JP3668979B2 - 光電子集積回路装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、光電子集積回路装置の製造方法に関し、特に、光通信、光伝送、光情報処理、画像表示装置などに利用される発光素子や受光素子のアレーを電子回路とともに同一基板上に集積化した光電子集積回路装置の製造に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、超高速、大容量のデータ転送が必要な分野で光信号伝送技術の応用が進んできている。例えば、幹線系や加入者系の光通信、光LAN(ローカルエリアネットワーク)などがこれに相当する。
【0003】
一方、画像処理や伝送を行う情報処理機器のように膨大な量の信号を扱う機器では、システムの内部にまで光信号伝送または光信号処理技術が必要とされ始めている。このような観点から、現在、非常に高帯域での動作を目指した光電子集積回路(OEIC)の開発や、光の並列性を生かし、処理能力の大幅な向上を目指した光電子集積回路の研究が盛んに行われている。
【0004】
この光電子集積回路は、現在素子の微細化、高集積化が非常に進んでいるSiICと同様にSi基板を用いて実現することができれば望ましいが、Siは、そのエネルギーバンド構造が間接遷移型であることにより発光素子を形成することが困難であるため、Si基板上に光電子集積回路をモノリシックに実現することは困難である。そこで、従来の光電子集積回路においては、発光素子や受光素子のアレーを電子回路とともに同一基板上に混成(ハイブリッド)集積化し、発光素子や受光素子の電極と電子回路の電極とをワイヤボンディングにより接続するのが一般的である。このようなハイブリッド光電子集積回路の一例(ハイブリッド構成の4並列光送信IC)を図18に示す。図18において、符号101はアルミナ基板、102はレーザーダイオードチップ、103は電極、104、105はそれぞれ電子回路が形成されたSiチップ、106、107はボンディングパッド、108はワイヤ、109は電極、110は先球ファイバー、111はファイバーガイドを示す。
【0005】
上述のワイヤボンディングを基本とするハイブリッド集積化技術は、特に、集積化する光素子が発光素子の場合、SiICだけでなく、GaAsICとの集積化においてもしばしば用いられる。これは、レーザーダイオードなどの発光素子は素子構造的に電子素子と同一平面上でその形成や配線を行うことが極めて困難であること、少数の素子を集積化する場合や高速動作が必要とされない場合はワイヤボンディングを基本とするハイブリッド集積化技術で十分であることなどに起因する。
【0006】
一方、上述の従来のハイブリッド光電子集積回路とは別に、発光素子をSi基板上に直接形成することを目指した光電子集積回路の研究開発が行われている。例えば、Si基板上へのGaAsやInPなどのヘテロエピタキシー技術の研究開発がそれにあたる(例えば、応用物理、第61巻、第2号(1992)第126頁)。しかし、このような格子定数の大きく異なる基板上へのGaAsやInPなどのヘテロエピタキシーでは、基板とエピタキシャル層との界面に発生する転位などの影響により、十分に良好な結晶性を有する結晶が得られていないのが現状である。すなわち、例えば、Si基板上へのGaAsのヘテロエピタキシーでは、成長されるGaAsエピタキシャル層の転位密度≧1×106 cm-2であるが、この値は例えばGaAs基板の転位密度と比較して102 〜103 cm-2以上大きく、信頼性上問題である。
【0007】
また、電子素子や発光素子(レーザーダイオードまたは発光ダイオード)を別の基板(GaAs基板)上に形成しておき、弗酸系(HFまたはHF+NH4 OH)エッチング液に可溶なAlx Ga1-x Asから成るバッファ層を用いてこの基板をエッチング除去した後、これらの電子素子や発光素子をSi基板上に実装する方法(Appl. Phys. Lett. 51(26),2222(1987))や、Si基板上にAl組成比xの大きいAlx Ga1-x As層を格子歪み緩和層として形成し、その上に発光素子構造を順次形成した後、上述と同様な弗酸系エッチング液を用いてAlx Ga1-x As層から成る格子歪み緩和層を部分的に除去することにより信頼性を高める方法(IEDM 91,p.962)が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のワイヤボンディングを基本とするハイブリッド集積化技術では、多数の列状または面状に配置された素子の形成を行う場合、多大な労力を必要とするばかりでなく、非常に微細化された素子のアレーを正確に形成することはほぼ不可能である。また、ワイヤが有する寄生インダクタンスやパッドが有する寄生容量は、光電子集積回路の高速動作(≧GHz)性能を著しく阻害する。
【0009】
