1個含む炭化水素をいい、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチルブテン-1、スチレン、ジビニルベンゼン等が例示されるが、特に種類に制限はなく、これらと他のオレフィンとの混合物を用いてもよい。好ましくはエチレン、プロピレンである。さらに好ましくはエチレンである。
予備重合を行う際のオレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
予備重合時間は、特に限定されないが、5分~24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量がポリオレフィン重合用触媒の1重量部に対し、好ましくは0.01重量部~100重量部、さらに好ましくは0.1重量部~50重量部である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
予備重合温度は、特に制限は無いが、0℃~100℃が好ましく、より好ましくは10℃~70℃、特に好ましくは20℃~60℃、さらに好ましくは30℃~50℃である。この範囲を下回ると反応速度が低下したり、活性化反応が進行しないという弊害が生じる可能性があり、上回ると予備重合ポリマーが溶解したり、予備重合速度が速すぎて粒子性状が悪化したり、副反応のため活性点が失活するという弊害が生じる可能性がある。
予備重合は有機溶媒等の液体中で実施することも出来、かつこれが好ましい。予備重合時の固体触媒の濃度には特に制限は無いが、好ましくは50g/L以上、より好ましくは60g/L以上、特に好ましくは70g/L以上である。濃度が高い方が成分(I)及び成分(II)の活性化が進行し、高活性触媒となる。
さらに、オレフィン重合用触媒とオレフィンの接触の際、もしくは接触の後の接触混合物中に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
予備重合後に触媒を乾燥してもよい。乾燥方法には特に制限は無いが、減圧乾燥や加熱乾燥、乾燥ガスを流通させることによる乾燥などが例示され、これらの方法を単独で用いても良いし2 つ以上の方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥工程において触媒を攪拌、振動、流動させてもよいし静置させてもよい。
V.オレフィンの重合
本発明により得られたオレフィン重合用触媒は、オレフィン単独あるいは該オレフィンと他のコモノマーの重合に用いられる。
重合し得るオレフィンとしては、炭素数2~20程度のものが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、スチレン、ジビニルベンゼン、7-メチル-1,7-オクタジエン、シクロペンテン、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。好ましくは、炭素数2~8のα-オレフィンである。
共重合の場合、コモノマーとしては、前記オレフィンとして挙げられるものの中から、主成分となるオレフィン以外のオレフィンを選択して用いることができる。
エチレン系共重合体を製造する場合、オレフィンコモノマーとしては、炭素数3~8のα-オレフィンを用いることが好ましく、炭素数4~6のα-オレフィンを用いることがさらに好ましい。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる方法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合、又は予備重合を行う方法も適用される。これらの中では、スラリー法が好ましい。
また、水素濃度、モノマー濃度、重合圧力、重合温度等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段階重合行う方法も適用される。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、イソブタン、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。重合温度は0℃~150℃であり、また分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。重合圧力は0MPa~200MPa、好ましくは0MPa~6MPaが適当である。
共重合の場合、反応系中の各モノマーの量比は、経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することも便利であるし、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることも可能である。また、共重合反応比を考慮してモノマーのいずれかを分割添加することもできる。
一般的にエチレン系重合体を重合する際には、 重合反応器へのポリマーの静電気付着を抑制するため、例えば、Innospec社製(代理店丸和物産)の製品名Stadisや製品名STATSAFE等の静電気防止剤を使用することも可能である。StadisやSTATSAFE等の静電気防止剤は、不活性炭化水素媒体に希釈したものをポンプ等により重合反応器に添加することもできる。
添加方法には、オレフィン重合用触媒に事前に添加する方法や、重合反応器に添加する方法などがあるが、添加量としては、スラリー重合の場合には、溶媒に対して0.1ppm~500ppmが好ましく、1ppm~50ppmがより好ましい。また、気相法の場合には、単位時間当たりのエチレン系重合体の生産量に対して、1ppm~500ppmが好ましく、10ppm~100ppmがより好ましい。
生成重合体の分子量は、重合温度を変えることや、重合反応器内に水素を添加することなどで調節することができるが、水素の添加で調節する方法が好ましく用いられる。水素が遷移金属とポリマー鎖との結合に挿入して水素による連鎖移動反応が起き、ポリマー鎖は遷移金属との結合をなくし、それ以上分子量が長くならなくなる。したがって、水素添加量を多くして、反応器内の水素濃度を高くすると分子量が小さくなり、添加量を少なくして水素濃度を低くすると分子量が高くなる。
この水素による連鎖移動反応の起きやすさは、個々のオレフィン重合用触媒で変化し、したがって、使用する遷移金属化合物によって分子量を制御できる。本発明において用いる成分(I)からできるオレフィン重合用触媒は水素による連鎖移動反応が起きやすく、そのために分子量の低いポリマーを生成させるのに適切であり、反対に成分(II)からできるオレフィン重合用触媒は水素による連鎖移動反応が起きにくく、分子量の高いポリマーを生成させるのに適切である。
生成重合体の分子量分布は、前記成分(I)および成分(II)の種類とオレフィン重合用触媒に含有される成分(I)および成分(II)の量によって制御できる。
分子量分布を広げるには、水素による連鎖移動反応の差が大きくなるような成分(I)と成分(II)の組み合わせを用いて制御することができ、本発明における成分(I)及び成分(II)は好適な組み合わせである。
次に、分子量分布の形、すなわち低分子量のポリマー成分が多いのか、高分子量のポリマーが多いのかを制御するには、成分(I)及び成分(II)の量を変えることで制御できる。
生成重合体の密度は共重合に用いるコモノマーの重合反応器内の濃度で制御できる。コモノマーの供給量を増やして重合反応器内の濃度を高くすると、ポリマー中のモノマー連鎖に取り込まれるコモノマーが増加し、ポリマーの結晶化を阻害して密度が低下する。
重合においては、1つの反応器を使う以外に複数の反応器を用いる多段階の重合方法も用いられる。これは反応条件の同じまたは異なる反応器を接続し、1つ目の反応器で製造したポリマーを溶媒とともに、または溶媒を含まず、連続または間欠的に2つ目の反応器に供給し、2つ目の反応条件下においてポリマーの製造を継続するものである。反応器の数に制約はないが、好ましくは2または3段階の反応器が用いられる。1つ目の反応条件と2つ目以降の反応条件との間で、重合温度、重合圧力、モノマー濃度、コモノマー濃度、水素濃度など多様な条件を変更することで、それぞれの反応器で製造されるポリマーの混合物が得られる。水素濃度を変えることで分子量分布を広げることが可能となり、水素濃度に加え、コモノマー濃度を変えることを併用すれば、分子量ごとにコモノマー含量の異なるポリマーを製造することが可能になる。さらにモノマー濃度や重合温度を変えて反応器ごとのポリマー生成量を変えることで、反応器ごとに生成されるポリマーの量比を制御することも可能である。
