JP3062014B2 - 光学用ポリカーボネートフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

光学用ポリカーボネートフィルムおよびその製造方法

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JP3062014B2
JP3062014B2 JP6231126A JP23112694A JP3062014B2 JP 3062014 B2 JP3062014 B2 JP 3062014B2 JP 6231126 A JP6231126 A JP 6231126A JP 23112694 A JP23112694 A JP 23112694A JP 3062014 B2 JP3062014 B2 JP 3062014B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学用ポリカーボネー
トフィルムおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートフィルムは包装用途、
光学装置、表示装置その他各種産業用途に使用されてい
るが、最近液晶表示装置など光電子装置において位相差
板、偏光板、プラスチック基板等の材料として注目され
その実用化が進められている。とりわけ、近年の液晶デ
イスプレーなかでも進歩が著しいSTN型液晶デイスプ
レー素子においては画像の正面および斜め方向から見た
視認性を向上させるために液晶層と偏光板との間で使用
する位相差フイルムとして注目される。この位相差フイ
ルムは、液晶層を透過した楕円偏光を直線偏光に変換す
る役割を担っている。そして、その材質は主としてビス
フェノール−Aからなるポリカーボネートの一軸延伸フ
イルムが用いられている。その理由は、(1)透明性が
高い、(2)光学異方性を制御することが比較的容易で
ある、(3)耐熱性が比較的高い、(4)均質性が高い
など位相差板に要求される性質が優れているからであ
る。
【0003】しかし、ビスフェノール−Aからなるポリ
カーボネートフイルムにも欠点がある。このフイルムは
均質性の面から、一般にはビスフェノール−Aからなる
ポリカーボネートの塩化メチレン溶液からキャストされ
るが、位相差板用や液晶基板用フイルムは厚膜であるた
め高濃度ド−プからキャストする必要がある。しかしな
がら、このポリマーの溶解度は20重量%程度であり十
分に高いとは言えない。しかも、高濃度ドープではポリ
マーは安定に存在せず、時間と共に結晶化に伴う白濁化
やゲル化が、特に、製膜過程で白濁化(結晶化)が生じ
る場合が多い。
【0004】さらに、これらの光電子装置に使用される
フィルムは電子部品として周辺部品に悪影響を与えない
こと、例えば長期間高温高湿度の雰囲気で使用される場
合に分解して塩素イオン等を生じないことも必要であ
る。通常このような光学用途には上述のように塩化メチ
レン溶液からキャスト製膜されたポリカーボネートフィ
ルムが使用されるがこれらの要求を充足しているとは言
い難い。
【0005】位相差フィルムや液晶基板用フィルムに於
いては高度の表面平滑性と制御された配向が要求される
が塩化メチレン溶液からこれらの要求を満足させる高度
の品質の製品を得ることは容易ではない。
【0006】この様な、フィルムの製造にはその均一性
を維持するため押出し成形ではなく、溶液状態からの塗
膜を乾燥させるキャスト法が使用される。この溶液(ド
ープ)を作成する場合、これまでポリカーボネートに対
しては、主として塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素
が溶媒として頻度高く使われている。しかしながら、こ
れらの溶媒はハロゲンを含有しているので、その溶媒成
分を蒸発、揮散させるに際して空気中の水蒸気成分と反
応して、例えば、塩化水素で代表されるハロゲン化水素
の副生が起こり、基板の腐食、あるいは作業環境の劣化
等、環境上の問題を生じる可能性が多いと言われてい
る。
【0007】またこのような、ハロゲン系溶媒を使用し
たドープからキャスト製膜したフィルムまたは基板(シ
−ト)中には微量の塩素などのハロゲン元素が残存する
が、透明電極を構成するITO(酸化インジウム)やT
FT(Thin FilmTransister)等の
構成成分に対する影響が懸念される。高沸点の含ハロゲ
ン系溶媒を使用したポリカーボネート溶液からキャスト
製膜する場合には特に問題になる。
【0008】さらに、例えば塩化メチレン、テトラクロ
ロエタン等の溶媒はポリカーボネートとの親和性が良
く、そのため、溶液の粘度が高くなる傾向を示し、同じ
濃度で溶解させた場合粘度が極端に高くなり取扱い上問
題を生じる場合や、逆に粘度を同じにするとより重合度
の高いポリカーボネートを有利な濃度に溶解させること
が困難になる等の弱点を持っている。
【0009】同一ポリマーの樹脂溶液を異なる溶媒を用
いて作成すると、その粘度は樹脂と溶剤との相互作用に
支配される。通常、粘度の高い溶液を与える溶媒はそれ
が低い溶媒より、樹脂−溶媒間の親和性が高くその様な
溶媒中では、樹脂はより線状に延びた、分子間の絡み合
いが起こり易い状態で存在し、一方親和性の低い溶媒中
では樹脂分子はより丸まった状態で、分子間の絡み合い
の起こりにくい状態で存在するとされている。一般にポ
リカーボネートの塩化メチレン溶液は粘度が高くこの溶
液のキャストにより得られるフィルムは配向しやすく結
果としてリターデーションの大きいフィルムになり易い
欠点があった。
【0010】一方、ハロゲン元素を含有しない溶媒であ
るテトラヒドロフランにポリカーボネートを溶解させ、
ドープを作成する事も可能で、これを適当な基板に塗布
し溶媒を蒸発乾燥させポリカーボネートの薄膜を得る方
法が考えられる。しかしながら、テトラヒドロフランは
