JP3563603B2 - 半導体素子の実装構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下面に電極が形成された半導体素子を、上面にこの半導体素子の電極に接続される配線導体が導出する配線基板上に、半導体素子の電極と配線基板の配線導体とを金属バンプを介して接合することにより搭載するとともに、この半導体素子と配線基板との間に形成される隙間に樹脂製充填材を充填してなる半導体素子の実装構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の電極数の増加に伴い、半導体素子を配線基板に実装する方法として、半導体素子を搭載する配線基板の上面に半導体素子の各電極に接続される複数の配線導体を導出させるとともにこの導出した配線導体と半導体素子の電極とを対向させ、これらを半田や金等の金属バンプを介して接合するようになした、いわゆるフリップチップ実装法が多用されるようになってきている。
【0003】
そして、このフリップチップ実装法では一般に、半導体素子の電極と配線基板の配線導体とを半田や金等の金属バンプを介して接合した後、半導体素子と配線基板との間に形成される隙間にアンダーフィルと呼ばれる樹脂製充填材を充填してこの樹脂製充填材により半導体素子を配線基板上に強固に接着固定すると同時に、半導体素子の電極や配線基板の配線導体等を外部の水分等から保護するようにしている。
【0004】
このような樹脂製充填材としては、主にエポキシ樹脂系の樹脂製充填材やシリコーン樹脂系の樹脂製充填材が使用されており、そのヤング率は一般に5〜1500kgf/mm2 程度のものが使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように半導体素子を配線基板にフリップチップ実装した実装構造によると、一般に半導体素子の熱膨張係数が3〜5×10−6/℃程度であるのに対して配線基板の熱膨張係数が5〜20×10−6/℃程度、また樹脂製充填材の熱膨張係数が20〜40×10−6/℃程度であり、それぞれの熱膨張係数が異なることから、半導体素子が作動時に発生する熱等がこの実装構造体に繰り返し印加されると、これらの熱膨張係数の相違に起因して大きな熱応力が発生し、これが樹脂製充填材と半導体素子また配線基板との接合面や金属バンプに作用して樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間にこれらの接合面の外周から剥離を発生させたり金属バンプを破断させたりして、その結果、配線基板に実装された半導体素子を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができないという欠点を有していた。
【0006】
なお、樹脂製充填材のヤング率が200 kgf/mm2 以下であると、半導体素子が作動時に発生する熱等が繰り返し印加されても樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間に発生する応力は樹脂製充填材が弾性変形することによりを良好に吸収分散されて、樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間にこれらの接合面の外周からの剥離が発生するようなことはないものの、その分、熱膨張による半導体素子と配線基板との相対的な変位が大きなものとなるので、半田や金等から成る金属バンプに印加される応力が大きなものとなって金属バンプに破断が発生し易くなる。
【0007】
また、樹脂製充填材のヤング率が500 kgf/mm2 以上であると、樹脂製充填材が弾性変形しにくいものとなることから、熱膨張による半導体素子と配線基板との相対的な変位は弾性変形しにくい樹脂製充填材により抑制されて小さなものとなり半田や金等から成る金属バンプに破断が発生することはないものの、樹脂製充填材が樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間に印加される熱応力を良好に吸収分散させることができなくなり、樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間にこれらの接合面の外周からの剥離が発生し易い。
【0008】
また、樹脂製充填材のヤング率が200 kgf/mm2 と500 kgf/mm2 との間である場合、樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間の剥離もしくは半田や金等から成る金属バンプの破断のいずれかが発生し易い。
【0009】
