JP2755945B2 - 物理蒸着用の錫を含む酸化インジウム焼結体の製法 - Google Patents

物理蒸着用の錫を含む酸化インジウム焼結体の製法

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、低抵抗の錫を含む酸化インジウム薄膜を提
供するための真空蒸着用の錫を含む酸化インジウムタブ
レットやスパッタリング用の錫を含む酸化インジウムタ
ーゲットとして使用される錫を含む酸化インジウム焼結
体の製造方法に関するものである。 [従来の技術] 従来より、錫を含む酸化インジウム(以下ITOとい
う)の焼結体を用い、電子ビーム加熱蒸着法、スパッタ
リング法を用いて、ITO薄膜を作製することが試みられ
ており、加熱した基板上に条件を選んで蒸着すれば2×
10-4Ωcm前後の比抵抗を持つITO薄膜が得られることは
知られている。 一般に、ITO焼結体の製造方法としては、まずインジ
ウム塩を含む溶液にアンモニア水を加え、水酸化インジ
ウムを生成させ、次いでこれを焼成して粒状にするアン
モニア法、あるいは外部から沈殿剤を加えないでインジ
ウム塩を含む溶液から水酸化インジウムを生成させる均
一沈殿法などの液相合成法によって、焼結体の原料とな
る酸化インジウム粉体を製造し、同様の方法で製造した
酸化錫粉体を適当な量だけ混合し、成型、焼結する方法
が知られている。あるいは、再び粉砕し粉末とした後も
う一度成型、焼結するという方法がとられてきた。しか
し、これらの従来方法で製造したITO焼結体からなるITO
タブレット、又はITOターゲットは、そのITO焼結体の構
成粒子である酸化インジウムと酸化錫が盤状、もしく
は、塊状で、粒径も大きく不ぞろいであるために、酸化
インジウムと酸化スズは、単に混合物として存在するの
みで、微視的な混合度は低く、比抵抗の小さいITO薄膜
を得るという目的には不十分であった。 基板上へのITO薄膜の形成は、電子ビーム加熱あるい
は、スパッタリングによりIn2O3,SnO2が還元分解し、蒸
発粒子が加熱された基板上を移動しながら、雰囲気中の
酸素によって再び酸化され、多結晶あるいはアモルファ
ス化しITO薄膜となる。したがって、ITO薄膜の特性は、
電子ビームまたはスパッタリングによる還元分解の過程
と酸素分圧、蒸着速度そして基板温度などの膜成長条件
に強く依存する。 従来の焼結体を蒸着源として用いた場合、構成粒子の
粒径が大きく不ぞろいであり、混合度が低いために、電
子ビーム等によって還元分解し、そして蒸発する粒子の
粒径も大きく、インジウム酸化物あるいはスズ酸化物単
体として蒸発する。したがって、形成されるITO薄膜
は、In2O3の結晶粒界にSnが偏析したり、SnO2の微結晶
が単に混合物として存在することが多くなり、Sn原子が
In2O3結晶中のInと置換したり、格子間に侵入する機会
が減り、n型のドーパントとしては働かなくなる。その
ため、n型のドーパントをさらに増やそうとして、原料
中のスズ濃度を増しても、供給されたSn原子が有効なド
ーパントとして働かないばかりか、結晶粒界に析出して
伝導電子の散乱要因となり、かえって移動度を低下さ
せ、ITO薄膜の比抵抗も下がらないという欠点を有して
いた。 [発明の解決しようとする問題点] 本発明の目的は、従来の電子ビーム蒸着用タブレット
又はスパッタリング用ターゲットでは、比抵抗の小さい
ITO薄膜が得られにくいという欠点を解消し、これまで
得られている比抵抗2×10-4Ωcmを上回る低抵抗のITO
薄膜を容易に実現するための物理蒸着用の錫を含んだ酸
化インジウム焼結体の製造方法を新規に提供しようとす
るものである。 [問題点を解決するための手段] 本発明は、前述の問題点を解決すべくなされたもので
あり、金属インジウムと金属錫、インジウム−錫合金、
あるいは酸化インジウムと酸化錫を物理蒸着法によって
蒸発させ、錫を含んだ酸化インジウムの微粒子を気相成
長させ、得られた微粉体を所定形状に成型し、次いで焼
