JP3349746B2 - 絶縁組成物および電力ケーブル - Google Patents
絶縁組成物および電力ケーブルInfo
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Description
ても優れた特性を維持できる絶縁組成物と、これを絶縁
体に用いた電力ケーブルに関する。
リエチレン(XLPE)は、現在、電力ケーブルの絶縁
体として汎用されている。XLPEを絶縁体とした電力
ケーブルは、導体、導電性樹脂組成物よりなる遮蔽層、
および低密度ポリエチレンに架橋剤および老化防止剤を
配合した組成物よりなる絶縁層の3層を、架橋が起こら
ない低温度で同時に押し出し成形し、次いで連続的に、
高温、高圧の架橋ゾーンおよび低温、高圧の冷却ゾーン
を通過せしめることによって製造される。
その特性が優れていることから、適用電圧の高電圧化が
進み、近年、275kVの長距離送電用に、また短距離
500kVの発電所引き出し用等に適用されるまでにな
った。
能上の弱点になり易いケーブル接続部の数を減らすこ
と、接続部収納用の地下マンホールの数を減じて建設費
を低減すること等の要請から、接続部間隔の長尺化が強
く求められるようになってきた。接続部間隔の長尺化の
具体策とは、端的に言えば、絶縁層の厚さを薄くしたケ
ーブルの開発である。ケーブル径が細くなり、同一ドラ
ム径でより長尺に巻き取り可能なため、例えば、従来技
術の短距離用500kVケーブルの絶縁層厚さは32m
mであるのに対し、接続部が必要となる長距離用500
kVケーブルの場合、絶縁層厚さは、約17%低減され
た27mmであることが要請されている。このように絶
縁層厚さが低減されることによって生じる開発課題は数
多くあるが、その本質は、絶縁層の単位厚さ当りに負荷
される電界が高まることによって生ずるものである。そ
のため、絶縁耐力の一層の向上、および誘電特性、特に
誘電正接(tanδ)特性値の低減を図ることが要請さ
れる。本発明で解決しようとする課題は、絶縁層厚さの
低減によっても優れた誘電正接(tanδ)特性を維持
できる絶縁組成物および電力ケーブルを提供することで
ある。
る誘電損Wdは、次式によって表すことができる。 Wd=(V2/3)ωC0εrtanδ V:送電系統電圧 ω:送電電力の角周波数(ω=2πf、f:周波数/H
z) C0:ケーブルの構造で決まる幾何学的静電容量 C0=2πε0L/ln(R/r) ε0:真空の誘電率 L:ケーブルの長さ R及びr:絶縁層の外径及び内径 εr:絶縁層材料の比誘電 tanδ:絶縁層材料の誘電正接 上の式からわかるように、誘電損は、送電系統電圧Vの
自乗に比例し、ケーブルの構造要因を含む幾何学的静電
容量C0が、上式で表せることから、ケーブルの長さに
比例して大きくなり、絶縁厚さの低減もまた、誘電損を
大きくする要因である。絶縁層材料の誘電特性と誘電損
の関係は、上式に見られるように、比誘電率と誘電正接
の積εrtanδに比例するものである。
のは、XLPEを絶縁層に用いたケーブルでは、送電系
統電圧が275kV以上の長距離送電線路の場合であ
る。前述のように、誘電損の諸要因のうち、VおよびC
0は定数となるため、特性改善の検討は、絶縁材料の誘
電特性について行われることになる。絶縁材料の誘電特
性のうち、比誘電率εrは、材料の定数であるため改善
の対象になり得ず、もっぱら、tanδ特性値の改善が
求められることになる。
誘電損の具体例として、長距離用500kVケーブルの
場合について考えると、このケーブルの絶縁層厚さは2
7mmであり、常用最高温度90℃であるから、望まし
いtanδ特性値は、温度が90℃、絶縁層の最大スト
レスが30kV/mmの条件で、約0.05%以下とい
うものである。
を評価したところ、90℃、20kV/mmでtanδ
は0.1%を越え、要請に応えられないものであった。
従来技術による材料のtanδ特性の詳細についてみれ
ば、およそ60℃以下の温度では、測定ストレス5〜3
0kV/mmの範囲でtanδは0.05%以下で、誘
電損の望ましい特性を満たしている。しかしながら、7
0℃を越える温度領域では、電界ストレスが高くなるに
ともなってtanδ特性値の増大が生じ、90℃の場
合、5kV/mmでは、tanδは0.02%以下の小
さな値であるが、20kV/mmでは、tanδは0.