ポリカーボネートの溶媒として良好とは言えない。例え
ば、ポリカーボネートのテトラヒドロフラン溶液の場
合、ポリカーボネート樹脂濃度が10重量%を越すと、
ポリカーボネートの分子量に依存する傾向があるもの
の、樹脂液組成物を調製した後、時間と共に、液組成物
がゲル状態に変化し、まず見かけの溶液粘度の上昇が認
められ、にごりの発生と共に、完全白濁状態のゲルとな
り、最終的には流動性が欠落する状態となるので、ドー
プとして実用上に大きな問題がある。またテトラヒドロ
フラン溶液をキャストした膜厚の大きいフィルムは乾燥
途中で特に白濁が発生し易い。
【0011】前述したようにテトラヒドロフランは安定
性に問題を有している。また現在ポリカーボネートを溶
解させるために、主として使用されている塩化メチレン
には環境問題等がある。すなわち、塩化メチレンは発ガ
ン性の恐れがあり、規制の対象になりつつある。その
上、低沸点(沸点41℃)であるために工程から系外に
揮散しやすく環境汚染が倍加される。
【0012】このために、これに代わる溶媒として、特
開平2−227456号公報では、ジオキサンを用いる
ことが提唱されている。しかしながら、ジオキサンは、
1,4−の位置にエーテル結合を有する環状エーテルで
あり、その極性が、分子内部で相互に打ち消し合うの
で、ポリカーボネートのような極性の高分子を溶解する
効能に限界があると判断でき、実際、ポリカーボネート
20重量%以上の濃度では、溶解しない状態になること
が多い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ハロゲンを
含有しない安定な低粘度のドープを使用し、光学特性、
透明性等に優れた光学用ポリカーボネートフィルムを製
造することを目的とする。また、本発明は、優れた光学
特性を有するポリカーボネートフィルム、特に液晶表示
装置に適用した場合視野依存性の少ない表示体を与える
ことが出来るフィルムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は広範な検討を
行い、キャストフィルムの製造に適した、溶媒、製膜条
件等を検討した結果本発明に到達したものである。
【0015】即ち、本発明は、ドープを支持体上に流延
し、これを加熱して乾燥させフィルムを製造するに際
し、ジオキソランを60重量%以上含有する溶媒25〜
150重量部に対し、10重量部のポリカーボネートを
溶解させたドープを使用することを特徴とするポリカー
ボネートフィルムの製造方法である。
【0016】本発明は、ポリカーボネートフィルムをキ
ャスト法により製造するに際し、ジオキソランを主成分
とする溶媒を用いた、保存安定性に優れたポリカーボネ
ートドープを使用するものである。ジオキソランは、環
状エーテル結合が、1,3−の位置に存在する5員環の
環状エーテルであり、常圧での沸点は約76℃近辺に存
在する。
【0017】本発明において、ポリカーボネートの溶解
に使用する溶媒は、ジオキソラン単独溶媒または混合溶
媒である。混合溶媒の場合は60重量%以上、好ましく
は80重量%以上がジオキソランであることが望まし
く、60重量%未満になるとジオキソラン特有の性能を
発揮せず好ましくない。40重量%以下の量で共存する
溶媒としては、例えば、シクロヘキサノン、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等から選ばれる少なくとも一種の
有機溶媒であれば、本発明のキャストフィルム用の安定
なポリカーボネートドープを作成することが出来る。こ
れらの添加量や種類は、例えばキャスト成形物表面の平
滑性の向上(レベリング効果)、蒸発速度や系の粘度調
節などその溶媒の添加目的およびその効果により決定す
ることができる。
【0018】本発明に於いてジオキソランと混合して使
用する溶媒として、場合により塩化メチレンやジクロロ
エタンその他のハロゲン系溶媒をフィルム中に残存する
ハロゲン量が過剰に成らない範囲で使用することも可能
である。本発明の方法によると、フィルム中のハロゲン
イオン(特に塩素イオン)量を低く抑えることができる
ので、厳しい環境下で長期間使用される液晶表示装置の
部品、電子部品として優れた性能を示すことが期待され
る。
【0019】本発明のドープのポリカーボネートの溶解
比率については、ポリカーボネート樹脂10重量部に対
して溶媒が25重量部から150重量部であることすな
わちドープ中のポリカーボネートの濃度が6〜29重量
%であることが望ましく、ポリカーボネートの比率が上
昇すると、結晶化の進行が観測され、流動性が低下する
ので好ましくない。また、溶媒の存在割合が、150重
量部よりも上昇すると、ドープの保存安定性には問題が
ないものの、ポリカーボネートの実効濃度が低下して実
用上、好ましくない。溶液の操作性の面から、より好ま
しくは、ポリカーボネート樹脂10重量部に対して溶媒
が25重量部から100重量部であることが望ましい。
【0020】上記ドープは、ポリカーボネートを、通
常、室温以上溶媒の沸点以下の温度で溶媒に溶解して製
造されるが、40℃以上70℃以下で溶解させることが
好ましい。
【0021】本発明で使用するポリカーボネートについ
て特に制約はない。希望するフィルムの諸特性が得られ
るポリカーボネートであれば特に制約はない。一般に、
ポリカーボネートと総称される高分子材料は、その合成
手法において重縮合反応が用いられて、主鎖が炭酸結合
で結ばれているものを総称するが、これらの内でも、一
般に、フェノール誘導体と、ホスゲン、ジフェニルカー
ボネート等からの重縮合で得られるものを意味する。通
常、ビスフェノール−Aと呼称されている2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをビスフェノール
成分とする下記繰返し単位で表わされるポリカーボネー
