JP3618018B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP3618018B2
JP3618018B2 JP26938195A JP26938195A JP3618018B2 JP 3618018 B2 JP3618018 B2 JP 3618018B2 JP 26938195 A JP26938195 A JP 26938195A JP 26938195 A JP26938195 A JP 26938195A JP 3618018 B2 JP3618018 B2 JP 3618018B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
weight
pps resin
melt viscosity
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP26938195A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0987518A (ja
Inventor
智義 小泉
幸男 市川
義克 佐竹
Original Assignee
呉羽化学工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 呉羽化学工業株式会社 filed Critical 呉羽化学工業株式会社
Priority to JP26938195A priority Critical patent/JP3618018B2/ja
Publication of JPH0987518A publication Critical patent/JPH0987518A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3618018B2 publication Critical patent/JP3618018B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関し、更に詳しくは、流動性が良好で、成形時のバリが少なく、しかも機械的特性の良好な成形物を与えることができるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と略記)は、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性等に優れたエンジニアリングプラスチックとして、自動車・航空機産業分野、電気・電子産業分野、精密機械産業分野などの広範な分野での利用が増大してきている。それに伴って、PPS樹脂の成形加工性に対する要求水準も高くなってきており、特に、成形時におけるバリの低減、及び流動性の改善に対する要求が強い。
PPS樹脂は、一般に、熱架橋型と直鎖型とに大別することができる。熱架橋型PPS樹脂は、重合により低重合度のポリマーを得た後、該ポリマーを空気の存在下に加熱し、部分架橋(キュアリング)させて高分子量化することにより得ることができる(米国特許第3,354,129号)。この場合の熱架橋型PPS樹脂は、溶融安定性が低いため、射出成形等による溶融加工が困難であり、成形物の機械的強度も低く、しかも着色が著しい。一方、直鎖型PPS樹脂は、重合反応により実質的に直鎖状で高分子量のポリマーを得る方法により合成することができる(米国特許第3,919,177号、米国特許第4,645,826号)。この直鎖型PPS樹脂は、溶融加工が容易で、成形物の機械的強度も高いが、射出成形時にバリが発生しやすいという問題点を有している。
【0003】
従来より、PPS樹脂のバリの低減と流動性の改良に対し、種々の提案がなされている。例えば、(1)特定の溶融粘度と分岐指数を有する分岐したPPS樹脂と、液晶性ポリマーと、繊維状及び/または粉粒状充填材とを所定割合で配合した樹脂組成物(特開平4−353561号公報)、(2)実質的に線状のPPS樹脂、架橋PPS樹脂、シラン化合物、及び繊維状充填材を配合した樹脂組成物(特開平3−197562号公報)、(3)メルトフローレート(MFR)が3.5(g/10分)以下の熱架橋型PPS樹脂と、MFRが150(g/10分)以上のPPS樹脂と、充填材とを配合した樹脂組成物(特開平5−78576号公報)などが提案されている。しかしながら、これら従来の技術では、バリの低減効果は十分に満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、流動性が良好で、成形時のバリの発生が顕著に抑制され、しかも機械的特性の良好な成形物を与えることができるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の有する問題点を克服するために鋭意研究を行った結果、酸または強酸と弱塩基との塩により処理した線状PPS樹脂に、酸または強酸と弱塩基との塩により処理した低溶融粘度のPPS樹脂を特定条件下で加熱処理して得た熱架橋PPS樹脂を配合してなる樹脂組成物が前記目的を達成できることを見いだした。このPPS樹脂組成物には、繊維状充填材及び/または非繊維状充填材を配合することが好ましい。
【0005】
従来より、線状PPS樹脂に熱架橋型PPS樹脂を配合すると、成形物の機械的強度を保持しつつ、成形時のバリを低減できることは知られていたが、熱架橋型PPS樹脂として、酸または強酸と弱塩基との塩により処理し、かつ、特定の溶融粘度を有するPPS樹脂を空気の存在下で加熱処理して得た熱架橋PPS樹脂を使用することにより、顕著なバリ低減効果の得られることは知られていなかった。また、このような熱架橋PPS樹脂と組み合わせて使用する線状PPS樹脂として、酸または強酸と弱塩基との塩により処理した線状PPS樹脂を使用すると、流動性や固化速度が改善され、バリを小さくすることができる。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(A)酸及び強酸と弱塩基との塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物により処理された溶融粘度(310℃、剪断速度1200/秒で測定)が0.1〜50Pa・sの線状ポリフェニレンスルフィド樹脂を、空気の存在下に、260〜280℃の温度で加熱処理して、溶融粘度を2〜100倍に高めた熱架橋ポリフェニレンスルフィド樹脂5〜50重量%、及び(B)酸及び強酸と弱塩基との塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物により処理された溶融粘度(310℃、剪断速度1200/秒で測定)が10〜200Pa・sの線状ポリフェニレンスルフィド樹脂95〜50重量%を含有することを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば、下記のような好ましい実施態様が提供される。
