JP2950139B2 - 磁気記録カードおよびその製造方法 - Google Patents

磁気記録カードおよびその製造方法

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JP2950139B2
JP2950139B2 JP6059109A JP5910994A JP2950139B2 JP 2950139 B2 JP2950139 B2 JP 2950139B2 JP 6059109 A JP6059109 A JP 6059109A JP 5910994 A JP5910994 A JP 5910994A JP 2950139 B2 JP2950139 B2 JP 2950139B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録カードおよびそ
の製造方法に関し、特に走行性に優れた磁気記録カード
とその走行性を調整することができる製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体として代表的なカード類
は、磁性体を含み専ら磁気記録に寄与する磁性層を支持
体上に設けて、プリペイドカードやプレミアムカード等
の磁気記録を利用したカードに構成されている。そし
て、必要に応じて磁性層の上に保護層を設けて、磁性層
面に磁気ヘッドが接触する時に磁性層面に傷などがつく
のを保護している。また、一般に磁性層とは反対側の支
持体面に印刷層を設けて、カードの美観を高めている。
【0003】これらの磁気記録を利用したカードは、大
部分のものが磁気カードリードライターを使用して書き
込み読み出しを行っている。この際に磁気記録カード類
は搬送装置に対してそれに適応した摩擦抵抗が必要であ
る。
【0004】従来、磁気記録かードにおける摩擦抵抗を
低くするための制御方法として、磁性層にステアリン
酸、オレイン酸等の高級脂肪酸や、ブチルステアレート
等の高級脂肪酸エステルを添加することによって磁性層
の表面を滑り易くする方法がとられてきた。
【0005】しかし、ロール状の無端連続磁気記録媒体
と異なり、カード状であるために駆動ベルトや非駆動あ
るいは駆動ロールによって複雑に搬送される磁気カード
類では、特に表裏の摩擦抵抗のバランスが走行性に大き
く影響し、磁性層側の潤滑剤が反対面に転移すること等
によって表裏の摩擦抵抗バランスが変化するため上記の
ような転移性のある潤滑剤は走行性に問題を起こすこと
がある。
【0006】また、磁気カード磁性面の摩擦抵抗を低減
させる方法として、カーボンブラックや、二硫化モリブ
デンを添加する手法があるが、これらの濃色顔料は磁気
カードの保護層や印刷層に用いた場合、保護層や印刷層
全体の色が暗くなり、保護層上に印刷されるバーコード
等の認視性が低下したり、印刷層の美観が損なわれると
いう問題があった。
【0007】白色あるいは透明の固体潤滑剤としてシリ
コン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、ポリエチレンワックス
等を磁性層あるいは保護層(この側をカードの裏側とす
る)、および印刷層(この側をカードの表側とする)に
添加して摩擦抵抗を下げることは可能であるが、表側と
裏側の摩擦抵抗のバランスをとる上でカードの両側の摩
擦抵抗が下がりすぎ、カード束のハンドリング等に問題
が発生する場合があった。
【0008】磁気記録カードの両側の摩擦抵抗が下がり
すぎるのを防ぐためには、表側の印刷面あるいは裏側の
磁性面の摩擦抵抗を上げれば良いが、磁性層の母材であ
る磁性粉、バインダー樹脂、分散剤等の、塗膜を形成す
る成分の中で摩擦抵抗を調整することを目的としない基
本的成分が磁性層の摩擦抵抗に対して大きく影響するの
で、固体潤滑剤の減少等による調整だけでは調整巾が不
十分であり、母材の中でもバインダー配合や充填剤含有
率等の基本組成を変更する必要があった。同様に印刷層
においても、摩擦抵抗を制御するために印刷層の母体基
本組成を変更して対処する必要があった。この磁性面あ
るいは印刷面の母体基本組成の変更は本来の基本設計を
再構築することになるため個々の機器に対して個々に対
応することが困難であった。
【0009】また、固体潤滑剤量の増減により摩擦抵抗
を調整しようとした場合、磁性面の表面粗さが固体潤滑
量により変化し、磁気ヘッドとカード磁性面の接触時の
距離が増減することによって電磁特性が変化してしまう
ため、保護層を改良のために保護層以外の磁性層等の基
本配合をも変える必要があるという問題があった。
【0010】さらに、表側の印刷層の面においても、表
面粗さが変化することによって、印刷適性や印刷効果の
特に光沢が変化する等の問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特に表側印
刷面あるいは裏側磁性面の摩擦抵抗が磁気記録機器のカ
ード走行条件に適応した磁気記録カードを提供する。ま
た、各層の基本材料としての母材の摩擦抵抗とは無関係
に、表面粗さを変えずに少量の添加剤の変更によって電
磁特性等の基本組成に大きな影響を及ぼすことなく磁気
記録カードの両面の摩擦抵抗を相対的に調整することが
できる磁気記録カードの製造方法を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材上に磁性
層(裏側面)を設け必要に応じて保護層および印刷層を
設けた磁気記録媒体において、片面または両面の最表層
中に誘電正接0.01未満の樹脂粒子と誘電正接0.0
1以上の樹脂粒子とを同時に含有し、表裏の摩擦抵抗の
比が裏側面/表側面=2.5/1〜0.5/1であるこ
とを特徴とする磁気記録カードである。
【0013】そして、誘電正接0.01未満の樹脂粒子
が、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ
素、ポリアセタールの中から選ばれる少なくとも一種で
あり、誘電正接0.01以上の樹脂粒子が、フェノー
ル、メラミン、エポキシ、アクリル、尿素、ポリアミ
ド、グアナミンの中から選ばれる少なくとも一種である
ことが好ましい。
【0014】また、樹脂粒子の平均粒子径が、樹脂粒子
を含有する各層の厚さに対して5〜250%であるこ
と。
【0015】各層中の樹脂粒子の合計含有率が1〜50
重量%であること。
【0016】誘電正接0.01未満の樹脂粒子:誘電正
接0.01以上の樹脂粒子の平均粒子径の比が、1:4
0〜40:1であることが好ましい。
【0017】さらに、本発明は、基材上に磁性層(裏側
面)を設け、必要に応じて保護層および印刷層を設ける
磁気記録カードの製造方法において、片面または両面の
最表層中に誘電正接0.01未満の樹脂粒子と誘電正接
0.01以上の樹脂粒子とを同時に含有させて、磁気記
録カードの表裏の摩擦抵抗の比が裏側面/表側面=2.
