JP3632940B2 - メタクリル系樹脂成形品およびその製造方法 - Google Patents

メタクリル系樹脂成形品およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はメタクリル系樹脂成形品、その製造方法および該メタクリル系樹脂成形品から形成したサニタリー製品に関する。より詳細には、本発明は、熱成形加工性に優れていて、加熱下に深絞り成形や曲げ加工などの二次成形加工を高い寸法精度で円滑に行うことができ、しかも耐熱水性および耐湿熱性に優れていて、熱水や加熱水蒸気に長期間さらされても、ヘイズ、白化、クラック、ふくれなどの発生しないメタクリル系樹脂成形品、その製造方法および該メタクリル系樹脂成形品から形成したサニタリー製品に係るものであり、本発明の熱可塑性樹脂成形品は上記した優れた特性を活かして、浴室、浴槽、洗面所、トイレなどのサニタリー分野をはじめとして、厨房製品、家屋の内外装材、その他の種々の用途に有効に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
メタクリル系樹脂は透明性、着色性、成形性、耐候性などに優れており、それらの特性を活かして、看板、装飾材、照明カバー、自動車部品、グレージング材などとして種々の分野で広く用いられている。さらに、近年ではメタクリル系樹脂の用途拡大に伴って、浴槽、浴室、洗面所などのようないわゆるサニタリー分野、システムキッチンの天板などの厨房分野などでも使用されるようになっている。プラスチック浴槽としては、従来不飽和ポリエステルが汎用されてきたが、耐加水分解性に劣るために、長期間使用すると表面が劣化するなどの問題がある。それに対して、メタクリル系樹脂製の浴槽は耐加水分解性に優れており、不飽和ポリエステル樹脂におけるような熱水による劣化などの問題がないが、熱成形加工性が十分でない。
【0003】
浴槽や洗面台などのようなサニタリー分野や厨房などに用いられる成形品は、平面から構成されることの多い看板などとは異なり、湾曲部が多く、そのためそれらの用途に用いられるメタクリル系樹脂に対しては、絞り成形や曲げ加工などを寸法精度良く行うことのできる高い熱成形加工性が求められており、そのため、成形加工性の向上したメタクリル系樹脂材料の開発が従来から試みられている。
【0004】
そのような従来技術としては、メタクリル酸メチル重合体を含有するメタクリル酸メチルのシロップに、メルカプタン、ポリハロアルカンまたはホスフィンからなる連鎖移動剤および架橋剤を添加して重合を行って重合体シートを製造する方法(特開昭54−142270号公報)、メタクリル酸メチルから主としてなる単量体混合物にアルキルメルカプタン、芳香族メルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸エステル、β−メルカプトプロピオン酸またはβ−メルカプトプロピオン酸エステルからなる連鎖移動剤および重合開始剤を添加し重合してシロップをつくり、そのシロップに重合開始剤および架橋剤を添加して鋳型中で重合してアクリル樹脂シートを製造する方法(特公平6−70098号公報)が知られている。
しかしながら、それらの従来技術により得られるメタクリル系樹脂材料は、熱成形加工性の点ではある程度の改善が見られるものの、耐熱水性、耐湿熱性が充分ではなく、熱水や高温水蒸気に曝されると、ヘイズ、白化、クラックなどが発生するため、浴槽、浴室、洗面化粧台のようなサニタリー分野、システムキッチンの天板などの用途には使用できない。
【0005】
また、メタクリル酸メチル、スチレン、α−メチルスチレンなどのモノマー70重量%以上95重量%未満、エチレングリコールジメタクリレートなどの架橋剤5重量%以上30重量%、およびα−メチルスチレンダイマー0.1〜2重量%からなるモノマー混合を重合した透明プラスチックが知られている(特開昭58−201812号公報)。しかしながら、この従来技術では、架橋剤を5〜30重量%という極めて多量に用いており、そのためそこで得られるプラスチックは、熱によって変形したり融着することのない、熱硬化樹脂であり、このプラスチックから湾曲部などを有する製品を得る場合は、切削や研磨などの機械加工が用いられる。そのため、このプラスチックに対しては、加熱下での絞り成形や曲げ加工などを行うことができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱成形加工性に優れていて、加熱下に絞り成形や曲げ加工を行った場合に、湾曲部のある製品を寸法精度良く製造することができ、しかも耐熱水性および耐湿熱性に優れていて、熱水や加熱水蒸気に長期間さらされても、ヘイズ、白化、クラック、ふくれなどのトラブルの発生しないメタクリル系樹脂成形品を提供することである。
そして、本発明の目的は、前記した優れた特性を有するメタクリル系樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らは種々検討を重ねてきた。その結果、メタクリル酸メチル成分に対して、メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分を特定の量で配合し、それに連鎖移動剤としてα−メチルスチレンダイマーを特に選択してその特定量を配合した未架橋の液状の重合性混合物を用いて板状体などのメタクリル系樹脂成形品を製造すると、それにより得られるメタクリル系樹脂成形品が、熱成形加工性に優れていて、加熱下で絞り成形や曲げ加工などの二次成形加工を行なって湾曲部などを有する成形体を寸法精度良く製造できること、しかも耐熱水性および耐湿熱性に優れていて、熱水や加熱水蒸気に長期間曝されても、ヘイズ、白化、クラック、ふくれなどのトラブルが発生しないことを見出した。
【0008】
