JP3558096B2 - 2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製造法 - Google Patents

2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下記式(1)で表される2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールは乳化重合における連鎖移動剤として賞用されている。
【化1】
Figure 0003558096
【0003】
かかる2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製造法としては、例えばトリイソブチレンと硫化水素とを三弗化ホウ素燐酸錯体や三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体などの酸触媒存在下に室温加圧下で反応させた後、反応液にエーテルを加え大量の水で触媒を洗浄除去後、エーテルを留去して2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールを得る方法が知られている(Neftechimiya,Vol.2,No.5,第735〜738頁、1962年)。しかしながら、この方法では、トリイソブチレンに対して酸触媒を0.2〜1.66倍モルと多量に用い、15〜18気圧の高圧力下、しかも反応時間を40時間〜60時間と長時間行っても目的物の収率が高々5〜37%と低い等の問題点があった。
【0004】
また、米国特許第2426647号公報には、トリイソブチレンに対して0.48モル倍の三弗化ホウ素燐酸錯体を用い、10.2気圧(ゲージ圧)、40〜45゜Fで45分間、トリイソブチレンと硫化水素とを連続的に反応させ、連続的に生成物と触媒を分離し蒸留して炭素数12のメルカプタン類を得る方法が開示されている。しかしながら、この方法では、炭素数12のメルカプタン類(75.5%)以外に、炭素数8のメルカプタン類(14.6%)、炭素数4のメルカプタン類(5.4%)やポリマー(4.5%)などが副生し、選択性が低く、目的物の純度が悪いといった問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは前記問題点を解決するべく鋭意検討を行ったところ、三弗化ホウ素錯体の酸触媒存在下にトリイソブチレンと硫化水素とを加圧下で反応を行った後、反応液が常圧に戻る前に炭酸ナトリウムなどの反応停止剤を添加して反応を終了させれば、少量の酸触媒量、反応圧力5〜10気圧、反応時間2〜6時間などのマイルドな反応条件であっても目的とする2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高収率且つ高純度で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決する為の手段】
かくして、本発明によればトリイソブチレンと硫化水素とを酸触媒の存在下、加圧下で反応させた後、反応液が常圧に戻る前に反応停止剤と接触させて反応を終了させることを特徴とする2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製造法が提供される。
【0007】
本発明に使用されるトリイソブチレンは、常法により製造され、下記式(2)および式(3)で表される二種類の異性体が存在することが知られている。これらは、単独、あるいは併用して用いることができる。二種類の異性体は、酸触媒存在下の硫化水素との反応速度が相違し、式(2)のトリイソブチレンの方が式(3)のものより速い。その為、二種類の異性体を併用して用いる場合の混合割合は特に制限はないが、通常は式(2)/式(3)の成分比で少なくとも0.5、好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1以上のものが使用される。
【化2】
Figure 0003558096
【化3】
Figure 0003558096
【0008】
本発明に使用される酸触媒としては、通常オレフィン類の硫化水素付加反応で用いられるものが使用され、例えばルイス酸やプロトン酸などが挙げられる。
【0009】
ルイス酸としては、例えば、三弗化ホウ素;三弗化ホウ素の各種錯体;フルオロホウ酸のエーテル錯体;ハロゲン化アルミニウム化合物;ハロゲン化アルミニウム化合物のアルキル置換体などが挙げられる。具体的には、三弗化ホウ素の各種錯体としては、リン酸錯体;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジノルマルプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジノルマルブチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジペンチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル錯体;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル錯体;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン、アセチルアセトンなどのケトン錯体;トリメチルアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド錯体;アセトアミド、N−フェニルアセトアミドなどのアミド錯体;トリメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド錯体;トリメチルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド錯体;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチルなどのエステル錯体;酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸錯体;無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などのカルボン酸無水物から誘導される錯体などが例示される。