1%を越えてしまうのである。
側で、ストレス増加によってtanδ特性値が急増する
ことにある。この現象について、発明者らが鋭意検討し
た結果、従来技術の材料からなるXLPE中に電気伝導
性の不純物が存在していることによって起こるものであ
ることが、判明した。さらに、この電気伝導性不純物
は、極微量であるため、通常の分析手段では同定しがた
い濃度レベルのものであることもわかった。
通りである。電力ケーブルの絶縁層材料であるXPLE
のtanδ特性は、主として、材料中の有極性化学構造
の不純物に起因する双極子要因によるものと、材料中の
イオン解離性の不純物の解離イオンに起因する電導要因
のものの2種にわけて考えることができる。XLPEの
ベース材料として有極性コモノマ成分を含まない低密度
PEを用いた場合、双極子要因のtanδに寄与する材
料中の有極性化学構造の不純物として挙げられるもの
は、ベース低密度PE中のもの、配合される架橋剤や老
化防止剤に関係するもの、および製造工程中の汚染に起
因するものが挙げられる。現在のXLPE材料技術の水
準では、双極子要因のtanδの主な原因は、架橋剤と
して用いたジクミルペルオキシド(DCP)の架橋反応
残さであるアセトフェノンおよびクミルアルコールであ
り、これらに起因するtanδは、低温側で大きく、高
温になるに伴って小さくなり、電界ストレスの増加があ
っても変化しない性質である。そして、通常の電力ケー
ブルの場合、この要因によるtanδ値は、最大でも
0.02%を越えず、誘電損の点でも問題視されるレベ
ルではない。
微少な濃度でも影響を及ぼすことから、化学種の同定に
は至っていないが、ベース低密度PEが含有しているイ
オン解離性のもの、配合される架橋剤や老化防止剤中の
イオン解離性の不純物および製造工程中の汚染に起因す
るもののすべてが対象とされ、イオン解離性の不純物の
総和された濃度が特性値に関係すると考えられる。通
常、電導要因のtanδは、低温側で小さく、高温にな
るにともなって急激に大きくなり、さらに、電界ストレ
スの増加によって、指数関数的に増大する性質がある。
XLPEを絶縁層に用いた電力ケーブルの誘電損で問題
になるのは、このイオン解離性の不純物の解離イオンに
起因する電導要因のtanδで、特に、前述の絶縁層厚
低減による高ストレス化が、問題をいっそう深刻にして
いるのである。
たものであって、電気伝導性不純物総量の少ない絶縁組
成物と、絶縁層の材料としてこの絶縁組成物を用いるこ
とによって、高温、高電圧下でも優れたtanδ特性を
有する電力ケーブルを提供することを目的としている。
め、本発明の絶縁組成物は、低密度ポリエチレンに架橋
剤および老化防止剤を配合し架橋せしめた樹脂組成物で
あって、この樹脂組成物が、この樹脂組成物を有機溶剤
で抽出処理し、抽出前の該樹脂組成物の誘電正接(ta
nδ1)および体積抵抗率(ρ1)と、抽出後の該樹脂
組成物の誘電正接(tanδ2)および体積抵抗率(ρ
2)との比が、温度90℃、ストレス30kV/mmの
条件下で、tanδ1/tanδ2≦5および/または
ρ2/ρ1≦5である関係を満足するものであることを
特徴としている。
記請求項1に記載の絶縁組成物を絶縁体として用いたこ
とを特徴としている。
中に持ち込まれる電気伝導性不純物の混入源は、前述し
たように、組成物の構成材料であるベース低密度PEお
よび架橋剤および老化防止剤の不純物として混入するも
のと、組成物の製造工程中に混入するものの2経路が挙
げられる。そして、何れの経路によって混入した電気伝
導性不純物であれ、その総和がtanδ特性に関係する
ことになる。したがって、絶縁組成物中に含まれる電気
伝導性不純物の総量によって、選別する方法が最も効果
的であるといえる。本発明の基本的な要件は、「組成物
を抽出処理する前と後でのtanδと体積抵抗率ρ」に
よって、電気伝導性不純物の総量を把握し、「温度90
℃、ストレス30kV/mmの条件下で、tanδ1/
tanδ2≦5および/またはρ2/ρ1≦5」であるも
のを用いることにある。
総量を把握するのに、「該組成物を架橋せしめたものを
有機溶剤で抽出処理する前後のtanδと体積抵抗率
