JP2953592B2 - ステイオンタブ方式アルミニウム缶用蓋材およびその製造方法 - Google Patents
ステイオンタブ方式アルミニウム缶用蓋材およびその製造方法Info
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- Containers Opened By Tearing Frangible Portions (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はアルミニウム缶の缶体
における蓋材、特に高強度を有しかつ引き裂き性に優れ
たステイオンタブ方式のアルミニウム缶用の蓋材に関す
るものである。
における蓋材、特に高強度を有しかつ引き裂き性に優れ
たステイオンタブ方式のアルミニウム缶用の蓋材に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般にアルミニウム缶の蓋材としては、
5052合金、5082合金、5182合金などの50
00番系の合金が用いられており、特にビールその他の
炭酸飲料用の缶の蓋材、すなわち内圧が加わる用途の缶
の蓋材としては焼付塗装後の耐力で 300N/mm2 以上の
高強度が要求され、そのためこのような用途では518
2合金が主流を占めている。
5052合金、5082合金、5182合金などの50
00番系の合金が用いられており、特にビールその他の
炭酸飲料用の缶の蓋材、すなわち内圧が加わる用途の缶
の蓋材としては焼付塗装後の耐力で 300N/mm2 以上の
高強度が要求され、そのためこのような用途では518
2合金が主流を占めている。
【0003】一方、最近ではアルミニウム缶の再利用
(リサイクル)を容易にするため、缶胴と缶蓋を同一成
分組成の合金で構成すること、すなわち所謂ユニアロイ
化することが考えられており、このユニアロイ化のため
に蓋材、胴材ともに3004合金をベースとした合金を
用いることが提案されているが、3004合金をベース
とした従来の蓋材では、5182合金と同等のレベルを
得ることが困難であり、5182合金と同等の強度レベ
ルを得るためには高い冷間加工度を必要としてしまうた
め、蓋材としての成形性の問題が生じ、そのため実用化
には至っていない。
(リサイクル)を容易にするため、缶胴と缶蓋を同一成
分組成の合金で構成すること、すなわち所謂ユニアロイ
化することが考えられており、このユニアロイ化のため
に蓋材、胴材ともに3004合金をベースとした合金を
用いることが提案されているが、3004合金をベース
とした従来の蓋材では、5182合金と同等のレベルを
得ることが困難であり、5182合金と同等の強度レベ
ルを得るためには高い冷間加工度を必要としてしまうた
め、蓋材としての成形性の問題が生じ、そのため実用化
には至っていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来一般の飲料缶の開
缶方式としては、缶蓋に取付けられたタブを引上げるこ
とによりタブと缶蓋の一部(飲み口部分)が缶から完全
に分離される所謂プルオンタブ方式が多かったが、最近
では環境問題の点から、図1、図2に示すように缶蓋上
面1に取付けられたタブ2および缶蓋の飲み口部分3が
開缶時に缶から完全には分離されない所謂スイテオンタ
ブ方式を採用する傾向が高まっている。また既に述べた
ようにアルミニウム材料のリサイクルのため、使用済み
の缶体を回収して再溶解し、再び缶体に使用する傾向が
強まっており、このようなリサイクルを容易とするため
の実用化可能な方策を開発することが望まれるようにな
っている。
缶方式としては、缶蓋に取付けられたタブを引上げるこ
とによりタブと缶蓋の一部(飲み口部分)が缶から完全
に分離される所謂プルオンタブ方式が多かったが、最近
では環境問題の点から、図1、図2に示すように缶蓋上
面1に取付けられたタブ2および缶蓋の飲み口部分3が
開缶時に缶から完全には分離されない所謂スイテオンタ
ブ方式を採用する傾向が高まっている。また既に述べた
ようにアルミニウム材料のリサイクルのため、使用済み
の缶体を回収して再溶解し、再び缶体に使用する傾向が
強まっており、このようなリサイクルを容易とするため
の実用化可能な方策を開発することが望まれるようにな
っている。
【0005】ところでプルオンタブ方式の缶では、タブ
を引上げることにより人間の手指の力で直接スコアー
(切取り線となる刻み込み部分)から引きちぎることに
なるが、ステイオンタブ方式ではこれとは異なり、図
2、図3に示すように、手指の力で直接飲み口部分3を
スコアー4から引きちぎるのではなく、タブ2の把手部
2Aを引上げることによりタブ2の取付部(リベット
部)5を支点として梃子の作用によりタブ2の先端部2
Bを下げ、これにより飲み口部分3を押し下げて、その
飲み口部分3を一部を残しスコアー4から引き裂くこと
になる。
を引上げることにより人間の手指の力で直接スコアー
(切取り線となる刻み込み部分)から引きちぎることに
なるが、ステイオンタブ方式ではこれとは異なり、図
2、図3に示すように、手指の力で直接飲み口部分3を
スコアー4から引きちぎるのではなく、タブ2の把手部
2Aを引上げることによりタブ2の取付部(リベット
部)5を支点として梃子の作用によりタブ2の先端部2
Bを下げ、これにより飲み口部分3を押し下げて、その
飲み口部分3を一部を残しスコアー4から引き裂くこと
になる。
【0006】このようにステイオンタブ方式では、手指
の力を梃子の作用により間接的に利用しているため、開
缶時において飲み口部分がスムーズにスコアーから引き
裂かれるように力の入れ方を微妙に加減することはでき
ず、そのため力の入れ方によっては飲み口部分3がスコ
アー4から均一に引き裂かれず、開缶の失敗が生じるこ
とがある。このような問題は、タブの形状や強度、ある
いはスコアーの刻み込み寸法や形状などによってもある
程度は改善することができるが、素材面からは、開缶時
の引き裂き力が少なくて済む材料、すなわち引き裂き性
の良好な材料を開発することが望まれる。
の力を梃子の作用により間接的に利用しているため、開
缶時において飲み口部分がスムーズにスコアーから引き
裂かれるように力の入れ方を微妙に加減することはでき
ず、そのため力の入れ方によっては飲み口部分3がスコ
アー4から均一に引き裂かれず、開缶の失敗が生じるこ
とがある。このような問題は、タブの形状や強度、ある
いはスコアーの刻み込み寸法や形状などによってもある
程度は改善することができるが、素材面からは、開缶時
の引き裂き力が少なくて済む材料、すなわち引き裂き性
の良好な材料を開発することが望まれる。
【0007】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、高強度を有するとともに引き裂き性が良好で
