JP3580523B2 - イオン伝導性高分子ゲル電解質および該ゲル電解質を含む電池 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は高分子ゲル電解質および該高分子ゲル電解質を使用した電池に関する。特に、リチウムポリマー電池に用いる熱重合により作製する高分子ゲル電解質および該高分子ゲル電解質を使用したリチウムポリマー電池に関する。
【0002】
【従来技術】
電池の3大構成要素として正極、負極、電解液があげられるが、従来、一般的には電池は液体素子であるため電解液の漏れ、電解液の揮発による電池寿命の低下を防止するため電池容器には剛直で密封性が高く且つ耐電圧性に優れた構造(円筒、角型、コイン型)が求められている。特に、近年、電池には様々な形状が要求され、偏平で大面積の電池開発も行われている。このような電池として固体電池が検討されている。固体電池の固体電解質としてはNASIKON,LISICONなどの無機伝導性ガラス、高分子固体電解質などが注目されているが、従来の無機系電解質は安定性が低い、電池システムが限定されるなどの問題があり、また高分子固体電解質は加工性の点で優れているもののイオン伝導度が低い、隔膜強度が低いなどの問題が指摘されている。
【0003】
高分子固体電解質としてたとえばシロキサン(US5,123,512)、ホスファゼン(US4,840,856)などを用いることでイオン伝導度の向上を目指したが、イオン伝導度が未だ不満足で、電池性能を確保することは困難であった。また、近年注目されてきている高分子マトリクス、溶媒、電解質塩からなるゲルは熱可塑性の高分子マトリクスからなるゲルと架橋性高分子マトリクスからなるゲルがあり、電池性能を確保することができるが、電池として固体強度は十分であるが、イオン伝導度は未だ十分でないか、イオン伝導度は高いが固体強度が十分でないなどの両方の要件を必ずしも満足するものが得られていないのが現状である。
【0004】
また、高分子ゲル電解質として重合性モノマー及び光重合開始剤を含有する電解液を活性光線で硬化させ、イオン伝導性高分子ゲル電解質としたものが知られている(特開昭63−94501など)。この方法はフィルム状の高分子ゲル電解質の製法には好適であるが、活性光線を透過しない、例えば容器中の高分子ゲル電解質形成性原料を硬化させることには不適である。一方、加熱による高分子ゲル電解質作製の例として、一官能及び/または多官能アクリレートを用い、加熱重合にて高分子マトリクスを形成する方法が知られている(特開平2−298504など)。しかしながら、これらの高分子ゲル電解質においては、加熱重合によって高分子ゲル電解質中の溶媒の揮発や電解質塩の分解など、高分子ゲル電解質に含有される電解液の組成変化が起きたり、そのためイオン伝導度が劣化したり、電池特性の劣化を引き起こしたりするため高分子ゲル電解質としては不具合が生じていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記高分子ゲル電解質の問題点を解決し、イオン伝導度が高く、十分な固体強度を有し、かつ繰り返し充放電を行っても、電池エネルギー密度の低下を生じることがなく、さらに耐電圧性、電気伝導性、負荷特性および低温特性に優れた高分子ゲル電解質及びその高分子ゲル電解質を用いたポリマー二次電池を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、高分子ゲル電解質を作製する際の熱重合開始剤として、高分子ゲル電解質を構成する溶媒の中で最も低い沸点を持つ溶媒の沸点以下の温度で半減期が2時間以内であるものを使用することによって、前記従来技術の問題点を解消した点にある。
前記のような特性を有する熱重合開始剤を使用することで、沸点以下の温度で重合することが可能となり、熱重合の際、高分子ゲル電解質中の構成溶媒の揮発が抑制される。更に、半減期が2時間以内という熱重合開始剤を使用することで、加熱される時間の短縮、また熱重合温度の低下も可能となる。そのため、熱に不安定な電解質塩の分解を抑制するなどの効果が期待できる。もし熱重合開始剤の最適使用温度より高い温度で使用した場合には開始剤の分解が速やかにおこり、重合時間の短縮は可能となるが、100%近くまで重合が進行せずに、低重合率で重合は停止するため、高分子ゲル電解質の高分子マトリクスの形成が不十分となる。そのため高い弾性率を得ること及び溶媒を保持することが困難となる。このことと溶媒の揮発という面から沸点以下の温度で重合でき、なおかつ重合時間の短い開始剤を使用することは高分子ゲル電解質を作製する際に非常に効果があることである。
また、電池として上記高分子ゲル電解質を組み込んだ場合、加熱温度を低く抑えることができるので、懸念される電極の電池特性にも影響はないと考えられる。
更にこのような熱重合の場合、光重合にくらべイオン伝導度を低下させることなく、弾性率が向上した高分子ゲル電解質を得ることができる。
上記のような点が従来にくらべ改善されるため、イオン伝導度の低下がなく、良好な高分子ゲル電解質及びポリマー電池を得ることができる。
【0007】
また、更に高分子ゲル電解質の構成溶媒として環状炭酸エステルを使用することで、加熱による高分子ゲル電解質中の構成溶媒の揮発が抑制されるのに加え、理由は不明であるがイオン伝導度の低下なしに、高分子ゲル電解質の弾性率が高くなる。
【0008】
熱重合開始剤として有機過酸化物を含有することにより、以下の反応が起きていると考えられる。過酸化物系開始剤は、例えば過酸化ベンゾイル(BPO)のような開始剤の場合、一次分解し、ラジカルとしてC6H5COO・が生成し、重合反応温度が高いほど、BPOの濃度が低いほど、モノマーの濃度が低いほど更に分解して、炭酸ガスとC6H5・が生成し、それら2つのラジカルが熱重合に寄与すると考えられている。重合温度を低く、BPOの濃度を高く、モノマー濃度を高くすることで炭酸ガスの発生は抑制できる。このように前記条件で重合すれば炭酸ガス発生は少くなく、高分子ゲル電解質中に溶存することができ、逆にその炭酸ガスによって電池の一回目の充電時に炭素負極上に安定な炭酸リチウム皮膜を形成し、炭素負極における溶媒の分解を防止し、電池のサイクル特性を向上させることができると考えられる。
