JP3300732B2 - 回転子の溝加工装置及び方法 - Google Patents

回転子の溝加工装置及び方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車輌用交流発電機等
の回転子の界磁コアの外周に設けられる渦電流損失低減
のための溝加工に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図16は従来の車輌用交流発電機を示す
断面図、図17は図16の回転子を示す側面断面図、図
18は同じく回転子を示す側面外形図である。図におい
て、1は充電発電機の回転軸、2はこの回転軸1に固着
された一対の界磁コア2a,2bからなる回転子であ
り、図17に示すように外周部に開口した環状の凹部2
cと、円周状に互いに異極を構成するごとく配設された
爪形磁極部2dを有する。3は上記環状の凹部2cに装
着された界磁コイル、4は上記界磁コア2b側面の回転
軸1上に設けられた給電用のスリップリングである。ま
た、21は発電機のリヤブラケットであり、外気の吸気
孔21a及び排気孔21bが設けられている。22はレ
クチファイヤ、23はレギュレータ23aを有するブラ
シホルダ、24a,bは界磁コア2a,bの側面に取り付
けられた遠心ファン、26は回転子2の外周部に配置さ
れた固定子であり、コア26aとコイル26bからなっ
ている。27は発電機のフロントブラケットで、27a
は外気の吸気孔、27bは排気孔である。28a,bは
回転軸1を支承する軸受である。
【0003】次に、上記発電機の動作について説明す
る。回転子2は固定子26の円周面上を空隙を介して回
転し、回転子2の発生する起磁力と空隙部の磁束変化に
より固定子26のコイル26aに電気が発生するもので
ある。この時、回転子の界磁コアの爪形磁極部2dの表
面(固定子26との対向面)に渦電流が発生するが、こ
の渦電流による損失を低減する目的で、図18に示すよ
うに、爪形磁極部2dの外周表面に溝2eを加工するこ
とが行なわれている。
【0004】次に、従来の渦電流損失低減用の溝加工方
法について説明する。図19において、回転軸押え5
a,bにより回転軸1の両端を支持し、界磁コアの爪形
磁極部2dの外周表面を溝転造用のローラ形状の転造ダ
イス6で押し付けて溝2eを形成する。この時、回転軸
1を中心にして転造ダイス6の180度反対方向に外周
フラットな面を有するローラ状のダイス7を配置し、転
造ダイス6の押し付け力を受圧して界磁コア2a,bを
保持している。
【0005】また、切削加工により溝を加工する場合を
図20に示す。図において、11は溝切りバイトであ
り、回転子2を回転させながら溝切りバイト11を界磁
コア2a,bの爪形磁極部2d外周面に当てて軸方向に
送ることにより、溝2eの加工を行なっていた。即ち、
当該加工溝は螺旋形状となり、回転子2を1周させる毎
に界磁コアの爪形磁極部2dに1本の溝が入っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の回転子の溝加工
は以上のようであり、図19に示した転造方法では押え
ダイス7のフラットな面により界磁コア2a,bに加わ
る転造ダイス6の押圧力を支持していたので、加工され
た溝2eの形状が潰れて溝深さが浅くなる等して、本来
溝付き回転子の持つ渦電流損失低減効果が減少する問題
点があった。更に、図21に示すように転造ダイス6を
界磁コア2a,bの爪形磁極部2dに押し付けると、爪
形磁極部2dは片持ち梁となるから、爪形磁極部2dの
先端部が図示M方向に大きく撓む。よって爪形磁極部2
dの根元は所定の深さの溝2eが加工されるが、爪形磁
極部2dの先端部に加わる力は少なくなり溝2eの深さ
も浅くなり、回転子の渦電流損失低減の効果が少なくな
る問題があった。
【0007】また、図20に示す切削加工方法では、1
本の溝切りバイト11で多数の溝2eを切削することと
なり、加工時間が長くなるとともに、溝切りバイト11
の寿命が短くなるので溝切りバイト11の取替え回数が
増える問題があった。
【0008】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、回転子の外周面に正確な溝を
形成するとともに、爪形磁極部の根元から先端まで均一
な深さの溝を作成することにより、渦電流損失低減効果
の減少を防ぐことを目的とする。また、切削加工では加
工時間の短縮を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の回転子の溝加
工装置の発明は、回転子を回転軸両端で支持する押え