1. ポリフェニレンスルフィド樹脂成分(A+B)100重量部に対して、(C)充填材を250重量部以下の割合で更に含有する前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
2. 酸及び強酸と弱塩基との塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物による処理が、該化合物の水溶液による線状ポリフェニレンスルフィド樹脂の洗浄処理である前記ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)
本発明で(A)成分及び(B)成分に使用する線状PPS樹脂は、式−Ar−S−(Arは、フェニレン基である)で表されるフェニレンスルフィドの繰返し単位を主構成要素として含有するポリマーである。実質的に線状であればよく、若干の架橋または分岐構造を有するものであってもよい。PPS樹脂は、p−フェニレンスルフィドの繰返し単位を好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90モル%以上含有するものであることが耐熱性等の観点から望ましい。
PPS樹脂の製造方法は、特に限定されないが、代表的な製造方法としては、例えば、前述の米国特許第3,354,129号、米国特許第3,919,177号、米国特許第4,645,826号などに開示されているような、極性有機溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させる方法を挙げることができる。
【0008】
アルカリ金属硫化物としては、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物や水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。これらのアルカリ金属硫化物中に微量含まれることがあるアルカリ金属重硫化物と反応させるために、少量のアルカリ金属水酸化物を添加して、これをアルカリ金属硫化物へ転換することができる。アルカリ金属硫化物の前駆体として、重硫化リチウム、重硫化ナトリウム、重硫化カリウム、重硫化ルビジウム、重硫化セシウム、またはこれらの2種以上の混合物を使用し、これらと等モルのアルカリ金属水酸化物とを同時に用いて、アルカリ金属硫化物とすることができる。これらのアルカリ金属硫化物及びアルカリ金属重硫化物の中でも、硫化ナトリウム及び重硫化ナトリウムが安価であるため特に好ましい。
【0009】
ジハロ芳香族化合物としては、例えば、p−ジフルオロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼンなどのp−ジハロベンゼン、及びこれらの置換体;o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などのp−ジハロベンゼン以外のジハロベンゼン、及びこれらの置換体;1,4−ジクロロナフタレン、2,6−ジクロロナフタレンなどのジハロナフタレン類、及びこれらの置換体;4,4′−ジクロロベンゾフェノンなどのジハロベンゾフェノン類、及びこれらの置換体;4,4′−ジクロロジフェノルスルフォン、3,3′−ジクロロジフェノルスルフォンなどのジハロフェニルスルフォン類、及びこれらの置換体;4,4′−ジクロロジフェニルエーテルなどのジハロジフェニルエーテル類、及びこれらの置換体;4,4′−ジクロロビフェニルなどのジハロビフェニル類、及びこれらの置換体;4,4′−ジクロロジフェニルスルフォキシドなどのジハロジフェニルスルフォキシド類、及びこれらの置換体;等が挙げられる。
【0010】
これらのジハロ芳香族化合物の中でも、経済性や生成PPS樹脂の物性等の観点から、ジハロベンゼンが好ましく、p−ジクロロベンゼンなどのp−ジハロベンゼンがより好ましい。更に、p−ジハロベンゼンを70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、最も好ましくは90〜100モル%の割合で含有するものが好ましい。これによって、p−フェニレンスルフィドの繰返し単位を主構成要素とするPPS樹脂が得られる。p−ジハロベンゼンと他のジハロ芳香族化合物とを併用すると、p−フェニレンスルフィド単位とともに、例えば、m−フェニレンスルフィド、ジフェニルエーテルスルフィド、ジフェニルスルフォンスルフィド、ジフェニルケトンスルフィドなどの繰返し単位が導入される。ジハロ芳香族化合物の使用割合は、アルカリ金属硫化物1モル当たり、通常、0.90〜1.10モル、好ましくは0.95〜1.05モルである。
【0011】
重合体の末端を形成させ、あるいは分子量を調節する目的で、重合反応の所望の段階で、モノハロ化合物を添加することができる。また、本発明で使用するPPS樹脂は、実質的に線状のポリマーであるが、所望により、トリハロ以上のポリハロ化合物を少量添加して、若干の架橋または分岐構造を導入してもよい。
PPS樹脂の重合に使用する溶媒としては、n−メチルピロリドン、n−エチルピロリドン、n−メチルカプロラクタム、n−エチルカプロラクタム、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルりん酸トリアミド、ジメチルホルムアミドなどの極性有機溶媒、及びこれらの2種以上の混合物などを挙げることができる。極性有機溶媒の使用割合は、アルカリ金属硫化物1モル当たり、通常、0.2〜2.0kg、好ましくは0.3〜1.0kgである。
【0012】
重合方法については、従来公知の方法を採用することができ、特に限定されないが、具体例として、例えば、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.4モルの水が存在する状態で、150〜235℃の温度で反応を行って、ジハロ芳香族化合物の転化率50〜98モル%まで反応させ、次いで、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.5〜7.0モルの水を反応系内に存在させて、245〜280℃の温度に昇温して反応を継続する方法(米国特許第4,645,826号)を挙げることができる。
【0013】
酸または強酸と弱塩基との塩による処理
本発明で(A)成分及び(B)成分として使用するPPS樹脂は、いずれも酸及び強酸と弱塩基との塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物により処理されたものである。酸または塩による処理は、重合反応混合液から生成ポリマーを分離した後に施すことが好ましい。重合反応終了後、反応混合液から生成ポリマーを濾過等により分離し、有機溶剤や水による洗浄を行って、未反応モノマーや副反応生成物、灰分、オリゴマーなどを分離し、精製するが、酸または塩による処理は、洗浄処理の一環として、それらの水溶液を用いた洗浄処理として行うことが好ましい。
【0014】
▲1▼酸による処理