さらに、本発明者らは、そのようなメタクリル系樹脂成形品の製造時に、(メタ)アクリル酸多価エステルを特定量以下で用いると、前記した特性と併せて、耐熱性が向上し且つ偏肉防止効果のあるメタクリル系樹脂成形品が得られることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、i)(a)メタクリル酸メチル、(b)アルキル基の炭素数が2〜20であるメタクリル酸アルキルエステルおよびアルキル基の炭素数が1〜20であるアクリル酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(c)ベンゼン核が置換されていてもよいα−メチルスチレンダイマー、(d)(メタ)アクリル酸多価エステル並びに(e)重合開始剤を含む未架橋の液状重合性混合物、或いはメタクリル酸メチルおよび/または前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる重合体を含む前記未架橋の液状重合性混合物であって、(ii)メタクリル酸メチル成分:前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の重量比が80:20〜99:1であり、(iii){メタクリル酸メチル成分と前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の合計重量}:{α−メチルスチレンダイマー成分の重量}の比が100:0.2〜0.8であり、且つ(iv)前記(メタ)アクリル酸多価エステル成分をメタクリル酸メチル成分と前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の合計重量に基づいて5重量%以下の割合で含有する未架橋の液状重合性混合物を用いて、重合および成形を同時に行って成形品を製造することを特徴とするメタクリル系樹脂成形品の製造方法である。
本発明は、前記の未架橋の液状重合性混合物を型に注入して重合および成形を同時に行って成形品を製造する方法を好ましい態様として包含する。
【0010】
そして、本発明は、前記の製造方法により得られるメタクリル系樹脂成形品であって、
(i)メタクリル酸メチルに由来する構造単位(a)、アルキル基の炭素数が2〜20であるメタクリル酸アルキルエステルおよびアルキル基の炭素数が1〜20であるアクリル酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位(b)、ベンゼン核が置換されていてもよいα−メチルスチレンダイマーに由来する構造単位(c)並びに(メタ)アクリル酸多価エステルに由来する構造単位(d)を有し;
ii ) 構造単位(a):構造単位(b)の重量比が80:20〜99:1であり;
iii ) {構造単位(a)と構造単位(b)の合計重量}:{構造単位(c)の重量}の比が100:0.2〜0.8であり;且つ、
iv ) 構造単位(d)を、構造単位(a)および構造単位(b)の合計重量に対して5重量%以下の割合で有する;
メタクリル系樹脂から形成されていることを特徴とするメタクリル系樹脂成形品である
【0011】
本発明は、サニタリー製品用である前記のメタクリル系樹脂成形品および該メタクリル系樹脂成形品から形成したサニタリー製品を包含する
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のメタクリル系樹脂成形品は、上記したように、メタクリル酸メチルに由来する構造単位(a)、アルキル基の炭素数が2〜20であるメタクリル酸アルキルエステルおよびアルキル基の炭素数が1〜20であるアクリル酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル[すなわちメタクリル酸メチルを除くアルキル基の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステル]に由来する構造単位(b)α−メチルスチレンダイマーに由来する構造単位(c)、並びに(メタ)アクリル酸多価エステルに由来する構造単位(d)を少なくとも有するメタクリル系樹脂からなる成形品であり、この成形品は前記した製造方法にしたがって、(メタ)アクリル系単量体を主体とする特定の未架橋の液状重合性混合物を用いて重合および成形を同時に行うことによって得られる
【0013】
構造単位(b)は、上記したように、メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる構造単位であって、そのアルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル[以下「(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)」という]から構成されており、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)から構成されていることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)の例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどを挙げることができる。成形品を形成するメタクリル系樹脂は、前記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)の1種または2種以上に由来する構造単位を有していることができる。そのうちでも構造単位(b)は、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチルおよびメタクリル酸ラウリルのうちの少なくとも1種に由来する構造単位であることが、熱成形加工性、耐熱水性、耐湿熱性などの点からより好ましい。
【0014】
本発明のメタクリル系樹脂成形品における構造単位(c)を構成するα−メチルスチレンダイマーは、下記の化学式(I)および化学式(II);
【0015】
【化1】
Figure 0003632940
で表されるα−メチルスチレンダイマー、或いはそれらの2つのベンゼン核のうちの一方または両方がその連鎖移動効果に大きな影響を及ぼさない置換基(例えば炭素数1〜4のアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基など)で置換されている置換α−メチルスチレンダイマーのうちの少なくとも1種に由来する構造単位である。
