JP3442139B2 - 樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

樹脂組成物およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は樹脂組成物およびその製
造方法に関する。より詳しくは、耐水性に優れた樹脂組
成物、特に人造大理石の製造に適した樹脂組成物および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】不飽和ポリエステル樹脂やポリメチルメ
タクリレート、ビニルエステル樹脂等の反応性樹脂に無
機フィラーを充填した組成物から製造した人造大理石
は、その外面の高級感に加えて、成形加工性に優れてい
ることから、現在では、各種浴槽、システムキッチン、
カウンタートップ等に広く利用されるようになってきて
いる。これら人造大理石は、特に水回りで使用されるこ
とが多く、そのために高度な耐水性が要求される。しか
しながら、一般に、人造大理石の樹脂成分と無機フィラ
ーとは濡れ性が悪いため、長期間浸水状態で使用した場
合、人造大理石の原料樹脂と無機フィラーとの界面に水
分が溜まり、強度が低下したり、外観が白く変色してく
る等の問題がある。そこで、従来より人造大理石の樹脂
成分と無機フィラーとの界面の濡れ性を向上させる目的
で、樹脂原料と反応性を有する各種シランカップリング
剤、特にビニル系シランカップリング剤が用いられてき
た。ビニル系シランカップリング剤は、上記界面の濡れ
性を向上させるとともに、樹脂と無機フィラーを化学反
応によりカップリングすることから、人造大理石の耐水
性をも向上させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の
傾向として、24時間入浴可能な浴槽への関心が高まっ
ているが、このような場合、従来のビニル系シランカッ
プリング剤を使用したものでは耐水性が不十分であり、
耐水性のさらに優れた人造大理石が要望されている。本
発明はこのような状況を考慮してなされたものであり、
より耐水性に優れた人造大理石等を製造し得る樹脂組成
物およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記従来
技術の問題点を検討したところ、樹脂原料と無機フィラ
ーまたは無機繊維およびビニル系シランカップリング剤
に加え、加水分解性基を有し反応性官能基を持たない特
定構造の非反応性有機シラン化合物を用いて製造した樹
脂組成物から、耐水性の非常に高い人造大理石が製造さ
れ得ることを見出し、さらに鋭意検討を重ね、本発明を
完成させた。
【0005】従って、本発明は、樹脂原料と、無機フィ
ラーまたは無機繊維と、ビニル系シランカップリング剤
と、次式I: Rn −SiX4-n (I) (式中、Rは非反応性有機基を表し、Xは加水分解性基
を表し、そしてnは1、2または3の整数を表す)で表
される非反応性有機シラン化合物とを混合し、硬化させ
たことを特徴とする樹脂組成物に関する。
【0006】本発明における樹脂原料とは、不飽和ポリ
エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、メチル
メタクリレートモノマーまたはビニルエステル樹脂等を
意味する。
【0007】また、本発明において用いられる無機フィ
ラーまたは無機繊維としては、例えばガラスパウダー、
ガラスフリット、ガラスバルーン、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、
マグネシア、シリカパウダー、シリカフリット、シリカ
バルーンタルク、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊
維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。なお、この無機
フィラーまたは無機繊維は単独で用いても、また、数種
の無機フィラーもしくは数種の無機繊維を組み合わせて
用いてもよいし、無機フィラーと無機繊維とを組み合わ
せて用いることもできる。上記無機フィラーまたは無機
繊維の使用量は、所望の物性等を考慮して適宜決定さ
れ、特に制限されないが、通常、樹脂原料100重量部
に対して20ないし60重量部、好ましくは30ないし
50重量部、特に30ないし40重量部である。
【0008】本発明において使用されるビニル系シラン
カップリング剤は、ビニル基、アクリロキシアルキル
基、メタクリロキシアルキル基等のエチレン系不飽和二
重結合を含む有機官能基とメトキシ基やエトキシ基等の