しかもリサイクルも容易な、ステイオンタブ方式のアル
ミニウム缶に用いられる蓋材およびその製造方法を提供
することを目的とするものである。
たもので、高強度を有するとともに引き裂き性が良好で
しかもリサイクルも容易な、ステイオンタブ方式のアル
ミニウム缶に用いられる蓋材およびその製造方法を提供
することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、、上述の
課題を解決するため、種々実験検討を重ねた結果、胴材
に使用されている3004合金に比較的近い成分系でそ
の成分組成を適切に設定すると同時に、最終板における
金属間化合物の分散状態を適切に調整することによっ
て、高強度でかつ引き裂き性が良好であって、しかも胴
材に比較的近い成分系であるところからリサイクルも容
易な蓋材が得られることを見出し、この発明をなすに至
った。
課題を解決するため、種々実験検討を重ねた結果、胴材
に使用されている3004合金に比較的近い成分系でそ
の成分組成を適切に設定すると同時に、最終板における
金属間化合物の分散状態を適切に調整することによっ
て、高強度でかつ引き裂き性が良好であって、しかも胴
材に比較的近い成分系であるところからリサイクルも容
易な蓋材が得られることを見出し、この発明をなすに至
った。
【0009】具体的には、請求項1に記載の発明のステ
イオンタブ方式アルミニウム缶用蓋材は、Mg 1.0〜
3.0wt%、Cu0.05〜 0.7wt%、Si0.05〜 0.5wt%、
Mn0.5〜 1.7wt%、Fe 0.1〜 1.0wt%を含有し、か
つMnとFeとの合計量が1.0〜 2.0wt%の範囲内にあ
り、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、表面に
おける 1.0μm以上の金属間化合物の数が 0.2mm2 当り
500〜3000個の範囲内にあり、かつ表面における
金属間化合物の平均径が 2〜 6μmの範囲内にあり、し
かも 180〜 400℃×5〜1800sec の焼付塗装処理を
施した後の面内各方向の耐力値のうち最低の耐力が 300
N/mm2 以上あることを特徴とするものである。
イオンタブ方式アルミニウム缶用蓋材は、Mg 1.0〜
3.0wt%、Cu0.05〜 0.7wt%、Si0.05〜 0.5wt%、
Mn0.5〜 1.7wt%、Fe 0.1〜 1.0wt%を含有し、か
つMnとFeとの合計量が1.0〜 2.0wt%の範囲内にあ
り、残部がAlおよび不可避的不純物よりなり、表面に
おける 1.0μm以上の金属間化合物の数が 0.2mm2 当り
500〜3000個の範囲内にあり、かつ表面における
金属間化合物の平均径が 2〜 6μmの範囲内にあり、し
かも 180〜 400℃×5〜1800sec の焼付塗装処理を
施した後の面内各方向の耐力値のうち最低の耐力が 300
N/mm2 以上あることを特徴とするものである。
【0010】また請求項2の発明のステイオンタブ方式
アルミニウム缶用蓋材の製造方法は、Mg 1.0〜 3.0wt
%、Cu0.05〜 0.7wt%、Si0.05〜 0.5wt%、Mn
0.5〜1.7wt%、Fe 0.1〜 1.0wt%を含有し、かつMn
とFeとの合計量が 1.0〜2.0wt%の範囲内にあり、残
部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金をDC鋳造
法によって鋳造した後、鋳塊加熱を施してから圧延して
中間板厚とし、さらに 1℃/sec 以上の昇温速度で 450
〜 620℃の範囲内の温度で加熱して保持なしもしくは2
分以内の保持後 1℃/sec 以上の高温速度で冷却する中
間焼鈍を行ない、その後冷間圧延を施して最終板厚と
し、これによって表面における 1μm以上の金属間化合
物の数が 0.2mm2 当り500〜3000個の範囲内にあ
り、かつ表面における金属間化合物の平均径が2〜 6μ
mの範囲内にあり、しかも 180〜400℃×5〜1800s
ec の焼付塗装処理を施した状態での面内各方向の耐力
値のうち最低の耐力が 300N/mm2 以上である蓋材を得
ることを特徴とするものである。
アルミニウム缶用蓋材の製造方法は、Mg 1.0〜 3.0wt
%、Cu0.05〜 0.7wt%、Si0.05〜 0.5wt%、Mn
0.5〜1.7wt%、Fe 0.1〜 1.0wt%を含有し、かつMn
とFeとの合計量が 1.0〜2.0wt%の範囲内にあり、残
部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金をDC鋳造
法によって鋳造した後、鋳塊加熱を施してから圧延して
中間板厚とし、さらに 1℃/sec 以上の昇温速度で 450
〜 620℃の範囲内の温度で加熱して保持なしもしくは2
分以内の保持後 1℃/sec 以上の高温速度で冷却する中
間焼鈍を行ない、その後冷間圧延を施して最終板厚と
し、これによって表面における 1μm以上の金属間化合
物の数が 0.2mm2 当り500〜3000個の範囲内にあ
り、かつ表面における金属間化合物の平均径が2〜 6μ
mの範囲内にあり、しかも 180〜400℃×5〜1800s
ec の焼付塗装処理を施した状態での面内各方向の耐力
値のうち最低の耐力が 300N/mm2 以上である蓋材を得
ることを特徴とするものである。
【0011】
【作用】先ずこの発明における蓋材の成分組成範囲の限
定理由を説明する。
定理由を説明する。
【0012】Mg:MgはCuやSiとの共存によりM
g2 Si、Al2 CuMgの析出による時効硬化に寄与
するとともに、Mgそのものも固溶強化に寄与する。M
g量が 1.0wt%未満では蓋材として必要な強度が得られ
ない。一方Mg量が 3.0wt%を越えれば、強度向上は期
待できるが、回収したアルミニウム2ピース缶をリサイ
クルのために再溶解した後の鋳塊(再生塊)中のMg量
が多くなり、その再生塊から3000番系の胴材を製造
する場合にはMg濃度を稀釈するために純アルミニウム
地金を必要とするようになってしまい、この発明の目的
の一つであるリサイクルの容易さを達成できなくなる。
そこでMg量は 1.0〜 3.0wt%の範囲内とした。
g2 Si、Al2 CuMgの析出による時効硬化に寄与
するとともに、Mgそのものも固溶強化に寄与する。M
g量が 1.0wt%未満では蓋材として必要な強度が得られ
ない。一方Mg量が 3.0wt%を越えれば、強度向上は期
待できるが、回収したアルミニウム2ピース缶をリサイ
クルのために再溶解した後の鋳塊(再生塊)中のMg量
が多くなり、その再生塊から3000番系の胴材を製造
する場合にはMg濃度を稀釈するために純アルミニウム
地金を必要とするようになってしまい、この発明の目的
の一つであるリサイクルの容易さを達成できなくなる。