生成した固体ポリマーを酸の水溶液に加え、溶液のpHが好ましくは5未満、より好ましくはpH2未満、さらに好ましくはpH1.5未満の酸性条件下で処理を行う。酸による処理は、ポリマーを酸水溶液に浸漬するか、あるいは浸漬し、攪拌することにより行う。処理溶液のpHが5以上であると、ポリマーの改質が十分に行われ難くなる。その結果、(A)成分のPPS樹脂の場合、後で行われる加熱処理時に十分な架橋反応が進行しにくいことがある。
処理温度は、通常、0〜150℃、好ましくは20〜100℃、更に好ましくは20〜80℃の範囲である。処理温度が0℃未満では、ポリマーの芯部まで酸溶液が浸透しにくい場合がある。処理時間は、通常、5〜500分間、好ましくは10〜300分間である。処理時間が5分間未満では、酸処理による効果が十分に得られない場合があり、逆に、500分間を越えて行っても、処理効果は特に上がらず効率的ではない。
酸としては、例えば、塩酸、硫酸などの無機酸;酢酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸などの飽和脂肪酸;アクリル酸、クロトン酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸;安息香酸、フタル酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸;シュウ酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸;メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0015】
▲2▼強酸と弱塩基との塩による処理
強酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、蟻酸、ハロゲン化酢酸などが好ましく、弱塩基としては、アンモニアなどが好ましく用いられる。これらの組み合わせのうち、特にNHCl、(NHSO、及び(NHPOは、効果が優れているので好ましい。
これらの塩による処理は、通常、これらの塩の水溶液を用いて行う。処理水溶液中の塩の濃度としては、通常、0.01〜30重量%、好ましくは0.01〜20重量%の範囲である。0.01重量%未満であると、効果が不十分な場合があり、30重量%を越えると、効果があまり変わらないので不経済である。
処理温度は、通常、0〜150℃、好ましくは20〜100℃、更に好ましくは20〜80℃の範囲である。処理時間は、通常、5〜500分間、好ましくは10〜300分間である。処理温度と処理時間の範囲についての理由は、酸による処理において述べたのと同様のである。これらの塩による処理は、通常、塩の水溶液中にポリマーを浸漬し、攪拌することにより行う。
これらの酸または塩による処理は、所望により複数の化合物を用いて、複数回行うことができる。また、これらの処理の前後に、必要に応じて、ポリマーを有機溶剤や水により洗浄することができる。
【0016】
(A)成分のPPS樹脂
本発明で(A)成分として用いるPPS樹脂は、酸及び強酸と弱塩基との塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物により処理されたものであって、溶融粘度(310℃、剪断速度1200/秒で測定)が0.1〜50Pa・sの線状PPS樹脂を、空気の存在下に、260〜280℃の温度で加熱処理して、溶融粘度を2〜100倍に高めた熱架橋PPS樹脂である。
溶融粘度は、0.1〜50Pa・s、好ましくは0.5〜20Pa・s、更に好ましくは1〜15Pa・sである。出発材料として、溶融粘度が50Pa・sを越えるPPS樹脂を用いると、加熱処理後の溶融粘度が大きくなり過ぎ、最終的に得られる樹脂組成物の流動性を著しく損なうので好ましくない。溶融粘度が小さ過ぎると、取り扱いが困難となり、溶融粘度の増大による効果も小さくなる。
酸及び強酸と弱塩基との塩からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物で処理されたPPS樹脂を出発材料として使用する理由は、該処理を施さないPPS樹脂を加熱処理したものは、該処理を施したPPS樹脂を加熱処理したものより、バリ抑制能が劣るからである。
【0017】
処理温度は、260〜280℃、好ましくは265〜275℃である。このように、限定された処理温度で加熱処理を行う理由は、次のとおりである。すなわち、PPS樹脂を空気(酸素)の存在下で加熱処理すると、酸化架橋(キュアリング)反応が生じて増粘するが、その際、分子鎖の延長反応、分岐・架橋反応、及び切断反応が生じる。これら3種の反応の反応速度は、加熱処理温度によって異なると推定される。260℃未満の温度で加熱処理を行なうと、分岐・架橋反応の進行が十分に行われないうちに増粘するため、得られた熱架橋PPS樹脂を用いても、バリ低減の効果が小さい。また、280℃を越える高温で加熱処理を行うと、分岐・架橋反応が速過ぎて、ゲル化反応が進み過ぎてしまい、得られた熱架橋PPS樹脂を用いても、バリ低減の効果が小さい。260〜280℃の範囲内の温度で加熱処理することにより、適度の分岐・架橋反応を生じさせた熱架橋PPS樹脂を用いると、顕著なバリ低減効果を達成することができる。熱処理時間は、一般に、2〜8時間である。
空気の存在下での加熱処理によりPPS樹脂の溶融粘度は増大するが、その上昇倍率は、2〜100倍であり、好ましくは3〜50倍である。加熱処理によるPPS樹脂の溶融粘度の上昇倍率が小さ過ぎても、大き過ぎても、バリ低減効果が小さくなる。
【0018】
(B)成分のPPS樹脂
本発明で使用する(B)成分のPPS樹脂は、酸及び強酸と弱塩基との塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物により処理された溶融粘度(310℃、剪断速度1200/秒で測定)が10〜200Pa・sの線状PPS樹脂である。
酸及び強酸と弱塩基との塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物により処理されていないPPS樹脂は、該処理を施されたものと比較して、流動性が悪く、固化速度も遅い。そして、該処理を施されていないPPS樹脂は、バリが大きくなる傾向を示す。また、本発明で使用する(B)成分のPPS樹脂は、実質的に線状であることが必要である。線状でないPPS樹脂は、機械的物性が劣るので好ましくない。
(B)成分のPPS樹脂の溶融粘度は、10〜200Pa・s、好ましくは20〜150Pa・sである。溶融粘度が200Pa・sより大きいPPS樹脂は、流動性の低下を引き起こすため好ましくない。また、溶融粘度が低過ぎると、機械的物性が低下するため好ましくない。
【0019】
PPS樹脂成分