【0016】
本発明のメタクリル系樹脂成形品は、1種類のメタクリル酸メチル系重合体からなっていても、または2種以上のメタクリル酸メチル系重合体のブレンド物であってもよく、したがってメタクリル系樹脂全体から見たときに、上記した構造単位(a)、構造単位(b)および構造単位(c)が何らかの形態で且つ次に説明する割合でメタクリル系樹脂中に結合した単位として存在していてメタクリル系樹脂成形品が形成されていればよい。
【0017】
本発明のメタクリル系樹脂成形品では、成形品を形成するメタクリル系樹脂全体から見たときに、構造単位(a):構造単位(b)の重量比が80:20〜99:1であることが必要であり、90:10〜99:1であることが好ましく、92:8〜98.5:1.5であることがより好ましい。
構造単位(a)と構造単位(b)の合計重量に基づいて、構造単位(a)の割合が80重量%未満であると[構造単位(b)の割合が20重量%を超えると]、ガラス転移温度が低くなり過ぎて、熱的性質、機械的強度などの物性が低下する。一方、構造単位(a)と構造単位(b)の合計重量に基づいて、構造単位(a)の割合が99重量%を超えると[構造単位(b)の割合が1重量%未満であると]、成形性が悪くなり、目的とするメタクリル系樹脂成形品が得られなくなる。
【0018】
さらに、本発明のメタクリル系樹脂成形品では、成形品を形成するメタクリル系樹脂全体からみたときに、{構造単位(a)と構造単位(b)の合計重量}:{構造単位(c)の重量}の比が100:0.2〜0.8である。構造単位(a)と構造単位(b)の合計100重量部に対して、α−メチルスチレンダイマーに由来する構造単位(c)の割合が前記した0.2〜0.8重量部であることにより、メタクリル系樹脂成形品の製造時に、α−メチルスチレンダイマーによる重合度低下効果が発揮されて、熱成形加工性に優れるメタクリル系樹脂成形品が得られ、しかもα−メチルスチレンダイマーによる重合阻害が大きくなり過ぎず、メタクリル系樹脂成形品を製造するための重合反応が円滑に進行する
【0019】
また、本発明のメタクリル系樹脂成形品は、更に、(メタ)アクリル酸多価エステルに由来する構造単位(d)を有する。構造単位(d)を構成する(メタ)アクリル酸多価エステルは、ジオール、トリオール、テトラオールなどの多価アルコールのジー、トリー、テトラー(メタ)アクリル酸エステルなどの多価エステルである。(メタ)アクリル酸多価エステルの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[メタクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパンなどを挙げることができる。本発明のメタクリル系樹脂成形品は、前記した(メタ)アクリル酸多価エステルの1種または2種以上に由来する構造単位を有していることができる。
【0020】
本発明のメタクリル系樹脂成形品では、(メタ)アクリル酸多価エステルに由来する構造単位(d)となる(メタ)アクリル酸多価エステルが架橋剤として働き、メタクリル系樹脂成形品中に架橋結合が形成されるため、耐熱性の向上、成形品における偏肉防止などを図ることができる[以下(メタ)アクリル酸多価エステルを架橋剤ということがある]。
メタクリル系樹脂成形品における構造単位(d)の含有量は、構造単位(a)と構造単位(b)の合計重量に基づいて5重量%以下であり、2重量%以下であることがより好ましい。メタクリル系樹脂成形品における構造単位(d)の含有量が5重量%を超えると、熱成形加工性(二次成形加工性)が低下して、深絞り成形ができなくなったり、曲げ加工などができにくくなり、熱成形加工時に割れなどが発生し易くなる。
【0021】
本発明のメタクリル系樹脂成形品は、(i)(a)メタクリル酸メチル、(b)アルキル基の炭素数が2〜20であるメタクリル酸アルキルエステルおよびアルキル基の炭素数が1〜20であるアクリル酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(c)ベンゼン核が置換されていてもよいα−メチルスチレンダイマー、(d)(メタ)アクリル酸多価エステル並びに(e)重合開始剤を含む未架橋の液状重合性混合物、或いはメタクリル酸メチルおよび/または前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる重合体を含む前記未架橋の液状重合性混合物であって、(ii)メタクリル酸メチル成分:前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の重量比が80:20〜99:1であり、且つ(iii){メタクリル酸メチルと前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分(b)の合計重量}:{α−メチルスチレンダイマー成分の重量}の比が100:0.2〜0.8であり、そして(iv)(メタ)アクリル酸多価エステル成分をメタクリル酸メチル成分と前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)成分の合計重量に基づいて5重量%以下の割合で含有する未架橋の液状重合性混合物を用いて、重合および成形を同時に行う方法によって製造される。その際に、(メタ)アクリル酸多価エステルによる架橋反応が重合および成形と同時に行われる。したがって、本発明でいう「重合」とは、「重合および架橋」を意味する。
