JP2965734B2 - 振動波モータ - Google Patents
振動波モータInfo
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- JP2965734B2 JP2965734B2 JP3071164A JP7116491A JP2965734B2 JP 2965734 B2 JP2965734 B2 JP 2965734B2 JP 3071164 A JP3071164 A JP 3071164A JP 7116491 A JP7116491 A JP 7116491A JP 2965734 B2 JP2965734 B2 JP 2965734B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気−機械エネルギー変
換素子に電圧を印加することにより振動体に進行性振動
波を生じさせ、この振動体に接触する部材との間で摩擦
駆動により相対移動を起こさせる振動波モータ、特に大
出力型の振動波モータに関するものである。
換素子に電圧を印加することにより振動体に進行性振動
波を生じさせ、この振動体に接触する部材との間で摩擦
駆動により相対移動を起こさせる振動波モータ、特に大
出力型の振動波モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の振動波モータ特に大出力型の振動
波モータは、例えばステンレスからなる円環状振動体基
板の裏面に薄い円環形状の圧電素子を固着すると共に、
表面にタングステンカーバイト及びコバルトからなる超
硬材料を溶射し更に研磨することで硬質の摺動面を形成
させて振動体を構成させ、他方これに接触する部材とし
て、アルミ合金等の支持体に、ガラス転移点が100℃
以上の熱可塑性樹脂、具体的にはポリイミド(PI)、
ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(P
EI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポ
リエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PA
R)、ポリスルホン(PSF)、液晶性の芳香族ポリエ
ステル(LCP)等の耐熱樹脂、及び非熱可塑性の芳香
族ポリイミド(PI)に炭素繊維等の強化材を充填含有
させて強化型複合樹脂層とした摺動体を固着させて構成
させ、これら振動体と接触する部材とが、該振動体に発
生させた進行性振動波により摩擦駆動で相対的に移動す
るものとして形成されている。
波モータは、例えばステンレスからなる円環状振動体基
板の裏面に薄い円環形状の圧電素子を固着すると共に、
表面にタングステンカーバイト及びコバルトからなる超
硬材料を溶射し更に研磨することで硬質の摺動面を形成
させて振動体を構成させ、他方これに接触する部材とし
て、アルミ合金等の支持体に、ガラス転移点が100℃
以上の熱可塑性樹脂、具体的にはポリイミド(PI)、
ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(P
EI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポ
リエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PA
R)、ポリスルホン(PSF)、液晶性の芳香族ポリエ
ステル(LCP)等の耐熱樹脂、及び非熱可塑性の芳香
族ポリイミド(PI)に炭素繊維等の強化材を充填含有
させて強化型複合樹脂層とした摺動体を固着させて構成
させ、これら振動体と接触する部材とが、該振動体に発
生させた進行性振動波により摩擦駆動で相対的に移動す
るものとして形成されている。
【0003】なお上記接触する部材と振動体の相対的な
移動は、いずれが固定でまたいずれが移動するものであ
ってもよいが、本明細書における以下の説明では説明の
簡明化のために振動体を固定とし、接触する部材を移動
する場合の例として示し、従って該接触する部材は「移
動体」と称する。
移動は、いずれが固定でまたいずれが移動するものであ
ってもよいが、本明細書における以下の説明では説明の
簡明化のために振動体を固定とし、接触する部材を移動
する場合の例として示し、従って該接触する部材は「移
動体」と称する。
【0004】さて上記従来の振動波モータにおいて、移
動体の一部を形成する強化型複合樹脂層としてガラス転
移点が100℃以上の熱可塑性樹脂及び非熱可塑性の芳
香族ポリイミド樹脂を母材とした摺動体を用いているの
は、これらの耐熱性樹脂は材料物性として温度依存性が
小さく、モータ駆動時における温度上昇に対しても樹脂
材の軟化に起因するトルクダウンの現象がなく、またモ
ータの性能精度を安定できるからである。
動体の一部を形成する強化型複合樹脂層としてガラス転
移点が100℃以上の熱可塑性樹脂及び非熱可塑性の芳
香族ポリイミド樹脂を母材とした摺動体を用いているの
は、これらの耐熱性樹脂は材料物性として温度依存性が
小さく、モータ駆動時における温度上昇に対しても樹脂
材の軟化に起因するトルクダウンの現象がなく、またモ
ータの性能精度を安定できるからである。
【0005】また上記樹脂材に炭素繊維等の強化材を配
合充填しているのは、第1には、例えばタングステンカ
ーバイト及びコバルトからなる振動体側の超硬材料の摺
動面に対して、振動体の摺動面の性状が常に安定し、し
かも長時間駆動の際も十分な耐摩耗性を保証するためで
あり、第2には、摺動体の弾性率あるいは硬さ等の材料
物性値を大きくし、出力等モータの性能を向上するため
であり、更に第3には、摺動体の熱伝導性を向上して効
率等モータの性能を改善するためである。
合充填しているのは、第1には、例えばタングステンカ
ーバイト及びコバルトからなる振動体側の超硬材料の摺
動面に対して、振動体の摺動面の性状が常に安定し、し
かも長時間駆動の際も十分な耐摩耗性を保証するためで
あり、第2には、摺動体の弾性率あるいは硬さ等の材料
物性値を大きくし、出力等モータの性能を向上するため
であり、更に第3には、摺動体の熱伝導性を向上して効
率等モータの性能を改善するためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の通り、振動波モ
ータにおいて移動体の摺動面を提供する摺動体にガラス
転移点が100℃以上の耐熱性の熱可塑性樹脂及び非熱
可塑性ポリイミド樹脂に炭素繊維を充填した強化型複合
樹脂を用いることで、モータ駆動による温度上昇時にお
いてもモータの性能及び精度は安定し、振動体の摺動面
を形成する超硬材料に対して長時間駆動しても耐摩耗性
は十分であり、更に出力効率等のモータ性能も高い値を
示す。
ータにおいて移動体の摺動面を提供する摺動体にガラス
転移点が100℃以上の耐熱性の熱可塑性樹脂及び非熱
可塑性ポリイミド樹脂に炭素繊維を充填した強化型複合
樹脂を用いることで、モータ駆動による温度上昇時にお
いてもモータの性能及び精度は安定し、振動体の摺動面
を形成する超硬材料に対して長時間駆動しても耐摩耗性
は十分であり、更に出力効率等のモータ性能も高い値を
示す。
【0007】しかしながら振動体の超硬材料からなる硬
質の摺動面に、移動体の上記炭素繊維を強化充填した耐
熱性熱可塑性樹脂及び非熱可塑性の芳香族ポリイミド樹
脂からなる複合樹脂層の摺動面を加圧接触し、例えば定
格運転の条件として4kgcm・100rpmで駆動を
開始すると、定格トルク値に対して5%程度のトルクム
ラがあり、なお一層の改善が要望された。
質の摺動面に、移動体の上記炭素繊維を強化充填した耐
熱性熱可塑性樹脂及び非熱可塑性の芳香族ポリイミド樹
脂からなる複合樹脂層の摺動面を加圧接触し、例えば定
格運転の条件として4kgcm・100rpmで駆動を
開始すると、定格トルク値に対して5%程度のトルクム
ラがあり、なお一層の改善が要望された。
【0008】又更に定格の比較的高出力の条件で例えば
1,000時間の長時間駆動を行うと、炭素繊維強化の
複合樹脂といえども、3ミクロンメータ(μm)以上の
摩耗が知見され、なお一層の摩擦材の改善が望まれた。
1,000時間の長時間駆動を行うと、炭素繊維強化の
複合樹脂といえども、3ミクロンメータ(μm)以上の