トが好ましく選ばれるが、適宜各種ビスフェノール誘導
体を選択することで、ポリカーボネート共重合体を構成
することが出来る。
【0022】
【化1】
【0023】かかる共重合成分としてこのビスフェノー
ル−A以外に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン(以下ビスフェノール−Zと略記)、9,9−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下ビスフ
ェノールFLと略記)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
2−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロ
パン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン等をあげるこ
とができる。また、一部にテレフタル酸および/または
イソフタル酸成分を含むポリエステルカーボネートを使
用することも可能である。このような構成単位をビスフ
ェノール−Aからなるポリカーボネートの構成成分の一
部に使用することによりポリカーボネートの性質、例え
ば耐熱性、溶解性を改良することが出来ることができ
る。
【0024】ここで用いられるポリカーボネートの粘度
平均分子量は、10,000以上200,000以下で
あれば、好適に用いられる。2万〜12万が特に好まし
い。粘度平均分子量が10,000より低いと得られる
フィルムの機械的強度が不足する場合があり、また40
0,000以上の高分子量になるとドープの粘度が大き
くなり過ぎ取扱い上問題を生じるので好ましくない。な
お粘度平均分子量は、ポリカーボネートの塩化メチレン
溶液中で求めた固有粘度を、マーク―ホウインク―桜田
(Mark−Houwink−Sakurada)の式
に代入して計算した。この際の各種係数は、例えば、ポ
リマーハンドブック 第3改訂版 ウイリー社(198
9年)(Polymer Handbook 3rd
Ed.Willey、1989)の7〜23ペ−ジに記
載されている。
【0025】さらに具体的にドープの粘度で表現する
と、500〜100,000cps程度であることが好
ましい。ドープ粘度が500cps以下になると流動性
が上がりすぎて取扱い上困難を来す、一方粘度が10
0,000cps以上になると平滑性に優れたフィルム
を得ることが難しくなる。
【0026】同じポリマーを溶解した場合であっても溶
媒によりその系の粘度は変化する、これは溶媒とポリマ
ーの間の親和性等の差異によるものとされる。この点、
本発明で使用するジオキソランは系の粘度が低くなる傾
向を示すので、同粘度であればより高濃度の溶液を得る
ことが可能でありその工業的価値は大きいものがある。
【0027】本発明によると、残存溶媒量の低いキャス
トフィルムを容易に得ることができる。例えば、塩化メ
チレンの沸点40℃に対してジオキソランの沸点は76
℃であるが、同様の乾燥条件下で処理した場合の残存溶
媒量に有意な差はない。これはポリカーボネート分子と
溶媒分子の相互作用に基づくものと推定されるが全く予
想されなかった事実である。このため、本発明によると
ジオキソランは塩化メチレンほど低沸点の溶媒でないに
もかかわらず同様な設備、コストで工業的に有利に乾燥
することが可能になる。同時にジオキソランは非ハロゲ
ン系溶剤であるので前述のように、地球環境的にも、フ
ィルム中の塩素イオン含量を低減させる目的にも共に有
利である。
【0028】本発明においてはポリカーボネート溶液を
支持体上に流延した後、加熱して溶媒を蒸発させること
によりフイルムを得る。本発明のフィルム製造工程は
(1)キャスト工程、(2)前乾燥工程、(3)後乾燥
工程の3工程からなる。(1)キャスト工程はドープを
支持体に流延する工程であり、(2)前乾燥工程は流延
したドープから大部分の溶媒を蒸発除去する工程であ
り、(3)後乾燥工程は残りの溶媒を除去する工程であ
る。
【0029】すなわち本発明は、前述のドープを支持体
上に流延し、溶媒含有量が5〜25重量%になるまで乾
燥したフィルムを支持体から剥離し、巾方向に収縮可能
な状態で、下記式(I)を満足する温度(T)の範囲で
そのTg’の推移に合せて連続的または逐次的に昇温し
て乾燥することを特徴とする光学用ポリカーボネートフ
イルムの製造法である。
【0030】
【数4】 Tg’−50℃ ≦ T ≦ Tg’ ・・・(I) [Tg’(℃)は残留溶媒を含むポリカーボネートのガ
ラス転移点である。]
【0031】(1)キャスト工程では、ダイから押し出
す方法、ドクターブレードによる方法、リバースロール
コーターによる方法等が用いられる。工業的にはダイか
ら溶液をベルト上もしくはドラム上の支持基板に連続的
に押し出す方法が最も一般的である。
【0032】用いられる支持体としては特に限定はない
が、ガラス基板、ステンレスやフェロタイプ等の金属基
板、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック基板
等が用いられる。しかし、本発明の主眼となる高度に光
学等方性、均一性の優れたフイルムを製膜するには鏡面
仕上げした金属基板が最も一般的に用いられる。
【0033】本発明のキャスト時のドープ温度は、10
〜60℃、好ましくは30〜50℃の範囲で行われる。
平滑性の優れたフイルムを得るためにはダイから押し出
された溶液が支持体上で流延・平滑化する必要がある。
この際キャスト時のドープ温度が高すぎると平滑になる
前に表面が乾燥・固化が起きるため好ましくない。
【0034】また、上記ドープは通常室温以上溶媒の沸
点以下で保存されるが、40℃以上60℃以下の温度で
保存することが好ましい。
【0035】(2)前乾燥工程は、出来るだけ短時間に