フルオロホウ酸のエーテル錯体としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジノルマルプロピルエーテル、ジノルマルブチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル錯体などが例示される。ハロゲン化アルミニウム化合物としては、ヨウ化アルミニアム、弗化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化アルミニウムなどが例示される。ハロゲン化アルミニウム化合物のアルキル置換体としてはジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどが例示される。
【0010】
プロトン酸としては、例えばベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有機スルホン酸、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸などの含弗素カルボン酸などの有機酸、フッ化水素、硫酸、過塩素酸、リン酸などの無機酸、スルホン酸型イオン交換樹脂、フェノールスルホン酸型イオン交換樹脂、パーフルオロ化イオン交換樹脂などの酸性イオン交換樹脂などが挙げられ、通常は有機スルホン酸、含弗素カルボン酸、フッ化水素などが用いられる。
【0011】
これら酸触媒の中で好ましいものは、三弗化ホウ素の各種錯体、フルオロホウ酸の錯体、ハロゲン化アルミニウム化合物のジアルキル置換体などであり、さらに好ましいものは三弗化ホウ素の各種錯体であり、その中でも特に三弗化ホウ素のエーテル錯体やカルボン酸錯体などが好ましい。
【0012】
上記酸触媒は、単独、又は2種以上を併用して使用され、その使用量は、トリイソブチレン1モルに対して通常、0.001〜5モル、好ましくは0.005〜1モル、さらに好ましくは0.01〜0.5モルの範囲である。酸性イオン交換樹脂の場合は、酸点がこの範囲となるように使用される。また、硫化水素の使用量は、トリイソブチレン1モルに対して通常等モル以上、好ましくは1〜30モル、さらに好ましくは2〜10モルの範囲である。
【0013】
反応に際しては溶媒を存在させることができる。溶媒としては反応に不活性であるものであれば特に限定されず、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類などが例示される。
【0014】
本発明のトリイソブチレンと硫化水素との反応は加圧下に実施される。反応方法は特に限定されないが、通常はオートクレーブ中で攪拌下に実施される。反応圧力は、反応温度や溶媒の種類などにより異なるが、通常2〜30気圧、好ましくは2〜20気圧、さらに好ましくは3〜15気圧の範囲である。反応温度は、通常、−100〜+50℃、好ましくは−60〜+20℃、さらに好ましくは−40〜+10℃の範囲である。反応温度が、過度に高くなると目的物の収率が低下し、過度に低くなると反応の進行が極端に遅くなり好ましくない。反応時間は、通常、10分〜20時間、好ましくは30分〜10時間である。
【0015】
本発明においては上記反応に続いて、反応液が常圧に戻る前に反応液を反応停止剤と接触させて反応を終了させることが重要である。反応を終了させる方法としては触媒層を反応系から分離する方法も考えられるが、この方法では触媒を完全に分離することは困難であり、微量に溶存する触媒が副反応や逆反応を起こし、目的物の収率や純度の低下をもたらしてしまう。本発明では反応停止剤を用いて反応を終了させることにより、上記欠点を解決することができる。
【0016】
本発明に使用される反応停止剤としては、使用される酸触媒の活性を著しく低下せしめるか、または失活せしめるものであれば特に限定されず、例えば、アルカリ類、アルコール類、水などが挙げられる。
【0017】
具体的には、アルカリ類としては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルアミン、アニリン、エチレンジアミンなどのアミン類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物;水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの水素化物;アンモニアなどが例示され、これらアルカリ類は水溶液の状態で用いても良い。また、炭酸塩や炭酸水素塩を固体で用いる場合は細かく砕いた状態で用いることが好ましい。アルコール類としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールなどが例示される。水としては、水単独、または含水テトラヒドロフランや含水ジオキサンなどの不活性溶媒に水を溶かしたものが例示される。
【0018】
上記の反応停止剤のなかでも好ましいものは炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、水素化物、アンモニアなどの無機アルカリ類、またはその水溶液、水などであり、特に好ましいものは、炭酸塩、炭酸水素塩、またはその水溶液、水などである。