該熱重合開始剤としてパーオキシジカーボネート化合物を使用することにより、特に低温、短時間で熱重合することができ、更に電気化学的に安定であるためイオン伝導度が高く、弾性率も高い良好な高分子ゲル電解質を得ることができる。
該熱重合開始剤が重合後の高分子マトリクスあるいは重合性モノマーに対して、0.005〜5wt%含有することにより、一次分解ラジカルのさらなる分解を抑制することができ、多量の炭酸ガスの発生を抑えることができる。さらに、この開始剤濃度であれば、その重合によって形成された高分子マトリクスは電解液/溶媒を保持するに十分であり、なおイオン伝導度が高く、弾性率も高いイオン伝導性高分子ゲル電解質が得られる。
さらに、該高分子マトリクスに対し少なくとも200wt%以上の非水電解液を含有することによりイオン伝導度を上げることができる。
【0009】
高分子ゲル電解質を構成する高分子マトリクスが単官能性アクリレートモノマーと多官能性アクリレートモノマーを熱重合することによって、架橋型高分子マトリクスを形成でき、イオン伝導度の高い高分子ゲル電解質とすることができる。
次に該アクリレートモノマーが少なくとも一種のアルキレンオキサイドで変性されたものであることにより、通常電解液に使用される非水溶媒に相溶性が向上し、さらにLiイオンとの高分子マトリクスの配位結合により、配位架橋構造をとり、イオン伝導度を低下させることなく、より強固な高分子ゲル電解質となり、安全性も付与されると考えられる。
上記のような高分子ゲル電解質を構成要素とすることにより、サイクル特性や電流特性の良好なリチウム二次電池を得ることができる。
【0010】
以下に本発明のイオン伝導性高分子ゲル電解質の構成を詳細に説明する。
本発明のイオン伝導性高分子ゲル電解質としては、構成溶媒の中で最も低い沸点を持つ溶媒の沸点以下の温度で半減期が2時間以内である熱重合開始剤を含有することを特徴としている。本発明で用いる熱重合開始剤としては構成溶媒の中で最も低い沸点を持つ溶媒の沸点以下の温度で半減期が2時間以内である熱重合開始剤であり、これらは低中温開始剤であり、適正使用温度範囲が約40〜100℃である開始剤である、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリルなどのアゾ系化合物などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。特に有機過酸化物系はガス発生が抑制され、また発生したとしても微量な炭酸ガスであり、高分子ゲル電解質中に溶存されるので問題はない。この溶存炭酸ガスは負極(Liあるいは炭素負極)の表面に炭酸リチウム皮膜を形成するので、負極における高分子ゲル電解質構成溶媒の分解を抑制し、充放電サイクル特性を向上することができる。
さらに、熱重合開始剤としてパーオキシジカーボネート化合物を使用することにより、特に低温、沸点以下の温度、短時間で熱重合することが可能となり、高分子ゲル電解質中の構成溶媒の揮発が抑制され、電解液組成の変化を抑制することができ、更に熱に不安定な電解質塩の分解を抑制することができる上に電気化学的に安定な高分子ゲル電解質を得ることができる。
【0011】
該熱重合開始剤を具体的に例示すると、有機過酸化物として、イソブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシビバレート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−(n−プロピル)パーオキシジカーボネート、ジ−(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネートなどが挙げられ、アゾ系化合物としては2,2′−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
中でもパーオキシジカーボネート系化合物は一次分解で生成すると思われる、R−OCO・と脱炭酸したR−O・の反応性の差が少なく、たとえ2つのラジカル種から開始したとしても重合によって生成する高分子マトリクスの構造に大きな差をもたらさないと考えられる。
したがって、均質な高分子マトリクスが得られ、高分子ゲル電解質は均一に作製でき、イオン伝導度や弾性率や電解液保液のむらが無いものが得られる。また、特に低温、短時間で熱重合することができ、更に電気化学的に安定であるためイオン伝導度が高く、弾性率も高い良好な高分子ゲル電解質を得ることができる。以上のことから、特にパーオキシジカーボネート系化合物は熱重合によって高分子ゲル電解質を作製するのに好ましいと言える。
前記のパーオキシジカーボネート系化合物の中でも特にジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが好適である。
【0013】
熱重合開始剤が重合後の高分子マトリクスあるいは重合性モノマーに対して、0.005〜5wt%含有することにより、一次分解ラジカルのさらなる分解を抑制することができ、多量の炭酸ガスの発生を抑えることができる。さらに、前記の開始剤濃度であれば、その重合によって形成された高分子マトリクスは電解液/溶媒を保持するに十分であり、なおイオン伝導度が高く、弾性率も高いイオン伝導性高分子ゲル電解質が得られる。開始剤濃度が0.005wt%より低い場合、十分な高分子マトリクスを形成できず、電解液を保液することが困難になる。また、開始剤濃度が5wt%より高い場合、高分子鎖の短い高分子マトリクスを形成することになり、電解液を保液しながら十分な固体/ゲル強度を保てなくなり、弾性率が低下する。また、開始剤の高分子末端に入った以外の開始剤残留物/不純物も電気化学的に重要な因子であり、電気化学的に問題を生じる場合があり、開始剤濃度が5wt%より高い場合、電池特性に問題を生じることがある。
以上から、開始剤濃度は0.005〜5wt%である必要があり、好適には0.01〜1wt%である。
また、前述のように高分子ゲル電解質の構成溶媒として環状炭酸エステルを使用することで、熱重合による高分子ゲル電解質中の構成溶媒の揮発が抑制されるのに加え、イオン伝導度の低下なしに、高分子ゲル電解質の弾性率が高くなるが、特にエチレンカーボネートに加え、プロピレンカーボネートを併用すると一段と弾性率が向上し、好ましい。
【0014】