支持体上に流延された溶液から大部分の溶媒を蒸発除去
する必要がある。しかしながら、急激な蒸発が起こると
発泡による変形を受けるために、乾燥条件は慎重に選択
すべきである。本発明においては、30〜130℃、好
ましくは40〜120℃の範囲で乾燥される。この際、
この温度の範囲で逐次または連続的に昇温乾燥を行う
と、高度な平滑性を失わずに効率的な乾燥が出来る。
【0036】また、乾燥を効率的に行うために、風を送
ってもよい。一般に風速は、20m/秒以下、好ましく
は15m/秒以下の範囲が用いられる。それ未満では効
果が十分でなく、逆にそれを越えると風の擾乱のために
平滑面が得られないために好ましくない。この際、乾燥
工程の初期段階では風速を押え、逐次的ないしは連続的
に風速を増す方法が好ましく用いられる。
【0037】この段階ではフイルムは支持体上にあり、
この工程の最後に支持体から剥離される。その際に残留
溶媒量が高いとフイルムが柔らかいためにフイルム内で
ポリマーの流動変形が起きる。一般には、その残留溶媒
量は5〜25重量%、好適には5〜20重量%、さらに
好適には10〜20重量%の範囲が選択される。
【0038】(3)後乾燥工程においては、支持体から
剥離したフイルムを更に乾燥し、残留溶媒量を下げる。
最終残留溶媒量は3重量%以下、好ましくは2重量%以
下である。さらに好ましくは1重量%以下である。
【0039】この工程においては、フィルムは幅方向に
収縮可能な状態とする。すなわち、テンターでフィルム
の端部を支持する方式は採用しないことが望ましい。
【0040】一般にこの工程では、ピンテンター方式で
フイルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。しか
し、テンター方式では、フイルムの自重、溶媒の蒸発に
よる収縮、あるいは風圧等のためにフイルムに不均一に
力が加わる。でも巻取りのたこの力は、一見僅かなよう
ではあるが、参考例1で立証するように高度に光学等方
性が要求されるフイルムの製膜には無視出来ない。しか
も、この工程に入る段階では大量の残留溶媒を含むため
に、特に変形を受けやすい状況にあるからなおさらであ
る。
【0041】乾燥温度T(℃)は下記式(I)を満足す
る範囲で行う。参考例2(図1)で立証するようにポリ
カーボネートのガラス転移点は残留溶媒量に大きく依存
し、残留溶媒量の増加と共に顕著に低下する。それに伴
って、フイルムは著しく変形しやすくなる。このような
観点から、この工程での乾燥温度は特に厳密に制御する
必要があるからである。
【0042】本発明においては、乾燥温度を、
【0043】
【数5】 (Tg’−50℃)≦ T ≦ Tg’ ・・・(I) [但し、Tg’(℃)は残留溶媒を含むフイルムのガラ
ス転移点である。]の温度(T)範囲でそのTg’の推
移に合わせて連続的または逐次的に昇温して乾燥するこ
とによりこの目的が達成される。好ましくは、(Tg’
−20℃)≦T ≦ Tg’である。
【0044】ここにおいて、Tg’は残留溶媒量に依存
するばかりでなく溶媒の種類にも依存する。後乾燥工程
では、フイルムが搬送されていく過程で残留溶媒が減少
して行き、それに伴ってTg’は上昇して行く。従っ
て、この工程でフイルムの歪を生じさせずに効率的に乾
燥するためには、Tg’に併せて昇温させる。温度がT
g’−50℃未満では効率的に乾燥をすることが出来な
くなり好ましくない。逆にTg’を越えると歪が生じる
ために好ましくない。
【0045】また、温度は連続的に昇温させてもよい
が、設備的には3〜10段階、好ましくは4〜7段階に
分けてそのTg’に応じて逐次的に昇温する方法が好ま
しく採用される。この際、前乾燥工程同様に風を送るこ
とにより有利に乾燥することが好ましい。
【0046】またフイルム搬送速度は、特には限定はな
いが一般には、0.5〜15m/分、好ましくは1〜1
0m/分の範囲で行われる。
【0047】このように樹脂が溶媒を含んだ状態ではそ
のガラス転移点(Tg’)が低下する。一方、溶媒を含
んだ状態でフィルムを延伸すると溶媒を含まない場合と
同様、配向が生じるが、その配向量は溶媒の種類、含有
量により変化する。本発明のジオキソランまたはジオキ
ソランを主成分とする溶媒を含むポリカーボネートフィ
ルムの場合、延伸すると配向度(リターデーション値に
対応する)の延伸温度依存性は低く、同じ量の塩化メチ
レンを含むフィルムのそれと明らかに有利であり、この
ような状態で延伸することによりリターデーションのば
らつきの少ない位相差フィルムを製造する場合に有利に
利用することが出来る。(実施例13〜17)
【0048】よって、本発明方法によって得られたフィ
ルムを、該フィルム中の溶媒含有量が0.3〜5重量%
の状態、好ましくは0.5〜3重量%の状態で延伸する
ことにより、均質な位相差フィルムが得られる。
【0049】得られたフィルムの厚みは、特に制約はな
いが、一般には5〜500μm、好ましくは10〜30
0μmである。
【0050】また、本発明においては、上記フィルム製
造工程は空気中で行われてもよいし、窒素ガスあるいは
炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気中で行われてもよい。特
に前乾燥工程は、支持体上に流延された溶液から大部分
の溶媒を除去する必要があるため、安全性の面等から該
不活性ガス雰囲気中で実施するのが好ましい。
【0051】本発明によれば、フィルム面に対して垂直
な方向のレターデーション値(R0)およびそれに対し
てフィルムの遅相軸を傾斜軸として40°傾けて測定し
たレターデーション値(R40)が下記式(II)を満足す
る光学用ポリカーボネートフイルムが提供される。
【0052】
【数6】 (R40−R0)・104/Mw < 3.0 ・・・(II) 式中、Mwはポリカーボネートの粘度平均分子量を表