摩耗が知見され、なお一層の摩擦材の改善が望まれた。
【0009】さらに膜厚が50〜100μmのタングス
テンカーバイト及びコバルトから成る溶射摩擦面は熱伝
導性がやや悪いため、複合樹脂及び支持体から成る移動
体への熱放散に問題があり、振動体の温度上昇の一因と
もなっていた。
テンカーバイト及びコバルトから成る溶射摩擦面は熱伝
導性がやや悪いため、複合樹脂及び支持体から成る移動
体への熱放散に問題があり、振動体の温度上昇の一因と
もなっていた。
【0010】このような観点からなされた本発明の目的
とするところは、高温高負荷においてトルクの変動(ム
ラ)を小さくすることが可能なより緻密で相対的に靭性
があり、又硬度が高くそれ自体の摩擦面に傷や打こん等
が発生しない超硬の振動体摩擦面を形成し、非繊維型の
複合樹脂は勿論のこと、より硬い炭素繊維型複合樹脂に
も対応出来る耐摩耗性の優れた振動波モータを提供する
ことにある。
とするところは、高温高負荷においてトルクの変動(ム
ラ)を小さくすることが可能なより緻密で相対的に靭性
があり、又硬度が高くそれ自体の摩擦面に傷や打こん等
が発生しない超硬の振動体摩擦面を形成し、非繊維型の
複合樹脂は勿論のこと、より硬い炭素繊維型複合樹脂に
も対応出来る耐摩耗性の優れた振動波モータを提供する
ことにある。
【0011】又この場合振動体摩擦面は特に耐食性が優
れ、サビ等の発生が少ないことが前提であり、更に熱伝
導性の向上した摩擦面により振動体の温度上昇を抑え、
効率の改善された振動波モータを提供することにある。
れ、サビ等の発生が少ないことが前提であり、更に熱伝
導性の向上した摩擦面により振動体の温度上昇を抑え、
効率の改善された振動波モータを提供することにある。
【0012】本発明の別の目的は従来例のタングステン
カーバイト及びコバルトの溶射の代りにより安価な摩擦
面の硬化処理法を見出して量産性の優れた大出力型振動
波モータを提供することである。
カーバイト及びコバルトの溶射の代りにより安価な摩擦
面の硬化処理法を見出して量産性の優れた大出力型振動
波モータを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用】本出願に係る発
明の目的を実現する振動波モータの構成は、進行性振動
波を生ずる振動体に、該振動体との接触面を提供する複
合樹脂層を備えた部材を加圧接触させて、振動体と該加
圧接触する部材を該振動体に生じさせた進行性振動波に
より摩擦駆動で相対移動させる振動波モータにおいて、
上記複合樹脂層を複合樹脂により構成し、上記振動体の
摩擦面を窒素又は炭素原子を固溶したクローム膜により
形成したものである。上記した構成に加えて、以下の構
成により本発明の目的を実現することができる。 前記ク
ローム膜の皮膜が5μm〜30μmの範囲とするもので
ある。 前記振動体の母材をマルテンサイト系ステンレス
鋼とするものである。 前記複合樹脂の母材樹脂を非熱可
塑性の芳香族ポリイミド樹脂とするものである。 前記複
合樹脂の母材樹脂をガラス転移点が100℃以上の熱可
塑性樹脂とするものである。 前記熱可塑性樹脂を熱可塑
性ポリイミドとするものである。 前記複合樹脂の摩耗改
良剤を繊維状強化材とするものである。 前記複合樹脂の
摩耗改良材を粒状或は球状のガラス状カーボンとするも
のである。 前記複合樹脂層をロックウェル硬さ(HR
M)でが80乃至110、前記振動体の摩擦面をビッカ
ース硬さ(HV )で1000〜2000としたもので
ある。
明の目的を実現する振動波モータの構成は、進行性振動
波を生ずる振動体に、該振動体との接触面を提供する複
合樹脂層を備えた部材を加圧接触させて、振動体と該加
圧接触する部材を該振動体に生じさせた進行性振動波に
より摩擦駆動で相対移動させる振動波モータにおいて、
上記複合樹脂層を複合樹脂により構成し、上記振動体の
摩擦面を窒素又は炭素原子を固溶したクローム膜により
形成したものである。上記した構成に加えて、以下の構
成により本発明の目的を実現することができる。 前記ク
ローム膜の皮膜が5μm〜30μmの範囲とするもので
ある。 前記振動体の母材をマルテンサイト系ステンレス
鋼とするものである。 前記複合樹脂の母材樹脂を非熱可
塑性の芳香族ポリイミド樹脂とするものである。 前記複
合樹脂の母材樹脂をガラス転移点が100℃以上の熱可
塑性樹脂とするものである。 前記熱可塑性樹脂を熱可塑
性ポリイミドとするものである。 前記複合樹脂の摩耗改
良剤を繊維状強化材とするものである。 前記複合樹脂の
摩耗改良材を粒状或は球状のガラス状カーボンとするも
のである。 前記複合樹脂層をロックウェル硬さ(HR
M)でが80乃至110、前記振動体の摩擦面をビッカ
ース硬さ(HV )で1000〜2000としたもので
ある。
【0014】本発明の振動波モータは、代表的には電気
−機械エネルギー変換素子からなる駆動層に電圧を印加
することにより、この駆動相が設けられた円環状の振動
体に進行性振動波を生じさせ、この振動体に加圧接触さ
れた移動体を摩擦駆動させる振動波モータとして構成さ
れるものであり、上記移動体は、熱良導性のアルミ合金
等の支持体と、この支持体に一体化されて上記振動体に
接触する摺動面を提供する上記複合樹脂層とから構成さ
れる。
−機械エネルギー変換素子からなる駆動層に電圧を印加
することにより、この駆動相が設けられた円環状の振動
体に進行性振動波を生じさせ、この振動体に加圧接触さ
れた移動体を摩擦駆動させる振動波モータとして構成さ
れるものであり、上記移動体は、熱良導性のアルミ合金
等の支持体と、この支持体に一体化されて上記振動体に
接触する摺動面を提供する上記複合樹脂層とから構成さ
れる。
【0015】本発明の振動波モータの複合樹脂層は従来
例の炭素繊維等の強化繊維を充填した複合樹脂の他に非
繊維型の強化材を充填した非繊維型複合樹脂で形成し
た。本発明では複合樹脂を超耐熱性で比較的曲げ弾性率
が大きく硬度も高いガラス転移点が100℃以上の熱可
塑性樹脂あるいは非熱可塑性の芳香族ポリイミド樹脂を
母材樹脂とし、これに炭素繊維等の繊維強化材と球状或
は粒状のガラス状カーボン、金属モリブデン粉末及び炭
酸カルシウム粉末等の非繊維型強化材を摩耗改良剤とし
て充填し、又必要に応じて摩擦調整剤としてフッ素樹
脂、及び一酸化鉛等の固体潤滑剤を配合した。
例の炭素繊維等の強化繊維を充填した複合樹脂の他に非
繊維型の強化材を充填した非繊維型複合樹脂で形成し
た。本発明では複合樹脂を超耐熱性で比較的曲げ弾性率
が大きく硬度も高いガラス転移点が100℃以上の熱可
塑性樹脂あるいは非熱可塑性の芳香族ポリイミド樹脂を
母材樹脂とし、これに炭素繊維等の繊維強化材と球状或
は粒状のガラス状カーボン、金属モリブデン粉末及び炭
酸カルシウム粉末等の非繊維型強化材を摩耗改良剤とし
て充填し、又必要に応じて摩擦調整剤としてフッ素樹
脂、及び一酸化鉛等の固体潤滑剤を配合した。
【0016】上記摩擦調整剤は代表的には母材に対し重
量比で5〜10%の四フッ化エチレン等のフッ素樹脂及
び重量比で10%以下の一酸化鉛粉末を同時添加する場
合を特に好ましいものとして挙げることができる。
量比で5〜10%の四フッ化エチレン等のフッ素樹脂及
び重量比で10%以下の一酸化鉛粉末を同時添加する場
合を特に好ましいものとして挙げることができる。
【0017】上記四フッ化エチレン樹脂は低摩擦係数樹
脂であるため、充填量があまり多くなると摩擦係数は小
さくなるが、材料的な強度と耐摩耗性が低下するため上
記範囲とされる。
脂であるため、充填量があまり多くなると摩擦係数は小
さくなるが、材料的な強度と耐摩耗性が低下するため上
記範囲とされる。
【0018】上記一酸化鉛粉末及び四フッ化エチレン樹
脂粉末は、いずれも固体潤滑剤として母材である熱可塑
性樹脂あるいは非熱可塑性樹脂の潤滑性を補うために有
効であり、振動体摺動面に対し複合樹脂層の摺動面を摩
擦駆動する際に、一酸化鉛粉末は四フッ化エチレン樹脂
の被膜を振動体摺動面に転移させる作用があり、特に高
温での摺動で摩擦係数を常に安定させるために有効な物
質である。
脂粉末は、いずれも固体潤滑剤として母材である熱可塑
性樹脂あるいは非熱可塑性樹脂の潤滑性を補うために有
効であり、振動体摺動面に対し複合樹脂層の摺動面を摩
擦駆動する際に、一酸化鉛粉末は四フッ化エチレン樹脂