そこでMg量は 1.0〜 3.0wt%の範囲内とした。
【0013】Cu:CuはMgと同様にそれ自体で固溶
強化に寄与するとともに、Mgとの共存によるAl2 C
uMgの析出による時効硬化に寄与し、特にこの発明の
ように焼付塗装を施して使用する用途では上述の効果が
大きく、焼付塗装後に高強度を有する材料を得ることが
できる。Cu量が0.05wt%未満ではその効果が少なく、
0.7wt%を越えれば時効硬化は容易に得られる反面、硬
くなり過ぎてその後の成形に不利となる。
強化に寄与するとともに、Mgとの共存によるAl2 C
uMgの析出による時効硬化に寄与し、特にこの発明の
ように焼付塗装を施して使用する用途では上述の効果が
大きく、焼付塗装後に高強度を有する材料を得ることが
できる。Cu量が0.05wt%未満ではその効果が少なく、
0.7wt%を越えれば時効硬化は容易に得られる反面、硬
くなり過ぎてその後の成形に不利となる。
【0014】Si:SiはMgとの共存によりMg2 S
iを析出して時効硬化に寄与するが、この発明の場合に
はそれよりもむしろ、FeおよびMnとの共存下で金属
間化合物の適切な分散状態を得るために寄与する。Si
量が0.05wt%未満ではその効果が少なく、一方 0.5wt%
を越えればその効果が飽和し、さらにはMg2 Siによ
る時効硬化が過度となったりSi自体による固溶硬化が
進んで成形性を悪化させる。したがってSi量は0.05〜
0.5wt%の範囲内とした。
iを析出して時効硬化に寄与するが、この発明の場合に
はそれよりもむしろ、FeおよびMnとの共存下で金属
間化合物の適切な分散状態を得るために寄与する。Si
量が0.05wt%未満ではその効果が少なく、一方 0.5wt%
を越えればその効果が飽和し、さらにはMg2 Siによ
る時効硬化が過度となったりSi自体による固溶硬化が
進んで成形性を悪化させる。したがってSi量は0.05〜
0.5wt%の範囲内とした。
【0015】Mn:Mnは強度向上に寄与するばかりで
なく、この発明において金属間化合物を生成させるため
に必須の元素であり、適切な金属間化合物分散状態を得
るためにFeとともに重要な役割を果たす。この発明で
主として適用されるDC鋳造法の場合、Mn量が 1.7wt
%を越えれば、MnAl6の初晶巨大金属間化合物を形
成して、著しく成形性を損なう。一方Mn量が 0.5wt%
未満では、必要な金属間化合物分散状態を得るだけの金
属間化合物量を確保することが困難となる。したがって
Mn量は 0.5〜 1.7wt%の範囲内とした。
なく、この発明において金属間化合物を生成させるため
に必須の元素であり、適切な金属間化合物分散状態を得
るためにFeとともに重要な役割を果たす。この発明で
主として適用されるDC鋳造法の場合、Mn量が 1.7wt
%を越えれば、MnAl6の初晶巨大金属間化合物を形
成して、著しく成形性を損なう。一方Mn量が 0.5wt%
未満では、必要な金属間化合物分散状態を得るだけの金
属間化合物量を確保することが困難となる。したがって
Mn量は 0.5〜 1.7wt%の範囲内とした。
【0016】Fe:FeはMnとともに適切な金属間化
合物分散状態を得るために必要な元素であるとともに、
Siと同様にMnの晶出を促進させる元素である。Fe
量が0.1wt%未満ではその効果が少なく、一方 1.0wt%
を越えればMn添加と相俟って初晶巨大金属間化合物を
生成して、成形性を損なう。したがってFe量は 0.1〜
1.0wt%の範囲内とした。
合物分散状態を得るために必要な元素であるとともに、
Siと同様にMnの晶出を促進させる元素である。Fe
量が0.1wt%未満ではその効果が少なく、一方 1.0wt%
を越えればMn添加と相俟って初晶巨大金属間化合物を
生成して、成形性を損なう。したがってFe量は 0.1〜
1.0wt%の範囲内とした。
【0017】Mn+Fe:Mn量、Fe量は個別的には
前述の通りであるが、金属間化合物の生成には両者が並
存することが必要であるから、引き裂き性向上のために
金属間化合物の適切な分散状態を得るためには、両者の
合計含有量も考慮する必要がある。Mn+Feの合計量
が 1.0wt%未満では金属間化合物の適切な分散状態が得
られず、一方その合計量が 2.0wt%を越えれば初晶金属
間化合物を生成して成形性を劣化させる。そこでMn+
Feの合計量を 1.0〜 2.0wt%の範囲内とした。
前述の通りであるが、金属間化合物の生成には両者が並
存することが必要であるから、引き裂き性向上のために
金属間化合物の適切な分散状態を得るためには、両者の
合計含有量も考慮する必要がある。Mn+Feの合計量
が 1.0wt%未満では金属間化合物の適切な分散状態が得
られず、一方その合計量が 2.0wt%を越えれば初晶金属
間化合物を生成して成形性を劣化させる。そこでMn+
Feの合計量を 1.0〜 2.0wt%の範囲内とした。
【0018】なお通常のアルミニウム合金においては、
鋳塊結晶粒微細化のため、Ti単独あるいはTiをBと
組合せて微量添加することがあり、この発明でも微量の
Ti、あるいはTiおよびBを添加することは許容され
る。但しTiを添加する場合その添加量が0.01wt%未満
では鋳塊結晶粒微細化の効果が得られず、一方 0.3wt%
を越えれば成形性を害するから、Tiは0.01〜 0.3wt%
の範囲内とすることが好ましい。またTiとともにBを
添加する場合、Bが1ppm未満ではその効果がなく、一方
500ppmを越えれば成形性を害するからBは 1〜500ppmの
範囲内とすることが好ましい。
鋳塊結晶粒微細化のため、Ti単独あるいはTiをBと
組合せて微量添加することがあり、この発明でも微量の
Ti、あるいはTiおよびBを添加することは許容され
る。但しTiを添加する場合その添加量が0.01wt%未満
では鋳塊結晶粒微細化の効果が得られず、一方 0.3wt%
を越えれば成形性を害するから、Tiは0.01〜 0.3wt%
の範囲内とすることが好ましい。またTiとともにBを
添加する場合、Bが1ppm未満ではその効果がなく、一方
500ppmを越えれば成形性を害するからBは 1〜500ppmの
範囲内とすることが好ましい。
【0019】またこのほか、Cr,Zr,Vはいずれも
それぞれ 0.3wt%程度までであれば、この発明の効果を
失わずに強度向上に寄与する。またZnも 0.5wt%程度
までであれば、この発明の効果を失わずに強度向上に寄
与する。
それぞれ 0.3wt%程度までであれば、この発明の効果を
失わずに強度向上に寄与する。またZnも 0.5wt%程度
までであれば、この発明の効果を失わずに強度向上に寄
与する。
【0020】ここで、この発明で規定している蓋材の合
金成分組成は、胴材として従来から広く使用されている
3004合金の成分組成(Mg 0.8〜1.3wt%、Mn 1.