なお、本明細書における「全メタクリル酸メチル成分」とは、液状重合性混合物に含まれる、メタクリル酸メチル(単量体)と、メタクリル酸メチルおよび/または前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる重合体中のメタクリル酸メチル成分(構造単位)の合計を意味し、「全前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分」とは、液状重合性混合物に含まれる、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(単量体)と、メタクリル酸メチルおよび/または前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる重合体中の前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分(構造単位)の合計を意味する。
【0022】
より具体的には、本発明では、下記の(A)〜(C)のいずれかの方法が好ましく採用される。
(A) メタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)、α−メチルスチレンダイマー、(メタ)アクリル酸多価エステルおよび重合開始剤を含む未架橋の液状重合性混合物(単量体混合物)であって、メタクリル酸メチル:(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)の重量比が80:20〜99:1であり、{メタクリル酸メチルと(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)の合計重量}:{α−メチルスチレンダイマーの重量}の比が100:0.2〜0.8であり、そして(メタ)アクリル酸多価エステルをメタクリル酸メチルと(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)の合計重量に基づいて5重量%以下の割合で含有する未架橋の液状重合性混合物(未架橋の液状単量体混合物)を用いて重合および成形を同時に行う方法。
【0023】
(B) メタクリル酸メチルを重合開始剤を用いて重合させてメタクリル酸メチル重合体を含むシロップをつくり、そのシロップに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)、α−メチルスチレンダイマーおよび(メタ)アクリル酸多価エステル、さらに必要な場合はメタクリル酸メチルおよび重合開始剤をさらに添加して、シロップ中に含まれるメタクリル酸メチル系重合体を構成するメタクリル酸メチル成分の量をも含めて、全メタクリル酸メチル成分:(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)の重量比が80:20〜99:1であり、{全メタクリル酸メチル成分と(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)の合計重量}:{α−メチルスチレンダイマーの重量}の比が100:0.2〜0.8であり、そして(メタ)アクリル酸多価エステルを全メタクリル酸メチル成分と(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)の合計重量に基づいて5重量%以下の割合で含有する未架橋の液状重合性混合物(メタクリル酸メチル重合体を含有する未架橋の液状重合性混合物)をつくり、その未架橋の液状重合性混合物を用いて重合および成形を同時に行う方法。
【0024】
(C) メタクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)を重合開始剤を用いて重合させてメタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)共重合体および場合によりメタクリル酸メチル重合体や(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)重合体を含むシロップをつくり、そのシロップに、α−メチルスチレンダイマーおよび(メタ)アクリル酸多価エステル、さらに必要な場合はメタクリル酸メチルおよび/または(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)および重合開始剤を添加して、シロップ中に含まれるメタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)共重合体、メタクリル酸メチル重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)重合体を構成するメタクリル酸メチル成分の量および(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)成分の量を含めて、全メタクリル酸メチル成分:全(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)成分の重量比が80:20〜99:1であり、{全メタクリル酸メチル成分と全(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)成分の合計重量}:{α−メチルスチレンダイマーの重量}の比が100:0.2〜0.8であり、そして(メタ)アクリル酸多価エステルを全メタクリル酸メチル成分と全(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)成分の合計重量に基づいて5重量%以下の割合で含有する未架橋の液状重合性混合物(前記した重合体を含有する未架橋の液状重合性混合物)をつくり、その未架橋の液状重合性混合物を用いて重合と成形を同時に行う方法。
【0025】
上記したメタクリル系樹脂成形品の製造方法でメタクリル酸メチルと共に用いる(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)、α−メチルスチレンダイマーおよび(メタ)アクリル酸多価エステルとしては、本発明のメタクリル系樹脂成形品における構造単位(b)、構造単位(c)および構造単位(d)を構成する化合物として上記で説明したのと同じ化合物の1種または2種以上が用いられる。
【0026】