結することを特徴とする物理蒸着用の錫を含んだ酸化イ
ンジウム焼結体の製法を提供するものである。 本発明の製法は、原料として金属インジウムと金属
錫,インジウム−錫合金あるいは酸化インジウムと酸化
錫などが使用でき、原料中のインジウム錫の合計量に対
する錫の割合は、生成される微粒子中の錫の重量比が2
〜20wt%になるように蒸発させる錫の割合を抑制するこ
とが望ましい。これらの原料は、物理蒸着法によって蒸
発させる。物理蒸着法として特に限定されるものではな
いが、例えば、抵抗加熱蒸着法(フラッシュ蒸着法)、
差圧型電子ビーム蒸着法、スパッタリング法などが、気
相中で微粒子を作るという点で好ましい。このときの雰
囲気としては、酸素あるいは水蒸気とアルゴン等を含ん
だ酸化雰囲気とし、全ガス圧を0.1〜数十Torrの間に設
定することによって生成されるITO微粒子の粒径、粒径
分布を制御し、酸素あるいは水蒸気の分圧を制御するこ
とによってITO微粒子の酸化度を制御する。特に、低級
酸化ITO微粒子は、成膜されるITO薄膜中の酸素空孔によ
るキャリア密度の増加をはかるために、低級酸化ITOの
焼結体を得るという点で好ましい。さらに、酸化インジ
ウムと酸化スズを原料とする場合には、前述の酸化雰囲
気の他に、水素とアルゴン等の還元雰囲気で作成するこ
とによって、低級酸化ITO微粒子を作ることができる。 また、前述の物理蒸着法によるITO微粒子の生成工程
に直流あるいは、高周波プラズマを付与し、反応の活性
化を高めることは、ITO微粒子の生成速度を高めるこ
と、微粒子化を高めることなどの点において好ましい。 このようにして得られたITO微粒子は、粒径が大部分
1μm以下と小さくなっており、その平均粒径も0.1〜
1μmと小さく、大きさもそろっている。 この捕集されたITO微粒子を所定形状に成型し、焼結
することによって物理蒸着用のITO焼結体を作る。この
後さらに、再粉砕し、微粉末とした後、再び成型焼結す
るという工程を加えると高密度の焼結体が得られ、ITO
薄膜の蒸着工程の安定化という点において好ましい。 [作用] 従来の製法で製造されたITO焼結体は、出発原料がア
ンモニア法、均一沈殿法などの液相成長法によって作ら
れているためにITO焼結体は、ITO焼結体の構成粒子が盤
状または塊状で粒径も大きく不ぞろいであり、酸化イン
ジウムと酸化錫が物理的に混合しただけでそれぞれ別々
の粒子として存在している。したがって、電子ビーム加
熱蒸着あるいはスパッタリングによってITO薄膜を作る
際、Sn原子が酸化インジウムの結晶粒界に偏析したり、
酸化錫の微結晶として析出して、ITO膜中の伝導電子の
散乱要因となり、Sn原子を有効なドーパントとして十分
に利用できなかった。そこで本発明においては、ITO焼
結体の出発原料として、金属インジウムと金属錫、イン
ジウム−錫合金あるいは酸化インジウムと酸化錫を抵抗
加熱蒸着法(フラッシュ蒸着法)、差圧型電子ビーム蒸
着法、スパッタリングにより酸化あるいは還元雰囲気中
で蒸発、気相反応させることによって、平均粒径0.1〜
1μmと小さく、大きさのそろったITO微粒子を得るこ
とができる。さらに、粒径が小さいだけでなく分解、酸
化反応凝縮という工程を通るという特徴上、従来の液相
法に比べて、錫原子はIn2O3微粒子中のインジウム原子
と置換したり、格子間に侵入したりして存在することが
多くなり、In2O3微粒子とSnO2微粒子が分相して存在す
ることが少なくなると考えられる。 このようなITO微粉体を成型、焼結し、電子ビーム加
熱蒸着用タブレット、スパッタリング用ターゲットを作
る。 本発明によって提供されたITO焼結体によって作られ
たITO薄膜は、前述のように蒸着原料中の酸化インジウ
ムと錫が微視的な程度でも、よく混っていることから、
薄膜を構成しているIn2O3結晶の粒界にSn原子が偏析し
たり、SnO2微結晶が分相したりすることが少なくなり、
薄膜中の伝導電子の散乱要因が減る。また、Sn原子はIn