と、回転子の界磁コア外周に溝を加工する転造ダイス
と、回転子に対して上記転造ダイスの反対側に配置され
た押えダイスを備え、上記押えダイスは上記転造ダイス
により作成された回転子の溝と合致するような溝付き形
状を有するものである。
【0010】請求項2の発明は、回転軸に固着される一
対の界磁コアを備え、その外周に互いに異極を構成する
ごとく配設された爪形磁極部を有する回転子の溝加工装
置であって、回転子を回転軸両端で支持する押えと、回
転子の溝を加工する転造ダイスと、上記転造ダイスの反
対側に配置され上記転造ダイスにより作成された回転子
の溝と合致するような溝付き形状を有する押えダイス
と、爪形磁極部を内側から保持する爪先保持具を備えた
ものである。
【0011】請求項3の回転子の溝加工方法の発明は、
転造ダイス及びこの転造ダイスの溝と合致するような溝
付き形状を有する押えダイスを回転子に対して互いに反
対側になるように設置し、上記転造ダイスにより回転子
の界磁コア外周に溝を加工する。
【0012】請求項4の発明は、回転子の界磁コア外周
に溝を転造加工後、界磁コアの外周表面を切削するもの
である。
【0013】請求項5の発明は、回転子の界磁コア外周
に溝を転造加工後、界磁コアの外周表面をローラで圧造
加工するものである。
【0014】請求項6の発明は、複数の刃を有する切削
工具により回転子の界磁コアの外周表面に溝を加工する
ものである。
【0015】請求項7の発明は、上記切削工具として複
数の刃がそれぞれ取替え可能な構成のもの、例えばスロ
ーアウェイチップ及びスペーサを備えた溝入れ用板バイ
ト、又はメタルソーの間にスペーサを挿入した組刃カッ
ター等を使用する。
【0016】
【作用】請求項1及び3の発明によれば、回転子の外周
への溝の転造加工の際に、回転子を受ける押えダイスの
外周面を回転子の加工溝形状に合致するような溝形状と
しているので、回転子の加工溝を潰すことがなくなり、
本来の渦電流損失低減効果が得られる。
【0017】請求項2の発明によれば、溝を転造加工す
る際に、界磁コアの爪形磁極部を内側から保持できるの
で、爪先が撓むことなく加工でき、爪形磁極部表面の根
元から爪先まで均一な溝形状を製作できる。
【0018】請求項4の発明によれば、転造加工によっ
て変形した回転子の外周形状を切削加工することによ
り、正確で均一な外周形状及び外周径が達成できるの
で、設計的に高精度なものを製作可能となる。
【0019】請求項5の発明によれば、転造加工によっ
て変形した回転子の外周表面を圧造ローラで圧造加工す
ることで、外周表面に盛り上がっていた肉を溝の側面へ
押しやることができ、溝の分だけ減っていた回転子外周
表面積をいくらかカバーでき出力減も最小限に抑えられ
る。
【0020】請求項6の発明によれば、複数の刃を有す
る切削工具で溝を切削加工するので、溝の加工時間が短
くなる。また、工具の寿命も延びるので工具交換の回数
が減り、加工時間が短くなる。
【0021】請求項7の発明によれば、複数の刃のそれ
ぞれを交換することができ、刃の節約が図れる。
【0022】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1を図について説明
する。図1は実施例1に係る回転子の溝の転造加工装置
及び方法を示すもので、図において、70は転造ダイス
6の押圧力を受けるための押えダイスであり、図2の要
部拡大図に示すように、転造により作成された界磁コア
の溝2eに合致するような溝付き形状70aを備えてい
る。また、上記押えダイス70は転造ダイス6と同じ材
料、例えば冷間金型用鋼材が使用される。なお、その他
の構成は従来装置と同様であるので説明を省略する。
【0023】このように構成された回転子の溝加工にお
いては、押えダイス70も転造された溝2eに合致する
溝付き形状70aを有するため、界磁コアの爪形磁極部
2d表面の溝2eを潰すことがなくなる。
【0024】実施例2.図3(a)(b)は実施例2に係る
回転子の溝の転造加工装置の平面図及びP視概略図を示
す。実施例1では転造ダイス6、押えダイス70をそれ
ぞれローラ形状としたが、本実施例に示すように共にラ
ック形状をした転造ダイス61、押えダイス71を使用
しても良い。
【0025】実施例3.本実施例では、上記実施例1,
2により界磁コアの爪形磁極部2d表面に溝2eを転造
加工した後、図4に示すように当該転造加工により盛り
上がった界磁コア爪形磁極部2dの外周表面上の肉2f
を切削工具9により切削加工する。これにより、変形し
た界磁コア2の外周表面形状を均一にすることができ、
転造ダイス6,61を押し付ける力で爪先が歪むことに
