JP3610680B2 - コークス炉炭化室内のカーボン付着量の低減方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、室炉式コークス炉における炭化室内に付着するカーボン量を低減することができるコークス炉炭化室カーボン付着量の低減方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、図7に示すように装炭車10に搭載した複数の装炭ホッパ11から切り出された石炭は、室炉式のコークス炉1における炭化室6の天井に配設された複数の装入口7を介して炭化室6内に装入される。炭化室6内への石炭装入が終了した段階では、複数の装入口7の直下に石炭の山が形成されるため、装入石炭の表面には凹凸が生じる。
【0003】
装入石炭の表面に凹凸が存在すると操業に悪影響を及ぼすため、これを解消すべく、炉蓋8の上部に設けた小蓋(図示せず)を用いて、そこから装入炭レベラ2を炭化室6の長手方向に挿入し、前後進をくり返すことによって凹凸面をならす作業が行われる。
装入炭レベラ2を用いて炭化室6内の装入石炭を平坦にならしたのち、炭化室6の炉団方向両端に配置された燃焼室(図示せず)からの伝熱による加熱により約17〜24時間をかけて石炭を乾留する。炭化室6での石炭乾留が終了したら、図8に示すように、当該炭化室6のマシンサイドおよびコークスサイドにある炉蓋8(図7参照)を取り外した状態として、押出機9のラムによりコークスケーキ12を押し出す。このようにしてマシンサイドからコークスサイドに押し出されるコークスケーキ12は、コークガイド車13にガイドされ、消火車14に排出される。
【0004】
ところで、コークス炉1における炭化室6内で石炭を乾留する過程でタールを含む炭化水素ガスが生じ、これが炭化室6内に充満することになる。この炭化水素ガスが炭化室6で炉内の高温煉瓦面で熱分解を起こしてカーボンを発生する。このカーボンは炭化室6の内面を形成する炉壁面に生じた気孔、目地またはスポーリングなどで生じた欠損部に侵入し、これが成長して強固なカーボンの付着層を形成する。
【0005】
カーボンの付着する場所は炉壁の平滑状態や炉壁の温度に左右されるため炉内で付着層の厚みが異なってしまう。このためそのまま放置しておくと炉壁面に凹凸が生じ、押出機によるコークスケーキの押出し時に抵抗が増加し、最終的には押出しが不可能な状態にならしめる、いわゆる押詰りの原因となるので、日常の操業では定期的に空気あるいは酸素ガスを吹き込んで焼き落しによる除去作業を行っている。しかしこのカーボン焼き作業はカーボンの燃焼による局所的な高温部の生成と主に空気侵入部となる炉蓋近傍での温度低下をもたらすため炉体損傷を招く必要悪とされていた。
【0006】
このような状況に対し焼却除去装置による付着カーボン除去方法(例えば特開昭61−231084号公報)が開示されているが、このような方法ではまだらに付着したカーボンを除去することが難しく、焼き過ぎて必要なカーボンの目地まで除去してしまう欠点がある。また、付着防止法としてカーボンの付着しにくい煉瓦や煉瓦表面の処理に関しては、煉瓦にうわ薬を塗布して熱処理する方法(特開昭59−174585号公報)、素地段階でうわ薬を塗布し焼成した煉瓦(特開昭63−236783号公報)を使用する方法、無機系バインダと微粉の耐火物を炉内に噴霧する方法(実公昭55−4276号公報)、ArガスのプラズマジェットでSiOもしくはCrを溶射する方法(特開平2−160896号公報)が開示されている。
【0007】
しかしこれら炭化室の煉瓦表面に塗膜を塗布する方法では、吹き付け剤のコストが高いこととその寿命が短いことが欠点となっている。さらに炭化室上部空間の温度を下げカーボンの発生を抑制する方法に関しては、炭化室天井煉瓦に通気孔を設け水蒸気を導入する方法(特開昭50−2701号公報)、炭化室天井煉瓦に通気孔を設け冷却ガスを強制的に導入する方法(特公昭54−10001 号公報)、炭化室上部空間にコークス炉ガスを導入する方法(特開平3−210389号公報)、炭化室上部空間にCO およびHO の少なくとも1つを吹き込む方法(特開平3−212486号公報)等が開示されている。