JP3396455B2 - 軟磁性膜及びその製造方法、ならびにこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

軟磁性膜及びその製造方法、ならびにこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば薄膜磁気ヘ
ッドのコア層として使用される軟磁性膜に係り、特に高
比抵抗ρ、低保磁力Hc及び高飽和磁束密度Msの軟磁
気特性を有する軟磁性膜及びその製造方法、ならびにこ
の軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】例えばハードディスクなどに搭載される
磁気ヘッドには、ジンバルの先端に薄膜磁気ヘッドが設
けられており、前記薄膜磁気ヘッドは、書込み用のイン
ダクティブヘッドと、読み込み用のMRヘッドとから構
成される。
【0003】前記インダクティブヘッドは、一般的に、
磁性材料で形成された下部コア層及び前記下部コア層に
非磁性のギャップ層を介して対向する上部コア層と、両
コア層に記録磁界を誘導するためのコイル層とを有して
構成される。
【0004】従来では、前記上部コア層及び下部コア層
は、Ni−Fe合金膜(パーマロイ)などの既存の磁性
材料で形成されていた。前記パーマロイは、透磁率が高
く、また飽和磁束密度Msも比較的に高い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、今後の
高記録密度化に伴い、記録密度を向上させるために、記
録周波数を高くすると、前記下部コア層及び上部コア層
を形成するパーマロイは、比抵抗ρが低いために、前記
下部コア層及び上部コア層に渦電流が発生し、渦電流に
よる熱損失が増大しやすくなっていた。
【0006】本発明は上記従来の課題を解決するための
ものであり、特にNiFe合金に元素X(ただしXは、
O、C、N、Sから選ばれる1種以上の元素である)を
添加することで、保磁力Hc及び飽和磁束密度Msを良
好に維持しつつ、比抵抗ρを向上させることが可能な軟
磁性膜及びその製造方法、ならびに、この軟磁性膜をコ
ア層に使用することによって、高記録密度化・高記録周
波数化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを提供することを目
的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、メッキ形成さ
れた軟磁性膜であって、組成元素として、少なくともN
i、Fe、O、C、及びSを含有し、平均結晶粒径は
0Å以上で80Å以下であり、Fe量が57質量%以上
で65質量%以下であり、さらに、O、C及びSの組成
比を足したO+C+S組成比は、1.16質量%以上
5.00質量%以下であることを特徴とするものであ
る。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】また上記数値範囲内において、Oの組成比
は、0.87質量%以上3.70質量%以下であること
が好ましい。
【0016】またCの組成比は、0.21質量%以上
0.90質量%以下であることが好ましい。
【0017】さらに、Sの組成比は、0.10質量%以
上0.43質量%以下であることが好ましい。
【0018】本発明では、上記のように数値限定するこ
とで、前記軟磁性膜の比抵抗ρを、80μΩ・cm以上
210μΩ・cm以下にすることができる。
【0019】さらに本発明では、O、C及びSの組成比
を足したO+C+S組成比は、1.73質量%以上5.
00質量%以下であることがさらに好ましい。
【0020】また上記数値範囲内において、Oの組成比
は、1.30質量%以上3.70質量%以下であること
が好ましい。
【0021】またCの組成比は、0.32質量%以上
0.90質量%以下であることが好ましい。
【0022】またSの組成比は、0.15質量%以上
0.43質量%以下であることが好ましい。
【0023】本発明では、上記のように数値限定するこ
とで、前記軟磁性膜の比抵抗ρを、100μΩ・cm以
上210μΩ・cm以下にすることができる。
【0024】また本発明では、前記軟磁性膜の膜面の中
心線平均粗さ(Ra)は140Å以下であることが好ま
しい。これにより、前記軟磁性膜の保磁力Hcを、11
8.5A/m以下にすることができる。
【0025】また本発明では、前記中心線平均粗さ(R
a)は120Å以下であることがより好ましい。これに
より、前記軟磁性膜の保磁力Hcを、79A/m以下に
することができる。
【0026】また本発明では、前記中心線平均粗さ(R
a)は50Å以下であることがさらに好ましい。これに
より、前記軟磁性膜の保磁力Hcを、39.5A/m以
下にすることができる。
【0027】また本発明では、飽和磁束密度Msを、
1.0T以上にすることが可能である。
【0028】
【0029】また、本発明の軟磁性膜の製造方法は、F
eイオン、Niイオンを有するメッキ浴中に、アミノ系
有機材料及びサッカリンを添加して、前記メッキ浴中の
pHを1.8以下に設定し、前記メッキ浴中の温度を2
0℃から28℃の範囲内に保ちつつメッキ形成する工程
を有することによって、前述した本発明の軟磁性膜を製
造する方法である。
【0030】また本発明では、前記メッキ浴中に、サッ
カリンを添加する。サッカリンの添加により、特に前記
サッカリンとアミノ系有機材料との相乗効果が高まり、
O、C、N、Sの非金属元素が、軟磁性膜中に含まれ、
比抵抗ρを向上させることができる。また前記サッカリ
ンの添加により、メッキ形成された軟磁性膜の応力を低
減させることも可能である。
【0031】また本発明では、上記のように、メッキ浴
中にサッカリンを添加することで、前記サッカリン中に
含まれるSO2が、軟磁性膜の組成中に入り込むと考え
られ、前記軟磁性膜にSを含有させることができる。
【0032】本発明では、前記メッキ浴中のpHを、
1.以下に保つことが好ましい。より好ましくは、前
記pHを、1.以下に保つことである。
【0033】
【0034】なお本発明では、前記アミノ系有機材料と
して、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリア
ミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TET
A)、アラニン(Ala)、あるいはグルタミン酸(G
lu)から1種または2種以上を選択することが好まし
い。
【0035】本発明では、Ni−Fe合金から成る軟磁
性膜にC、O、及びSを含有させることにより、前記N
i−Fe合金と同程度の保磁力Hc及び飽和磁束密度M
sを保ちつつ、比抵抗ρを向上させることが可能になっ
ている。
【0036】本発明における軟磁性膜に含有されるN
i,Feは磁性を担う元素である。特に高飽和磁束密度
Msを得るには、Feの含有量は多いほど好ましい。
【0037】(炭素)、O(酸素)、及びS(硫黄)
非金属性であるために、軟磁性膜中に含有させること
により、前記軟磁性膜の比抵抗ρを向上させることが可
能である。また、C、O、Sは軟磁性膜の微結晶化を促
進させることが可能であり、本発明では、前記C、O、
を適量含有させて軟磁性膜の平均結晶粒径を80Å以
下にすれば、従来、コア層として使用されていたNi−
Fe合金に比べて、比抵抗ρを向上させることができる
ことが、後述する実験により確認されている。
【0038】さらに本発明では軟磁性膜に含有されるF
eを、57質量%以上で65質量%以下にすることによ
り、比抵抗ρの向上のみならず、保磁力Hcを、Ni−
Fe合金と同等に低く抑えることができ、しかも飽和磁
束密度Msを、前記Ni−Fe合金と同程度に高くする
ことができる。
【0039】
【0040】本発明では、後述の実験で説明するよう
に、前記O、C及びSの含有量(質量%)と比抵抗ρと
の関係を導き出し、前記O、C及びSの適切な含有量を
明らかにしている。
【0041】また本発明では、上記のようにFeの含有
量等を調整するだけでは、必ずしも保磁力Hcを低く抑
えることができないことがわかった。保磁力Hcを適性