本発明で使用する環状炭酸エステルを例示すると、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等、また、ハロゲン置換環状炭酸エステルとしてはフルオロメチルエチレンカーボネート、ジフルオロメチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチルレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ヨードエチレンカーボネート、トリブロモエチレンカーボネート、トリヨードエチレンカーボネート、トリクロロエチレンカーボネート、トリクロロメチルエチレンカーボネート、トリブロモメチルエチレンカーボネート、トリヨードメチルエチレンカーボネート等があげられる。しかしながら本発明で使用する環状炭酸エステルは前記のものに限定されるものではなく、これら溶媒は単独でも2種以上混合して用いてもよい。特にエチレンカーボネートを使用するとイオン伝導度が高く、更にプロピレンカーボネートを併用するとイオン伝導度の低下なしに一段と弾性率が向上するので好適である。また、ハロゲン置換環状炭酸エステルを使用すると弾性率及びイオン伝導度が向上、更にハロゲン元素を含有しているので、燃焼性など安全性にも効果がある。
【0015】
また、構成溶媒として環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルを併用し、鎖状炭酸エステルの沸点以下の温度で加熱重合することにより、高分子ゲル電解質中の構成溶媒の揮発が抑制されるのに加え、高分子ゲル電解質の弾性率は低下することなく、イオン伝導度を向上させることができ、低温特性も良好となる。
【0016】
鎖状炭酸エステルを具体的に例示すると、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート等、また、ハロゲン置換鎖状炭酸エステルとしては、メチル−2−クロロエチル炭酸エステル、メチル−2,2,2−トリクロロエチル炭酸エステル、メチル−2,2,2−トリフルオロエチル炭酸エステル、ジ−(2,2,2−トリフルオロエチル)炭酸エステル、メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル炭酸エステル等があげられるが、これらに限定されるものではなく、これら鎖状炭酸エステルは単独でも2種以上混合し、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルを併用し用いてもよい。特にジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートを使用すると弾性率を低下させること無しにイオン伝導度が高くできるので好適である。また、ハロゲン置換鎖状炭酸エステルを使用すると弾性率及びイオン伝導度が向上し、更にハロゲン元素を含有しているので燃焼性など安全性にも効果がある。
【0017】
上記環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステル以外に添加できる非水溶媒として、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタンの他、メチルグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、エチルグライム、エチルジグライム、ブチルジグライム等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これら溶媒は単独でも2種以上混合して用いてもよい。
【0018】
高分子ゲル電解質の高分子マトリクスとしてはアクリロイル変性ポリエチレンオキサイド、アクリロイル変性ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、アクロイル変性ポリウレタン、ポリアクリレートなどがあげられるがこれらに限定されるものではない。さらに、エチレンオキシド鎖を側鎖または主鎖に有する架橋型高分子、例えばウレタン、アクリル、エポキシ等の架橋によるものがあげられる。架橋型高分子マトリクスについて詳述すると、本発明で用いる重合性化合物はその分子内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の炭素以外のヘテロ原子を含むものである。
【0019】
さらに、本発明の高分子ゲル電解質は非水電解液を含有する。非水電解液は電解質塩を非水溶媒に溶解させたものであり、具体的に電解質塩を例示すると、ルイス酸複塩としては、たとえばLiBF4,LiAsF6,LiPF6,LiSbF6などが挙げられる。スルホン酸電解質塩としては、たとえばLiCF3SO3,LiN(CF3SO2)2,LiC(CF3SO2)3,LiC(CH3)(CF3SO2)2,LiCH(CF3SO2)2,LiCH2(CF3SO2),LiC2F5SO3,LiN(C2F5SO2)2,LiB(CF3SO2)2などが挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明使用の電解質塩としては他にLiClO4,LiCF3CO3,NaClO3,NaBF4,NaSCN,KBF4,Mg(ClO4)2,Mg(BF4)2等があげられるが、これらに限定されるものではなく、通常の非水電解液に用いられるものであれば特に制限はない。なお、これらの電解質塩は混合し、使用しても良い。
また、非水電解液中の電解質塩の濃度は非水溶媒中、通常1.0〜7.0mol/l、特に、1.0〜5.0mol/lが好ましい。また、非水電解液はマトリクスを形成する高分子量重合体に対し、通常200wt%以上、400〜900wt%が好ましく、特に500〜800wt%が好ましい。200wt%より低いとイオン伝導度が低下し、電池特性が劣化するため不適である。
【0020】
本発明で用いる重合性化合物の種類は特に制約されず、熱重合反応を生起して重合体を得るものであり、架橋高分子マトリクスを形成することができる単官能性モノマーと多官能性モノマーの組み合わせが好ましく、特に、前記多官能性モノマーとして、三官能性モノマーを使用するのが好ましい。
本発明で用いる重合性化合物としては例えば単官能および多官能および多官能の(メタ)アクリレートのモノマーあるいはプレポリマーが挙げられる。なお、本明細書における(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタアクリレートを意味する。