の被膜を振動体摺動面に転移させる作用があり、特に高
温での摺動で摩擦係数を常に安定させるために有効な物
質である。
【0019】潤滑剤としての上記一酸化鉛粉末等の鉛化
合物、四フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂の粉末は、
母材である熱可塑性樹脂或は非熱可塑性の芳香族ポリイ
ミド樹脂との密着性を考えて複合樹脂層としての耐摩耗
性や材料強度を保証するために例えば平均粒径が20μ
m以下とすることが好ましい。
合物、四フッ化エチレン樹脂等のフッ素樹脂の粉末は、
母材である熱可塑性樹脂或は非熱可塑性の芳香族ポリイ
ミド樹脂との密着性を考えて複合樹脂層としての耐摩耗
性や材料強度を保証するために例えば平均粒径が20μ
m以下とすることが好ましい。
【0020】上記複合樹脂層には一般的に摩耗改良剤を
強化材として配合充填する必要がある。
強化材として配合充填する必要がある。
【0021】炭素繊維を充填した複合樹脂は硬度が高
く、弾性率も大きく又熱伝導性も高いため、モータの出
力あるいは効率が高く、複合樹脂の耐摩耗性も非常に優
れているが、複合樹脂の摺動面に例えば直径が7μmで
長さが100〜300μmの炭素繊維が方向性を持たず
分散点在しており、こうした摺動面の不均一性がトルク
ムラの要因として考えられている。
く、弾性率も大きく又熱伝導性も高いため、モータの出
力あるいは効率が高く、複合樹脂の耐摩耗性も非常に優
れているが、複合樹脂の摺動面に例えば直径が7μmで
長さが100〜300μmの炭素繊維が方向性を持たず
分散点在しており、こうした摺動面の不均一性がトルク
ムラの要因として考えられている。
【0022】また上記複合樹脂層には、必要に応じて非
繊維型の耐摩耗性改良剤を充填することができる。この
ような非繊維型摩耗改良剤として具体的にはフェノール
等の熱硬化性樹脂を800〜2000℃近辺で熱処理し
た、非晶質無配向の平均粒径5〜20μmの球形の或は
粒状のガラス状カーボン等のものを例示することがで
き、例えば母材に対し重量比で5〜50%の球状のガラ
ス状カーボンを充填配合する場合を特に好ましいものと
して上げることができる。
繊維型の耐摩耗性改良剤を充填することができる。この
ような非繊維型摩耗改良剤として具体的にはフェノール
等の熱硬化性樹脂を800〜2000℃近辺で熱処理し
た、非晶質無配向の平均粒径5〜20μmの球形の或は
粒状のガラス状カーボン等のものを例示することがで
き、例えば母材に対し重量比で5〜50%の球状のガラ
ス状カーボンを充填配合する場合を特に好ましいものと
して上げることができる。
【0023】本発明の上記複合樹脂層にはさらに、耐摩
耗性の改良、摺動面の温度変化に対する安定性向上の目
的で必要に応じて遷移金属粉末を充填配合することがで
きる。このような遷移金属粉末として具体的には、タン
グステン、モリブデン、クロム、コバルト、チタン、ニ
ッケルを挙げることができ、母材に対し40%以下のタ
ングステン粉末(10μm以下)、あるいは15%以下
のモリブデン粉末(5μm以下)等を少なくとも1種添
加する場合を例示することができる。この耐摩耗性充填
剤の充填により、第1には振動体が超硬材料の摺動面で
ある場合にも、振動体の摺動面の性状が常に安定し、し
かも長時間の駆動の際にも十分な耐摩耗性を発揮するこ
とができるからであり、第2には、移動体摺動面の弾性
率等の材料物性を大きくし、出力等のモータ性能を向上
することができるからである。また第3には複合樹脂層
の熱伝導性を向上させて、効率等のモータ性能を改善で
きる。
耗性の改良、摺動面の温度変化に対する安定性向上の目
的で必要に応じて遷移金属粉末を充填配合することがで
きる。このような遷移金属粉末として具体的には、タン
グステン、モリブデン、クロム、コバルト、チタン、ニ
ッケルを挙げることができ、母材に対し40%以下のタ
ングステン粉末(10μm以下)、あるいは15%以下
のモリブデン粉末(5μm以下)等を少なくとも1種添
加する場合を例示することができる。この耐摩耗性充填
剤の充填により、第1には振動体が超硬材料の摺動面で
ある場合にも、振動体の摺動面の性状が常に安定し、し
かも長時間の駆動の際にも十分な耐摩耗性を発揮するこ
とができるからであり、第2には、移動体摺動面の弾性
率等の材料物性を大きくし、出力等のモータ性能を向上
することができるからである。また第3には複合樹脂層
の熱伝導性を向上させて、効率等のモータ性能を改善で
きる。
【0024】更に摩耗改良剤として上記の炭素繊維、球
状のガラス状カーボン及び金属モリブデン粉末等よりは
硬度が低い炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粉末
状の強化材を充填することもできる。この場合の母材に
対する充填量は重量比で30%以下である。
状のガラス状カーボン及び金属モリブデン粉末等よりは
硬度が低い炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粉末
状の強化材を充填することもできる。この場合の母材に
対する充填量は重量比で30%以下である。
【0025】尚複合樹脂層の母材樹脂は耐熱性の高い熱
可塑性樹脂すなわちガラス転移点が、一般的には100
℃〜280℃、好ましくはガラス転移点が250℃〜2
80℃の熱可塑性樹脂が用いられる。
可塑性樹脂すなわちガラス転移点が、一般的には100
℃〜280℃、好ましくはガラス転移点が250℃〜2
80℃の熱可塑性樹脂が用いられる。
【0026】このような熱可塑性樹脂としては、例えば
ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポ
リエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケ
トン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、
ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、
液晶性の芳香族ポリエステル(LCP)等を例示でき、
更に具体的にはポリイミド(PI)が最も好ましく、こ
の熱可塑性ポリイミド「TPI」:商品名 三井東圧化
学社製)はガラス転移点が250℃、融点382℃とい
う熱可塑性樹脂の中では特に高い耐熱性を有している。
別の複合樹脂層の母材樹脂としては非熱可塑性の芳香族
ポリイミド樹脂である。
ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポ
リエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケ
トン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、
ポリアリレート(PAR)、ポリスルホン(PSF)、
液晶性の芳香族ポリエステル(LCP)等を例示でき、
更に具体的にはポリイミド(PI)が最も好ましく、こ
の熱可塑性ポリイミド「TPI」:商品名 三井東圧化
学社製)はガラス転移点が250℃、融点382℃とい
う熱可塑性樹脂の中では特に高い耐熱性を有している。
別の複合樹脂層の母材樹脂としては非熱可塑性の芳香族
ポリイミド樹脂である。
【0027】この芳香族ポリイミド樹脂は非熱可塑性樹
脂であり代表的にはビフェニルテトラカルボン酸二無水
物と芳香族ジアミン縮合物(「ユービレックス」:商品
名宇部興産社製))を例示することができる。この縮合
物は、広範囲に渡るプラスチックの中で高温での特性の
優れたものであり、例えばガラス転移点が295℃、荷
重18.8kg/cm2 での熱変形温度は350℃であ
り、260℃の連続使用温度でも一般のエンジニアリン
グプラスチックの常温での強度を示す。
脂であり代表的にはビフェニルテトラカルボン酸二無水
物と芳香族ジアミン縮合物(「ユービレックス」:商品
名宇部興産社製))を例示することができる。この縮合
物は、広範囲に渡るプラスチックの中で高温での特性の
優れたものであり、例えばガラス転移点が295℃、荷
重18.8kg/cm2 での熱変形温度は350℃であ
り、260℃の連続使用温度でも一般のエンジニアリン
グプラスチックの常温での強度を示す。
