JP3548773B2 - 熱処理炉内の断熱材保持構造 - Google Patents

熱処理炉内の断熱材保持構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱処理炉に関し、詳しくは、電子部品用のセラミック素体などを熱処理する場合に用いられる熱処理炉内の断熱材保持構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
セラミック電子部品などの製造工程において用いられる熱処理炉は、例えば1700℃というような極めて高い温度にさらされるため、通常、炉本体内の熱処理ゾーンの内周面には、セラミックファイバー系の断熱材による内張りが施されている。そして、この断熱材を保持する方法の一つとして、スタッドにより断熱材を保持する方法が知られている。
【0003】
図3はその一例を示すものであり、断熱材Aは、炉本体51の天井部61を構成する外壁部60に最も近い最外断熱材層53、中間断熱材層54及び炉本体51の内部の熱処理ゾーン52に最も近い最内断熱材層55からなる3層構造を有している。そして、この断熱材Aは、アルミナや炭化ケイ素などから形成されたスタッドピン56、ワッシャ57、ボルト58,及びナット59からなるスタッド(以下、「保持部材」という。)Hにより炉本体51に保持、固定されている。
【0004】
なお、図3は、炉本体51の天井部61を構成する外壁部60への断熱材Aの保持構造を示しているが、炉本体51の側壁部の断熱材(図示せず)も同様の構造により保持されている。
【0005】
しかし、上記従来の断熱材保持構造においては、炉本体51内の加熱ゾーン52に近い位置に配設された保持部材(スタッドピン56やワッシャ57など)Hが高温(例えば、1400〜1700℃)にさらされることによる熱ストレスや断熱材の荷重によって破損しやすく、信頼性が必ずしも十分ではないという問題点がある。また、保持部材Hのうちの数本が破損すると他の保持部材Hに大きな応力が加わり、保持部材Hが連鎖的に破損して断熱材Aの落下を招く場合がある。
【0006】
そのため、炉内が高温にさらされるような場合には、多数の位置で、多数の保持部材Hを用いて断熱材Aを保持することが必要となる。その結果、保持部材Hから炉本体51の外壁部60への伝熱による熱損失が大きくなり、エネルギーの消費量が増大するばかりでなく、炉本体51の外壁部60の温度上昇を招いて歪みや腐食を引き起こすという問題点がある。さらに、断熱材Aに保持部材Hを貫通させるための穴62を多数形成することが必要になるため、最内断熱材層55などにクラックが発生しやすいという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、保持部材の破損を防止することが可能で信頼性に優れ、しかも、保持部材から炉本体への伝熱による熱損失が少なく、炉本体の外壁部の歪みや腐食の発生を抑制することが可能な熱処理炉内の断熱材保持構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明(請求項1)の熱処理炉内の断熱材保持構造は、
炉本体内に内張りされる断熱材を、最も炉本体外壁部に近い最外断熱材層から、最も内側の最内断熱材層までの複数層に分割し、
各断熱材層を、保持しようとする断熱材層から最外断熱材層までを貫通して炉本体に固定された保持部材により分割して保持した熱理炉内の断熱材保持構造であって、
前記最内断熱材層の表面、及び、前記各断熱材層間の少なくとも一つに耐熱材プレートを配設し、前記各耐熱材プレートより外側の断熱材層を、前記各耐熱材プレートから前記最外断熱材層までを貫通して炉本体に固定された保持部材により保持したこと
を特徴としている。
【0009】
断熱材を、最外断熱材層から最内断熱材層までの複数の断熱材層に分割し、保持しようとする断熱材層を、該断熱材層から最外断熱材層までを貫通して炉本体に固定された保持部材により分割して保持した熱理炉内の断熱材保持構造において、最内断熱材層の表面、及び、各断熱材層間の少なくとも一つに耐熱材プレートを配設し、各耐熱材プレートより外側の断熱材層を、各耐熱材プレートから最外断熱材層までを貫通して炉本体に固定された保持部材により保持することにより、例えば、保持部材の構成部材としてワッシャを用いた場合におけるワッシャの断熱材層へのめり込みを防止して、断熱材の損傷を防止することが可能になるとともに、断熱材が損傷した場合に生じる断熱材の破片やくずなどの落下を防止することが可能になる。
