JP3550100B2 - 自動車用電子回路装置及びそのパッケージ製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の電子回路装置のパッケージ構造及びその製造方法に係る。例えば自動車のエンジンルーム、トランスミッション等に装着され、エンジン、自動変速機等の制御を行う電子回路装置などに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車の自動変速機の制御を電子回路で行う方式は広く採用されている。その電子回路の実装構造は各種ある。トランスミッション直付けの電子回路装置では、水、油等の浸入で電子回路がダメージを受けないように、装着場所の選定し、また、それらが浸入しないような構造がとられている。
【0003】
その構造の一例として、金属のベースに電子回路基板を装着し、このベースとカバーを抵抗溶接、レーザ溶接する等して電子回路装置内部を気密的に封止するとともに、窒素等の不活性ガスを封入する、いわゆるハーメチックシール構造が知られている。
【0004】
この構造では、電子回路の入出力端子をベースに設けたスルーホールを通して外部に引き出し、スルーホールは、絶縁抵抗の高いガラスで封止される。したがって、ベース、ガラス、端子の線膨張係数を最適に選定する必要がある。すなわち数100℃〜1000℃の高温でガラスを融解し、常温に戻したときに前記三者の部品間で、お互いに残留圧縮応力が作用するようにする必要があるためである。
【0005】
これらの材質は限定され、例えば封止材料にソーダ・バリウムガラスを用いたとき、ベース材質としては鋼板、端子は鉄ニッケル合金(鉄50%−ニッケル50%)の組み合わせとなる。
【0006】
このため▲1▼高温での酸化防止が必要で、ベースは溶融温度の高いニッケルメッキ等が必要となる。▲2▼また前記溶接ではカバーの組み合わせ材質が限定され、ベースと同じ鋼板が使用される。電子回路に発熱素子が多い場合には、放熱し易くするためベース材質としてはアルミ、銅等が好適であるが、上記したように鋼板を使用せざるを得ず、鋼板では放熱性が悪い。
【0007】
▲3▼さらには抵抗溶接ではベースとカバーとの電気的接触抵抗が均一となるよう、両者の平面度精度を高くする必要がある等、コストアップ要因がある。
【0008】
▲4▼レーザ溶接では、前記ベースに施したニッケルメッキの厚さのばらつきが溶接に影響し、溶接部分のビードが露出する。それによる錆発生を防止するための保護コーティングが必要である。▲5▼外観では確実に溶接の良否判定を行うことが難しく、気密性を確認するためにはヘリウムガスを用いたチェック法、不活性液体中に入れて気泡の発生有無をチェックするバブルリークチェック法等が必要であった。
【0009】
上記した諸々の点を改善するために、電子回路素子を搭載した回路基板を熱伝導のよい材質で製作したベースに接着し、このベースの片面を露出しつつ、回路基板及びベースをエポキシ樹脂(モールド樹脂)で封止するパッケージ技術が提案されている。
【0010】
しかしながら、この場合、例えば電子回路素子としてシリコンチップを使用し、回路基板として前記シリコンチップに近似した線膨張係数を有するガラス・セラミック基板を用い、これらの部材をエポキシ樹脂で封止する構造においては、次のような課題があった。
【0011】
すなわち、前記回路基板やベースを埋設するエポキシ樹脂のモールド工程(トランスファモールド工程)時に、そのモールド樹脂(エポキシ樹脂)を硬化工程を経て型から取出した後の冷却中に、エポキシ樹脂の硬化収縮と前記基板やベースに対する線膨張係数差とによって、エポキシ樹脂と基板やベースとの境界面で剥離、または樹脂クラックが生じる。
【0012】
これは、モールド成形時におけるエポキシ樹脂等価線膨張係数(エポキシ樹脂等価線膨張係数は、そのモールド樹脂が型から取り出されて室温に冷却されるまでの成形温度時の樹脂の化学的収縮と、成形温度〜ガラス転移温度Tgまでの線膨張係数α1と、ガラス転移温度Tg〜室温までの線膨張係数α2とを合成したものであり、常温の線膨張係数に比べて約4倍の値である)がベースのそれより大きく、かつ基板の線膨張係数もベースよりさらに小さいため、基板に密着したエポキシ樹脂の収縮応力によって基板とベースとが反り、密着されていないエポキシ樹脂の部分、または密着力の弱い部分に引張り応力が働き、境界面で剥離が発生するものである。