【0028】ところで上記の高硬度型の複合樹脂摺動材
を、従来例のタングステンカーバイト及びコバルトを溶
射した振動体と組合せると、振動体摩擦面の硬度がビッ
カース硬度で1000以上であること、又タングステン
カーバイト及びコバルトの溶射面は靭性が低いためか、
摩擦面を炭化珪素(SiC)の塗粒で研磨する際、欠落
した凹部が形成され、溶射材の欠けが発生すること等の
ため摩耗が促進されることがあった。又タングステンカ
ーバイト及びコバルトの溶射材は0.15Kcal/c
m sec℃とやや熱伝導性が低いため、熱の放散が十
分でなく振動体の温度上昇の面でやや問題があった。
を、従来例のタングステンカーバイト及びコバルトを溶
射した振動体と組合せると、振動体摩擦面の硬度がビッ
カース硬度で1000以上であること、又タングステン
カーバイト及びコバルトの溶射面は靭性が低いためか、
摩擦面を炭化珪素(SiC)の塗粒で研磨する際、欠落
した凹部が形成され、溶射材の欠けが発生すること等の
ため摩耗が促進されることがあった。又タングステンカ
ーバイト及びコバルトの溶射材は0.15Kcal/c
m sec℃とやや熱伝導性が低いため、熱の放散が十
分でなく振動体の温度上昇の面でやや問題があった。
【0029】本発明ではマルテンサイト系ステンレス鋼
の振動体摩擦面に高い硬度としかも緻密で比較的靭性の
ある窒素原子或は炭素原子を封じ込んだクローム膜を5
μmから最大30μm、望ましくは20μmの膜を形成
し、ビッカース硬さ(HV )で1000〜2000の摩
擦面を得るものである。
の振動体摩擦面に高い硬度としかも緻密で比較的靭性の
ある窒素原子或は炭素原子を封じ込んだクローム膜を5
μmから最大30μm、望ましくは20μmの膜を形成
し、ビッカース硬さ(HV )で1000〜2000の摩
擦面を得るものである。
【0030】この成膜はスパッタ技術を用いているた
め、比較的低温で処理ができるので歪変形が発生せず、
振動体の形状精度が保証され、膜自体も非常に緻密な組
織で形成される。硬度は窒素を固溶しない状態でマイク
ロビッカースで1000あり、固溶量が1.0〜1.5
wt%となると1500〜2000程度の硬さとなる。
上記のマルテンサイト系ステンレスとしては13%クロ
ム鋼(Jis:sus420J2)或は析出硬化型ステ
ンレス鋼である17%クロム鋼(Jis:sus63
0)等が用いられるが、こうしたマルテンサイト系ステ
ンレス鋼は熱膨張係数が約10×10-6deg-1であ
り、振動体の裏面に接着固定される薄い円板形状の圧電
素子との間の熱膨張係数差が小さいため、発熱が大にな
ったときも圧電素子の剥離或は破壊の面で有利である。
め、比較的低温で処理ができるので歪変形が発生せず、
振動体の形状精度が保証され、膜自体も非常に緻密な組
織で形成される。硬度は窒素を固溶しない状態でマイク
ロビッカースで1000あり、固溶量が1.0〜1.5
wt%となると1500〜2000程度の硬さとなる。
上記のマルテンサイト系ステンレスとしては13%クロ
ム鋼(Jis:sus420J2)或は析出硬化型ステ
ンレス鋼である17%クロム鋼(Jis:sus63
0)等が用いられるが、こうしたマルテンサイト系ステ
ンレス鋼は熱膨張係数が約10×10-6deg-1であ
り、振動体の裏面に接着固定される薄い円板形状の圧電
素子との間の熱膨張係数差が小さいため、発熱が大にな
ったときも圧電素子の剥離或は破壊の面で有利である。
【0031】摩擦面に上記の成膜材を蒸着する前に上記
のマルテンサイト系ステンレス鋼を熱処理して、その硬
度を改善することも、必要に応じて行われる。
のマルテンサイト系ステンレス鋼を熱処理して、その硬
度を改善することも、必要に応じて行われる。
【0032】即ち13%クロム鋼(sus420J2)
は焼入焼戻しを行って例えばビッカース硬度(HV )で
630程度にし、17%クロム鋼(sus630)は固
溶化熱処理或は更に析出硬化熱処理を行ってビッカース
硬さ(HV )で380〜420程度として用いられる。
は焼入焼戻しを行って例えばビッカース硬度(HV )で
630程度にし、17%クロム鋼(sus630)は固
溶化熱処理或は更に析出硬化熱処理を行ってビッカース
硬さ(HV )で380〜420程度として用いられる。
【0033】本発明の成膜材は従来例がタングステンカ
ーバイトというセラミック質に金属コバルトを重量比で
12%配合した複合粉末を溶射した気孔率が1%程度で
ビッカース硬度が1000程度の成膜であったのに対
し、クロームに例えば窒素を浸入させたアモルファス状
態の固溶体で気孔率がほぼ零と非常に緻密で、ビッカー
ス硬度も1500程度を得ることは容易であり、優れた
耐食性と耐摩耗性を有している。
ーバイトというセラミック質に金属コバルトを重量比で
12%配合した複合粉末を溶射した気孔率が1%程度で
ビッカース硬度が1000程度の成膜であったのに対
し、クロームに例えば窒素を浸入させたアモルファス状
態の固溶体で気孔率がほぼ零と非常に緻密で、ビッカー
ス硬度も1500程度を得ることは容易であり、優れた
耐食性と耐摩耗性を有している。
【0034】
【実施例】以下本発明を図面に示す実施例に基づいて説
明する。
明する。
【0035】図1は本発明による振動波モータの一実施
例を示す縦断面図である。
例を示す縦断面図である。
【0036】この図において、2はステンレス等の金属
部材からなる円環状の振動体基板であり、その裏面側に
は、薄い円環形状の圧電素子群1が耐熱性のエポキシ樹
脂系接着剤で同心的に固着され、また表面側の摺動面
は、進行性振動波の振動振幅を大きくとるために周方向
に多数の溝部が軸方向に切り込まれて櫛歯状をなしてい
る。3は高熱伝導性の金属材からなる筐体であり、その
中心部に第1のボール軸受11が設けられると共に、こ
の第1のボール軸受11の軸心と同心的に上記振動体2
がネジ4で固定されている。
部材からなる円環状の振動体基板であり、その裏面側に
は、薄い円環形状の圧電素子群1が耐熱性のエポキシ樹
脂系接着剤で同心的に固着され、また表面側の摺動面
は、進行性振動波の振動振幅を大きくとるために周方向
に多数の溝部が軸方向に切り込まれて櫛歯状をなしてい
る。3は高熱伝導性の金属材からなる筐体であり、その
中心部に第1のボール軸受11が設けられると共に、こ
の第1のボール軸受11の軸心と同心的に上記振動体2
がネジ4で固定されている。
【0037】10は中間にフランジ部10cが形成され
た出力軸であり、その一端部側10aは上記第1のボー
ル軸受11の内輪に軸方向摺動が可能に貫通支持され、
また他端部側10bは、後記する第2のボール軸受12
の内輪及び後記するバネ圧調整ナット部材18の軸孔に
軸方向摺動自在かつ回転自在に貫通している。15は上
記出力軸10のフランジ部10cにネジ16で固定され
た円盤状の中間部材であり、その外周端部には、環状に
形成された移動体7が同心的に外装嵌合して固定されて
いる。
た出力軸であり、その一端部側10aは上記第1のボー
ル軸受11の内輪に軸方向摺動が可能に貫通支持され、
また他端部側10bは、後記する第2のボール軸受12
の内輪及び後記するバネ圧調整ナット部材18の軸孔に
軸方向摺動自在かつ回転自在に貫通している。15は上
記出力軸10のフランジ部10cにネジ16で固定され
た円盤状の中間部材であり、その外周端部には、環状に
形成された移動体7が同心的に外装嵌合して固定されて
いる。
【0038】上記移動体7は、アルミ合金等の熱伝導性
の高い金属からなる環状の支持体5と、この支持体5の
表面に、耐熱性のエポキシ系接着剤で同心的に接着され
た摺動体6とから構成され、この摺動体6は本例では例
えば厚み1mmの環状体として後述する配合及び構造を
もった複合樹脂層として形成される。この摺動体6が振
動体2の摺動面に接触する。
の高い金属からなる環状の支持体5と、この支持体5の
表面に、耐熱性のエポキシ系接着剤で同心的に接着され
た摺動体6とから構成され、この摺動体6は本例では例
えば厚み1mmの環状体として後述する配合及び構造を
もった複合樹脂層として形成される。この摺動体6が振
動体2の摺動面に接触する。
【0039】またこの移動体7は、その底部に設けられ
たゴム製の弾性シート部材17を介して中間部材15に
支持された構造に設けられていて、上記出力軸10のフ