5/1〜0.5/1に調整することを特徴とする磁気記
録カードの製造方法である。
【0018】
【作用】磁気カードはビデオテープやフロッピーディス
クとは異り、磁気記録媒体が駆動系から完全に独立して
いるため、表側の印刷面と裏側の磁性面との摩擦抵抗の
バランスが特に重要で、従来の磁気記録媒体以上に広い
範囲での摩擦抵抗の制御が要求される。
【0019】例えば、自動発券機や自動読み取り機の中
で、磁気カードは各種ベルト、各種ロール、磁気ヘッド
等によって搬送されたり摺動されたりするが、このとき
表側印刷面と裏側磁性面の摩擦抵抗のバランスが適切で
ないと、カードづまりや搬送速度異常等のトラブルが原
因となって磁気信号の読みだしエラーが発生する。
【0020】磁気カードは主にその用途が金券であるた
め上記のトラブルは非常に重大な問題となる。磁気カー
ドの表裏の摩擦抵抗のバランスについては、一概にはい
えないが、基本的に表側印刷面や裏側磁性面の駆動ベル
トや駆動ロールに対する摩擦力が、非駆動ロールやベル
トあるいは磁気ヘッドに磁気カードを適正な位置に導く
ガイドレールに対する摩擦力より大きいことが必要であ
ると考えられる。
【0021】他方、カード束のハンドリング性等を考慮
すると、磁気カードの両方の面全体の摩擦抵抗を極端に
低くすることは、発券機等にカードを挿入する際に積み
重ねたカードが崩れ易い等の問題があり現実的でない。
【0022】本発明者らは磁性層用塗料や保護層用塗料
および印刷用インキのそれぞれの基本配合に影響を及ぼ
さない少量の添加剤の変更によって、より効果的に摩擦
抵抗を調整する方法について鋭意研究した。その結果、
誘電正接が0.01未満の樹脂粒子と誘電正接が0.0
1以上、より望ましくは0.3以上の樹脂粒子を混合し
て磁性層あるいは磁性層上に積層される保護層、すなわ
ち裏側磁性面の最表層を構成する層に両方の樹脂粒子を
同時に含有させることによって、母材バインダー等の摩
擦抵抗に関わりなく、また表面粗さを変化させずに、摩
擦抵抗を下げるのみならず必要に応じて母材自体よりも
摩擦抵抗を上げることができることを見いだした。ま
た、同様の手法を用いて表側印刷面の摩擦抵抗を調整す
ることも可能となった。印刷が多色刷りの場合はOPニ
ス等の最表面のインキに両方の樹脂粒子を同時に含有さ
せるように添加するのが効果的である。
【0023】本発明による磁気記録カードは、表側印刷
面、裏側磁性面、あるいはその両面に、誘電正接0.0
1未満の樹脂粒子と誘電正接0.01以上の樹脂粒子を
同時に含有していることを特徴としている。誘電正接
0.01で層別される両方の樹脂粒子の配合比を変化さ
せることによって、母材の摩擦抵抗に関わりなく樹脂粒
子を含まない場合より摩擦抵抗を高くも低くも容易に制
御できる。このとき摩擦抵抗の低下に寄与しているのは
誘電正接0.01未満の樹脂粒子であり、摩擦抵抗の増
加に寄与しているのは誘電正接0.01以上の樹脂粒子
である。特に摩擦抵抗を効果的に上げる場合は、誘電正
接0.01以上の樹脂粒子として0.03以上の樹脂粒
子を使用することがより好ましい。
【0024】これらの樹脂粒子が、磁性面、あるいは印
刷面に露出し、接触する摺動物を支持する事によって磁
気記録カードの母材であるバインダー等の摩擦抵抗には
係わりなく摩擦抵抗を調整することが可能となる。保護
層に樹脂粒子を含有させる場合は、支持体上に塗工され
た通常の磁性層上に保護層として積層する。また、磁性
層上に磁気シールド層を積層しさらに保護層を積層して
もよい。ここで言う積層とは具体的には、バーコーティ
ング、グラビアコーティング、印刷等で塗工してそれぞ
れの塗工層を形成することを意味する。
【0025】特に磁性面の最表層を形成する磁性層ある
いは保護層等に、粒径の類似した誘電正接0.01未満
の樹脂粒子と0.01以上の樹脂粒子を混合添加して摩
擦抵抗を調整することは、表面粗さを変化させず、電磁
特性に影響を与えずに摩擦抵抗を調整できるという点で
極めて有効な手法であ。
【0026】上記の樹脂粒子の中で、誘電正接0.01
未満の樹脂粒子は、シリコーン、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、フッ素、ポリアセタールの中から選ばれる少
なくとも一種であり、誘電正接が0.01以上の樹脂粒
子は、フェノール、メラミン、エポキシ、アクリル、尿
素、ポリアミド、グアナミンの中から選ばれる少なくと
も一種である。
【0027】以下に本発明に係わる磁気記録カードの構
成を具体的に説明する。(1)基材の裏側面に磁性層を
設けてその裏側面の磁性層に本発明に係わる樹脂粒子を
混合添加する。(2)基材の裏側面の通常の磁性層の上
に本発明に係わる樹脂粒子を混合して含有する保護層を
積層する。(3)基材の裏側面に(1)の磁性層あるい
は(2)の保護層を設け、表側面に印刷層を設けてその
印刷層に本発明に係わる樹脂粒子を混合添加する。
【0028】本発明における支持体としての基材はフィ
