JP3560109B2 - 薄膜光電変換素子の製造方法および製造装置 - Google Patents

薄膜光電変換素子の製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可撓性フィルム基板を用いた太陽電池などの薄膜光起電力素子の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
代表的な薄膜光起電力素子の一つにアモルファスシリコン(以下a−Siと略す)太陽電池がある。この太陽電池は、一般に可撓性フィルム基板上に金属電極層、発電層であるa−Si層および透明電極層などを積層して形成されている。現在、a−Si太陽電池に関しての課題には、低コスト化および高効率化が挙げられる。
【0003】
低コスト化には、大量生産が非常に有効である。量産性の向上のための製造方法としては、例えば、Suzuki,K. らにより“Technical Digest of the International PVSEC−1 (1984) p.191”に、或いはOvshinsky,S.R.により同じ文献のp.577 に発表された方法がある。その方法は、帯状のフィルム基板を巻物状にして搬入室に入れ、連続的に複数の反応室を通して多層構造の薄膜光電変換素子を成膜し、搬出室で巻物状にして取り出す方法で、一般にロールツーロールプロセスと呼ばれている。ロールツーロールプロセスは、一定の条件で長尺の帯状フィルム基板に均一性の良い膜が成膜できる優れた製造方法である。
【0004】
ロールツーロールプロセス以外の方法としては、Ichikawa,Y. らにより、“ IEEE 1st World Conference on Photovoltaic Energy Conversion (1994) p.441 ”に、ステッピングロールプロセスが考案されている。この方法では、共通真空槽内に、可動式のヒーターおよびフレームを備えた複数の独立した成膜室があり、その各成膜室では フレームにより可撓性フィルム基板を挟み込んで真空シールをおこないながら、成膜する。成膜後は、フィルム基板を1コマ、1コマ写真のフィルムのように間欠的(ステップ)に搬送することにより、積層構造を構築するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ロールツーロールプロセスでは、連続的な成膜を行うため膜厚および膜質の均一性は良いが、複数の成膜室をつなげた構造の製造装置を用い、その間にフィルム基板を通すための開口があるため、例えば真空度等条件の大きく異なる工程を連続させることは不可能である。また、ある成膜室に導入された原料ガス(特にドーピングガス)が、それ以外の成膜室に混入し、太陽電池特性の劣化を引き起こすという問題がある。
【0006】
一方、ステッピングロールプロセスでは、各成膜室の原料ガス種類、圧力といったいわゆる成膜条件を、独立に制御することが可能となる。このため、量産性を損ねず、しかも原料ガスの他の成膜室への混入の問題を解決できる。また、成膜条件の全く異なる化学気相成長法とスパッタリング法の成膜機構を同一真空槽内に設置することも可能となり、発電層と電極層を同一装置内で形成できることから、発電層/電極層界面構造の改質を達成している。一例をあげれば、ロールツーロールプロセスにより製造した太陽電池では、曲線因子が、0.54、変換効率が7.2%であったのに対し、ステッピングロールプロセスにより製造したものでは、曲線因子が、0.62、変換効率が8.1%であった。
【0007】
しかし、ステッピングロールプロセスでは、可動式ヒーターによりフィルムを挟み込むという操作が入ることにより、次のような問題点がある。
その一つは、可動式ヒーターと、フレームにより囲まれた成膜室内の広い部分(1ユニット)において、一度に成膜を行わなければならないということである。広い面積にわたって均一な成膜をおこなうことは非常に難しく、また、成膜条件等が制限されがちである。
【0008】
もう一つは、フィルム挟み込み部で、フィルム基板の熱膨張などにより、微小なフィルムの変形が起こり、この部分での膜厚および膜質の不均一を生じさせている。