また、最内断熱材層の表面、及び、各断熱材層間の少なくとも一つに耐熱材プレートを配設し、各耐熱材プレートから最外断熱材層までを貫通して炉本体に固定された保持部材により断熱材層を保持するようにしているので、炉内の熱処理ゾーンの高温にさらされる保持部材の数を減少させて、保持部材が損傷する割合を減らすことが可能になる。また、高温にさらされる保持部材の数が減少するため、保持部材から炉本体の外壁部への伝熱による熱損失を減らすことが可能になるとともに、炉本体の外壁部の温度上昇を抑制して、歪みや腐食の発生を抑制することが可能になる。さらに、最内断熱材層に形成すべき保持部材貫通穴の数を減らすことが可能になり、最内断熱材層へのクラックの発生を抑制することが可能になる。
【0010】
また、本発明(請求項2)の熱処理炉内の断熱材保持構造は、前記耐熱材プレートが、アルミナ、ムライト、炭化ケイ素、及びジルコニアからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるものであることを特徴としている。
アルミナ、ムライト、炭化ケイ素、ジルコニアの少なくとも1種からなる耐熱材プレートを用いることにより、耐熱材プレートの変形や破損を防止することが可能になり、保持部材の断熱材層へのめり込みや、断熱材の破片の落下などを防止することが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0012】
[本発明が関連する技術にかかる熱処理炉の断熱材保持構造]
図1は、本発明が関連する技術にかかる熱処理炉の断熱材保持構造を示す断面図である。この熱処理炉においては、その天井部11に内張りされた断熱材Aは、炉本体1の天井部11を構成する外壁部10の外側から順に配設された第1断熱材層3、第2断熱材層4及び炉本体1の内部の熱処理ゾーン2に最も近い第3断熱材層5の3層の断熱材層から構成されている。そして、上記断熱材Aを構成する3層の断熱材層のうち、第1断熱材層3及び第2断熱材層4の2層の断熱材層が外側断熱材層(最外断熱材層)21を構成しており、第3断熱材層5は、一層で内側断熱材層22を構成している。また、断熱材層Aを構成する各断熱材層3,4,5は、モルタル(不定形耐火物)により互いに接着されている。
【0013】
そして、この3層構造の断熱材Aが、アルミナや炭化ケイ素などから形成されたスタッドピン6、ワッシャ7、ボルト8,及びナット9からなる保持部材H1,H2により炉本体1に保持、固定されている。
【0014】
具体的には、上記外側断熱材層21は、ナット9により内側外壁部10aに取り付けられたボルト8、ボルト8に連結されたスタッドピン6及びワッシャ7からなる第1保持部材(短尺保持部材)H1により炉本体1に保持、固定されている。また、内側断熱材層22は、ナット9により内側外壁部10aに取り付けられたボルト8、ボルト8に連結されたスタッドピン6及びワッシャ7からなる第2保持部材(長尺保持部材)H2により炉本体1に保持、固定されている。
【0015】
また、炉本体1の側壁部31に内張りされた断熱材Bは、炉本体1の側壁部31側(外側)の断熱材層32、炉本体1の内部の熱処理ゾーン2に面する内側の断熱材層33の2層の断熱材層から構成されており、この2層構造の断熱材Bが、、断熱材Bを貫通するアルミナや炭化ケイ素などからなるスタッドピン6、ワッシャ7、ボルト8,及びナット9からなる第3保持部材H3により炉本体1に固定、保持されている。すなわち、側壁側の断熱材Bに関しては、これを保持する第3保持部材H3に、上記の天井部側の断熱材を保持する場合ほど大きな荷重がかからないため、従来の断熱材の保持構造と同様の保持構造を採用している。
【0016】
上記の熱処理炉においては、断熱材Aを、外側断熱材層21と内側断熱材層22とに分割し、外側断熱材層21を、外側断熱材層21を貫通して内側外壁部10aに取り付けられた第1保持部材H1により保持し、内側断熱材層22を内側断熱材層22及び外側断熱材層21を貫通して内側外壁部10aに取り付けられた第2保持部材H2により保持するようにしているので、熱処理ゾーン2の高温にさらされる第2保持部材H2は、内側断熱材層22のみを保持すればよいことになる。従って、高温にさらされる第2保持部材H2に加わる荷重を減少させて、第2保持部材H2が破損することを効率よく防止することが可能になり、信頼性を向上させることが可能になる。
【0017】