に低下させるには、軟磁性膜の形成に使用されるメッキ
浴の諸条件を、適性に調整する必要がある。
【0042】そこで本発明では、メッキ浴中にFeイオ
ン、Niイオン、アミノ系有機材料を添加した際の、前
記メッキ浴のpH(水素指数)を小さくして、具体的に
は1.8以下にしている。前記pHを1.8以下に低く
保ち、さらには、メッキ浴の温度を、20℃から28℃
に低く保つと、成膜レートは遅延化し、成膜された軟磁
性膜の中心線平均粗さ(Ra)は、140Å以下にな
る。
【0043】このように本発明では、メッキ浴のpHを
1.8以下にして、成膜された軟磁性膜の中心線平均粗
さ(Ra)を140Å以下にしており、これより保磁力
Hcに影響を与える結晶磁気異方性エネルギーを弱める
ことができると考えられ、前記保磁力Hcを確実に小さ
くすることが可能になっている。
【0044】以上のように、比抵抗ρが高く、しかも低
保磁力Hc及び高飽和磁束密度Msを保ち、さらに面荒
れの小さい軟磁性膜を本発明では、薄膜磁気ヘッド(イ
ンダクティブヘッド)の下部コア層及び/または上部コ
ア層として使用している。これにより、今後の高記録密
度化・高記録周波数化にも対応することができる薄膜磁
気ヘッドを製造することが可能となっている。また、上
記薄膜磁気ヘッドの下に、記録信号を検出するための磁
気抵抗効果素子が設けられていることを特徴とする複合
型薄膜磁気ヘッドを製造することも可能である。
【0045】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施形態の薄膜
磁気ヘッドの縦断面図である。なお図1に示す薄膜磁気
ヘッドの図示左側の端面が記録媒体との対向面となって
いる。
【0046】本発明における薄膜磁気ヘッドは、浮上式
ヘッドを構成するスライダのトレーリング側端面に形成
されたものであり、MRヘッドh1と、書込み用のイン
ダクティブヘッドh2とが積層された、MR/インダク
ティブ複合型薄膜磁気ヘッド(以下、単に薄膜磁気ヘッ
ドという)となっている。
【0047】MRヘッドh1は、磁気抵抗効果を利用し
てハードディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界を検出
し、記録信号を読み取るものである。前記スライダのト
レーリング側端面には軟磁性材料製の下部シールド層1
が形成されている。
【0048】図1に示すように、前記下部シールド層1
の上には、Al23(アルミナ)などの非磁性材料によ
り形成された下部ギャップ層2を介して磁気抵抗効果素
子層3が形成されている。なお前記磁気抵抗効果素子層
3はAMR構造あるいは巨大磁気抵抗効果を利用したス
ピンバルブ膜に代表されるGMR構造である。
【0049】前記磁気抵抗効果素子層3の上には、非磁
性材料製の上部ギャップ層4を介して、MRヘッドh1
におけるシールド機能と、インダクティブヘッドh2に
おけるコア機能とを兼ね備えた下部コア層5が形成され
ている。
【0050】さらに図1に示すように、前記下部コア層
5の上にはアルミナなどによる磁気ギャップ層(非磁性
材料層)6が形成されている。さらに前記磁気ギャップ
層6の上にはポリイミドまたはレジスト材料製の絶縁層
7を介して平面的に螺旋状となるようにパターン形成さ
れたコイル層8が設けられている。なお、前記コイル層
8はCu(銅)などの電気抵抗の小さい非磁性導電性材
料で形成されている。
【0051】さらに、前記コイル層8はポリイミドまた
はレジスト材料で形成された絶縁層9に囲まれ、前記絶
縁層9の上に軟磁性材料製の上部コア層10が形成され
ている。
【0052】図1に示すように、前記上部コア層10の
先端部10aは、記録媒体との対向面において、下部コ
ア層5の上に前記磁気ギャップ層6を介して対向し、磁
気ギャップ長Gl1の磁気ギャップが形成されており、
上部コア層10の基端部10bは図1に示すように、下
部コア層5と磁気的に接続されている。
【0053】今後の高記録密度化・高記録周波数化に対
応でき、インダクティブヘッドh2の書込みの性能を向
上させるには、特に上部コア層10の軟磁気特性を、高
飽和磁束密度Ms及び低保磁力Hcに保ちながら、比抵
抗ρを向上させることにある。このように比抵抗ρを向
上させる必要性は、記録周波数が上昇することによる渦
電流損を低減させるためである。
【0054】また下部コア層5においても、高比抵抗
ρ、及び低保磁力Hcの諸軟磁気特性を有する軟磁性膜
で形成されることが好ましい。下部コア層5の飽和磁束
密度Msは高いことが好ましいが、上部コア層10の飽
和磁束密度Msよりも低くすることにより、下部コア層
5と上部コア層10との間における洩れ磁界を磁化反転
しやすくすると、より記録媒体への信号の書込み密度を
高くできることが知られている。
【0055】本発明では、下部コア層5及び/または上
部コア層10は、組成元素に、少なくともNi(ニッケ
ル)、Fe(鉄)及び元素X(ただしXは、C(炭
素)、O(酸素)、N(窒素)、S(硫黄)から選ばれ
る1種以上の元素である)を含有した軟磁性膜によって
形成されている。
【0056】しかも本発明における前記軟磁性膜は、そ
の平均結晶粒径が80Å(オングストローム)以下に形
成されている。
【0057】NiとFeとを有して構成される軟磁性膜
に、非金属性の元素Xを含有させると、軟磁性膜の平均
結晶粒径の微細化が促進され、前記元素Xの含有量等を
適性に調整することにより前記平均結晶粒径を80Å以
下にすることが可能になる。このように平均結晶粒径の
微細化を促進させることにより、比抵抗ρを向上でき、
また保磁力Hcを低減することができる。好ましくは前
記平均結晶粒径を60Åから80Åの範囲内に設定する
ことである。
【0058】また本発明では、平均結晶粒径の適正化に
加えて、軟磁性膜に含有されるFe量を適正に調整して
いる。
【0059】本発明では、前記Fe量を30質量%以上
に設定することが好ましい。前記Fe量と上記した軟磁
性膜の平均結晶粒径を80Å以下にすることで、Ni−
Fe合金膜よりも、さらに比抵抗ρを高めることがで
き、具体的には60μΩ・cm以上にすることができ、
しかも保磁力Hc及び飽和磁束密度Msを、Ni−Fe
合金膜と同程度に保つことが可能になる。
【0060】また本発明では前記軟磁性膜中に、S(硫
黄)が含まれていることが好ましい。これにより比抵抗
ρを適正に向上させることができる。
【0061】また本発明では、特に元素Xのうち、Oと
Cと、さらにSが軟磁性膜中に含有されていることが好
ましい。
【0062】ところで上記したように軟磁性膜の比抵抗
変化の要因としては、前記軟磁性膜中に含有されるFe
量と、平均結晶粒径を挙げることができるが、それだけ
ではなく、前記軟磁性膜中に含まれる非金属元素の含有
量を適正に調整しないと所定の比抵抗を得られないこと
がわかった。
【0063】本発明では軟磁性膜の比抵抗は、少なくと
も60μΩ・cm以上であることが好ましいが、60μ
Ω・cm以上であればいくらでもよいわけではない。比
抵抗が非常に高くなった場合には、逆に飽和磁束密度M
sの低下や保磁力Hcの上昇、さらには透磁率の低下が
問題となるために、本発明では、前記比抵抗ρは高いこ
とが好ましいが、同時に飽和磁束密度Msを、従来と同
程度の値で維持できるようにしている。
【0064】具体的には、O、C及びSの組成比を足し
たO+C+S組成比は、0.60質量%以上5.00質
量%以下であることが好ましい。
【0065】この場合、上記数値範囲内において、Oの
組成比は、0.40質量%以上3.70質量%以下であ
ることが好ましい。
【0066】また、上記数値範囲内において、Cの組成
比は、0.11質量%以上0.90質量%以下であるこ
とが好ましい。
【0067】さらに、上記数値範囲内において、Sの組
成比は、0.05質量%以上0.43質量%以下である
ことが好ましい。
【0068】上記のようにO、C及びSの組成比を適正
化することで、前記軟磁性膜の比抵抗ρを、60μΩ・
cm以上210μΩ・cm以下にすることができる。前
記軟磁性膜の比抵抗を210μΩ・cm以下にできれ
ば、1.0T(テスラ)程度の飽和磁束密度Msを得る