これらの問題点は、大面積化を目指すほど、顕著になってくる。しかも、太陽電池各層の不均一は、太陽電池特性にも影響するので、大面積で、しかも特性の優れた太陽電池を得るには、ますます均一な成膜が重要になってくる。
【0009】
以上の問題に鑑み本発明の目的は、ロールツーロールプロセスの持つ優れた均一成膜性と、ステッピングロールプロセスの持つ成膜室の独立稼働という長所をともに併せ持つ製造方法および製造装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題解決のため本発明は、帯状の可撓性フィルム基板の上に、複数の異なる性質の薄膜を基板を搬送しながら連続的に積層して、光電変換層を形成する薄膜光電変換素子の製造方法において、可撓性フィルム基板を巻いた少なくとも一つのロールを有するカセットを用い、そのカセットを各層を形成するための互いに独立した成膜室に順次装着および脱着をしながら、積層膜を形成するものとする。
【0011】
そのようにすれば、各成膜をロールツーロールプロセスで、しかも互いに独立した成膜室でおこなうので、原料ガスの他の成膜室への混入を防ぐことができる。
製造装置としては、可撓性フィルム基板を巻いた少なくとも一つのロールを有するカセットと、各層を形成するための互いに独立した複数の成膜室と、そのカセットを各成膜室に順次装着および脱着する移動手段とを備えるものとする。
【0012】
そのようにすれば、互いに独立した複数の成膜室でロールツーロールプロセスで成膜をおこない、移動手段で各成膜室間を移送して積層膜を形成できる。
特に、カセットが二つの巻き取り軸を有するものであることがよい。
二つの巻き取り軸を有するものであれば、成膜室側にロールを設ける必要が無く、駆動装置があればよい。
【0013】
そして、各成膜室が、前記カセットの移動手段を備えた共通真空室の周りに配置されたものでも、または、各成膜室が、直列に配置されたものでもよい。
移動手段を備えた共通真空室の周りに各成膜室が配置されていれば、共通真空室と各成膜室との間でカセットの受渡しをすることができて、成膜室間の独立性を保つことができる。また各成膜室が、直列に配置されたものでも、成膜時以外に隣接する成膜室の間でカセットの受渡しをすれば、成膜室間の独立性を保つことができる。
【0014】
また、化学気相成長法による成膜室とスパッタリング法による成膜室とを備えるものとする。
化学気相成長法は光電変換層の形成に最適な成膜法であり、スパッタリング法は、電極膜形成に最適な成膜法であって、その両方を備えることが重要である。
更に、基板のプラズマ処理および真空加熱処理をおこなう前処理室を有するものとする。
【0015】
プラズマ処理および真空加熱処理は基板表面を清浄化し、良質の膜形成を行ううえで極めて重要である。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記課題の解決のため本発明は、成膜を全て均一性の良いロールツーロールプロセスで行いながら、しかも各成膜室間で原料ガスの相互拡散を完全に抑止できる成膜方法および成膜装置を考案したものである。以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
図2は、本発明の製造装置に用いる可撓性フィルム基板1を搬送するための搬送用カセット4の斜視図である。2は可撓性フィルム基板1を巻き取り軸11の周りにまいたロールである。12は二つのロール2を保持するケースであり、可撓性フィルム基板1の成膜位置にあたる部分には窓3が設けられている。13は巻き取り軸11を回転させるための突起である。ケース12の後方にも、成膜時に電極等を挿入するための窓3aが設けられている。
【0017】
可撓性フィルム基板1としては、アラミド、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミドなどの樹脂膜が用いられる。構造によっては金属フィルムでもよい。ケース5の外寸は約800×400mm、高さ600mm、成膜用の窓6は100×500mmの大きさである。
【0018】