より不均一になった外周径も整えることができる。
【0026】実施例4.上記実施例3では転造加工によ
り盛り上がった界磁コア2a,bの外周表面上の肉2f
を切削加工することにしたが、図5に示すように溝2e
のできた界磁コア2a,b外周表面上にフラットな表面
を有する圧造ローラ10を押し当てて(図5(a))圧造
する。これにより、界磁コア2a,bの外周表面上にあ
った肉2fを溝2eの側面2gへ押しやることができる
(図5(b))。その結果、溝2eの幅分減少していた界
磁コア2a,bの外周表面積2hを幾分か取戻すことが
できる(図5(c))。
【0027】実施例5.上記実施例4において、圧造ロ
ーラ10の外周表面をフラットであるとしたが、図6
(a)〜(c)に示すように盛り上がった肉部2fを左右に
押しやる凸部11aを有するローラ11にて成形した
後、実施例4に示したフラットな圧造ローラ10により
成形しても良い。本実施例によれば界磁コア2a,b外
周表面上の肉2fを的確に溝2eの側面2gに押しやる
ことができる。
【0028】実施例6.図7は実施例6に係る回転子の
溝加工装置を示す側面図であり、図8は実施例6の要部
拡大側面図である。図において、1〜6及び70は図1
と同様である。8a,bは界磁コア2a,bの谷部を通っ
て図12のように爪形磁極部2dの内側を保持する爪先
保持具である。このように構成される回転子の溝加工に
おいては、界磁コアの爪形磁極部2dの内側を支持して
いるので、転造ダイス6及び押えダイス70により界磁
コア2a,bの外周を押え付けても、爪形磁極部2dの
爪先が内側へ撓まなくなり、爪形磁極部2d表面の根元
から爪先まで均一な溝形状を作成することができる。
【0029】実施例7.図9は実施例7に係る回転子の
溝加工装置を示す側面図であり、図10は実施例7に使
用される切削工具である。図において、12は切削工
具、例えばネジ切りバイトである。この切削工具12は
図10に示すように一度に界磁コアの溝2eを数本切れ
るように複数の刃部12aを有し、回転子2を回転させ
ながら切削工具12を軸方向に送る。この場合切削され
た溝2eは螺旋形状となる。切削方法としては、図11
に示すように切削工具12の全ての刃部12aが毎回新
しい溝2eを削って行く方法がある。例えば図11にお
いて、切削工具12にN本の刃が相互に距離mをもって
設けられている場合、切削工具12を回転子の1回転当
りN×mの距離だけ軸方向に送れば、回転子2を1周さ
せる毎に1ピッチmの溝2eが一度にN本分作成でき
る。また、図12に示すように、切削工具12の刃部1
2aが切削済の古い溝にラップするように切削制御して
も良い。本実施例では、従来のように1本ずつ溝2eを
削るのに比べ、加工時間が短縮でき、切削工具12の寿
命が延びるので取替え回数も減る。
【0030】実施例8.実施例7では切削工具12とし
てネジ切りバイトを使用したが、図13に示すようにス
ローアウェイチップ13a、スペーサ13bを備えた溝
入れ用板バイト13を使用しても良い。この場合、一本
のスローアウェイチップ13aに欠陥が生じた場合、そ
のチップ13aのみを交換するだけで良い。
【0031】実施例9.実施例7,8では切削工具とし
てネジ切りバイト,溝入れ用板バイトを使用することと
したが、図14に示すように、メタルソー14aの間に
スペーサ14bを挿入して適当なピッチの組刃カッター
14を構成し、図15に示すようにワークである回転子
2及び組刃カッター14を回転させることで、回転子外
周をコンタリング加工しても良い。
【0032】
【発明の効果】請求項1及び3の発明によれば、回転子
の外周への溝の転造加工の際に、回転子を受ける押えダ
イスの外周面を回転子の加工溝形状に合致するような溝
形状としているので、回転子の加工溝を潰すことがなく
なり、本来の渦電流損失低減効果が得られる。
【0033】請求項2の発明によれば、溝を転造加工す
る際に、界磁コアの爪形磁極部を内側から保持できるの
で、爪先が撓むことなく加工でき、爪形磁極部表面の根
元から爪先まで均一な溝形状を製作できる。
【0034】請求項4の発明によれば、転造加工によっ
て変形した回転子の外周形状を切削加工することによ
り、正確で均一な外周形状及び外周径が達成でき、設計
的に高精度なものを製作可能となる。
【0035】請求項5の発明によれば、転造加工によっ
て変形した回転子の外周表面を圧造ローラで圧造加工す
ることで、外周表面に盛り上がっていた肉を溝の側面へ
押しやることができ、溝の分だけ減っていた回転子外周
表面積をいくらかカバーでき出力減も最小限に抑えられ
る。
【0036】請求項6の発明によれば、複数の刃を有す