上記したメタクリル系樹脂成形品の製造方法で用いる重合開始剤としては、メタクリル系樹脂の製造に従来から用いられている重合開始剤のいずれもが使用でき、特にアゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤などのラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。何ら限定されるものではないが、アゾ系重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどを挙げることができる。また、過酸化物系重合開始剤の具体例としては、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1’−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ラウロイルパーオキサイドなどを挙げることができる。
重合開始剤の使用量は、重合性混合物の重量に基づいて、0.0001〜2重量%であることが好ましく、0.001〜1重量%であることがより好ましい。
メタクリル系樹脂成形品を製造するための重合・同時成形方法は特に制限されないが、注型法が好ましく採用される。
【0027】
重合・同時成形温度は、採用する重合・同時成形方法の種類、重合・同時成形に用いる液状重合性混合物の組成などに応じて異なり得るが、一般には40〜140℃の温度が好ましく採用される。例えば、注型法による場合は温度40〜90℃で前段の重合を行い、それに続いて温度100〜140℃で後段の重合を行って、重合と成形を同時に行うことによって、目的とするメタクリル系樹脂成形品を円滑に得ることができる。
【0028】
また、本発明のメタクリル系樹脂成形品は、必要に応じて種々の添加剤、例えば染顔料、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、可塑剤、離型剤などを含有していてもよい。本発明のメタクリル系樹脂成形品中に添加剤を含有させる場合は、重合・同時成形が行われる以前のいずれかの段階で、添加剤を加えるようにすればよい。
【0029】
本発明のメタクリル系樹脂成形品の形状、構造、寸法などは特に制限されず、使用目的や用途などに応じて決めることができる。特に、本発明のメタクリル系樹脂成形品は、熱成形加工性に優れていて、加熱下に容易に且つ円滑に曲げ加工、深絞り成形などの二次成形加工を行って、目的とする成形加工品を寸法精度良く製造することができるので、曲げ加工や深絞り成形に用い易い板状成形品の形態にしておくと便利である。
【0030】
本発明のメタクリル系樹脂成形品は、耐熱水性、耐湿熱性および透明性に優れていて、熱水や加熱水蒸気に長期間さらされても、ヘイズ、白化、クラックの発生、膨れなどが生じにくいので、浴槽、浴室の壁材や床材、洗面化粧台などのようなサニタリー用製品、システムキッチンの天板などの厨房製品、さらには住宅などの扉、出窓やその他の内外装材などとして、種々の用途に有効に使用することができる。
【0031】
【実施例】
以下に本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。なお、以下の例において、特に断らない限りは、部は重量部を意味する。また、以下の例で示した諸特性は次のようにして測定または評価した。
【0032】
(i)耐熱水性(耐煮沸性):
金属製の容器に水を入れ、その中に以下の実施例または比較例で得られたメタクリル系樹脂成形品(厚さ5mmの板状成形品)から切り出した寸法が50mm×50mmの試験片を浸漬し、容器ごとオーブンに入れて水の温度が95℃になるまで加熱し、温度を95℃に保ったまま試験片を熱湯中に300時間浸漬し、300時間後に熱水より取り出して、そのヘイズ値を全光線透過率計(村上色彩研究所製:HR−100)を用いて測定して、耐熱水性(耐煮沸性)を調べた。
【0033】
(ii)熱成形加工性:
ii )−1: 以下の実施例または比較例で得られたメタクリル系樹脂成形品(厚さ5mmの板状成形品)から、寸法が500mm×700mmの試験片を切り出し、赤外線ヒーターで試験片を190℃および200℃のそれぞれの温度に加熱して、それぞれの温度で真空成形を−740mmHgの減圧下(20mmHgの圧力下)に行って、図1に示す形状および曲げ加工部寸法(曲率半径)を有する成形体(浴槽モデル用成形体)を製造した。なお、図1の(a)は前記の真空成形で得られた成形体の縦断面図を示したものであり、図1の(b)は前記の真空成形で得られた成形体を上から見た平面図である。
また、真空成形型内面における、図1の(b)の1R〜5Rで示した5カ所の曲げ加工部に相当する部分の寸法(曲率半径)は、1R=30mm、2R=30mm、3R=40mm、4R=30mmおよび5R=40mmである。
ii )−2: 上記の ii )−1の真空成形で得られた成形体における、図1の(b)の1R〜5Rで示した5カ所の曲げ加工部の寸法(曲率半径)を測定して、その値が、真空成形型の内面の該1R〜5Rに相当する部分の寸法(曲率半径)と一致しているか否かを判定すると共に、クラックの発生などの欠陥部分の有無を調べて、熱成形加工性の評価を行った。
成形体の各曲げ加工部の寸法(曲率半径)が、真空成形型の内面の各曲げ部寸法(曲率半径)と同じ場合は、熱成形加工性が良好であると判定され、一方真空成形型の内面の各曲げ部寸法(曲率半径)よりも大きい場合は、真空成形時に試験片が真空成形型の内面に密着しなかったことに起因するものであるから、熱成形加工性が不良であると判定される。
【0034】
《実施例1》
(1) メタクリル酸メチル50kgに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)1gを添加し、撹拌しながら95℃に35分間加熱した後室温に冷却して、メタクリル酸メチル重合体を含有するシロップを得た(重合率は10%)。