本発明では、PPS樹脂として、前記(A)成分及び(B)成分を使用する。各成分(A)及び(B)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。各成分の配合割合は、(A)成分が5〜50重量%、好ましくは7〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%であり、(B)成分が95〜50重量%、好ましくは93〜60重量%、より好ましくは90〜70重量%である。熱架橋PPS樹脂である(A)成分の配合割合が5重量%未満であると、バリ低減効果が小さく、逆に、50重量%を越えると、機械的物性が低下する。
【0020】
(C)成分の充填材
本発明で(C)成分として用いられる充填材は、繊維状及び/または粉粒状充填材である。繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリ繊維、炭化ケイ素繊維、ウオラストナイト等が挙げられる。粉粒状充填材としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、炭酸リチウム、酸化鉄(フェライトを含む)、二硫化モリブデン、黒鉛、ガラスビーズ、グラファイト、タルク、クレー、マイカ、ジルコニア、ケイ酸カルシウム、窒化ホウ素等が挙げられる。
これらの充填材と共に、例えば、アミノシラン、メルカプトシラン、エポキシシラン等の各種カップリング剤を用いることができる。
(C)成分の充填材は、PPS樹脂成分の合計量(A+B)100重量部に対して、通常、250重量部以下、好ましくは5〜200重量部、より好ましくは20〜100重量部の割合で使用される。充填材の配合割合が250重量部を越えると、樹脂組成物の流動性が低下するため好ましくない。充填材を配合することにより、樹脂組成物の機械的強度を高め、また、バリ低減効果を増大させることができる。
【0021】
本発明のPPS樹脂組成物には、所期の目的を損なわない範囲内において、例えば、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、滑剤、顔料や染料などの着色剤、少量の多種ポリマーなどを適宜添加することができる。
本発明のPPS樹脂組成物を製造する方法としては、各成分を単軸または2軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの溶融混練機に供給し、280〜380℃の温度で溶融混練する方法を例示することができる。本発明の樹脂組成物は、溶融混練した後、ペレット化し、射出成形に供することが好ましい。ただし、所望により、射出成形以外の押出成形などにも使用することができる。
【0022】
【実施例】
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、物性の測定法は、次のとおりである。
(1)溶融粘度
キャピラリーレオメータ〔東洋精機(株)製キャピログラフ〕を用いて、キャピラリー長10mm、キャピラリー径1mmの条件で、温度310℃、剪断速度1200/秒での溶融粘度を求めた。
(2)バリ特性
樹脂組成物を、直径70mm×厚さ3mmのキャビティーを有する金型内に、完全に樹脂組成物が充填する最小の充填圧力で射出成形し、金型の円周部に設けられた厚さ20μm×幅5mmの隙間(バリ評価スリット)に生じるバリの長さ(バリ長)を、拡大投影器を用いて測定した。この際、最小の充填圧力(充填保圧を測定)の大きさは、流動性の指標となる。
(3)機械的物性
ASTM D−638に準拠して引張試験を行い、ASTM D−790に準拠して曲げ試験を行った。
【0023】
[合成例1]
含水硫化ナトリウム(水分53.89重量%)3800gとN−メチルピロリドン(以下、NMPと略記)6702.2gをチタン張り重合缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下で徐々に200℃まで昇温しながら、水1546g、NMP1246g、及び硫化水素38.8gを流出させた。次に、p−ジクロロベンゼン(以下、PDCBと略記)3711.4g、水91.5g、及びNMP2776.8gを供給して、220℃で4.5時間撹拌しながら重合した。次いで、水447g供給し、255℃に昇温して更に4時間重合を行った。
重合後、反応混合液であるスラリーを濾過した後、約8Lのアセトンを投入して30分間撹拌洗浄し、濾過した。このアセトン洗浄操作をもう一度繰り返した後、約7.5Lの水を投入して20分間撹拌洗浄し、濾過した。この水洗操作を4回繰り返した後、塩化アンモニウム水溶液(濃度3重量%)約7.5Lを投入し、23℃で30分間撹拌し、濾過後、各々7.5Lの水で2回水洗した。濾過後120℃で3時間加熱し、乾燥させた。このようにして得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂の溶融粘度は、3Pa・sであった。
【0024】
[合成例2]
含水硫化ナトリウム(水分53.89重量%)3800gとNMP6703.0gをチタン張り重合缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下で徐々に200℃まで昇温しながら、水1558g、NMP1176g、及び硫化水素40.3gを流出させた。次に、PDCB3547.0g、水103.0g、及びNMP2699.0gを供給して、220℃で4.5時間撹拌しながら重合した。次いで、水446.6gを供給し、255℃に昇温して更に4時間重合を行った。重合後、合成例1と同様に後処理し、乾燥してPPS樹脂を得た。このようにして得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂の溶融粘度は、10Pa・sであった。
【0025】
[合成例3]
合成例1とほぼ同様にして1/3のスケールで反応混合液であるスラリーを得た。該スラリーを100メッシュの篩で篩分し、粗ポリマーを得た。約3Lのアセトンを投入して30分間撹拌洗浄し、濾過を行った。更に同様な洗浄操作をアセトンで1回、水で4回繰り返した。次に、塩化アンモニウム水溶液(濃度3重量%)約2.5Lを投入し、23℃で30分間撹拌した後、濾過し、再び水で2回洗浄・濾過を繰り返した。濾過後、120℃で3時間加熱し乾燥させた。このようにして得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂の溶融粘度は、3Pa・sであった。
【0026】
[合成例4]
合成例2と同様にして、ポリマー含有スラリーを得た。これを合成例3の後処理法と同様に後処理して、溶融粘度8Pa・sの塩化アンモニウム処理PPS樹脂を得た。
【0027】
[合成例5]
含水硫化ナトリウム(水分53.75重量%)3600gとNMP6701.1gをチタン張り重合缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下で徐々に約200℃まで昇温しながら、水1422.5g、NMP1384g、及び0.463モルの硫化水素を流出させた。次に、PDCB3191g、NMP3031.9g、及び水68.2gの混合液を重合缶に供給して、220℃で4.5時間重合した。次いで、水424.9gを添加し、255℃に昇温して更に5時間重合を行った。