また、外側及び内側断熱材層21,22がそれぞれ第1及び第2保持部材H1,H2により保持されるため、高温にさらされる第2保持部材H2の数を減らして、第2保持部材H2から炉本体1の外壁部10への伝熱による熱損失を減少させることができる。したがって、炉本体1の天井部11を構成する外壁部10の温度上昇を抑制することが可能になり、炉本体1の歪みや腐食の発生を抑制することができる。また、内側断熱材層22に形成すべき保持部材貫通穴12の数を減らして内側断熱材層22にクラックが発生することを防止することができる。
【0018】
なお、ここでは、断熱材Aを構成する各断熱材層3,4,5をモルタルにより互いに接着するようにしているので、接着による保持力により、第1及び第2保持部材H1,H2に加わる荷重をさらに軽減することが可能になる。但し、各断熱材層3,4,5は必ずしも互いに接着しなければならないものではない。
【0019】
また、ここでは、外側断熱材層21を第1断熱材層3及び第2断熱材層4の2層の断熱材層からなる構造とした場合について説明したが、外側断熱材層21を単一の断熱材層から構成するようにしてもよく、また、断熱材Aを第1,第2及び第3断熱材層3,4,5からなる3層構造とし、各層をそれ用の保持部材で保持するように構成することも可能である。また、内側断熱材層22を複数の断熱材層から構成することも可能である。なお、断熱材を複数の層に分割する場合の分割数には特別の制約はなく、4層以上に分割することも可能である。
【0020】
また、ここでは、天井部に取り付けられる断熱材についてのみ本発明の保持構造を適用した場合について説明したが、側壁側に内張りされる断熱材に本発明の保持構造を適用することも可能である。
【0021】
[実施形態]
また、図2は、本発明の実施形態にかかる熱処理炉の断熱材保持構造を示す断面図である。
この実施形態の断熱材保持構造においては、炉本体1の天井部11に内張りされた断熱材Aは、炉本体1の天井部11を構成する外壁部10の外側から順に配設された第1断熱材層3、第2断熱材層4及び炉本体1の内部の熱処理ゾーン2に最も近い第3断熱材層5の3層の断熱材層から構成されている。そして、上記断熱材Aを構成する第2断熱材層4及び第3断熱材層5の間、及び第3断熱材層5の表面(熱処理ゾーン2側の表面)にはそれぞれ、アルミナ、ムライト、炭化ケイ素、及びジルコニアなどからなる耐熱材プレート23,24が配設されている。
【0022】
そして、耐熱材プレート23より外側の断熱材層(第1断熱材層3、第2断熱材層4からなる外側断熱材層21)は、ナット9により内側外壁部10aに取り付けられたボルト8、ボルト8に連結されたスタッドピン6及びワッシャ7からなる第1保持部材(短尺保持部材)H1により耐熱材プレート23を介して炉本体1に保持、固定されている。また、内側断熱材層22は、ナット9により内側外壁部10aに取り付けられたボルト8、ボルト8に連結されたスタッドピン6及びワッシャ7からなる第2保持部材(長尺保持部材)H2により耐熱材プレート24を介して炉本体1に保持、固定されている。
その他の構成は、図1の本発明が関連する技術にかかる熱処理炉の断熱材保持構造の場合と同様であるため説明を省略する。なお、図2において、図1と同一又は相当する部分には同一符号を付している。
【0023】
この実施形態の断熱材保持構造においては、外側断熱材層21と内側断熱材層22の間及び内側断熱材層22の熱処理ゾーン2側の表面に耐熱材プレート23,24を配設し、耐熱材プレート23より外側の断熱材層21を、耐熱材プレート23から外側断熱材層21までを貫通して炉本体1の内側外壁部10aに固定された第1保持部材H1により保持するとともに、耐熱材プレート24より外側の断熱材層21,22を、炉本体1の内側外壁部10aに固定された第2保持部材H2により保持するようにしているので、前述の本発明が関連する技術にかかる熱処理炉の断熱材保持構造の場合と同様の効果が得られるとともに、第2保持部材H2を構成するワッシャ7などが内側断熱材層22にめり込んで内側断熱材層22が損傷したり、内側断熱材層22が損傷することにより生じる断熱材の破片やくずの落下を防止することが可能になる。
【0024】
なお、上記実施形態では、外側断熱材層21を第1断熱材層3及び第2断熱材層4の2層の断熱材層からなる構造とした場合について説明したが、外側断熱材層21を単一の断熱材層から構成するようにしてもよく、また、断熱材Aを第1,第2及び第3断熱材層3,4,5からなる3層構造とし、各層をそれ用の保持部材で保持するように構成することも可能である。また、内側断熱材層22を複数の断熱材層から構成することも可能である。