多段重合においては、2段目以降に1段目とは異なるまたは同じオレフィン重合用触媒を追加してもよく、反応器を接続する間に未反応のガスを除去する装置を付与してもよい。
また、重合系中に、水分除去を目的とした成分、いわゆるスカベンジャーを加えてもよい。なお、かかるスカベンジャーとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、前記有機アルミニウムオキシ化合物、分岐アルキルを含有する変性有機アルミニウム化合物、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛などの有機亜鉛化合物、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウムなどの有機マグネシウム化合物、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリドなどのグリニヤ化合物などが使用される。これらのなかでは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、エチルブチルマグネシウムが好ましく、トリエチルアルミニウムが特に好ましい。
VI.得られるオレフィン系共重合体の物性
本発明のオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンを共重合させることにより、充分に分子量分布が広く、高分子量側に分布が広がっており、且つ、分子量分布の高分子量側領域に充分な量の分岐鎖を含むオレフィン系共重合体を製造することができる。
得られたオレフィン系共重合体は、溶融時の流動性が高く、かつ、溶融強度および高歪み側での伸長粘度が高いため成形性に優れているだけでなく、剛性と強度や耐久性とのバランスにも優れており、プラスチック成形材料として好適に用いられる。
特に、本発明のオレフィン重合用触媒を用いて得られたエチレン系共重合体は、溶融時流動性、溶融強度および高歪み側での伸長粘度が高く成形性に優れているだけでなく、剛性と強度や耐久性とのバランスにも優れている高密度ポリエチレン(HDPE)グレード用途のプラスチック成形材料として好適に用いられる。
本発明のオレフィン重合用触媒を用いて製造されたオレフィン系共重合体は、別の重合体と混合して使用してもよい。 また当該オレフィン系共重合体は、重合体以外にも各種添加剤を混合したのち、溶融混錬されてから使うこともできる。
本発明においては、以下の物性を有し、高密度ポリエチレン(HDPE)グレード用途に適したエチレン系共重合体が得られる。
(1)MFR(190℃、2.16kg荷重)
本発明において得られるエチレン系重合体のメルトフローレート、すなわち、MFR(190℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.001g/10分~1000g/10分であり、より好ましくは0.005g/10分~200g/10分であり、更に好ましくは0.01g/10分~50g/10分、特に好ましくは0.02g/10分~5.0g/10分である。
(2)HLMFR(190℃℃、21.6kg荷重)
本発明において得られるエチレン系重合体のハイロードメルトフローレート、すなわち、HLMFR(190℃、21.6kg荷重)は、好ましくは0.01g/10分~1000g/10分であり、より好ましくは0.1g/10分~500g/10分であり、更に好ましくは1.0g/10分~300g/10分、特に好ましくは2.0g/10分~100g/10分である。
(3)密度
本発明において得られるエチレン系重合体の密度は、好ましくは0.850g/cm~0.980g/cmであり、より好ましくは0.935g/cm~0.970g/cmであり、更に好ましくは0.945g/cm~0.965g/cmである。
(4)分子量分布(Mw/Mn)
本発明において得られるエチレン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは6.0以上~60以下であり、より好ましくは8.0~50、更に好ましくは10~40、特に好ましくは15~25である。
本発明において、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)から計算される。
(5)低分子量側のコモノマー含有量に対する高分子側のコモノマー含有量の比
オレフィン系重合体の分子量分布の低分子量側のコモノマー含有量に対する、オレフィン系重合体の分子量分布の高分子量側のコモノマー含有量の比(高分子側コモノマー含有量/低分子量側コモノマー含有量)は、好ましくは4倍以上、さらに好ましくは8倍以上、さらに好ましくは10倍以上である。
本発明においては、次のような実験により、比(高分子側コモノマー含有量/低分子量側コモノマー含有量)を特定する。
[比(高分子側コモノマー含有量/低分子量側コモノマー含有量)の特定方法]
成分(I)、成分(III)及び(IV)を含むが成分(II)を含まないオレフィン重合用触媒、及び、成分(II)、成分(III)及び(IV)を含むが成分(I)を含まないオレフィン重合用触媒を調製し、これら触媒をそれぞれ用いて同じ重合条件でオレフィン系重合体を製造する。
そして、成分(I)を含む触媒を用いて得られた低分子量の共重合体に含まれる分岐の数と、成分(II)を含む触媒を用いて得られた高分子量の共重合体に含まれる分岐の数を測定し、比(高分子側コモノマー含有量/低分子量側コモノマー含有量)を計算する。
得られた比の値を、成分(I)、成分(II)、成分(III)及び(IV)を含むオレフィン重合用触媒を用いて得られたオレフィン系重合体の比(高分子側コモノマー含有量/低分子量側コモノマー含有量)であると特定する。
(6)溶融張力(MT)
本発明において得られるエチレン系重合体の溶融張力(MT)は、測定温度190℃において、好ましくは50mN以上であり、より好ましくは60mN以上であり、更に好ましくは70mN以上である。
溶融張力は、MFRやHLMFRで制御することができる。また、分子量分布によっても溶融張力を調節できる。MFRやHLMFRを小さくすると溶融張力は大きくなり、分子量分布を広げても溶融張力は大きくなる。さらに、溶融張力は長鎖分岐の影響も受け、長鎖分岐の量が多いほど溶融張力は大きい。溶融張力が上記範囲にあると、耐ドローダウンが良好で成形が容易になる。
(7)引張衝撃強度(TIS)
本発明において得られるエチレン系重合体の引張衝撃強度(TIS)は、好ましくは100kJ/m以上であり、より好ましくは150kJ/m以上であり、更に好ましくは200kJ/m以上である。
本発明において、引張衝撃強度(TIS)は、ASTM D1822 Type-Sの形状の試験片を用いて、JIS K 7160-1996のB法に準拠して測定される。
引張衝撃強度(TIS)は重量平均分子量や分子量分布、および密度により制御できる。分子量を大きくすることや分子量分布を狭くすること、および密度を下げることが衝撃強度を高くすることにつながるが、その反面、成形性とトレードオフの関係にある。
(8)耐環境応力亀裂性
本発明において得られるエチレン系重合体は、ISO 16770に準拠して行う全周囲ノッチ式クリープ試験(FNCT)の破断時間が、好ましくは20時間以上であり、より好ましくは180時間以上であり、更に好ましくは600時間以上である。
耐環境応力亀裂性は主に密度によっても変化する。コモノマー含量を増やして密度を下げると耐環境応力亀裂性(FNCT)は高くなる。低分子量側に含まれるコモノマー含量による影響は小さいが、高分子量側に含まれるコモノマー含量が大きな影響を持つ。高分子量側に含まれるコモノマー含量が増加するとFNCTの破断時間は長くなる。また、耐環境応力亀裂性は、高分子量成分が多く含まれることによっても高くなり、高分子量成分が多く含まれるとFNCTの破断時間は長くなる。したがって、破断時間が長くなる重合体としては、高分子量側にコモノマーを含み、かつ十分な量の高分子量成分を持つ重合体である。
以下の実施例および比較例において本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例においては、下記の評価方法を実施し、触媒合成工程および重合工程は、すべて精製窒素雰囲気下で実施し、使用した溶媒は、モレキュラーシーブ4A(商品名、ユニオン昭和株式会社製)で脱水精製したものを用いた。