一方、上述のヘテロエピタキシー法によるSi基板上への発光素子などのモノリシック形成では、特に、発光素子の発熱作用が大きい場合、転位の増殖による通電劣化が信頼性上問題である。
【0010】
さらに、弗酸系エッチング液を用いてGaAs基板をリフトオフする上述の従来の方法では、この弗酸系エッチング液が、SiICやGaAsICなどでパッシベーション膜として多く用いられているSiO2 膜やSi3 N4 膜、さらにはSi基板自体をも侵してしまうことから、Si基板上への発光素子などのモノリシック形成はかなりの困難を伴う。特に、弗酸系エッチング液中で先にGaAs基板を除去し、これにより得られる電子素子や発光素子を別のSi基板上に一つずつ精密に位置合わせを行って実装することは、多数の発光素子のアレーなどを形成する場合には、極めて困難でかつ量産性に乏しい。
【0011】
従って、この発明の目的は、高速動作が可能で信頼性も高い光電子集積回路装置を容易にしかも高い生産性で製造することができる光電子集積回路装置の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明による光電子集積回路装置の製造方法は、
GaAsからなる第1の基板(1)の一方の主面上に、AlGaAsまたはIn原子を含む化合物半導体からなるエッチングストッパー膜(2)を介して複数の光素子を形成する層(3、4、5、6、7)を形成する工程と、
電子回路(12)およびバンプメッキ電極(13)が一方の主面上に形成された第2の基板(11)のバンプメッキ電極(13)と複数の光素子の電極(8、9)との位置合わせを行って接続する工程と、
エッチングストッパー膜(2)を用いて第1の基板(1)をその他方の主面側から、F原子を含むガスとCl原子またはBr原子を含むガスとの混合ガスを用いてエッチングすることにより第1の基板(1)を除去する工程とを有する。
【0013】
この発明による光電子集積回路装置の製造方法の一実施形態において、光電子集積回路装置の製造方法は、層(3、4、5、6、7)を形成した後に、複数の光素子の間の部分の層(3、4、5、6、7)、エッチングストッパー膜(2)および第1の基板(1)の途中の深さまでを順次選択的にエッチングすることにより素子分離溝(10)を形成する工程をさらに有する。
【0014】
この発明による光電子集積回路装置の製造方法の他の実施形態において、光電子集積回路装置の製造方法は、第1の基板(1)を除去した後に、エッチングストッパー膜(2)および層(3、4、5、6、7)を順次選択的にエッチングすることにより素子分離溝(10)を形成する工程をさらに有する。
【0015】
この発明による光電子集積回路装置の製造方法において、光素子は発光素子および/または受光素子である。具体的には、発光素子はレーザーダイオードや発光ダイオードであり、受光素子はMSM(金属−半導体−金属)フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、pinフォトダイオードなどである。
【0016】
この発明による光電子集積回路装置の製造方法の好適な一実施形態において、第1の基板はGaAs基板であり、第2の基板はSi基板である。
【0017】
【作用】
上述のように構成されたこの発明による光電子集積回路装置の製造方法によれば、例えば、複数の光素子を形成する層を形成した後にこれらの光素子の間の部分の層、エッチングストッパー膜および第1の基板の途中の深さまでを順次選択的にエッチングすることにより素子分離溝を形成しておき、次に第1の基板の一方の主面上の複数の光素子と第2の基板の一方の主面上の電子回路とを位置合わせした上で第1の基板の一方の主面側を第2の基板の一方の主面上に接着し、その後に第1の基板をその裏面側からエッチングして除去することにより、複数の光素子を、各光素子間の位置関係が互いにずれることなく、第2の基板上の所望の位置に正確にしかも一括して実装することができる。また、複数の光素子と電子回路とをワイヤボンディングを用いることなく接続することができるので、ワイヤが有する寄生インダクタンスやボンディングパッドが有する寄生容量などによる高速動作性能の劣化を防止することができる。さらに、複数の光素子が形成される第1の基板は最終的に除去されるので、例えば光素子が発光素子である場合、発光部から極近接した位置に放熱作用を兼ね備えた電極を形成することが可能となり、従って熱抵抗を十分に低減することができる。また、光素子アレーの各光素子は最終的には分離されて微小な大きさになることから、光素子を形成する層と第2の基板との熱膨張係数の差に基づく応力を十分解放することができ、従って光電子集積回路装置の信頼性を十分に確保することができる。
【0018】
【実施例】
以下、この発明の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、実施例の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1〜図7はこの発明の第1実施例による光電子集積回路装置の製造方法を工程順に示す。