(2) 上記(1)で得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸2−エチルヘキシル390g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート[(メタ)アクリル酸多価エステル;架橋剤]52gおよびα−メチルスチレンダイマー(連鎖移動剤)52gを添加して均一に混合し、これにさらにステアリン酸(離型剤)13g、紫外線吸収剤(CIBA GEIGY社製:Tinuvin P)2.6g、および2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(重合開始剤)2.5g添加混合して、液状の重合性混合物を調製した。
(3) 上記(2)で得られた重合性混合物を脱泡処理した後、常法にしたがって、ガスケットを2枚の平行な強化ガラスに挟んで作った鋳型間に注入し、70℃の水槽に4時間浸漬し、次いで120℃の空気槽で2時間加熱を行って、重合を完了させて厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(4) 上記(3)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行った。その結果は、下記の表1に示すとおりである。
また、上記成形体の製造時に、薄くなった箇所やクラックの発生などの欠陥部分の発生が全くなかった。
【0035】
《実施例2》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸2−エチルヘキシル650g、エチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gおよびα−メチルスチレンダイマー(連鎖移動剤)52gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、前記成形体の製造時に、薄くなった箇所やクラックの発生などの欠陥部分の発生が全くなかった。
【0036】
《実施例3》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸2−エチルヘキシル650g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)26gおよびα−メチルスチレンダイマー(連鎖移動剤)39gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、前記成形体の製造時に、薄くなった箇所やクラックの発生などの欠陥部分の発生が全くなかった。
【0037】
《実施例4》
(1) メタクリル酸メチル13kg、アクリル酸ブチル390g、エチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gおよびα−メチルスチレンダイマー(連鎖移動剤)91gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、前記成形体の製造時に、薄くなった箇所やクラックの発生などの欠陥部分の発生が全くなかった。
【0038】
《実施例5》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、メタクリル酸ラウリル910g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gおよびα−メチルスチレンダイマー(連鎖移動剤)65gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、前記成形体の製造時に、薄くなった箇所やクラックの発生などの欠陥部分の発生が全くなかった。
【0039】
参考例1
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸2−エチルヘキシル390gおよびα−メチルスチレンダイマー(連鎖移動剤)52gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
また、前記成形体の製造時に、薄くなった箇所やクラックの発生などの欠陥部分の発生が全くなかった。
【0040】
《比較例1》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸2−エチルヘキシル650g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gおよびラウリルメルカプタン(連鎖移動剤)19.5gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
なお、前記成形体の製造時に、薄くなった箇所やクラックの発生などの欠陥部分の発生はなかった。
【0041】
《比較例2》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸2−エチルヘキシル390g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gおよびラウリルメルカプタン(連鎖移動剤)19.5gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
なお、前記成形体の製造時に、薄くなった箇所やクラックの発生などの欠陥部分の発生はなかった。
【0042】
《比較例3》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸2−エチルヘキシル390g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gおよびラウリルメルカプタン(連鎖移動剤)6.5gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0043】
《比較例4》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸2−エチルヘキシル650gおよびエチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
なお、この比較例4の場合は、200℃での真空成形時に試験片が破れてしまって、成形ができなかった。
