JP3626858B2 - 振動台波形歪制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、振動台システムに用いられる振動台波形歪制御装置に関し、特に、この装置に適用される振動波形の制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
振動台となるテーブル上に試験供試体(以下、供試体という)を搭載した状態で、目標とする波形を再現して、供試体の入力波形に対する強度などを調べることを目的に利用される振動台システムがある。このような振動台システムに使用される振動台波形歪制御装置(以下、振動台制御装置という)は、目標波を正確に再現する必要があり、実際の制御方法としては供試体への応答波形を目標波形に極力追従させるようにしている。
【0003】
図10は、従来の振動台制御装置の全体系統を示す構成図である。構成の説明については省略し、全体の動作について説明する。振動台1には供試体2と加速度計3が搭載されている。そして、振動台1による加速度実験中に測定された供試体2の加速度信号は、加速度計3で検出されて増幅器4で増幅された後、A/D変換器5でデジタル信号に変換されて計算機6に取り込まれる。計算機6では、次回に加振する入力波の補償計算を行う。そして、計算機6の出力信号はD/A変換器7でアナログ信号に変換された後、サーボ増幅器8で増幅され、次回加振する信号として電気油圧式アクチュエータ9に入力される。そして、このようにして生成された応答波形により、電気油圧式アクチュエータ9が振動台1を加振する。
【0004】
ここで、図11を用いて、計算機6における具体的な演算内容について説明する。図11は、図10に示す従来技術の計算機6による、入力波形の補償計算の流れを示すフロー図である。演算内容は大きく分けて2種類から構成されている。すなわち、一つ目の演算は、加振器への入力から振動台1のテーブル応答までの伝達特性を把握する場合の加振時演算である(以下、これを特性把握加振という)。もう一つの演算は、前述の特性把握加振の演算で得られた伝達特性を用いて、振動台1のテーブル加振を行うための入力波の補償を行う演算である(以下、これを入力補償加振という)。
【0005】
先ず、図11により特性把握加振の演算の流れについて説明する。入力発生信号である加速度信号Pは、時間データから周波数データにフーリエ変換され(ステップS1、以下ステップは省略)、2階積分により加速度から変位信号に変換される(S2)。さらに、この変位信号は逆フーリエ変換されて、加振器に入力する時間領域での変位信号となる(S3)。加振Kは、加振器及びテーブルから構成されるシステムを表している。テーブル上で時間領域での応答加速度信号が観測されると(S4)、この信号はフーリエ変換によって周波数データに変換される(S5)。さらに、この周波数データは、ステップS1で変換された周波数データの入力信号と比較されて周波数応答計算が行われ(S6)、これによって振動台システムの伝達特性が得られる。ここで得られる伝達特性は、一般的に、テーブルは6自由度で制御されるため6×6行列の構成になっている。
【0006】
次に、入力補償加振の流れについて説明する。先ず、上記の特性把握加振で得られた伝達特性について逆特性計算が行われる(S7)。一方、目標波Oはフーリエ変換されて、周波数領域での目標波データが生成される(S8)。そして、この目標波データとステップS7で生成された入力波形とが比較されて、初期入力補償計算が行われる(S9)。次に、得られた初期入力補償波が2階積分され(S10)、さらに逆フーリエ変換されて(S11)、加振器Kへの入力信号が生成される。そして、この信号によって加振器Kが加振される(S12)。次に、加振器Kのテーブルから検出された応答加速度信号と目標波Oとの偏差がとられ(S13)、これにより得られた誤差信号をフーリエ変換した後(S14)、繰り返し入力補償計算を行い(S15)、入力補償波を生成して入力補償加振を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような従来での加振波形の制御方法では、生成された一定時間の入力波による加振が終了すると、次回加振する入力波を生成するために、補償プログラムを実行するいわゆる離散的な加振制御手法であるため、完全な入力信号の再現には、複数回の補償演算が必要となり、制御に時間がかかるなどの問題がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加振するための目標入力波が1回の補償演算で得られ、もって、補償制御を開始してから短時間で正弦波応答を振動台上で実現することの出来る振動台制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明の振動台波形歪制御装置は、振動台で観測された観測波を予め設定した目標波に追従させて、振動台に入力する補償波を生成する振動台波形歪制御装置であって、振動台で観測された、加振軸方向の加速度信号の高調波成分を複素ベクトル化する演算手段と、振動台へ入力する補償波と該振動台で観測された加振軸方向の観測波とから、n次高調波の振動数成分に対する振動台伝達特性を同定し、振動台伝達特性に基づいて、n次高調波の補償波を生成する演算手段とを備えたことを特徴とする。この手段によれば、単軸振動台制御装置に於いて、補償制御を開始してから短時間で正弦波応答を振動台上に実現することが出来る。
【0010】
請求項2に係る本発明の振動台波形歪制御装置は、請求項1の振動台波形歪制御装置において、振動台で観測された、加振軸方向以外の干渉軸の加速度信号の基本波成分を複素ベクトル化する演算手段と、振動台へ入力する補償波と該振動台で観測された加振軸直角方向の観測波とから、基本波の振動数成分に対する振動台伝達特性を同定し、この振動台伝達特性に基づいて、加振軸直角方向の基本波の補償波を生成すると共に、加振軸直角方向の観測波の、基本波成分の大きさを所定の値に設定する演算手段とを備えたことを特徴とする。この手段によれば、6軸振動台制御装置に於いて、加振軸以外の干渉軸方向について基本波成分を連続的に補償できるため、補償制御を開始してから短時間で正弦波応答を振動台上に実現することが出来る。
【0011】
請求項3に係る本発明の振動台波形歪制御装置は、請求項1又は請求項2の振動台波形歪制御装置において、基本波の大きさに対するn次高調波の補償波の大きさの比率を所望の値に設定し、n次高調波の補償波の更新に基づいて、この比率が所望の値に収束すると、(n+1)次高調波の補償波の生成に連続的に移行する演算手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る本発明の振動台波形歪制御装置は、請求項3の振動台波形歪制御装置において、n次高調波の補償波の更新は、n次高調波のベクトルの大きさが、基本波のベクトルの大きさに比べて充分小さくなるまで、繰り返し実施されることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る本発明の振動台波形歪制御装置は、請求項3記載の振動台波形歪制御装置において、n次高調波の補償波の更新から、(n+1)次高調波の補償波の更新に連続的に移行させることにより、振動台に入力する振動波の補償制御開始から5秒以内に、補償波の正弦波応答を振動台上に実現できることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の第1の実施の形態の振動台制御装置について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の単軸振動台制御装置の全体系統を示す構成図である。同図において、振動台11には供試体12と加速度計13が搭載されている。そして、加速度計13の信号は、増幅器14、A/D変換器15、制御装置16、D/A変換器17、サーボ増幅器18及びアクチュエータ19を経て振動台11に戻る閉ループにより制御されるように構成されている。また、アクチュエータ19の変位信号は変位計10で検出されてサーボ増幅器18にフィードバックされている。
【0015】
ここで、従来技術との重複説明を避けて、本発明の特徴部分について説明する。振動台11による加振実験中に加速度計13で測定された加振方向の加速度信号は、増幅器14で増幅され、A/D変換器15を介して制御装置16に取り込まれる。そして、制御装置16で演算されて生成された補償波信号は、D/A変換器17を経て、サーボ増幅器18で増幅され、アクチュエータ19に送られて振動台11を加振する。
【0016】