図1は、本発明の製造装置の構成を示す模式平面図である。中央に共通真空室9があり、その周りに準備室5、前処理室6、電極成膜室7、半導体層成膜室8が配置されている。共通真空室9内にはまた、ロールカセット4を各室に挿入、引出しのための移動装置14が備えられている。
ロールカセット4は先ず準備室5に入れられ、真空引きを行った後、共通真空室9に入れられる。したがって、共通真空室9の真空は破られず、大気による汚染が避けられる。ロールカセット4は次に、前処理室6に移動される。ここで、フィルム基板のプラズマ処理および真空加熱処理が施される。アルゴンガスまたはアルゴンガスと酸素との混合ガスのプラズマ中にフィルム基板2を曝すことによって、フィルム基板2表面の清浄化、活性化がなされる。また、約300℃の真空熱処理によって、フィルム基板1表面の吸着ガス等の脱離がおこなわれる。次に、電極成膜室7、更に例えばa−Siからなる発電層形成のための半導体層成膜室8に順番に移動され、大気に暴露せずに積層構造を形成することができる。電極成膜室7および半導体層成膜室8が複数設けられているのは、膜厚の厚い膜を形成するためと、ドーピングガス等を変えて、例えばpinのような多層構造を形成するためである。電極としては、必ずしも金属からなる電極に限らず、酸化インジウム錫(ITO)のような透明電極をも含む。
【0019】
以上のように、各電極成膜室7および半導体層成膜室8が独立に稼働されるため、各層の成膜条件が大きく異なっていても積層構造が容易に形成できる。特に電極形成には、1Pa以上の高真空度でおこなうスパッタリングが望ましいが、そのような高真空度でおこなう電極成膜室7を、より低真空度の化学気相成長法により成膜をおこなう半導体層成膜室8と混在させて設置することができる。
【0020】
また各半導体層成膜室8が独立しているため、原料ガスの他の成膜室への混入により引き起こされる特性劣化を防止できる。その結果、素子界面構造や特性の改善がなされ、性能の優れた光電変換素子を製造することができる。本発明の製造方法により製造した太陽電池では、先に述べたステッピングロールプロセス並の変換効率 8.2%が得られた。
【0021】
各成膜室内での成膜は、ロールツーロールプロセスと同等なので、一次元的に(フィルム基板幅方向の)均一放電を実現することにより、優れた均一成膜が可能であり、均一性が良いことは勿論である。例えば1ロールカセット約400mにわたり膜厚は、約3%以内に入っていた。ステッピングロールプロセスでは一成膜面での膜厚分布が約6%であったのに比べ、大幅な改善がなされていることがわかる。このように放電の均一性が得やすいことから、大面積化に非常に有利なプロセスとなる。
【0022】
このロールカセットを用いた製造装置は量産性の高い装置となるが、特に、他の成膜室は運転したまま成膜室を独立にクリーニングおよびメンテナンスできるといった長所があり、メンテナンス等による装置稼働ロス時間を大幅に削減できる。
このロールカセット4を、上に示した製造方法による積層構造の形成のみならず、そのまま更にモジュール化装置にも適用することもできる。
【0023】
上の実施例では、巻き取り軸が2本のロールカセットの場合を示した。このロールカセットでは、どちらの巻き取り軸にフィルム基板が巻かれていても、成膜やロールカセットの取り出しが可能である。
これに対し、巻き取り軸が1本だけで、フィルム基板の一方の端をロールカセット外に出したロールカセットも考えられる。その場合は、成膜室にも巻き取り軸を設けておき、その成膜室の巻き取り軸にフィルム基板を巻き取りながら成膜を行う。但し、成膜後、ロールカセットの巻き取り軸に巻き戻さなければならない。
【0024】
[実施例2]
図3は、本発明の別の製造装置の構成を示す模式平面図である。準備室5、前処理室6、電極成膜室7、半導体層成膜室8が直列に配置され、更に取り出し室10が設けられている。この場合は、ロールカセット4を移送する移動装置は、図示していないが各反応室内に設けられている。
【0025】