ランジ部10cと上記第2のボール軸受12との間に弾
装されたコイル状の圧縮バネ部材14が発生する軸荷重
が、この弾性シート部材17を介して支持体5の軸方向
に与えられて、振動体2の摺動面と移動体7の摺動体6
とが加圧接触されるようになっている。
たゴム製の弾性シート部材17を介して中間部材15に
支持された構造に設けられていて、上記出力軸10のフ
ランジ部10cと上記第2のボール軸受12との間に弾
装されたコイル状の圧縮バネ部材14が発生する軸荷重
が、この弾性シート部材17を介して支持体5の軸方向
に与えられて、振動体2の摺動面と移動体7の摺動体6
とが加圧接触されるようになっている。
【0040】8は振動波モータの筐体カバーであり、ネ
ジ9により筐体3に固定されている。そしてその中央部
に形成された軸受嵌合孔8bには第2のボール軸受12
が軸方向摺動可能に嵌合され、更にこの軸受嵌合孔8b
の近接した内周面には、螺子部8cが形成されてバネ圧
調整ナット部材18が螺着されている。バネ圧調整ナッ
ト部材18は、第2のボール軸受12の外輪12aにの
み接し、また第2のボール軸受12の内輪12bは出力
軸10に対して軸方向摺動可能でかつ回転可能に設けら
れていて、バネ圧調整ナット部材18に形成された2個
の小孔18a,18aに例えば先端部に2本の差し込み
棒が形成された治具(図示せず)の該差し込み棒を差し
込んで時計方向に回すことで、このバネ圧調整ナット部
材18が図中左方向に螺進しながら第2のボール軸受1
2を同方向に押し圧縮バネ部材14を縮めてバネ力を大
きくし、また逆方向に回すと圧縮バネ部材14を広げて
バネ力を弱くできるようになっており、これによりバネ
のたわみによる出力軸10の軸荷重調整が可能とされて
いる。なお出力軸10の軸荷重調整後に、筐体カバー8
の小孔8aから接着剤を流し込んで、第2のボール軸受
12の外輪12aを筐体カバー8に固着するのが通常で
ある。
ジ9により筐体3に固定されている。そしてその中央部
に形成された軸受嵌合孔8bには第2のボール軸受12
が軸方向摺動可能に嵌合され、更にこの軸受嵌合孔8b
の近接した内周面には、螺子部8cが形成されてバネ圧
調整ナット部材18が螺着されている。バネ圧調整ナッ
ト部材18は、第2のボール軸受12の外輪12aにの
み接し、また第2のボール軸受12の内輪12bは出力
軸10に対して軸方向摺動可能でかつ回転可能に設けら
れていて、バネ圧調整ナット部材18に形成された2個
の小孔18a,18aに例えば先端部に2本の差し込み
棒が形成された治具(図示せず)の該差し込み棒を差し
込んで時計方向に回すことで、このバネ圧調整ナット部
材18が図中左方向に螺進しながら第2のボール軸受1
2を同方向に押し圧縮バネ部材14を縮めてバネ力を大
きくし、また逆方向に回すと圧縮バネ部材14を広げて
バネ力を弱くできるようになっており、これによりバネ
のたわみによる出力軸10の軸荷重調整が可能とされて
いる。なお出力軸10の軸荷重調整後に、筐体カバー8
の小孔8aから接着剤を流し込んで、第2のボール軸受
12の外輪12aを筐体カバー8に固着するのが通常で
ある。
【0041】また、圧縮バネ部材14の一端と第2のボ
ール軸受12との間には、第2のボール軸受12の内輪
12bにのみ当接するスペーサ13が配置され、このス
ペーサ13に圧縮バネ部材14の一端が当接し、出力軸
が支障なくスムーズに回転できるようにしている。な
お、圧縮バネ部材14には、たわみに対する軸荷重の変
動を小さくするためにバネ定数の極力小さなものが好ま
しく用いられる。
ール軸受12との間には、第2のボール軸受12の内輪
12bにのみ当接するスペーサ13が配置され、このス
ペーサ13に圧縮バネ部材14の一端が当接し、出力軸
が支障なくスムーズに回転できるようにしている。な
お、圧縮バネ部材14には、たわみに対する軸荷重の変
動を小さくするためにバネ定数の極力小さなものが好ま
しく用いられる。
【0042】上記した振動体2の圧電素子1は、図2に
示すように、夫々図示の如く分極処理された駆動用のA
圧電素子群1a及びB圧電素子群1bと、振動状態を検
出する2つの振動検出用圧電素子1cと、接地用の共通
電極1dから構成され、B圧電素子群1bはA圧電素子
群1aに対し、励起されるべき振動数の波長(λ)の1
/4だけずれたピッチで配置されている。
示すように、夫々図示の如く分極処理された駆動用のA
圧電素子群1a及びB圧電素子群1bと、振動状態を検
出する2つの振動検出用圧電素子1cと、接地用の共通
電極1dから構成され、B圧電素子群1bはA圧電素子
群1aに対し、励起されるべき振動数の波長(λ)の1
/4だけずれたピッチで配置されている。
【0043】そしてA圧電素子群1aとB圧電素子群1
bに、互いに位相90°異なる周波電圧を印加すること
により、振動体2の表面に進行性振動波が発生し、この
振動体2に上述の如く加圧接触された移動体7が摩擦駆
動され、中間部材15を介して出力軸10を回転させ
る。
bに、互いに位相90°異なる周波電圧を印加すること
により、振動体2の表面に進行性振動波が発生し、この
振動体2に上述の如く加圧接触された移動体7が摩擦駆
動され、中間部材15を介して出力軸10を回転させ
る。
【0044】以上の構成の振動波モータにつき、移動体
7の複合樹脂層である摺動体6の材質を検討するために
下記表1の配合からなる摺動体として、外径68mm、
内径64mm、厚さ1mmのリング状に形成したもの
を、アルミニウム合金の円環状支持体にエポキシ系接着
剤を用いて接着固定した。
7の複合樹脂層である摺動体6の材質を検討するために
下記表1の配合からなる摺動体として、外径68mm、
内径64mm、厚さ1mmのリング状に形成したもの
を、アルミニウム合金の円環状支持体にエポキシ系接着
剤を用いて接着固定した。
【0045】なお実施例の摺動体は母材として非熱可塑
性ポリイミド(PI)或はガラス転移点が100℃以上
の熱可塑性樹脂に表中に記載の充填材を配合した下記の
通りのものである。
性ポリイミド(PI)或はガラス転移点が100℃以上
の熱可塑性樹脂に表中に記載の充填材を配合した下記の
通りのものである。
【0046】
【表1】
【0047】実施例1:母材として、ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの縮合物である
非熱可塑性の芳香族ポリイミド樹脂(「ユービレック
ス」:商品名 宇部興産社製)に、直径7μm、長さ1
00μm程度のPAN系炭素繊維(「トレカ」:商品名
東レ)を重量比で15%充填配合して、圧縮成形し、
切削加工して1mm厚のリング状摺動体とした。
カルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの縮合物である
非熱可塑性の芳香族ポリイミド樹脂(「ユービレック
ス」:商品名 宇部興産社製)に、直径7μm、長さ1
00μm程度のPAN系炭素繊維(「トレカ」:商品名
東レ)を重量比で15%充填配合して、圧縮成形し、
切削加工して1mm厚のリング状摺動体とした。
【0048】実施例2:実施例1の炭素繊維のかわりに
ガラス状カーボン(2)(「カーボンマイクロビー
ズ」:商品名 日本カーボン)を重量比で20%充填配
合し、実施例1と同様にして摺動体を製作した。
ガラス状カーボン(2)(「カーボンマイクロビー
ズ」:商品名 日本カーボン)を重量比で20%充填配
合し、実施例1と同様にして摺動体を製作した。
【0049】実施例3:実施例1の炭素繊維のかわりに
実施例2のガラス状カーボンを重量比で10%、金属モ
リブデン粉末を6.5%、四フッ化エチレン樹脂(PT
FE)粉末を9.4%を充填配合して摺動体を製作し
た。
実施例2のガラス状カーボンを重量比で10%、金属モ
リブデン粉末を6.5%、四フッ化エチレン樹脂(PT
FE)粉末を9.4%を充填配合して摺動体を製作し
た。
【0050】実施例4:実施例3の重量比10%のガラ
ス状カーボンを別種のガラス状カーボン(1)(「ベル
パール」:商品名 鐘紡)とした他は実施例3と全く同
じの摺動体とした。
ス状カーボンを別種のガラス状カーボン(1)(「ベル
パール」:商品名 鐘紡)とした他は実施例3と全く同
じの摺動体とした。
【0051】実施例5:実施例3で強化材のガラス状カ
ーボンを除去して摺動体とした。