1.評価方法
(1)MFR(190℃、2.16kg荷重)
MFRは、JIS K6760に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
(2)HLMFR(190℃℃、21.6kg荷重)
HLMFRは、JIS K6922-2:1997に準拠し、温度190℃、荷重21.6kgの条件で測定した。
(3)密度
密度は、JIS K6922-1,2:1997に準拠して測定した。
(4)分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を以下に示す条件で実施し、保持容量から分子量へ換算することにより数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を計算した。
[GPC装置、測定条件]
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o-ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
[試料の調製]
試料を、140℃で約1時間を要してODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)中に溶解させ、濃度1mg/mLの試料溶液を調製した。
[保持容量から分子量への換算]
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行った。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々の標準ポリスチレンが0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10-4、α=0.7
PE:K=3.92×10-4、α=0.733
PP:K=1.03×10-4、α=0.78
(5)重合体のコモノマー含量と末端ビニル基含量の測定(NMR分析)
成分(I)を含むが成分(II)を含まない触媒または成分(II)を含むが成分(I)を含まない触媒を用いて製造したエチレン系重合体を80℃で2時間の真空乾燥した後、190℃でプレスし、プレスフィルムを作成した。そのプレスフィルム約200mgとODCB系混合溶媒をNMR試料管に入れ、150℃のブロックヒーターで均一に溶解し、試料溶液を調製した。この試料溶液を用い、13C-NMRおよび1H-NMRを実施し、測定結果からエチレン系重合体のコモノマー含量(ブチル分岐数として求めた)と末端ビニル基含量を特定した。
[装置]
装置:ブルカー・ジャパン社製 AVANCE400
プローブ:10mmφクライオプローブ(Type:CP2.1 DUL 400S1 C-H-D-10 Z XT)
測定温度:120℃
[13C-NMR条件]
1H完全デカップル、45°パルス、取り込み時間2.5秒、待ち時間0.26秒、積算10240~5120回によって得られる23.3ppmのブチル分岐のピーク面積を30ppmの-CH2-主鎖の面積で割った値から、炭素数1000個当たりのブチル分岐数(ブチル分岐数/1000C)を求めた。
[1H-NMR条件]
溶媒事前飽和、4.5°パルス、取り込み時間1.8秒、待ち時間0.2秒、積算2048~1024回によって得られる4.8~6ppmの末端H2C=C(H)-R由来のピーク面積と1.3ppmの-CH2-主鎖由来のピーク面積から、炭素数1000個当たりの末端ビニル数(末端ビニル数/1000C)を求めた。
(6)重合体のコモノマー含量の分子量依存性(GPC-IR分析)
成分(I)及び成分(II)を含む触媒を用いて製造したエチレン系重合体についてGPC-IR測定を実施し、分子量の推移とコモノマー由来の短鎖分岐数の相関関係を観察した。GPC-IRは以下の装置と条件は次の通りである。
[装置]
装置:Ploymer Char社製GPC-IR 検出器:IR-6
カラム:昭和電工社製HT-806M(2本)
移動相溶媒:o-ジクロロベンゼン(酸化防止剤としてトリメチルフェノール3.6g/18L添加)
測定温度:145℃ 流速:1.0ml/分 注入量:20μL
[試料の調製]
試料はバイアル瓶に約1mg/ml濃度で溶解して測定に用いた。
検量線は、標準ポリスチレンにより作成し、Qファクターを用いてポリエチレンに換算した。QファクターはPloymer Char社のソフトにデフォルトで入っていた値で-0.3649を使った。使用した標準ポリスチレンはShowdex Standard SM-105(商品名、昭和電工社製)のサンプルセット、およびn-エイコサン、n-テトラコンタンを用いた。なおn-エイコサン、n-テトラコンタンの分子量はQファクターを用いてポリスチレンに換算した。
(7)溶融張力(MT)
溶融させたエチレン系重合体を一定速度で延伸したときの応力を測定することにより決定され、下記条件により測定した。
[測定条件]
使用機種:東洋精機製作所製、キャピログラフ1B
ノズル径:2.095mm
ノズル長さ:8.0mm
流入角度:180°(flat)
押出速度:15mm/min
引き取り速度:6.5m/min
測定温度:190℃
(8)引張衝撃強度(TIS)
[引張衝撃強さ試験サンプルの作製方法]
試料を、厚さ1mmの加熱プレス用モールドに入れ、表面温度230℃の熱プレス機中で5分間予熱後、加圧と減圧を繰り返すことで試料を溶融すると共に試料中の残留気体を脱気し、更に4.9MPaで加圧し、5分間保持した。その後、4.9MPaの圧力をかけた状態で、10℃/分の速度で徐々に冷却し、温度が室温付近まで低下したところでモールドから成形板を取り出した。得られた成形板を温度23±2℃、湿度50±5℃の環境下で48時間以上、状態調節した。状態調節後のプレス板からASTM D1822 Type-Sの形状の試験片を打ち抜き、引張衝撃強さ試験サンプルとした。
[引張衝撃強さ試験条件(TIS)]
上記試験片を用い、JIS K 7160-1996のB法に準拠して引張衝撃強さを測定した。なお、JIS K 7160-1996と異なるのは、試験片の形状のみである。その他測定条件等に関しては、JIS K 7160-1996に準じた方法で試験を実施した。
(9)耐環境応力亀裂性(FNCT)
全周囲ノッチ式クリープ試験(FNCT)を、ISO 16770に準拠して行った。試料は、6mm×6mm×11mmの大きさの角柱の全周囲にカミソリ刃にて1mmのノッチが付けられ、4mm×4mmの大きさの断面を有した試験片を用意し、80℃の純水中で、3.7MPaに相当する引張応力を試験片に与え、試験片が破断するまでの時間を計測して、FNCTの破断時間とした。
2.成分(I)及び成分(II)の合成例
[合成例1]
{o-キシレン-α,α’-ビス-(η5-1-インデニル)-ジルコニウム}ジクロリド(以下、メタロセンI-1と略称する)の合成:
メタロセンI-1は、前記表1の化合物番号5である。特開平9-286812の実施例1、およびJournal of Organometallic Chemistry 535(1997)29-32記載の化合物1aの合成例を参考に、メタロセンI-1を合成した。
[合成例2]
{3,4-ジメチル-o-キシレン-α,α’-ビス-(η5-1-インデニル)-ジルコニウム}ジクロリド(以下、メタロセンI-2と略称する)の合成:
(2-1)3,4-ジメチル-α,α’-ジクロロ-o-キシレンの合成
500mlフラスコに、o-キシレン10.00g(0.09419mol)、濃塩酸94.20ml(0.9487mol)を加え、0℃まで冷却した。ここに1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート8.55g(0.0377mol)とパラホルムアルデヒド8.56g(0.283mol)を加え、70℃で12時間撹拌した。再び濃塩酸94.20ml(0.9487mol)とパラホルムアルデヒド2.85g(0.0942mol)を加え、さらに70℃で12時間撹拌した。反応液を減圧留去で濃縮し、蒸留水200mlを加え、ジクロロメタン200mlで3回抽出を行なった。得られた有機相を蒸留水200mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラム(石油エーテル)で精製し、3,4-ジメチル-α,α’-ジクロロ-o-キシレンの白色粉末18.00g(収率94%)を得た。
