JP3348793B2 - 建築構造物用耐火鋼材の製造方法 - Google Patents

建築構造物用耐火鋼材の製造方法

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JP3348793B2 JP03977293A JP3977293A JP3348793B2 JP 3348793 B2 JP3348793 B2 JP 3348793B2 JP 03977293 A JP03977293 A JP 03977293A JP 3977293 A JP3977293 A JP 3977293A JP 3348793 B2 JP3348793 B2 JP 3348793B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、建築構造物に使用さ
れる鋼材に関し、とくに常温における強度、靭性および
溶接性などはJIS規格構造用鋼(SM490 など)と同
等の特性をもち、高温での耐力向上を図ったものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、建築構造用鋼材としては、JIS
G 3106「溶接構造用圧延鋼材」及びJIS G 31
14「溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材」などに規定されて
いる鋼材が使用されているが、この種の鋼材は 350℃以
上の高温にさらされると耐力が著しく低下するため、建
築物に火災が発生した場合でも、鋼材の温度が 350℃を
超えないように耐火被覆を施すことが義務づけられてい
る。
【0003】このような耐火被覆の実施は、施工コスト
を上昇させるだけでなく、支柱などの占有面積の増大を
招き、居住空間の有効利用を阻害する。そこでかような
耐火被覆処理の軽減または削減を可能とするため高温に
おいても高い耐力を有する鋼材の使用が種々検討されて
いる。しかしながら、従来の 1/2Mo鋼や 1Cr− 1/2Mo鋼
などの高温用鋼では常温強度が高すぎて加工性に難点が
あるだけでなく、溶接性もSM50などの構造用鋼に比べ大
幅に劣ることから、建築構造物としては適用できない。
【0004】また、特公昭56 -31867 号公報、特開平57
−140855号公報および特開平57−174435号公報などに上
記 1/2Mo鋼や 1Cr− 1/2Mo鋼などの合金元素量を低減し
て溶接性を改良した高温用鋼が提案されているが、これ
らの鋼も建築構造物用耐火鋼としては高温耐力が十分と
はいい難く、しかも常温強度が高く、溶接性に劣るとい
う欠点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、従
来の高温用低合金鋼に比べて溶接性に優れまた従来の
溶接構造用鋼よりも高温強度(特に降伏強さおよび耐
力)が高く、しかも常温強度、靭性、溶接性などは同等
の特性を有する建築構造物用耐火鋼材の製造方法を提案
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋼材の成分組成について鋭意研究を行っ
た。その結果、以下の知見をえた。 Mo,Nb 炭化物の析出強化により高温強度を高めること
ができ、かつその炭化物をより微細化することによって
高温強度を一層向上することができる。
【0007】圧延仕上温度が 950℃未満に低下すると
γ域でNb炭化物が粗大析出するが、このγ域で析出する
Nb炭化物は、高温強度の向上にほとんど効果がないこ
と、さらにその後のα域で析出する微細なNb炭化物の量
を減少させること、またα域で析出するMo,Nb 炭化物の
析出核となり析出物サイズが大きくなることにより、結
果的に高温強度を低下させる。そこで、圧延仕上温度を
950℃以上とし、 950℃未満の冷却を急冷することによ
って、γ域で析出するNb炭化物の析出が防止でき、それ
による高温強度の低下が防止できる。
【0008】800 〜600 ℃間のα変態温度域を急冷す
ることにより、変態温度が低下し、その結果α変態後の
冷却中および再加熱時に析出する炭化物がより微細析出
すため、高温強度が一層向上する。 圧延後の加速冷却を適正温度で停止することにより、
高温強度を低下させることなく、およびによって生
じる常温強度の過大化を抑制することができる。
【0009】本発明は上記知見に立脚するものである。
すなわち、 本発明は、重量%として、C: 0.03 〜0.
15%、Si: 0.01 〜0.60%、Mn:0.40〜1.20%、Mo:0.