ことができる。
【0069】また本発明では、O、C及びSの組成比を
足したO+C+S組成比は、1.16質量%以上5.0
0質量%以下であることがより好ましい。
【0070】この場合、上記数値範囲内において、Oの
組成比は、0.87質量%以上3.70質量%以下であ
ることが好ましい。
【0071】また、上記数値範囲内において、Cの組成
比は、0.21質量%以上0.90質量%以下であるこ
とが好ましい。
【0072】さらに、上記数値範囲内において、Sの組
成比は、0.10質量%以上0.43質量%以下である
ことが好ましい。
【0073】上記のように、O、C及びSの組成比を適
正化することで、前記軟磁性膜の比抵抗ρを、80μΩ
・cm以上210μΩ・cm以下にすることができる。
【0074】また本発明では、O、C及びSの組成比を
足したO+C+S組成比は、1.73質量%以上5.0
0質量%以下であることがさらに好ましい。
【0075】この場合、上記数値範囲内において、Oの
組成比は、1.30質量%以上3.70質量%以下であ
ることが好ましい。
【0076】また、上記数値範囲内において、Cの組成
比は、0.32質量%以上0.90質量%以下であるこ
とが好ましい。
【0077】さらに、上記数値範囲内において、Sの組
成比は、0.15質量%以上0.43質量%以下である
ことが好ましい。
【0078】上記のように、O、C及びSの組成比を適
正化することで、前記軟磁性膜の比抵抗ρを、100μ
Ω・cm以上210μΩ・cm以下にすることができ
る。
【0079】次は保持力Hcについてであるが、前記保
持力Hcは、後述する実験結果によりFe量に大きく左
右されることが確認されており、さらに軟磁性膜中に占
める他の元素の添加量にも影響を受けるものと考えられ
る。
【0080】しかしながら本発明では、メッキ浴の条件
によっては、特に保磁力Hcを、確実に小さくできない
ことがわかった。そこで本発明では、後で詳述するよう
に、メッキ浴のpH(水素指数)や温度を適切に調整し
て、成膜された軟磁性膜の膜面の中心線平均粗さ(R
a)を小さくし、これによって、より確実に保磁力Hc
の低下を図っている。
【0081】本発明では、前記軟磁性膜の膜面の中心線
平均粗さ(Ra)は、140Å以下であることが好まし
い。より好ましくは、120Å以下であり、さらに好ま
しくは、50Å以下である。
【0082】以上のように本発明では、軟磁性膜の平均
結晶粒径、前記軟磁性膜に含有されるFe量、前記軟磁
性膜中に含有される元素Xの量、及び膜面の中心線平均
粗さ(Ra)を、上記した数値の範囲内で適性に調整す
ることにより、比抵抗ρが60μΩ・cm以上、より好
ましくは80μΩ・cm以上、さらに好ましくは、10
0μΩ・cm以上、また保磁力Hcが118.5A/m
(エルステッド)以下、より好ましくは、79A/m以
下、さらに好ましくは39.5A/m以下、及び飽和磁
束密度Msが1.0T(テスラ)以上となる軟磁性膜を
形成することが可能である。
【0083】このように比抵抗ρの高い軟磁性膜を薄膜
磁気ヘッドの下部コア層5及び/または上部コア層10
に使用することにより、記録周波数が高くなっても渦電
流損失を低減させることが可能であり、しかも本発明に
おける軟磁性膜は、低保磁力Hc及び高飽和磁束密度M
sの軟磁気特性を保っていることから、今後の高記録密
度化、高記録周波数化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製
造することが可能である。
【0084】また本発明における軟磁性膜は、その膜面
の中心線平均粗さ(Ra)が小さく、前記膜面に面荒れ
の発生が少ないことから、特に前記軟磁性膜で形成され
た上部コア層10及び/または下部コア層5を、トラッ
ク幅として規定される記録媒体との対向面(図1に示す
図示左側の側面)付近で、所定形状に適正に形成しやす
く、記録特性を良好なまま維持することが可能である。
【0085】ところで本発明では、上記のように、組成
元素にFe及びNiと、さらに元素X(ただしXは、
O、C、N、Sから選ばれる1種以上の元素である)を
加えて形成された軟磁性膜を、Feイオン、及びNiイ
オンを含有するメッキ浴中に、アミノ系有機材料を注入
することによって、形成している。
【0086】本発明では、添加されるアミノ系有機材料
として、アミノ基(−NH2)を含有する有機材料、具
体的には、エチレンジアミン(EDA;NH2−(C
22−NH2)、ジエチレントリアミン(DETA;
NH2−(CH22−NH−(CH22−NH2)、アラ
ニン(Ala;NH2−C(CH3)−COOH)、グル
タミン酸(Glu;COOH−(CH22−CH(NH
2)−COOH)、トリエチレンテトラミン(TET
A;NH2−(CH22−NH−(CH22−NH−
(CH22−NH2)のうちから1種または2種以上が
選択されることが好ましい。
【0087】ただし本発明では、添加剤として上記した
アミノ系有機材料に限定するものではない。またアミノ
系有機材料ではなく、単に元素X(ただしXは、C、
O、N、Sから選ばれる1種以上の元素である)を含ん
だ有機材料であってもよい。要は、下部コア層5及び/
または上部コア層10として使用される軟磁性膜は、組
成元素として少なくともFe、Ni及び元素Xを含有
し、しかも平均結晶粒径は80Å以下であり、さらにF
e量が30質量%以上であれば、前記軟磁性膜を成膜す
る際、メッキ浴中にFeイオンとNiイオン以外に、ど
のような有機材料を添加してもよいのである。なお元素
Oについては、メッキ浴中に酸素が残存する場合には、
そのようなメッキ浴でメッキ形成することによっても、
前記軟磁性膜中に酸素を含有させることができると考え
られる。
【0088】また本発明では、前記メッキ浴中にサッカ
リン(C75NO3S)を添加することが好ましい。
【0089】前記サッカリンの添加により、前記サッカ
リンとアミノ系有機材料との相乗効果により、前記軟磁
性膜中に元素Xが適切に含有されるようになる。サッカ
リンはその組成にO(酸素)を含むことから、前記サッ
カリンの添加により、軟磁性膜中にOを適量含有させる
ことが可能であると考えられる。
【0090】またメッキ浴中にサッカリンを添加するこ
とで、メッキ形成により得られた軟磁性膜は、その応力
が低減し、このような軟磁性膜を、下部コア層5及び/
または上部コア層10に使用することで、前記下部コア
層5及び/または上部コア層10の膜剥れを適性に防止
することが可能である。
【0091】また本発明では、上記したように軟磁性膜
の組成中にS(硫黄)を含有させる方が、より比抵抗ρ
を向上させることができて好ましいが、このように前記
Sを軟磁性膜の組成中に含有させるには、アミノ系有機
材料にSを含有するものを使用したり、さらには上記の
ようにメッキ浴中にサッカリンを添加することによって
も達成できると考えられる。
【0092】サッカリンはその組成中にSを含んでお
り、従って前記サッカリンの添加量を適正化し、あるい
は、前記アミノ系有機材料の添加を適正化して、サッカ
リンとの相乗効果により、前記軟磁性膜中には、Sが含
有するものと思われ、後述する実験においても、サッカ
リンとアミノ系有機材料の双方を含んだメッキ浴中から
得られた軟磁性膜中にはSを有することが確認されてい
る。
【0093】また本発明では、Feイオン及びNiイオ
ンを含有するメッキ浴中に、アミノ系有機材料を添加し
た際の前記メッキ浴の諸条件を適正化することによっ
て、前記軟磁性膜の膜面の中心線平均粗さ(Ra)を小
さくし、前記膜面の面荒れ発生を抑制している。
【0094】本発明では、メッキ浴のpH(水素指数)
を、1.8以下に設定することが好ましい。前記メッキ
浴のpHが大きくなると、成膜された軟磁性膜の膜面の
中心線平均粗さ(Ra)は大きくなる。そして前記中心
線平均粗さ(Ra)が大きくなると、保磁力Hcが大き
くなることが、後述する実験により確認されている。
【0095】本発明では、メッキ浴のpHを、1.8以
下に設定して、前記軟磁性膜の中心線平均粗さ(Ra)
を、140Å以下にすることが好ましい。
【0096】また本発明では、メッキ浴のpHを、1.