【0019】
反応停止剤の使用量は、酸触媒の酸1当量に対して、通常1当量以上であり、好ましい範囲は停止剤の種類により異なる。たとえば、アルコール類、アミン類、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物などは1〜10当量、水素化物は1〜1.1当量、水は1〜100当量などである。
【0020】
上記反応停止剤と反応液との接触は、反応液が常圧に戻る前に行われるのが肝要である。反応液が常圧に戻る前に反応停止剤と接触させる方法としては、反応終了後、同反応圧力下で反応液に反応停止剤を添加する方法、反応圧力、あるいはそれよりも低い圧力に設定した反応停止剤中に反応液を添加する方法などが挙げられる。反応液が反応停止剤と接触せずに常圧に戻ると、逆反応が進み、目的物の収率が極端に低下し好ましくない。
【0021】
反応時の圧力下で反応停止剤を添加する場合は、攪拌下、速やかに行うことが好ましい。また、添加した際に、反応系の温度が上昇しないように操作することが好ましい場合があり、例えば、停止剤の温度を反応液と近い温度に調整して添加する、もしくは反応系を冷却させるなどの操作が採られる。
【0022】
反応液よりも低い圧力に設定した反応停止剤に反応液を添加する方法としては、常圧の反応停止剤中で高圧の反応液を接触させる方法、具体的には、高圧の反応液を常圧の反応停止剤中に導入管で導入し、瞬時に反応液と接触させる方法なども含まれる。反応液よりも低い圧力に設定した反応停止剤と接触させる場合は、上記好ましい態様に加え、反応液と反応停止剤との距離を短くするなどにより移送時間を短くすることが好ましい。
【0023】
目的物である2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの単離方法は、常法に従って行うことができ、例えば反応液から残余の硫化水素を系外に除去後、触媒及び反応停止剤層を固−液分離、あるいは有機層−水層分離で有機層を分離し、減圧下に蒸留して単離する方法などが挙げられる。
【0024】
本発明においては、反応終了後の未反応トリイソブチレンを回収して再使用することができる。回収トリイソブチレンは、前記の通り式(2)及び式(3)のトリイソブチレンが硫化水素に対して反応速度が相違する為、反応終了後には反応速度の遅い式(3)のトリイソブチレンの含有量が高くなる傾向にある。特に、この傾向は、酸触媒としてルイス酸を用いた場合に強い。原料トリイソブチレンとして式(3)/式(2)の成分比が1を超えるものを用い且つ酸触媒としてルイス酸を用いる場合には、所定時間内での反応収率が大幅に低下するという欠点を有している。さらに、式(3)/式(2)成分比が1.2を超える場合、特に1.5を超える場合には一層反応収率が低下し好ましくなく、これらの場合には、式(3)トリイソブチレンから式(2)トリイソブチレンへ異性化させる触媒を併用させることによって解消される。
【0025】
併用する異性化触媒としては、式(3)から式(2)への異性化能のあるもので、且つトリイソブチレンと硫化水素との付加反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されず、一般的には有機酸、無機酸、酸性イオン交換樹脂などのプロトン酸が用いられる。有機酸としてはベンゼンスルホン酸、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが例示される。無機酸としては、塩化水素、硫酸、過塩素酸、リン酸などが例示される。酸性イオン交換樹脂としては、前記の酸性触媒の例示と同様である。これらの異性化触媒の中でも好適なものは無機酸であり、特に好適なものはリン酸や硫酸である。
【0026】
異性化触媒の使用量は、使用するトリイソブチレン1モルに対して、通常0.0005〜5モル、好ましくは0.001〜1モル、さらに好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
【0027】
異性化触媒としてプロトン酸を併用させることにより、効果を発揮し得る態様としては、異性体の割合が前記範囲にあるトリイソブチレンを用いて反応を行う場合の他に、配位子化合物が混入したトリイソブチレンを用いて反応を行う場合である。
【0028】
酸触媒として三弗化ホウ素の錯体を用いた場合は、反応停止後に配位子化合物が遊離する。遊離した配位子化合物の沸点がトリイソブチレンと近い場合、例えば、ジノルマルブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ベンゾニトリルなどの場合は、蒸留により回収したトリイソブチレン中に配位子化合物が混入する恐れがある。このようなトリイソブチレンを用いた場合は、目的とする反応が阻害され、目的物の収率が低下してしまう。配位子化合物の混入を防ぐには蒸留操作を繰り返す、段数の多い蒸留塔を用いて蒸留を行うなどの方法が考えられるが、これでは生産性に劣り、また経済的ではない。
【0029】
このように配位子化合物が混入したトリイソブチレンを用いた場合でも、前記プロトン酸を共存させることにより目的物を高純度かつ高収率で得ることができる。
【0030】
以下に、本発明の好ましい態様を示す。
(1)トリイソブチレンと硫化水素とを酸触媒の存在下、加圧下で反応させた後、反応液が常圧に戻る前に反応停止剤と接触させて反応を終了させることを特徴とする2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製造法。
(2)酸触媒がルイス酸およびプロトン酸から選ばれる少なくとも1種である。
(3)酸触媒がルイス酸である。
