JP2811457B2 - マグネタイト膜の製造方法および製造装置 - Google Patents

マグネタイト膜の製造方法および製造装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はマグネタイト膜の製造方法および製造装置に
関する。
(従来技術) 金属、ガラスなどの非磁性基板の表面にマグネタイト
の膜を形成し、次いで酸化するとか、あるいはα酸化鉄
等の非磁性膜を形成し、次いで還元してマグネタイト膜
とし、さらに酸化するとかの方法により、酸化鉄記録媒
体を製造するには種々の方法が提案されているが、とり
わけ成膜速度の速いRFマグネトロンスパッタ法が注目さ
れている。代表的な方法は、真空中に低圧のアルゴン等
のイオン形成ガスと酸素を導入し、アルゴンをイオン化
してそのイオンを鉄又は鉄合金より成るターゲットに衝
撃させ、スパッタされた鉄又は鉄合金粒子を基板の面に
おいて酸素と反応させて基板の表面に金属酸化物の膜を
析出させる(特開昭62−943819号、米国特許第4544612
号等多数)。しかしこれらの方法では反応性ガスを基板
の前面に亘り均一に供給するのがむずかしく、形成され
る酸化物膜の厚さや組成が場所により異なり、ひいては
磁気特性等の必要な特性が場所により変動する問題があ
る。
この原因には種々のものがあるが重要な原因の一つは
基板面の近傍における酸化条件が基板の送り方向に対し
て横断する方向で変動することである。従来この問題を
解決するために種々のガス供給装置が使用されている。
RFマグネトロンスパッタ装置の典型例は第1図に示す
通りであり、トンネル状の真空室1に磁右5を配置し、
バッキングプレート7に支持させた鉄又は鉄合金から成
るターゲット2を配置し、それに対向させて定速で矢印
の方向に送られる金属又はガラス基板3を位置づけ、ガ
ス導入口4から低圧のアルゴンおよび酸素ガスを導入
し、アースシールド電極6とターゲット2との間に加わ
るRF電界と磁石5の磁界により発生拘束された電子によ
りアルゴンガスをイオン化し、RF電界によって負の強電
位にされているターゲット2を衝撃させ、叩き出された
鉄又は鉄合金粒子を基板に差し向けその表面で酸素と反
応させてマグネタイトの膜を生成させる。なお、8は補
正用の開口を有する補正板であり基本的には重要でな
い。補正板8は支柱9により支持され、基板が矢印の方
向に送られながらスパッタを受ける場合にその移動方向
に対して横断方向に延び、中央で狭く外延に向けて広く
なっている細長い開口を有する。これは一般には、ター
ゲット軸方向の中央部で叩き出される鉄原子が多いた
め、その量を均一化させるために必要となる。
上記装置においてガス導入口4としては種々のものが
提案されている。第6図は従来の分配型のガス導入口を
示す。すなわちガス供給管42は多数の孔41を定間隔で穿
孔した分配部材40に結合されており、孔41の径は供給管
42の接続点から離れるにしたがって大きくなっている。
しかしこの方式ではガスの吐き出し速度が場所により異
なるし、基板位置をかなり離しても基板には流れ模様が
形成されてしまう。
他の従来例は第7図に示されている。この例では供給
管50は多数の孔52を穿孔した分配管53に結合され更に分
配管53を取り囲む第2分配管51のスリット54を通してガ
スが吐き出される。この例は第6図の例よりも改良され
ているが流れ模様は充分に解消されない。以下に示す本
発明から分かる様にこの原因は内外の分配管が接近しす
ぎているためである。
(発明の目的) 本発明はマグネタイト膜を均一に製造できる方法及び
装置、特に反応性スパッタ方法及び装置を提供すること
にある。
なお本明細書でマグネタイトとはマグネタイト(Fe3O
4)のみならず、ウスタイト(FeO)とマグネタイト(Fe
3O4)の中間形態、並びにマグネタイト(Fe3O4)とγマ
グヘマイト(γ−Fe2O3)の中間形態、いわゆるベルト
ライド形態を含むものとする。
(発明の概要) 本発明は、反応性スパッタ法により鉄又は鉄を主体と
する鉄合金より成るターゲットをアルゴン等のイオン形
成ガスのイオンにより衝撃して鉄又は鉄合金の粒子を基
板に差し向けて酸素と反応させることによりマグネタイ
ト膜を基板面に形成する方法において、ガス供給管に接
続された上流端と開放した下流端とを有する扁平且つ幅
広の長い供給部材であって前記下流端全体においてほぼ
一定の拡散流が得られるに充分な形状および長さに定め
た前記供給部材を、前記基板に近接して配置し、前記供
給部材を介して前記酸素又は酸素とイオン形成ガスを導