得られた反応混合液であるスラリーを目開き150μm(100メッシュ)のスクリーンで篩分し、粒状ポリマーを分離した。次いで、アセトンでの洗浄、水での洗浄をそれぞれ3回行った。更に、粒状ポリマーをpH1の塩酸水7.5Lに23℃で30分間浸漬した後、濾過し、各々7.5Lの水で2回水洗した。濾過後120℃で3時間加熱し、乾燥してポリマーを得た。このようにして得られた塩酸処理PPS樹脂の溶融粘度は、56Pa・sであった。
【0028】
[合成例6]
含水硫化ナトリウム(水分53.60重量%)3030gとNMP7000gをチタン張り重合缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下で徐々に約200℃まで昇温しながら、水1320g、NMP700g、及び0.41モルの硫化水素を流出させた。次に、PDCB2650g、NMP3700g、及び水240gの混合液を重合缶に供給して、220℃で5時間重合した。次いで、水720gを添加し、255℃に昇温して更に3時間重合を行った。
得られた反応混合液であるスラリーを目開き150μm(100メッシュ)のスクリーンで篩分し、粒状ポリマーを分離した。次いで、アセトンでの洗浄、水での洗浄をそれぞれ3回行った。更に、粒状ポリマーに塩化アンモニウム水溶液(濃度3重量%)約7.5Lを投入し、23℃で30分間撹拌し、濾過後、各々7.5Lの水で2回水洗した。濾過後120℃で3時間加熱し、乾燥させた。このようにして得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂の溶融粘度は、137Pa・sであった。
【0029】
[実施例1]
合成例3で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度3Pa・s)を、空気の存在下、270℃で4時間加熱処理した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、9Pa・s(上昇倍率3倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)として合成例5で得られた塩酸処理PPS樹脂(溶融粘度56Pa・s)を用いた。また、成分(C)としてガラス短繊維(日本電気硝子社製ガラス繊維T−717/P:直径13μm、長さ3mm)を用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、21μmであった。
【0030】
[実施例2]
合成例4で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度8Pa・s)を、空気の存在下、270℃で4時間加熱処理を施した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、32Pa・s(上昇倍率4倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は、実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、85μmであった。
【0031】
[比較例1]
合成例3と同じ方法で重合を行った。ただし、重合後の後処理として、アセトン洗浄を3回、水洗浄を4回行っただけで、塩化アンモニウム水溶液による処理は行わなかった。濾過後、120℃、3時間の条件で乾燥させ、溶融粘度が4Pa・sのPPS樹脂を得た。このPPS樹脂を、空気の存在下、270℃で4時間加熱処理を施した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、7Pa・s(上昇倍率1.8倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、269μmであった。
【0032】
[比較例2]
合成例4と同じ方法で重合を行った。ただし、重合後の後処理として、アセトン洗浄を3回、水洗浄を4回行っただけで、塩化アンモニウム水溶液による処理は行わなかった。濾過後、120℃、3時間の条件で乾燥させ、溶融粘度が9Pa・sのPPS樹脂を得た。このPPS樹脂を、空気の存在下、270℃で4時間加熱処理を施した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、22Pa・s(上昇倍率2.4倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、174μmであった。
【0033】
[比較例3]
PPS樹脂として、成分(A)を用いず、成分(B)として合成例5で得られた塩酸処理PPS樹脂(溶融粘度56Pa・s)を用いた。成分(C)は、実施例1と同じものを用いた。成分(B)60重量%と成分(C)40重量%を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、316μmであった。
【0034】
[実施例3]
合成例1で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度3Pa・s)を、空気の存在下、270℃で4時間加熱処理した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、50Pa・s(上昇倍率16.7倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、90μmであった。
【0035】
[実施例4]
実施例3において、各成分の配合割合を、成分(A)30重量%、成分(B)30重量%、及び成分(C)40重量%としたこと以外は、実施例3と同様にして、2軸押出機で溶融混練し、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、0μmであった。
【0036】
[比較例4]
実施例3において、成分(B)を配合することなく、成分(A)60重量%と成分(C)40重量%とを配合し、2軸押出機で溶融混練し、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、0μmであった。ただし、表2に示すように、成形品の機械的物性は不満足なものであった。
【0037】
[実施例5]
合成例1で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度3Pa・s)を、空気の存在下、280℃で4時間加熱処理した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、94Pa・s(上昇倍率31.3倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、79μmであった。
【0038】
[比較例5]