【0044】
《比較例5》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸2−エチルヘキシル650g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gおよびラウリルメルカプタン(連鎖移動剤)6.5gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0045】
《比較例6》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸ブチル390g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gおよび2−メルカプトエタノール(連鎖移動剤)19.5gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0046】
《比較例7》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸ブチル390g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gおよびオクチルメルカプタン(連鎖移動剤)19.5gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0047】
《比較例8》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸ブチル390g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gおよび四臭化炭素(連鎖移動剤)65gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0048】
《比較例9》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸ブチル650g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gおよびテルピノレン(連鎖移動剤)6.5gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)から作製した試験片を用いて、上記(i)に記載した方法でヘイズ値を測定して耐熱水性(耐煮沸性)を調べると共に、上記(ii)に記載した方法で成形体をつくり、その熱成形加工性の評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
なお、この比較例4の場合は、200℃での真空成形時に試験片が破れてしまって、成形ができなかった。
【0049】
《比較例10》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って得られたシロップ10kgに、メタクリル酸メチル3kg、アクリル酸ブチル390g、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)52gおよびテルピノレン(連鎖移動剤)6.5gを添加して均一に混合し、これにさらに実施例1の(2)と同様にして離型剤、紫外線吸収剤および重合開始剤添加混合して液状の重合性混合物を調製した。
(2) 上記(1)で得られた重合性混合物を用いて、実施例1の(3)と全く同様にして、厚さ5mmのメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)の製造を試みたところ、重合阻害が大きくて、前段での重合率が低く且つ後段での重合時に発砲が生じて、外観の不良なメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)となった。
そのため、この比較例10では、耐熱水性および熱成形加工性の試験を中止した。
【0050】
【表1】
Figure 0003632940
【0051】
上記の表1の結果から、メタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)および(メタ)アクリル酸多価エステルと共に、α−メチルスチレンダイマー(連鎖移動剤)をメタクリル酸メチルと(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b)の合計重量に基づいて0.2〜0.8重量%の範囲の量で用いて得られた実施例1〜のメタクリル系樹脂成形品、すなわち構造単位(a)、構造単位(b)、構造単位(c)および構造単位(d)を本発明で規定する範囲の量で有する本発明のメタクリル系樹脂成形品は、95℃の熱湯中に300時間浸漬した後でも、そのヘイズ値が極めて小さく、耐熱水性に優れていること、しかも熱成形加工性に優れていて、真空成形によって深絞り成形を行った場合に、その曲がり部の寸法(曲率半径)が真空成形型における寸法と完全に一致し、目的とする形状および寸法を有する成形体を寸法精度良く製造できることがわかる。
【0052】
それに対して、メルカプタン系化合物または四臭化炭素からなる連鎖移動剤0.05〜2重量%の範囲で用いて得られた比較例1〜2および比較例6〜8のメタクリル系樹脂成形品は、95℃の熱湯中に300時間浸漬した後にヘイズ値が大幅に上昇し、白化しており、耐熱水性に劣っていることがわかる。
また、メルカプタン系化合物またはテルピノレンからなる連鎖移動剤を本発明で規定している量よりも少ない量で用いている比較例3、比較例5および比較例9、並びに連鎖移動剤を使用しない比較例4で得られたメタクリル系樹脂成形品は熱成形加工性に劣っており、真空成形型の形状および寸法どおりの成形体が得られないことがわかる。
さらに、連鎖移動剤としてテルピノレンを用いた比較例10の場合は、重合反応が円滑に行われず、メタクリル系樹脂成形品が得られなかったことがわかる。
【0053】
《実施例7》