す。Mwは4万以上、20万以下であることが好まし
い。なお、粘度平均分子量は、前述の方法で求めた値で
ある。
【0053】(R40−R0)・104/Mwが3.0より
大きい場合はフィルムの位相差の角度依存性が大になり
やすく、特に液晶セル用基板としては光学的等方性に欠
け、同時に位相差フィルム用の原反としてもレターデー
ション値のばらつきが大きく好ましくない。
【0054】本発明のフィルムの膜厚には特に制約はな
いが、5〜500μm、好ましくは10〜300μmで
ある。ただし、多段キャスト法やラミネート法等の活用
により所望の膜厚の大きい製品をうることは可能であ
る。
【0055】この光学用ポリカーボネートフィルムは、
前述のドープを支持体に流延し、これを加熱して乾燥さ
せることにより製造することができる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、ジオキソランを主成分
とする溶媒にポリカーボネートを溶解して得られる、低
粘度で溶液粘度の上昇、にごりの発生のない、良好なポ
リカーボネートドープを使用することにより透明性に優
れ、光学異方性の低いポリカーボネートのフィルムを得
ることができる。
【0057】また、本発明によれば、ポリカーボネート
の溶液からフィルムをキャストする際、その乾燥条件を
厳密に制御することにより、光学等方性、均一性に優れ
た透明・平滑フィルムを得ることが出来る。
【0058】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳述する。実
施例中の測定項目は以下の方法で測定した。 残存溶媒量:試料を150℃で16時間乾燥し前後の重
量測定から求めた。 熱収縮量率:10cmの試料フィルムについて140
℃、30分加熱前後の長さを測定してもとめた。 ヘーズ値:島津製作所(株)製紫外可視分光器(UV−
240)を使用し測定した。 溶液粘度の測定:東京計器(株)B型粘度計BH型を使
用25℃で測定した。 ドープ安定性:それぞれの樹脂溶液を50mlの試料瓶
に密閉し室温で放置しその外観を観察し、その外観の変
化を次のように記載した。 ◎:3日間放置後、外観変化無し ×:3日間放置後、固化または白濁化 リターデーション:神崎製紙(株)製自動複屈折計(K
OBRA−21AD)を使用し590nmの可視光にお
ける複屈折値を測定した。
【0059】[実施例1]ビスフェノールAからの構成
単位よりなるポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製
パンライト、登録商標、L−1225、粘度換算分子
量 24,000)12重量部をジオキソラン88重量
部に加えて十分撹拌を行い、ドープを作成した。得られ
たドープを室温で放置し外観の変化を観測したが、ドー
プ作成後7日間粘度上昇は観測されず、流動性は保たれ
ているのが観測できた。
【0060】このドープ液を、ガラス板にクリアランス
0.4mmのドクターブレードで流延して、100℃に
て30分加熱処理を行い乾燥した処、透明なフィルムが
得られた。
【0061】[実施例2]ビスフェノールAからの構成
単位よりなるポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製
パンライト、登録商標、C−1400、粘度換算分子
量 37,000)12重量部を、ジオキソラン70重
量部と塩化メチレン18重量部に溶解したドープの保存
安定性を調べたところ、10日間の静置ではゲル状態へ
の変化が観測されなかった。このドープを用い実施例1
と同じ方法で製膜したところ透明なフィルムが得られ
た。
【0062】[実施例3]ポリカーボネート樹脂(帝人
化成(株)製 パンライト、登録商標、L−1225、
粘度換算分子量 24,000)15重量部を予めジオ
キソラン55重量部とジオキサン30重量部を混合して
均一となった溶媒に少しずつ加えてドープを作成した。
このドープの保存安定性を調べた処、1週間の保存でも
流動性が観測され、ゲル化の挙動は認められなかった。
得られたドープを用い実施例1と同じ方法で製膜を行
い、透明なフィルムを得た。
【0063】[実施例4] (ドープの作成)表1に示すポリカーボネート樹脂をジ
オキソランに加えて50℃で十分撹拌を行い、溶液を作
成した。こうして得られたポリカーボネート樹脂液の3
0℃における粘度をB型粘度計を用いて測定した。また
室温および50℃でそれぞれ放置し、3日後の外観の変
化を観察したが何れも安定で外観上の変化は認められな
かった。結果をまとめ表1に示す。
【0064】(フィルムの製造)表1中の *1 で示すビ
スフェノールAからの構成単位よりなるポリカーボネー
トを20重量%の濃度となるようにジオキソランに溶解
したドープを、60℃に保持したガラス板にクリアラン
ス0.8mmのドクターブレードで流延して、約2分間
放置後、80℃、風速0.9m/秒にて15分乾燥後得
られたフィルムをガラス基板から剥離し、130℃、風
速1m/秒にて30分加熱処理を行い乾燥した。こうし
て透明なフィルム(ヘーズ値 0.6)が得られた。こ
のフィルムのリターデーション値は4nmであった。
【0065】[比較例1] (ドープの作成)実施例1の操作を溶媒を塩化メチレン
に変更し25℃で撹拌溶解した以外全て同様に行った。
測定も同じ条件で行った。これらの結果を表1にまとめ
た。結果を見ると明らかなように、同条件で測定した溶
液粘度はジオキソラン溶液の約2倍であった。外観上の
変化は認められなかった。
【0066】(フィルムの製造)表1中の *1 で示すポ
リカーボネート(C―1400)を20重量%の濃度と
なるように塩化メチレンに溶解したドープから得られた
フィルムのヘーズ値は0.1であった。このキャスト時
の基板温度は20℃、初期の乾燥温度は40℃であっ
た。このフィルムのリターデーション値は6nmであっ