【0019】
この第1実施例においては、まず、図1に示すように、GaAs基板1上に、例えば有機金属化学気相成長(MOCVD)法や分子線エピタキシー(MBE)法などの結晶成長法により、後に行われるGaAs基板1のエッチングの際に用いられるエッチングストッパー膜2をまずエピタキシャル成長させた後、このエッチングストッパー膜2上に、レーザーダイオードを形成する層であるp型コンタクト層3、p型クラッド層4、活性層5、n型クラッド層6およびn型コンタクト層7を順次エピタキシャル成長させる。
【0020】
ここで、GaAs基板1は最終的には完全に除去されるので、このGaAs基板1はその上にエピタキシャル成長を行うことができるものであれば面方位に制約がないことは勿論、導電型にも制約はなく、半絶縁性、n型およびp型のいずれのものであってもよい。また、エッチングストッパー膜2としては、例えば厚さが0.3μmのAl0.3 Ga0.7 As層が用いられる。p型コンタクト層3としては、例えば厚さが0.2μmのp型GaAs層が用いられる。p型クラッド層4としては、例えば厚さが1μmのAl0.4 Ga0.6 As層が用いられる。活性層5としては、例えばGaAs/AlGaAs多重量子井戸(MQW)構造の層が用いられる。n型クラッド層6としては、例えば厚さが1μmのAl0.4 Ga0.6 As層が用いられる。n型コンタクト層7としては、例えば厚さが0.2μmのn型GaAs層が用いられる。なお、上述の各層の結晶性を改善するために、あらかじめGaAs基板1上にバッファ層を形成した後に上述の各層のエピタキシャル成長を行うようにしてもよい。
【0021】
次に、n型コンタクト層7上に形成すべきn側電極に対応した形状のレジストパターン(図示せず)を形成し、さらに全面に例えばAuGe/Ni膜を例えば真空蒸着法により形成した後、レジストパターンをその上のAuGe/Ni膜とともに除去(リフトオフ)する。これによって、図2に示すように、AuGe/Ni膜から成るn側電極8が各レーザーダイオード毎に形成される。次に、n側電極8のアロイ工程を経た後、n型コンタクト層7およびn側電極8上に再度所定形状のレジストパターンを形成し、さらに全面に例えばTi/Pt/Au膜やTi/Mo/Au膜のようなバリアメタル膜を形成した後、レジストパターンをその上のバリアメタル膜とともに除去する。これによって、n側電極8上にバリアメタル膜9が形成される。この後、このバリアメタル膜9上にハンダ材(図示せず)を形成する。
【0022】
次に、n型コンタクト層7およびバリアメタル膜9上に所定形状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、このレジストパターンをマスクとして、GaAs、Alx Ga1-x As双方ともにエッチング可能なエッチングガスを用いて例えば反応性イオンエッチング(RIE)法によりGaAs基板1の途中の深さまで無選択エッチングを行い、その後レジストパターンを除去する。これによって、図3に示すように、GaAs基板1に達する素子分離溝10が形成される。この素子分離溝10の間の各部分のp型コンタクト層3、p型クラッド層4、活性層5、n型クラッド層6およびn型コンタクト層7により各レーザーダイオードが形成される。
【0023】
上述の無選択エッチングの際のエッチングガスとしては、例えばCl2 、SiCl4 、Br2 、CCl4 、SiBr4 、CBr4 、BCl3 、BBr3 、これらの混合ガス、さらにはこれらのガスとHeやArなどの不活性ガスとの混合ガスなどが好適に用いられる。図8にGaAsおよびAlx Ga1-x Asの無選択エッチングのエッチング特性の一例を示す。図8には、エッチングガスがCl2 +SiCl4 である場合のエッチング特性が示されているが、これより、Alx Ga1-x AsのAl組成比xが大きくなってAlAsに近づいても、十分なエッチング速度でエッチングが可能であることがわかる。
【0024】
次に、上述のようにして形成されたレーザーダイオードアレーチップを所望の大きさに劈開して共振器端面を形成し、さらに必要ならば端面コーティング(反射コーティング/無反射コーティング)を行う。
【0025】
次に、図4に示すように、Si基板11上に電子回路部12およびバンプメッキ電極13があらかじめ形成されたものを用意し、このSi基板11上のバンプメッキ電極13と上述のレーザーダイオードアレーチップの各n側電極8との位置合わせを行った上でハンダペーストなどにより上述のレーザーダイオードアレーチップをSi基板11上に仮実装する。この状態を図5に示す。Si基板11上に別のチップを実装したい場合には続けてその実装を行う。この後、ハンダのリフローを行い、Si基板11上のバンプメッキ電極13とレーザーダイオードアレーチップの各n側電極8とを確実に接続する。以上により、いわゆるフリップチップ実装が行われる。