ルム状あるいはシート状で、材質としてはポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリイ
ミド、ポリカーボネートなどのプラスチックフィルム、
銅、アルミニウムなどの金属板、紙、網等を単体あるい
は複合体として用いることができる。
【0029】本発明における磁性層は、γ−Fe
2 3 、コバルト被着γ−Fe2 3 、コバルトドープ
γ−Fe2 3 、酸化クロム、金属鉄、炭化鉄、バリウ
ムフェライト等の強磁性体を樹脂等に分散した磁性塗料
に、誘電正接0.01未満の樹脂粒子と、誘電正接0.
01以上の樹脂粒子を添加、ホモミキサー等で混合して
得られた塗料を支持体上にコーティングして得られる。
このとき樹脂粒子を予め溶剤に分散しておき、磁性塗料
に添加すると樹脂粒子の凝集が起こりにくく好ましい
が、磁性塗料製造初期のミルベースに樹脂粒子を予め添
加すると、磁性塗料の分散工程で使用されるサンドミ
ル、ボールミル、アトライター等で樹脂粒子が破砕され
微小化したり溶解する可能性が高く好ましくない。
【0030】磁性層用塗料に使用する樹脂としてはポリ
ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル−塩化ビ
ニル等の共重合体、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂等
を、単体あるいは混合系として使用できる。また要求さ
れる物理特性などから、必要に応じて、架橋剤や、分散
剤、可塑剤、粘度調整剤、導電剤等を添加する。
【0031】磁性層は、上記の磁性層用塗料をグラビア
コーティング、ダイコーティング、ロールコーティン
グ、ナイフコーティング、あるいは印刷等の方法で塗工
層を形成する。
【0032】磁性層中の誘電正接0.01未満の樹脂粒
子は摩擦抵抗を低下させる役割を担い、誘電正接0.0
1以上、より望ましくは0.03以上の樹脂粒子が摩擦
抵抗を上げる効果がある。誘電正接0.01以上の樹脂
粒子では摩擦抵抗を低下させる方向の効果は期待できな
い。また、特に摩擦抵抗の増加を図る際には誘電正接
0.03以上の樹脂粒子を用いると効果的である。この
理由は磁性層に用いられるバインダーマトリックスの誘
電正接が0.01〜0.03程度であるためと考えられ
る。
【0033】また添加する両方の樹脂粒子の合計量の磁
性層に対する含有率は固形分比で1〜50重量%、望ま
しくは2〜30%、最も望ましくは3〜20%が良い。
この数字未満の含有率では摩擦抵抗を効果的に制御する
ことが困難であり、これを超える含有率では磁気特性や
塗膜の強度等の特性を損なうおそれがある。
【0034】使用する樹脂粒子の顕微鏡測定の平均粒子
径μmは、樹脂粒子が含有される層の厚さμmに対し
て、5〜250%、望ましくは10〜200%、最も望
ましくは10〜150%が良い。この数値未満では磁性
面の粗さによっては対象物と樹脂粒子が接触せず、少量
の添加では摩擦抵抗の制御が困難であり、また、これを
超える平均粒子径では、磁性層中の磁性体を含まない、
すなわち磁気記録に寄与しない部分が大きくなりすぎ、
磁気信号を適切に書き込み−読み取りすることが困難と
なり、さらに樹脂粒子の欠落等による傷発生等の問題が
発生する可能性がある。
【0035】使用する誘電正接0.01未満の樹脂粒子
と0.01以上の樹脂粒子の平均粒子径の比は1:40
〜40:1であることが望ましい。これ以上に平均粒子
径の差が大きいと、添加量が少ない場合に小さい方の樹
脂粒子が対象物に効果的に接触せず、摩擦抵抗の制御が
困難となる。特に電磁特性維持等から表面粗さを維持す
ることが重要な場合は、誘電正接0.01で層別される
2種以上の樹脂粒子の平均粒子径の比は1:3〜3:
1、より望ましくは0.6:1〜1:0.6、最適には
0.8:1〜1:0.8が好ましい。
【0036】また、本発明に係わる樹脂粒子がパール重
合等によって製造された球状をしていると、樹脂粒子が
不定形をしている場合に比べて凝集が少なく粉体のまま
磁性塗料中に混合できてホモミキサー等で容易に混合で
きるのでより望ましい。
【0037】磁性層の厚さは、特に制限はないが、目的
とコーティングの容易さや経済性から、0.3〜50μ
m、より好ましくは0.5〜20μm程度が望ましい。
【0038】本発明の保護層は、特に耐久性が要求され
る場合等に磁性層を傷などから保護することを目的に磁
性層上に積層される。保護層に使用できる樹脂として
は、ニトロセルロース、酢酸セルロース等のセルロース
誘導体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エ
チル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル樹脂単体あ
るいは共重合体、塩化ビニル樹脂あるいは塩化ビニル共
重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコー
ル、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹
脂等から選ばれる1種以上の樹脂が挙げられる。これら
の樹脂に、目的に応じた顔料、分散剤等を添加し、先に
説明した磁性層3と同様に分散処理を行い、本発明に係
わる樹脂粒子を添加混合する。
【0039】さらに、必要に応じて、架橋剤、安定剤、
粘度調整剤、可塑剤、帯電防止剤等を添加し、溶剤、水
等で希釈後、グラビアコーティング、ダイコーティン
グ、ロールコーティング、ナイフコーティングなどによ
り塗工し保護層が得られる。また、保護層は市販の油性
インク、UV硬化型インク等に本発明に係わる樹脂粒子
を添加し、ロールミル等で混練分散する事によりインク
化し、オフセット印刷等で印刷後、熱硬化、紫外線硬化
等の硬化処理をして塗膜を形成することによっても得ら
れる。
【0040】保護層の厚さには特に制限はないが、磁性
層の磁気信号を良好に書き込み/読み取りするために
は、20μm以下、望ましくは10μm以下がよい。こ
の場合にも、添加する樹脂粒子の粒径は、膜厚に対して
5〜250%以下、より好ましくは10〜200%、最
も好ましくは10〜150%にすると良い。これ以上の
粒径では膜厚に対する樹脂粒子の粒径が大きすぎ、電磁
特性の変化、樹脂粒子の塗膜からの離脱による傷等の発
生、摩擦抵抗の変化等の問題が発生するおそれがあり、
これ以下の粒径の場合少量の添加では保護層の粗さのた
め樹脂粒子が有効に対象摺動物に接触しない傾向となる
ため好ましくない。
【0041】保護層に使用する誘電正接0.01未満の
樹脂粒子と0.01以上の樹脂粒子の平均粒子径の比は
1:40〜40:1であることが望ましい。これ以上粒
径の差が大きいと、添加量が少ない場合、小さい方の樹
脂粒子が対象物に効果的に接触せず、摩擦抵抗の制御が
困難となる。特に電磁特性のために表面粗さを維持する
ことが重要な場合は、誘電正接0.01で層別される2
種以上の樹脂粒子の平均粒子径の比は1:3〜3:1、
より望ましくは0.6:1〜1:0.6、最適には0.
8:1〜1:0.8が好ましい。また、本発明に係わ
る、樹脂粒子がパール重合等によって製造された球状を
している場合、樹脂粒子が不定形をしている場合に比
べ、凝集が少なく粉体のまま磁性塗料中に混合でき、ホ
モミキサー等で容易に混合できるのでより望ましい。
【0042】本発明の印刷層は、磁気カード等に美観を
与える目的に設けられ、保護層と同様の印刷方法で形成
される。特に印刷で多色刷りを実施する場合には、本発
明に係わる樹脂粒子は、磁性層や保護層で説明したと同
様の手法が採用できる。そして、本発明の樹脂粒子は最
表面に印刷されるニス層等に含有されることが望まし
い。印刷層の厚さには特に制限はないが、目的と経済性
等より10μm以下が望ましい。
【0043】以下に試料の作成例を挙げて本発明を説明
するが、本発明はこれらの例に限定されるものではな
い。また、特に断らない限り、有機溶剤であるメチルエ
チルケトン、トルエンを除く試料例におけるすべての部
は固形分の重量部である。なお、併記した誘電正接は、
各樹脂粒子を加圧処理し、直径100mm、厚さ3mm
の円板に成型し、JIS−K6911に準拠して測定し
た。
【0044】〔磁性層に本発明に係わる樹脂粒子を含有
させた例〕 試料の作成例A1 188μmの厚さを有するポリエチレンテレフタレート
シート上に、サンドミルで調製した下記配合の磁性塗料
1に、予めホモミキサーにて撹拌し樹脂粒子を分散させ
た樹脂粒子液1をハイスピードミキサーで混合して得ら
れた塗料をグラビアコーティングし乾燥後熱硬化して、
厚さ15μmの磁性層を得た。 <磁性塗料1>γ−Fe2 3 100部、ポリウレタン
樹脂(日本ポリウレタン工業株式会社製ニッポランN−
3113)15部、部分ケン化塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体(積水化学工業株式会社製 エスレックA)1
5部、メチルエチルケトン120部、トルエン30部、
イソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン工業株式会
社製 コロネートL)10部。 <樹脂粒子液1>アクリル樹脂粒子(平均粒子径9μ
m、誘電正接0.03、(株式会社日本触媒製 エポス
ターMA1010)4.5部、テトラフルオロエチレン
樹脂粒子(平均粒子径10μm、誘電正接0.003、
ヘキストジャパン株式会社製 HOSTAFLON T
F9205)0.5部、トルエン30部。
【0045】試料の作成例A2 磁性塗料に混合する樹脂粒子液を下記配合の樹脂粒子液
2に替えた以外はA1と同様に作成した。 <樹脂粒子液2>アクリル樹脂粒子(平均粒子径9μ
m、誘電正接0.03、株式会社日本触媒製エポスター
MA1010)0.5部、テトラフルオロエチレン樹脂
粒子(平均粒子径10μm、誘電正接0.003、ヘキ
ストジャパン株式会社製 HOSTAFLON TF9
205)4.5部、トルエン30部。
【0046】試料の作成例A3 188ミクロンの厚さを有するポリエチレンテレフタレ
ートシート上に、サンドミルで調製した下記配合の磁性