入することを特徴とする、マグネタイト膜の製造方法を
提供する。
本発明はまた、真空室と、鉄又は鉄を主体とする合金
より成るターゲットと、前記ターゲットに対向して配置
された基板と、アルゴン等のイオン形成ガスと酸素を導
入する導入口とより成る、反応性スパッタ法によりマグ
ネタイト膜を基板面に形成する装置において、前記導入
口は、前記基板に近接して設けられており、ガス供給管
に接続された上流端と開放した下流端とを有する扁平且
つ幅広の長い供給部材であって前記下流端全体において
ほぼ一定の拡散流が得られるに充分な形状および長さに
定めた前記供給部材より成ることを特徴とするマグネタ
イト膜の製造装置を提供する。
(効果の概要) 本発明の特徴は、供給部材の長さを供給ガスが供給部
材の出口全体で均一な拡散流となる様に充分に長くした
ことにある。これにより酸素ガスまたはアルゴン酸素ガ
スは基板面に沿った横断方向(基板の送り方向に直角な
方向)に一様に流すことができるため、スパッタされる
鉄又は鉄合金粒子と一様に反応させ基板面前面に亘り均
一なマグネタイト膜が形成できることができる。
(構成の具体的な説明) 以下、図面を参照して本発明の実施例に関連して本発
明を詳しく説明する。
マグネタイト膜の成膜装置 本実施例は精密仕上したガラスの表面を化学的に強化
した円板を基体として、1列の複数の基体を成膜箇所に
送りこみ、それら基体の両面にマグネタイト膜を形成す
る磁気記録媒体の製造方法および製造装置について記載
するが、本発明は一般に金属基板又はガラス基板の片面
又は両面にマグネタイト膜を形成するとか、或いは同時
に2列以上の複数の基体にマグネタイト膜を形成する等
の変形が可能である。
第2図には本発明の実施例によるRFマグネトロンスパ
ッタ装置の要部を示す平面断面図である。第3図は第2
図の線III−IIIより見た基板を鎖線で示した拡大図であ
る。
図に示すように、RFマグネトロンスパッタ装置は水平
に延びる真空室10と、金属又はガラス円板等の基板11を
矢印の方向に移送するためのパレットないしホルダ12
と、基板11に対向して配置された表面に鉄又は鉄合金の
ターゲット2を支持するマグネトロンカソード13と、本
発明の特徴に従って構成されたアルゴンと酸素を導入す
るための部材14(この点は後で詳しく記載する)と、導
入されたアルゴンをイオン化しターゲット2に衝撃させ
るためのRF電源(図示せず)とから基本的に構成され
る。
マグネトロンカソード13は磁石21と、ターゲット2を
支持するバッキングプレート22と、バッキングプレート
22から離間してターゲットの周部近くに配置されたアー
スシールド電極23とより構成されており、RF電力はアー
スシールド電極23とターゲット2との間に印加され、電
界によりターゲットの表面近傍に発生する電子を磁石21
の磁界によりターゲットの表面近傍に閉じ込め、それに
よりアルゴンをイオン化する。またRF電磁界によりター
ゲットは負の高電位になり、アルゴンイオンをターゲッ
ト面に加速する。また、マグネタイト膜の成長を均一化
するために好ましくは中央で狭く側端部で広い上下方向
に延びる同形の2つの開口16を備えた補正板15を設け
る。この補正板による補正効果は従来と同様であるが2
つの開口を設けた点で違う。
更に、好ましくは補正板の中央部には支柱19により電
極20を設ける。この電極は磁石21の中央部に対向してタ
ーゲット2に近接して設ける。電極20とターゲット2の
間隔は5mm以下とする。この間隔は最適化実験により容
易に決定できる。この間隔が広すぎると放電を起こし、
ターゲット面に付着した酸化物がアルゴンイオンに叩か
れて基板面に飛散し粒状の酸化鉄をマグネタイト膜に点
々と付着させ膜質を低下する。また電極20の面積はこれ
がなければ酸化鉄の粒子が付着するはずの領域部分のほ
ぼ全部を覆うようにする。この点も最適化実験により容
易に決定することができる。電極20は接地するかターゲ
ットに対して正電位にする。例えば補正板15と支柱を導
体で製作する。なお、電極20は無くてもマグネタイト膜
は成膜出来るが、酸化物粒子の付着により膜質が悪くな
り、このため幾枚かの基板に成膜する毎にターゲット面
を清浄化する作業が必要になる。
また、好ましくはターゲット2の周辺部は補正板15の
開口以外のすべての部分を囲壁24で完全に又はほぼ完全
に包囲する。補正板15は囲壁24の頂部に密着させて固定
する。こうすることによりターゲットの表面の酸化が抑
制されるため、アルゴンイオンによりFeが叩き出され易
くなり、マグネタイト膜の生産性が向上する。
アルゴンと酸素の混合ガスの導入口又は供給部材14は