(2-2)α,α’-ビス-(1-インデニル)-3,4-ジメチル-o-キシレンの合成
500mlフラスコに、インデン17.16g(0.1477mol)、THF200mlを加え、-78℃まで冷却した。ここにn-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(2.5M)55.14ml(0.1379mol)を滴下し、室温に戻し2時間撹拌した。再び-78℃まで冷却し、3,4-ジメチル-α,α’-ジクロロ-o-キシレン10.00g(0.04923mol)のTHF50ml溶液を滴下し、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。反応液を蒸留水200mlにゆっくり注ぎ、ジクロロメタン250mlで3回抽出を行なった。得られた有機相を飽和食塩水120mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製し、α,α’-ビス-(1-インデニル)-3,4-ジメチル-o-キシレンの黄色オイル12.00g(収率67%)を得た。
(2-3){3,4-ジメチル-o-キシレン-α,α’-ビス-(η5-1-インデニル)-ジルコニウム}ジクロリドの合成
200mlフラスコに、α,α’-ビス-(1-インデニル)-3,4-ジメチル-o-キシレン1.99g(5.49mmol)、THF60mlを加え、-78℃まで冷却した。ここにn-ブチルリチウム/n-ヘキサン溶液(1.58M)7.20ml(11.4mmol)を滴下し、室温に戻し3時間撹拌した。そこに、別途準備した四塩化ジルコニウム1.54g(6.61mmol)/n-ヘキサン10ml/THF40ml溶液を0℃で加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。反応液から溶媒を減圧留去することで、黄色粉末が得られた。この粉末に室温でトルエン35mlを加え30分間撹拌した。不溶分をろ過で除き、得られたろ液から溶媒を減圧留去することで、再び黄色粉末が得られた。得られた黄色粉末をジクロロメタン/n-ヘキサンの混合溶媒で再結晶し、{3,4-ジメチル-o-キシレン-α,α’-ビス-(η5-1-インデニル)-ジルコニウム}ジクロリドの黄色粉末0.284g(収率10%)を得た。
H-NMR値(CDCl):δ2.35(s,6H),δ3.99(d,2H),δ4.13(d,2H),δ5.97(d,2H),δ6.01(d,2H),δ7.12(dd,2H),δ7.19(s,2H),δ7.31(dd,2H),δ7.42(d,2H),δ7.64(d,2H)。
[合成例3]
{o-キシレン-α,α’-ビス-(η5-(5,6-ジメチル)-1-インデニル)-ジルコニウム}ジクロリド(以下、メタロセンI-3と略称する)の合成:
特開平9-286812号の実施例7に記載の手順に従って合成した。
[合成例4]
ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(以下、メタロセンI-4と略称する)は、富士フィルム和光純薬(株)より入手した。
[合成例5]
{ラセミ-ジメチルシリレンビス(2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル)ジルコニウム}ジクロリド(以下、メタロセンII-1と略称する)の合成:
メタロセンII-1は、前記式(2-1)で表される化合物である。特願2011-008562の合成例1に記載の手順に従って配位子を合成し、四塩化ハフニウムの代わりに四塩化ジルコニウムを用いて、メタロセンII-1を合成した。
[合成例6]
ラセミ-ジメチルシリレンビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド(以下、メタロセンII-2と略称する)の合成:
メタロセンII-2は、Organometallics、1994、vol.13、pp.954-963に記載の手順に従って合成した。
[合成例7]
{ジフェニルメチレン(3-メチル-1-シクロペンタジエニル)(2,7-ジt-ブチル-9-フルオレニル)}ジルコニウムジクロリド(以下、メタロセンII-3と略称する)の合成:
メタロセンII-3は、US2015/0299352A1のManufacturing Example 2に記載の手順に従って合成した。
3.触媒調製及びエチレン系重合体の製造
[実施例1]
(1)固体触媒の調製
グレース社のsylopol2212の未焼成品を400℃で7時間焼成したシリカゲル3.8gに、トルエン38mlを添加して40℃でスラリー化し、成分(IV)をあらかじめ調製した。
上記工程とは別に、成分(I)としてメタロセンI-1を28mg(58μmol)と成分(II)としてメタロセンII-1を32mg(38μmol)計量した容器に、トルエンを25ml、成分(III)としてメチルアルミノキサントルエン溶液(アルベマール社より購入;MAO濃度20wt%品)を10ml(アルミニウムとして30mmol)添加して室温で1時間攪拌した。メタロセンI-1とメタロセンII-1との合計量のシリカゲル1g当たりの量は、25μmol/gである。
この溶液を、成分(IV)であるシリカゲルのトルエンスラリーに添加した。その後、40℃で1時間攪拌後、減圧にて溶媒を留去し、ピンク色のさらさらとした固体触媒(MIX-1)を得た。
(2)エチレン/ヘキセン共重合
上記(1)で得た固体触媒(MIX-1)を用いてエチレン・1-ヘキセン共重合体を製造した。
すなわち、攪拌および温度制御装置を有する内容積2リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、窒素下で、トリイソブチルアルミニウムを1.0mmol、1-ヘキセンを2ml、反応器の汚れ防止剤としてイノスペック社の製品名Statsafe6000をヘキサンで2vol%に希釈したもの1ml、精製イソブタンを800ml投入し、撹拌しながら70℃へ昇温した。次いで、水素を15ml(0.67mmol)導入後、エチレンを分圧が1MPaになるまで導入した。その後、上記固体触媒(MIX-1)の50mgを窒素ガスで圧入して60分間重合を行った。重合中は70℃を維持するように温度制御を実施し、また、全圧が一定になるようにエチレンを継続的に供給した。
なお、重合反応中、エチレン消費速度に比例して1-ヘキセン、および水素も供給した。その結果、重合開始前のオートクレーブの気相部の水素とエチレンのモル比が0.09mol%に対し、重合終了時は0.1mol%と維持していた。また、重合中に追加した1-ヘキセンは2mlであり、生成したポリエチレンに対して、0.9wt%だった。
重合の結果、142gのさらさらとしたポリエチレンが生成した。重合結果を表2にまとめた。また、得られたポリエチレンのGPC-IRの結果を図1に示した。
メタロセンI-1とメタロセンII-1とを組み合わせることで、分子量分布が広く、コモノマーが優先的に高分子量側に導入されていることが分かる。
[比較例1a]
メタロセンI-1とメタロセンII-1を使う替わりに、メタロセンI-1をシリカゲル1gに対して25μmol用いた以外は、実施例1同様に固体触媒(SI-1)を製造し、実施例1同様にエチレン/ヘキセン共重合を行った。結果を表2にまとめた。
[比較例1b]
メタロセンI-1とメタロセンII-1を使う替わりに、メタロセンII-1をシリカゲル1gに対して25μmol用いた以外は、実施例1同様に固体触媒(SII-1)を製造し、実施例1同様にエチレン/ヘキセン共重合を行った。結果を表2にまとめた。
[実施例2]
(1)固体触媒の調製
成分(I)としてメタロセンI-1の替わりにメタロセンI-2を30mg(58μmol)使用した以外は、実施例1同様に固体触媒を調製し、固体触媒MIX-2を得た。
(2)エチレン/ヘキセン共重合
次いで、55mgのMIX-2を用いて実施例1同様にエチレン/ヘキセン共重合を行った。重合開始前のオートクレーブの気相部の水素とエチレンのモル比が0.08mol%に対し、重合終了時は0.1mol%と維持していた。また、重合中に追加した1-ヘキセンは2mlであり、生成したポリエチレンに対して、1.0wt%だった。
重合の結果、139gのさらさらとしたポリエチレンが生成した。重合結果を表2にまとめた。