単官能アクリレートとしては、アルキル(メタ)アクリレート〔メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクレート等〕、脂環式(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等)、ヒドロキシポリオキシアルキレン(オキシアルキレン基の炭素数は好ましくは1〜4)(メタ)アクリレート〔ヒドロキシポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等〕およびアルコキシアルキル(アルコキシ基の炭素数は好ましくは1〜4)(メタ)アクリレート(メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等)が挙げられる。
【0021】
その他の(メタ)アクレートの具体例としては、たとえばメチルエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピルエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルエチレングリコール、エトキシジエチルグリコールアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート等のアルキルエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルプロピレングリコールアクリレート、ブチルプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート等のアルキルプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0022】
前記(メタ)アクリレートは複素環基を含有していても良く、該複素環基としては、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を含む複素環の残基である。この(メタ)アクリレート中に含まれる複素環基の種類は特に限定されるものではないが、たとえばフルフリル基、テトラヒドロフルフリル基を有するフルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが好ましい。その他の複素環基を有する(メタ)アクリレートとしては、フルフリルエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルエチレングリコール(メタ)アクリレート、フルフリルプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルピロピレングリコール(メタ)アクリレート等のフルフリル基あるいはテトラヒドロルフリル基を有するアルキレングリコールアクリレートが挙げられる。
前記(メタ)アクリレート化合物およびそのプレポリマーの分子量は通常500未満、好ましくは300以下である。なお、前記(メタ)アクリレート化合物は単独で使用してもよいが二種類以上を混合して使用することもできる。
また、前記(メタ)アクリレート化合物の使用割合は、非水電解液に対して50重量%以下、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。
【0023】
多官能(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイル基を二個以上有するモノマーあるいはプレポリマーが挙げられる。特に3個の(メタ)アクリロイル基を有する3官能の(メタ)アクリレートが、保液性、イオン伝導度、強度にすぐれた高分子ゲル電解質を与える点で最も好ましい。前記多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げらる。
【0024】
架橋型高分子マトリクスを形成するには、特に単官能モノマーと多官能モノマーの組み合わせが好ましい。単官能性モノマーに多官能性モノマーを併用する場合、該多官能性モノマーが多官能(メタ)アクリレートである場合、該多官能(メタ)アクリレートの添加量は非水電解液に対して4wt%以下、好ましくは0.05〜2wt%である。特に、3官能(メタ)アクリレートを併用する場合には2wt%以下、好ましくは0.05〜0.5wt%が好ましい。
また、理由は不明であるが特にパーオキシジカーボネート化合物を開始剤に用いた場合、アクリレート系の極性モノマーの場合に重合むらの無い均質な高分子マトリクスを得るのに効果があり、イオン伝導度の高い弾性体となり、電池の内部要素として良好なイオン伝導性高分子ゲル電解質層を構成することができる。
【0025】
前記高分子ゲル電解質は電池、コンデンサ、センサ、エレクトロクロミックデバイス、半導体デバイス等の電気化学素子における高分子ゲル電解質層として利用することができる。
本発明の高分子ゲル電解質を電池電解質として用いる場合について詳述する。一般的に電池は正極活物質からなる正極、負極活物質からなる負極、および電解質より構成される。
本発明の高分子ゲル電解質そのものに隔膜としての機能を兼用させることも可能であるが、極間の電界を均一にし、強度を向上させ、得られる電池の信頼性向上のために隔膜と一体化することが好ましく、特に二次電池においてはこのような配慮が必要である。
【0026】
本発明の電池において用いられる正極活物質はTiS2,MoS2,Co2S5,V2O5,MnO2,CoO2等の遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化合物およびこれらとLiとの複合体(Li複合酸化物;LiMnO2,LiMn2O4,LiCoO2,LiNiO2等)が挙げられる。
【0027】
導電材として有機物の熱重合物である一次元グラファイト化物、弗化カーボン、グラファイトあるいは1/102S/cm以上の電気伝導度を有する導電性高分子、具体的にはポリアニリン、ポリピロール、ポリアズレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリフタロシアニン、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリピリジン、ポリジフェニルベンジジン等の高分子およびこれらの誘導体があげられるが、100%の放電深度に対しても高いサイクル特性を示し、無機材料に比べ比較的過放電に強い導電性高分子を使用することが好ましい。また、バインダーとして、例えばポリ弗化ビニルデンを使用することもできる。さらに、電極はこれらを必要に応じて集電体に塗布、接着、圧着等の方法により担持することにより製造することができる。