た。
【0067】
【表1】
【0068】[実施例5〜11,比較例2〜6] (ドープの製造)実施例1と同様に表2に示す各種組成
の溶媒に、表2に示す実施例1で使用した各種ポリカー
ボネートを表2に示す濃度溶解させそのドープの挙動を
観察した。溶媒の組成、ドープ粘度得られたドープの安
定性等について実施例1と同様な方法で測定した。その
結果を表2に示した。
【0069】(フィルムの製造)これらのドープを、ガ
ラス板にクリアランス0.8mmのドクターブレードで
流延して、80℃にて15分間加熱した。加熱後の残存
溶媒量を表3に示す。その後フィルムをガラス板から剥
離し表3に示す乾燥温度、時間で、巾方向に収縮可能な
状態で加熱処理を行い乾燥し、厚さ、約100μmのフ
ィルムを得た。こうして得られたフィルムの残存溶媒
量、ヘーズ値、リターデーション、その熱収縮率、フィ
ルムの濁度を測定し、それらの結果を表3に記載した。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】[参考例1]ビスフェノール−A由来のポ
リカーボネート(粘度平均分子量3.7×104)のポ
リカーボネートを塩化メチレンに溶解して20重量%の
溶液から、膜厚102μmのフイルムを作製した。
【0073】このフイルムについて種々の温度で引っ張
り試験を行い、弾性限界の範囲で強度(P)と伸度
(E)との比(P/E)を求めた。また対応する温度で
種々の伸度(E)に対応する位相差(Re)を測定し、
Re/Eを求めた。結果を表4に示す。
【0074】表4から明かなごとく、P/EおよびRe
/Eは温度に大きく依存した。特に、P/Eはフイルム
のガラス転移点(Tg’=158℃)に近づくと激減し
た。P/EとRe/Eの値から求めたRe/Pは逆にT
g’に近づくに従って急増した。Re/Pの値から、膜
厚10μm、1m幅のフイルムを巻き取る場合に、Re
を例えば10nm以下に抑えるために許される最大張力
(T)を求めることが出来る。表4から明かなように、
Tも温度がTg’に近づくに従って激減する。例えば、
100℃では20kgまで許されるのに対して、150
℃では僅か0.76kgの小さい力がかかると位相差1
0nmにまで達する。この結果は、残留溶媒を含まない
フイルムであるにもかかわらず、Tg’近傍では僅かな
力でも光学歪が生じることを示している。残留溶媒を含
むとTg’が大幅に低下するために更に微少の応力によ
り光学歪が生じる。
【0075】
【表4】
【0076】[参考例2]参考例1で用いたポリカーボ
ネートを塩化メチレン、1,3−ジオキソラン、1,4
−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、シクロヘキサ
ノンにそれぞれ溶解して、20重量%の溶液を調製し
た。これらの溶液から乾燥条件を変化させることにより
残留溶媒量の異なる膜厚100μmのフイルムを作製し
た。これらのフイルムのガラス転移点(Tg’)を図1
に示す。図から明かなごとくTg’は検討したすべての
フイルムについて残留溶媒量が増すに従って著しく低下
した。また、低下の程度は溶媒の種類に大きく依存し
た。
【0077】[実施例12]ビスフェノール−Aと2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
(モル比95/5)からなる粘度平均分子量4.4×1
4 のポリカーボネート共重合体を1,3−ジオキソラ
ンに溶解した20重量%溶液を用いて連続製膜を行っ
た。
【0078】キャステイング装置は、ダイからベルトへ
押出し、ベルトが4段階に区分された前乾燥炉に接続さ
れている方式を採用した。また、後乾燥炉はベルトから
剥離したフイルムが6段階に区分された炉を採用した。
この装置を用いて、キャストした後、前乾燥炉の温度を
逐次、40、80、90℃に昇温し、最後に40℃にし
て冷却した。そして、残留溶媒量が13.5重量%のフ
イルムにした。この段階でベルトからフイルムを剥離し
て後乾燥炉に送った。後乾燥炉の温度を残留溶媒量に応
じて40℃(残留溶媒量13.5%、Tg’=50
℃)、75℃(残留溶媒量5.5%、Tg’=91
℃)、100℃(残留溶媒量3.2%、Tg’=113
℃)、120℃(残留溶媒量1.2%、Tg’=141
℃)、140℃(残留溶媒量0.8%、Tg’=145
℃)に昇温して乾燥フイルムを得た。かくして得られた
フイルムの残留溶媒量は0.3重量%であった。厚みは
100±1.3μmであり極めて均質であった。また透
過率は91%であった。その位相差(Re)は17±2
nmであり極めて異方性およびその変動範囲の小さいフ
イルムであった。
【0079】[実施例13〜17]表5に示すポリカー
ボネート樹脂をジオキソランに加えて50℃で十分撹拌
を行い、15%濃度の溶液を作成した。室温に保持した
ポリカーボネート樹脂溶液を、60℃に保持したステン
レス基板にクリアランス0.8mmのドクターブレード
で流延して、約2分間放置後、90℃で10分間、12
0℃で20分間予備乾燥した後、基板よりフィルムを剥
離した後、、135℃で本乾燥を行った。得られたフィ
ルムの膜厚、残存溶媒量及びレターデーション値を測定
して(R40−R0)・104/Mwを求めた。結果を表5
に示す。表中、番号の末尾のアルファベットのAは予備
乾燥が終了段階の試料、同様に末尾のBは本乾燥終了の
試料を表す。
【0080】[実施例18]表5に示すポリカーボネー
ト樹脂をジオキソランに加えて50℃で十分撹拌を行
い、15%濃度の溶液を作成した。室温に保持したポリ
カーボネート樹脂溶液を、40℃に保持したステンレス
基板にクリアランス0.8mmのドクターブレードで流
延して、約2分間放置後、40℃で10min、80℃
で80min乾燥し、基板よりフィルムを剥離した。得
られたフィルムの膜厚、残存溶媒量及びレターデーショ