0〜1.5wt%、Si0.30wt%以下、Fe 0.7wt%以下、C
u0.25wt%以下、残部Al)に近い。そのため、この発
明の蓋材と、従来の一般的な3004合金からなる胴材
とを組合せて2ピース缶を作り、その缶をリサイクルの
ために回収して再溶解し、その鋳塊(再生塊)から再び
同じ蓋材、胴材を製造する場合には、再溶解時の酸化に
よるMgのロス(Mgが約20%減る)を見込んで、Mg
の添加のみを行なえば良く、したがって特に純アルミニ
ウムの新地金を添加する必要がないから、リサイクルは
容易である。ちなみに、蓋材と胴材とを全く同じ合金で
作ってユニアロイ化した場合でも、再溶解時のMgロス
により新たなMgの添加を行なわなければならないのが
通常であり、したがってこの発明の成分組成範囲内の蓋
材を用いた場合のリサイクルの容易さは、ユニアロイ化
した場合と同等と言える。
金成分組成は、胴材として従来から広く使用されている
3004合金の成分組成(Mg 0.8〜1.3wt%、Mn 1.
0〜1.5wt%、Si0.30wt%以下、Fe 0.7wt%以下、C
u0.25wt%以下、残部Al)に近い。そのため、この発
明の蓋材と、従来の一般的な3004合金からなる胴材
とを組合せて2ピース缶を作り、その缶をリサイクルの
ために回収して再溶解し、その鋳塊(再生塊)から再び
同じ蓋材、胴材を製造する場合には、再溶解時の酸化に
よるMgのロス(Mgが約20%減る)を見込んで、Mg
の添加のみを行なえば良く、したがって特に純アルミニ
ウムの新地金を添加する必要がないから、リサイクルは
容易である。ちなみに、蓋材と胴材とを全く同じ合金で
作ってユニアロイ化した場合でも、再溶解時のMgロス
により新たなMgの添加を行なわなければならないのが
通常であり、したがってこの発明の成分組成範囲内の蓋
材を用いた場合のリサイクルの容易さは、ユニアロイ化
した場合と同等と言える。
【0021】この発明の蓋材においては、上述のように
合金成分組成を規定するだけではなく、金属間化合物の
分散状態を適切に調整し、かつ焼付塗装後の耐力を適切
に確保することが極めて重要である。すなわち、本発明
者等が図4に示すように幅Wが40mm、厚みTが 0.3mmの
アルミニウム合金板10について、荷重(引き裂き力)
を上下に加えて引き裂き性を評価する試験を行なったと
ころ、成形性を損なうことなく優れた引き裂き性を得る
ためには、先ず板の表面で観察した 1μm以上の径の金
属間化合物の数が 0.2mm2 当り500個から3000個
の範囲内にあり、かつその 1μm以上の金属間化合物の
平均径が 2〜 6μmの範囲内にあることが必要であり、
さらに面内各方向の耐力のうち耐力が最低となる方向の
耐力が、180〜 400℃×5〜1800sec の焼付塗装処
理を施した後の耐力値で 300N/mm2 以上となること
も、優れた引き裂き性を得るために必要であることを見
出した。
合金成分組成を規定するだけではなく、金属間化合物の
分散状態を適切に調整し、かつ焼付塗装後の耐力を適切
に確保することが極めて重要である。すなわち、本発明
者等が図4に示すように幅Wが40mm、厚みTが 0.3mmの
アルミニウム合金板10について、荷重(引き裂き力)
を上下に加えて引き裂き性を評価する試験を行なったと
ころ、成形性を損なうことなく優れた引き裂き性を得る
ためには、先ず板の表面で観察した 1μm以上の径の金
属間化合物の数が 0.2mm2 当り500個から3000個
の範囲内にあり、かつその 1μm以上の金属間化合物の
平均径が 2〜 6μmの範囲内にあることが必要であり、
さらに面内各方向の耐力のうち耐力が最低となる方向の
耐力が、180〜 400℃×5〜1800sec の焼付塗装処
理を施した後の耐力値で 300N/mm2 以上となること
も、優れた引き裂き性を得るために必要であることを見
出した。
【0022】板表面における金属間化合物の数が多いほ
ど、また金属間化合物の径が大きいほど、引き裂き性が
良好となる。 1μm以上の金属間化合物の数が 0.2mm2
当り500個未満ではこの発明で目標とする引き裂き性
が得られず、また金属間化合物の平均径が 2μm未満で
も目標とする引き裂き性が得られない。但し 1μm以上
の金属間化合物の数が 0.2mm2 当り3000個を越える
かまたは平均径が 6μmを越えれば、材料が脆くなって
成形に問題が生じるようになる。そこで金属間化合物の
分散状態を上述のように規定した。なお金属間化合物の
平均径は、長径が 1μm以上の金属間化合物について、
その金属間化合物の長径の総和を金属間化合物の数で徐
したものである。
ど、また金属間化合物の径が大きいほど、引き裂き性が
良好となる。 1μm以上の金属間化合物の数が 0.2mm2
当り500個未満ではこの発明で目標とする引き裂き性
が得られず、また金属間化合物の平均径が 2μm未満で
も目標とする引き裂き性が得られない。但し 1μm以上
の金属間化合物の数が 0.2mm2 当り3000個を越える
かまたは平均径が 6μmを越えれば、材料が脆くなって
成形に問題が生じるようになる。そこで金属間化合物の
分散状態を上述のように規定した。なお金属間化合物の
平均径は、長径が 1μm以上の金属間化合物について、
その金属間化合物の長径の総和を金属間化合物の数で徐
したものである。
【0023】一方耐力に関しては、薄板を引き裂こうと
するときに、耐力値が高いほど引き裂きに要する荷重が
少なくて済む。すなわち前述の図4に示した引き裂き性
試験における引き裂き進行部分11の状況を拡大して図
5に示すが、この引き裂き進行部分11における引き裂
き亀裂先端11Aまでの深さLは耐力が高いほど大きく
なり、かつこの深さLが大きいほど見掛け上引き裂き力
が小さくなる。したがって板の耐力が大きいほど引き裂
きに要する力が小さくなり、引き裂き性が良好となるの
である。
するときに、耐力値が高いほど引き裂きに要する荷重が
少なくて済む。すなわち前述の図4に示した引き裂き性
試験における引き裂き進行部分11の状況を拡大して図
5に示すが、この引き裂き進行部分11における引き裂
き亀裂先端11Aまでの深さLは耐力が高いほど大きく
なり、かつこの深さLが大きいほど見掛け上引き裂き力
が小さくなる。したがって板の耐力が大きいほど引き裂
きに要する力が小さくなり、引き裂き性が良好となるの
である。
【0024】既に述べた図4の引き裂き性試験におい