塗料2をそのまま、すなわち樹脂粒子を一切添加せずに
グラビアコーティングし、乾燥後熱硬化して、厚さ15
μmの磁性層を得たもの。 <磁性塗料2>γ−Fe2 3 100部、ポリウレタン
樹脂(日本ポリウレタン工業株式会社製ニッポラン N
−3113)15部、部分ケン化塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体(積水化学工業株式会社製 エスレックA)
15部、メチルエチルケトン120部、トルエン60
部、イソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン工業株
式会社製 コロネートL)10部。
【0047】〔保護層に本発明に係わる樹脂粒子を含有
させた例〕 試料の作成例B1 試料の作成例A3で調製した磁性層の上に、下記の原料
をホモミキサーで撹拌して得られた保護層塗料2をグラ
ビアコーティングし、厚さ8μmの保護層を得た。 <保護層塗料1>アルミフレーク(旭化成工業株式会社
製 M−301)40部、ポリウレタン樹脂(日本ポリ
ウレタン工業株式会社製 ニッポランN−3113)1
5部、部分ケン化塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(積
水化学工業株式会社製 エスレックA)15部、メチル
エチルケトン120部、トルエン59部、アクリル樹脂
粒子(平均粒子径4μm、誘電正接0.03、(株式会
社日本触媒製 エポスターMA1004)4.5部、ポ
リエチレンワックス(平均粒子径6μm、固形分誘電正
接0.0003、20%トルエン分散液、ヘキストジャ
パン株式会社製 S103D)2.5部、イソシアネー
ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業株式会社製コロネー
トL)10部。
【0048】試料の作成例B2 試料の作成例A3で調製した磁性層の上に、下記の原料
をホモミキサーで撹拌して得られた保護層塗料2をグラ
ビアコーティングし、厚さ8μmの保護層を得た。 <保護層塗料2>アルミフレーク(旭化成工業株式会社
製 M−301)40部、ポリウレタン樹脂(日本ポリ
ウレタン工業株式会社製 ニッポランN−3113)1
5部、部分ケン化塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(積
水化学工業株式会社製 エスレックA)15部、メチル
エチルケトン120部、トルエン46部、アクリル樹脂
粒子(平均粒子径4μm、誘電正接0.03、(株式会
社日本触媒製 エポスターMA1004)0.5部、ポ
リエチレンワックス(平均粒子径6μm、固形分誘電正
接0.0003、20%トルエン分散液、ヘキストジャ
パン株式会社製 S103D)23部分、イソシアネー
ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業株式会社製コロネー
トL)10部。
【0049】試料の作成例B3 試料の作成例A3で調製した磁性層上に、下記原料をホ
モミキサーで撹拌して得られた保護層塗料3をグラビア
コーティングし、厚さ8μmの保護層を得た。すなわ
ち、本発明に関わる樹脂粒子を含有しない保護層の例で
ある。 <保護層塗料3>アルミフレーク(旭化成工業株式会社
製 M−301)40部、ポリウレタン樹脂(日本ポリ
ウレタン工業株式会社製 ニッポランN−3113)1
5部、部分ケン化塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(積
水化学工業株式会社製 エスレックA)15部、メチル
エチルケトン120部、トルエン60部、イソシアネー
ト系硬化剤(日本ポリウレタン工業株式会社製コロネー
トL)10部。
【0050】〔印刷層に本発明に係わる樹脂粒子を含有
させた例〕 試料の作成例C1 試料の作成例A3で調製した試料の磁性層(裏側面)と
反対側の面(表側面)の支持体上に、下記配合の紫外線
硬化型ニス1をオフセット印刷、紫外線硬化し、3μm
の厚さの印刷層を得た。 <印刷層インキニス1>ベースOPニス(TアンドK
TOKA社製紫外線硬化OPニス)100部、アクリル
樹脂粒子(平均粒子径2μm、誘電正接0.03、株式
会社日本触媒製エポスターMA1002)3部、シリコ
ン樹脂粒子(平均粒子径2μm、誘電正接0.005、
東芝シリコーン株式会社製 トスパール120)0.5
部、の原料を、3本ロールミルにて混練し、OPニスと
した。
【0051】試料の作成例C2 試料の作成例A3で調製した試料の磁性層(裏側面)と
反対側面(表側面)の支持体上に、下記配合の紫外線硬
化型ニス2をオフセット印刷、紫外線硬化し、3μmの
厚さの印刷層を得た。 <印刷層インキニス2>ベースOPニス(TアンドK
TOKA社製紫外線硬化OPニス)100部、アクリル
樹脂粒子(平均粒子径2μm、誘電正接0.03、株式
会社日本触媒製エポスターMA1002)0.5部、シ
リコン樹脂粒子(平均粒子径2μm、誘電正接0.00