【0026】
次に、上述のようにしてSi基板11上にフリップチップ実装されたGaAs基板1(厚さは通常400〜600μm)をその裏面側からRIEによりエッチング可能な厚さ(50〜100μm)までラッピングして薄膜化する。なお、このGaAs基板1の薄膜化は、図3に示す工程の終了直後に行うようにしてもよい。
【0027】
次に、Si基板11上に、GaAs基板1を除いた部分の表面を覆うレジストパターン(図示せず)を形成した後、このレジストパターンをマスクとして、GaAs基板1をその裏面側から、エッチングストッパー膜2を構成するAlGaAs層に対して十分なエッチング選択性を有するエッチングガスを用いてRIE法によりエッチングする。
【0028】
上述の選択エッチングの際のエッチングガスとしては、例えば、弗素(F)原子を含むガス、例えばClx Fy 、Cx Cly Fz や、それ自身はGaAsをエッチングしない、SF6 、CF4 、C2 F6 、CHF、CHF3 などの弗素原子を含むガスと、Cl2 、Br2 、SiCl4 、SiBr4 、CCl4 などの塩素(Cl)原子や臭素(Br)原子を含むガスとの混合ガスなどが好適に用いられる。これは、アルミニウム(Al)原子の弗化物であるAl2 F3 の昇華温度が高く、この物質がエッチング保護膜として働くためである。図9に、GaAsおよびAlGaAsを無選択エッチングするエッチングガスであるSiCl4 +HeにCF4 を添加した場合のSiCl4 +CF4 に対するCF4 の流量比によるエッチング速度の変化を示すが、これより、CF4 の添加によりGaAsおよびAlGaAsの選択エッチングが可能となることがわかる。図9の場合には、SiCl4 +CF4 に対するCF4 の流量比が約0.5のところでエッチング選択比≧100が得られている。
【0029】
以上のようにしてGaAs基板1を完全にエッチング除去した後、必要であればエッチング残渣を適当なエッチング液、例えば塩酸などにより処理し、その後保護膜として用いたレジストパターンを除去する。これによって、図6に示すように、レーザーダイオードアレーの各レーザーダイオードが、互いの位置関係がずれることなく、相互に分離される。
【0030】
上述のようにしてフリップチップ実装が行われたレーザーダイオードとSi基板11との段差は通常数μm程度である。そこで、平坦化工程を行った後、リソグラフィー工程、真空蒸着工程、リフトオフ工程などを経て各レーザーダイオードのエッチングストッパー膜2上の所定の位置に、例えばTi/Pt/Auから成るp側電極(図示せず)を形成する。次に、再び平坦化工程を行った後、図7に示すように、各レーザーダイオードのp側電極に接続されたp側配線(電源共通配線)14を形成し、目的とする光電子集積回路装置を完成させる。
【0031】
なお、エッチングストッパー膜2の材料としては、AlGaAs以外に、In原子を含む化合物半導体、具体的にはInP、InGaAs、AlInAs、AlInGaP、AlGaInAs、InGaAsPなどを用いることもできる。一例として、図10に、SiCl4 +CF4 をエッチングガスとして用いた場合のGaAs、InPおよびInGaAsのエッチング特性を示すが、これより、InPおよびInGaAsのいずれに対してもGaAsのエッチング選択比>500が得られていることがわかる。この場合にエッチング選択性が得られるメカニズムは、In原子がIn液滴として表面に残りやすい性質や、Inの酸化物の昇華温度が非常に高い性質などによっている。
【0032】
以上のように、この第1実施例によれば、GaAs基板1上にエッチングストッパー膜2およびレーザーダイオードを形成する複数の層を順次形成し、さらにn側電極8およびバリアメタル膜9を形成した後、エッチングストッパー膜2およびレーザーダイオードを形成する複数の層の無選択エッチングを行うことによりGaAs基板1に達する素子分離溝10を形成し、このGaAs基板1を電子回路部12があらかじめ形成された別のSi基板11上に位置合わせを行った上でフリップチップ実装し、その後にGaAs基板1をその裏面側からエッチングストッパー膜2を用いて選択エッチングして除去することにより各レーザーダイオードを相互に分離するようにしているので、レーザーダイオードアレーを、各レーザーダイオード間の位置関係がずれることなく、Si基板11上の所定の位置に正確かつ容易に実装することができる。これによって、光電子集積回路装置を高い生産性で製造することができる。
【0033】