アルコキシ基、または塩素原子等のハロゲン原子等の加
水分解性基を持つシラン類である。具体的な化合物とし
ては、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキ
シプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロキ
シプロピル)トリエトキシシラン、γ−(アクリロキシ
プロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシ
プロピル)メチルジメトキシシラン等が挙げられる。こ
れらの化合物は通常、樹脂原料100重量部に対して
0.1ないし5.0重量部使用される。また、上記化合
物はそのまま、または加水分解して部分縮合物にして用
いてもよく、また、2種類以上を同時に用いてもよい。
【0009】また、本発明における非反応性有機シラン
化合物は上記式Iで表されるものである。式I中のRは
非反応性有機基、例えば炭素原子数1ないし20のも
の、例としてメチル基、エチル基、ヘキシル基等のアル
キル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェ
ニル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の
アルアリール基、トリル基等のアラルキル基等が挙げら
れる。基Xは加水分解性基、例えばメトキシ基もしくは
エトキシ基等の炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、
または臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原
子等である。また、nは1、2または3のいずれかの整
数である。
【0010】式Iで表される非反応性有機シラン化合物
の具体例として、メチルトリクロロシラン、メチルトリ
メトキシシラン、メチルトリス(β−メトキシエトキ
シ)シラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメト
キシシラン、ジメチルトリス(β−メトキシエトキシ)
シラン、オクチルトリエトキシシラン、シクロヘキシル
トリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェ
ニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ジフェニ
ルジクロロシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェ
ニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ベンジル
トリエトキシシラン、フェネチルトリクロロシラン、p
−トリルトリクロロシラン等を挙げることができ、これ
らの中でメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキ
シシランが特に好ましい。また、これらの化合物はその
まま、または加水分解して部分縮合物にして用いてもよ
く、また、2種類以上を同時に用いてもよい。
【0011】本発明において非反応性有機シラン化合物
は、樹脂原料100重量部に対して0.01ないし3.
0重量部使用されるのが好ましく、特に好ましい使用量
は樹脂原料100重量部に対して0.05ないし2.0
重量部である。これは、非反応性有機シラン化合物の使
用量が上記範囲より少ないと、樹脂組成物自身の強度お
よび耐水性が不十分であり、また、上記範囲より多くし
ても、樹脂組成物自身の強度および耐水性がさらに向上
することがなく、経済性の観点より好ましくなく、さら
に、加熱による着色等の問題が起こる場合があることに
よる。また、この非反応性有機シラン化合物は、好まし
くはビニル系シランカップリング剤100重量部に対し
て10ないし150重量部、特に好ましくは20ないし
60重量部の範囲で使用されるのが好ましい。これは、
非反応性有機シラン化合物の使用量が上記範囲より少な
いと、樹脂組成物自身の強度および耐水性の改善が不十
分であり、また、上記範囲より多くしても、改良された
強度および耐水性が徐々に低下することによる。
【0012】本発明はまた、樹脂原料に無機フィラーま
たは無機繊維と、ビニル系シランカップリング剤と、次
式I: Rn −SiX4-n (I) (式中、Rは非反応性有機基を表し、Xは加水分解性基
を表し、そしてnは1、2または3の整数を表す)で表
される非反応性有機シラン化合物とを添加し、硬化させ