2O3結晶中のIn原子と置換したり、格子間に侵入したり
して、n型ドーパントとして有効に働き、薄膜の比抵抗
が下がるという特徴を有する。さらに、ITO微粒子を生
成する際に、直流あるいは高周波プラズマを付加し、反
応の活性化を高めることは、ITO微粒子の生成速度を高
めること、微粒子化を高めることなどの点で好ましい。
また、水素とアルゴンなどの還元雰囲気で低級酸化ITO
微粒子を生成し、焼結体の原料とすることは、ITO薄膜
中の酸素空孔密度の制御という点で好ましい。 [実施例] 実施例1 真空槽内を10-5Torr以下の高真空に排気したのち、酸
素分圧10%のアルゴンと酸素の混合ガスを0.1〜数十Tor
rの所定の圧力まで導入し(好ましくは、1〜10Tor
r)、錫の重量比が10%のインジウム−錫合金を抵抗加
熱法により蒸発させた。その際、蒸発空間に高周波rfコ
イルを挿入し、プラズマを発生させた。生成したITO微
粒子を捕集し、25mmφ×10mmtの電子ビーム加熱蒸着用
タブレットに成型、焼結した。さらに、このタブレット
を蒸発源として、酸素圧力2×10-4Torrの雰囲気で電子
ビームにより加熱し、350℃に加熱したガラス基板にITO
薄膜を作製したところ、比抵抗1.3〜1.5×10-4Ωcmの薄
膜が得られた。 実施例2 実施例1で作製したITO微粒子を6インチφ×7mmt
スパッタリング用ターゲットに成型、焼結し、酸素分圧
0〜10%のアルゴン−酸素雰囲気でスパッタ圧5×10-3
Torrとし、直流スパッタし、350℃加熱のガラス基板にI
TO薄膜を作製したところ、比抵抗1.3〜1.5×10-4Ωcmの
ITO薄膜が得られた。 実施例3 真空槽内を10-5Torr以下の高真空に排気したのち、水
素分圧5%のアルゴン−水素ガスを0.1〜数十Torr(好
ましくは、1〜10Torr)の所定の圧力まで導入し、酸化
スズが重量比で10%入った酸化インジウムを抵抗加熱法
により蒸発させた。その際、蒸発空間に高周波コイルを
挿入し、プラズマを発生させた。生成した低級酸化ITO
微粒子を捕集し、25mmφ×10mmtの電子ビーム加熱蒸着
用タブレットに成型、焼結した。さらに、このタブレッ
トを蒸発源として、酸素圧力2×10-4Torrの雰囲気で電
子ビームにより加熱し、350℃に加熱したガラス基板にI
TO薄膜を作製したところ、比抵抗1.3〜1.5×10-4Ωcmの
薄膜が得られた。 実施例4 実施例3で作製した低級酸化ITO微粒子の6インチφ
×7mmtのスパッタリング用ターゲットに成型、焼結し、
酸素分圧0〜10%のアルゴン−酸素雰囲気でスパッタ圧
5×10-3Torrとし、直流スパッタし、350℃加熱のガラ
ス基板にITO薄膜を作製したところ、比抵抗1.3〜1.5×1
0-4Ωcmの薄膜が得られた。 実施例5 真空槽内を10-5Torr以下の高真空に排気したのち、酸
素分圧5%のアルゴンと酸素の混合ガスを0.1〜数十Tor
rの所定の圧力まで導入し、(好ましくは、1〜10Tor
r)、金属インジウムと金属錫(インジウムと錫の合量
に対する錫の重量比は10%)、をそれぞれ抵抗加熱法に
より蒸発させた。その際、蒸発空間に高周波コイルを挿
入し、プラズマを発生させた。生成した低級酸化ITO微
粒子を捕集し、25mmφ×10mmtの電子ビーム加熱蒸着用
タブレットに成型、焼結した。さらに、このタブレット
を蒸発源として、酸素圧力2×10-4Torrの雰囲気で電子
ビームにより加熱し、350℃に加熱したガラス基板にITO
薄膜を作製したところ、比抵抗1.3〜1.5×10-4Ωcmの薄
膜が得られた。 実施例6 実施例1で作製したITO微粒子を6インチφ×7mmt
スパッタリング用ターゲットに成型、焼結し、酸素分圧
0〜10%のアルゴン−酸素雰囲気でスパッタ圧5×10-3
Torrとし、直流スパッタし、350℃加熱のガラス基板にI
TO薄膜を作製したところ、比抵抗1.3〜1.5×10-4Ωcmの