【0028】
本発明の電池に用いられる負極材料としてはリチウム、リチウムアルミ合金、リチウムスズ合金、リウチムマグネシウム合金などの金属負極、炭素、炭素ボロン置換体、酸化スズ等のリチウムイオンを吸蔵しうるインターカレート物質などが例示できる。本発明の電池に用いられる炭素質負極活物質としてはグラファイト、ピッチコークス、合成高分子、天然高分子の焼成体があげられるが、本発明では、▲1▼フェノール、ポリイミドなどの合成高分子、天然高分子を400〜800℃の還元雰囲気で焼成することにより得られる絶縁性ないし半導体炭素体、▲2▼石炭、ピッチ、合成高分子あるいは天然高分子を800〜1300℃での還元雰囲気で焼成することにより得られる導電性炭素体、▲3▼コークス、ピッチ、合成高分子、天然高分子を2000℃以上の温度で還元雰囲気下焼成することにより得られるもの、および天然グラファイトなどのグラファイト系炭素体が用いられる。特に、メゾフェースピッチ、コークスを2500℃以上の還元雰囲気下焼成してなる炭素体および天然グラファイトが好ましく、これらの複合体も負極として良好な電極特性を有する。炭素体のシート化炭素体と結着剤から湿式抄紙法を用いたり、炭素材料に適当な結着剤を混合した塗料から塗布法により作製される。電極はこれを必要に応じて集電体に塗布、接着、圧着等の方法により担持することにより製造することができる。
【0029】
本発明の電池は高分子ゲル電解質を従来の電池における固体電解質のかわりに用いて製造することができる。電極や隔膜等の電池要素に高分子ゲル電解質形成用組成物を含浸させ、加熱重合手段により粘弾性体とし、ゲル電解質と電池要素の一体化を行うことが好ましく、電池要素と前記高分子ゲル電解質が一体化していれば、正極、負極での電極反応およびイオンの移動をスムーズに進行させることができ、電池の内部抵抗を大幅に低減することができる。
また、従来のリチウムイオン電池の様に電池要素を組み込み、高分子ゲル電解質形成用組成物を注液し、加熱重合により高分子ゲル電解質層を形成させ、電池要素との一体化を行うというような従来の工法を利用した電池製造法も可能となる。
【0030】
本発明に使用する正極集電体としては、たとえばステンレス鋼、金、白金、ニッケル、アルミニウム、モリブテン、チタン等の金属シート、金属箔、金属網、パンチングメタル、エキスパンドメタル、あるいは金属めっき繊維、金属蒸着線、金属含有合成繊維等からなる網や不織布があげられる。特にアルミニウム、ステンレスを用いることが好ましく、さらに好ましくは軽量性、電気化学安定性からアルミニウムが好ましい。また、正極集電体層および負極集電体層の表面は粗面化してあることが好ましい。粗面化処理としてはエメリー紙による研磨、ブラスト処理、化学的あるいは電気化学的エッチングがあり、これにより集電体を粗面化することができる。特にステンレス鋼の場合はブラスト処理、アルミニウムの場合はエッチング処理したエッチドアルミニウムが好ましい。
【0031】
本発明の電池においてはセパレータを使用することもできる。セパレータの例としてはガラス繊維、フィルター、ポリエステル、テフロン、ポリフロン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子繊維からなる不織布フィルター、ガラス繊維とそれらの高分子繊維を混用した不織布フィルターなどをあげることができる。
【0032】
本発明の電池は上述したイオン伝導性高分子ゲル電解質を構成要素とすることで、充放電の繰り返し後でも電池のエネルギー密度の低下のない、電池特性の優れた、安全性の高いポリマー電池とすることができる。また、電池製造法も種々選択できるので、本発明のポリマー電池は形状、形態等は特に限定されるものではなく、円筒型、角型、コイン型、カード型、大容量用型など種々に適応できる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において、部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。なお、非水溶媒および電解質塩は十分に精製を行い、水分20ppm以下としたもので、さらに脱酸素および脱窒素を行った電池グレードのものを使用し、すべての操作は不活性ガス雰囲気下で行った。また、イオン伝導度の測定は25℃で対極として底面を除いた内周面を絶縁テープで被覆したSUS製円筒状容器(内径20mm)を用い、この容器に固体電解質を充填しその固体電解質表面に作用極として直径18mmのSUS製円柱体を圧着させることによって行った(イオン伝導度測定用セル)。
【0034】
実施例1
イオン伝導性高分子ゲル電解質(I)
プロピレンカーボネート/ジメトキシエタン(沸点:85℃)(70/30:vol比)に溶解した1.5mol/lのLiPF6溶液の電解液85部に、単官能性モノマーとしてエチルジエチレングリコールメタクリレート14.5部、多官能性モノマーとしてPO変性トリメチロールプロパントリアクリレート0.5部、熱重合開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(85℃で半減期50分)0.06部を添加混合溶解し、重合性溶液を調整した後、70℃、1時間にて電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0035】
実施例2
イオン伝導性高分子ゲル電解質(II)
エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート(沸点:242℃)(60/40:vol比)に溶解した2.0mol/lのLiN(CF3SO2)2溶液の電解液86部に、単官能性モノマーとしてメチルジエチレングリコールアクリレート13.7部、多官能性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート0.3部、熱重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(90℃で半減期1.5時間)0.05部を添加混合溶解し、重合性溶液を調整した後、80℃、1.5時間にて電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0036】