本発明はかかる従来技術に対する課題に鑑み案出されたものであり、その目的は、半導体素子が作動時に発生する熱等が繰り返し印加されたとしても樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間に剥離が発生したり半田や金等から成る金属バンプに破断が発生することがなく、配線基板に実装された半導体素子を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができる半導体素子の実装構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体素子の実装構造は、絶縁基体上面に半導体素子の各電極に接続される複数個の配線導体を導出させてなる配線基板上に、下面に複数個の電極を有する半導体素子を該半導体素子の各電極と前記各配線導体とを複数の金属バンプを介して接合して搭載するとともに、前記半導体素子と前記配線基板との間に形成される隙間に樹脂製充填材を充填して成る半導体素子の実装構造において、前記樹脂製充填材は、前記金属バンプのそれぞれを厚み10〜100μmで取り囲むヤング率が500kgf/mm2以上の高弾性樹脂部と、該高弾性樹脂部を取り囲むヤング率が200kgf/mm2以下の低弾性樹脂部とから成ることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の半導体素子の実装構造によれば、樹脂製充填材が複数の金属バンプのそれぞれを厚み10〜100μmで取り囲むヤング率が500kgf/mm2以上の高弾性樹脂部と、この高弾性樹脂部を取り囲むヤング率が200kgf/mm2以下の低弾性樹脂部とから成ることから、金属バンプを取り囲む高弾性樹脂部が熱膨張による半導体素子と配線基板との相対的変位を小さいものとして半田や金等から成る金属バンプに破断を発生しにくくするとともに、この高弾性樹脂部を取り囲む低弾性樹脂部が樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間に発生する応力を良好に吸収分散させて樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間にこれらの接合面の外周から剥離が発生するのを有効に防止する。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付の図面を基に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態の一例を示す断面図であり、1は配線基板、2は半導体素子であり、配線基板1上に半導体素子2がいわゆるフリップチップ実装されている。
【0014】
配線基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体・窒化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・炭化珪素質焼結体・窒化珪素質焼結体・ガラスセラミックス等のセラミックス系絶縁材料や、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂・フェノール樹脂・ビスマレイミドトリアジン樹脂・熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂をガラス繊維布やアラミド繊維布等に含浸させたり、あるいはエポキシ樹脂やポリイミド樹脂・フェノール樹脂・ビスマレイミドトリアジン樹脂・熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂と酸化珪素粉末や窒化アルミニウム粉末・酸化アルミニウム粉末・酸化チタン粉末・炭化珪素粉末・ゼオライト粉末・チタン酸バリウム粉末・チタン酸ストロンチウム粉末・チタン酸カルシウム粉末等の無機絶縁物粉末とを混合してなる樹脂系絶縁材料等の電気絶縁材料から成る四角平板状の絶縁基体3に、その上面から下面にかけてタングステン粉末やモリブデン粉末・銅粉末・銀粉末等の金属粉末焼結体から成る導電性材料や、銅粉末や銀粉末・表面が銀で被覆された銅粉末等の金属粉末をエポキシ樹脂やポリイミド樹脂・フェノール樹脂・ビスマレイミドトリアジン樹脂・熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂で結合して成る導電性材料、あるいはめっきや蒸着等により形成される銅箔やアルミニウム箔等の金属箔から成る導電性材料から成る複数の配線導体4を導出させて成る。配線導体4の絶縁基体3上面に導出した部位には半導体素子2の各電極が半田や金等から成る金属バンプ5を介して接合され、また配線導体4の絶縁基体3下面に導出した部位は外部電気回路基板(図示せず)の配線導体に半田等を介して電気的に接続される。
【0015】
配線基板1の上に実装された半導体素子2は、例えばシリコンやガリウム−砒素等の半導体から成り、その下面に複数の電極(図示せず)を有している。
【0016】