[比較例2a]
メタロセンI-1とメタロセンII-1を使う替わりに、メタロセンI-2をシリカゲル1gに対して25μmol用いた以外は、実施例1同様にして固体触媒(SI-2)を製造し、実施例1同様にエチレン/ヘキセン共重合を行った。結果を表2にまとめた。
[実施例3]
(1)固体触媒の調製
成分(I)としてメタロセンI-1の替わりにメタロセンI-3を42mg(76μmol)と成分(II)のメタロセンII-1の使用量を16mg(19μmol)とした以外は、実施例1同様に固体触媒を調製し、固体触媒MIX-3を得た。
(2)エチレン/ヘキセン共重合
次いで、53mgのMIX-3と1-ヘキセンの1mlを用いた以外は実施例1と同様にしてエチレン/ヘキセン共重合を行った。重合開始前のオートクレーブの気相部の水素とエチレンのモル比が0.12mol%に対し、重合終了時は0.06mol%だった。また、重合中に追加した1-ヘキセンは1mlであり、生成したポリエチレンに対して、0.5wt%だった。
重合の結果、134gのさらさらとしたポリエチレンが生成した。重合結果を表2にまとめた。
[比較例3a]
メタロセンI-1とメタロセンII-1を使う替わりに、メタロセンI-3をシリカゲル1gに対して25μmol用いた以外は、実施例1同様にして固体触媒(SI-3)を製造し、実施例1同様にエチレン/ヘキセン共重合を行った。結果を表2にまとめた。
[実施例4]
(1)固体触媒の調製
成分(II)としてメタロセンII-1の替わりにメタロセンII-2を24mg(38μmol)使用した以外は、実施例1同様に固体触媒を調製し、固体触媒MIX-4を得た。
(2)エチレン/ヘキセン共重合
次いで、55mgのMIX-4を用いた以外は実施例1と同様にしてエチレン/ヘキセン共重合を行った。重合開始前のオートクレーブの気相部の水素とエチレンのモル比が0.07mol%に対し、重合終了時は0.06mol%だった。また、重合中に追加した1-ヘキセンは2mlであり、生成したポリエチレンに対して、1.1wt%だった。
重合の結果、119gのさらさらとしたポリエチレンが生成した。重合結果を表2にまとめた。
(3)共重合体の物性評価
得られたエチレン/ヘキセン共重合体は、分子量分布、MT、TIS、FNCTの測定を行った。結果を表4にまとめた。また、得られたポリエチレンのGPC-IRの結果を図2に示した。
[比較例4b]
メタロセンI-1とメタロセンII-1を使う替わりに、メタロセンII-2をシリカゲル1gに対して25μmol用いた以外は、実施例1同様にして固体触媒(SII-2)を製造し、実施例1同様にエチレン/ヘキセン共重合を行った。結果を表2にまとめた。
[実施例5]
(1)固体触媒の調製
成分(II)としてメタロセンII-1の替わりにメタロセンII-3を26mg(38μmol)使用した以外は、実施例1同様に固体触媒を調製し、固体触媒MIX-5を得た。
(2)エチレン/ヘキセン共重合
次いで、52mgのMIX-5を用いた以外は実施例1と同様にしてエチレン/ヘキセン共重合を行った。重合開始前のオートクレーブの気相部の水素とエチレンのモル比が0.09mol%に対し、重合終了時は0.08mol%だった。また、重合中に追加した1-ヘキセンは2mlであり、生成したポリエチレンに対して、0.9wt%だった。
重合の結果、145gのさらさらとしたポリエチレンが生成した。重合結果を表2にまとめた。
[比較例5b]
メタロセンI-1とメタロセンII-1を使う替わりに、メタロセンII-3をシリカゲル1gに対して25μmol用いた以外は、実施例1同様にして固体触媒(SII-3)を製造した。次いで、水素の15ml(0.67mmol)を50ml(2.2mmol)とした以外は実施例1同様にエチレン/ヘキセン共重合を行った。結果を表2にまとめた。
なお、SII-3を用いて実施例1と同じ水素濃度で重合すると流動しないポリエチレンが得られたので、水素濃度を高くして実施した。
[実施例6]
(1)固体触媒の調製
成分(I)としてメタロセンI-1の使用量を34mg(68μmol)、成分(II)としてメタロセンII-1の使用量を19mg(23μmol)とした以外は、実施例1同様に固体触媒を調製し、固体触媒MIX-6を得た。
(2)エチレン/ヘキセン共重合
次いで、31mgのMIX-6を用い、水素を30ml(1.3mmol)とした以外は実施例1と同様にしてエチレン/ヘキセン共重合を行った。重合開始前のオートクレーブの気相部の水素とエチレンのモル比が0.18mol%に対し、重合終了時は0.13mol%だった。また、重合中に追加した1-ヘキセンは1mlであり、生成したポリエチレンに対して、0.9wt%だった。
重合の結果、78gのさらさらとしたポリエチレンが生成した。
(3)共重合体の物性評価
得られたエチレン/ヘキセン共重合体は、分子量分布、MT、TIS、FNCTの測定を行った。結果を表4にまとめた。
[実施例7]
(1)固体触媒の調製
成分(I)としてメタロセンI-1の使用量を32mg(65μmol)、成分(II)としてメタロセンII-1の使用量を19mg(30μmol)とした以外は、実施例1同様に固体触媒を調製し、固体触媒MIX-7を得た。
(2)エチレン/ヘキセン共重合
次いで、42mgのMIX-7を用い、水素を25ml(1.1mmol)、90℃として0.9時間の重合とした以外は実施例1と同様にしてエチレン/ヘキセン共重合を行った。重合開始前のオートクレーブの気相部の水素とエチレンのモル比が0.14mol%に対し、重合終了時は0.09mol%だった。また、重合中に追加した1-ヘキセンは2mlであり、生成したポリエチレンに対して、0.9wt%だった。
重合の結果、150gのさらさらとしたポリエチレンが生成した。
(3)共重合体の物性評価
得られたエチレン/ヘキセン共重合体は、分子量分布、MT、TIS、FNCTの測定を行った。結果を表4にまとめた。また、得られたポリエチレンのGPC-IRの結果を図3に示した。
[比較例6]
(1)固体触媒の調製
成分(I)としてメタロセンI-1の替わりにメタロセンI-4を23mg(58μmol)、成分(II)としてメタロセンII-1の替わりにメタロセンII-2を24mg(38μmol)使用した以外は、実施例1同様に固体触媒を調製し、固体触媒MIX-8を得た。
(2)エチレン/ヘキセン共重合
次いで、53mgのMIX-8を用い、水素を38ml(1.7mmol)とし、1-ヘキセンを1mlとした以外は実施例1と同様にしてエチレン/ヘキセン共重合を行った。重合開始前のオートクレーブの気相部の水素とエチレンのモル比が0.19mol%に対し、重合終了時は0.11mol%だった。また、重合中に追加した1-ヘキセンは1mlであり、生成したポリエチレンに対して、0.5wt%だった。
重合の結果、130gのさらさらとしたポリエチレンが生成した。
(3)共重合体の物性評価
得られたエチレン/ヘキセン共重合体は、分子量分布、MT、TIS、FNCTの測定を行った。結果を表4にまとめた。
[比較例7]
商品名エボリューH SP6505(プライムポリマー社製、メタロセン触媒を用いたスラリー法多段重合プロセスより得られる中・高密度ポリエチレン)について物性測定を行い、結果を表4にまとめた。
[比較例8]
商品名ノバテックHD HB431(日本ポリエチレン社製、高密度ポリエチレン)について物性測定した結果を表4にまとめた。
[参考例]
以下は、実施例に用いた遷移金属化合物の特徴を示すために実施した例である。メタロセンI-1とメタロセンII-1の組み合わせにより、ブチル分岐数の比が13倍のように高い値であることが分かる。
[参考例1]
固体触媒SI-1を用い、1-ヘキセンを6mlとした以外は、実施例1と同様にエチレン/1-ヘキセンの共重合を行った。得られたポリエチレンのNMR分析により、ブチル分岐数と末端ビニル数を求めた。結果を表3にまとめた。
[参考例2]
固体触媒SII-1を用い、1-ヘキセンを6mlとした以外は、実施例1と同様にエチレン/1-ヘキセンの共重合を行った。得られたポリエチレンのNMR分析により、ブチル分岐数と末端ビニル数を求めた。結果を表3にまとめた。
[参考例3]
固体触媒SI-2を用い、1-ヘキセンを6mlとした以外は、実施例1と同様にエチレン/1-ヘキセンの共重合を行った。得られたポリエチレンのNMR分析により、ブチル分岐数と末端ビニル数を求めた。結果を表3にまとめた。
[参考例4]