7以下に設定して、軟磁性膜の中心線平均粗さ(Ra)
を、120Å以下にすることがより好ましく、また前記
メッキ浴のpHを、1.5以下に設定して、軟磁性膜の
中心線平均粗さ(Ra)を50Å以下にすることがさら
に好ましい。
【0097】また上記した軟磁性膜の中心線平均粗さ
(Ra)は、メッキ浴中のpHだけに影響を受けるので
はなく、前記メッキ浴の温度にも影響を受ける。このた
め本発明では、前記メッキ浴の温度を適正な範囲内に、
具体的には20℃から28℃の範囲内に設定し、この範
囲内であれば、前記軟磁性膜の中心線平均粗さ(Ra)
を上記した数値内に適切に小さくすることが可能であ
り、保磁力Hcの低下を図ることが可能である。
【0098】ここで本発明では、メッキ浴中のpHある
いは温度を変化させた場合の軟磁性膜の膜面の状態につ
いて調べた。
【0099】実験では、Fe2+イオン(2.5g/l)
とNi2+イオン(40g/l)を有するメッキ浴中に、
エチレンジアミンを630ppm添加し、前記メッキ浴
のpHを1.5とし、温度を20℃とした場合と、メッ
キ浴のpHを、3.0とし、温度を28℃とした場合の
それぞれのメッキ浴から、軟磁性膜を電気メッキ法によ
りメッキ形成した。そして、各軟磁性膜の膜面の状態
を、SEM写真によって調べた。
【0100】図15は、前記メッキ浴のpHを1.5と
し、温度を20℃とした場合の軟磁性膜の膜面の状態を
写している。図15に示すように、膜面は、ほとんど荒
れておらず、金属光沢のある軟磁性膜を得ることができ
た。
【0101】次に、図16は、pHを3.0とし、温度
を28℃とした場合の軟磁性膜の膜面の状態を写してい
る。
【0102】図16に示すように、軟磁性膜の膜面は、
図15の場合と比べてひどく荒れた状態になっているこ
とがわかる。
【0103】なお図15に示す軟磁性膜の膜面の中心線
平均粗さ(Ra)は、ほぼ40nmであり、図16に示
す軟磁性膜の膜面の中心線平均粗さ(Ra)は、ほぼ2
00nmであった。また図15の軟磁性膜に占めるFe
量は57質量%(Ni量=43質量%)、図16の軟磁
性膜に占めるFe量は52質量%(Ni量=48質量
%)であった。
【0104】上記のように、図15及び図16の場合で
は、共にメッキ浴中に占めるFeイオン及びNiイオン
の添加量と、エチレンジアミンの添加量は同じであるに
も係らず、メッキ形成された軟磁性膜の膜面の中心線平
均粗さ(Ra)が大きく異なる原因は、メッキ浴中のp
H及び温度が違うからであり、図15及び図16に示す
写真からも明らかなように、メッキ浴のpHを小さく
し、さらに温度を低くすることにより、軟磁性膜の中心
線平均粗さ(Ra)を、より小さくでき、面荒れの発生
を抑制することができる。
【0105】以上のように本発明では、FeイオンとN
iイオンを有するメッキ浴中に、アミノ系有機材料を添
加することにより、組成元素に、少なくともFe、Ni
及び元素X(ただしXは、O、C、N、Sから選ばれる
1種以上の元素である)を有する軟磁性膜を形成するこ
とを可能にしている。
【0106】また本発明では、メッキ浴中にアミノ系有
機材料以外に、サッカリンを添加することが好ましく、
これにより得られた軟磁性膜の比抵抗ρをより向上させ
ることができ、しかも応力を適正に低減させて、膜剥れ
等の不具合を適正に防止することができる。
【0107】また本発明では、得られた軟磁性膜中にS
を含有させることが好ましく、これにより前記軟磁性膜
の比抵抗ρをさらに向上させることが可能である。
【0108】また本発明では、メッキ浴のpHを小さく
し、またメッキ浴の温度を適正化することで、成膜レー
トを遅延化させ、メッキ形成される軟磁性膜の膜面の中
心線平均粗さ(Ra)を小さくすることができる。
【0109】さらにFeイオンとNiイオンを有するメ
ッキ浴中に、アミノ系有機材料を添加することにより、
Feの析出が速まり、酸化によるFeイオンの沈殿を減
らすことができる。このため低いFe濃度のメッキ浴
で、高いFe量を有する軟磁性膜をメッキ形成できる。
メッキ浴内にはフィルターが設けられており、このフィ
ルターで、沈殿するFeを取り除いているが、上記のよ
うに本発明では、Feイオンの沈殿を減少させることが
できるので、フィルターの寿命を延ばすことができ、メ
ッキ浴の劣化を抑制することが可能である。
【0110】以上のように本発明では、組成元素に少な
くともFeとNi及び元素X(ただしXは、O、C、
N、Sから選ばれる1種以上の元素である)を含有する
軟磁性膜について説明したが、前記添加元素に代えて他
の非金属元素を添加した軟磁性膜の場合も、組成元素に
元素Xを有する軟磁性膜とほぼ同等の軟磁気特性を得る
ことが可能であると考えられる。
【0111】例えばFeイオンとNiイオンを有するメ
ッキ浴中に、亜燐酸(H3PO3)や次亜燐酸(H3
2)を選択して、組成元素にFeとNi、及び元素P
(燐)を有する軟磁性膜、あるいは、元素B(ほう素)
などの非金属元素を添加した軟磁性膜が挙げられる。
【0112】
【実施例】本発明では、FeイオンとNiイオンを有す
るメッキ浴中に、様々なアミノ系有機材料を添加し、前
記アミノ系有機材料の添加量と、メッキ形成された軟磁
性膜の比抵抗ρとの関係について測定した。
【0113】実験では、アミノ系有機材料として、エチ
レンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DE
TA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、及びβ
−アラニン(β−Ala)を用い、各アミノ系有機材料
を添加して形成された軟磁性膜の比抵抗ρを調べた。な
おメッキ浴中のpHは1.5、温度は20℃に設定さ
れ、またメッキ浴に占めるFe2+イオンを、2.5g/
l、Ni2+イオンを40g/lとした。その実験結果を
図2に示す。
【0114】図2に示すように、各アミノ系有機材料の
添加量を増やすことで、比抵抗ρは上昇することがわか
る。図2に示すように、添加するアミノ系有機材料が異
なることによって、比抵抗ρが異なるのは、各アミノ系
有機材料の分子量が異なるためと考えられ、図2に示す
ように、分子量の高いアミノ系有機材料(TETAやD
ETA)ほど、わずかな添加量で、比抵抗ρを急激に上
昇させることができることがわかる。
【0115】なお以下に示す表1には、Feイオン及び
Niイオンを有するメッキ浴中に、アミノ系有機材料と
して、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリア
ミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TET
A)、アラニン(Ala)を添加して軟磁性膜を形成
し、各軟磁性膜について測定した軟磁気特性が表されて
いる。また表1には、Feイオン及びNiイオンを有す
るメッキ浴中に、次亜燐酸(H3PO2)を添加して元素
Pを含有させた軟磁性膜における軟磁気特性についても
表されている。
【0116】
【表1】
【0117】アミノ系有機材料を添加して形成された各
軟磁性膜の比抵抗ρは、いずれも60μΩ・cm以上を
示し、また保磁力Hcは79A/m以下であり、さらに
飽和磁束密度Msも1.0T以上になっている。また応
力σも、低く抑えられている。
【0118】また次亜燐酸(H3PO2)を添加して形成
された軟磁性膜の場合も同様に、良好な軟磁気特性を有
していることがわかる。
【0119】図3は、メッキ浴中にアミノ系有機材料と
して、エチレンジアミン(EDA)、及びジエチレント