ρ」で評価するのは、本発明の特徴的な手段である。前
述したように、絶縁層中に存在するイオン解離性の不純
物の濃度は、極めて微少であるため、その物質は同定し
がたい。そのため、イオン解離性不純物の濃度は、通常
の化学分析手法より、tanδ、体積抵抗率ρといった
電気的評価の方が、感度に優れるのである。
抽出処理」するのは、極めて微少濃度であるイオン解離
性不純物の抽出液中濃度を、できるだけ高濃度化するこ
とが目的である。有機溶剤には、無極性溶剤および有極
性溶剤のいずれかが用いられる。無極性溶剤としては、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、
キシレン等が挙げられる。有極性溶剤としては、水、炭
素数5以下のアルコール、炭素数5以下のケトン、炭素
数5以下のエステル、炭素数5以下のニトリル、炭素数
5以下の酸アミド、炭素数5以下のカーボネート、γブ
チロラクトン、Nメチルピロリドン等が挙げられる。
比が「tanδ1/tanδ2≦5、ρ2/ρ1≦5」との
規定は、90℃、30kV/mmの高温、高電界下にお
いてもtanδが0.01〜0.05%程度であることを
確保するために必要な規定であり、本発明者が数多くの
検討の結果定めた値である。この規定を越える特性値を
有する組成物を架橋してなるXLPEのtanδは、9
0℃で評価した場合、ストレスが30kV/mmを越え
ない条件でも0.05%を越え、電導要因となるもので
ある。
出処理する場合の条件は、基本的な要件ではない。必要
なことは、架橋された組成物中に存在するイオン解離性
の不純物のほとんどすべてを抽出できる条件を確保する
ことである。このための一般的な条件は、架橋された組
成物を、できる限り薄くして溶剤に接触させることであ
る。なお、抽出の加速のために、超音波を利用するこ
と、あるいは加温された溶剤を用いるソックスレ抽出等
も利用できる。
を明らかにする。 (実施例1)ベースの低密度PEとして、不純物レベル
の小さいLDPE(A)(MF=1g/10分、d=
0.92g/cm3)を用意した。架橋剤DCP、および
老化防止剤(4,4’−チオビス−(6−第3ブチル−
3−メチルフェノール)を用意し、溶剤精製により、不
純物レベルを極小に抑さえた(不純物レベルa)。ベー
スのLDPE(A)100重量部に、架橋剤を2重量
部、老化防止剤を0.2重量部配合した組成物を作製し
た。得られた組成物を、絶縁層9mm、導体断面積40
0mm2の3層同時押出、乾式架橋方式により、常法に
したがって、電力ケーブルを製造した。
止剤)を精製する際、その不純物レベルを若干上げた
(不純物レベルb)以外は、実施例1と同様にして、電
力ケーブルを製造した。
物レベルの高いもの(B)を用いた以外は、実施例1と
同様にして、電力ケーブルを製造した。
(不純物レベルc)以外は、実施例1と同様にして、電
力ケーブルを製造した。
レベルの高い(B)を用い、かつ不純物レベルbの添加
剤を使用した以外は、実施例1と同様にして、電力ケー
ブルを製造した。
レベルの高い(B)を用い、かつ添加剤の精製を行わな
かった(不純物レベルc)以外は、実施例1と同様にし
て、電力ケーブルを製造した。
について、高温、高電界(90℃、30kV/mm)下
で、ケーブルのtanδを測定した。結果を表1に示
す。
縁体から採取したフィルム(100μm厚)について、
nヘキサンでソックスレ抽出し、抽出の前後におけるt
anδ比とρ比を測定した。結果を表1に示す。
ブルは、ベースLDPEおよび添加剤の両方あるいはい
ずれかが、不純物を多く含んでおり、そのいずれもが、
ケーブル採取フィルムのtanδ1/tanδ2、ρ2/
ρ1の値が5を越え、またケーブルのtanδ値が大き
かった。これに対し、実施例の電力ケーブルでは、ベー
スLDPEおよび添加剤の不純物が少なく、ケーブル採
取フィルムのtanδ1/tanδ2、ρ2/ρ1の値がい
ずれも5以下であった。またそれに伴って、ケーブルの
tanδ値が小さく、高温、高電界下でも優れたtan
δ特性を保持していた。
高温下、高ストレス下においても誘電損失の小さい絶縁
組成物を得るための1種の判断基準が得られ、原材料の