しかしこれらの方法はいずれも炭化室上部からガスを導入する方法のため炉体の改造が必要で多額な改造費用を伴う欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記公報に開示された従来技術は前述のような問題点があったが、その中でも特開昭50−2701号公報に開示の方法、特公昭54−10001 号公報に開示の方法、特開平3−210389号公報に開示の方法、さらに特開平3−212486号公報に開示の方法の、いずれにも共通した問題点は、炭化室上部からガスを導入する方法のため、既設のコークス炉に適用するためには大規模な炉体の改造が必要で多額な改造費用を伴うという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題を解消し、設備の簡易な改善によってコークス炉の炭化室に付着するカーボン量を低減することができるコークス炉炭化室カーボン付着量の低減方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1記載の本発明は、装炭車に搭載された装炭ホッパから切り出された石炭をコークス炉の炭化室に装入した後、装入炭レベラに取り付けた噴水ノズルから装入された石炭に散水し、炭化室の上部に装入された石炭の水分を調節することによって、炭化室のカーボン付着を防止することを特徴とするコークス炉炭化室カーボン付着量の低減方法である。
【0011】
請求項2記載の本発明は、装入炭レベラの長手方向に一定間隔をもち、各々が幅方向の下方内向きに対向して取り付けられた散水ノズルから散水することを特徴とする請求項1記載のコークス炉炭化室カーボン付着量の低減方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の手段たる構成ならびにその作用を図面に基づいてさらに詳細に説明する。
コークス炉の炭化室内では石炭の乾留過程で生じるタールを含む炭化水素ガスが充満しているが、このガスが炉内の高温の煉瓦面で熱分解してカーボンが発生する。カーボンの生成の影響因子に関しては、報文「住友金属」Vol.456 (1993)p.42−49に記載されているように、石炭の揮発分VM、石炭の水分TW、炭化室温度T、発生ガスの流速Vであることが知られている。付着カーボンは気相で存在する炭化水素が熱分解して気相で成長して付着するため温度が高く、滞留時間の長い炉の上部程、付着速度が速い。このため上部のカーボンを除去するためには上部空間の温度を下げることが有効である。ところでコークス炉炭化室の石炭の乾留時間に対する高さ方向の炭中温度推移を図5に示すが、上部の石炭は上部空間からの輻射の影響を受けるため中下層部に比べ昇温が早くなる傾向にあり、これがさらに上部空間の温度を高くしている要因の1つである。
【0013】
これらの事実から本発明者らは鋭意、乾留実験と伝熱計算を行い、炭化室上部に装入される石炭の水分を中下層部に比べ数%高くすることで最終炭化終了時間を増やすことなく上部空間温度を低減できることを知見した。水分添加量は炉体構造により高さ方向の温度分布が異なるため、そのコークス炉に応じて設定すればよい。また上層部の水分を増やすことは炭化水素ガスの濃度を低減でき、カーボンの生成速度を低下する効果もある。
【0014】
炭化室上部に装入される石炭の水分を上昇させる方法として、あらかじめ水分の高い石炭をコークス炉上部へ選択的に装入する方法が考えられるが、水分増加により石炭粒子間の摩擦抵抗が増加するためコークス炉上部の石炭の嵩密度が低減し、コークス品質にバラツキが出ることが懸念される。そこで装入後の石炭に散水する方法を考えた。
【0015】
この場合、図1〜図3に示すように、本発明では、石炭を掻きならす装入炭レベラ2に、その長手方向に等間隔で配設された多数の仕切板15の上部両側に装入炭レベラ2の長手方向に沿うように一対の給水配管4を設ける。そして各々の給水配管4から分岐させて多数の噴水ノズル5を、幅方向の下方内向きに対向して取り付ける。図では、各噴水ノズル5を各々の仕切板15の中間位置に1個取り付ける場合を示しているが、これに限定するものではなく、必要に応じ複数個をできるだけ等間隔になるように取り付けてもよい。要は、装入石炭の表面にできるだけ均一に水を噴水できるように配置するのが好適である。
【0016】