【0013】
この剥離をなくすために、例えばベースの端面部分に密着性のよい皮膜処理を形成すると、境界面付近のエポキシ樹脂にクラックが発生してしまう問題があった。
【0014】
その対策として、硬化収縮が少なく、かつ線膨張係数の小さいエポキシ樹脂を使用する、あるいは前記ベースの端面に線膨張係数差を吸収する柔軟な樹脂コーティング処理を施す、等が考えられる。しかしながらいずれもコストアップが避けられず、安価な構造が望まれていた。
【0015】
なお、従来の公知技術には、例えば特開平7−240493号公報のように半導体素子をリードフレームに搭載してこれらの部品をモールド樹脂中に埋設してパッケージ化したものや、特開平1−205556号公報のようにICチップとそのマウント部材および放熱板をパッケージ化したものがある。これらの従来技術は、電子回路基板やそのベースまでをもモールド樹脂でパッケージしようとするものではない。ICパッケージや半導体素子よりもはるかに面積の大きい電子回路基板やベースまでも一つのモールド樹脂で実装してしまうという技術は、新たな試みである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
そして、その新たな実装技術を実現するにあたって、上記したように回路基板やベースの面積の大きさ故にそれを包むエポキシ樹脂(モールド樹脂)の収縮応力が大きくなり、それにより回路基板やエポキシ樹脂間の境界面で剥離が発生するといった課題が新たに生じた。
【0017】
本発明の目的は、上記したような新たな実装技術、すなわち電子回路基板やそのリードフレーム(ベース)までをもモールド樹脂によりパッケージ化する場合に、上記課題を低コストでしようとするものである。そして、放熱性、防水性に優れ、しかも熱応力によるモールド樹脂と回路基板,ベースとの剥離やクラックのない、安価な自動車用電子回路装置を提供しようとするものである。
【0018】
さらに、前記自動車用電子回路装置のパッケージを歩留まり良く製造できるパッケージ構造及び製造方法を提供しようとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、基本的には次のように構成する。
【0020】
すなわち、本発明のパッケージ構造は、電子回路素子を載置した回路基板からなる電子回路と、前記電子回路を搭載するリードフレームと、前記リードフレームの一部に設けられたフランジ部と、リードとを備え、
前記電子回路とリードとが電気的に接続され、このリード及び前記フランジの一部を除いて前記回路基板,リードフレーム,リード,フランジが一括してモールド樹脂に埋設され、かつ前記リードフレームには、中央付近の上面に前記回路基板より小面積で該回路基板の中央部を支持する突起が形成されており、この突起の周辺に複数の樹脂流通孔が設けられ、前記突起に前記回路基板の中央部裏面が接着されていることを特徴とする。
【0021】
また、その製造方法として、前記回路基板が前記リードフレームに突起を介して支持された状態で、これらの部品がモールド成形に供せられ、
モールド成形の型は、樹脂を注入するためのランナゲート部とは反対側に、モールド成形時に余分の樹脂を受け入れるようにしたオーバーフローキャビティを設置し、前記型内およびオーバーフローキャビティに樹脂を流しつつモールド成形を行うことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図1〜図17に示す。
図1は本実施例に係る自動車用電子回路装置(コントロールユニット)1の平面図、図2及び図3はその見る方向を変えた一部断面側面図である。
【0023】
フランジ部2cを有するリードフレーム2に、回路素子5および回路基板6からなる電子回路4が搭載されている。この搭載は、回路基板6をリードフレーム2上に接着することで行われる。その接着態様については後述する。
【0024】
2aはリードフレーム2の一部を切り離して形成されたリード(端子)である。リード2aと外部の接続対象物(図示せず)を電気的に接続する場合には、リード2aが外部対象物のハーネス・コネクタ、またはハーネス端子に溶接等で接続される。