(4)ルイス酸が、三弗化ホウ素、三弗化ホウ素の各種錯体、フルオロホウ酸のエーテル錯体、ハロゲン化アルミニウム化合物およびハロゲン化アルミニウム化合物のアルキル置換体から選ばれる少なくとも1種である。
(5)ルイス酸が三弗化ホウ素の各種錯体である。
(6)三弗化ホウ素の各種錯体が、リン酸錯体、エーテル錯体、ニトリル錯体、ケトン錯体、アルデヒド錯体、アミド錯体、アミンオキシド錯体、ホスフィンオキシド錯体、エステル錯体、カルボン酸錯体およびカルボン酸無水物から誘導される錯体から選ばれる少なくとも1種である。
(7)三弗化ホウ素錯体がエーテル錯体またはカルボン酸錯体である。
(8)酸触媒の使用量がトリイソブチレン1モルに対して0.001〜5モル、好ましくは0.005〜1モル、さらに好ましくは0.01〜0.5モルの範囲である。
(9)硫化水素の使用量がトリイソブチレン1モルに対して等モル以上、好ましくは1〜30モル、さらに好ましくは2〜10モルの範囲である。
(10)反応圧力が2〜30気圧、好ましくは2〜20気圧、さらに好ましくは3〜15気圧の範囲である。
(11)反応温度が−100〜+50℃、好ましくは−60〜+20℃、さらに好ましくは−40〜+10℃の範囲である。
(12)反応時間が10分〜20時間、好ましくは30分〜10時間である。
(13)反応停止剤がアルカリ類、アルコール類及び水から選ばれる少なくとも1種である。
(14)反応停止剤が炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、水素化物、アンモニアなどの無機アルカリ塩類、その水溶液、または水である。
(15)反応停止剤の使用量が酸触媒の酸1当量に対して1当量以上である。
(16)反応停止剤と反応液との接触が反応時の圧力下に行われるものである。
(17)反応液よりも低い圧力に設定した反応停止剤と反応液とを接触させるものである。
(18)前記式(3)/式(2)の成分比が1以上、更に1.2以上、特に1.5以上であるトリイソブチレンを用い且つルイス酸を酸触媒として用いる場合は、異性化触媒を併用する。
(19)異性化触媒がプロトン酸である。
(20)異性化触媒のプロトン酸が有機酸、無機酸および酸性イオン交換樹脂から選ばれる少なくとも1種である。
(21)異性化触媒のプロトン酸が無機酸である。
(22)異性化触媒の無機酸が塩化水素、硫酸、過塩素酸およびリン酸から選ばれる少なくとも1種である。
(23)異性化触媒の無機酸が硫酸又はリン酸である。
(24)異性触媒の使用量がトリイソブチレン1モルに対して、通常0.0005〜5モル、好ましくは0.001〜1モル、さらに好ましくは0.005〜0.5モルの範囲である。
【0031】
かくして、本発明によれば従来法に比較して、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールを高純度でかつ収率よく得ることができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例及び比較例中の部及び%は特に断りのないかぎり試薬の場合は重量基準、収率はトリイソブチレンに対するモル基準である。尚、目的物の収率、純度、およびトリイソブチレンの異性体組成比は、下記測定条件でガスクロマトグラフィー分析を行い算出した。(装置;島津製作所製GC−14B、カラム;ジーエルサイエンスTC−1701ガラスキャピラリ0.25mmI.D.×30m(df=1.0μm)、キャリアガス;ヘリウム1.0ml/min、カラム温度100→200℃(昇温5℃/min)、検出器;FID)。
【0033】
実施例1
トリイソブチレン(東京化成工業株式会社製P0456−FHB01;式(3)/式(2)成分比=0.89)77グラム、硫化水素103グラム、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体5.6ミリリットルをオートクレーブ中、攪拌下、5気圧、−20℃で6時間反応させた。この圧力を保ちながら、炭酸ナトリウムの10%水溶液73ミリリットルをポンプで圧送してオートクレーブ中に攪拌しながら導入した。脱圧後、反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが62%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は35%であった。
また、炭素数4または炭素数8のメルカプタン類やポリマーの生成は認められず、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高純度で得られた。
【0034】
実施例2
反応条件を10気圧、0℃で2時間反応とすること以外は実施例1と同様に操作を行い、反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが57%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は40%であった。
また、炭素数4または炭素数8のメルカプタン類やポリマーの生成は認められず、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高純度で得られた。
【0035】
比較例1
実施例2と同様に反応を行った後、炭酸ナトリウムの10%水溶液を添加することなしに脱圧した。反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールは全く生成しておらず、原料のトリイソブチレンのみが認められた。
【0036】
実施例3