実施例3
イオン伝導性高分子ゲル電解質(III)
エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート(沸点:90℃)(50/50:vol比)に溶解した1.5mol/lのLiPF6溶液の電解液84部に、単官能性モノマーとしてエチルジエチレングリコールアクリレート15.8部、多官能性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート0.2部、熱重合開始剤としてビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(90℃で半減期5分)0.05部を添加混合溶解し、重合性溶液を調整した後、60℃、1時間にて電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0037】
実施例4
イオン伝導性高分子ゲル電解質(IV)
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート(沸点:126℃)(50/50:vol比)に溶解した2.0mol/lのLiPF6溶液の電解液80部に、単官能性モノマーとしてメチルジエチレングリコールアクリレート15.5部、多官能性モノマーとしてEO変性トリメチロールプロパントリアクリレート0.5部、熱重合開始剤としてベンゾイルパーオサイド(90℃で半減期1.5時間)0.05部を添加混合溶解し、重合性溶液を調整した後、80℃、1.5時間にて電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0038】
実施例5
イオン伝導性高分子ゲル電解質(V)
エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート(沸点:242℃)(60/40:vol比)に溶解した1.5mol/lのLiPF6溶液の電解液86部に、単官能性モノマーとしてエチルジエチレングリコールアクリレート13.8部、多官能性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート0.2部、熱重合開始剤としてビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(90℃で半減期5分)0.056部を添加混合溶解し、重合性溶液を調整した後、60℃、1時間にて電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0039】
実施例6
イオン伝導性高分子ゲル電解質(VI)
エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート(沸点:242℃)(60/40:vol比)に溶解した1.5mol/lのLiPF6溶液の電解液84部に、単官能性モノマーとしてエチルジエチレングリコールアクリレート15.5部、多官能性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート0.5部、熱重合開始剤としてビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(90℃で半減期5分)0.32部(重合性モノマーに対し、2wt%)を添加混合溶解し、重合性溶液を調整した後、60℃、0.5時間にて電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0040】
実施例7
イオン伝導性高分子ゲル電解質(VII)
エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート(沸点:242℃)(60/40:vol比)に溶解した2.0mol/lのLiN(CF3SO2)2溶液の電解液80部に、単官能性モノマーとしてメチルジエチレングリコールアクリレート20部、熱重合開始剤としてビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(90℃で半減期5分)0.06部を添加混合溶解し、重合性溶液を調整した後、60℃、1.5時間にて電解液を固体化した(電解液400wt%含有)。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0041】
実施例8
イオン伝導性高分子ゲル電解質(VIII)
エチレンカーボネート/トリフルオロメチルエチレンカーボネート/ジメチルカーボネート(沸点:90℃)(50/20/30:vol比)に溶解した1.8mol/lのLiN(CF3SO2)2+0.2mol/lのLiBF4溶液の電解液85部に、単官能性モノマーとしてメチルジエチレングリコールアクリレート13部、多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタアクリレート2部、熱重合開始剤としてジイソプロピルパーオキシジカーボネート(90℃で半減期1分)0.06部を添加混合溶解し、重合性溶液を調整した後、50℃、0.5時間にて電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0042】
実施例9
イオン伝導性高分子ゲル電解質(IX)
エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート/メチルトリフルオロエチルカーボネート(沸点:105℃)(50/10/40:vol比)に溶解した1.8mol/lのLiBF4溶液の電解液85部に、単官能性モノマーとしてメトキシプロピレングリコールアクリレート14.8部、多官能性モノマーとしてEO変性トリメチロールプロパントリアクレート0.2部、熱重合開始剤としてビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(105℃で半減期1分)0.06部を添加混合溶解し、重合性溶液を調整した後、60℃、1時間にて電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0043】