固体触媒SI-3を用い、1-ヘキセンを6mlとした以外は、実施例1と同様にエチレン/1-ヘキセンの共重合を行った。得られたポリエチレンのNMR分析により、ブチル分岐数と末端ビニル数を求めた。結果を表3にまとめた。
[参考例5]
固体触媒SII-2を用い、水素を75ml(3.3mmol)、1-ヘキセンを6mlとした以外は、実施例1と同様にエチレン/1-ヘキセンの共重合を行った。得られたポリエチレンのNMR分析により、ブチル分岐数と末端ビニル数を求めた。結果を表3にまとめた。
[参考例6]
固体触媒SII-3を用い、水素を70ml(3.1mmol)、1-ヘキセンを6mlとした以外は、実施例1と同様にエチレン/1-ヘキセンの共重合を行った。得られたポリエチレンのNMR分析により、ブチル分岐数と末端ビニル数を求めた。結果を表3にまとめた。
Figure 2022013902000024
(*1)重合活性単位:g/g/h/MPa(エチレン分圧)
重合活性は、固体触媒1g、重合時間1時間、エチレン分圧1MPa当たりの重合体生成量(単位:g)である。
(*2)重合中の反応器気相部分のガス分析により求めた平均値(単位:mol%)である。
Figure 2022013902000025
Figure 2022013902000026
4.考察
表2の比較例1a及び比較例1bから、触媒活性成分として成分(I)又は成分(II)を単独で用いる場合には、得られるエチレン系重合体の分子量分布が狭いことが分かる。
これに対し、実施例1は、メタロセンI-1とメタロセンII-1とを組み合わせることで、得られるエチレン系重合体の分子量分布が広いことが分かる。同様に、比較例2aと比較例1bに対する実施例2、比較例3aと比較例1bに対する実施例3、比較例1aと比較例4bに対する実施例4、比較例1aと比較例5bに対する実施例5において分子量分布が広がっていることわかる。
図1に、実施例1のGPC-IR分析の結果を示す。SCB(Short Chain Branch)は、IR分析で検出されたCH基の強度から求めた短鎖分岐数を意味し、本実施例の場合、コモノマーであるヘキセンを共重合することにより生成する炭素数4の分岐鎖数を示している。なお、LogM<4未満の領域でSCBが大きくなっているのは、ポリエチレン分子末端CH基の検出による誤差を含んでいるためであり、真にSCBが多いわけではない。
図1において、logMが4.5のピークを持つ低分子側ポリエチレンが成分(I)のメタロセンI-1を含む固体触媒(SI-1)の触媒反応から生じたものであり、logMが5.9のピークを持つ高分子量側ポリエチレンが成分(II)のメタロセンII-1を含む固体触媒(SII-1)の触媒反応から生じたものであると考えられる。
各々のピークにおけるSCBを読み取ると、メタロセンI-1由来のSCBはほぼ0であり、メタロセンII-1由来のSCBは2.5である。仮にメタロセンI-1由来のSCBを多くても0.1と見積もれば、実施例1で得られたポリエチレンの高分子量側領域と低分子量側領域とのヘキセン含量の比(SCBの比)は、2.5/0.1=25倍という高い値であり、成分(I)と成分(II)を組み合わせることにより、オレフィン系重合体の高分子量側に高度にコモノマーを導入することが可能ということを示している。同様の分析結果の例を、実施例4と実施例7についてそれぞれ図2と図3に示した。いずれも高分子量側に高度にコモノマーを導入できていることが分かる。
表3のブチル分岐数は、コモノマーであるヘキセンが共重合されたことにより生成する炭素数4の分岐鎖の数を意味する。
実施例1において成分(II)として使用したメタロセンII-1と、成分(I)として使用したメタロセンI-1を、それぞれ単独で用い、同じ重合条件でエチレン/1-ヘキセンの共重合を行うと、メタロセンII-1由来の共重合体ではブチル分岐数が5.1であるのに対し、メタロセンI-1由来の共重合体ではブチル分岐数が0.4個/1000Cであった。すなわち、比(高分子側コモノマー含有量/低分子量側コモノマー含有量)は、5.1/0.4=13と計算され、13倍もの差があることを示している。
以上の結果から、実施例1は、メタロセンI-1とメタロセンII-1とを組み合わせることで、分子量分布が広く、また、コモノマーが優先的に高分子量側に導入されていることが分かる。このように、成分(II)と成分(I)の特徴は表3の参考例3から参考例6においても同様に示されており、本願の成分(I)と成分(II)の組み合わせにより、高分子量側に高度にコモノマーを導入できる組み合わせであると分かる。
表4では得られたポリエチレンの物性を比較している。比較例6は成分(I)として非架橋メタロセンを用いており、実施例4と比較すると分子量分布が同等でHLMFRがほぼ同等にも関わらず、強度、FNCT、MTすべてにおいて低い。比較例7はメタロセン触媒による二段重合により得られたポリエチレンであり、強度が高く、FNCTも十分高い一方で、MTが低いため成形性は良くない。比較例8は市販のHDPEグレードであり、これに比べて実施例4,6および7は強度、FNCT、MTがいずれも高く、優れている。
本発明のオレフィン重合用触媒成分、オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの共重合を行うことにより、充分に分子量分布が広く、高分子量側に分布が広がっており、且つ、分子量分布の高分子量側領域に充分な量の分岐鎖を含むオレフィン系重合体を製造することができるため、成形性、及び、剛性と強度や耐久性とのバランスに優れたオレフィン系共重合体を製造するために利用することができ、特に、高密度ポリエチレン(HDPE)グレード用途に適したエチレン系共重合体を製造するために好適に利用できる。

Claims (11)

  1. 以下の成分(I)及び成分(II)を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒成分。
    [成分(I)]
    下記式(1)で表される遷移金属化合物
    Figure 2022013902000027
    [式中、
    は、周期表4族の遷移金属を示す。
    とLは、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。
    及びXは、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
    とJは、炭素原子を示す。
    とAは、それぞれJとL、JとLとを結合する架橋基を示し、以下の群から選ばれる。
    -CR -、-SiR -、-NR-、-PR-、-O-、-S-、[ここでRは水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であり、2つのRが結合して環状構造を形成してもよい]、
    とRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基を示す。RとRは、それらが結合しあってJおよびJと一緒に環状構造を形成してもよい。]
    [成分(II)]
    下記式(2)、式(3)又は式(4)で表される化合物群から選ばれる遷移金属化合物
    式(2):
    3’3’
    [式中、
    は、周期表4族の遷移金属を示す。
    とL3’は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。該シクロペンタジエニル構造を含む配位子は、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基で置換されていてもよい。LまたはL3’上に、隣り合う置換基が存在する場合、それらが結合して環構造を形成してもよい。
    とX3’は、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
    は、LとL3’を架橋する架橋基を示し、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合にはLとL3’の間に架橋構造を有する。
    qは0または1であり、Aの数を示す。]
    式(3):
    4’
    [式中、
    は、周期表4族の遷移金属を示す。