(1) 実施例1の(3)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を用いて、上記(ii)(熱成形加工性の評価)におけるのと全く同じ方法で、図1に示す成形体(浴槽モデル用成形体)を製造し、その外側(裏側)全体に、ガラス繊維マット(日東紡株式会社製「#450」)を6枚重ねてかぶせ、そこに不飽和ポリエステル樹脂(大日本インキ株式会社製「ポリライトLP924」)100部にメチルエチルケトンパーオキサイド含有液(濃度55重量%;日本油脂株式会社製「パーメックN」)1.5部を加えたものを700g/m2の割合で均一に塗布し、それを温度20℃でゲルさせた後(ゲル化時間約15分)、硬化させ(硬化時間約4時間)、さらに60℃に昇温してから60分加熱して、成形体の外側を補強した積層成形体(浴槽)を製造した。
(2) 上記(1)で得られた積層成形体(浴槽)の内側に水をその上端部から5cmの位置まで満たし、水温が93℃になるように加熱し、その温度に500時間保った後、熱水を抜いて、クラックの発生を目視により観察したが、白化が全く生じていなかった。
【0054】
《比較例11》
(1) 比較例1の(2)で得られたメタクリル系樹脂成形品(板状成形品)を用いて、上記(ii)(熱成形加工性の評価)におけるのと全く同じ方法で、図1に示す成形体(浴槽モデル用成形体)を製造し、その外側(裏側)全体に、実施例1と同様にして、ガラス繊維マットで強化された不飽和ポリエステル樹脂の硬化層を形成して外側を補強した積層成形体(浴槽)を製造した。
(2) 上記(1)で得られた積層成形体(浴槽)の内側に水をその上端部から5cmの位置まで満たし、水温が93℃になるように加熱し、その温度に500時間保った後、熱水を抜いて、クラックの発生を目視により観察したところ、湯に接触していた面が白化しており、商品価値が著しく低下した。
【0055】
【発明の効果】
本発明のメタクリル系樹脂成形品は、熱成形加工性に優れており、加熱下で絞り成形や曲げ加工などを行なって湾曲部などを有する成形体を製造した場合に、目的とする成形体を、割れなどを生ずることなく、高い寸法精度で良好に製造することができる。
さらに、本発明のメタクリル系樹脂成形品は、耐熱水性および耐湿熱性に優れており、熱水や加熱水蒸気に長期間曝されても、ヘイズ、白化、クラック、ふくれなどのトラブルが発生しない。
そして、本発明の製造方法による場合は、上記した優れた特性を有するメタクリル系樹脂成形品を円滑に製造することができる。
本発明のメタクリル系樹脂成形品は、上記した優れた特性を活かして、浴室、浴槽、洗面所、トイレなどのサニタリー分野をはじめとして、システムキッチンの天板などの厨房製品、家屋の内外装材、その他の種々の用途に有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例および比較例において、熱成形加工性および耐熱水性の評価を行うために作製した成形体の形状および構造を示す図である。

Claims (5)

  1. (i)(a)メタクリル酸メチル、(b)アルキル基の炭素数が2〜20であるメタクリル酸アルキルエステルおよびアルキル基の炭素数が1〜20であるアクリル酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(c)ベンゼン核が置換されていてもよいα−メチルスチレンダイマー、(d)(メタ)アクリル酸多価エステル並びに(e)重合開始剤を含む未架橋の液状重合性混合物、或いはメタクリル酸メチルおよび/または前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる重合体を含む前記未架橋の液状重合性混合物であって、(ii)アクリル酸メチル成分:前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の重量比が80:20〜99:1であり、(iii){メタクリル酸メチル成分と前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の合計重量}:{α−メチルスチレンダイマー成分の重量}の比が100:0.2〜0.8であり、且つ(iv)前記(メタ)アクリル酸多価エステル成分をメタクリル酸メチル成分と前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル成分の合計重量に基づいて5重量%以下の割合で含有する未架橋の液状重合性混合物を用いて、重合および成形を同時に行って成形品を製造することを特徴とするメタクリル系樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記の未架橋の液状重合性混合物を型に注入して重合および成形を同時に行って成形品を製造する請求項の製造方法。
  3. 請求項1または2の製造方法により得られるメタクリル系樹脂成形品であって、
    (i)メタクリル酸メチルに由来する構造単位(a)、アルキル基の炭素数が2〜20であるメタクリル酸アルキルエステルおよびアルキル基の炭素数が1〜20であるアクリル酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位(b)、ベンゼン核が置換されていてもよいα−メチルスチレンダイマーに由来する構造単位(c)並びに(メタ)アクリル酸多価エステルに由来する構造単位(d)を有し
    (ii) 構造単位(a):構造単位(b)の重量比が80:20〜99:1であり;
    (iii) {構造単位(a)と構造単位(b)の合計重量}:{構造単位(c)の重量}の比が100:0.2〜0.8であり;且つ
    (iv) 構造単位(d)を、構造単位(a)および構造単位(b)の合計重量に対して5重量%以下の割合で有する;
    メタクリル系樹脂から形成されていることを特徴とするメタクリル系樹脂成形品
  4. サニタリー製品用である請求項3のメタクリル系樹脂成形品
  5. 請求項3のメタクリル系樹脂成形品から形成したサニタリー製品
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