炭酸ナトリウムの10%水溶液に代えて水4.6ミリリットルを用いること以外は実施例2と同様に操作したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが57%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は39%であった。
また、炭素数4または炭素数8のメルカプタン類やポリマーの生成は認められず、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高純度で得られた。
【0037】
実施例4
炭酸ナトリウムの10%水溶液に代えてエタノール4.6ミリリットルを用いること以外は実施例2と同様に操作したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが57%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は39%であった。
また、炭素数4または炭素数8のメルカプタン類やポリマーの生成は認められず、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高純度で得られた。
【0038】
実施例5
炭酸ナトリウムの10%水溶液に代えてプロピルアミン4.6ミリリットルを用いること以外は実施例2と同様に操作したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが58%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は38%であった。
また、炭素数4または炭素数8のメルカプタン類やポリマーの生成は認められず、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高純度で得られた。
【0039】
実施例6
炭酸ナトリウムの10%水溶液に代えて細かく砕いた無水炭酸ナトリウム10グラムを用いること以外は実施例2と同様に操作したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが56%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は37%であった。
また、炭素数4または炭素数8のメルカプタン類やポリマーの生成は認められず、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高純度で得られた。
【0040】
実施例7
三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体に代えて三弗化ホウ素アセトニトリル錯体5.0グラムを用い、炭酸ナトリウムの10%水溶液を73ミリリットル用いること以外は実施例2と同様に操作したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが54%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は40%であった。
また、炭素数4または炭素数8のメルカプタン類やポリマーの生成は認められず、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高純度で得られた。
【0041】
実施例8
三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体に代えてジエチルアルミニウムクロライドを1モル/リットル含むヘキサン溶液47ミリリットルを用い、炭酸ナトリウムの10%水溶液を73ミリリットル用いること以外は実施例2と同様に操作したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが41%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は54%であった。
また、炭素数4または炭素数8のメルカプタン類やポリマーの生成は認められず、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高純度で得られた。
【0042】
実施例9
三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体に代えてトリフルオロメタンスルホン酸4.1ミリリットルを用い、炭酸ナトリウムの10%水溶液を73ミリリットル用いること以外は実施例2と同様に操作したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが35%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は45%であった。
また、炭素数4または炭素数8のメルカプタン類やポリマーの生成は認められず、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高純度で得られた。
【0043】
実施例10
三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体に代えて三弗化ホウ素二酢酸錯体1.27ミリリットルを用いる以外は実施例2と同様に操作したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルペプタン−4−チオールが57%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は40%であった。
また、炭素数4または炭素数8のメルカプタン類やポリマーの生成は認められず、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高純度で得られた。