5、東芝シリコーン株式会社製 トスパール120)3
部、の原料を、3本ロールミルにて混練し、OPニスと
した。
【0052】試料の作成例C3 試料の作成例A3で調製した試料の磁性層と反対側面の
支持体上に、ベースOPニス(TアンドK TOKA社
製紫外線硬化OPニス)をそのままオフセット印刷、紫
外線硬化し、3μmの厚さの印刷層を得た。
【0053】〔保護層に本発明に係わる樹脂粒子を含有
させた例の別の条件〕 試料の作成例A4(粒径比) 試料の作成例A1の樹脂粒子液1を下記の樹脂粒子液3
に替えた以外は試料の作成例A1と同様にしたもの。 <樹脂粒子液3>アクリル樹脂粒子(平均粒子径0.1
μm、誘電正接0.03、株式会社日本触媒製 エポス
ターMA10W)4.5部、テトラフルオロエチレン樹
脂粒子(平均粒子径10μm、誘電正接0.003、ヘ
キストジャパン株式会社製 HOSTAFLON TF
9205)0.5部、トルエン30部。
【0054】試料の作成例A5(配合量) 試料の作成例A1の樹脂粒子液1を下記の樹脂粒子液4
に替えた以外は試料の作成例A1と同様にしたもの。 <樹脂粒子液4>アクリル樹脂粒子(平均粒子径9μ
m、誘電正接0.03、株式会社日本触媒製エポスター
MA1010)0.9部、テトラフルオロエチレン樹脂
粒子(平均粒子径10μm、誘電正接0.003、(ヘ
キストジャパン株式会社製HOSTAFLON TF9
205)0.09部、トルエン30部。
【0055】試料の作成例A6 188ミクロンの厚さを有するポリエチレンテレフタレ
ートシート上に、サンドミルで調製した下記配合の磁性
塗料1に、予めホモミキサーにて撹拌し樹脂粒子を分散
させた樹脂粒子液6をハイスピードミキサーで混合する
事によって得られた塗料をグラビアコーティングし、乾
燥後熱硬化して、厚さ15μmの磁性層を得た。 <磁性塗料1>γ−Fe2 3 100部、ポリウレタン
樹脂(日本ポリウレタン工業株式会社製ニッポランN−
3113)15部、部分ケン化塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体(積水化学工業株式会社製 エスレックA)1
5部、メチルエチルケトン100部、トルエン30部、
イソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン工業株式会
社製 コロネートL)10部。 <樹脂粒子液6>アクリル樹脂粒子(平均粒子径9μ
m、誘電正接0.03、株式会社日本触媒製エポスター
MA1010)135部、テトラフルオロエチレン樹脂
粒子(平均粒子径10μm、誘電正接0.003、ヘキ
ストジャパン株式会社製 HOSTAFLON TF9
205)15部、メチルエチルケトン140部、トルエ
ン60部。
【0056】試料の作成例A7(平均粒子径の効果 A
1との比較) 試料の作成例A1の樹脂粒子液1を下記の樹脂粒子液7
に替えた以外は試料の作成例A1と同様にしたもの。 <樹脂粒子液7>アクリル樹脂粒子(平均粒子径0.1
μm、誘電正接0.03、株式会社日本触媒製 エポス
ターMA10W)4.5部、テトラフルオロエチレン樹
脂粒子(平均粒子径0. 1μm以下、誘電正接0.00
3、ヘキストジャパン株式会社製HOSTAFLON
TF9205を、サンドミルにて粉砕したもの)0.5
部、トルエン30部。なお、粉砕後のTF9205の粒
径は、走査型電子顕微鏡にて測定した平均粒子径であ
る。
【0057】〔印刷層に本発明に係わる樹脂粒子を含有
させた例の別の条件〕 試料の作成例C4(平均粒子径の効果 C1との比較) 試料の作成例A3で調製した試料の磁性層と反対側面の
支持体上に、下記配合の紫外線硬化型ニス3をオフセッ
ト印刷、紫外線硬化し、母材の厚さ3μm、最大厚さ約
15μmの印刷層を得た。なお母材ニスの厚さは走査型
電子顕微鏡にて断面の写真撮影により測定した。 <印刷層ニス3>ベースOPニス(TアンドK TOK
A社製紫外線硬化OPニス)100部、アクリル樹脂粒
子(平均粒子径9μm、誘電正接0.03、株式会社日
本触媒製エポスターMA1010)3部、シリコン樹脂
粒子(平均粒子径12μm、誘電正接0.005、東芝
シリコーン株式会社製 トスパール3120)0.5
部、の原料を、3本ロールミルにて混練し、OPニスと
した。
【0058】〔評価方法〕摩擦抵抗:新東科学株式会社
製の表面性測定機HEIDON−14S/DRに、プラ
スチック製固定ロールを装着し、300gの加重をかけ
た状態で500mm/分の早さで試料面をこすったとき
の最大摩擦抵抗を測定した。摩擦抵抗は、表面性測定機
からの出力電圧を、レクロイジャパン株式会社製オシロ
スコープ9314Lにて測定した。
【0059】樹脂粒子の離脱:樹脂粒子を含有するカー
ド表面を光学顕微鏡にて400倍の倍率にて観察し、傷
の有無を調べた。
【0060】電磁特性:100FCPI(flux c
hange per inch),250mAの電流で
磁気信号を記録し、平均再生出力を測定した。磁気信号
の記録再生は、三和ニューテック社製CRS−700H