ることを特徴とする樹脂組成物の製造方法に関する。
【0013】本発明において、無機フィラーまたは無機
繊維と、ビニル系シランカップリング剤と、上記式Iで
表される非反応性有機シラン化合物とは、それぞれ樹脂
原料に添加されても、無機フィラーまたは無機繊維が、
ビニル系シランカップリング剤または式Iで表される非
反応性有機シラン化合物のいずれか一方または両方で予
め処理された後に樹脂原料に添加されてもよい。無機フ
ィラーまたは無機繊維を予め処理する場合、慣用である
それらのシランカップリング剤処理方法で行うことがで
きる。例えば、無機フィラーの場合、これにビニル系シ
ランカップリング剤と非反応性有機シラン化合物の混合
物を直接または溶媒に溶解して添加し、ヘンシェルミキ
サー等の混合器により混合した後、加熱処理してビニル
系シランカップリング剤および非反応性有機シラン化合
物と無機フィラーとを反応させればよい。硬化は80な
いし150℃で1時間以上の条件で行うのが好ましい。
また、無機繊維の場合、例えば、ビニル系シランカップ
リング剤と非反応性有機シラン化合物とを適当な溶媒に
溶解させた溶液に無機繊維を浸漬した後、上記と同様の
条件で加熱処理すればよい。なお、ここでは、無機フィ
ラーまたは無機繊維が、ビニル系シランカップリング剤
と非反応性有機シラン化合物の両方で予め処理される例
を示したが、いずれか一方で処理され、他方の成分は単
に添加してもよいことはいうまでもない。
【0014】本発明において、樹脂組成物の硬化のため
には、樹脂硬化剤、例えばアゾビスイソブチロニトリ
ル、ベンゾイルパーオキサイド等の公知のアゾ化合物や
過酸化物が使用可能である。また、この目的のために、
ナフテン酸コバルトやオクテン酸コバルト等の遷移金属
塩類と、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイ
ソブチルケトンパーオキサイド、クメンヒドロパーオキ
サイド等の有機過酸化物とからなる酸化還元触媒系等を
用いることにより、常温で硬化させることもできる。
【0015】本発明はさらに、上記本発明の樹脂組成物
から製造された物品、例えば人工大理石等に関する。こ
の人工大理石は従来のものに比べ、より高い耐水性を有
し、各種浴槽、システムキッチン、カウンタートップ等
として好適に用いられる。
【0016】
【実施例】次に、本発明の実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1〜4,比較例1〜4 不飽和ポリエステル樹脂(日本触媒化学工業株式会社
製,商品名:G−227)100重量部、メチルエチル
ケトンパーオキサイド(日本触媒化学工業株式会社製,
商品名:CAT−M)1.5重量部、ナフテン酸コバル
ト(昭和高分子株式会社製,商品名:促進剤コバルト
N)1.5重量部およびガラスパウダー(フェロー株式
会社製,商品名:フリット♯3134)40重量部に対
して、ビニル系シランカップリングおよび非反応性有機
シラン化合物を表1に示す割合でそれぞれ配合する。各
々の配合物を十分に混合し、減圧脱泡してから型枠に注
入し、室温にて12時間硬化させた後、60℃で8時間
さらに硬化させ、型枠から外し、5cm×5cmの大き
さの試験片に切断した。該試験片を用いて、JIS A
−5704 7−3項の煮沸試験法に準ずる煮沸試験を
12サイクルで行い、試験前後の試験片の光線透過率の
測定を行った(JIS A−5705 6−4項に準
拠,測定機:直読ヘーズコンピューター,スガ試験機株
式会社製)。結果は表1にまとめて示す。
【0017】
【表1】
【0018】表1に示されるように、本発明の各実施例
は、非反応性有機シラン化合物とビニル系シランカップ
リング剤とを一緒に用いない比較例に比べ、試験前後の
光透過率の残存率が高い。すなわち、煮沸試験後の光線
透過率の低下比率が低い。これは、本発明の樹脂組成物
が従来のものに比べ耐水性に優れていることを示すもの
である。
【0019】実施例5〜8,比較例5〜7 不飽和ポリエステル樹脂(日本触媒化学工業株式会社
製,商品名:G−227)100重量部、メチルエチル
ケトンパーオキサイド(日本触媒化学工業株式会社製,
商品名:CAT−M)1.5重量部、ナフテン酸コバル
ト(昭和高分子株式会社製,商品名:促進剤コバルト
N)1.5重量部および水酸化アルミニウム(昭和電工
株式会社製,商品名:ハイジライトH−32)40重量
部に対して、ビニル系シランカップリングおよび非反応
性有機シラン化合物を表2に示す割合でそれぞれ配合す
る。各々の配合物を十分に混合し、減圧脱泡してから型
枠に注入し、室温にて12時間硬化させた後、60℃で