ターゲットから見て補正板の外側におき、基板に近接し
て且つ基板に平行な流れが生じる様に設けられる。これ
によりアルゴンが上記の様にターゲットの近傍で濃密な
アルゴンイオンを形成し易くなる一方、酸素は基板面で
優先的に鉄原子と反応してマグネタイトを生成し易くな
る。なお、アルゴンは補正板15とターゲット2との間の
空間に導入し、酸素又は酸素アルゴン混合ガスは図示の
部材14から導入する様にしても良い。
本発明に従って、ガス導入口は第5図の様に構成され
る。導入口14は平行な幅広の上下板30、31、平行な低い
側板34、35及び上流側の低い側板33より構成され下流側
に開口32を形成した供給部材と、側板33に結合された一
個以上のガス導管36とより成る。開口の幅w、高さh部
材の長さlは均一な拡散流が得られる様に設計する。ガ
ス供給部材の幅wを充分に大きく取りたいときにはガス
導管36の分岐数又は導入口数を増やす。
上記の供給部材には第8図のようなガス溜めを付設す
ると更に均一性を高めることができる。同図は第5図に
示した供給部材の下板31に更にガス溜め37を追加したも
のである。この実施例によるとガス導入口14から流入し
たガスはガス溜め37に入って幅方向に拡がりそこから一
定の流量で下流に流れていく。この場合には拡散に要す
る長さlは比較的短くて良い。
マグネタイト膜の成膜方法 上記の構成のマグネタイト成膜装置を用いて本発明の
成膜方法を説明する。鉄又は鉄合金のターゲット2を所
定の位置に取り付け、真空室10を連続的に排気し、例え
ばアルゴン90%、酸素10%程度の混合ガスを部材14から
導入する。マグネトロンカソード13を作動させアルゴン
イオンを形成する。アルゴンイオンはターゲット2の表
面を衝撃して鉄原子を放出させる。鉄原子は補正板15の
開口16を通って基体11の表面近くで酸素と反応してマグ
ネタイトとして基体11の表面に付着しマグネタイト膜を
成長させる。
この成膜過程においては、電極20をターゲト2の表面
に近接して設けたことにより、ターゲット面への酸化物
の付着が阻止され、そのためこの酸化物がアルゴンイオ
ンに衝撃されて基板に差し向けられる可能性がなくな
る。
以下の実施例に示すように本発明によると基板11の面
に形成されるマグネタイト膜は厚さ、膜質とも均質であ
り、ターゲットに堆積する酸化鉄に由来するマグネタイ
ト膜上への酸化鉄粒子の付着がほとんど無くなる。更に
このためターゲット面の清浄化工程が不要となる。均一
なマグネタイト膜が形成される理由は、第5図に示す様
に供給部材に導入されたガスは当初粘性のために層流を
なし一定の流れパターンを有しているが、流下する内に
幅方向に拡散して行き遂には流路に垂直な断面内の方向
に均一化するためである。従って供給部材の長さlを充
分に長くすることにより部材開口32をおいてほぼ完全に
均一な反応性ガス密度が得られる。こうして形成された
均一流は上下板30、31に平行に且つ近接位置を移動しつ
つある基板の表面に流れて均一な酸化反応を行なう。
なお、この例によるとマグネタイト膜の成膜効率は電
極20を用いない場合とほとんど変わらない。これはマグ
ネトロン磁界の強度分布が一般に第4図の様に双子型を
しているため、電極20が中央の弱い磁界の部分に位置す
ることになるからである。なおこの図は第3図のABCの
点に沿った磁束密度分布を示す。
マグネタイト膜は成膜条件を制御することによりマグ
ネタイト(Fe2O4)そのもの又はそれから外れるベルト
ライド形態にすることができることが分かった。得られ
るマグネタイト膜は酸化性雰囲気中で熱処理することに
より磁気記録媒体に適したγ酸化鉄に転化させることが
できる。
以下に実施例を述べる。
実施例 第5図に示した装置及び方法を使用してマグネタイト
の成膜を実施した。純鉄ターゲットを基板の送り方向の
長さ約127mm、横断方向の長さ約381mmに製作し、これを
バッキングプレートの中心位置に支持させた。ターゲッ
トの中央でその表面から5mmの位置に基板の送り方向の
長さ約35mm、横断方向の長さ約270mmの電極を配置し設
置した。RF電源は13.56MHz、700〜1500Wとした。アルゴ
ン90%、酸素10%の混合ガスを本発明の供給部材(基板
の面の軌跡から約5mm離れて、w55.0cm、h0.4cm、l40.0c
mとしたもの)により30〜60SCCMの流量で導入し、動作
圧5×10-1Pa以下にした。直径約13.0cm、厚さ1.9mmの
超精密研摩した(Rmax約100μ)表面強化ガラス板をタ
ーゲット面から約75mmの距離のところを定速で送り約0.