ーボンを除去して摺動体とした。
【0052】実施例6:実施例1の非熱可塑性ポリイミ
ド樹脂に摩擦調整剤として四フッ化エチレン樹脂(PT
FE)粉末8.5%と一酸化鉛粉末6%を充填配合して
摺動体とした。
ド樹脂に摩擦調整剤として四フッ化エチレン樹脂(PT
FE)粉末8.5%と一酸化鉛粉末6%を充填配合して
摺動体とした。
【0053】実施例7:熱可塑性ポリイミド(「TP
I」:商品名 三井東圧化学)Eピッチ系炭素繊維
(「クレハカーボンファイバーチョップ」:商品名 呉
羽化学)を重量比で30%充填配合して射出成形して1
mm厚のリング状摺動体とした。
I」:商品名 三井東圧化学)Eピッチ系炭素繊維
(「クレハカーボンファイバーチョップ」:商品名 呉
羽化学)を重量比で30%充填配合して射出成形して1
mm厚のリング状摺動体とした。
【0054】実施例8:実施例7の炭素繊維のかわりに
ガラス状カーボン(2)を重量比で30%充填配合し、
実施例7と同様にして摺動体を製作した。
ガラス状カーボン(2)を重量比で30%充填配合し、
実施例7と同様にして摺動体を製作した。
【0055】実施例9:熱可塑性ポリイミド(「TP
I」:商品名 三井東圧化学社製)に四フッ化エチレン
樹脂粉末を重量比で3.0%充填し、さらにガラス状カ
ーボン(1)を12.0%充填配合し、射出成形し切削
加工して1mmのリング状摺動体とした。
I」:商品名 三井東圧化学社製)に四フッ化エチレン
樹脂粉末を重量比で3.0%充填し、さらにガラス状カ
ーボン(1)を12.0%充填配合し、射出成形し切削
加工して1mmのリング状摺動体とした。
【0056】実施例10:四フッ化エチレン樹脂粉末を
重量比で7.0%充填し、さらに炭酸カルシウム粉末1
0.0%充填配合した他は実施例9と同様にして摺動体
を製作した。
重量比で7.0%充填し、さらに炭酸カルシウム粉末1
0.0%充填配合した他は実施例9と同様にして摺動体
を製作した。
【0057】表1には、複合樹脂のガラス転移点、曲げ
弾性率及びロックウェル硬さ(HRM)を示してある。
曲げ弾性率及びロックウェル硬さは板状体を製作し下記
の方法に基づき測定したものである。曲げ弾性率の測
定:ASTM D792に基づく、厚み3.2mmの板
を用いた。ロックウェル硬さの測定:ASTM D78
5に基づく。表1の複合樹脂の熱特性をみると、非熱可
塑性の芳香族ポリイミドのガラス転移点は295℃、熱
可塑性ポリイミドのガラス転移点は250℃で全ての実
施例の複合樹脂は超耐熱性であることがわかる。
弾性率及びロックウェル硬さ(HRM)を示してある。
曲げ弾性率及びロックウェル硬さは板状体を製作し下記
の方法に基づき測定したものである。曲げ弾性率の測
定:ASTM D792に基づく、厚み3.2mmの板
を用いた。ロックウェル硬さの測定:ASTM D78
5に基づく。表1の複合樹脂の熱特性をみると、非熱可
塑性の芳香族ポリイミドのガラス転移点は295℃、熱
可塑性ポリイミドのガラス転移点は250℃で全ての実
施例の複合樹脂は超耐熱性であることがわかる。
【0058】耐摩耗性、潤滑性及び熱伝導性を改善する
ため強化材として炭素繊維を充填配合した実施例1及び
7は曲げ弾性率及びロックウェル硬さが改善されている
ことがわかる。粒状のガラス状カーボン(1)を充填配
合した実施例4及び9等は本来の母材樹脂より曲げ弾性
率は大きくなるようだが、硬度は低下する傾向が見られ
る。
ため強化材として炭素繊維を充填配合した実施例1及び
7は曲げ弾性率及びロックウェル硬さが改善されている
ことがわかる。粒状のガラス状カーボン(1)を充填配
合した実施例4及び9等は本来の母材樹脂より曲げ弾性
率は大きくなるようだが、硬度は低下する傾向が見られ
る。
【0059】一方球状のガラス状カーボン(2)を充填
配合した実施例2,3及び8等はガラス状カーボン
(1)を充填配合した実施例4及び9より曲げ弾性率及
び硬度がより改善されている傾向が見られた。摩擦調整
剤として低摩擦係数樹脂である四フッ化エチレン樹脂を
充填配合した実施例3,4,5,6,9及び10等は当
然四フッ化エチレン樹脂の充填量に対応して曲げ弾性率
或は硬度が低下しているはずである。
配合した実施例2,3及び8等はガラス状カーボン
(1)を充填配合した実施例4及び9より曲げ弾性率及
び硬度がより改善されている傾向が見られた。摩擦調整
剤として低摩擦係数樹脂である四フッ化エチレン樹脂を
充填配合した実施例3,4,5,6,9及び10等は当
然四フッ化エチレン樹脂の充填量に対応して曲げ弾性率
或は硬度が低下しているはずである。
【0060】表2に従来型の振動体(比較例)と本実施
例の振動体の材種、摩擦面の硬化処理及びマイクロビッ
カース硬度計で測定した硬度を示す。
例の振動体の材種、摩擦面の硬化処理及びマイクロビッ
カース硬度計で測定した硬度を示す。
【0061】
【表2】
【0062】比較例及び実施例とも13%クロム鋼(J
is:sus420J2)の振動体でいずれも機械加工
後応力除去のための熱処理(650℃,3時間)後それ
ぞれの硬化処理をおこなった。
is:sus420J2)の振動体でいずれも機械加工
後応力除去のための熱処理(650℃,3時間)後それ
ぞれの硬化処理をおこなった。
【0063】比較例は12%コバルト−タングステンカ
ーバイト粉末(第一メテコ社、71VFNS)をプラズ
マ溶射して、100μm厚の皮膜を形成したあと、研磨
加工して約80μm厚の鏡面皮膜を形成している。この
振動体摩擦面の平面度は干渉計で測定した結果1μm以
下であることが確認された。
ーバイト粉末(第一メテコ社、71VFNS)をプラズ
マ溶射して、100μm厚の皮膜を形成したあと、研磨
加工して約80μm厚の鏡面皮膜を形成している。この
振動体摩擦面の平面度は干渉計で測定した結果1μm以
下であることが確認された。
【0064】実施例の硬化処理は約1%の窒素を固溶し
たクローム膜を形成させるスパッタリング法(東京熱処
理工業:クロームドッペN)で20μm厚の皮膜を形成
したあと、研磨加工して約15μmの鏡面皮膜を形成し
た。
たクローム膜を形成させるスパッタリング法(東京熱処
理工業:クロームドッペN)で20μm厚の皮膜を形成
したあと、研磨加工して約15μmの鏡面皮膜を形成し
た。
【0065】硬度の測定は50grtの荷重でマイクロ
ビッカース硬度計で測定したが、結果は表2の通りで、
比較例は1000程度であったのに対し実施例の摩擦面
硬さはビッカース硬度で1600程度と大巾に改善され
ていることが確認された。
ビッカース硬度計で測定したが、結果は表2の通りで、
比較例は1000程度であったのに対し実施例の摩擦面
硬さはビッカース硬度で1600程度と大巾に改善され
ていることが確認された。
【0066】振動体2は直径が73mm、軸方向寸法が
7mmの円環状のものとして形成した。
7mmの円環状のものとして形成した。
【0067】表3は表1の複合樹脂摺動体と表2の振動
体を組合せて製作した図1の構造の大出力型振動波モー
タの組合せとモータの評価結果を示すものである。
体を組合せて製作した図1の構造の大出力型振動波モー
タの組合せとモータの評価結果を示すものである。
【0068】
【表3】
【0069】評価項目は振動体及び複合樹脂の初期摩耗
とトルクムラの他に定格出力及び最大効率である。
とトルクムラの他に定格出力及び最大効率である。
【0070】[初期摩耗]:定格(4kgcm,100
rpm)で100時間の連続運転を行った後の振動体摩
擦面の傷の発生或は摩耗量と複合樹脂摺動面の摩耗量を
測定し、中、小及び極小に分けた。
rpm)で100時間の連続運転を行った後の振動体摩
擦面の傷の発生或は摩耗量と複合樹脂摺動面の摩耗量を
測定し、中、小及び極小に分けた。
【0071】[トルクのムラ]:定格で20分連続駆動
したときのトルクムラを低速型トルク検出器(小野測器
社製)を用いて測定し、結果は変動量により○、△に分
けた。
したときのトルクムラを低速型トルク検出器(小野測器
社製)を用いて測定し、結果は変動量により○、△に分
けた。
【0072】[定格出力最大効率]:上記の低歪型トル
ク検出器を用いてトルク対出力及びトルク対効率のモー
タ特性を測定し、定格トルク(4kgcm)での出力と
最大効率を求め、◎、○及び△に分けて示した。
ク検出器を用いてトルク対出力及びトルク対効率のモー