そして、半導体素子2の各電極とこれに対応する配線基板1の配線導体4とを対向させるとともに半田や金等から成る金属バンプ5を介して半導体素子2の電極と配線基板1の配線導体4とを接合することにより、半導体素子2が配線基板1上に搭載固定されるとともに半導体素子2の各電極と配線基板1の配線導体4とが電気的に接続される。
【0017】
半導体素子2の各電極と配線基板1の配線導体4とを半田や金等から成る金属バンプ5を介して接合させるには、例えば半導体素子2の電極に半田や金等から成る金属バンプ5を溶着や圧着あるいはめっきにより予め取着させておき、この半導体素子2の電極に取着させた金属バンプ5を配線基板1の配線導体4に当接させるとともに配線導体4に溶着や圧着する方法が採用される。
【0018】
配線基板1上面と半導体素子2下面との間には隙間が形成されており、この隙間には、金属バンプ5を取り囲むヤング率が500 kgf/mm2 以上の高弾性樹脂部6aと、この高弾性樹脂部6aを取り囲むヤング率が200 kgf/mm2 以下の低弾性樹脂部6bとから成る樹脂製充填材6が充填されている。
【0019】
樹脂製充填材6は、配線基板1と半導体素子2とを強固に接合して熱応力により半田や金等から成る金属バンプ5に破断が発生するのを防止するとともに、外部から水分等が浸入して配線基板1の配線導体4や半導体素子2の電極に腐食等が発生することを防止している。
【0020】
金属バンプ5を取り囲む高弾性樹脂部6aは、例えばエポキシ樹脂系の樹脂から成り、熱硬化することによりヤング率が500 kgf/mm2 以上のエポキシ樹脂となる樹脂前駆体ペーストを、半導体素子2の電極に予め取着させた金属バンプ5の表面に被着させ、これを金属バンプ5を配線基板1の配線導体4に接合するのと同時に、あるいは接合させた後、150 〜250 ℃の温度で熱硬化させることによって金属バンプ5を取り囲むようにして配される。
【0021】
金属バンプ5を取り囲む高弾性樹脂部6aは、ヤング率が500 kgf/mm2 以上と高いことから弾性変形しにくく、従って半導体素子2が作動時に発生する熱等が印加された場合に、熱膨張による半導体素子2と配線基板1との相対的変位を小さいものとして半田や金等から成る金属バンプ5に大きな熱応力が印加されるのを有効に防止し、これにより金属バンプ5の破断を防止する。
【0022】
なお、高弾性樹脂部6aは、そのヤング率が500 kgf/mm2 未満であると、半導体素子2が作動時に発生する熱等が印加された場合に熱膨張による半導体素子2と配線基板1との相対的変位を小さいものとして半田や金等から成る金属バンプ5の破断を防止することが困難となる傾向にある。従って、高弾性樹脂部6aは、そのヤング率が500 kgf/mm2 以上のものに特定される。
【0023】
また、高弾性樹脂部6aは、金属バンプ5を取り囲む厚みが10μm未満であると、半導体素子2が作動時に発生する熱等が印加された場合に発生する熱応力により金属バンプ5とともに破断してしまう危険性が大きなものとなる。従って、高弾性樹脂部6aは、金属バンプ5を取り囲む厚みを10μm以上、具体的には10〜100 μm程度とする。
【0024】
一方、高弾性樹脂部6aを取り囲むヤング率が200 kgf/mm2 以下の低弾性樹脂部6bは、例えばシリコーン樹脂系の樹脂から成り、半導体素子2の電極と配線基板1の配線導体4とを金属バンプ5を介して接合するとともにこの金属バンプ5を取り囲む高弾性樹脂部6aを配した後、配線基板1と半導体素子2との間に形成された隙間に、熱硬化することによりヤング率が200 kgf/mm2 以下のシリコーン樹脂となる樹脂前駆体ペーストを注入し、これを約150 〜250 ℃の温度で熱硬化させることによって高弾性樹脂部6aを取り囲むようにして配される。
【0025】
高弾性樹脂部6aを取り囲む低弾性樹脂部6bは、ヤング率が200 kgf/mm2 以下と低いことから弾性変形しやすく、従って、半導体素子2が作動時に発生する熱等が印加された場合に樹脂製充填材6と半導体素子2または配線基板1との間に発生する応力を良好に吸収分散させて、樹脂製充填材6と半導体素子2または配線基板1との間にこれらの接合面の外周から剥離が発生するのを有効に防止する。
【0026】
なお、低弾性樹脂部6bは、そのヤング率が200 kgf/mm2 を超えると、半導体素子2が作動時に発生する熱等が印加された場合に樹脂製充填材6と半導体素子2または配線基板1との間に発生する応力を良好に吸収分散させて樹脂製充填材6と半導体素子2または配線基板1との間にこれらの接合面の外周から剥離が発生するのを有効に防止することが困難となる傾向にある。従って、低弾性樹脂部6bは、そのヤング率が200 kgf/mm2 以下のものに特定される。
【0027】