    は、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。該シクロペンタジエニル構造を含む配位子は、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基で置換されていてもよい。
    とX4’は、それぞれ独立して、金属Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
    は、Lに結合しているヘテロ原子を有する有機基を示し、ヘテロ原子を介してMに結合している。]
    式(4):

    [式中、
    は、周期表3~11族の遷移金属を示す。
    m個あるLは、それぞれ独立して、2つ以上の酸素、窒素、リン、硫黄原子から選ばれる原子を有する置換基で置換されている炭化水素基を示しており、少なくとも2つの該酸素、窒素、リン、硫黄原子から選ばれる原子がMに結合している。
    p個あるXは、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または中性のルイス塩基を示す。
    mはLの数を示しており、1または2である。
    pはXの数を示しており、式(4)の遷移金属化合物が電気的中性になるように選ばれる数である。]
  2. 前記成分(I)が、式(1)において、R、R、JおよびJが環状構造を形成していることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合用触媒成分。
  3. 前記成分(I)が、下記式(1-1)乃至式(1-5)のいずれかで表される遷移金属化合物であることを特徴とする請求項2に記載のオレフィン重合用触媒成分。
    Figure 2022013902000028
    Figure 2022013902000029
    Figure 2022013902000030
    Figure 2022013902000031
    Figure 2022013902000032
    [式中、
    、L、L、X、X、J、J、A及びAは、前記式(1)と同じである。
    は6員環上に存在する置換基を示し、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合にはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~9の炭化水素基、炭素数1~9のアルコキシ基、炭素数1~9のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~9の炭化水素基、炭素数1~9の炭化水素基置換シリル基または炭素数1~9の炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基である。Rは、当該Rが存在する6員環内に架橋構造を形成してもよい。Rが2つ以上存在する場合、それらが結合し、当該Rが存在する6員環の構成原子の一部を共有する縮合環を形成してもよいし、当該縮合環上に置換基を有していてもよい。
    nは6員環上に存在するRの数を示し、0~4を示す。]
  4. 前記成分(II)が、前記式(2)で表される遷移金属化合物であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のオレフィン重合用触媒成分。
  5. 前記成分(II)が、前記式(2)において、qが1であり、LとL3’が、いずれもインデニル骨格を有する配位子である組み合わせ、一方がシクロペンタジニル骨格を有する配位子であり他方がフルオレニル骨格を有する配位子である組み合わせ、及び、いずれもフルオレニル骨格を有する配位子である組み合わせの中から選ばれる組み合わせをとる遷移金属化合物であることを特徴とする請求項4に記載のオレフィン重合用触媒成分。
  6. 前記成分(II)が、前記式(2)において、qが1であり、LとL3’が、いずれもインデニル骨格を有する配位子であり、LとL3’のうち少なくとも一方のインデニル骨格を有する配位子は、インデニル骨格の2位の位置に、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフリル基又は置換基を有していてもよいチエニル基を有する遷移金属化合物であることを特徴とする請求項5に記載のオレフィン重合用触媒成分。
  7. 前記成分(II)が、前記式(2)において、qが1であり、LとL3’が、いずれもインデニル骨格を有する配位子であり、LとL3’のうち少なくとも一方のインデニル骨格を有する配位子は、インデニル骨格の2位の位置に、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフリル基、又は置換基を有していてもよいチエニル基を有し、さらにインデニル骨格の4位の位置に、置換基を有していてもよいアリール基を有する遷移金属化合物であることを特徴とする請求項6に記載のオレフィン重合用触媒成分。
  8. 前記成分(II)が、下記式(2-1)で表される遷移金属化合物であることを特徴とする請求項7に記載のオレフィン重合用触媒成分。
    Figure 2022013902000033
    [式中、
    は、チタン原子、ジルコニウム原子又はハフニウム原子を示す。
    とX3’は、それぞれ前記式(2)のXとX3’と同じである。
    Yは、炭素原子、珪素原子又はゲルマニウム原子を示す。
    11とR21は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、置換基を有していてもよいフリル基又は置換基を有していてもよいチエニル基を示す。R11とR21の少なくとも一方は、置換基を有していてもよいフリル基又は置換基を有していてもよいチエニル基のいずれかである。
    12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28及びR29は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルケニル基、炭素数1~6のハロゲン置換アルキル基、トリアルキルシリル基を有する炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6の炭化水素基を有するシリル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数6~18のハロゲン置換アリール基又は置換基を有していてもよい5員環若しくは6員環を構成する複素環基を示す。R12乃至R19及びR22乃至R29のうち隣接する基同士が結合し6~7員環を構成してもよく、6~7員環が不飽和結合を含んでいてもよい。
    31とR32は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルケニル基、炭素数1~6のハロゲン置換アルキル基、トリアルキルシリル基を有する炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6の炭化水素基を有するシリル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数6~18のハロゲン置換アリール基又は置換基を有していてもよい5員環若しくは6員環を構成する複素環基を示す。R31とR32はYと一緒に4~7員環を形成していてもよく、R31及びR32の少なくとも一つが環状構造を有する場合、R31とR32とYにより構成される4~7員環は、R31及びR32が有する環状構造の構成原子の一部を共有する縮合環を形成してもよい。]
  9. 以下の成分(I)、成分(II)、成分(III)及び成分(IV)を含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。
    [成分(I)]
    下記式(1)で表される遷移金属化合物
    Figure 2022013902000034
    [式中、
    は、周期表4族の遷移金属を示す。
    とLは、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。
    及びXは、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
    とJは、炭素原子を示す。
    とAは、それぞれJとL、JとLとを結合する架橋基を示し、以下の群から選ばれる。