本発明では、まず図7に従って説明した従来と同様に、室炉式のコークス炉1の装入口7から炭化室6に石炭を装入したら、炉蓋8の上部から装入炭レベラ2を炭化室6内に挿入し、装入石炭に形成された凹凸面をならして平坦にする作業を行う。次に図4に示すように、装入炭レベラ2を炭化室6の最奥端部まで挿入し、上記のようにして装入炭レベラ2に設けた給水配管4から水を供給して噴水ノズル5から炭化室6内の石炭表面に幅方向の下方内向きに対向して噴水する。その結果、炭化室6の炉壁を散水により濡らすことなく、装入石炭の上部にある石炭の水分を増加させることが可能になる。
【0017】
本発明は、炉体の改造を全く行う必要がなく、さらに装炭車の改造も装入炭レベラに散水用の給水配管および噴水ノズルを取り付け、給水タンクを設置するだけの簡単なものである。水分の散水量はコークス炉の稼動状態で任意に選ぶことで最も経済性の高い範囲を選択すればよい。
【0018】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。内容積39m/窯、石炭装入量29t/窯のコークス炉において、装炭車の装入炭レベラに給水配管および噴水ノズルを装着した。炭化室に石炭装入レベラ作業終了後、上部石炭に噴水ノズルから 150リットルの水を注入した。加水した水分量は装入高さ1m分の石炭の水分を3%上昇させる量にあたる。なお、装入口直下については注入量を他の部分の 1.5倍にした。本発明の注水した場合と通常操業の注水しなかった場合のカーボン付着厚み、乾留時間の結果を表1に、また、注水時における乾留時間の炭中温度の推移を図6に示す。なお、カーボンの付着量は装入後炉内に煉瓦のテストピースを装入しテストピースへのガーボン付着の厚みを顕微鏡で測定して比較した。結果から明らかなように、炭中の上部温度の上昇速度が低減して上部温度が下がりカーボン付着量は大幅に低減した。
【0019】
【表1】
Figure 0003610680
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、装炭ホッパから切り出された石炭を室炉式コークス炉の炭化室へ落下、装入するに当たり、装入炭レベラに取り付けた噴水ノズルから装入された石炭に水をかけ、炭化室上部に装入される石炭の水分を調節することで炭化終了時間を延長させることなく炭化室上部のカーボンの付着を抑制できる。この結果、カーボン除去頻度が大幅に低減し、カーボン付着トラブルによる生産性の低下と炉体損傷加速の問題解決に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装入炭レベラを示す平面図である。
【図2】図1のA−A矢視を示す側面図である。
【図3】図1のB−B矢視を示す断面図である。
【図4】本発明に係るコークス炉炭化室への石炭装入状況を示す縦断面図である。
【図5】装入石炭の乾留時間(hr)と炭中温度(℃)との関係を、装入石炭の上部、中部および下部について比較して示す線図である。
【図6】装入石炭の乾留時間(hr)と炭中温度(℃)との関係を、上部(水分添加前)と下部(水分添加後)について比較して示す線図である。
【図7】従来に係るコークス炉炭化室への石炭装入状況を示す縦断面図である。
【図8】従来に係るコークス炉炭化室からのコークス押し出し状況を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 コークス炉
2 装入炭レベラ
3 仕切板
4 給水配管
5 噴水ノズル
6 炭化室
7 装入口
8 炉蓋
9 押出機
10 装炭車
11 装炭ホッパ
12 コークスケーキ
13 コークガイド車
14 消火車
15 仕切板

Claims (2)

  1. 装炭車に搭載された装炭ホッパから切り出された石炭をコークス炉の炭化室に装入した後、装入炭レベラに取り付けた噴水ノズルから装入された石炭に散水し、炭化室の上部に装入された石炭の水分を調節することによって、前記炭化室のカーボン付着を防止することを特徴とするコークス炉炭化室カーボン付着量の低減方法。
  2. 前記装入炭レベラの長手方向に一定間隔をもち、各々が幅方向の下方内向きに対向して取り付けられた散水ノズルから散水することを特徴とする請求項1記載のコークス炉炭化室カーボン付着量の低減方法。
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