また、低弾性樹脂部6bは、高弾性樹脂部6aを取り囲む厚みが10μm未満であると、半導体素子2が作動時に発生する熱等が印加された場合に発生する熱応力により高弾性樹脂部6aと半導体素子2または配線基板1との間にこれらの接合面の外周から剥離が発生してしまう危険性が大きなものとなる。従って、低弾性樹脂部6bは、高弾性樹脂部6aを取り囲む厚みを10μm以上、具体的には10〜100 μm程度としておくことが好ましい。
【0028】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更や改良を施すことは何ら差し支えない。
【0029】
【発明の効果】
本発明の半導体素子の実装構造によれば、フリップチップ実装において配線基板と半導体素子との間に形成される隙間に充填された樹脂製充填材が、複数の金属バンプのそれぞれを厚み10〜100μmで取り囲むヤング率が500kgf/mm2以上の高弾性樹脂部と、この高弾性樹脂部を取り囲むヤング率が200kgf/mm2以下の低弾性樹脂部とから成ることから、金属バンプを取り囲む高弾性樹脂部が熱膨張による半導体素子と配線基板との相対的変位を小さいものとして半田や金等から成る金属バンプに破断を発生しにくくするとともに、この高弾性樹脂部を取り囲む低弾性樹脂部が樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間に発生する応力を良好に吸収分散させて樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間にこれらの接合面の外周から剥離が発生するのを有効に防止する。その結果、配線基板に実装された半導体素子を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体素子の実装構造の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・配線基板
2・・・・半導体素子
3・・・・絶縁基体
4・・・・配線導体
5・・・・金属バンプ
6・・・・樹脂製充填材
6a・・ヤング率が500 kgf/mm2 以上の高弾性樹脂部
6b・・ヤング率が200 kgf/mm2 以下の低弾性樹脂部
【発明の属する技術分野】
本発明は、下面に電極が形成された半導体素子を、上面にこの半導体素子の電極に接続される配線導体が導出する配線基板上に、半導体素子の電極と配線基板の配線導体とを金属バンプを介して接合することにより搭載するとともに、この半導体素子と配線基板との間に形成される隙間に樹脂製充填材を充填してなる半導体素子の実装構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の電極数の増加に伴い、半導体素子を配線基板に実装する方法として、半導体素子を搭載する配線基板の上面に半導体素子の各電極に接続される複数の配線導体を導出させるとともにこの導出した配線導体と半導体素子の電極とを対向させ、これらを半田や金等の金属バンプを介して接合するようになした、いわゆるフリップチップ実装法が多用されるようになってきている。
【0003】
そして、このフリップチップ実装法では一般に、半導体素子の電極と配線基板の配線導体とを半田や金等の金属バンプを介して接合した後、半導体素子と配線基板との間に形成される隙間にアンダーフィルと呼ばれる樹脂製充填材を充填してこの樹脂製充填材により半導体素子を配線基板上に強固に接着固定すると同時に、半導体素子の電極や配線基板の配線導体等を外部の水分等から保護するようにしている。
【0004】
このような樹脂製充填材としては、主にエポキシ樹脂系の樹脂製充填材やシリコーン樹脂系の樹脂製充填材が使用されており、そのヤング率は一般に5〜1500kgf/mm2 程度のものが使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように半導体素子を配線基板にフリップチップ実装した実装構造によると、一般に半導体素子の熱膨張係数が3〜5×10−6/℃程度であるのに対して配線基板の熱膨張係数が5〜20×10−6/℃程度、また樹脂製充填材の熱膨張係数が20〜40×10−6/℃程度であり、それぞれの熱膨張係数が異なることから、半導体素子が作動時に発生する熱等がこの実装構造体に繰り返し印加されると、これらの熱膨張係数の相違に起因して大きな熱応力が発生し、これが樹脂製充填材と半導体素子また配線基板との接合面や金属バンプに作用して樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間にこれらの接合面の外周から剥離を発生させたり金属バンプを破断させたりして、その結果、配線基板に実装された半導体素子を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができないという欠点を有していた。
【0006】