リアミン(DETA)を添加して形成された軟磁性膜の
平均結晶粒径と、比抵抗ρとの関係について調べた。前
記平均結晶粒径は、X線回折の回折プロファイルの半値
幅から測定した値である。また比較例として、アミノ系
有機材料を添加していないNiFe合金膜の平均結晶粒
径と比抵抗ρとの関係についても調べた。なおエチレン
ジアミン(EDA)の添加量は約600ppm、ジエチ
レントリアミン(DETA)の添加量は約20ppmで
あった。なお、メッキ浴の諸条件は、図2の場合と同じ
である。
【0120】図3に示すように、エチレンジアミン(E
DA)、及びジエチレントリアミン(DETA)を添加
した軟磁性膜の場合には、アミノ系有機材料を添加しな
いNiFe合金膜の平均結晶粒径に比べて小さい平均結
晶粒径を有していることがわかる。そして、平均結晶粒
径が小さいほど比抵抗ρを上昇させることが可能になっ
ている。
【0121】このように、エチレンジアミン(EDA)
や、ジエチレントリアミン(DETA)などのアミノ系
有機材料を添加することによって、平均結晶粒径を微細
化することができ、本発明では図3に示す実験結果によ
り、好ましい平均結晶粒径を80Å以下、より好ましい
平均結晶粒径を60Åから80Åの範囲内とした。
【0122】図2及び図3に示す実験結果により、本発
明では、アミノ系有機材料の添加し、平均結晶粒径を適
正化することにより、比抵抗ρを60μΩ・cm以上に
できることがわかる。なお比抵抗ρを80μΩ・cm以
上にするとより好ましく、100μΩ・cm以上にする
と、さらに好ましい。
【0123】図4から図6は、軟磁性膜に占めるFe量
と各軟磁気特性との関係を示すグラフである。なお実験
では、濃度の異なるFeイオンとNiイオンを有する各
メッキ浴中に、約600ppmのエチレンジアミン(E
DA)を添加して、Fe量の異なる軟磁性膜をメッキ形
成した。またメッキ浴のpHは1.5、温度は20℃で
統一されている。
【0124】図4ないし図6に示す点線は、アミノ系有
機材料を添加しない比較例としてのNiFe合金の実験
結果である。
【0125】図4は、Fe量と比抵抗ρとの関係を示す
グラフである。図4に示すように、エチレンジアミン
(EDA)を添加した軟磁性膜(実施例)の場合及びN
iFe合金膜(比較例)場合共に、Fe量を増やせば、
比抵抗ρを上昇させることが可能であるが、実施例の方
が、比較例の場合に比べて、比抵抗ρを向上させること
が可能になっていることがわかる。これは前述したよう
に、アミノ系有機材料を添加したことによる平均結晶粒
径の微細化が原因である。
【0126】なお図4に示すように、Fe量を30質量
%以上にすれば、比抵抗ρを120μΩ・cm以上にで
きることがわかる。
【0127】図5は、Fe量と保磁力Hcとの関係を示
すグラフである。図5に示すように、エチレンジアミン
(EDA)を添加した軟磁性膜(実施例)の場合及びN
iFe合金膜(比較例)の場合共に、Fe量を増やせ
ば、保磁力Hcを低下できることがわかる。
【0128】図5に示すように、実施例の場合は、比較
例の場合に比べて、保磁力Hcはやや高くなってしまう
が、Fe量を30質量%以上にすれば、実施例と比較例
とでは、ほとんど保磁力Hcは変わらなくなることがわ
かる。
【0129】図6は、Fe量と飽和磁束密度Msの関係
を示すグラフである。図6に示すように、エチレンジア
ミン(EDA)を添加した軟磁性膜(実施例)の場合及
び比較例としてのNiFe合金膜(比較例)の場合共
に、Fe量を増やせば、飽和磁束密度Msを上昇させる
ことができる。
【0130】図6に示すように、実施例の場合は、比較
例の場合に比べて、飽和磁束密度Msはやや低くなって
しまうが、Fe量を30質量%以上にすれば、1.0T
(テスラ)以上の飽和磁束密度Msを得ることができる
とわかる。
【0131】以上のように、組成元素に少なくともF
e、Ni及び元素X(ただしXは、O、C、N、Sから
選ばれる1種以上の元素である)を有する軟磁性膜の平
均結晶粒径及びFe量を適正化すれば、NiFe合金よ
りも高い比抵抗ρを得ることができ、しかも前記NiF
e合金と同程度の保磁力Hc及び飽和磁束密度Msを保
つことが可能であると考えられる。具体的には前記比抵
抗ρを60μΩ・cm以上にすることができる。
【0132】しかしながら前記比抵抗ρは、メッキ浴か
らメッキ形成された軟磁性膜中に含まれるFe量や、あ
るいは平均結晶粒径のみに依存するのではなく、前記軟
磁性膜中に含まれる元素X等の量に大きく依存すること
が実験により確認されている。
【0133】また前記軟磁性膜の比抵抗ρは高いほど、
今後の高記録密度化において、渦電流損の低減を図るこ
とができて好ましいが、比抵抗ρの値は、高すぎても良
くない。前記比抵抗ρが高すぎると、今度は飽和磁束密
度Msの低下や保磁力Hcの上昇、さらには透磁率が低
下するといった問題が発生する。上記した図6の実験結
果に示すように、非磁性無機材料を含有した本発明にお
ける軟磁性膜では、前記非磁性無機材料を添加しない従
来の軟磁性膜(Ni−Fe合金)よりも飽和磁束密度M
sは小さくなってしまうが、前記飽和磁束密度Msの低
下は最小限に抑え、記録特性を有効に保つためには、前
記飽和磁束密度Msを1.0T(テスラ)以上で維持す
ることが必要である。
【0134】そこで本発明では、今後の高記録密度化に
おいて、飽和磁束密度Msの極端な低減を防止しつつ比
抵抗ρを向上させるために、軟磁性膜中に含まれるO、
C及びSの組成比と比抵抗ρとの関係について実験を行
った。
【0135】
【表2】
【0136】表2の「添加量」欄には、実験に使用した
各試料のメッキ浴中に占めるエチルジアミン(EDA)
の添加量とサッカリンの添加量とが記されている。
【0137】また表2の「組成分析値」には、各試料に
おいてメッキ形成された軟磁性膜中に占める元素をEP
MAで組成分析した結果が記されている。
【0138】また表2の「物性値」には、各試料におい
てメッキ形成された軟磁性膜の膜厚や応力、比抵抗ρが
記されている。
【0139】さらに表2の「磁気特性」には、各試料に
おいてメッキ形成された軟磁性膜の保持力Hcや、飽和
磁束密度Msが記されている。なお「保持力Hce」は
容易軸方向の保持力を、「保持力Hch」は困難軸方向
の保持力を、「飽和磁束密度Mse」は容易軸方向の飽
和磁束密度を、「飽和磁束密度Msh」は困難軸方向の
飽和磁束密度をそれぞれ示している。
【0140】またメッキ浴中に添加されるFe化合物等
の添加量、pH等は各試料において共通しており、その
条件は以下の通りである。 (メッキ浴における共通する諸条件) NiSO4の添加量:50(g/l) NiCl2の添加量:117(g/l) FeSO4の添加量:13(g/l) NaClの添加量:25(g/l) H3BO3の添加量:25(g/l) ラウリル硫酸の添加量:0.02(g/l) メッキ浴中のpH:2.5 メッキ浴中の温度:25℃ 軟磁性膜を電気メッキする際に流される電流密度:2
9.3mA/cm2 メッキ形成時間:10分 図7は、メッキ形成された軟磁性膜中に含まれるO、C
及びSの総合組成値(質量%)と、比抵抗ρとの関係を
示すグラフである。
【0141】図7に示すようにO+C+S組成比(質量
%)が上昇すればするほど、比抵抗ρは一次関数的に向
上することがわかる。
【0142】本発明では前記比抵抗ρは60μΩ・cm
以上が好ましいとしている。よって本発明では前記O+
C+S組成比は、0.6(質量%)以上であることが好
ましい。
【0143】ただし前記比抵抗ρが、どれだけ高くても