15〜0.60%、Nb: 0.005〜0.100 %、Al:0.050 %以
下、N: 0.0010 〜0.060 %を含み、残部がFe及び不可
避的不純物からなり、かつ下記式の値A(%)が0.60
1.60の範囲を満足する鋼材を1050〜1300℃に加熱し、つ
いで熱間圧延を 950℃以上の温度で終了した後、直ちに
750 〜600℃の温度範囲まで急冷し、その後空冷するこ
とを特徴とする建築構造物用耐火鋼材の製造方法であ
り、ここで、 A(%)=Mn+Cr+Cu+Ni+ 500B であり、また本発明は、重量%として、C: 0.03 〜0.
15%、Si: 0.01 〜0.60%、Mn:0.40〜1.20%、Mo:0.
15〜0.60%、Nb: 0.005〜0.100 %、Al:0.050%以
下、N: 0.0010 〜0.060 %を含み、さらにCu:0.50%
以下、Ni:0.40%以下、Cr:0.80%以下、B:0.0030%
以下、Ti: 0.005〜0.03%、REM: 0.001〜0.020 %
から選ばれた少なくとも一種以上を含有し、残部がFe及
び不可避的不純物からなり、かつ下記式の値A(%)が
0.60〜1.60の範囲を満足する鋼材を1050〜1300℃に加熱
し、ついで熱間圧延を 950℃以上の温度で終了した後、
直ちに750 〜600 ℃の温度範囲まで急冷し、その後空冷
することを特徴とする建築構造物用耐火鋼材の製造方法
であり、ここで、 A(%)=Mn+Cr+Cu+Ni+ 500B である。
【0010】
【作用】まず、本発明において、成分組成を上記の範囲
に限定した理由について説明する。 C: 0.03 〜0.15% Cは、所定の強度を確保するために添加するが、0.03%
未満ではその添加効果が小さく、一方、0.15%を越える
と溶接性、靭性が劣化するため、 0.03 〜0.15%の範囲
に限定した。
【0011】Si: 0.01 〜0.60% Siは製鋼時の脱酸剤及び常温強度向上元素として添加す
るが、0.01未満ではその効果が小さく、一方、0.60%を
超えると溶接HAZ靭性が劣化するので 0.01〜0.60%
の範囲とした。 Mn:0.40〜1.20% Mnは常温強度確のために少なくとも0.40%以上必要とす
るが、Mo共存下におけるMnの多量添加は常温強度が高く
なりすぎるだけでなく、溶接性も劣化すのでMnは0.40〜
1.20%の範囲に限定した。
【0012】Mo:0.15〜0.60% Moは高温強度の向上に極めて有効な元素であり、その効
果を発揮させるためには少なくとも0.15%以上を必要と
するが、0.60%を超えると溶接性、靭性に悪影響を及ぼ
すだけでなく、常温強度が高くなりすぎるので、0.15〜
0.60%の範囲とした。
【0013】Nb: 0.005〜0.100 % Nbは常温強度、高温強度の向上に有効な元素であり、こ
の効果を発揮させるためには、少なくとも 0.005%を必
要とするが、0.100 %を超えると溶接性及び靭性の劣化
を招くので、 0.005〜0.100 %の範囲に限定した。 Al:0.050%以下 Alは脱酸元素として活用するとともに、鋼中のフリーN
を固定し靭性向上に有効であるが、0.050 %を越えると
靭性を低下させるので、0.050 %以下に限定した。
【0014】N:0.0010〜0.0060% Nは不可避的不純物として鋼中に含まれるものである
が、Tiと結合しTiN を形成して、溶接HAZの結晶粒粗
大化を抑制するのでHAZ靭性の向上に効果を発揮す
る。このため最少量として0.0010%必要であるが、0.00
60%を越えて過剰に含有するとHAZ靭性が著しく低下
するので、0.0010〜0.0060%の範囲に限定した。
【0015】Cu:0.50%以下 Cuは常温強度を向上させるが、0.50%を越えると常温強
度を過剰に上昇させるだけでなく、熱間加工性を劣化さ
せるので、0.50%以下に限定した。 Ni:0.40%以下 Niは強度と靭性を向上させるために添加するが、0.40%
を越えると常温強度が高くなりすぎ、また経済的にも高
価となるため0.40%以下とした。
【0016】Cr:0.80%以下 Crは常温強度および高温強度を向上させる元素である
が、0.80%を越えると常温強度が高くなりすぎるととも
に溶接性の劣化を招くので、Crは0.80%以下に限定し
た。 B:0.0030%以下 Bは焼入性を高め常温強度および高温強度を向上させる
が、0.0030%超の添加は溶接性、HAZ靭性の劣化を招
くだけであるので、0.0030%以下に限定した。
【0017】Ti:0.005 〜0.03% Tiは大入熱溶接HAZの靭性向上に有効に寄与するが、
0.005 %未満ではその効果が小さく、一方、0.03%越え
になるとかえってHAZ靭性が低下するので0.005 〜0.