なお、樹脂製充填材のヤング率が200 kgf/mm2 以下であると、半導体素子が作動時に発生する熱等が繰り返し印加されても樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間に発生する応力は樹脂製充填材が弾性変形することによりを良好に吸収分散されて、樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間にこれらの接合面の外周からの剥離が発生するようなことはないものの、その分、熱膨張による半導体素子と配線基板との相対的な変位が大きなものとなるので、半田や金等から成る金属バンプに印加される応力が大きなものとなって金属バンプに破断が発生し易くなる。
【0007】
また、樹脂製充填材のヤング率が500 kgf/mm2 以上であると、樹脂製充填材が弾性変形しにくいものとなることから、熱膨張による半導体素子と配線基板との相対的な変位は弾性変形しにくい樹脂製充填材により抑制されて小さなものとなり半田や金等から成る金属バンプに破断が発生することはないものの、樹脂製充填材が樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間に印加される熱応力を良好に吸収分散させることができなくなり、樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間にこれらの接合面の外周からの剥離が発生し易い。
【0008】
また、樹脂製充填材のヤング率が200 kgf/mm2 と500 kgf/mm2 との間である場合、樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間の剥離もしくは半田や金等から成る金属バンプの破断のいずれかが発生し易い。
【0009】
本発明はかかる従来技術に対する課題に鑑み案出されたものであり、その目的は、半導体素子が作動時に発生する熱等が繰り返し印加されたとしても樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間に剥離が発生したり半田や金等から成る金属バンプに破断が発生することがなく、配線基板に実装された半導体素子を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができる半導体素子の実装構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体素子の実装構造は、絶縁基体上面に半導体素子の各電極に接続される複数個の配線導体を導出させてなる配線基板上に、下面に複数個の電極を有する半導体素子を該半導体素子の各電極と前記各配線導体とを複数の金属バンプを介して接合して搭載するとともに、前記半導体素子と前記配線基板との間に形成される隙間に樹脂製充填材を充填して成る半導体素子の実装構造において、前記樹脂製充填材は、前記金属バンプのそれぞれを厚み10〜100μmで取り囲むヤング率が500kgf/mm2以上の高弾性樹脂部と、該高弾性樹脂部を取り囲むヤング率が200kgf/mm2以下の低弾性樹脂部とから成ることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の半導体素子の実装構造によれば、樹脂製充填材が複数の金属バンプのそれぞれを厚み10〜100μmで取り囲むヤング率が500kgf/mm2以上の高弾性樹脂部と、この高弾性樹脂部を取り囲むヤング率が200kgf/mm2以下の低弾性樹脂部とから成ることから、金属バンプを取り囲む高弾性樹脂部が熱膨張による半導体素子と配線基板との相対的変位を小さいものとして半田や金等から成る金属バンプに破断を発生しにくくするとともに、この高弾性樹脂部を取り囲む低弾性樹脂部が樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間に発生する応力を良好に吸収分散させて樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間にこれらの接合面の外周から剥離が発生するのを有効に防止する。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付の図面を基に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態の一例を示す断面図であり、1は配線基板、2は半導体素子であり、配線基板1上に半導体素子2がいわゆるフリップチップ実装されている。
【0014】