良いわけではない。前記比抵抗ρの上昇は、逆に飽和磁
束密度Msを低下させるといった問題を発生させる。そ
こで本発明では、飽和磁束密度Msが1.0T(テス
ラ)以上となるように前記比抵抗ρの上限値を決めてお
り、具体的には前記比抵抗ρは210μΩ・cm以下で
あることが好ましいとしている。
【0144】表2に示すように、いずれの試料において
も、飽和磁束密度Msh(困難軸方向の飽和磁束密度)
は1.0T(テスラ)以上になっていることがわかる。
【0145】そして図7に示すように、比抵抗ρが21
0μΩ・cmとなるときのO+C+S組成値は5.00
(質量%)であり、よって本発明では前記O+C+S組
成値の好ましい範囲を0.60(質量%)以上5.00
(質量%)以下とした。
【0146】ただし図8ないし図10に示すグラフで示
すように、上記数値範囲内において、O、C及びSがい
かなる組成比を有していてもよいわけではなく、前記
O、C及びSの個々の元素においても、比抵抗ρを60
μΩ・cm以上210μΩ・cm以下とする場合の適性
な組成範囲が存在する。
【0147】図8は、軟磁性膜中に占めるOの組成値
(質量%)と軟磁性膜の比抵抗ρとの関係を示すグラフ
である。このグラフにおいても図7と同様に、Oの組成
比が上昇すれば比抵抗ρは一次関数的に向上することが
わかる。
【0148】このグラフから軟磁性膜の比抵抗ρを60
μΩ・cm以上210μΩ・cm以下にするには、前記
軟磁性膜中に占めるOの組成比を0.40質量%以上
3.70質量%以下にすればよいことがわかる。
【0149】図9は、軟磁性膜中に占めるCの組成値
(質量%)と軟磁性膜の比抵抗ρとの関係を示すグラフ
である。このグラフにおいても図7及び図8と同様に、
Cの組成比が上昇すれば比抵抗ρは一次関数的に向上す
ることがわかる。
【0150】このグラフから軟磁性膜の比抵抗ρを60
μΩ・cm以上210μΩ・cm以下にするには、前記
軟磁性膜中に占めるCの組成比を0.11質量%以上
0.90質量%以下にすればよいことがわかる。
【0151】図10は、軟磁性膜中に占めるSの組成値
(質量%)と軟磁性膜の比抵抗ρとの関係を示すグラフ
である。このグラフにおいても図7ないし図9と同様
に、Sの組成比が上昇すれば比抵抗ρは一次関数的に向
上することがわかる。
【0152】このグラフから軟磁性膜の比抵抗ρを60
μΩ・cm以上210μΩ・cm以下にするには、前記
軟磁性膜中に占めるSの組成比を0.05質量%以上
0.43質量%以下にすればよいことがわかる。
【0153】また本発明では、比抵抗ρを80μΩ・c
m以上にすることが好ましい。従来においては前記比抵
抗ρは40μΩ・cm程度であったため、従来の比抵抗
ρの倍の比抵抗ρを有すれば、今後の高記録密度化にお
いて、より適用可能な薄膜磁気ヘッドを製造することが
できると考えられる。
【0154】図7に示すように、軟磁性膜の比抵抗ρを
80μΩ・cm以上210μΩ・cm以下とするには、
軟磁性膜中に占めるO+C+S組成値を1.16質量%
以上5.00質量%以下にすればよいことがわかる。
【0155】この場合、図8に示すように、軟磁性膜中
に占めるOの組成比を、0.87質量%以上3.70質
量%以下にすれば、前記軟磁性膜の比抵抗ρを80μΩ
・cm以上210μΩ・cm以下にすることができる。
【0156】また図9に示すように、軟磁性膜中に占め
るCの組成比を、0.21質量%以上0.90質量%以
下にすれば、前記軟磁性膜の比抵抗ρを80μΩ・cm
以上210μΩ・cm以下にすることができる。
【0157】さらに図10に示すように、軟磁性膜中に
占めるSの組成比を、0.10質量%以上0.43質量
%以下にすれば、前記軟磁性膜の比抵抗ρを80μΩ・
cm以上210μΩ・cm以下にすることができる。
【0158】また本発明では軟磁性膜の比抵抗ρを10
0μΩ・cm以上にすることがさらに好ましい。
【0159】図7に示すように、軟磁性膜の比抵抗ρを
100μΩ・cm以上210μΩ・cm以下とするに
は、軟磁性膜中に占めるO+C+S組成値を1.73質
量%以上5.00質量%以下にすればよいことがわか
る。
【0160】この場合、図8に示すように、軟磁性膜中
に占めるOの組成比を、1.30質量%以上3.70質
量%以下にすれば、前記軟磁性膜の比抵抗ρを100μ
Ω・cm以上210μΩ・cm以下にすることができ
る。
【0161】また図9に示すように、軟磁性膜中に占め
るCの組成比を、0.32質量%以上0.90質量%以
下にすれば、前記軟磁性膜の比抵抗ρを100μΩ・c
m以上210μΩ・cm以下にすることができる。
【0162】さらに図10に示すように、軟磁性膜中に
占めるSの組成比を、0.15質量%以上0.43質量
%以下にすれば、前記軟磁性膜の比抵抗ρを100μΩ
・cm以上210μΩ・cm以下にすることができる。
【0163】表2に示す試料No.2から14の軟磁性
膜は、いずれもO+C+S組成値、O組成値、C組成
値、およびS組成値が上記した数値範囲内に含まれてい
る。
【0164】表2に示すように、試料No.2から14
からメッキ形成された軟磁性膜は、組成中に占めるFe
量がいずれも30質量%以上であることがわかる。また
O/(Fe+Ni)比(%)を見ると、いずれの試料に
おいても、値はほとんど変わらないことがわかる。これ
は、仮に軟磁性膜中にOのみが含有され、C及びSが添
加されていない場合には、適切に比抵抗ρを向上させる
ことができないことを意味し、軟磁性膜中に、Oと、さ
らにC及びSを適性量含有させることで、比抵抗ρを、
今後の高記録密度化に対応できる程度に向上させること
が可能になるものと考えられる。
【0165】図11及び図12には、軟磁性膜内に含有
されたC(炭素)の化学結合状態の分析をESCAで調
べた実験結果が示されている。
【0166】図11は、サッカリンを3.0g/lと、
エチレンジアミンを800ppm添加したメッキ浴から
軟磁性膜をメッキ形成した場合の、前記軟磁性膜中に占
めるCの化学結合分析結果である。なお生成された軟磁
性膜には熱処理を施してない。
【0167】前記軟磁性膜の組成分析結果は、Feが5
7質量%、Niが39質量%、Oが3質量%であった。
なおCの組成比に関しては測定が不可能であった。
【0168】また図12は、サッカリンを3.0g/l
と、エチレンジアミンを800ppm添加したメッキ浴
から軟磁性膜をメッキ形成した場合の、前記軟磁性膜中
に占めるCの化学結合分析結果である。なお生成された
軟磁性膜には熱処理を施している。
【0169】なお前記軟磁性膜の組成分析結果は、Cが
1質量%、Feが54質量%、Niが41質量%、Oが
3質量%であった。
【0170】図11、図12共に、結合エネルギー28
4eV近傍に、C1s(炭素の1s電子)のピークがみ
られる。
【0171】ここで、結合エネルギーが約284(e
V)程度のときに示すピークは、Cが有機化合物状態に
なっており、また結合エネルギーが約283(eV)程
度のときに示すピークは、Cが金属化合物(例えばFe
3CやNi3Cであると思われる)状態になっていること
を意味している。
【0172】すなわちCは、有機化合物として、及び/
あるいは金属化合物として、軟磁性膜中に含まれるもの
と考えられることが上記実験結果により明らかにされ
た。
【0173】次にメッキ浴中のpHと、メッキ形成され
た軟磁性膜の中心線平均粗さ(Ra)との関係、および
前記中心線平均粗さ(Ra)と保持力(Hc)との関係
について調べた。
【0174】保持力については図5で説明したように、
Fe量によって左右されるが、実際には、Fe量が適性