合成例1で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度3Pa・s)を、空気の存在下、250℃で4時間加熱処理した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、9Pa・s(上昇倍率3倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、146μmであった。
【0039】
[比較例6]
合成例1で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度3Pa・s)を、空気の存在下、250℃で6時間加熱処理した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、16Pa・s(上昇倍率5.3倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、139μmであった。
【0040】
[比較例7]
合成例2で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度10Pa・s)を、空気の存在下、250℃で4時間加熱処理した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、53Pa・s(上昇倍率5.3倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、164μmであった。
【0041】
[比較例8]
合成例2で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度10Pa・s)を、空気の存在下、250℃で6時間加熱処理した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、107Pa・s(上昇倍率10.7倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、127μmであった。
【0042】
[実施例6]
合成例2で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度10Pa・s)を、空気の存在下、270℃で4時間加熱処理した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、441Pa・s(上昇倍率44.1倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、55μmであった。
【0043】
[比較例9]
合成例2で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度10Pa・s)を、空気の存在下、285℃で2時間加熱処理した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、296Pa・s(上昇倍率29.6倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、148μmであった。
【0044】
[実施例7]
合成例2で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度10Pa・s)を、空気の存在下、280℃で4時間加熱処理した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、730Pa・s(上昇倍率73倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、71μmであった。
【0045】
[実施例8]
合成例1で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度3Pa・s)を、空気の存在下、270℃で4時間加熱処理した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、50Pa・s(上昇倍率16.7倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)としては、合成例6で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度137Pa・s)を用い、成分(C)としては、実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、86μmであった。
【0046】
[比較例10]
PPS樹脂として、成分(A)を用いず、成分(B)として合成例6で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度137Pa・s)を用いた。成分(C)としては、実施例1と同じものを用いた。そして、成分(B)60重量%と成分(C)40重量%とを配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、223μmであった。
【0047】
[比較例11]
合成例6で得られた塩化アンモニウム処理PPS樹脂(溶融粘度137Pa・s)を、空気の存在下、250℃で4時間加熱処理した。加熱処理後のPPS樹脂の溶融粘度は、1244Pa・s(上昇倍率9.1倍)であった。これを成分(A)とし、成分(B)及び(C)は実施例1と同じものを用いた。
成分(A)10重量%、成分(B)50重量%、及び成分(C)40重量%の割合でこれらの成分を配合し、2軸押出機で溶融混練して、ペレット化した。このペレットを用いて射出成形機により成形し、得られた試験片のバリを観察したところ、バリ長は、179μmであった。
表1に、各実施例及び比較例の配合処方とバリ特性を示した。表2には、実施例3〜4及び比較例3〜4の樹脂組成物の機械的特性の測定結果を示した。
【0048】
【表1】
Figure 0003618018
【0049】
【表2】
Figure 0003618018
【0050】
PPS樹脂として、成分(B)のみで、成分(A)を含まない比較例3の樹脂組成物は、機械的特性は良好であるものの、バリが非常に大きい(バリ長316μm)。これに対し、成分(A)を配合した実施例3の樹脂組成物は、良好な機械的特性を保持しつつ、バリが顕著に低減している(バリ長90μm)。一方、PPS樹脂として、成分(A)のみで、成分(B)を含まない比較例4の樹脂組成物は、バリは低減されるものの(バリ長0μm)、成分(A)及び(B)を含有する実施例4の樹脂組成物と比較すると、機械的特性が大幅に低下することが分かる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、流動性が良好で、成形時のバリの発生が顕著に抑制され、しかも機械的特性の良好な成形物を与えることができるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が提供される。