て、この発明で規定している成分組成条件および金属間
化合物分散条件を満たしている蓋材と従来の5182合
金、5082合金、5052合金の各硬質板からなる従
来蓋材とについて、耐力値(但し面内圧延方向の耐力
値)を種々変化させて引き裂き力を調べた結果を図6に
示す。
て、この発明で規定している成分組成条件および金属間
化合物分散条件を満たしている蓋材と従来の5182合
金、5082合金、5052合金の各硬質板からなる従
来蓋材とについて、耐力値(但し面内圧延方向の耐力
値)を種々変化させて引き裂き力を調べた結果を図6に
示す。
【0025】図6から明らかなように、金属間化合物の
分散状態がこの発明で規定する範囲内の本発明蓋材は、
従来蓋材(5182合金等の硬質板)と比較して、同一
の強度(耐力)、同一の板厚であれば約2割程度引き裂
き力が小さくなっている。さらに同じ材料同士では、耐
力値が高くなるほど引き裂き力が小さくなっており、特
に耐力値が 300N/mm2 以上で充分に引き裂き力が小さ
くなることが判る。このように、金属間化合物条件を適
切に設定すると同時に耐力値を 300N/mm2 以上と高強
度化することによって、小さい引き裂き力で引き裂くこ
とが可能となり、引き裂き性が良好となるのである。
分散状態がこの発明で規定する範囲内の本発明蓋材は、
従来蓋材(5182合金等の硬質板)と比較して、同一
の強度(耐力)、同一の板厚であれば約2割程度引き裂
き力が小さくなっている。さらに同じ材料同士では、耐
力値が高くなるほど引き裂き力が小さくなっており、特
に耐力値が 300N/mm2 以上で充分に引き裂き力が小さ
くなることが判る。このように、金属間化合物条件を適
切に設定すると同時に耐力値を 300N/mm2 以上と高強
度化することによって、小さい引き裂き力で引き裂くこ
とが可能となり、引き裂き性が良好となるのである。
【0026】ここで、圧延板は面内各方向に強度差を有
するのが通常であって、一般には面内のL方向(圧延方
向)、C方向(圧延方向に対し直交する方向)および45
°方向(L方向、C方向に45°の方向)のうち、45°方
向が最も強度が低い。ステイオンタブ方式の缶蓋におい
てスコアーの刻み線の方向は必ず45°方向も含まれるか
ら、スコアーの全長にわたって良好な引き裂き性を得る
ため、この発明では最も耐力値が低い方向(通常は45°
方向)でも良好な引き裂き性が得られるように耐力値最
低方向で 300N/mm2 以上の耐力を有することと規定し
た。
するのが通常であって、一般には面内のL方向(圧延方
向)、C方向(圧延方向に対し直交する方向)および45
°方向(L方向、C方向に45°の方向)のうち、45°方
向が最も強度が低い。ステイオンタブ方式の缶蓋におい
てスコアーの刻み線の方向は必ず45°方向も含まれるか
ら、スコアーの全長にわたって良好な引き裂き性を得る
ため、この発明では最も耐力値が低い方向(通常は45°
方向)でも良好な引き裂き性が得られるように耐力値最
低方向で 300N/mm2 以上の耐力を有することと規定し
た。
【0027】さらに、面内の耐力最低方向の耐力値を 3
00N/mm2 以上と規定することは、次のような意味もあ
る。
00N/mm2 以上と規定することは、次のような意味もあ
る。
【0028】すなわち、一般にビールや炭酸飲料等の内
圧が加わる用途では缶材としては高強度であることが要
求され、しかも最近の缶体薄肉化の傾向からすれば、よ
り一層高強度の缶材が要求されるようになっている。前
述のように圧延板は面内各方向によって強度差を有する
のが通常であって、一般には45°方向が最も強度が低
く、そのため内圧を加えて蓋の破裂試験を行なえば、45
°方向から膨らみ始める。したがって面内各方向の耐力
値のうち、耐力最低の方向の耐力値の向上が要求される
が、その耐力最低方向の耐力値で 300N/mm2 以上とす
ることによって、薄肉化にも充分に対応できる。
圧が加わる用途では缶材としては高強度であることが要
求され、しかも最近の缶体薄肉化の傾向からすれば、よ
り一層高強度の缶材が要求されるようになっている。前
述のように圧延板は面内各方向によって強度差を有する
のが通常であって、一般には45°方向が最も強度が低
く、そのため内圧を加えて蓋の破裂試験を行なえば、45
°方向から膨らみ始める。したがって面内各方向の耐力
値のうち、耐力最低の方向の耐力値の向上が要求される
が、その耐力最低方向の耐力値で 300N/mm2 以上とす
ることによって、薄肉化にも充分に対応できる。
【0029】またステイオンタブ方式は、既に述べたよ
うにリベット部を支点とする梃子の作用によりタブの先
端部分がスコアーの内側の飲み口部分を押圧して、スコ
アーから引き裂く。このとき、蓋材が高強度であるほ
ど、タブによる押圧部分とスコアーとの間での材料の変
形による力の吸収が少なくなり、その結果スコアー部分
に力が加わりやすくなる。したがってこの点からも高強
度であるほど引き裂き性が良好となるのである。
うにリベット部を支点とする梃子の作用によりタブの先
端部分がスコアーの内側の飲み口部分を押圧して、スコ
アーから引き裂く。このとき、蓋材が高強度であるほ
ど、タブによる押圧部分とスコアーとの間での材料の変
形による力の吸収が少なくなり、その結果スコアー部分
に力が加わりやすくなる。したがってこの点からも高強
度であるほど引き裂き性が良好となるのである。
【0030】次にこの発明における蓋材の製造プロセス
を説明する。
を説明する。
【0031】先ず前述のような成分組成を有するアルミ
ニウム合金鋳塊をDC鋳造法(半連続鋳造法)によって
鋳造する。この鋳造時においては、この発明で規定する
金属間化合物の分散状態を得るためには、冷却速度を 1
〜30℃/sec 程度の範囲内とすることが好ましい。冷却
速度がこの範囲より遅ければ金属間化合物が粗大とな
り、逆にこの範囲より遅ければ金属間化合物が微細にな
り過ぎ、目標とする最終板での分散状態、サイズを得る
ことが困難となる。
ニウム合金鋳塊をDC鋳造法(半連続鋳造法)によって
鋳造する。この鋳造時においては、この発明で規定する
金属間化合物の分散状態を得るためには、冷却速度を 1
〜30℃/sec 程度の範囲内とすることが好ましい。冷却
速度がこの範囲より遅ければ金属間化合物が粗大とな
り、逆にこの範囲より遅ければ金属間化合物が微細にな
り過ぎ、目標とする最終板での分散状態、サイズを得る