ここで、制御装置16の具体的な演算内容について詳細に説明する。図2は、図1で示した単軸振動台制御装置における制御装置16の演算概要図である。同図に示すように、この制御装置16は、観測波(n次高調波)の複素フーリエ係数を用いたベクトル化演算部161と、n次高調波の振動数成分に対する振動台伝達特性を同定し、n次高調波の補償波を生成する演算部162とから成り、これらの演算部161、162によって各種演算を行いn次高調波の補償波信号を生成する。以下、各演算部に分けてそれぞれの演算内容を説明する。
【0017】
先ず、振動台テーブル上で観測された加振軸方向の加速度信号の高調波成分をベクトル化する演算部161の演算内容について説明する。周期Tsecの周期信号x(t)は、次式に示すようにフーリエ級数に展開することが出来る。
【0018】
【数1】
Figure 0003626858
ここで、ω(rad/sec)は固有角振動数、aは信号の直流成分、他はn次の高調波成分を表している。また、係数a,bは基準となる信号cos(nωt)及びsin(nωt)と同一の高調波成分を抽出すると共に、cos成分とsin成分の大きさを抽出する。ここで抽出されたn次の高調波成分は、図3に示すような複素フーリエ係数によるn次高調波成分のベクトル線図で表される。このようにして、複素フーリエ係数a,bによりn次の高調波のベクトル化が可能である。
【0019】
次に、振動台へ入力する補償信号とテーブル台上で観測された加振軸方向の観測信号から、n次高調波の振動数成分に対する振動台伝達特性を同定し、n次高調波の補償波を生成する演算部162の演算内容について図4を用いて説明する。図4は、図2における補償演算部162の、補償演算による加振軸方向の制御ブロック図である。同図に示すように、振動台11に加振軸入力波が入力されると、Hの複素フーリエ係数を持つ振動台伝達関数を考慮すれば、テーブル台上でXの複素フーリエ係数をもつn次高調波が観測され、この観測波は式(5)で表される。
観測波=X (5)
【0020】
次に、Yの複素フーリエ係数を持つn次補償波を、加振軸入力波として振動台へ入力した場合は、Hの複素フーリエ係数を持つ振動台伝達関数を考慮すると、観測波は式(6)で表される。
観測波=X=X+HY (6)
ここで、式(6)が終了した段階では、X、Y、Xは既知ベクトルであるため振動台伝達関数ベクトルHbは容易に求めることが出来る。
【0021】
今、X、H、Y、Xの複素フーリエ係数をそれぞれ次式の通りに仮定する。
【数2】
Figure 0003626858
すると、式(6)は、行列で表記して式(7)で表される。
【数3】
Figure 0003626858
よって、振動台伝達関数ベクトルHbは、次の式(8)により推定される。
【数4】
Figure 0003626858
【0022】
次に、式(8)で推定された振動伝達関数ベクトルHbから、2回目に入力する補償波Yは次の式(9)により求めることが出来る。
【数5】
Figure 0003626858
式(9)で算出された2回目の補償波Yを入力し、その結果得られたテーブル台上の観測波ベクトルをXとすると、次の式(10)が成立する。
【数6】
Figure 0003626858
ここで観測波ベクトルXが0とならない場合には、次の式(11)となる。
【数7】
Figure 0003626858
【0023】
これらの式(10)、式(11)の関係を適用し、3回目の補償波Yは次の式(12)より求めることが出来る。
【数8】
Figure 0003626858
式(12)で算出された3回目の補償波Yを入力し、その結果得られたテーブル台上観測波ベクトルをXとすると、次の式(13)が成立する。
【数9】
Figure 0003626858
同様に、4回目の補償波Yは次の式(14)で求めることが出来る。
【数10】
Figure 0003626858
【0024】
このようにして、補償波の更新は、テーブル台上で観測されるベクトル波の大きさが基本波の大きさに比べて充分小さくなるまで繰り返し実施される。そして、制御装置16で演算されて生成された補償波信号は、D/A変換器17を経て、サーボ増幅器18で増幅され、アクチュエータ19に送られて振動台11を加振する。
【0025】