実施例10
熱重合開始剤としてビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(90℃で半減期5分)を、a)0.7部(重合性モノマーに対し、5wt%)、b)0.007部(重合性モノマーに対し、0.005wt%)、c)1.4部(重合性モノマーに対し、10wt%)、d)0.003部(重合性モノマーに対し、0.002wt%)混合溶解した以外は実施例5と同様に電解液を固体化した。この高分子固体電解質の固体化度合い(ゲルとしての状態/○:十分に固体化し、ゲルとしての強度がある。△:固体化しているが、液もれがみられる。×:固体化していないか、完全に固液分離している。)を評価し、実施例5(重合性モノマーに対し、0.04wt%)とあわせて表2に示した。
【0044】
実施例11
電気化学素子(I)の作製
(正極電池特性の評価)
ポリ弗化ビニリデン3重量部をN−メチルピロリドン38重量部に溶解して、活物質としてLiCoO250重量部と導電剤として黒鉛9重量部を加えてホモジナイザーにて不活性雰囲気下で混合分散し、正極用塗料を調整した。これを大気中にてワイヤーバーを用いて20μmAl箔上に塗布し、125℃30分間乾燥させ、膜厚60μmの電極を作製した。これを正極とし、対極はLi板として、実施例5で調整した重合性溶液を浸透させ、60℃、1時間かけて電解液を固体化したのち、充放電試験を行った。充放電試験は北斗電工製HJ−201B充放電測定装置を用いて、1.0mAの電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、一時間の休止後、1.0mAの電流で、電池電圧が3.3Vまで放電し、以下この充放電を繰り返したところ、良好なサイクル特性を示し、電池容量密度の50サイクル後のサイクル劣化はほとんど見られなかった(容量劣化率96.0%)。
【0045】
実施例12
電気化学素子(II)の作製
(負極電池特性の評価)
ポリ弗化ビニリデン2重量部をN−メチルピロリドン58重量部に溶解してコークスの2500℃焼成品40重量部を加えて、ロールミル法にて不活性雰囲気下で混合分散し、負極用塗料を調整した。これを大気中にてワイヤーバーを用いて20μm銅箔上に塗布、100℃15分間乾燥させ、膜厚60μmの電極を作製した。これを負極とし、対極はLi板として、実施例3で調整した重合性溶液を浸透させ、熱重合し、電解液を固体化し、充放電試験を行った。充放電試験は北斗電工製HJ−201B充放電測定装置を用いて、1.5mAの電流で0Vになるまで定電流で以降3時間定電圧充電し、1時間の休止後、1.5mAの電流で、電池電圧が0.8Vまで放電し、以下この充放電を繰り返したところ、良好なサイクル特性を示し、電池容量密度の50サイクル後のサイクル劣化はほとんど見られなかった(容量劣化率97.7%)。
【0046】
比較例1
熱重合開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリルを使用する変わりに、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(85℃で半減期12.5時間)する以外は実施例1と同様に電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。ゲルとして電解液を十分に保持することができなかった。
【0047】
比較例2
重合温度を100℃にした以外は比較例1と同様に電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。また、このイオン伝導性高分子ゲル電解質は作成の際に溶媒の揮発が大きく、構成溶媒の組成変化が見られた。
【0048】
比較例3
エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート(60/40:vol比)の変わりにγ−ブチロラクトン(沸点:204℃)/ジメトキシエタン(沸点:85℃)(60/40:vol比)を使用し、比較例1で使用した熱重合開始剤を用い、電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0049】
比較例4
比較例1で使用した熱重合開始剤を1.5部(重合性モノマーに対し、10wt%)とした以外は実施例6同様に電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0050】
比較例5
電解液35部とし、比較例1で使用した熱重合開始剤を0.06部とした以外は実施例7と同様に電解液を固体化した(電解液175wt%含有)。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。
【0051】
比較例6
単官能性モノマーとしてメチルジエチレングリコールアクリレート13部、多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタアクリレート2部を使用する変わりに多官能性モノマーEO変性トリメチロールプロパントリアクリレート15部のみ使用し、比較例1で使用した熱重合開始剤を0.06部とした以外は実施例8と同様に電解液を固体化した。この高分子固体電解質のイオン伝導度及び高分子固体電解質強度を示す弾性率の結果を表1に示した。固体化した部分と電解液部分に完全にわかれ、ゲル状にはならなかった。
【0052】
比較例7
電気化学素子(II)作製
(負極電池特性の評価)
ポリ弗化ビニリデン2重量部をN−メチルピロリドン58重量部に溶解してコークスの2500℃焼成品40重量部を加えて、ロールミル法にて不活性雰囲下で混合分散し、負極用塗料を調整した。これを大気中にてワイヤーバーを用いて20μm銅箔上に塗布、100℃15分間乾燥させ、膜厚60μmの電極を作製した。これを負極とし、対極はLi板として比較例2で調整した重合性溶液を浸透させ、熱重合し、電解液を固体化し、充放電試験を行った。充放電試験は北斗電工製HJ−201B充放電測定装置を用いて、1.5mAの電流で0Vになるまで定電流で以降3時間定電圧充電し、1時間の休止後、1.5mAの電流で電池電圧が0.8Vまで放電し、以下この充放電を繰り返したところ、サイクル劣化が見られ、電池容量密度の50サイクル後のサイクル劣化は容量劣化率45.7%であった。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