ことが困難となる。
【0032】次いで鋳塊に対して、均質化処理としての
加熱を施した後、熱間圧延前の予備加熱を施すか、また
は均質化処理を兼ねた熱間圧延前予備加熱を施す。この
ような鋳塊加熱は、常法にしたがって 460〜 630℃の範
囲内の温度で1時間〜24時間程度とすれば良い。
加熱を施した後、熱間圧延前の予備加熱を施すか、また
は均質化処理を兼ねた熱間圧延前予備加熱を施す。この
ような鋳塊加熱は、常法にしたがって 460〜 630℃の範
囲内の温度で1時間〜24時間程度とすれば良い。
【0033】鋳塊加熱後は熱間圧延を行なう。この熱間
圧延は、上がり板厚が10mm程度以下で上がり温度が 250
〜 350℃程度の範囲内であれば特にその後の特性に悪影
響を及ぼさない。
圧延は、上がり板厚が10mm程度以下で上がり温度が 250
〜 350℃程度の範囲内であれば特にその後の特性に悪影
響を及ぼさない。
【0034】熱間圧延後には、直ちに中間焼鈍を施す
か、または一次冷間圧延を行なって中間板厚とした後、
中間焼鈍を施す。この中間焼鈍は、 1℃/sec 以上の昇
温速度で 450〜 620℃の範囲内の温度まで加熱して、そ
の範囲内の温度で120sec 以下の保持を行ない(全く
保持しない場合を含む)、 1℃/sec 以上の降温速度で
冷却する必要がある。このような条件は、一般には連続
焼鈍炉を用いた焼鈍により達成できる。このように中間
焼鈍条件を定めた理由は次の通りである。
か、または一次冷間圧延を行なって中間板厚とした後、
中間焼鈍を施す。この中間焼鈍は、 1℃/sec 以上の昇
温速度で 450〜 620℃の範囲内の温度まで加熱して、そ
の範囲内の温度で120sec 以下の保持を行ない(全く
保持しない場合を含む)、 1℃/sec 以上の降温速度で
冷却する必要がある。このような条件は、一般には連続
焼鈍炉を用いた焼鈍により達成できる。このように中間
焼鈍条件を定めた理由は次の通りである。
【0035】すなわち、従来の箱型焼鈍炉を用いた焼鈍
の如く、 1℃/sec 未満の昇温速度、降温速度では、熱
延上がりの状態で得られたMnの固溶量を下げたり、C
u,Mg,Si等の元素の固溶量を減らし、結果的に最
終冷間圧延率を90%程度まで高めても充分な強度を得る
ことが困難となる。これに対し 1℃/sec 以上の昇温速
度、降温速度としかつ加熱温度を 450〜 620℃とするこ
とによって、Mnの固溶量を維持でき、かつCu,M
g,Si等の固溶が進み、この発明で対象とする素材の
ように焼付塗装処理を行なう材料では焼付塗装処理によ
る軟化が少なくなり、焼付塗装後の強度として充分な強
度が得られるようになる。ここで加熱温度が 450℃未満
では、充分な強度を得ることが困難となり、一方 620℃
を越えれば、局部的な融解が生じるおそれがある。また
450〜 620℃での保持時間が120sec を越えれば表面
の酸化が進行してしまい、外観上の問題が生じる。
の如く、 1℃/sec 未満の昇温速度、降温速度では、熱
延上がりの状態で得られたMnの固溶量を下げたり、C
u,Mg,Si等の元素の固溶量を減らし、結果的に最
終冷間圧延率を90%程度まで高めても充分な強度を得る
ことが困難となる。これに対し 1℃/sec 以上の昇温速
度、降温速度としかつ加熱温度を 450〜 620℃とするこ
とによって、Mnの固溶量を維持でき、かつCu,M
g,Si等の固溶が進み、この発明で対象とする素材の
ように焼付塗装処理を行なう材料では焼付塗装処理によ
る軟化が少なくなり、焼付塗装後の強度として充分な強
度が得られるようになる。ここで加熱温度が 450℃未満
では、充分な強度を得ることが困難となり、一方 620℃
を越えれば、局部的な融解が生じるおそれがある。また
450〜 620℃での保持時間が120sec を越えれば表面
の酸化が進行してしまい、外観上の問題が生じる。
【0036】以上のようにして中間焼鈍を施した後に
は、製品板厚まで最終冷間圧延を施す。このときの冷間
圧延率は30%以上であれば、成分組成や他のプロセス条
件を適切に選定することにより所要の高強度が得られ
る。
は、製品板厚まで最終冷間圧延を施す。このときの冷間
圧延率は30%以上であれば、成分組成や他のプロセス条
件を適切に選定することにより所要の高強度が得られ
る。
【0037】最終冷間圧延によって得られた最終板厚の
圧延板は、これをそのまま蓋材として缶蓋に供しても良
いが、 100〜 200℃の範囲内の温度で30分から10時
間程度の最終焼鈍を施せば、時効析出を促進させて、焼
付塗装における強度低下を少なくすることができ、同じ
成分組成、同じ製造プロセス条件でもより高強度の蓋材
を得ることが可能となる。またこのように最終焼鈍によ
り強度向上が図られるため、最終的な強度が同じでも最
終冷間圧延率を下げることができ、そのため成形性や耳
率は良好となる。
圧延板は、これをそのまま蓋材として缶蓋に供しても良
いが、 100〜 200℃の範囲内の温度で30分から10時
間程度の最終焼鈍を施せば、時効析出を促進させて、焼
付塗装における強度低下を少なくすることができ、同じ
成分組成、同じ製造プロセス条件でもより高強度の蓋材
を得ることが可能となる。またこのように最終焼鈍によ
り強度向上が図られるため、最終的な強度が同じでも最
終冷間圧延率を下げることができ、そのため成形性や耳
率は良好となる。
【0038】なお焼付塗装処理では一般に 180〜 400℃
で5〜1800sec 程度の熱履歴を受ける。そこでこの
発明では、蓋材の耐力最低方向の耐力値( 300N/mm2
以上)は、 180〜 450℃×5〜1800sec の塗装焼付
処理を施した後の耐力として規定した。
で5〜1800sec 程度の熱履歴を受ける。そこでこの
発明では、蓋材の耐力最低方向の耐力値( 300N/mm2
以上)は、 180〜 450℃×5〜1800sec の塗装焼付
処理を施した後の耐力として規定した。
【0039】
【実施例】表1の符号A,B,Cの合金について、常法
に従ってDC鋳造し、得られた各鋳塊につき、常法に従
って鋳塊加熱を施して熱間圧延を施した。熱延上りの板
について、一部のものは一次冷間圧延を行なった後に、
また一部のものは一次冷間圧延を行なわずに、中間焼鈍
を施した。さらに最終冷間圧延を施して最終板厚とし、
一部のものは最終焼鈍を施した。主なプロセス条件を表
2の製造番号1〜4に示す。なお中間焼鈍として連続焼