    -CR -、-SiR -、-NR-、-PR-、-O-、-S-、[ここでRは水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であり、2つのRが結合して環状構造を形成してもよい]、
    とRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基を示す。RとRは、それらが結合しあってJおよびJと一緒に環状構造を形成してもよい。]
    [成分(II)]
    下記式(2)、(3)又は(4)で表される化合物群から選ばれる遷移金属化合物
    式(2):
    3’3’
    [式中、
    は、周期表4族の遷移金属を示す。
    とL3’は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。該シクロペンタジエニル構造を含む配位子は、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基で置換されていてもよい。LまたはL3’上に、隣り合う置換基が存在する場合、それらが結合して環構造を形成してもよい。
    とX3’は、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
    は、LとL3’を架橋する架橋基を示し、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合にはLとL3’の間に架橋構造を有する。
    qは0または1であり、Aの数を示す。]
    式(3):
    4’
    [式中、
    は、周期表4族の遷移金属を示す。
    は、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。該シクロペンタジエニル構造を含む配位子は、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基で置換されていてもよい。
    とX4’は、それぞれ独立して、金属Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
    は、Lに結合しているヘテロ原子を有する有機基を示し、ヘテロ原子を介してMに結合している。]
    式(4):

    [式中、
    は、周期表3~11族の遷移金属を示す。
    m個あるLは、それぞれ独立して、2つ以上の酸素、窒素、リン、硫黄原子から選ばれる原子を有する置換基で置換されている炭化水素基を示しており、少なくとも2つの該酸素、窒素、リン、硫黄原子から選ばれる原子がMに結合している。
    p個あるXは、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または中性のルイス塩基を示す。
    mはLの数を示しており、1または2である。
    pはXの数を示しており、式(4)の遷移金属化合物が電気的中性になるように選ばれる数である。]
    [成分(III)]
    成分(I)および成分(II)の遷移金属化合物と反応してカチオン性化合物を生成させる化合物
    [成分(IV)]
    微粒子担体
  10. 以下の成分(I)、成分(II)、成分(III)及び成分(IV)を混合することにより製造されたオレフィン重合用触媒。
    [成分(I)]
    下記式(1)で表される遷移金属化合物
    Figure 2022013902000035
    [式中、
    は、周期表4族の遷移金属を示す。
    とLは、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。
    及びXは、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
    とJは、炭素原子を示す。
    とAは、それぞれJとL、JとLとを結合する架橋基を示し、以下の群から選ばれる。
    -CR -、-SiR -、-NR-、-PR-、-O-、-S-、[ここでRは水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であり、2つのRが結合して環状構造を形成してもよい]、
    とRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~6のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基を示す。RとRは、それらが結合しあってJおよびJと一緒に環状構造を形成してもよい。]
    [成分(II)]
    下記式(2)、(3)又は(4)で表される化合物群から選ばれる遷移金属化合物
    式(2):
    3’3’
    [式中、
    は、周期表4族の遷移金属を示す。
    とL3’は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。該シクロペンタジエニル構造を含む配位子は、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基で置換されていてもよい。LまたはL3’上に、隣り合う置換基が存在する場合、それらが結合して環構造を形成してもよい。
    とX3’は、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
    は、LとL3’を架橋する架橋基を示し、存在しても存在しなくてもよく、存在する場合にはLとL3’の間に架橋構造を有する。
    qは0または1であり、Aの数を示す。]
    式(3):
    4’
    [式中、
    は、周期表4族の遷移金属を示す。
    は、シクロペンタジエニル構造を含む配位子を示し、Mに配位している。該シクロペンタジエニル構造を含む配位子は、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、1つ~6つのケイ素原子を含む炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のハロゲン置換炭化水素基、酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換シリル基で置換されていてもよい。
    とX4’は、それぞれ独立して、金属Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または炭素数1~20の炭化水素基置換アミノ基を示す。
    は、Lに結合しているヘテロ原子を有する有機基を示し、ヘテロ原子を介してMに結合している。]
    式(4):

    [式中、
    は、周期表3~11族の遷移金属を示す。
    m個あるLは、それぞれ独立して、2つ以上の酸素、窒素、リン、硫黄原子から選ばれる原子を有する置換基で置換されている炭化水素基を示しており、少なくとも2つの該酸素、窒素、リン、硫黄原子から選ばれる原子がMに結合している。
    p個あるXは、それぞれ独立して、Mと結合する水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、炭素数1~20のアルコキシ基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数3~20の炭化水素基または中性のルイス塩基を示す。
    mはLの数を示しており、1または2である。
    pはXの数を示しており、式(4)の遷移金属化合物が電気的中性になるように選ばれる数である。]
    [成分(III)]
    成分(I)および成分(II)の遷移金属化合物と反応してカチオン性化合物を生成させる化合物
    [成分(IV)]
    微粒子担体
  11. 前記請求項9又は10に記載のオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンとエチレン以外のαオレフィンよりなる群から選ばれるαオレフィンの共重合を行うことを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。
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