配線基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体・窒化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・炭化珪素質焼結体・窒化珪素質焼結体・ガラスセラミックス等のセラミックス系絶縁材料や、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂・フェノール樹脂・ビスマレイミドトリアジン樹脂・熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂をガラス繊維布やアラミド繊維布等に含浸させたり、あるいはエポキシ樹脂やポリイミド樹脂・フェノール樹脂・ビスマレイミドトリアジン樹脂・熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂と酸化珪素粉末や窒化アルミニウム粉末・酸化アルミニウム粉末・酸化チタン粉末・炭化珪素粉末・ゼオライト粉末・チタン酸バリウム粉末・チタン酸ストロンチウム粉末・チタン酸カルシウム粉末等の無機絶縁物粉末とを混合してなる樹脂系絶縁材料等の電気絶縁材料から成る四角平板状の絶縁基体3に、その上面から下面にかけてタングステン粉末やモリブデン粉末・銅粉末・銀粉末等の金属粉末焼結体から成る導電性材料や、銅粉末や銀粉末・表面が銀で被覆された銅粉末等の金属粉末をエポキシ樹脂やポリイミド樹脂・フェノール樹脂・ビスマレイミドトリアジン樹脂・熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂で結合して成る導電性材料、あるいはめっきや蒸着等により形成される銅箔やアルミニウム箔等の金属箔から成る導電性材料から成る複数の配線導体4を導出させて成る。配線導体4の絶縁基体3上面に導出した部位には半導体素子2の各電極が半田や金等から成る金属バンプ5を介して接合され、また配線導体4の絶縁基体3下面に導出した部位は外部電気回路基板(図示せず)の配線導体に半田等を介して電気的に接続される。
【0015】
配線基板1の上に実装された半導体素子2は、例えばシリコンやガリウム−砒素等の半導体から成り、その下面に複数の電極(図示せず)を有している。
【0016】
そして、半導体素子2の各電極とこれに対応する配線基板1の配線導体4とを対向させるとともに半田や金等から成る金属バンプ5を介して半導体素子2の電極と配線基板1の配線導体4とを接合することにより、半導体素子2が配線基板1上に搭載固定されるとともに半導体素子2の各電極と配線基板1の配線導体4とが電気的に接続される。
【0017】
半導体素子2の各電極と配線基板1の配線導体4とを半田や金等から成る金属バンプ5を介して接合させるには、例えば半導体素子2の電極に半田や金等から成る金属バンプ5を溶着や圧着あるいはめっきにより予め取着させておき、この半導体素子2の電極に取着させた金属バンプ5を配線基板1の配線導体4に当接させるとともに配線導体4に溶着や圧着する方法が採用される。
【0018】
配線基板1上面と半導体素子2下面との間には隙間が形成されており、この隙間には、金属バンプ5を取り囲むヤング率が500 kgf/mm2 以上の高弾性樹脂部6aと、この高弾性樹脂部6aを取り囲むヤング率が200 kgf/mm2 以下の低弾性樹脂部6bとから成る樹脂製充填材6が充填されている。
【0019】
樹脂製充填材6は、配線基板1と半導体素子2とを強固に接合して熱応力により半田や金等から成る金属バンプ5に破断が発生するのを防止するとともに、外部から水分等が浸入して配線基板1の配線導体4や半導体素子2の電極に腐食等が発生することを防止している。
【0020】
金属バンプ5を取り囲む高弾性樹脂部6aは、例えばエポキシ樹脂系の樹脂から成り、熱硬化することによりヤング率が500 kgf/mm2 以上のエポキシ樹脂となる樹脂前駆体ペーストを、半導体素子2の電極に予め取着させた金属バンプ5の表面に被着させ、これを金属バンプ5を配線基板1の配線導体4に接合するのと同時に、あるいは接合させた後、150 〜250 ℃の温度で熱硬化させることによって金属バンプ5を取り囲むようにして配される。
【0021】
金属バンプ5を取り囲む高弾性樹脂部6aは、ヤング率が500 kgf/mm2 以上と高いことから弾性変形しにくく、従って半導体素子2が作動時に発生する熱等が印加された場合に、熱膨張による半導体素子2と配線基板1との相対的変位を小さいものとして半田や金等から成る金属バンプ5に大きな熱応力が印加されるのを有効に防止し、これにより金属バンプ5の破断を防止する。
【0022】
なお、高弾性樹脂部6aは、そのヤング率が500 kgf/mm2 未満であると、半導体素子2が作動時に発生する熱等が印加された場合に熱膨張による半導体素子2と配線基板1との相対的変位を小さいものとして半田や金等から成る金属バンプ5の破断を防止することが困難となる傾向にある。従って、高弾性樹脂部6aは、そのヤング率が500 kgf/mm2 以上のものに特定される。
【0023】