鈍炉を用いた場合、昇温速度、降温速度はいずれもこの
発明で規定する 1℃/sec 以上の条件を満たしている。
に従ってDC鋳造し、得られた各鋳塊につき、常法に従
って鋳塊加熱を施して熱間圧延を施した。熱延上りの板
について、一部のものは一次冷間圧延を行なった後に、
また一部のものは一次冷間圧延を行なわずに、中間焼鈍
を施した。さらに最終冷間圧延を施して最終板厚とし、
一部のものは最終焼鈍を施した。主なプロセス条件を表
2の製造番号1〜4に示す。なお中間焼鈍として連続焼
鈍炉を用いた場合、昇温速度、降温速度はいずれもこの
発明で規定する 1℃/sec 以上の条件を満たしている。
【0040】得られた各蓋材について、板表面の 1μm
以上の径の金属間化合物数( 0.2mm2 当り)を調べると
ともに、同じく板表面の 1μm以上の金属間化合物の平
均径を調べた。その結果を表2中に示す。
以上の径の金属間化合物数( 0.2mm2 当り)を調べると
ともに、同じく板表面の 1μm以上の金属間化合物の平
均径を調べた。その結果を表2中に示す。
【0041】さらに、各蓋材について連続焼鈍塗装に相
当する 270℃×20sec の加熱処理を施して、その焼付
塗装相当熱処理後の面内各方向(L方向、C方向、45°
方向)の耐力を調べるとともに、既に説明した図4の方
法によってL方向に沿って引き裂く際の引き裂き力(引
き裂き荷重)を調べた。面内各方向の耐力値のうち、最
低の耐力値(但し実際には全て45°方向の耐力値であっ
た)と、引き裂き力を表3に示す。また各蓋材の成蓋性
も調べたので、その結果を表3に示す。なおこの成蓋性
は、1万個成蓋する実験を行ない、不良発生が零の場合
に○印を付した。
当する 270℃×20sec の加熱処理を施して、その焼付
塗装相当熱処理後の面内各方向(L方向、C方向、45°
方向)の耐力を調べるとともに、既に説明した図4の方
法によってL方向に沿って引き裂く際の引き裂き力(引
き裂き荷重)を調べた。面内各方向の耐力値のうち、最
低の耐力値(但し実際には全て45°方向の耐力値であっ
た)と、引き裂き力を表3に示す。また各蓋材の成蓋性
も調べたので、その結果を表3に示す。なおこの成蓋性
は、1万個成蓋する実験を行ない、不良発生が零の場合
に○印を付した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】表1〜表3において、製造番号1、製造番
号2により得られた蓋材は、合金成分組成がこの発明の
範囲内の合金を用い、製造プロセス条件もこの発明で規
定する範囲内として、最終板における金属間化合物分散
状態および耐力最低方向の耐力値がこの発明で規定する
範囲内となったものであり、この場合は引き裂き力が小
さく、引き裂き性が良好であって、かつ成蓋性も良好で
あることが判る。
号2により得られた蓋材は、合金成分組成がこの発明の
範囲内の合金を用い、製造プロセス条件もこの発明で規
定する範囲内として、最終板における金属間化合物分散
状態および耐力最低方向の耐力値がこの発明で規定する
範囲内となったものであり、この場合は引き裂き力が小
さく、引き裂き性が良好であって、かつ成蓋性も良好で
あることが判る。
【0046】一方製造番号3により得られた蓋材は、中
間焼鈍として昇温速度、降温速度が低くかつ加熱温度も
低い箱型焼鈍炉による焼鈍を施したものであり、この場
合この発明の成分組成範囲内で比較的Mg量が高い合金
を用いて冷間圧延率も比較的高くして強度を高めようと
したが、耐力最低方向の耐力値がこの発明で規定する30
0N/mm2 以上とはならなかった。
間焼鈍として昇温速度、降温速度が低くかつ加熱温度も
低い箱型焼鈍炉による焼鈍を施したものであり、この場
合この発明の成分組成範囲内で比較的Mg量が高い合金
を用いて冷間圧延率も比較的高くして強度を高めようと
したが、耐力最低方向の耐力値がこの発明で規定する30
0N/mm2 以上とはならなかった。
【0047】なお製造番号4による蓋材は、従来から蓋
材に使用されている5182合金を用いたものであり、
この場合は最終板における金属間化合物数が少なく、引
き裂き性が劣っていた。
材に使用されている5182合金を用いたものであり、
この場合は最終板における金属間化合物数が少なく、引
き裂き性が劣っていた。
【0048】
【発明の効果】前述の説明で明らかなように、この発明
の蓋材は、引き裂き性が優れていて、小さい引き裂き力
で容易に引き裂くことができるから、特にステイオンタ
ブ方式の缶蓋として、飲み口部分をスコアーから均一か
つ容易に引き裂くことができ、開缶の失敗を招くおそれ
が少なく、また焼付塗装後の強度も高いため缶体の薄肉
化に充分に対応することができる。またこの発明の蓋材
は、その成分組成が従来から胴材に多用されている30
04合金に近いため、3004合金胴材と組合せること
によって缶のリサイクルも容易となる。
の蓋材は、引き裂き性が優れていて、小さい引き裂き力
で容易に引き裂くことができるから、特にステイオンタ
ブ方式の缶蓋として、飲み口部分をスコアーから均一か
つ容易に引き裂くことができ、開缶の失敗を招くおそれ
が少なく、また焼付塗装後の強度も高いため缶体の薄肉
化に充分に対応することができる。またこの発明の蓋材
は、その成分組成が従来から胴材に多用されている30
04合金に近いため、3004合金胴材と組合せること
によって缶のリサイクルも容易となる。
【0049】またこの発明の蓋材製造方法によれば、上
述のような優れた特性を有する蓋材を実際的に製造する
ことができる。
述のような優れた特性を有する蓋材を実際的に製造する
ことができる。
【図1】ステイオンタブ方式の缶における缶蓋上面を示
す平面図である。
す平面図である。
【図2】ステイオンタブ方式の缶における缶蓋上面の縦
断面図、すなわち図1のA−A線における縦断面図であ
る。
断面図、すなわち図1のA−A線における縦断面図であ
る。
【図3】ステイオンタブ方式の缶における開缶時の缶蓋
上面の状態を図2に対応して示す縦断面図である。
上面の状態を図2に対応して示す縦断面図である。
【図4】引き裂き性試験の実施状態を示す斜視図であ
る。
る。
【図5】図4に示す引き裂き性試験における引き裂き部
分を拡大して示す略解的な模式図である。
分を拡大して示す略解的な模式図である。
【図6】図4に示す引き裂き性試験による材料の耐力値
と引き裂き力との関係を示すグラフである。