【0044】
実施例11
実施例2と同様に反応を行った。一方、オートクレーブとは別の容器に炭酸ナトリウムの10%水溶液74ミリリットルを仕込み、0℃、10気圧で攪拌した。この中に、上記反応で得られた反応液を圧送して加えた。
脱圧後、反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが57%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は40%であった。
また、炭素数4または炭素数8のメルカプタン類やポリマーの生成は認められず、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高純度で得られた。
【0045】
実施例12
実施例2と同様に反応を行った。一方、オートクレーブとは別の容器に炭酸ナトリウムの10%水溶液74ミリリットルを仕込み、0℃、大気圧で激しく攪拌した。オートクレーブの抜き出しラインの先端を炭酸ナトリウム水溶液の中に浸し、オートクレーブの底バルブを開いて反応液を噴出させた。反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが55%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は38%であった。
また、炭素数4または炭素数8のメルカプタン類やポリマーの生成は認められず、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが高純度で得られた。
【0046】
実施例13
(1)トリイソブチレン(東京化成工業株式会社製P0456−FHB01;式(3)/式(2)成分比=0.89)77グラム、硫化水素103グラム、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体5.6ミリリットルをオートクレーブ中、攪拌下、5気圧、−20℃で6時間反応させた。この圧力を保ちながら、炭酸ナトリウムの10%水溶液73ミリリットルをポンプで圧送してオートクレーブ中に攪拌しながら導入した。脱圧後、反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが62%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は35%であった。
反応混合物を10%炭酸ナトリウム水溶液でアルカリ性になるまで洗浄した後、減圧下に蒸留し2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール57グラムを得、トリイソブチレン26グラムを回収した。
【0047】
(2)回収したトリイソブチレン(式(3)/式(2)成分比=1.86)7.7グラム、硫化水素10.3グラム、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体0.56ミリリットル及び濃硫酸0.49ミリリットルをオートクレーブ中、攪拌下、10気圧、−20℃で6時間反応させた後、上記(1)に準じて後処理した。反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが61%の収率で生成していた。原料のトリイソブチレンの残存率は34%であった。
【0048】
実施例14
蒸留により式(3)/式(2)成分比=2.33になるように調製したトリイソブチレン7.7グラムを用いること以外は実施例13の(2)と同様に操作し、反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの収率は56%であった。原料のトリイソブチレンの残存率は40%であった。
【0049】
実施例15
濃硫酸に代えてリン酸224ミリグラムを用いること以外は実施例13の(2)と同様に操作し、反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの収率は61%であった。原料のトリイソブチレンの残存率は34%であった。
【0050】
実施例16
三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体に代えてジエチルアルミニウムクロライドを1リットル当たり1モル含むヘキサン溶液4.7ミリリットルを用いること以外は実施例13の(2)と同様に操作し、反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの収率は61%であった。原料のトリイソブチレンの残存率は33%であった。
【0051】
実施例18
三弗化ホウ素ジノルマルブチルエーテル錯体を用いて実施例13の(1)と同様に反応を行いトリイソブチレンを回収した。回収トリイソブチレンの式(3)/式(2)成分比=1.86であり、ノルマルブチルエーテルが0.5%混入しているものであった。
この回収トリイソブチレンを用いること以外は実施例13の(2)と同様に操作し、反応生成物を分析したところ、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの収率は56%であった。原料のトリイソブチレンの残存率は40%であった。

Claims (1)

  1. トリイソブチレンと硫化水素とを酸触媒の存在下、加圧下で反応させた後、反応液が常圧に戻る前に反応停止剤と接触させて反応を終了させることを特徴とする2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールの製造法。
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