8時間さらに硬化させ、型枠から外し、5cm×5cm
の大きさの試験片に切断した。該試験片を用いて、上記
と同様に煮沸試験を行い、光線透過率の測定を行った。
結果は表2にまとめて示す。
【0020】
【表2】
【0021】表2に示されるように、非反応性有機シラ
ン化合物を使用した本発明の各実施例は、それを使用し
ていない比較例に比べ、煮沸試験後の光線透過率の低下
比率低い。これは、本発明の樹脂組成物は耐水性に優れ
ていることを示すものである。
【0022】実施例9〜12,比較例8〜11 結晶シリカ(住友石炭鉱業株式会社製,商品名:QZ
CRYSTAL SCT−8)100重量部に対して、
ビニル系シランカップリング剤および非反応性有機シラ
ン化合物を表3に示す割合となるように混合した混合物
をイソプロパノールに溶解し、両化合物を合わせた濃度
が40重量%となるような溶液を調製し、ヘンシェルミ
キサー(三井三池加工機株式会社製)にて10分間混合
した後、120℃のオーブン中で1時間乾燥させて、結
晶シリカの表面処理を行った。該表面処理物の結晶シリ
カの量に換算して40重量部を、ポリメチルメタクリレ
ート(三菱レイヨン株式会社製,商品名:BR−85)
60重量部、メチルメタクリレートモノマー(三菱レイ
ヨン株式会社製)40重量部と混合し、これにアゾビス
イソブチロニトリル(和光純薬株式会社製)0.025
重量部を添加した後、型枠に注入し、80℃で6時間硬
化させ、型枠から外し、5×5cmの大きさの試験片に
切断した。該試験片を用いて、上記と同様に煮沸試験を
行い、光線透過率の測定を行った。結果は表3にまとめ
て示す。
【0023】
【表3】
【0024】表3に示されるように、本発明の各実施例
は、非反応性有機シラン化合物とビニル系シランカップ
リング剤とを一緒に用いない比較例に比べ、煮沸試験後
の光線透過率の低下比率が低い。これは、本発明の樹脂
組成物が従来のものに比べ耐水性に優れていることを示
すものである。
【0025】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の樹
脂組成物は、これまで得られたことのない程度に高い耐
水性を示すものであり、長時間浸水状態で使用される物
品の成形にも適用可能である。また、本発明の樹脂組成
物の製造方法によれば、耐水性が高められた樹脂組成物
を、簡単な操作で製造することができる。このような非
常に優れた耐水性を有する本発明の樹脂組成物から製造
した人工大理石は、近年関心が高まっている24時間入
浴可能な浴槽や、水との接触が長時間継続するシステム
キッチン、カウンタートップ等の水回りの物品として特
に優れた効果を発揮し、その産業的価値は極めて高いも
のである。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂原料と、無機フィラーまたは無機繊
    維と、ビニル系シランカップリング剤と、次式I: Rn −SiX4-n (I) (式中、Rは非反応性有機基を表し、Xは加水分解性基
    を表し、そしてnは1、2または3の整数を表す)で表
    される非反応性有機シラン化合物とを混合し、硬化させ
    たことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 式Iで表される非反応性有機シラン化合
    物をビニル系シランカップリング剤100重量部に対し
    て10ないし150重量部含有する請求項1記載の樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 樹脂原料に無機フィラーまたは無機繊維
    と、ビニル系シランカップリング剤と、次式I: Rn −SiX4-n (I) (式中、Rは非反応性有機基を表し、Xは加水分解性基
    を表し、そしてnは1、2または3の整数を表す)で表
    される非反応性有機シラン化合物とを添加し、硬化させ
    ることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 無機フィラーまたは無機繊維が、ビニル
    系シランカップリング剤または式Iで表される非反応性
    有機シラン化合物のいずれか一方または両方で予め処理
    された後に樹脂原料に添加される請求項3記載の樹脂組
    成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の樹脂組成物から
    製造された物品。
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