【0025】
電子回路4とリード2aとは、熱圧着,超音波等のワイヤボンディング法でアルミ細線8を介して電気的に接続されている。
【0026】
電子回路4をリードフレーム2上に搭載し、電子回路4とリード2aとを接続した後、これらの部品(回路素子5,回路基板6,リードフレーム2,リード2a)を一括してモールド樹脂(以下、封止樹脂と称する)3中にリード2aの一部やフランジ2cの一部を除いて埋設する。
【0027】
封止樹脂3は、トランスファモールド成形によって製作する。トランスファモールド成形は、一般に封止樹脂としてエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を使用する方法で、粉末を圧縮成形したタブレット状のエポキシ樹脂を、型内で所定の温度、圧力を印加することにより融解および固化させるものである。LSI(大規模集積回路)等のチップのパッケージとして広く採用されている。
【0028】
封止樹脂3は、とくに低線膨張係数の樹脂とし、内部部品を全体的に包む。また、樹脂3は、内部部品との密着力を常に保持するため、また、はんだ付け部や半導体チップと基板との細線ワイヤボンディング接続部等に熱応力によっての剥れ及び断線が生じないようにするため、最適な物性値が選定される。
【0029】
自動車用の電子回路装置は、使用時の熱応力繰返しにより、樹脂3とリード2a,リードフレーム2とのそれぞれの密着界面からの水,油等の浸入が懸念される。その点については、リード2aおよびリードフレーム2と封止樹脂3との線膨張係数差を極力小さくし、それら部材間での熱応力を低減したり、リード2aおよびリードフレーム2に特殊な表面処理(例えばアルミキレート処理)を施し、樹脂と部材との境界部分で共有結合させる手法により解決可能である。
【0030】
リード2aおよびリードフレーム2は熱伝導の良い銅、または銅系の合金材が選定される。回路基板6はセラミック、ガラス・セラミック、エポキシ・ガラス板等、適宜の材質が選定され、所定の回路パターンが形成されている。
【0031】
図4は本実施例に係る電子回路装置の要部断面図であり、図3に対応するものである。
【0032】
図4に示すように、リードフレーム2の中央付近の上面には、回路基板6より小面積で該回路基板6の中央部のみを支持する突起7が形成され、突起7に回路基板6の中央部裏面が接着される基板支持構造をなしている。
【0033】
回路基板6には、図示されない配線パターンが形成され、また、基板上に回路素子5とボンディングパッド9がはんだ接続されている。
【0034】
リードフレーム2には、中央付近に回路基板6の中央を接着剤10を介して支持する突起7を設けるほかに、基板6の四隅を支持する突起11が配設されている。これらの突起7及び11は、リードフレーム2をプレス加工することで形成される。
【0035】
実施例では、突起11を4個設けているが、回路基板6の大きさ、形状、回路パターンのレイアウト等により、任意の個数を選定できる。この突起11を設けないと、中央付近のみの接着領域では、基板6の平面度誤差やリードフレーム2と平面と突起7の上面との平行度誤差等により、基板6が傾いて接着されてしまうことになる。
【0036】
ボンディングパッド9とリード2aには、熱圧着,超音波等のワイヤボンディング法によりアルミの細線8が接続されている。
【0037】
リードフレーム2の具体的仕様を例示すれば、それは熱伝導率の高いリン青銅の板を選定して、プレス加工し、図4を参照すれば、厚さ(t)は0.64mm、突起7の外径(d)は5mm、高さ(h)1.44mmである。線膨張係数は、17.5ppmである。また、突起7の存在により形成された回路基板6・リードフレーム2間の間隙(g)は、0.8mmである。ちなみに、封止樹脂3に混入される充填剤の平均粒径は、30μm(0.03mm)である。したがって、この隙間には充填剤を含む封止樹脂3が充分に流入可能な空間を確保している。
【0038】
図5は、従来一般的とされた方式により回路基板6をリードフレーム2に接着した構造の、有限要素法による解析用2次元数値モデルである。Oは、基板6およびリードフレーム2の中心位置である。
【0039】
従来は一般的に回路基板6の裏面全体をリードフレーム2に接着剤10を用いて接着する構造がとられていた。この接着構造で回路基板6全体を封止樹脂3中に埋設してしまうと、接着剤10の硬化時に微小な気泡が多数接着剤中に残り、トランスファモールド工程の熱により気泡が膨張しそれが潰れ、リードフレーム2や回路基板6の接着部と封止樹脂3との密着界面付近で界面剥離する問題が発生しやすかった。
【0040】
特に封止樹脂3の硬化後、パッケージ(モールド樹脂)3を型から取出して常温まで冷却する過程において、エポキシ樹脂等価線膨張係数がリードフレーム2のそれより大きく、かつ回路基板6の線膨張係数もリードフレームよりさらに小さいため、基板に密着したエポキシ樹脂の収縮応力が基板6やリードフレーム2に作用し、これが上記気泡の膨張と相俟って、エポキシ樹脂と基板,リードフレームの密着力の弱い部分に引張り応力が働き、境界面で剥離が発生する。
【0041】
特に基板6と封止樹脂3との線膨張係数差による熱応力(剥離せん断応力)集中が、形状の急変する基板6の四隅付近に生じ、この部分で剥離が発生するものである。この部分で剥離が起きると、使用時の温度変化により更に剥離が進展する。剥離が遂には封止樹脂3のクラック、そして回路素子5の電気的接続部であるはんだ付け部、ワイヤボンディング部の断線に至る。
【0042】
ここで、基板と樹脂との界面剥離メカニズムについてより詳細に説明する。
【0043】
トランスファモールド成形された封止樹脂3とリードフレーム2とは一体化されているが、電子部品5、基板6、リード2a等との材料物性値の組み合わせ、とくに線膨張係数の差により、封止樹脂3には反りが生じる。
【0044】
この反りは、図4の例では、封止樹脂3を型から取出して冷却したとき、下側が凸方向に発生する。その理由は、一般にエポキシ樹脂の融解温度は150〜200℃、ガラス転移温度Tgは150℃前後であり、型内で硬化する際の収縮があることと、融解温度〜Tg間の線膨張係数がTg以下に比べて大きく(約4倍)、エポキシ樹脂等価線膨張係数が基板6の線膨張係数より大きいためである。
【0045】
例えば基板6がガラス・セラミックで、その線膨張係数を5.2ppm、リードフレーム2の線膨張係数を17.5ppm、封止樹脂3のみかけの線膨張係数(すなわち、前記収縮率と、溶解温度〜ガラス転移温度Tg間の線膨張係数と、ガラス転移温度Tg〜室温までの線膨張係数とを合成したエポキシ樹脂等価線膨張係数)を30ppmとすると、それぞれの線膨張係数差により、封止樹脂3に大きな収縮応力が生じる。また、基板6の上面には回路素子5を搭載するスペースが必要なため、基板6の位置は封止樹脂3の高さ方向において中央或いはそれより下側に配置される。このため樹脂3の厚さは、基板上部の方が下部より厚く、その結果、樹脂3の収縮による引張り力も基板6の上部の方が大きくなり、下側が凸となる。それによって基板6とリードフレーム2は、密着したまま下側に凸となるものである。
【0046】
このような反りにより、基板6と封止樹脂3との線膨張係数差による熱応力(剥離せん断応力)集中が基板6の四隅付近に生じるものである。
【0047】
なお、封止樹脂3の厚さの上下比率、寸法形状等が異なるときには、反りは下側に凹となる場合もある。
【0048】
したがって、本構造においては接着界面の剥離が発生、進展しない構造とすることが非常に重要な課題である。
【0049】
基板6の材質は、回路素子5の大部分を占めるシリコンチップに近い線膨張係数を有したもので、かつ封止樹脂3との線膨張係数差が少ないものが好ましく、回路規模が大きくなると、小型化するには多層の回路基板が好ましく、例えば積層ガラス・セラミック基板、もしくはセラミック基板が好適である。しかしながら前記接着構造では、既述したように基板の部分的な剥離を防止することが困難であった。
【0050】
本実施例では、上記問題について次のようにして対処し得る。以下、本発明による界面剥離防止メカニズムを図6を参照して説明する。
【0051】
図6は本発明の接着構造の、有限要素法による解析用2次元数値モデルを示す。
図5と同じくOは、基板6およびリードフレーム2の中心位置である。
【0052】
本発明では、回路基板6及びリードフレーム2全体を封止樹脂3で包み込むが、リードフレーム2は、回路基板6のうち熱応力が非常に小さい中央付近の一部のみを突起7を介して接着する。したがって、接着剤10の硬化時に微小な気泡が多数接着剤中に残り、トランスファモールド工程の熱により気泡が膨張しても、それは熱応力の小さい個所で生じているもので問題がなく、また、封止樹脂3は、リードフレーム2・基板6間にも介在することで基板下側と基板上側の肉厚のバランスがとれ、それにより基板6の四隅付近の樹脂による熱応力集中を緩和し、これらが相俟って、封止樹脂3と基板6の四隅との剥離ひいては封止樹脂3のクラック発生をなくすことができる。
【0053】
図7は、図5の従来構造と図6の本実施例に係る構造において、基板6の接着部の剥離せん断応力を、有限要素法を用いてシミュレーション解析した結果の比較図であり、基板6と接着剤10との夫々の界面A−A’,B−B’のせん断応力分布を比較したものである。
【0054】
図7における横軸の原点(y=0)は、点A、Bに対応している。これらの応力は原点に近づくに従い増加する分布を示しているため、点A,Bを起点として界面の剥離を引き起こそうとする作用を持つが、本実施例の構造では、常に従来構造の応力より著しく小さいことが分かる。
【0055】
本実施例では、上記のような効果を奏するほかに、次のような効果も奏し得る。
【0056】
すなわち、回路機能によっては高発熱素子が使用されるが、回路素子5のうち高発熱素子については、図4に示すように基板中央すなわち突起7がある位置に相当する箇所に配置すれば、突起7を介しての放熱効果も高めることができる。
【0057】
なお、電子回路4で発生する熱の一部は、基板6に実装された回路素子5の表面から封止樹脂3の熱伝導で上部に放熱され、他の一部は、基板6の下側封止樹脂3を介し、リードフレーム2の平面方向にフランジ部2cを経由して、フランジと結合される外部の相手部材(電子回路装置の取付け位置)に逃げる。
【0058】
さらに、図15に示すように、突起7の上部に、基板6を介して回路素子5の高発熱素子を配置するほかに、基板6のうち突起7上の箇所を熱伝導の良い部材、いわゆるサーマルビア30を貫通して設け、このサーマルビアを介して高発熱素子5と突起7とを接触させ、リードフレーム2に熱が伝導するようにすれば、回路素子5の温度上昇を低減することができる。
【0059】
図8は、リード2を切り離す前のリードフレーム2の詳細を示すものである。
【0060】
回路搭載部2′、リード2a、ボンディング部2b、フランジ部2c、孔部2d、つなぎ部2e、フレーム部2f、切り欠き2g、樹脂流通溝2h、突起11をプレス成形する。突起11は複数であり、突起11の周辺に設けられている。
【0061】
アルミの細線8をワイヤボンディング接続するための表面部分(ボンディングパッド)2bには、表面が酸化されないようにニッケルメッキ、銀メッキ等が部分的に施される。フランジ部2cは相手部材に固定するためのもの、孔2dは組立時の治具を位置決めするために設けたものである。
【0062】
切り欠き2gは方向性を決めるもので、製作誤差で生じるトランスファモールド成形時の型合わせ誤差を少なくする目的で設けている。また、この型に図11で示すサブアッセンブリをセットする際、逆方向にならないようにする目的も兼ねている。この切り欠き2gは、リードフレーム2が対称形状の場合、表裏が識別できる任意の形状、位置を選定すればよい。
【0063】
なお、つなぎ部2eとフレーム部2fとフランジ部2cとで閉ループ構成となっている理由は、この部分をトランスファモールド成形型で上下間を締め付けることにより、型内でエポキシ樹脂が融解して液状になった際でも、この閉ループ部により液状樹脂が外側に洩れないようにするためである。
【0064】
嵌合するリード2aの幅とモールド型との間には、製作誤差による隙間ができるため、この部分で液状のエポキシ樹脂が外部に洩れるが、閉ループ構成となっていることにより、そのループ内で硬化後に薄いバリとして残り、そしてこのバリは後工程で除去される。
【0065】
図9は、電子回路4を構成した基板6をリードフレーム2に載置し、この電子回路4を基板6介して突起7に接着したサブアッセンブリ状態を示すものである。
【0066】
接着剤10は、熱伝導の良いエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の材質で、突起7の上部に塗布した後、基板6を載置する。基板6は、接着剤10の硬化の加熱工程で液状化した際、自重で突起7の端面に接する。接着剤10は、基板6とボス7とが隙間なく結合できるよう、最適な粘度を有したものが選定される。
【0067】
図10は前記サブアッセンブリの平面図、図11はその断面図で、ワイヤボンディング作業する治具の状態を示す図である。
【0068】
前記接着作業が終了した後、リードフレーム2のリード2aの上下部を上治具12、下治具13で挟み込むとともに、基板6の下部を吸着治具14で真空吸着し、サブアッセンブリが動かないように保持する。そしてアルミ細線8を熱圧着、超音波等のワイヤボンディング法により電子回路4とリード2aとを電気的に接続する。
【0069】
ワイヤボンディング作業が終了した後、図10の点線で示す部分の封止樹脂3でトランスファモールド成形する。この成形後、リードフレーム2のつなぎ部2e、フレーム部2fを切断し、複数の独立したリード2aを形成するとともに、フランジ部2cを所定の形状に窓抜き加工、および折り曲げ加工することにより、コントロールユニット1が完成する。
【0070】
図12は、本実施例に係る電子回路装置を外部の相手部材に装着する構造を示す部分平面図、図13はその断面図、図14はその部分断面図である。
【0071】
本実施例では、一例として電子回路装置を自動車のトランスミッションに取り付けるものを例示しており、電子回路装置1を取り付ける場合には、以下に述べるようにブラケットでフランジ部2cを押えて固定する。
【0072】
15は第一のブラケット、16は第二のブラケット、17は座金、18はボルトである。第一のブラケット15には、図示していないセンサ、コネクタ、ワイヤハーネス等の部品が搭載される。第一のブラケット15の一部に舌片15aを複数設け、第二のブラケット16の小孔16aに挿入して先端部を折り曲げ、両者を一体化している。
【0073】
フランジ部2cは、第一,第二のブラケット15,16間に挟まれる。ボルト18はフランジ部2cを回避して、ブラケット15,16を通して締め付けられる。これによって、フランジ部2cはブラケット15,16により挟持され、座金17、第二のブラケット16、第一のブラケット15とともに相手部材、例えばトランミッションのボディに共締めされる形となる。
【0074】
このような取り付け構造によれば、次のような点を改善できる。
【0075】
すなわち、フランジ部2cにボルト固定用の孔を設ける構造では、フランジ部2cの面積をその分大きくしなければならず、それによってリードフレーム2の外側を大きくする必要があり、トランスファモールド成形で製品を一度に多数個取りする場合に、その取り数が少なくなる欠点がある。最小限のフランジ大きさとし、後述するように、これをブラケットで固定する方式により、この欠点をなくすことができる。
【0076】
さらに、既述したように封止樹脂3は、モールド成形時に熱収縮応力により下側などの凸状態になることもある。相手部材が平面状態のとき、例えば下側に凸状態で封止樹脂3の下面が直接この面に接したまま、リードフレーム2のフランジ部2cを固定すると、封止樹脂3の中央部が相手部材に拘束される。それにより、封止樹脂3の反りを矯正するような形となるため、封止樹脂3とリードフレーム2との接着界面に過大な応力が働き、両者間が剥離する恐れがある。
【0077】
前記した構造によれば、ブラケット15がスペーサとしての機能もなすことで、相手部材と封止樹脂3下面との間に隙間を設け、リードフレーム2の最外形付近に設けたフランジ部2cのみを押えるようにできる。したがって、上記したような過大な応力は回避でき剥離の不具合は生じない。また、第一のブラケット15と第二のブラケット16により、リードフレーム2のフランジ部2cを挟み、舌片15aを折り曲げて一体化したため、相手部材に装着する際、取扱いが容易となる利点も有する。
【0078】
次に本実施例に係る自動車用電子回路装置のパッケージ製造方法について説明する。
【0079】
図16は封止樹脂3をトランスファモールド成形する際の説明用の平面図、図17はその断面図である。
【0080】
図17において、20は成形用下型、30はその上型である。封止樹脂3を成形するための下側キャビティ21と、上側キャビティ31を夫々下型20、上型30に形成している。
【0081】
3aはエポキシ樹脂を注入するためのランナゲート部、3bはこのランナゲート部3aとは反対側に設けたオーバーフローキャビティで、夫々上型30に彫り込んで形成し、型分割面は、リードフレーム2の上面としている。オーバーフローキャビティ3bは、封止樹脂3のモールド成形時に余分の樹脂を受け入れるようにしたものである。
【0082】
成形方法について以下説明する。図10、11で示したワイヤボンディング作業が終了した後、このアッセンブリ部品を所定の温度に設定された下型20に挿入する。次いで所定の温度に設定された上型30を載せ、型締め保持する。
【0083】
ランナゲート部3aには、融解された液状のエポキシ樹脂が流入し、上下キャビティ21、22に充満した後、オーバーフローキャビティ3bに流入し、この部分に充満する。充満したエポキシ樹脂は徐々に粘度が上がり、所定の時間が経過した後、固化して封止樹脂3が形成される。
【0084】
一般にこの種の樹脂成形では、樹脂内部に空洞いわゆるボイドが生じやすい。とくに本発明の構造、すなわちリードフレーム2の中央付近に突起7を設け、その上部に基板6の中央付近を接着固定したことを特徴とする構造においては、基板6の下側とリードフレーム2の上側との間に介在する樹脂3Bが、下側キャビティ21の樹脂3Aと上側キャビティ31の樹脂3Cに比べて流動性が悪く、ボイドが発生しやすい。この理由を以下説明する。
【0085】
図17において、ランナゲート部3bから流入する樹脂は、樹脂3A、樹脂3B、樹脂3Cに分れてオーバーフローキャビティ3b側に向かって流動する。3者の樹脂が同一の流動抵抗を持っていれば、ボイドは発生しにくい。ボイドが発生するのは、3者の樹脂の流動抵抗が異なるからである。樹脂3Aはリードフレーム2の下側で、流動を阻害する部品がないが、樹脂3Bは基板6とリードフレーム2との間の狭い部分のため、樹脂3Aに比較して流動抵抗が大きい。樹脂3Cは基板6の回路素子5が搭載される部分であり、流動性が悪くなる要因はあるが、回路素子5は基板6の上面全体に搭載されている訳ではなく、高さもまちまちであり、樹脂3Bに比べると流動抵抗は小さい。実施例では、樹脂3Aと3Cとは、ほぼ同じ流動抵抗であった。
【0086】
ここで例えば樹脂3A、3Cの流動抵抗はバランスしているが、樹脂3Bの流動抵抗が大きく、オーバーフローキャビティ3bがないと仮定した場合には、樹脂3Bが遅れて流入するため、樹脂3A、3Cが樹脂3Bの周囲を取り囲むことになり、内部の空気の逃げ場がなく、ボイドとして封止樹脂3の内部に残ることとなる。
【0087】
この残存ボイドが大きいと、エポキシ樹脂充填完了時点の加圧力により、基板6が樹脂3Cで押され、クラックや変形が生じたりする。また、クラックが生じない程度のボイドであっても、発生部位によっては使用時の温度変化で封止樹脂3に微小クラックが生じ、最悪の場合には回路素子、素子結合部のはんだ、ワイヤボンディング接続部等の断線に進展する場合があり、ボイド発生を防止することは、非常に重要な課題である。
【0088】
前記樹脂の流動バランスをよくするには、樹脂3Bの厚さを厚くすればよいが、全体の封止樹脂3が厚くなり、このため基板6の下側の樹脂3Bとリードフレーム2の上側との間の熱抵抗が増加し、電子回路4の放熱効果が悪くなる問題が生じる。したがって樹脂3Bは極力薄い方が、放熱性の点からは好ましい。
【0089】
この問題をなくするため、本発明では図4、図8、図9、図15で示したように、リードフレーム2に複数の窓2hを設けている。ランナゲート3aからエポキシ樹脂が流入すると、樹脂3Aが形成される際、同時に窓2hに向かって流れる分が樹脂3Bに加わり、実質的に樹脂3Bの流動抵抗が小さくなるように作用する。したがって樹脂3A、3B、3Cの流動バランスがよくなり、ボイド発生が防止できるものである。
【0090】
しかしながら流動抵抗を3者完全に一致させることは実用上困難であり、オーバーフローキャビティ3bでその補正を行う。すなわち、エポキシ樹脂がまだ固まらない液の状態で、残留空気とエポキシ樹脂とをオーバーフローキャビティ3bに流入させ、充満した後にエポキシ樹脂が固化するようにしたものである。
【0091】
放熱性の点では、窓2hの面積は狭い方がよいが、ボイド発生防止の点からその形状、大きさ、個数、オーバフローキャビティ3bの大きさ、深さ等は流動解析や実験により最適な仕様を決定する。また、説明ではランナゲート部3aとオーバーフローキャビティ3bを上型30に設けたが、下型20に設けてもよく、さらには両者を夫々互い違いに上下型20、30に設けてもよい。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、電子回路装置において、リードフレームの中央付近に突起を設け、この突起に電子回路基板を接着する構造としたため、基板と封止樹脂との界面剥離やクラック発生を防止できる。そのため、電子回路基板やそのリードフレームまでをもモールド樹脂によりパッケージ化することを低コストで実現できた。さらに、放熱性、防水性に優れに優れた自動車用電子回路装置を提供することができる。
【0093】
さらには、上記構造のパッケージ製造において、ボイド発生のないパッケージを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る自動車用電子回路装置の一部を断面して示す平面図。
【図2】その縦断面図。
【図3】その横断面図。
【図4】本実施例の要部断面図。
【図5】基板をリードフレームに接着する構造の2次元数値モデル。
【図6】本発明の基板、リードフレーム接着構造の2次元数値モデル。
【図7】従来構造と本発明構造において、基板接着部の剥離せん断応力を、有限要素法を用いてシミュレーション解析した結果を示す説明図。
【図8】リードフレームの詳細を示す平面図。
【図9】電子回路を構成した基板をリードフレームに接着したサブアッセンブリ状態を示す断面図。
【図10】上記サブアッセンブリの平面図。
【図11】上記サブアッセンブリをワイヤボンディング作業する状態を示す図。
【図12】上記電子回路装置を外部の相手部材に装着する構造を示す部分平面図。
【図13】その側面断面図。
【図14】その部分断面図。
【図15】本発明の他の実施例を示す要部断面図。
【図16】本発明品をトランスファモールド成形する際の説明用平面図。
【図17】図16の断面図。
【符号の説明】
1…コントロールユニット(電子回路装置)、2…リードフレーム、2a…リード、2c…フランジ部、3…封止樹脂、4…電子回路、6…基板、7…突起。

Claims (4)

  1. 電子回路素子を載置した回路基板からなる電子回路と、前記電子回路を搭載するリードフレームと、前記リードフレームの一部に設けられたフランジ部と、リードとを備え、
    前記電子回路とリードとが電気的に接続され、このリード及び前記フランジの一部を除いて前記回路基板,リードフレーム,リード,フランジが一括してモールド樹脂に埋設され、かつ前記リードフレームには、中央付近の上面に前記回路基板より小面積で該回路基板の中央部を支持する突起が形成されており、この突起の周辺に複数の樹脂流通孔が設けられ、前記突起に前記回路基板の中央部裏面が接着されていることを特徴とする自動車用電子回路装置。
  2. 前記リードフレームには、中央部の突起の他に前記回路基板の隅部を支える突起が形成され、これらの突起及び前記樹脂流通孔がプレス成形されている請求項記載の自動車用電子回路装置。
  3. 少なくとも、電子回路素子を載置した回路基板と、この回路基板を支持するリードフレームと、リードとを、そのリードの一部を残して一括してモールド樹脂中に埋設するパッケージ製造方法であって、
    前記リードフレームには、中央付近の上面に前記回路基板より小面積で該回路基板の中央部を支持する突起が形成され、前記突起に前記回路基板の中央部裏面が接着された状態で、これらの部品がモールド成形に供せられ、
    前記モールド成形の型は、樹脂を注入するためのランナゲート部とは反対側に、モールド成形時に余分の樹脂を受け入れるようにしたオーバーフローキャビティを設置し、前記型内およびオーバーフローキャビティに樹脂を流しつつモールド成形を行うことを特徴とする自動車用電子回路装置のパッケージ製造方法。
  4. 前記リードフレームの前記突起周辺に樹脂流通孔を設けて、前記モールド成形を行うようにした請求項3記載の自動車用電子回路装置のパッケージ製造方法。
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