と引き裂き力との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−301831(JP,A) 特開 昭61−64847(JP,A) 特開 平1−247544(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 21/00 - 21/18
Claims (2)
- 【請求項1】 Mg 1.0〜 3.0wt%、Cu0.05〜0.7wt
%、Si0.05〜 0.5wt%、Mn 0.5〜 1.7wt%、Fe
0.1〜 1.0wt%を含有し、かつMnとFeとの合計量が
1.0〜 2.0wt%の範囲内にあり、残部がAlおよび不可
避的不純物よりなり、表面における 1.0μm以上の金属
間化合物の数が 0.2mm2 当り500〜3000個の範囲
内にあり、かつ表面における金属間化合物の平均径が 2
〜 6μmの範囲内にあり、しかも 180〜 400℃×5〜1
800sec の焼付塗装処理を施した後の面内各方向の耐
力値のうち最低の耐力が 300N/mm2 以上あることを特
徴とする、ステイオンタブ方式アルミニウム缶用蓋材。 - 【請求項2】 Mg 1.0〜 3.0wt%、Cu0.05〜0.7wt
%、Si0.05〜 0.5wt%、Mn 0.5〜 1.7wt%、Fe
0.1〜 1.0wt%を含有し、かつMnとFeとの合計量が
1.0〜 2.0wt%の範囲内にあり、残部がAlおよび不可
避的不純物よりなる合金をDC鋳造法によって鋳造した
後、鋳塊加熱を施してから圧延して中間板厚とし、さら
に 1℃/sec 以上の昇温速度で 450〜 620℃の範囲内の
温度で加熱して保持なしもしくは2分以内の保持後 1℃
/sec 以上の降温速度で冷却する中間焼鈍を行ない、そ
の後冷間圧延を施して最終板厚とし、これによって表面
における 1μm以上の金属間化合物の数が 0.2mm2 当り
500〜3000個の範囲内にあり、かつ表面における
金属間化合物の平均径が 2〜 6μmの範囲内にあり、し
かも 180〜 400℃×5〜1800sec の焼付塗装処理を
施した状態での面内各方向の耐力値のうち最低の耐力が
300N/mm2 以上である蓋材を得ることを特徴とする、
ステイオンタブ方式アルミニウム缶用蓋材の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3012874A JP2953592B2 (ja) | 1991-01-10 | 1991-01-10 | ステイオンタブ方式アルミニウム缶用蓋材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3012874A JP2953592B2 (ja) | 1991-01-10 | 1991-01-10 | ステイオンタブ方式アルミニウム缶用蓋材およびその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH04235248A JPH04235248A (ja) | 1992-08-24 |
| JP2953592B2 true JP2953592B2 (ja) | 1999-09-27 |
Family
ID=11817573
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3012874A Expired - Lifetime JP2953592B2 (ja) | 1991-01-10 | 1991-01-10 | ステイオンタブ方式アルミニウム缶用蓋材およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2953592B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN105537448A (zh) * | 2016-02-23 | 2016-05-04 | 孙建锋 | 易撕盖生产线及制作方法 |
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| JP4666327B2 (ja) * | 2001-02-21 | 2011-04-06 | 大和製罐株式会社 | 缶蓋 |
| JP2007023340A (ja) * | 2005-07-15 | 2007-02-01 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | 陽圧缶蓋用アルミニウム合金板及びその製造方法 |
| CN205702211U (zh) * | 2016-02-23 | 2016-11-23 | 孙建锋 | 易撕盖生产线 |
| JP7661118B2 (ja) * | 2021-05-12 | 2025-04-14 | 株式会社Uacj | リングプル型キャップ用のアルミニウム合金板およびその製造方法 |
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| JPS63149349A (ja) * | 1986-12-12 | 1988-06-22 | Furukawa Alum Co Ltd | 包装用アルミニウム合金板およびその製造法 |
| JPH01123054A (ja) * | 1987-11-05 | 1989-05-16 | Kobe Steel Ltd | ベークハード型高強度キャン材及びその製造法 |
| JPH01247544A (ja) * | 1988-03-29 | 1989-10-03 | Furukawa Alum Co Ltd | リングプルキャップ用アルミニウム合金板 |
-
1991
- 1991-01-10 JP JP3012874A patent/JP2953592B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN105537448A (zh) * | 2016-02-23 | 2016-05-04 | 孙建锋 | 易撕盖生产线及制作方法 |
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH04235248A (ja) | 1992-08-24 |
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