を使用した。
【0061】表面粗さ:株式会社小坂研究所製3次元表
面粗さ測定機TFD−3Aによる、中心線表面粗さRa
(μm)を表示した。
【0062】
【表1】
【0063】摩擦抵抗および電磁特性は樹脂粒子を含有
しないA3を100とした相対値を示している。磁性層
あるいは保護層に本発明に係わる樹脂粒子を含有させた
A1〜A7,B1〜B3において、表面粗さの値と電磁
特性値がよく一致していて表面粗さがカード−ヘッド間
の距離に対応していると思われる。
【0064】磁性層上に保護層を積層した試料で電磁特
性値が低くなっているのは、磁性層磁気ヘッドの距離が
保護層の厚さだけ遠くなっているためである。
【0065】A1とA2では、誘電正接0.01で層別
される平均粒子径が9μmと10μmの樹脂粒子を使用
したが、表面粗さに影響を与えず、摩擦抵抗を変化させ
ることができた。B1とB2でも摩擦抵抗を大きく変化
させることはできたが、使用した樹脂粒子の粒径が4μ
mと6μmとやや異なったため、表面粗さに若干の差が
でた。しかし電磁特性にこの粗さの差は反映されていな
いことから、この程度の表面粗さの差は実用上問題にな
らないと考えられる。
【0066】表1に示す評価結果より、樹脂粒子を磁性
層、保護層、印刷層のいずれに含有させた場合でも、摩
擦抵抗を上下に制御できることが分かる。例えば、B3
の保護層と、C3の印刷層の摩擦抵抗バランス80/7
5=1.07/1が、実際のカード運用上望ましくなか
った場合、本発明による樹脂粒子による摩擦抵抗調整に
よって、摩擦抵抗バランス125/60=2.08/1
(B1とC2の組み合わせ)から65/100=0.6
5/1(B2とC1の組み合わせ)の範囲まで変動させ
て調整することが可能であり、使用される券売機等の機
種に応じた摩擦抵抗を有する磁気記録カードの作成が容
易に実施できる。
【0067】そして、A1とA4の比較から、組み合わ
せる樹脂粒子の粒径に差がありすぎると、摩擦抵抗の調
整が不十分となることが分かる。また、A1とA5の比
較から、添加する樹脂粒子量が少なすぎる場合もまた摩
擦抵抗の調整に限界があることが分かる。
【0068】一方、A6のように添加量が多すぎる場
合、摩擦抵抗の調整は可能のように見えるが、添加量に
対する摩擦抵抗の変化は小さく、また磁性層面に多数の
傷と離脱した樹脂粒子が認められた。これは樹脂粒子を
保持するバインダー樹脂量が相対的に減少するためと思
われる。さらにA6では、電磁特性も他の磁性層に樹脂
粒子を含有させた試料に比べて低くなっている。これも
また、樹脂粒子含有率が多すぎるため、相対的に磁気記
録に関与する磁性体の含有率が低くなっているためと、
脱落した樹脂粒子が磁気ヘッドにたまり、ヘッド磁性層
間の距離が広がったため磁束の減衰が起こったためと考
えられる。
【0069】これらのことより、樹脂粒子の含有率は多
すぎても少なすぎても好ましくないことが分かる。A1
とA7の比較から、添加する樹脂粒子の粒径が塗膜の厚
さに対して小さすぎる場合は、摩擦抵抗の調整が不十分
になることがわかる。これは磁性層の粗さに対して樹脂
粒子が小さすぎるため、対象となる摺動物に樹脂粒子が
効果的に接触できないためと考えられる。
【0070】C1とC4より、添加する樹脂粒子の粒径
が塗膜の厚さに対して大きすぎる場合は、樹脂粒子が塗
膜より脱落し塗膜に傷が発生した。C4において摩擦抵
抗が異常に小さいのは、脱落した樹脂粒子がボールベア
リングのように働き、転がり摩擦抵抗の要素が入ったた
ためと考えられる。結局添加する樹脂粒子の粒径は、塗
膜に対して大きすぎても小さすぎても実用性に欠けるこ
とが分かる。
【0071】
【実施例】上記の摩擦抵抗を変化させた磁性層と印刷層
あるいは保護層と印刷層を組み合わせて作成した磁気記
録カードを用いてカードの実際の走行性試験を実施し
た。本実施例では印刷面に接触するカード搬送ベルトを
変えた例を示したが、本発明がこれらの実施例に限定さ
れるものではないことは勿論のことである。
【0072】走行性試験に用いた試験機は、三和ニュー
テック社製CRS−700Hを改造したもので、下記の
カード搬送用ベルトを使用してカード詰まりの起こし易
さを調べた。CRS−700Hの中では実際にはカード
はこの駆動ベルトと、カード押さえ用の非駆動のプラス
チックロールにはさまれながら、ベルトの回転に従って
移動する。
【0073】C3の印刷面に対する摩擦角は、(イ):
カーボンブラック含有ラテックスベルトに対して0.4
であり、(ロ):シリコンゴムベルトにたいして0.7
である。摩擦角はそれぞれのベルトについて、同種ベル
ト2本を1cmの間隔で平行にガラス板上に両面テープ
で張り付けた上に、試料となるカード(C3)を印刷面
がベルトに接するように置き、ガラス板を徐々に傾けて
いったときカードが滑り始める角度を求めた。上記の数
値は、この角度のtan(正接)を示して、このことか
ら(イ)のベルトは(ロ)のベルトよりすべり易い、す
なわちカード印刷面に対する摩擦抵抗が低いことが分か
る。
【0074】これらは市場に存在する各種の券売機や、