ン値を測定して(R40−R0)・104/Mwを求めた。
この実験では比較例と同じ初期温度で乾燥した。結果を
表5に示した。
【0081】[比較例7〜12]実施例18と同じ操作
を、溶媒を塩化メチレンに変更し25℃で撹拌溶解した
以外全て同様に行った。乾燥は40℃で10分間、80
℃で80分間、基板よりフィルムを剥離後本乾燥は13
0℃で1時間行った。そのた測定は実施例と同様に行っ
た。結果を表5にまとめた。
【0082】
【表5】
【0083】[実施例19]ビスフェノールAとビスフ
ェノールFL(5モル%)の共重合体(粘度平均分子量
3.7万)をジオキソランに溶解してドープを製作した
(樹脂濃度20重量%)。このドープを実施例4と同じ
方法でキャストしてフィルムを製作した。このフィルム
の残存溶媒量は0.9%であった。このようにして得ら
れたポリカーボネートフィルムを160℃、170℃、
180℃の各温度で1分間予備加熱をした後、縦一軸延
伸を行い、位相差フィルムを得た。得られた位相差フィ
ルムの複屈折特性を測定した結果を表6に示した。
【0084】本発明のポリカーボネートフィルムは、延
伸形成温度の変化によるレターデーションの変化量が小
さいため、該フィルムのレターデーションのバラツキは
小さく、例えば液晶表示装置に用いられる位相差フィル
ムとして良好に使用できる極めて均一な複屈折特性を有
するフィルムである。
【0085】
【表6】
【0086】[比較例13]実施例19で使用した共重
合体を塩化メチレンに溶解してドープを製作した(樹脂
濃度20重量%)。このドープを実施例4と同じ方法で
キャストしてフィルムを製作した。このフィルムの残存
溶媒量は2.5%であった。このようにして得られたポ
リカーボネートフィルムを使用し、実施例4と同様な方
法で、位相差フィルムを製造した。得られた位相差フィ
ルムの複屈折特性を測定した結果を表6に示した。
【0087】[実施例20]9,9−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フルオレンおよびビスフェノール−A
(モル比=25/75)をビスフェノール成分とするポ
リカーボネート樹脂(粘度平均分子量5.5×104
15重量部を1,3−ジオキソラン85重量部に加え
て、室温で10時間撹拌することにより、透明粘ちょう
な溶液を得た。この溶液のドープ粘度は30℃で4.1
×103 cpsであり高い溶液粘度を示した。この溶液
を光路長1cmの石英セルに入れて求めたヘイズ値は
0.4%であり極めて透明性が高かった。また、この溶
液を1週間室温で放置しても、そのヘイズ値は0.5%
であり、白濁現象やゲル化は認められなかった。
【0088】得られた溶液をドクターナイフを用いてス
テンレス基板上にキャストして、風速1m/秒の乾燥器
の中で90℃で20分、さらに177℃で60分で乾燥
して膜厚97μmの透明未延伸フイルムを得た。得られ
たフイルムの残留溶媒は0.33%であった。また、フ
イルムの光透過率は500nmの可視光で90.7%、
ヘイズ値は0.9%であり極めて透明性が高いものであ
った。また590nmの可視光で測定したリタデーショ
ン(Re)は<10nmであり、光学等方性が高いもの
であった。得られたフイルムの破断強度は7.1kg/
mm2 、破断伸度は95%、初期モジュラスは205k
g/mm2 であり極めて丈夫であった。
【0089】こうして得られた未延伸フイルムを202
℃で20%一軸延伸して配向フイルムを得た。この延伸
フイルムのReは520nmであり所望の複屈折性を示
すフイルムを得た。この遅相軸は延伸方向と一致し、正
の複屈折性を示すことが示された。また、この複屈折斑
は<10nmであり、きわめて複屈折斑が小さかった。
また、このフイルムのTgは197.1℃であり、高い
耐熱性を示した。
【0090】[実施例21]9,9−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フルオレンおよびビスフェノール−A
(モル比=40/60)をビスフェノール成分とするポ
リカーボネート樹脂(粘度平均分子量5.7×104
15重量部を1,3−ジオキソラン85重量部に加え
て、室温で10時間撹拌することにより、透明粘ちょう
な溶液を得た。この溶液のヘイズ値は0.5%であり極
めて透明性が高かった。また、この溶液を1週間室温で
放置しても、そのヘイズ値は変わらず、白濁現象やゲル
化は認められなかった。
【0091】得られた溶液をドクターナイフを用いてス
テンレス基板上にキャストして、風速1m/秒の乾燥器
の中で90℃で20分、さらに195℃で60分で乾燥
して膜厚97μmの透明未延伸フイルムを得た。得られ
たフイルムの残留溶媒は0.27%であった。また、フ
イルムの光透過率は90.3%、ヘイズ値は0.5%で
あり極めて透明性が高いものであった。またリタデーシ
ョン(Re)は<10nmであり、光学等方性が高いも
のであった。得られたフイルムの破断強度は7.6kg
/mm2 、破断伸度は90%、初期モジュラスは200
kg/mm2 であり極めて丈夫であった。
【0092】こうして得られた未延伸フイルムを220
℃で25%一軸延伸して配向フイルムを得た。この延伸
フイルムのReは480nmであり所望の複屈折性を示
すフイルムを得た。この遅相軸は延伸方向と一致し、正
の複屈折性を示すことが示された。また、この複屈折斑
は<10nmであり、きわめて複屈折斑が小さかった。
また、このフイルムのTgは214.5℃であり、高い
耐熱性を示した。
【0093】[実施例22]1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロヘキサンおよびビスフェノール−
A(モル比=40/60)をビスフェノール成分とする
ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量3.6×1
4 )20重量部を1,3−ジオキソラン80重量部に
加えて、室温で10時間撹拌することにより、透明粘ち
ょうな溶液を得た。
【0094】この溶液粘度は、30℃で1.9×103
cpsであった。この溶液のヘイズ値は0.6%であり
極めて透明性が高かった。また、この溶液を1週間室温
で放置しても、そのヘイズ値は変わらず、白濁現象やゲ
ル化は認められなかった。得られた溶液をドクターナイ
フを用いてステンレス基板上にキャストして、風速1m
/秒の乾燥器の中で90℃で20分、さらに147℃で
60分で乾燥して膜厚102μmの透明未延伸フイルム
を得た。得られたフイルムの残留溶媒は0.13%であ
った。また、フイルムの光透過率は91.0%、ヘイズ
値は0.7%であり極めて透明性が高いものであった。
またリタデーション(Re)は<10nmであり、光学
等方性が高いものであった。
【0095】こうして得られた未延伸フイルムを171
℃で延伸率15%一軸延伸して配向フイルムを得た。こ
の延伸フイルムのReは530nmであり所望の複屈折
性を示すフイルムを得た。また、この複屈折斑は<10
nmであり、きわめて複屈折斑が小さかった。また、こ
のフイルムのTgは166.5℃であり、高い耐熱性を
示した。
【0096】[実施例23]1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ンおよびビスフェノール−A(モル比=57/43)を
ビスフェノール成分とするポリカーボネート樹脂(粘度
平均分子量2.2×104 )28重量部を1,3−ジオ
キソラン72重量部に加えて、50℃で5時間加熱撹拌
することにより、透明粘ちょうな溶液を得た。この溶液
のドープ粘度は30℃で3.2×10 3 cpsであり高
い溶液粘度を示した。この溶液を光路長1cmの石英セ
ルに入れて求めたヘイズ値は0.3%であり極めて透明
性がかった。また、この溶液を1週間室温で放置して
も、溶液粘度もヘイズ値も変化しなかった。
【0097】得られた溶液をドクターナイフを用いてス
テンレス基板上にキャストして、50℃で10分、90
℃で10分間、120℃で10分間、160℃で60分
間加熱乾燥して98μmの透明未延伸フイルムを得た。
得られたフイルムの光透過率は500nmの可視光で9
2.0%、ヘイズ値は0.3%であり透明性は極めて高
いものであった。また、590nmの可視光で測定した
リタデーション(Re)は<10nmであり、光学等方
性が高いものであった。得られたフイルムの破断強度は
6.3kg/mm2 、初期モジュラスは196kg/m
2 であり極めて丈夫であった。また、ガラス転移点
(Tg)は207℃であり高い耐熱性を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で製造したフイルムのガラス転移点
(Tg’)と残留溶媒濃度との関係を示す。
【符号の説明】 A 塩化メチレンを溶媒として使用した場合。 B ジオキソランを溶媒として使用した場合。 C 1,2−ジクロロエタンを溶媒として使用した場
合。 D ジオキサンを溶媒として使用した場合。 E シクロヘキサンを溶媒として使用した場合。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G02F 1/1335 510 G02F 1/1335 510 // B29L 7:00 C08L 69:00 (72)発明者 新田 英昭 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社 東京研究センター内 (72)発明者 佐々木 毅 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社 東京研究センター内 (56)参考文献 特開 平2−191904(JP,A) 特開 昭51−79172(JP,A) 特開 平2−89006(JP,A) 特開 平4−201310(JP,A) 特開 平4−282212(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 41/00 - 41/52

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドープを支持体上に流延し、これを加熱
    して溶媒を蒸発させフィルムを製造する方法において、
    ジオキソランを60重量%以上含有する溶媒25〜15
    0重量部に対し、10重量部のポリカーボネートを溶解
    させたドープを支持体上に流延し、溶媒含有量が5〜2
    5重量%になるまで乾燥した後、フィルムを支持体から
    剥離し、巾方向に収縮可能な状態で、下記式(I)を満
    足する温度(T)の範囲でそのTg’の推移に合せて連
    続的または逐次的に昇温して乾燥することを特徴とする
    光学用ポリカーボネートフィルムの製造方法。 【数2】 Tg’−50℃≦T≦Tg’ ……(I) [Tg’(℃)は残留溶媒を含むポリカーボネートのガ
    ラス転移点である。]
  2. 【請求項2】 ポリカーボネートの粘度平均分子量が1
    0,000以上200,000以下である請求項1記載
    の光学用ポリカーボネートフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 溶媒がジオキソランを60重量%以上含
    有し、残りの成分がシクロヘキサノン、テトラヒドロフ
    ランおよびジオキサンからなる群より選ばれる少なくと
    も一種の有機溶媒である請求項l記載の光学用ポリカー
    ボネートフィルムの製造方法。
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