2μに成膜した。成膜中基板の温度は100〜200℃であっ
た。得られた膜は、分析により実質的にマグネタイト膜
であることが確認された。
比較のため従来の第7図に示された部材(幅は実施例
と同一、スリット54の幅は0.2cm)を用い、他の条件は
実施例と同一にして実験した。
(具体的な作用効果) 実施例及び比較例で得られた膜を分析したところマグ
ネタイト膜であった。厚さを測定したところ基板の移送
方向に直交する横断方向において本発明は一定の約0.2
μであったが、比較例のものは中央で約0.25μ両端で0.
2μであった。また比抵抗を測定したところ実施例では
どの部分も約0.01Ωcmであったが、比較例では中央で約
0.01Ωcm両端で0.03〜0.07Ωcmであった。第9図は実施
例および比較例により円盤状基板上に成膜したマグネタ
イト膜の比抵抗の分布を示す。図中角度θは円盤の送り
方向中心線を0、180度とした円盤の回転方向の角度、
rは円盤中心からの半径である。本発明の供給部材の効
果は著しいことが分かる。
【図面の簡単な説明】
第1図はRFマグネトロンスパッタ法によるマグネタイト
成膜装置を示す断面図、第2図は本発明の実施例による
マグネタイト成膜装置の平面断面図、第3図は第2図の
III−IIIより見た図、第4図はマグネトロンの磁束密度
分布を示すグラフ、第5図は本発明の反応ガス供給装置
の構造を示す斜視図、第6図は従来の反応ガス供給装置
を示す斜視図、第7図は従来の他の反応ガス供給装置を
示す斜視図、第8図は本発明の反応ガス供給装置他の実
施例による構造を示す斜視図、および第9図は本発明の
実施例と比較例の効果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 政孝 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 後藤 宗人 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 佐々木 秋典 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 久保田 俊雄 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−237638(JP,A) 特開 昭58−199861(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/00 - 14/58

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応性スパッタ法により鉄又は鉄を主体と
    する鉄合金より成るターゲットをアルゴン等のイオン形
    成ガスのイオンにより衝撃して鉄又は鉄合金の粒子を基
    板に差し向けて酸素と反応させることによりマグネタイ
    ト膜を基板面に形成する方法において、ガス供給管に接
    続された上流端と開放した下流端とを有する扁平且つ幅
    広の長い供給部材であって前記下流端全体においてほぼ
    一定の拡散流が得られるに充分な形状および長さに定め
    た前記供給部材を、前記基板に近接して配置し、前記供
    給部材を介して前記酸素又は酸素とイオン形成ガスを導
    入することを特徴とするマグネタイト膜の製造方法。
  2. 【請求項2】真空室と、鉄又は鉄を主体とする合金より
    成るターゲットと、前記ターゲットに対向して配置され
    た基板と、アルゴン等のイオン形成ガスと酸素を導入す
    る導入口とより成る、反応性スパッタ法によりマグネタ
    イト膜を基板面に形成する装置において、前記導入口
    は、前記基板に近接して設けられており、ガス供給管に
    接続された上流端と開放した下流端とを有する扁平且つ
    幅広の長い供給部材であって前記下流端全体においてほ
    ぼ一定の拡散流が得られるに充分な形状および長さに定
    めた前記供給部材より成ることを特徴とするマグネタイ
    ト膜の製造装置。
  3. 【請求項3】供給部材の扁平面は基板の面に平行に設け
    られている前記第2項記載のマグネタイト膜の製造装
    置。
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