薄膜が得られた。 [発明の効果] 本発明の提供する、ITO微粒粉体は、平均粒径が0.1〜
1μmと小さく、さらにSn原子がIn2O3結晶中のIn原子
と置換したり、格子間に侵入したりしている割合が高
く、微視的な程度でインジウムと錫が均一に混合してい
るという特徴を有し、この微粉体を原料とし、電子ビー
ム蒸着、あるいはスパッタリングによってITO薄膜を作
ると、薄膜中のIn2O3結晶の粒界にSn原子が偏析した
り、SnO2微結晶が分相したりすることが少なくなり、伝
導電子の散乱要因が減少し、さらに、Sn原子が一部のIn
原子と置換したり、格子間に侵入したりして、In2O3
晶中に入り込み、n型ドーパントとして有効に働くSn原
子の量が増加し、ITO薄膜の比抵抗が下がるという効果
を有する。 さらに、酸素分圧を下げたり、水素とアルゴンなどの
還元雰囲気で低級酸化ITO微粒子を生成し、これを原料
とし、電子ビーム蒸着、あるいはスパッタリングによっ
てITO薄膜を作ると、酸素空孔の増加がはかられ、薄膜
の比抵抗が下がるという効果も認められる。 また、ITO微粒子を生成する工程において、直流ある
いは高周波プラズマを付加し、反応の活性化を高めるこ
とによってITO微粒子の生成速度が高まり、微粒子化も
高まるという効果も認められる。 さらに、気相成長という工程を利用しているため、不
純物が入りにくいという特徴もある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−186868(JP,A) 特開 昭63−199862(JP,A) 特開 昭62−24506(JP,A) 特開 昭62−24505(JP,A) 特開 昭57−140318(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/08 C23C 14/34 C23C 14/30 C01G 15/00 C01G 19/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.金属インジウムと金属錫あるいは、インジウム−錫
    合金、あるいは酸化インジウムと酸化錫を物理蒸着法に
    よって蒸発させ、錫を含んだ酸化インジウムの微粒子を
    気相成長させ、得られた微粉体を所定形状に成型し、次
    いで焼結することを特徴とする物理蒸着用の錫を含んだ
    酸化インジウム焼結体の製法。 2.酸化インジウムと酸化錫を物理蒸着法によって蒸発
    させ、酸化雰囲気中で錫を含んだ酸化インジウムの微粒
    子を気相成長により得ることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載の物理蒸着用の錫を含んだ酸化インジウム
    焼結体の製法。 3.酸化インジウムと酸化錫を物理蒸着法によって蒸発
    させ、還元雰囲気中で錫を含んだ低級酸化インジウム
    (ITO)の微粒子を気相成長により得ることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載の物理蒸着用の錫を含んだ
    酸化インジウム焼結体の製法。 4.金属インジウムと金属錫、あるいはインジウム−錫
    合金を物理蒸着法によって蒸発させ、酸化雰囲気中で錫
    を含んだ酸化インジウムの微粒子を気相成長により得る
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の物理蒸着
    用の錫を含んだ酸化インジウム焼結体の製法。 5.錫を含んだ酸化インジウムの微粒子の平均粒径が1
    μm以下であることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    〜第4項のいずれか1項に記載の物理蒸着用の錫を含ん
    だ酸化インジウム焼結体の製法。
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