やはり、準備室5に挿入して、真空置換をおこなった後、前処理室6に移送してプラズマ処理、熱処理を施した後、電極成膜室7に導入され、電極が形成される。更に半導体層成膜室8に移送され、プラズマCVD法により半導体層が形成される。ロールカセット4は順次成膜と、次成膜室への移動とを繰り返し、積層構造を構成することになる。最後に取り出し室10に移送され、大気中に取り出される。
【0026】
この製造装置においても、各電極成膜室7および半導体層成膜室8が独立に稼働されるため、各層の成膜条件が大きく異なっていても積層構造が容易に形成できる。電極形成には、スパッタリング法の成膜室を設けることができる。
また各半導体層成膜室8が独立しているため、原料ガスの他の成膜室への混入により引き起こされる特性劣化を防ぎ、性能の優れた光電変換素子を製造することができる。各成膜室内での成膜は、ロールツーロールプロセスと同様なので、均一性が良いことは勿論である。
【0027】
このロールカセットを用いた製造装置は量産性の高い装置となる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、可撓性フィルム基板を用いた薄膜光電変換素子の製造法方法において、可撓性フィルム基板を巻いたロールを有するロールカセットを単位として製造装置の前処理室に装着し、電極成膜室あるいは半導体層成膜室へと順次送り込んで行き、大気暴露無しで積層構造を形成して薄膜光電変換素子とすることにより、ロールツーロールプロセスの持つ優れた均一成膜性と、ステッピングロールプロセスの持つ成膜室の独立稼働という長所をともに併せ持つ製造方法および製造装置を提供する。
【0029】
すなわち、各成膜室は真空的に完全に分離されるため、成膜条件の全く異なる工程の接続および、他の成膜室からの原料ガスの拡散防止ができ、素子界面構造や特性の改善がなされ、更に、1次元的に(フィルム基板幅方向の)均一放電のみが達成され大面積均一成膜を同時に達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による製造装置の模式平面図
【図2】本発明の製造方法に用いる可撓性フィルム基板搬送用のロールカセットの斜視図
【図3】本発明による別の製造装置の模式平面図
【符号の説明】
1 可撓性フィルム基板
2 ロール
3 処理用窓
3a 裏面用窓
4 ロールカセット
5 準備室
6 前処理室
7 電極成膜室
8 半導体層成膜室
9 共通真空室
10 取り出し室
11 巻き取り軸
12 ケース
13 突起
14 移動装置

Claims (7)

  1. 帯状の可撓性フィルム基板の上に、複数の異なる性質の薄膜を基板を搬送しながら連続的に積層して、光電変換層を形成する薄膜光電変換素子の製造方法において、可撓性フィルム基板を巻いた少なくとも一つのロールを有するカセットを用い、そのカセットを各層を形成するための互いに独立した成膜室に順次装着および脱着をしながら、積層膜を形成することを特徴とする薄膜光電変換素子の製造方法。
  2. 帯状の可撓性フィルム基板の上に、複数の異なる性質の薄膜を基板を搬送しながら連続的に積層して、光電変換層を形成する薄膜光電変換素子の製造装置において、可撓性フィルム基板を巻いた少なくとも一つのロールを有するカセットと、各層を形成するための互いに独立した複数の成膜室と、そのカセットを各成膜室に順次装着および脱着する移動手段とを備えることを特徴とする薄膜光電変換素子の製造装置。
  3. カセットが二つの巻き取り軸を有するものであることを特徴とする請求項2に記載の薄膜光電変換素子の製造装置。
  4. 各成膜室が、前記カセットの移動手段を備えた共通真空室の周りに配置されることを特徴とする請求項2または3に記載の薄膜光電変換素子の製造装置。
  5. 各成膜室が、直列に配置されることを特徴とする請求項2または3に記載の薄膜光電変換素子の製造装置。
  6. 層形成の方法として、化学気相成長法による成膜室とスパッタリング法による成膜室とを備えることを特徴とする請求項4または5に記載の薄膜光電変換素子の製造装置。
  7. 基板のプラズマ処理および真空加熱処理をおこなう前処理室を有することを特徴とする請求項6記載の薄膜光電変換素子の製造装置。
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