03%の範囲に限定した。
【0018】REM :0.001 〜0.020 % REM は大入熱溶接HAZの靭性向上に有効に寄与する
が、0.0010%未満ではその効果が小さく、一方、0.0200
%越えになると清浄性が著しく低下するので0.001 〜0.
020 %の範囲に限定した。 P: 0.020%以下、S: 0.015%以下 P、S、は不可避的不純物として含有されるが、鋼材の
延靭性を低下させ溶接HAZ靭性を低下させるのででき
るかぎり低減するのが好ましいが、Pは 0.020%、Sは
0.015%以下であれば許容できる。
【0019】なお、この発明においては各成分について
上記の範囲を満足するだけでは不十分であり、高温強度
を確保し、かつ常温強度をJIS規格溶接構造用SM400
、SM490 などと同等にするためには、Mnを含めてNi,C
u,Cr, Bの5成分の量を調整する必要がある。図1に、
常温および 600℃における耐力と(Mn+Cr+Cu+Ni+ 5
00B)量との関係を示す。同図から明らかなように(Mn
+Cr+Cu+Ni+ 500B)量が0.60〜1.60の範囲にある場
合においてのみ、常温強度および高温強度とも満足な強
度が得られる。そこで A(%)=Mn+Cr+Cu+Ni+ 5
00B を0.60〜1.60の範囲に限定した。
【0020】次に圧延及び加速冷却条件について説明す
る。 加熱温度:1050〜1300℃ 0.005 %以上のNbを十分に溶体化するには少なくとも10
50℃の加熱温度が必要であるが、一方1300℃超では結晶
粒が粗大化して靭性が低下するので、加熱温度は1050〜
1300℃の範囲とした。
【0021】熱間仕上温度: 950℃以上 圧延温度が 950℃以下に低下すると圧延中のγ域でNb炭
化物が粗大析出し高温耐力を低下させるので仕上温度を
950℃とした。 圧延後の冷却速度 圧延後の冷却は加速冷却を行うが、1 ℃/S以上の冷却
速度が望ましい。こうすることにより 950℃以上で圧延
終了後のγ域でのNb炭化物の析出を防止できる。また、
800℃以下のα変態域を急冷することにより、α変態温
度を 750℃以下に低下し、Nb、Mo炭化物がより微細に析
出する基地組織が得られる。
【0022】冷却停止温度: 750〜 600℃ 冷却停止温度の低下とともに常温強度、高温強度はとも
に上昇する。冷却停止温度が 750℃以上より高いと十分
な常温強度、高温強度が得られない。一方、 600℃を下
回ると常温強度が高くなりすぎるとともに、鋼板の残留
応力および歪が大きくなるので、冷却停止温度は 750〜
600℃の範囲に限定した。
【0023】なお上記のようにして得られた鋼材は、A
c1変態点以下の温度で焼もどししても、常温強度および
高温強度の低下はない。
【0024】
【実施例】表1に示す種々の化学組成(記号A〜K)の
鋼を1100〜1250℃に加熱し、表2に示す種々の条件で熱
間圧延、急冷処理を施した後、空冷した。得られた鋼材
の常温および 600℃における引張特性を表2に示した。
表1中のA〜H鋼が本発明による鋼で、I〜K鋼が比較
鋼である。K鋼は通常の溶接構造用圧延鋼材SM 490で
あるが、高温での耐力低下が著しい。また、I鋼は、本
発明の範囲に対してC量が高すぎる鋼であるが、常温強
度が高くなりすぎ、SM 490鋼の常温規格の上限(YS≦
421MPa,TS≦ 608MP)を超過している。さらにJ鋼は
(Mn+Cr+Cu+Ni+ 500B)含有量が2.02%と適正範囲
の上限を越える鋼であり、高温強度は良好であるが、常