また、高弾性樹脂部6aは、金属バンプ5を取り囲む厚みが10μm未満であると、半導体素子2が作動時に発生する熱等が印加された場合に発生する熱応力により金属バンプ5とともに破断してしまう危険性が大きなものとなる。従って、高弾性樹脂部6aは、金属バンプ5を取り囲む厚みを10μm以上、具体的には10〜100 μm程度とする。
【0024】
一方、高弾性樹脂部6aを取り囲むヤング率が200 kgf/mm2 以下の低弾性樹脂部6bは、例えばシリコーン樹脂系の樹脂から成り、半導体素子2の電極と配線基板1の配線導体4とを金属バンプ5を介して接合するとともにこの金属バンプ5を取り囲む高弾性樹脂部6aを配した後、配線基板1と半導体素子2との間に形成された隙間に、熱硬化することによりヤング率が200 kgf/mm2 以下のシリコーン樹脂となる樹脂前駆体ペーストを注入し、これを約150 〜250 ℃の温度で熱硬化させることによって高弾性樹脂部6aを取り囲むようにして配される。
【0025】
高弾性樹脂部6aを取り囲む低弾性樹脂部6bは、ヤング率が200 kgf/mm2 以下と低いことから弾性変形しやすく、従って、半導体素子2が作動時に発生する熱等が印加された場合に樹脂製充填材6と半導体素子2または配線基板1との間に発生する応力を良好に吸収分散させて、樹脂製充填材6と半導体素子2または配線基板1との間にこれらの接合面の外周から剥離が発生するのを有効に防止する。
【0026】
なお、低弾性樹脂部6bは、そのヤング率が200 kgf/mm2 を超えると、半導体素子2が作動時に発生する熱等が印加された場合に樹脂製充填材6と半導体素子2または配線基板1との間に発生する応力を良好に吸収分散させて樹脂製充填材6と半導体素子2または配線基板1との間にこれらの接合面の外周から剥離が発生するのを有効に防止することが困難となる傾向にある。従って、低弾性樹脂部6bは、そのヤング率が200 kgf/mm2 以下のものに特定される。
【0027】
また、低弾性樹脂部6bは、高弾性樹脂部6aを取り囲む厚みが10μm未満であると、半導体素子2が作動時に発生する熱等が印加された場合に発生する熱応力により高弾性樹脂部6aと半導体素子2または配線基板1との間にこれらの接合面の外周から剥離が発生してしまう危険性が大きなものとなる。従って、低弾性樹脂部6bは、高弾性樹脂部6aを取り囲む厚みを10μm以上、具体的には10〜100 μm程度としておくことが好ましい。
【0028】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更や改良を施すことは何ら差し支えない。
【0029】
【発明の効果】
本発明の半導体素子の実装構造によれば、フリップチップ実装において配線基板と半導体素子との間に形成される隙間に充填された樹脂製充填材が、複数の金属バンプのそれぞれを厚み10〜100μmで取り囲むヤング率が500kgf/mm2以上の高弾性樹脂部と、この高弾性樹脂部を取り囲むヤング率が200kgf/mm2以下の低弾性樹脂部とから成ることから、金属バンプを取り囲む高弾性樹脂部が熱膨張による半導体素子と配線基板との相対的変位を小さいものとして半田や金等から成る金属バンプに破断を発生しにくくするとともに、この高弾性樹脂部を取り囲む低弾性樹脂部が樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間に発生する応力を良好に吸収分散させて樹脂製充填材と半導体素子または配線基板との間にこれらの接合面の外周から剥離が発生するのを有効に防止する。その結果、配線基板に実装された半導体素子を長期間にわたり正常かつ安定に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体素子の実装構造の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・配線基板
2・・・・半導体素子
3・・・・絶縁基体
4・・・・配線導体
5・・・・金属バンプ
6・・・・樹脂製充填材
6a・・ヤング率が500 kgf/mm2 以上の高弾性樹脂部
6b・・ヤング率が200 kgf/mm2 以下の低弾性樹脂部
Claims (1)
- 絶縁基体上面に半導体素子の各電極に接続される複数個の配線導体を導出させてなる配線基板上に、下面に複数個の電極を有する半導体素子を該半導体素子の各電極と前記各配線導体とを複数の金属バンプを介して接合して搭載するとともに、前記半導体素子と前記配線基板との間に形成される隙間に樹脂製充填材を充填して成る半導体素子の実装構造において、前記樹脂製充填材は、前記金属バンプのそれぞれを厚み 10 〜 100 μmで取り囲むヤング率が500kgf/mm2以上の高弾性樹脂部と、該高弾性樹脂部を取り囲むヤング率が200kgf/mm2以下の低弾性樹脂部とから成ることを特徴とする半導体素子の実装構造。
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