【0025】
また、上記実施形態では、天井部に取り付けられる断熱材についてのみ本発明の保持構造を適用した場合について説明しているが、側壁側に内張りされる断熱材にも本発明の保持構造を適用することが可能である。
【0026】
本発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、炉本体や断熱材の具体的な形状や構造、断熱材の種類などに関し、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0027】
【発明の効果】
上述のように、本発明の熱処理炉内の断熱材保持構造は、断熱材を、最外断熱材層から最内断熱材層までの複数の断熱材層に分割し、保持しようとする断熱材層を、そこから最外断熱材層までを貫通して炉本体に固定された保持部材により分割して保持した熱理炉内の断熱材保持構造において、最内断熱材層の表面、及び、各断熱材層間の少なくとも一つに耐熱材プレートを配設し、各耐熱材プレートより外側の断熱材層を、各耐熱材プレートから最外断熱材層までを貫通して炉本体に固定された保持部材により保持するようにしているので、例えば、保持部材の構成部材としてワッシャを用いた場合におけるワッシャの断熱材層へのめり込みを防止して、断熱材の損傷を防止することが可能になるとともに、断熱材が損傷した場合に生じる断熱材の破片やくずなどの落下を防止することが可能になる。
また、炉内の熱処理ゾーンの高温にさらされる保持部材の数を減少させて、保持部材が損傷する割合を減らすことができる。
さらに、高温にさらされる保持部材の数が減少するため、保持部材から炉本体の外壁部への伝熱による熱損失を減らすことが可能になるとともに、炉本体の外壁部の温度上昇を抑制して、歪みや腐食の発生を抑制することができる。
また、最内断熱材層に形成すべき保持部材貫通穴の数を減らすことが可能になり、最内断熱材層へのクラックの発生を抑制することができる。
【0028】
また、アルミナ、ムライト、炭化ケイ素、ジルコニアの少なくとも1種からなる耐熱材プレートを用いることにより、耐熱材プレートの変形や破損を防止することが可能になり、保持部材の断熱材層へのめり込みや、断熱材層からの断熱材の破片などの落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が関連する技術にかかる熱処理炉内の断熱材保持構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる熱処理炉内の断熱材保持構造を示す断面図である。
【図3】従来の熱処理炉内の断熱材保持構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 炉本体
2 熱処理ゾーン
3 第1断熱材層
4 第2断熱材層
5 第3断熱材層
6 スタッドピン
7 ワッシャ
8 ボルト
9 ナット
10 炉本体の外壁部
10a 内側外壁部
11 炉本体の天井部
12 保持部材貫通穴
21 外側断熱材層
22 内側断熱材層
23,24 耐熱材プレート
31 炉本体の側壁部
32,33 側壁部の断熱材層
A,B 断熱材
H1 第1保持部材
H2 第2保持部材
H3 第3保持部材

Claims (2)

  1. 炉本体内に内張りされる断熱材を、最も炉本体外壁部に近い最外断熱材層から、最も内側の最内断熱材層までの複数層に分割し、
    各断熱材層を、保持しようとする断熱材層から最外断熱材層までを貫通して炉本体に固定された保持部材により分割して保持した熱理炉内の断熱材保持構造であって、
    前記最内断熱材層の表面、及び、前記各断熱材層間の少なくとも一つに耐熱材プレートを配設し、前記各耐熱材プレートより外側の断熱材層を、前記各耐熱材プレートから前記最外断熱材層までを貫通して炉本体に固定された保持部材により保持したこと
    を特徴とする熱処理炉内の断熱材保持構造。
  2. 前記耐熱材プレートが、アルミナ、ムライト、炭化ケイ素、及びジルコニアからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるものであることを特徴とする請求項1記載の熱処理炉内の断熱材保持構造。
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