図5は、上述の第1の実施形態の単軸振動台制御装置における補償計算の流れを示すフロー図である。同図は、n次高調波及び(n+1)次高調波の補償波を生成する補償計算の流れを示しているが、何れも補償計算の流れは同じであるので、n次高調波の補償波を生成する場合について簡単に説明する。先ず、加振台テーブル上でXの複素ベクトルを持つn次高調波が観測されたとする(S21)。ここで、Yの複素ベクトルを持つn次高調波が入力されて振動台を加振すると(S22)、Hの複素フーリエ係数を持つ振動台伝達関数ベクトルHbが推定される(S23)。そして、推定された振動台伝達関数ベクトルHbから、2回目に入力する補償波Yが生成される(S24)。さらに、2回目の補償波Yで加振して(S25)、テーブル台上に観測波Xを得て、これにより3回目の補償波Yが生成される(S26)。以下、同様にして4回目以降の補償波Y以降が生成される。下段のフロー図は(n+1)次高調波の補償波を生成する補償計算の流れを示すが、前述のn次高調波の場合と同じであるので説明は省略する。
【0026】
次に、本発明の第2の実施の形態の振動台制御装置について、第1の実施形態と重複しない範囲で、図面を参照して説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態の6軸振動台制御装置の全体系統を示す構成図である。第2の実施の形態の構成が第1の実施の形態の構成と異なる点は、複数の電気油圧式のアクチュエータ29a,29bによって、振動台21を各方向に加振するように構成したことである。そして、加速度計23の検出信号は、制御装置26で演算された後、入力制御板30によって、各加振器方向への指令信号が生成されて、それぞれの電気油圧式アクチュエータ29a、29bに入力される。そして、各電気油圧式アクチュエータ29a、29bは、振動台21を各方向に加振するようにフィードバック系が形成されている。
【0027】
振動台21による加振実験中に加速度計23で測定された、信号数1の加振軸方向の加速度信号と、信号数5の加振軸方向以外の干渉軸の加速度信号は、増幅器24で増幅された後、A/D変換器25を介して制御装置26に取り込まれる。そして、制御装置26で生成された各自由度に対する補償信号は、入力制御盤30により各加振器への個別の指令信号として生成され、D/A変換器27でアナログ信号に変換された後、それぞれのサーボ増幅器28を経て各電気油圧式アクチュエータ29a、29bに送られる。これによって、振動台21は加振軸方向と加振軸以外の干渉軸方向に加速度信号が加えられる。
【0028】
ここで、第2の実施の形態の特徴である、制御装置26の具体的な演算内容について詳細に説明する。図7は、図6で示した6軸振動台制御装置における制御装置26の演算概要を示す。この制御装置26では、大まかに、加振軸方向の補償波を生成する演算部261と、加振軸以外の干渉軸方向の補償波を生成する演算部262とに分かれる。加振軸方向の補償波を生成する演算部261については、上述した第1の実施の形態と同様の処理を行うので説明は省略する。
【0029】
加振軸以外の干渉軸方向の補償波を生成する演算部262は、加振軸以外の方向の観測波について、基本波振動成分の複素フーリエ係数を用いてベクトル化する演算部263と、基本波の振動数成分に対する加振軸以外の振動台伝達特性を同定し、加振軸以外の方向の基本波成分の補償波を生成する演算部264とから成る。そして、これらの演算部263、264によって各種演算を行い、加振軸以外の干渉軸について基本波を補償する信号を生成する。以下、各演算部に分けてそれぞれの演算内容を説明する。
【0030】
先ず、振動台テーブル上で観測された加振軸以外の干渉軸方向の加速度信号の基本波成分をベクトル化する演算部263の演算内容について説明する。周期Tsecの基本波信号x(t)は、次の式(15)、(16)、(17)、(18)に示すようにフーリエ級数に展開することが出来る。
【0031】
【数11】
Figure 0003626858
ここで、ω(rad/sec)は固有角振動数、aは基本波信号の直流成分を表している。また、係数a,bは基準となる信号に対するcos成分とsin成分の大きさを表している。このようにして、複素フーリエ係数a,bによりベクトル化が可能である。
【0032】
次に、振動台へ入力する補償信号とテーブル台上で観測された加振軸以外の干渉軸方向の観測波信号から、基本波の振動数成分に対する振動台伝達特性を同定し、加振軸以外の干渉軸方向の基本波の補償波を生成する演算部264の演算内容について説明する。図8は、図7における補償演算部264の補償演算による干渉軸方向の制御ブロック図である。同図に示すように、Iの複素フーリエ係数を持つ加振軸入力波が入力され、振動台伝達関数ベクトルHb(加振軸−干渉軸)に基づいて、テーブル台上でCの複素フーリエ係数を持つ基本波の干渉成分が観測された場合には、次の式(19)が成り立つ。
