JP3314672B2 - 湿式摩擦材の表面処理方法 - Google Patents

湿式摩擦材の表面処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に用いられる
湿式摩擦材の表面処理方法に係り、更に詳細には、湿式
摩擦材の表面に鋼板を押し当て、所定時間振動させる湿
式摩擦材の表面処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、湿式クラッチは、自動車、二
輪車及び農業機械等の原動機からの出力を伝達する媒介
の一つとして使用されている。近年、自動車分野では自
動変速機の開発が進み、伝達容量の増大、メンテナンス
フリー化など、各部品に要求される基準が高いものとな
ってきている。そして、かかる湿式摩擦材の中でもロッ
クアップ摩擦材については最も良い摩擦特性が求められ
る部品のひとつとなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、湿式摩
擦材は、繊維成分、充填剤、摩擦摩耗調整剤などを抄造
したものに、結合樹脂を含浸・硬化させたものとなって
おり、繊維成分を主体とした樹脂含浸体であるために、
その表面には微少な凹凸があり、製品完成時の初期の状
態では相手材とのあたり(いわゆるなじみ)が出にく
い。
【0004】従って、このような従来の湿式摩擦材にあ
っては、初期からの良い摩擦特性は得られにくいものに
なってしまうという課題があった。また、特に、ロック
アップ摩擦材については、耐久性は勿論のことである
が、初期からの優れた摩擦特性が要求される部品であ
り、この点で改善の余地があった。
【0005】本発明は、このような従来技術の有する課
題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、従来の摩擦材に比べ、更に初期から安定した摩擦係
数を有し、相手材とのなじみの迅速性に優れる湿式摩擦
材を実現する湿式摩擦材の表面処理方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果、湿式摩擦材の表面に所
定面圧で鋼板を押し当て、所定時間振動させることによ
り、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0007】即ち、本発明の湿式摩擦材の表面処理方法
は、繊維成分、充填材、摩擦摩耗調整剤及び結合樹脂を
含有して成る湿式摩擦材を表面処理するに当たり、上記
湿式摩擦材の表面に鋼板を0.5〜10MPaの面圧で
押し当てた状態で、この湿式摩擦材及び/又は鋼板を上
記押し当て方向とほぼ垂直な方向に、200〜300H
zの振動数で5〜40秒間振動させることを特徴とす
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の湿式摩擦材の表面
処理方法について詳細に説明する。本表面処理方法は、
上述の如く、板状の湿式摩擦材の表面に鋼板を押し当
て、そのままの状態で、鋼板及び/又は湿式摩擦材を上
記押し当て方向とほぼ垂直な方向、即ち湿式摩擦材の表
面と平行な方向に、所定振動数で所定時間振動させるも
のである。
【0009】ここで、鋼板を押し当てる際の面圧は、
0.5〜10MPaとする。面圧が、0.5MPa未満
では、本発明の意図する表面処理効果が得られないこと
がことがあるか、又は処理時間が長時間となるため、実
用的でない。他方、面圧が10MPaを超えると、得ら
れる湿式摩擦材の摩擦特性や耐久性の性能に悪影響を与
えることがあり、好ましくない。
【0010】また、振動は、鋼板又は湿式摩擦材及び両
者を変位させることによって行うことが可能であるが、
通常は、鋼板を変位させて行う。この際、振動数は、2
00〜300Hzとする。振動数が200Hz未満で
も、表面処理効果は得られるが、長い処理時間を必要と
するため、低面圧と同様に実用的でない。
【0011】更に、振動時間については、湿式摩擦材の
材質や面圧、振動数に応じて適宜変更できるが、上述の
面圧0.5〜10MPa、振動数200〜300Hzの
条件下においては、処理効果を十分に発揮させることの
できる5〜40秒とする。
【0012】また、湿式摩擦材を構成する繊維成分、充
填材、摩擦摩耗調整剤及び結合樹脂については、従来公
知の材料を用いることができ、繊維成分としては、リン
ターパルプ、木材パルプ、アクリル繊維、ポリアミド繊
維の如き有機繊維、また、ガラス繊維、カーボン繊維、
金属繊維の如き無機繊維など、充填材としては、炭酸カ
ルシウム、珪藻土など、摩擦摩耗調整剤としては、グラ
ファイト、カシューダスト、二硫化モリブデンなど、結
合樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラ
ミン樹脂、シリコーン樹脂などを例示できる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定され
るものではない。
【0014】(実施例1)繊維成分としてのセルロース
繊維、芳香族ポリアミド繊維、充填剤としての珪藻度
土、及び摩擦調整剤としてのカーボングラファイトをそ
れぞれ40、20、30、10重量%を含有して成る抄
紙体に、レゾールフェノール樹脂を35重量%含浸・硬
化させ、図1に示すように、径133mm、幅10mm
のリング状湿式摩擦材を得た。
【0015】この湿式摩擦材に、振動溶着機を用いて、
1辺が200mmの正方形の鋼板を面圧5.0(MP
a)となるように図1のA方向に押し当てるとともに、
この鋼板を矢印B−B’の方向に振動数240(Hz)