以下、本発明の実施態様を示す。
1. 高分子ゲル電解質を構成する溶媒中で最も低い沸点を持つ溶媒の沸点以下の温度で半減期が2時間以内である熱重合開始剤を含有することを特徴とするイオン伝導性高分子ゲル電解質。
2. 構成溶媒が少なくとも一種の環状炭酸エステルである前記1のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
3. 構成溶媒として、さらに少なくとも一種の鎖状炭酸エステルを有するものである前記1〜2のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
4. 熱重合開始剤が有機過酸化物である前記1〜3のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
5. 有機過酸化物がパーオキシジカーボネート化合物である前記4のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
6. 熱重合開始剤が重合性モノマーあるいは重合後の高分子マトリクスに対し、0.005〜5wt%含有されたものである前記1〜5のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
7. 高分子マトリクスに対して少なくとも200wt%以上の非水電解液を含有する前記1〜6のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
8. 高分子ゲル電解質を構成する高分子マトリクスが単官能性アクリレートモノマーあいるはその変性物と多官能性モノマーあるいはその変性物を重合したものである前記1〜7のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
9. 高分子ゲル電解質を構成する高分子マトリクスが少なくとも一種のアルキレンオキサイドで変性されたアクリレートモノマーの重合体である前記1〜8のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
10. 前記1〜9のイオン伝導性高分子ゲル電解質を構成要素とする電池。
【0056】
【効果】
1. 請求項1〜7
イオン伝導度が低下することなく、弾性率の高い、構成電解液の組成変化の無い高分子ゲル電解質が作製できる。
2. 請求項2
イオン伝導度が低下することなく、弾性率の高い、構成電解液の組成変化の無い高分子ゲル電解質が作製でき、特に弾性率向上及び溶媒揮発防止に効果があり、固体強度向上した高分子ゲル電解質を得ることができる。
3. 請求項3
弾性率が低下することなく、イオン伝導度の高い、構成電解液の組成変化の無い高分子ゲル電解質が作製でき、特にイオン伝導度向上に効果がある。
4. 請求項4
熱重合の際にガス発生が抑制され電気化学的に悪影響がなく、弾性率、イオン伝導度の高い高分子ゲル電解質を得ることができる。
5. 請求項5
重合後の高分子マトリクスあるいは重合性モノマーに対して、0.005〜5wt%含有することにより、1次分解ラジカルのさらなる分解を抑制することができ、ガスの発生を抑制することができ、形成された高分子マトリクスは電解液を良好に保持でき、イオン伝導度が高く、弾性率も高い高分子ゲル電解質を得ることができる。
6. 請求項6
高分子マトリクスが単官能性アクリレートモノマーと多官能性アクリレートモノマーを熱重合することによって、架橋性高分子マトリクスを形成でき、イオン伝導度が高く、弾性率の高い高分子ゲル電解質を得ることができる。
7. 請求項7
アクリレートモノマーが少なくとも一種のアルキレンオキサイドで変性されたものであることにより、非水溶媒に相溶性が向上し、Liイオンとの高分子マトリクスの配位架橋構造をとり、イオン伝導度を低下させることなく、より固体強度の高い高分子ゲル電解質を得ることができる。
8. 請求項8
これら高分子ゲル電解質を使用することにより、液もれがなく、安全で充放電効率、サイクル特性など電池特性の優れた全固体電気化学素子および非水系固体二次電池を作製できる。
Claims (8)
- 高分子ゲル電解質を構成する溶媒中で最も低い沸点を持つ溶媒の沸点以下の温度で半減期が2時間以内である熱重合開始剤を含有することを特徴とするイオン伝導性高分子ゲル電解質。
- 構成溶媒が少なくとも一種の環状炭酸エステルである請求項1記載のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
- 構成溶媒が少なくとも環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルである請求項1〜2のうちのいずれかに記載のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
- 熱重合開始剤が有機過酸化物である請求項1〜3のうちのいずれかに記載のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
- 熱重合開始剤が重合性モノマーあるいは重合後の高分子マトリクスに対し、0.005〜5wt%含有されたものである請求項1〜4のうちのいずれかに記載のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
- 高分子ゲル電解質を構成する高分子マトリクスが単官能性アクリレートモノマーあいるはその変性物と多官能性モノマーあるいはその変性物を重合したものである請求項1〜5のうちのいずれかに記載のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
- 高分子ゲル電解質を構成する高分子マトリクスが少なくとも一種のアルキレンオキサイドで変性されたアクリレートモノマーの重合体である請求項1〜6のうちのいずれかに記載のイオン伝導性高分子ゲル電解質。
- 請求項1〜7のうちのいずれかに記載のイオン伝導性高分子ゲル電解質を構成要素とする電池。
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