温強度が高くなりすぎている。
【0025】また、A5,A6,A7は成分組成は適正
範囲であるものの、圧延仕上温度、冷却処理、さらに冷
却適正範囲からはずれているため、常温強度が高くなり
すぎたり、強度が不足している。これに対し、A1〜A
4,B〜H鋼はいずれも高温での耐力低下が少なく(YS
600 /YSRT≧60%)、また 600℃の高温においてYS600
≧ 157MPa の高い強度が得られている。しかも常温強度
は現行のSM 400〜 490級鋼と同レベルであり、建築構
造物用耐火鋼材として優れた鋼であることがわかる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】本発明により、建築構造物に使用される
鋼材として、常温特性が従来の溶接構造用圧延鋼材と同
等であって、しかも高温における耐力低下が小さい耐火
鋼材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】常温および 600℃における耐力と(Mn+Cr+Cu
+Ni+ 500B)量との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天野 虔一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究本部内 (56)参考文献 特開 平4−308033(JP,A) 特開 平5−59433(JP,A) 特開 平2−254134(JP,A) 特開 平3−6322(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%として、C: 0.03 〜0.15%、S
    i: 0.01 〜0.60%、Mn:0.40〜1.20%、Mo:0.15〜0.6
    0%、Nb: 0.005〜0.100 %、Al:0.050 %以下、N:
    0.0010 〜0.060 %を含み、残部がFe及び不可避的不純
    物からなり、かつ下記式の値A(%)が0.60〜1.60の範
    囲を満足する鋼材を1050〜1300℃に加熱し、ついで熱間
    圧延を 950℃以上の温度で終了した後、直ちに750 〜60
    0 ℃の温度範囲まで急冷し、その後空冷することを特徴
    とする建築構造物用耐火鋼材の製造方法。 A(%)=Mn+Cr+Cu+Ni+ 500B
  2. 【請求項2】 重量%として、C: 0.03 〜0.15%、S
    i: 0.01 〜0.60%、Mn:0.40〜1.20%、Mo:0.15〜0.6
    0%、Nb: 0.005〜0.100 %、Al:0.050 %以下、N:
    0.0010 〜0.060 %を含み、さらにCu:0.50%以下、N
    i:0.40%以下、Cr:0.80%以下、B:0.0030%以下、T
    i: 0.005〜0.03%、REM: 0.001〜0.020 %から選
    ばれた少なくとも一種以上を含有し、残部がFe及び不可
    避的不純物からなり、かつ下記式の値A(%)が0.60
    1.60の範囲を満足する鋼材を1050〜1300℃に加熱し、つ
    いで熱間圧延を 950℃以上の温度で終了した後、直ちに
    750〜600 ℃の温度範囲まで急冷し、その後空冷するこ
    とを特徴とする建築構造物用耐火鋼材の製造方法。 A(%)=Mn+Cr+Cu+Ni+ 500B
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