化されていても、メッキ浴のpHが高くなると、保磁力
Hcが大きくなることが、次に示す実験結果によりわか
った。
【0175】図13は、FeイオンとNiイオンを有す
るメッキ浴中に、エチレンジアミン(EDA)を添加し
た場合の前記メッキ浴のpHと、前記メッキ浴からメッ
キ形成された軟磁性膜の膜面の中心線平均粗さ(Ra)
との関係を示すグラフである。なお実験では、メッキ浴
の温度を20℃に設定している。
【0176】図13に示すように、メッキ浴のpHが高
くなると、メッキ形成された軟磁性膜の膜面の中心線平
均粗さ(Ra)は大きくなることがわかる。これは、メ
ッキ浴のpHが大きくなることにより、成膜レートが速
まることが原因の一つとして考えられる。
【0177】図14は、前記軟磁性膜の膜面の中心線平
均粗さ(Ra)と、保磁力Hcとの関係を示すグラフで
ある。
【0178】図14に示すように、前記中心線平均粗さ
(Ra)が大きくなると、保磁力Hcが上昇することが
わかる。
【0179】すなわち図13及び図14に示す実験結果
から、メッキ浴のpHを小さくすることで、メッキ形成
された軟磁性膜の膜面の中心線平均粗さ(Ra)を小さ
くすることができ、保磁力Hcを低く抑えることができ
ることがわかる。なお中心線平均粗さ(Ra)を小さく
することにより保磁力Hcを低くできる原因の一つとし
て、保磁力Hcに影響を与える磁気異方性エネルギーの
低下が考えられる。
【0180】本発明では、保磁力Hcが118.5A/
m(エルステッド)以下を好ましい範囲とし、79A/
m以下を、より好ましい範囲とし、39.5A/m以下
をさらに好ましい範囲とした。
【0181】図14から保磁力Hcを118.5A/m
以下にできる中心線平均粗さ(Ra)は、約140Å以
下であることがわかる。また図13に示すように、メッ
キ浴のpHを、1.8以下にすれば、前記中心線平均粗
さ(Ra)を140Å以下にできることがわかる。
【0182】また図14から保磁力Hcを79A/m以
下にできる中心線平均粗さ(Ra)は、約120Å以下
であることがわかる。また図13に示すように、メッキ
浴のpHを、1.7以下にすれば、前記中心線平均粗さ
(Ra)を120Å以下にできることがわかる。
【0183】さらに図14から保磁力Hcを39.5A
/m以下にできる中心線平均粗さ(Ra)は、約50Å
以下であることがわかる。また図13に示すように、メ
ッキ浴のpHを、1.5以下にすれば、前記中心線平均
粗さ(Ra)を50Å以下にできることがわかる。
【0184】以上図2から図14に示す実験結果によ
り、本発明では、組成元素に少なくともFeとNi及び
元素X(ただしXは、O、C、N、Sから選ばれる1種
以上の元素である)を有する軟磁性膜の平均結晶粒径を
80Å以下、好ましくは60Åから80Åの範囲内と
し、さらに軟磁性膜中に占めるFe量を30質量%以上
にした。これにより比抵抗を少なくとも60μΩ・cm
以上にできる軟磁性膜をメッキ形成することができる。
【0185】さらに本発明では軟磁性膜中に含まれる
O、C及びSの量を適正化して、前記軟磁性膜の比抵抗
を、確実に60μΩ・cm以上得ることができるように
している。なお比抵抗は高すぎても飽和磁束密度Msの
低下があり好ましくなく、本発明では前記比抵抗の上限
を210μΩ・cmとしている。
【0186】上記したように本発明では、O、C及びS
の組成比を足したO+C+S組成比が、0.60質量%
以上5.00質量%以下であることが好ましいとしてお
り、この際、Oの組成比は、0.40質量%以上3.7
0質量%以下、Cの組成比は、0.11質量%以上0.
90質量%以下、Sの組成比は、0.05質量%以上
0.43質量%以下であることが好ましい。これにより
前記軟磁性膜の比抵抗ρを、60μΩ・cm以上210
μΩ・cm以下にすることができる。
【0187】また本発明では、O、C及びSの組成比を
足したO+C+S組成比は、1.16質量%以上5.0
0質量%以下であることがより好ましいとしており、こ
の際、Oの組成比は、0.87質量%以上3.70質量
%以下、Cの組成比は、0.21質量%以上0.90質
量%以下、Sの組成比は、0.10質量%以上0.43
質量%以下であることが好ましい。これにより前記軟磁
性膜の比抵抗ρを、80μΩ・cm以上210μΩ・c
m以下にすることができる。
【0188】また本発明では、O、C及びSの組成比を
足したO+C+S組成比は、1.73質量%以上5.0
0質量%以下であることがさらに好ましいとしており、
この際、Oの組成比は、1.30質量%以上3.70質
量%以下、Cの組成比は、0.32質量%以上0.90
質量%以下、Sの組成比は、0.15質量%以上0.4
3質量%以下であることが好ましい。これにより、前記
軟磁性膜の比抵抗ρを、100μΩ・cm以上210μ
Ω・cm以下にすることができる。
【0189】またFeイオンとNiイオンとさらにアミ
ノ系有機材料が添加されたメッキ浴のpHを、1.8以
下、好ましくは1.7以下、より好ましくは1.5以下
にした。なお各pHに対応してメッキ形成された軟磁性
膜の中心線平均粗さ(Ra)は、140Å以下、120
Å以下、50Å以下となる。これにより、保磁力Hcを
118.5A/m以下、好ましくは79A/m以下、よ
り好ましくは39.5A/m以下にできる。
【0190】さらに本発明における軟磁性膜では、飽和
磁束密度Msを1.0T以上にすることができる。
【0191】
【発明の効果】以上詳述した本発明では、少なくとも軟
磁性膜を構成する組成元素にFeとNiと、さらに元素
X(ただしXは、O、C、N、Sから選ばれる1種以上
の元素である)を有し、しかも平均結晶粒径を80Å以
下とし、さらにFe量を30質量%以上とすれば、Ni
Fe合金に比べ高い比抵抗ρを有し、さらに前記NiF
e合金と同程度の保磁力Hc及び飽和磁束密度Msを有
する軟磁性膜を形成することが可能である。
【0192】また本発明では軟磁性膜中に、O、C、S
を含有させることが好ましく、O、C及びSの総合組成
比、および個々の組成比を適正に調整することで、飽和
磁束密度を既存の磁性材料であるパーマロイ等と同程度
に保ちつつ、比抵抗をより確実に向上させることができ
る。
【0193】また本発明では、Feイオン及びNiイオ
ンを有するメッキ浴中に、エチレンジアミン(EDA)
等を添加した場合の前記メッキ浴のpHを適正化して、
メッキ形成された軟磁性膜の膜面の中心線平均粗さ(R
a)を小さくしており、これにより、より適性に保磁力
Hcを低く抑えることができる。
【0194】以上、高比抵抗ρ及び低保磁力Hcならび
に高飽和磁束密度Msの諸軟磁気特性を有する、少なく
ともFeとNiと元素X(ただしXは、O、C、N、S
から選ばれる1種以上の元素である)を含有した軟磁性
膜を、薄膜磁気ヘッドの上部コア層及び/または下部コ
ア層に使用すれば、記録周波数が高くなっても、渦電流
損失を低減させることができ、今後の高記録密度化、高
記録周波数化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面
図、
【図2】FeイオンとNiイオンを有するメッキ浴中
に、様々なアミノ系有機材料を添加した場合の前記添加
量と、前記メッキ浴から得られた各軟磁性膜の比抵抗ρ
との関係を示すグラフ、
【図3】アミノ系有機材料として、エチレンジアミン
(EDA)及びジエチレントリアミン(DETA)を選
択して得られた軟磁性膜の平均結晶粒径と比抵抗ρとの
関係を示すグラフ、
【図4】アミノ系有機材料として、エチレンジアミン