読み取り機を想定したものである。カード詰まりは予め
磁気信号を記録したカード20枚を試験機に通したとき
に全カード問題なく信号を再生できた組み合わせを○、
10枚以上すなわち半数以上信号を再生できた組み合わ
せを△、10枚以下しか信号を再生できなかった組み合
わせを×とした。
【0075】実施例1 カード搬送ベルト(イ)を用いた場合
【0076】
【表2】
【0077】実施例2 カード搬送ベルト(ロ)を用いた場合
【0078】
【表3】
【0079】実施例1および実施例2より明らかなよう
に、カード搬送ベルトの種類によってカードに要求され
る表裏の摩擦抵抗のバランスは大きく異なる。表1に示
した摩擦抵抗のバランスから、本実施例1の場合は裏磁
性面/表印刷面の摩擦抵抗の比が0.7/1程度より小
さいことが100%カード詰まりを起こさないために必
要であるが、実施例2では1.0/1程度でよいことが
分かる。これは、表印刷面に接触するカード搬送ベルト
の摩擦抵抗が充分に高い(実施例2)と、ベルトとカー
ド印刷面の摩擦力が、カード裏面の磁性面と非駆動の押
さえロールや磁気ヘッドとの摩擦抵抗に打ち勝ってカー
ドが良好に搬送させられるが、ベルトの摩擦抵抗が低い
(実施例1)と充分な駆動力がカードに伝達されないた
め、より高い表印刷面の摩擦抵抗と、より低い裏磁性面
の摩擦抵抗が同時に要求されるためと思われる。
【0080】本実施例では印刷面に接触するカード搬送
ベルトを変えた例を示したが、同様の現象は磁性面に接
触するロールや磁気ヘッドの材質の種類によっても起こ
る。このように、カード搬送ベルトを変えたことだけ
で、同一の測定機においても走行性が大きく変化するこ
とが分かったが、種々のカードシステムが大量に運用さ
れている現状で、各カードシステムに対応して表/裏の
摩擦抵抗バランスを調整することができることは極めて
有効である。
【0081】
【発明の効果】誘電正接0.01で層別される塗膜に対
して特定の粒径を有する2種以上の樹脂粒子を同時に特
定の割合で塗膜に添加することにより、塗膜各層の基本
配合を変更することなく、カード運用システムの特徴に
適応して磁気媒体としてのカードの表裏の摩擦抵抗のバ
ランスを容易に合わせることのできる実用性の高い磁気
記録カードが製造できることが明かとなった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−254417(JP,A) 特開 平3−232178(JP,A) 特開 昭61−180924(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 5/80 B42D 15/10 501 G11B 5/708 G11B 5/72 G11B 5/704

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に磁性層(裏側面)を設け必要に応
    じて保護層および印刷層を設けた磁気記録媒体におい
    て、片面または両面の最表層中に誘電正接0.01未満
    の樹脂粒子と誘電正接0.01以上の樹脂粒子とを同時
    に含有し、表裏の摩擦抵抗の比が裏側面/表側面=2.
    5/1〜0.5/1であることを特徴とする磁気記録カ
    ード。
  2. 【請求項2】誘電正接0.01未満の樹脂粒子が、シリ
    コーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素、ポリ
    アセタールの中から選ばれる少なくとも一種であり、誘
    電正接0.01以上の樹脂粒子が、フェノール、メラミ
    ン、エポキシ、アクリル、尿素、ポリアミド、グアナミ
    ンの中から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載
    の磁気記録カード。
  3. 【請求項3】樹脂粒子の平均粒子径が、樹脂粒子を含有
    する各層の厚さに対して5〜250%である請求項1ま
    たは2記載の磁気記録カード。
  4. 【請求項4】各層中の樹脂粒子の合計含有率が1〜50
    重量%である請求項1〜3記載の磁気記録カード。
  5. 【請求項5】誘電正接0.01未満の樹脂粒子:誘電正
    接0.01以上の樹脂粒子の平均粒子径の比が、1:4
    0〜40:1である請求項1〜4記載の磁気記録カー
    ド。
  6. 【請求項6】基材上に磁性層(裏側面)を設け、必要に
    応じて保護層および印刷層を設ける磁気記録カードの製
    造方法において、片面または両面の最表層中に誘電正接
    0.01未満の樹脂粒子と誘電正接0.01以上の樹脂
    粒子とを同時に含有させて、磁気記録カードの表裏の摩
    擦抵抗の比が裏側面/表側面=2.5/1〜0.5/1
    に調整することを特徴とする磁気記録カードの製造方
    法。
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