また、各レーザーダイオードと電子回路部12との接続にワイヤボンディングを用いていないので、ワイヤが有する寄生インダクタンスやボンディングパッドが有する寄生容量などに起因する高速動作性能の劣化を防止することができる。さらに、GaAs基板1は最終的に除去されるので、放熱作用を兼ね備えたp側電極を各レーザーダイオードの発光部に極近接して形成することができ、従って熱抵抗を大幅に低減することができる。また、Si基板上にヘテロエピタキシーにより発光素子をモノリシックに形成する上述の従来技術と異なり、転位の増殖による通電劣化の問題もなく、従って光電子集積回路装置の信頼性の向上を図ることができる。さらに、個々に分離された後の各レーザーダイオードの大きさは微小であるため、レーザーダイオードを形成する層とSi基板11との熱膨張係数の差に基づく応力は十分解放され、従って光電子集積回路装置の信頼性を十分に確保することができる。
以上により、高速動作が可能で信頼性も高い光電子集積回路装置を容易にしかも高い生産性で製造することができる。
【0034】
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図11〜図13はこの第2実施例による光電子集積回路装置の製造方法を示すものである。
【0035】
この第2実施例においては、まず、図11Aに示すように、GaAs基板1上に、エッチングストッパー膜2、光吸収層15およびショットキーコンタクト層16を順次エピタキシャル成長させた後、このショットキーコンタクト層16上に所定形状のレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとしてGaAs基板1の途中の深さまで無選択エッチングを行い、GaAs基板1に達する素子分離溝10を形成する。この場合、エッチングストッパー膜2としては、例えば厚さが2μmのAl0.48In0.52As層から成る格子歪み緩和層が用いられる。光吸収層15としては、例えば、1.3μm帯の波長の光に感度を有する例えば厚さが1μmのIn0.53Ga0.47As層が用いられる。ショットキーコンタクト層16としては、厚さが0.1μmのAlInAs層が用いられる。
【0036】
次に、図11Bに示すように、ショットキーコンタクト層16上に互いに対向する一対の櫛型のショットキー電極17(図12参照)を形成する。このようにして、MSMフォトダイオードがアレー状に形成される。
【0037】
次に、図12に示すように、上述のようにしてMSMフォトダイオードアレーが形成されたGaAs基板1上に、一対のショットキー電極17にそれぞれ接続された配線18を形成するとともに、これらの配線18の各端部にAuバンプメッキ電極19を形成する。
【0038】
次に、図12に示すGaAs基板1をそのショットキー電極17側が下になるようにSi基板11上にフリップチップ実装した後、エッチングストッパー膜2を用いてGaAs基板1をその裏面側から選択エッチングすることにより除去する。これによって、図13に示すように、MSMフォトダイオードアレーの各MSMフォトダイオードが、互いの位置関係がずれることなく分離される。次に、これらのMSMフォトダイオードの間の部分に例えばポリイミド膜20を充填して表面を平坦化し、その平坦化された表面上に反射防止膜21を形成して、目的とする光電子集積回路装置を完成させる。
【0039】
なお、この第2実施例においては、エッチングストッパー膜2として、格子歪み緩和層であるAlInAs層を用いているが、このエッチングストッパー膜2としては、必要に応じて、In原子やAl原子を含む例えばGaAs/InGaAs歪み超格子層やAlInGaAs格子歪み緩和層を用いてもよい。さらに、このエッチングストッパー膜2は、GaAs基板1を除去した後に、適当な酸系またはアルカリ系のエッチング液を用いたウエットエッチングにより除去するようにしてもよい。このようにエッチングストッパー膜2を除去しておくことは、光電子集積回路装置の信頼性の向上に寄与する。
【0040】
以上のように、この第2実施例によれば、GaAs基板1上に受光素子としてのMSMフォトダイオードの二次元アレーを形成し、各MSMフォトダイオード間に無選択エッチングによりGaAs基板1に達する素子分離溝10を形成し、このGaAs基板1を電子回路が形成されたSi基板11上にあらかじめ相互の位置合わせを行った上でフリップチップ実装した後、GaAs基板1をその裏面側からエッチングストッパー膜2を用いて選択エッチングすることにより除去するようにしている。これによって、MSMフォトダイオードアレーを、各MSMフォトダイオードの互いの位置関係がずれることなく、Si基板11上の所定の位置に正確にしかも一括して実装することができるなど、第1実施例と同様な種々の利点を得ることができる。
【0041】
さらに、この第2実施例によれば、MSMフォトダイオードの二次元アレーにおいては、配線部分の段差が小さく、しかも多数のMSMフォトダイオードを互いに素子分離を行った状態で高密度に形成することが可能であり、さらにはSi基板11の表面および裏面の両面からの信号光の入射が可能である(図13にはSi基板11の表面から信号光が入射する場合が示されている)。また、この第2実施例による光電子集積回路装置は、MSMフォトダイオードが二次元アレー状に配置されているので、並列光情報処理や並列光伝送における光信号入力装置としての応用が可能である。