(EDA)を選択して得られた軟磁性膜のFe量と比抵
抗ρとの関係、及びNiFe合金膜のFe量と比抵抗ρ
との関係を示すグラフ、
【図5】アミノ系有機材料として、エチレンジアミン
(EDA)を選択して得られた軟磁性膜のFe量と保磁
力Hcとの関係、及びNiFe合金膜のFe量と保磁力
Hcとの関係を示すグラフ、
【図6】アミノ系有機材料として、エチレンジアミン
(EDA)を選択して得られた軟磁性膜のFe量と飽和
磁束密度Msとの関係、及びNiFe合金膜のFe量と
飽和磁束密度Msとの関係を示すグラフ、
【図7】軟磁性膜中に占めるO+C+S組成値と比抵抗
ρとの関係を示すグラフ、
【図8】軟磁性膜中に占めるO組成値と比抵抗ρとの関
係を示すグラフ、
【図9】軟磁性膜中に占めるC組成値と比抵抗ρとの関
係を示すグラフ、
【図10】軟磁性膜中に占めるS組成値と比抵抗ρとの
関係を示すグラフ、
【図11】ある所定条件でメッキ形成された軟磁性膜中
に占めるCの化学結合状態をESCAで分析した結果を
示すグラフ、
【図12】ある所定条件でメッキ形成された軟磁性膜中
に占めるCの化学結合状態をESCAで分析した結果を
示すグラフ、
【図13】アミノ系有機材料として、エチレンジアミン
(EDA)を選択したメッキ浴中のpHと、得られた軟
磁性膜の膜面の中心線平均粗さ(Ra)との関係を示す
グラフ、
【図14】図7に示す中心線平均粗さ(Ra)と、保磁
力Hcとの関係を示すグラフ、
【図15】メッキ浴のpHを1.5とし、温度を20℃
とした場合の軟磁性膜の膜面の状態を写すSEM写真、
【図16】メッキ浴のpHを3.0とし、温度を28℃
とした場合の軟磁性膜の膜面の状態を写すSEM写真、
【符号の説明】
1 下部シールド層 2 下部ギャップ層 3 磁気抵抗効果素子層 4 上部ギャップ層 5 下部コア層 6 磁気ギャップ層 7、9 絶縁層 8 コイル層 10 上部コア層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川崎 光雄 東京都大田区雪谷大塚1番7号 アルプ ス電気株式会社社内 (56)参考文献 特開 平9−63016(JP,A) 特開 平9−171925(JP,A) 特開 昭53−84830(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 10/00 - 10/32 H01F 41/14 - 41/34 G11B 5/31 - 5/325

Claims (23)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メッキ形成された軟磁性膜であって、
    成元素として、少なくともNi、Fe、O、C、及びS
    を含有し、平均結晶粒径は60Å以上で80Å以下であ
    、Fe量が57質量%以上で65質量%以下であり、
    さらに、O、C及びSの組成比を足したO+C+S組成
    比は、1.16質量%以上5.00質量%以下である
    とを特徴とする軟磁性膜。
  2. 【請求項2】 Oの組成比は、0.87質量%以上3.
    70質量%以下である請求項記載の軟磁性膜。
  3. 【請求項3】 Cの組成比は、0.21質量%以上0.
    90質量%以下である請求項1または2に記載の軟磁性
    膜。
  4. 【請求項4】 Sの組成比は、0.10質量%以上0.
    43質量%以下である請求項1ないし3のいずれかに記
    載の軟磁性膜。
  5. 【請求項5】 前記軟磁性膜の比抵抗ρは、80μΩ・
    cm以上210μΩ・cm以下である請求項1ないし4
    のいずれかに記載の軟磁性膜。
  6. 【請求項6】 O、C及びSの組成比を足したO+C+
    S組成比は、1.73質量%以上5.00質量%以下で
    ある請求項記載の軟磁性膜。
  7. 【請求項7】 Oの組成比は、1.30質量%以上3.
    70質量%以下である請求項記載の軟磁性膜。
  8. 【請求項8】 Cの組成比は、0.32質量%以上0.
    90質量%以下である請求項またはに記載の軟磁性
    膜。
  9. 【請求項9】 Sの組成比は、0.15質量%以上0.
    43質量%以下である請求項ないしのいずれかに記
    載の軟磁性膜。
  10. 【請求項10】 前記軟磁性膜の比抵抗ρは、100μ
    Ω・cm以上210μΩ・cm以下である請求項ない
    のいずれかに記載の軟磁性膜。
  11. 【請求項11】 前記軟磁性膜の膜面の中心線平均粗さ
    (Ra)は140Å以下である請求項1ないし10のい
    ずれかに記載の軟磁性膜。
  12. 【請求項12】 前記軟磁性膜の保磁力Hcは、11
    8.5A/m以下である請求項11記載の軟磁性膜
  13. 【請求項13】 前記中心線平均粗さ(Ra)は120
    Å以下である請求項11記載の軟磁性膜。
  14. 【請求項14】 前記軟磁性膜の保磁力Hcは、79A
    /m以下である請求項13記載の軟磁性膜。
  15. 【請求項15】 前記中心線平均粗さ(Ra)は50Å
    以下である請求項11記載の軟磁性膜。
  16. 【請求項16】 前記軟磁性膜の保磁力Hcは、39.
    5A/m以下である請求項15記載の軟磁性膜。
  17. 【請求項17】 前記軟磁性膜の飽和磁束密度Msは、
    1.0T以上である請求項1ないし16のいずれかに記
    載の軟磁性膜。
  18. 【請求項18】 Feイオン、Niイオンを有するメッ
    キ浴中に、アミノ系有機材料及びサッカリンを添加し
    て、前記メッキ浴中のpHを1.8以下に設定し、前記
    メッキ浴中の温度を20℃から28℃の範囲内に保ちつ
    つメッキ形成する工程を有することを特徴とする請求項
    1記載の軟磁性膜の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記pHを、1.7以下に保つ請求項
    18記載の軟磁性膜の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記pHを、1.5以下に保つ請求項
    19記載の軟磁性膜の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記アミノ系有機材料として、エチレ
    ンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DET
    A)、トリエチレンテトラミン(TETA)、アラニン
    (Ala)、あるいはグルタミン酸(Glu)から1種
    または2種以上を選択する請求項18ないし20のいず
    れかに記載の軟磁性膜の製造方法。
  22. 【請求項22】 磁性材料製の下部コア層と、記録媒体
    との対向面で前記下部コア層と磁気ギャップを介して対
    向する上部コア層と、両コア層に記録磁界を誘導するコ
    イル層とを有する薄膜磁気ヘッドにおいて、前記上部コ
    ア層及び/または下部コア層は、請求項1ないし17
    いずれかに記載された軟磁性膜により形成されることを
    特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載の薄膜磁気ヘッドの
    下に、記録信号を検出するための磁気抵抗効果素子が設
    けられていることを特徴とする複合型薄 膜磁気ヘッド。
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