る切削工具で溝を切削加工するので、溝の加工時間が短
くなる。また、工具の寿命も延びるので工具交換の回数
が減り、加工時間が短くなる。
【0037】請求項7の発明によれば、複数の刃のそれ
ぞれを交換することができ、刃の節約が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1に係る回転子の溝加工を
示す側面外形図である。
【図2】 実施例1の溝加工の要部拡大図である。
【図3】 実施例2の回転子の溝加工を示す平面図及び
P視概略図である。
【図4】 実施例3の回転子の溝加工を示す要部拡大図
である。
【図5】 実施例4の回転子の溝加工を示す要部拡大図
である。
【図6】 実施例5の回転子の溝加工を示す要部拡大図
である。
【図7】 実施例6の回転子の溝加工を示す側面外形図
である。
【図8】 実施例6の回転子の溝加工を示す要部拡大図
である。
【図9】 実施例7の回転子の溝加工を示す側面外形図
である。
【図10】 実施例7に使用される切削工具を示す図で
ある。
【図11】 実施例7の切削方法の一例を説明するため
の図である。
【図12】 実施例7の切削方法を他例を説明するため
の図である。
【図13】 実施例8に使用される切削工具を示す図で
ある。
【図14】 実施例9に使用される切削工具を示す図で
ある。
【図15】 実施例9の切削方法を示す外形側面図であ
る。
【図16】 従来の車輌用交流発電機を示す断面図であ
る。
【図17】 図16の回転子を示す側面断面図である。
【図18】 図16の回転子を示す側面外形図である。
【図19】 従来の回転子の転造による溝加工を示す側
面外形図である。
【図20】 従来の回転子の切削により溝加工を示す側
面外形図である。
【図21】 従来の回転子の溝加工を示す要部拡大図で
ある。
【符号の説明】
1 回転軸、2 回転子、2a,b 界磁コア、2d
爪形磁極部、2e 溝、2f 肉、3 界磁コイル、4
スリップリング、5a,b 回転軸押え、6,61 転
造ダイス、70,71 押えダイス、70a 溝付き形
状、8a,b爪先保持具、9 切削工具、10 圧造ロ
ーラ、11 ローラ、12 切削工具、13 溝入れ用
板バイト、14 組刃カッター。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 15/02 H02K 19/22

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転子を回転軸両端で支持する押えと、
    回転子の界磁コア外周に溝を加工する転造ダイスと、回
    転子に対して上記転造ダイスの反対側に配置された押え
    ダイスを備え、上記押えダイスは上記転造ダイスにより
    作成された回転子の溝と合致するような溝付き形状を有
    することを特徴とする回転子の溝加工装置。
  2. 【請求項2】 回転軸に固着される一対の界磁コアを備
    え、その外周に互いに異極を構成するごとく配設された
    爪形磁極部を有する回転子の溝加工装置であって、回転
    子を回転軸両端で支持する押えと、回転子の溝を加工す
    る転造ダイスと、上記転造ダイスの反対側に配置され上
    記転造ダイスにより作成された回転子の溝と合致するよ
    うな溝付き形状を有する押えダイスと、上記爪形磁極部
    を内側から保持する爪先保持具を備えたことを特徴とす
    る回転子の溝加工装置。
  3. 【請求項3】 転造ダイス及びこの転造ダイスの溝と合
    致するような溝付き形状を有する押えダイスを回転子に
    対して互いに反対側になるように設置し、上記転造ダイ
    スにより回転子の界磁コア外周に溝を加工することを特
    徴とする回転子の溝加工方法。
  4. 【請求項4】 請求項3により回転子の界磁コア外周に
    溝を転造加工後、界磁コアの外周表面を切削することを
    特徴とする回転子の溝加工方法。
  5. 【請求項5】 請求項3により回転子の界磁コア外周に
    溝を転造加工後、界磁コアの外周表面をローラで圧造加
    工することを特徴とする回転子の製造方法。
  6. 【請求項6】 複数の刃を有する切削工具により回転子
    の界磁コアの外周表面に溝を加工することを特徴とする
    回転子の溝加工方法。
  7. 【請求項7】 上記切削工具は複数の刃がそれぞれ取替
    え可能な構成になっていることを特徴とする請求項6記
    載の回転子の溝加工方法。
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