で30秒間振動させることにより、湿式摩擦材に表面処
理を施し、実施例1の湿式摩擦材を得た。表面処理条件
を表1に示す。
【0016】(実施例2)面圧を8.0(MPa)とし
た以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の湿
式摩擦材を得た。
【0017】(実施例3)振動数を200(Hz)とし
た以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の湿
式摩擦材を得た。
【0018】(実施例4)面圧を8.0(MPa)、処
理時間を5秒とした以外は、実施例1と同様の操作を繰
り返し、本例の湿式摩擦材を得た。
【0019】(比較例1)面圧を0.1(MPa)とし
た以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の湿
式摩擦材を得た。
【0020】(比較例2)面圧を15(MPa)とした
以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の湿式
摩擦材を得た。
【0021】(比較例3)振動数を20(Hz)とした
以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の湿式
摩擦材を得た。
【0022】(比較例4)処理時間を3秒とした以外
は、実施例4と同様の操作を繰り返し、本例の湿式摩擦
材を得た。
【0023】(試験評価)実施例及び比較例において得
られた湿式摩擦材について、低速摩擦試験機(JASO
M349−95)を用い、下記の条件下で初期の摩擦
係数の測定を行った。また、100rpm時のμ(μ10
0)と50rpm時のμ(μ50)との比較をすることに
より摩擦線図の傾きを求め、性能の比較を行った。得ら
れた結果を表1に併記する。なお、摩擦材の性能として
は、μ値は高い方が良く、また、回転数の上昇に従って
μ値が一定し又は上昇することが望ましい(回転数−μ
線図の傾きが0又は正)。
【0024】 試験条件 温度: 40℃ 面圧: 0.91MPa
【0025】
【表1】 表1に示したように、実施例1及び2においては、面圧
を変化させたが、いずれの場合も摩擦材のなじみが進ん
でおり、μ100が高く、また摩擦線図の傾きも正勾配と
なった。これに対して、面圧が低すぎる場合には、比較
例1のように、良好な摩擦特性は得られないことが確認
された。また、比較例2のように、面圧が高すぎる場合
においては、孔のつぶれ等が発生するため、良好な摩擦
特性は得られず、この場合、耐久寿命に悪影響を及ぼす
ことも考えられる。
【0026】実施例3及び4においては、それぞれ実施
例1及び2に対し、表面処理条件のうち振動数及び処理
時間を変化させたが、いずれの場合も、実施例1及び2
程ではないものの、摩擦材のなじみが進んでおり、μ10
0が高く、また摩擦線図の傾きはほぼフラットとなり、
処理効果の発現が見られた。これに対して、振動数が小
さすぎる場合と処理時間が短かすぎる場合については、
表面処理が不十分となり、それぞれ比較例3及び比較例
4のように、良好な摩擦特性は得られなかった。
【0027】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、湿式摩擦材の表面に所定面圧で鋼板を押し当て、所
定時間振動させることとしたため、従来の摩擦材に比
べ、更に初期から安定した摩擦係数を有し、相手材との
なじみの迅速性に優れる湿式摩擦材を実現する湿式摩擦
材の表面処理方法を提供することができる。
【0028】即ち、繊維成分、充填剤、摩擦摩耗調整剤
及び結合樹脂を含む湿式摩擦材の表面に鋼板を0.5〜
10MPaの面圧で押し当てたまま、200〜300H
zの周波数で5〜40秒間振動させる表面処理を施すこ
とにより、摩擦材の表面が平滑化され、なじみがでるた
め、短時間の処理で初期から良好な摩擦特性が得られ、
且つ品質の安定した摩擦材とすることができる。また、
本表面処理法によれば、相手鋼板の表面性や振動ストロ
ークを変化させることにより、様々な摩擦材に対応した
処理条件を設定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湿式摩擦材の表面処理方法を示す斜視
説明図である。
【符号の説明】
1 摩擦材 2 鋼板
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−78331(JP,A) 特開 昭61−103022(JP,A) 特開 昭58−203010(JP,A) 特開 昭58−136677(JP,A) 特開 平6−33960(JP,A) 特開 平5−16161(JP,A) 特表 平6−500745(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 69/02 F16D 69/00 C09K 3/14 520

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維成分、充填材、摩擦摩耗調整剤及び
    結合樹脂を含有して成る湿式摩擦材を表面処理するに当
    たり、 上記湿式摩擦材の表面に鋼板を0.5〜10MPaの面
    圧で押し当てた状態で、この鋼板又は湿式摩擦材及び両
    者を上記押し当て方向と垂直な方向に、200〜300
    Hzの振動数で5〜40秒間振動させることを特徴とす
    る湿式摩擦材の表面処理方法。
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