低密度ポリエチレン、架橋剤、老化防止剤として、これ
ら原材料に含まれる電気的不純物の総量を、この判断基
準に合致するように、調整したものを使用することで高
温下、高ストレス下においても誘電損失の小さい絶縁組
成物を得ることができ、さらには誘電損失の小さい電力
ケーブルを得ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】低密度ポリエチレンに架橋剤および老化防
止剤を配合し架橋せしめた樹脂組成物であって、 この樹脂組成物が、この樹脂組成物を 有機溶剤で抽出処
理し、抽出前の該樹脂組成物の誘電正接(tanδ1)
および体積抵抗率(ρ1)と、抽出後の該樹脂組成物の
誘電正接(tanδ2)および体積抵抗率(ρ2)との
比が、温度90℃、ストレス30kV/mmの条件下
で、 tanδ1/tanδ2≦5 および/または ρ2/ρ1≦5 である関係を満足するものであることを特徴とする絶縁
組成物。 - 【請求項2】 前記請求項1に記載の絶縁組成物を絶縁
体として用いたことを特徴とする電力ケーブル。
Priority Applications (6)
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|---|---|---|---|
| JP03909993A JP3349746B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 絶縁組成物および電力ケーブル |
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| US08/202,098 US5536777A (en) | 1993-02-26 | 1994-02-25 | Polyethylene composition for use in insulations and joints of extra-high voltage power cables, and an extra-high voltage power cable and joint therefor employing this polyethylene composition |
| DE69420063T DE69420063T2 (de) | 1993-02-26 | 1994-02-25 | Verfahren zur Herstellung einer Polyethylenzusammensetzung zum Isolieren und Verbinden von Hochspannungskabeln |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP03909993A JP3349746B2 (ja) | 1993-02-26 | 1993-02-26 | 絶縁組成物および電力ケーブル |
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| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
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| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3349746B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP7687990B2 (ja) * | 2022-03-30 | 2025-06-03 | 古河電気工業株式会社 | 電力ケーブル用絶縁性樹脂組成物および電力ケーブル |
-
1993
- 1993-02-26 JP JP03909993A patent/JP3349746B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| JPH06251629A (ja) | 1994-09-09 |
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