【数12】
Figure 0003626858
式(19)から振動台伝達関数ベクトルHbは次の式(20)で推定される。
【数13】
Figure 0003626858
とすると、振動台伝達関数ベクトルHbは次の式(21)で表される。
【数14】
Figure 0003626858
【0033】
よって、干渉自由度への1回目の補償波の複素フーリエ係数Zは次の式(22)となる。
【数15】
Figure 0003626858
式(22)で算出された1回目の補償波の複素フーリエ係数Zを入力し、干渉自由度についてHの複素フーリエ係数をもつ伝達関数を考慮すると、次の式(23)が成立する。
【数16】
Figure 0003626858
【0034】
よって、伝達関数Hは式(24)より推定できる。
【数17】
Figure 0003626858
2回目に入力する補償波Zは次の式(25)より求めることが出来る。
【数18】
Figure 0003626858
式(25)で算出された2回目の補償波を入力し、その結果得られた観測波ベクトルをCとすると、次の式(26)が成立する。
【数19】
Figure 0003626858
同様に、3回目の補償波Zは次の式(27)より求めることが出来る。
【数20】
Figure 0003626858
このようにして、補償波の更新は、観測ベクトルの大きさが充分小さくなるまで繰り返し実施される。
【0035】
このように、制御装置26で生成された各自由度に対する補償信号は、各加振器への指令信号を生成する機能を持つ入力制御盤30よりD/A変換器27を経て、サーボ増幅器28で増幅された後、電気油圧式アクチュエータ29a,29bに送られる。
【0036】
図9は、第2の実施の形態の6軸振動台制御装置における補償計算の流れを示すフロー図である。同図に於いて、加振軸方向の補償計算の流れ(図の上段)は、前述の第1の実施の形態の場合と同じであるので説明は省略し、干渉軸方向の補償計算の流れ(図の下段)について説明する。
加振軸入力波Iの基本波ベクトルを入力して、テーブル台上で複素フーリエ係数Cの基本波の干渉成分が観測されたとすると(S31)、これに基づいて、Hcの複素フーリエ係数を持つ振動台伝達関数ベクトルが推定される(S32)。次に、振動台伝達関数ベクトルHbに基づいて、干渉自由度への1回目の補償波の複素フーリエ係数Zが生成される(S33)。そして、生成された複素フーリエ係数Zを入力して干渉軸方向の加振を行い、観測波ベクトルCを観測すると(S34)、これに基づいて2回目の補償波Zが生成される(S35)。さらに、2回目の補償波Zを入力してテーブル台の加振を行うと(S36)、観測波ベクトルCを観測する。以下同様にして、観測波ベクトルの大きさが充分小さくなるまで、補償波の更新を続ける。
【0037】
以上述べた2つの実施の形態は本発明の説明のための一例であり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で様々な変形が可能である。例えば、加振方向を単軸や6軸に限定するのではなく、さらに多次元的に加振しても本発明を実施することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の振動台制御装置によれば、従来技術のように、加振を一旦止めて、次回に加振するための補償波を計算する作業が必要となるような離散的な加振方法と異なり、高調波成分が所定の値に収束するまで連続的に補償波を出力できる利点がある。また、この振動台制御装置は、高調波成分を含まない、単一振動数成分である正弦波入力信号に対する正弦波応答を振動台上で実現するが、その過程はn次高調波が所定の値に収束すると、次に、(n+1)次高調波の補償に移行するという演算内容であり、補償制御を開始してから数秒後には正弦波応答を振動台上で実現することができる。また、第2の実施の形態のように6軸振動台制御装置を構成すれば、加振軸以外の干渉軸方向についても基本波成分を連続的に補償できるため、補償制御を開始してから数秒後には極めて理想的な一軸方向の正弦波加振試験を行うことが出来る。
【0039】
さらに、加速度計によって観測された加振方向の加速度信号及び加振方向以外の干渉軸方向の加速度信号を複素ベクトル化することにより、対象とする振動数における振動台伝達関数ベクトルや補償波ベクトルの計算が容易に行える。また、観測された加速度信号の複素ベクトルが、時系列的に連続した信号として取り出されるので、補償を連続して行うことが出来る。また、制御装置では、観測波のベクトル化と振動台伝達特性を考慮したn次高調波や基本波成分の補償波生成を行う場合に、簡素な演算内容と少ない処理スッテプで行うことが出来るので、補償波の生成を容易に、且つ連続して行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の単軸振動台制御装置の全体系統を示す構成図である。
【図2】図1の単軸振動台制御装置における制御装置16の演算概要図である。
【図3】図2の制御装置16で生成された複素フーリエ係数によるn次高調波成分のベクトル線図である。
【図4】図2における補償演算部162の、補償演算による加振軸方向の制御ブロック図である。
【図5】第1の実施形態の単軸振動台制御装置における補償計算の流れを示すフロー図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の6軸振動台制御装置の全体系統を示す構成図である。
【図7】図6の6軸振動台制御装置における制御装置26の演算概要図である。
【図8】図7における補償演算部264の、補償演算による干渉軸方向の制御ブロック図である。
【図9】第2の実施形態の6軸振動台制御装置における補償計算の流れを示すフロー図である。
【図10】従来の振動台制御装置の全体系統を示す構成図である。
【図11】図10の従来技術の振動台制御装置における計算機6の補償計算の流れを示すフロー図である。
【符号の説明】
1,11,21 振動台
2,12,22 供試体
3,13,23 加速度計
4,14,24 増幅器
5,15,25 A/D変換器
6 計算機
7,17,27 D/A変換器
8,18,28 サーボ増幅器
9,19,29a,29b アクチュエータ
10,31a,31b 変位計
16,26 制御装置
30 入力制御盤

Claims (5)

  1. 振動台で観測された観測波を、予め設定した目標波に追従させて、前記振動台に入力する補償波を生成する振動台波形歪制御装置において、前記振動台で観測された、加振軸方向の加速度信号の高調波成分を複素ベクトル化する演算手段と、
    前記振動台へ入力する補償波と該振動台で観測された加振軸方向の観測波とから、n次高調波の振動数成分に対する振動台伝達特性を同定し、前記振動台伝達特性に基づいて、前記n次高調波の補償波を生成する演算手段と、
    を備えたことを特徴とする振動台波形歪制御装置。
  2. 請求項1記載の振動台波形歪制御装置において、
    前記振動台で観測された、加振軸方向以外の干渉軸の加速度信号の基本波成分を複素ベクトル化する演算手段と、
    前記振動台へ入力する補償波と該振動台で観測された加振軸直角方向の観測波とから、基本波の振動数成分に対する振動台伝達特性を同定し、前記振動台伝達特性に基づいて、前記加振軸直角方向の基本波の補償波を生成すると共に、加振軸直角方向の観測波の、基本波成分の大きさを所定の値に設定する演算手段と、
    を備えたことを特徴とする振動台波形歪制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の振動台波形歪制御装置において、
    基本波の大きさに対する、前記n次高調波の補償波の大きさの比率を所望の値に設定し、
    前記n次高調波の補償波の更新に基づいて、前記比率が所望の値に収束すると、(n+1)次高調波の補償波の生成に連続的に移行する演算手段を備えていることを特徴とする振動台波形歪制御装置。
  4. 請求項3記載の振動台波形歪制御装置において、
    前記n次高調波の補償波の更新は、前記n次高調波のベクトルの大きさが、基本波のベクトルの大きさに比べて充分小さくなるまで、繰り返し実施されることを特徴とする振動台波形歪制御装置。
  5. 請求項3記載の振動台波形歪制御装置において、
    前記n次高調波の補償波の更新から、前記(n+1)次高調波の補償波の更新に連続的に移行させることにより、
    前記振動台に入力する振動波の補償制御開始から5秒以内に、補償波の正弦波応答を前記振動台上に実現できることを特徴とする振動台波形歪制御装置。
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