Claims (3)

  1. (A)酸及び強酸と弱塩基との塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物により処理された溶融粘度(310℃、剪断速度1200/秒で測定)が0.1〜50Pa・sの線状ポリフェニレンスルフィド樹脂を、空気の存在下に、260〜280℃の温度で加熱処理して、溶融粘度を2〜100倍に高めた熱架橋ポリフェニレンスルフィド樹脂5〜50重量%、及び(B)酸及び強酸と弱塩基との塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物により処理された溶融粘度(310℃、剪断速度1200/秒で測定)が10〜200Pa・sの線状ポリフェニレンスルフィド樹脂95〜50重量%を含有することを特徴とするポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. ポリフェニレンスルフィド樹脂成分(A+B)100重量部に対して、(C)充填材を250重量部以下の割合で更に含有する請求項1記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  3. 酸及び強酸と弱塩基との塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物による処理が、該化合物の水溶液による線状ポリフェニレンスルフィド樹脂の洗浄処理である請求項1記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
JP26938195A 1995-09-22 1995-09-22 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 Expired - Lifetime JP3618018B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26938195A JP3618018B2 (ja) 1995-09-22 1995-09-22 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26938195A JP3618018B2 (ja) 1995-09-22 1995-09-22 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0987518A JPH0987518A (ja) 1997-03-31
JP3618018B2 true JP3618018B2 (ja) 2005-02-09