タ特性を測定し、定格トルク(4kgcm)での出力と
最大効率を求め、◎、○及び△に分けて示した。
【0073】別に表2の振動体をモータに組込んで耐食
性のテストを行った。
性のテストを行った。
【0074】条件は温度60℃湿度60%の環境と、−
30℃での環境でモータ駆動を3回繰返すという熱サイ
クルテストを行って、しばらく放置した後モータを分解
して振動体の摩擦面のサビを観察した。
30℃での環境でモータ駆動を3回繰返すという熱サイ
クルテストを行って、しばらく放置した後モータを分解
して振動体の摩擦面のサビを観察した。
【0075】その結果は比較例のタングステンカーバイ
ト及びコバルトの溶射摩擦面と同様、実施例の蒸着摩擦
面もサビの発生は全く見られなかった。
ト及びコバルトの溶射摩擦面と同様、実施例の蒸着摩擦
面もサビの発生は全く見られなかった。
【0076】[初期摩耗]表3の初期摩耗の結果をみる
と、比較例のようにタングステンカーバイト及びコバル
トの摩擦面は硬度が特に高いので振動体の初期摩耗(キ
ズ)はほぼ考慮する必要はなく、相手の複合樹脂材の摩
耗のみを考慮すれば良く、実施例の窒素を固溶するクロ
ーム膜ではタングステンカーバイト及びコバルトの摩擦
面よりも更に硬度が高いためか初期摩耗は全くなく、キ
ズの発生もなかった。比較例のタングステンカーバイト
及びコバルトの摩擦面と複合樹脂の組合せでは非熱可塑
性ポリイミドに摩耗改良剤として金属モリブデンを配合
した実施例5と摩耗改良剤を配合していない実施例6の
複合樹脂で初期摩耗が「小」であり、熱可塑性ポリイミ
ドに摩耗改良剤としてガラス状カーボン(1)を配合し
た実施例9と炭酸カルシウムを配合した実施例10では
複合樹脂の初期摩耗が更に多く「中」であった。
と、比較例のようにタングステンカーバイト及びコバル
トの摩擦面は硬度が特に高いので振動体の初期摩耗(キ
ズ)はほぼ考慮する必要はなく、相手の複合樹脂材の摩
耗のみを考慮すれば良く、実施例の窒素を固溶するクロ
ーム膜ではタングステンカーバイト及びコバルトの摩擦
面よりも更に硬度が高いためか初期摩耗は全くなく、キ
ズの発生もなかった。比較例のタングステンカーバイト
及びコバルトの摩擦面と複合樹脂の組合せでは非熱可塑
性ポリイミドに摩耗改良剤として金属モリブデンを配合
した実施例5と摩耗改良剤を配合していない実施例6の
複合樹脂で初期摩耗が「小」であり、熱可塑性ポリイミ
ドに摩耗改良剤としてガラス状カーボン(1)を配合し
た実施例9と炭酸カルシウムを配合した実施例10では
複合樹脂の初期摩耗が更に多く「中」であった。
【0077】実施例の窒素を固溶したクローム膜と複合
樹脂の組合せでは、上記の非熱可塑性ポリイミドの実施
例5及び6と熱可塑性ポリイミドの実施例9及び10は
全て初期摩耗が「小」であり、タングステンカーバイト
及びコバルトより複合樹脂に対する摩耗がやや少ないこ
とが確認された。
樹脂の組合せでは、上記の非熱可塑性ポリイミドの実施
例5及び6と熱可塑性ポリイミドの実施例9及び10は
全て初期摩耗が「小」であり、タングステンカーバイト
及びコバルトより複合樹脂に対する摩耗がやや少ないこ
とが確認された。
【0078】複合樹脂の実施例1,3,4及び7の比較
例、及び実施例の振動体摩擦面に対する初期摩耗は全て
「極小」で、その差が認められなく、又実施例2及び8
の結果を含めて考察すると、摩耗改良剤として炭素繊維
及びガラス状カーボン(2)を充填した非熱可塑性及び
熱可塑性ポリイミドの複合樹脂はタングステンカーバイ
ト及びコバルトの摩擦面とさらに硬度が高い窒素を固溶
したクローム膜の摩擦面のいずれと組合せても耐摩耗性
に優れていることがわかった。
例、及び実施例の振動体摩擦面に対する初期摩耗は全て
「極小」で、その差が認められなく、又実施例2及び8
の結果を含めて考察すると、摩耗改良剤として炭素繊維
及びガラス状カーボン(2)を充填した非熱可塑性及び
熱可塑性ポリイミドの複合樹脂はタングステンカーバイ
ト及びコバルトの摩擦面とさらに硬度が高い窒素を固溶
したクローム膜の摩擦面のいずれと組合せても耐摩耗性
に優れていることがわかった。
【0079】[トルクムラ]次にトルクムラであるが、
比較例及び実施例の振動体摩擦面に対する複合樹脂の初
期摩耗がいずれも「極小」であった実施例1,3,4及
び7を比較すると非熱可塑性ポリイミドに炭素繊維を充
填配合した実施例1では、比較例の振動体ではトルク変
動量が5%程度で「△」であったのに対し、実施例では
3%程度とトルクムラは「○」で改善が見られた。又非
熱可塑性ポリイミドにガラス状カーボン(2)と金属モ
リブデン粉末を配合した実施例3では比較例及び実施例
いずれの振動体でもトルクムラは3%程度で「○」とな
り、熱可塑性ポリイミドに炭素繊維を充填配合した実施
例7ではいずれの振動体でもトルクムラは5%程度で
「△」となり、振動体摩擦面による差は見られなかっ
た。しかし非熱可塑性ポリイミドにガラス状カーボン
(1)と金属モリブデン粉末を配合した実施例4では逆
に比較例でのトルクムラが「○」であったのに対し実施
例でのトルクムラは「△」と大きくなる結果となった。
この原因は窒素を固溶したクローム膜の摩擦面に複合樹
脂の摩耗粉が不均一に付着して「トルクムラ」に影響を
与えたと考えられる。尚実施例の振動体摩擦面に対し、
非熱可塑性ポリイミドにガラス状カーボン(2)を配合
した実施例2の複合樹脂と熱可塑性ポリイミドに同じく
ガラス状カーボン(2)を配合した実施例8の複合樹脂
を組合せたときのトルクムラはいずれも「○」であっ
た。
比較例及び実施例の振動体摩擦面に対する複合樹脂の初
期摩耗がいずれも「極小」であった実施例1,3,4及
び7を比較すると非熱可塑性ポリイミドに炭素繊維を充
填配合した実施例1では、比較例の振動体ではトルク変
動量が5%程度で「△」であったのに対し、実施例では
3%程度とトルクムラは「○」で改善が見られた。又非
熱可塑性ポリイミドにガラス状カーボン(2)と金属モ
リブデン粉末を配合した実施例3では比較例及び実施例
いずれの振動体でもトルクムラは3%程度で「○」とな
り、熱可塑性ポリイミドに炭素繊維を充填配合した実施
例7ではいずれの振動体でもトルクムラは5%程度で
「△」となり、振動体摩擦面による差は見られなかっ
た。しかし非熱可塑性ポリイミドにガラス状カーボン
(1)と金属モリブデン粉末を配合した実施例4では逆
に比較例でのトルクムラが「○」であったのに対し実施
例でのトルクムラは「△」と大きくなる結果となった。
この原因は窒素を固溶したクローム膜の摩擦面に複合樹
脂の摩耗粉が不均一に付着して「トルクムラ」に影響を
与えたと考えられる。尚実施例の振動体摩擦面に対し、
非熱可塑性ポリイミドにガラス状カーボン(2)を配合
した実施例2の複合樹脂と熱可塑性ポリイミドに同じく
ガラス状カーボン(2)を配合した実施例8の複合樹脂
を組合せたときのトルクムラはいずれも「○」であっ
た。
【0080】トルクムラの要因は振動体摩擦面或は複合
樹脂摺動体の摺動面の緻密性と面性状の均一性が考えら
れてきたが、実際には摩擦面と摺動面の間の特に複合樹
脂の摩耗粉の実在の影響が大きく、特に振動体摩擦面に
不均一に付着もしくは粘着した複合樹脂摩耗粉が問題と
なることが判明した。
樹脂摺動体の摺動面の緻密性と面性状の均一性が考えら
れてきたが、実際には摩擦面と摺動面の間の特に複合樹
脂の摩耗粉の実在の影響が大きく、特に振動体摩擦面に
不均一に付着もしくは粘着した複合樹脂摩耗粉が問題と
なることが判明した。
【0081】表3において特に複合樹脂の初期摩耗が
「小」或は「中」と評価された組合せではトルクムラを
評価してない。
「小」或は「中」と評価された組合せではトルクムラを
評価してない。
【0082】「定格出力、最大効率」モータの定格出力
或は最大効率から振動体及び複合樹脂材を評価すると、
タングステンカーバイト及びコバルトを溶射した摩擦面
の比較例の振動体に対し、窒素を固溶したクローム膜の
摩擦面の実施例の振動体は、複合樹脂の実施例1,5,
9及び10との組合せの評価結果ではいずれもわずかで
はあるが定格出力の低下がみられた。こうした出力の違
いは、硬化処理材の硬さ或は面粗さ等の摩擦面の面性状
の違いで、特にタングステンカーバイト及びコバルトの
摩擦面の面粗さが中心線平均粗さ(Ra )でみると0.