【0042】
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図14〜図17はこの第3実施例による光電子集積回路装置の製造方法を示すものである。
【0043】
この第3実施例においては、図14に示すように、GaAs基板1上に、p型コンタクト層3、p型クラッド層4、活性層5、n型クラッド層6、n型コンタクト層7、n型電流ブロック層22およびp型電流ブロック層23を形成し、さらにn型コンタクト層7とオーミックコンタクトするn側電極8を形成して、マルチビームのファブリーペロー共振器型埋め込みヘテロ構造のレーザーダイオードを形成する。ここで、p型コンタクト層3としては、例えば厚さが0.2μmのp型Al0.2 Ga0.8 As層が用いられる。この場合、このp型コンタクト層3がエッチングストッパー膜を兼用する。p型クラッド層4としては、例えば厚さが1μmのAl0.3 Ga0.7 As層が用いられる。活性層5としては、例えばGaAs/AlGaAsMQW構造の層が用いられる。n型クラッド層6としては、例えば厚さが2μmのAl0.3 Ga0.7 As層が用いられる。n型コンタクト層7としては、例えば厚さが0.2μmのp型Al0.1 Ga0.9 As層が用いられる。また、n型電流ブロック層22としては、例えば厚さが0.6μmのn型Al0.1 Ga0.9 As層が用いられる。さらに、p型電流ブロック層23としては、例えば厚さが2μmのp型GaAs層が用いられる。
【0044】
次に、図15に示すように、隣接するレーザーダイオードの間の部分のn型コンタクト層7、p型電流ブロック層23、n型電流ブロック層22、p型クラッド層4、p型コンタクト層3およびGaAs基板1の途中の深さまでを無選択エッチングし、GaAs基板1に達する深さの素子分離溝10を形成する。
【0045】
次に、図16に示すように、n側電極8上にハンダペースト24を形成するとともに、このGaAs基板1とは別に、電子回路が形成されたSi基板11の一方の主面上に例えばAuGe/Niから成るオーミック電極25、例えばTi/Pt/Auから成るバリアメタル膜26およびAuメッキ層27を形成したものを用意し、このSi基板11の一方の主面上にGaAs基板1を、このGaAs基板1上のハンダペースト24とSi基板11上のAuメッキ層27とが互いに接触するように位置合わせを行った上で接着する。このようにしてフリップチップ実装を行った後、上述の第1実施例および第2実施例と同様に、GaAs基板1をその裏面側から選択エッチングによりエッチングして除去する。上述のように、この場合、p型コンタクト層3がエッチングストッパー膜として働く。このようにしてGaAs基板1が除去された時点で、各レーザーダイオードは互いに分離される。
【0046】
次に、図17に示すように、各レーザーダイオードのp型コンタクト層3上に例えばTi/Pt/Auから成るp側電極28をそれぞれ形成した後、例えばTi/Pt/Auから成るp側配線14をエアーブリッジ配線として形成し、目的とする光電子集積回路装置を完成させる。
【0047】
以上のように、この第3実施例によれば、GaAs基板1上に複数のレーザーダイオードを形成し、各レーザーダイオード間に無選択エッチングによりGaAs基板1に達する素子分離溝10を形成し、このGaAs基板1を電子回路が形成されたSi基板11上に位置合わせを行った上でフリップチップ実装した後、GaAs基板1をその裏面側からp型コンタクト層3をエッチングストッパー膜として用いて選択エッチングにより除去することにより各レーザーダイオードを分離しているので、各レーザーダイオードの位置関係が互いにずれることなく、レーザーダイオードアレーをSi基板11上の所定の位置に正確にしかも一括して実装することができるなど、第1実施例と同様な種々の利点を得ることができる。
【0048】
以上、この発明の実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0049】
例えば、上述の第1実施例において、特に素子の高速動作を必要としない場合や、高密度のレーザーダイオードアレーを必要としない場合は、従来と同様なワイヤボンディングにより配線を行うようにしてもよい。
【0050】
また、上述の第1実施例においては、GaAs基板1上にレーザーダイオード構造を形成し、無選択エッチングにより各レーザーダイオード間に素子分離溝10を形成し、次にSi基板11上にこのGaAs基板1のフリップチップ実装を行った後、GaAs基板1を選択エッチングにより除去しているが、先にGaAs基板1のフリップチップ実装を行った後に、まず選択エッチングを行ってGaAs基板1を除去し、その後にレジストパターンなどをマスクとしてレーザーダイオード構造を形成する層を無選択エッチングすることにより素子分離溝を形成するようにしてもよい。
【0051】