Family

ID=17471623

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26938195A Expired - Lifetime JP3618018B2 (ja) 1995-09-22 1995-09-22 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3618018B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9494260B2 (en) 2012-04-13 2016-11-15 Ticona Llc Dynamically vulcanized polyarylene sulfide composition
US9718225B2 (en) 2013-08-27 2017-08-01 Ticona Llc Heat resistant toughened thermoplastic composition for injection molding
US9758674B2 (en) 2012-04-13 2017-09-12 Ticona Llc Polyarylene sulfide for oil and gas flowlines
US9757892B2 (en) 2013-08-27 2017-09-12 Ticona Llc Thermoplastic composition with low hydrocarbon uptake
US9765219B2 (en) 2012-04-13 2017-09-19 Ticona Llc Polyarylene sulfide components for heavy duty trucks

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4209974B2 (ja) * 1998-09-17 2009-01-14 株式会社クレハ 搬送装置用摺動部材
JP4277368B2 (ja) * 1999-06-16 2009-06-10 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
EP1829930B1 (en) * 2004-12-21 2014-01-29 Asahi Kasei Chemicals Corporation Polyphenylene sulfide resin composition
WO2006068159A1 (ja) * 2004-12-21 2006-06-29 Kureha Corporation 分岐型ポリアリーレンスルフィド樹脂及びその製造方法、並びにその高分子改質剤としての使用
EP1849834B1 (en) 2004-12-21 2012-08-22 Polyplastics Co., Ltd. Polyarylene sulfide resin composition and method for producing same

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9494260B2 (en) 2012-04-13 2016-11-15 Ticona Llc Dynamically vulcanized polyarylene sulfide composition
US9758674B2 (en) 2012-04-13 2017-09-12 Ticona Llc Polyarylene sulfide for oil and gas flowlines
US9765219B2 (en) 2012-04-13 2017-09-19 Ticona Llc Polyarylene sulfide components for heavy duty trucks
US10563062B2 (en) 2012-04-13 2020-02-18 Avx Corporation Polyarylene sulfide for oil and gas flowlines
US9718225B2 (en) 2013-08-27 2017-08-01 Ticona Llc Heat resistant toughened thermoplastic composition for injection molding
US9757892B2 (en) 2013-08-27 2017-09-12 Ticona Llc Thermoplastic composition with low hydrocarbon uptake

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0987518A (ja) 1997-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4608715B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
EP1813638B1 (en) Process for producing polyarylene sulfide
JP3610990B2 (ja) 接着性に優れたポリアリーレンスルフィド
WO2019151288A1 (ja) ポリアリーレンスルフィド共重合体およびその製造方法
JP5189293B2 (ja) 分岐型ポリアリーレンスルフィド樹脂及びその製造方法、並びにその高分子改質剤としての使用
JPH08157718A (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
JPH08157600A (ja) 接着性に優れたポリアリーレンスルフィドの製造法
JPH0987518A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JPH11335559A (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物並びにそれからなる成形体及びコネクター
WO2009125556A1 (ja) ポリアリーレンサルファイド樹脂組成物及び有機溶剤に接するポリアリーレンサルファイド樹脂成形品
JP4277368B2 (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
WO2023053914A1 (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形品
JPH09272801A (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂成形品
EP0401502B1 (en) Glass-filled poly(arylene sulphide) compositions
JPH06256517A (ja) エポキシシランとの反応性が高いポリアリーレンスルフィド及び該樹脂を含んでなる樹脂組成物
JP2018193497A (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
EP0533187A1 (en) Poly(arylene sulfide) resin composition
JP3556996B2 (ja) 接着性に優れたポリアリーレンスルフィド
JP5135727B2 (ja) ポリアリーレンスルフィド組成物の製造方法
JP3603431B2 (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
JPH08118502A (ja) 給湯管用の高分子量ポリアリーレンスルフィド
JP3603433B2 (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
JPH08337653A (ja) ポリアリーレンスルフィド共重合体の製造方法並びにその製造方法によって得られる共重合体およびその樹脂組成物
JP3494227B2 (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
JPH11106656A (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040609

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071119

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081119

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091119

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091119

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101119

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111119

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121119

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121119

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131119

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term