35μmRa 程度であったのに対し、窒素を固溶したク
ローム膜の面粗さが0.16μmRa 程度とその差が無
視できず、複合樹脂摺動面との間の摩擦係数が異なって
いたためと思われる。
或は最大効率から振動体及び複合樹脂材を評価すると、
タングステンカーバイト及びコバルトを溶射した摩擦面
の比較例の振動体に対し、窒素を固溶したクローム膜の
摩擦面の実施例の振動体は、複合樹脂の実施例1,5,
9及び10との組合せの評価結果ではいずれもわずかで
はあるが定格出力の低下がみられた。こうした出力の違
いは、硬化処理材の硬さ或は面粗さ等の摩擦面の面性状
の違いで、特にタングステンカーバイト及びコバルトの
摩擦面の面粗さが中心線平均粗さ(Ra )でみると0.
35μmRa 程度であったのに対し、窒素を固溶したク
ローム膜の面粗さが0.16μmRa 程度とその差が無
視できず、複合樹脂摺動面との間の摩擦係数が異なって
いたためと思われる。
【0083】次に複合樹脂摺動体による性能を比較する
と、やはり摩耗改良剤として炭素繊維を充填配合した実
施例1及び7の他に炭素繊維のかわりにガラス状カーボ
ン(2)を充填配合した実施例2及び8、それにガラス
状カーボン(1)と四フッ化エチレン樹脂を充填配合し
た実施例9が出力及び効率の点で良い性能を示した。
と、やはり摩耗改良剤として炭素繊維を充填配合した実
施例1及び7の他に炭素繊維のかわりにガラス状カーボ
ン(2)を充填配合した実施例2及び8、それにガラス
状カーボン(1)と四フッ化エチレン樹脂を充填配合し
た実施例9が出力及び効率の点で良い性能を示した。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、摩
擦面をより緻密で硬度が高く又靭性がある成膜を形成し
たことにより、トルクムラの改善が可能になり、摩擦面
の欠け或はキズの発生がないため、複合樹脂の摩耗を最
大限に小さくする効果がある。又、従来はくし歯が形成
された振動体の摩擦面にタングステンカーバイト及びコ
バルトを100μm厚で溶射する際、振動体をセメント
で固着し摩擦面以外に溶射材が付着しないようにしてい
たため高価となり、又量産性に問題があったが、本発明
はPVD技術による成膜法を採用し、比較的薄手の膜を
形成するため、くし歯の溝部分等をマスキングする必要
がなく量産性の点での改善が可能となった。
擦面をより緻密で硬度が高く又靭性がある成膜を形成し
たことにより、トルクムラの改善が可能になり、摩擦面
の欠け或はキズの発生がないため、複合樹脂の摩耗を最
大限に小さくする効果がある。又、従来はくし歯が形成
された振動体の摩擦面にタングステンカーバイト及びコ
バルトを100μm厚で溶射する際、振動体をセメント
で固着し摩擦面以外に溶射材が付着しないようにしてい
たため高価となり、又量産性に問題があったが、本発明
はPVD技術による成膜法を採用し、比較的薄手の膜を
形成するため、くし歯の溝部分等をマスキングする必要
がなく量産性の点での改善が可能となった。
【図1】本発明を適用して構成される振動波モータの構
成概要を縦断面図として示した図。
成概要を縦断面図として示した図。
【図2】振動体を構成する圧電素子群の配置を説明する
平面図。
平面図。
1…圧電素子 2…振動体 5…支持体 6…摺動体 7…移動体 15…中間部材 17…弾性シート部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H02N 2/00 - 2/18
Claims (9)
- 【請求項1】 進行性振動波を生ずる振動体に、該振動
体との接触面を提供する複合樹脂層を備えた部材を加圧
接触させて、振動体と該加圧接触する部材を該振動体に
生じさせた進行性振動波により摩擦駆動で相対移動させ
る振動波モータにおいて、上記複合樹脂層を複合樹脂に
より構成し、上記振動体の摩擦面を窒素又は炭素原子を
固溶したクローム膜により形成したことを特徴とする振
動波モータ。 - 【請求項2】 前記クローム膜の皮膜が5μm〜30μ
mの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の振動
波モータ。 - 【請求項3】 前記振動体の母材がマルテンサイト系ス
テンレス鋼であることを特徴とする請求項1に記載の振
動波モータ。 - 【請求項4】 前記複合樹脂の母材樹脂が非熱可塑性の
芳香族ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1
に記載の振動波モータ。 - 【請求項5】 前記複合樹脂の母材樹脂がガラス転移点
が100℃以上の熱可塑性樹脂であることを特徴とする
請求項1に記載の振動波モータ。 - 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリイミド
であることを特徴とする請求項5に記載の振動波モー
タ。 - 【請求項7】 前記複合樹脂の摩耗改良剤が繊維状強化
材であることを特徴とする請求項1に記載の振動波モー
タ。 - 【請求項8】 前記複合樹脂の摩耗改良材が粒状或は球
状のガラス状カーボンであることを特徴とする請求項1
に記載の振動波モータ。 - 【請求項9】 前記複合樹脂層をロックウェル硬さ(H
R M)でが80乃至110、前記振動体の摩擦面をビ
ッカース硬さ(HV )で1000〜2000としたこ
とを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一つに記載
の振動波モータ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3071164A JP2965734B2 (ja) | 1991-04-03 | 1991-04-03 | 振動波モータ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3071164A JP2965734B2 (ja) | 1991-04-03 | 1991-04-03 | 振動波モータ |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH04308484A JPH04308484A (ja) | 1992-10-30 |
| JP2965734B2 true JP2965734B2 (ja) | 1999-10-18 |
Family
ID=13452730
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3071164A Expired - Fee Related JP2965734B2 (ja) | 1991-04-03 | 1991-04-03 | 振動波モータ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2965734B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008092748A (ja) * | 2006-10-05 | 2008-04-17 | Pentax Corp | 超音波モータ |
-
1991
- 1991-04-03 JP JP3071164A patent/JP2965734B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH04308484A (ja) | 1992-10-30 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |