JP3552260B2 - 1−アミノ−2−インダノール類の光学分割法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は医農薬の合成中間体として有用な光学活性1−アミノ−2−インダノール類の光学分割法及び分割の過程で生成するジアステレオマー塩に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
式[(±)−I]又は式[(±)−II]で表される1−アミノ−2−インダノール類(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基を意味する。)は、それぞれ2個の不斉炭素を有しており、それぞれ2種の光学異性体が存在する([(+)−I]、[(−)−I]、[(+)−II]及び[(−)−II]と表記する。)。
【0003】
【化2】
【0004】
それらは光学異性体間で薬理活性や安全性の異なることの多い医農薬、とりわけ医薬の合成中間体として有用であり、例えばJ. Med. Chem. 1992年, 35巻, 1685 − 1701 頁の文献には光学活性シス−1−アミノ−2−インダノールの重要性が示されている。
同文献によれば、シス体はトランス体の反転法(反応式1を参照)により合成されるため、光学活性トランス−1−アミノ−2−インダノールも又重要な合成中間体である。
【0005】
【化3】
【0006】
[式中、BOC‐Phe−OHは、N−t−ブトキシカルボニル−L−(又は−D−)フェニルアラニンを、HO−BTは、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、TFAはトリフルオロ酢酸を表す。]
【0007】
上記の文献に記載されているシス−1−アミノ−2−インダノールの光学分割法を反応式1に示した。光学活性フェニルアラニン誘導体とのジアステレオマーを利用する方法であるが、クロマト分離するなど、工業的かつ経済的な方法とはいい難い。具体的に説明すれば、既知の方法により2−ブロモ−1−インダノールから容易に得られるトランス−1−アミノ−2−インダノールをベンゾイル化した後、チオニルクロリドを作用させて得られるオキサゾール環化合物を硫酸により加水分解し、アミノ基を保護したL−フェニルアラニンとの縮合の後に脱保護すれば、シリカゲルの低圧カラムクロマトグラフィーにより分離し得るジアステレオマー混合物となることを特徴とする方法である。この化合物は分離後、L−フェニルアラニン部分をはずすことによって目的とする(−)−シス−1−アミノ−2−インダノールに変換できる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは工業化可能な製造技術の確立を目指し、式[(±)−I]又は式[(±)−II]で表される1−アミノ−2−インダノール類(式中、R1、R2、R3及びR4は、上記に同じ。)の光学分割剤を探索したところ、農薬(除草剤)の製造原料として大量かつ安価に入手可能な光学活性カルボン酸(式[(+)−III]又は式[(−)−III])を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
【化4】
【0010】
即ち、本発明はラセミ体である式[(±)−I] 又は式[(±)−II]で表される1−アミノ−2−インダノール類(式中、R1、R2、R3及びR4は、上記に同じ。)を式[(+)−III]又は式[(−)−III]で表される光学活性カルボン酸と反応させた後、生成するジアステレオマー塩を分離することを特徴とする式[(±)−I] 又は式[(±)−II]で表される1−アミノ−2−インダノール類の光学分割法及び分割の過程で生成するジアステレオマー塩に関する。
【0011】
以下、化合物[(±)−I]を光学分割し、化合物[(+)−I]及びその対掌体[(−)−I]を得る方法について説明する(反応式2参照)。この方法は化合物[(±)−II]を光学分割する際にも同様に適用することができる。
化合物[(±)−I]は、上記の文献J. Med. Chem. 1992年, 35巻, 1685 − 1701 頁に記載された方法に従い、容易に合成することができる。又、光学分割剤である化合物[(+)−III]又は式[(−)−III]は、特開昭61−83144号に記載した方法に従い合成することができる。
【0012】
【化5】
【0013】
工程Aにおいて、適当な溶媒中、化合物[(±)−I]に対して、光学分割剤である化合物[(+)−III]を反応させ、晶析を行なうとジアステレオマー塩[(−)−I・(+)−III]を容易に結晶として得ることができる。この時、使用する溶媒(例えば、アセトン)によっては、それ自身が、結晶溶媒としてジアステレオマー塩に取り込まれることがあるが、光学分割に支障はない。化合物[(+)−I]及び[(−)−I]の旋光度の符号[(+)、(−)]はエタノール中での測定結果をもとにしている。同様に、光学分割剤として化合物[(−)−III]を用いるとジアステレオマー塩[(+)−I・(−)−III] を得ることができる。従って、光学分割剤を選択することにより、化合物[(±)−I] の所望の光学異性体を容易に得ることができる。
【0014】
工程Aで使用する溶媒としては特に制限はないが、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系の溶媒が好ましい。
反応温度は−20〜100℃の範囲、好ましくは10〜30℃の範囲がよい。
晶析温度は−20〜50℃の範囲、好ましくは−10〜20℃の範囲がよい。
必要であれば晶析したジアステレオマー塩を再結晶して、さらに光学純度の高い結晶性のジアステレオマー塩を得ることもできる。
【0015】
工程Bにおいては、工程Aで得られた結晶性のジアステレオマー塩[(−)−I・(+)−III]に、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等から選ばれるアルカリ水溶液を作用させてエタノール中での旋光度が左旋性を示す目的の光学活性アミン[(−)−I]を晶析させるか、又は有機溶媒で抽出することができる。あるいは酸処理の後、光学活性カルボン酸を有機溶媒抽出により除去した後に、水層をアルカリ性にすることにより目的の光学活性アミン[(−)−I]を晶析させるか、有機溶媒で抽出することもできる。。
【0016】
化合物[(−)−I]の光学純度はメチルイソシアネートと反応させて式[IV]のウレア化合物に誘導した後、光学異性体分離用の液体クロマトグラフィーカラム(ダイセル社、キラルセルOC等)を用いて分析することにより測定することができる。同様にして化合物[(+)−I]の光学純度も測定することができる。
【0017】
【化6】
【0018】
本発明の光学分割法を適用できる式[(±)−I] 又は式[(±)−II]で表される1−アミノ−2−インダノール類の置換基であるR1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、C1−C4アルキル基、C1−C4アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、又はニトロ基を意味する。
C1−C4アルキル基として、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブチル及びt−ブチルが挙げられる。
【0019】
C1−C4アルコキシ基として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、i−プロポキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ及びt−ブトキシが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0020】
[(±)−I] 又は式[(±)−II]で表される1−アミノ−2−インダノール類として、好ましくは、R1、R2、R3及びR4が水素原子であるトランス−1−アミノ−2−インダノール又はシス−1−アミノ−2−インダノールを挙げることができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0022】
実施例1
【0023】
[工程A]
(±)−トランス−1−アミノ−2−インダノール(化合物[(±)−I] ) 2.98 g( 20.0 mmol ) 及び (−)−2−(4−ヒドロキシフェノキシ)プロピオン酸(化合物[(−)−III])3.70 g ( 20.3 mmol )をアセトン 14.9 g に懸濁し、撹拌しながら加熱、還流させた。還流中にジアステレオマー塩の結晶が析出したのを確認した後、水冷して室温( 18℃)付近まで冷却し、撹拌下に30分間晶析させた。さらに撹拌を止めて冷蔵庫中( 5℃)に5時間放置した。析出した結晶を吸引濾過し、冷アセトン 7.0 gで洗浄後、減圧下室温で乾燥すると、無色結晶のジアステレオマー塩アセトン溶媒和物([(+)−I・(−)−III・アセトン] )3.25 g ( y 42% )が得られた。
IRスペクトル(cm−1): 3273, 1682, 1581, 1508, 1456, 1406, 1288, 1261, 1223, 1134, 1093, 1043, 829, 756
【0024】
[工程B]
工程Aで得られたジアステレオマー塩アセトン溶媒和物([(+)−I・(−)−III・アセトン] )3.00 g ( 7.70 mmol )にクロロホルム 100 ml 、水 100 ml 、炭酸ナトリウム 1.00 g( 9.43 mmol )、塩化ナトリウム 20.0 g を加えて振とうし、静置後、分液した。水層は、さらにクロロホルム 70 mlずつ2回で抽出し、クロロホルム層は合わせて無水硫酸ナトリウム( 30 g )と無水炭酸カリウム( 1.5 g )を加えて乾燥した。固形物は濾過し、溶媒留去することによって、無色の (+)−トランス−1−アミノ−2−インダノール 1.09 g ( y 95 % )を得た。
【0025】
この (−)−トランス−1−アミノ−2−インダノール 15 mgを取り、塩化メチレン 0.2 ml 中に懸濁し、メチルイソシアネートを一滴(約 20 mg)加えて2分間振とうした。さらに5分間放置した後、メタノール 5 ml を加えて加熱、溶解し、光学純度分析用のサンプルとした。
(光学純度分析)
光学異性体分離用カラム:キラルセルOC(ダイセル社)
溶離液:ヘキサン−イソプロパノール(4/1)
カラム温度:40℃
流量:0.7 ml/ min
検出方法:UV ( 254 nm )
保持時間:(+)体 14.9 min、(−)体 17.5 min
分析結果:97 %e.e.
Claims (4)
- 請求項1記載の式[(±)−I] 又は式[(±)−II]で表される1−アミノ−2−インダノール類を式[(+)−III]又は式[(−)−III]で表される光学活性カルボン酸と反応させた後に生成するジアステレオマー塩。
- 式[(±)−I]のR1、R2、R3及びR4が水素原子であるトランス−1−アミノ−2−インダノール又はシス−1−アミノ−2−インダノールを光学分割する請求項1記載の方法。
- 式[(±)−I]のR1、R2、R3及びR4が水素原子であるトランス−1−アミノ−2−インダノール又はシス−1−アミノ−2−インダノールを式[(+)−III]又は式[(−)−III]で表される光学活性カルボン酸と反応させた後に生成する請求項2記載のジアステレオマー塩。
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| JP1044194A JP3552260B2 (ja) | 1994-02-01 | 1994-02-01 | 1−アミノ−2−インダノール類の光学分割法 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP1044194A JP3552260B2 (ja) | 1994-02-01 | 1994-02-01 | 1−アミノ−2−インダノール類の光学分割法 |
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| JPH07215922A JPH07215922A (ja) | 1995-08-15 |
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