また、上述の第2実施例においては、受光素子がMSMフォトダイオードである場合について説明したが、受光素子としては、例えば、縦型のアバランシェフォトダイオードやpinフォトダイオードを用いるようにしてもよい。
【0052】
さらに、上述の第1実施例、第2実施例および第3実施例においては、フリップチップ実装を行う基板としてSi基板を用いているが、このフリップチップ実装を行う基板としては、平坦性が良好であればどのようなものを用いてもよく、具体的には、GaAsやInPなどの化合物半導体基板は勿論、ガラス基板、さらにはアルミナ、AlN、ベリリア、ジルコニアなどのセラミック基板を用いてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、高速動作が可能で信頼性も高い光電子集積回路装置を容易にしかも高い生産性で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための斜視図である。
【図2】この発明の第1実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための斜視図である。
【図3】この発明の第1実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための斜視図である。
【図4】この発明の第1実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための斜視図である。
【図5】この発明の第1実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための斜視図である。
【図6】この発明の第1実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための斜視図である。
【図7】この発明の第1実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための斜視図である。
【図8】Alx Ga1-x Asのエッチング速度のAl組成比xによる変化の一例を示すグラフである。
【図9】GaAsおよびAl0.3 Ga0.7 Asのエッチング速度のSiCl4 +CF4 に対するCF4 の流量比による変化の一例を示すグラフである。
【図10】GaAs、In0.53Ga0.47AsおよびInPのエッチング速度の高周波電力による変化の一例を示すグラフである。
【図11】この発明の第2実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図12】この発明の第2実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための斜視図である。
【図13】この発明の第2実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図14】この発明の第3実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための斜視図である。
【図15】この発明の第3実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための斜視図である。
【図16】この発明の第3実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図17】この発明の第3実施例による光電子集積回路装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図18】従来のハイブリッド光電子集積回路の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 GaAs基板
2 エッチングストッパー膜
3 p型コンタクト層
4 p型クラッド層
5 活性層
6 n型クラッド層
7 n型コンタクト層
8 n側電極
9 バリアメタル膜
10 素子分離溝
11 Si基板
12 電子回路部
13 バンプメッキ電極
15 光吸収層
17 ショットキー電極
Claims (9)
- GaAsからなる第1の基板の一方の主面上に、AlGaAsまたはIn原子を含む化合物半導体からなるエッチングストッパー膜を介して複数の光素子を形成する層を形成する工程と、
電子回路およびバンプメッキ電極が一方の主面上に形成された第2の基板の上記バンプメッキ電極と上記複数の光素子の電極との位置合わせを行って接続する工程と、
上記エッチングストッパー膜を用いて上記第1の基板をその他方の主面側から、F原子を含むガスとCl原子またはBr原子を含むガスとの混合ガスを用いてエッチングすることにより上記第1の基板を除去する工程と
を有する光電子集積回路装置の製造方法。 - 上記層を形成した後に、上記複数の光素子の間の部分の上記層、上記エッチングストッパー膜および上記第1の基板の途中の深さまでを順次選択的にエッチングすることにより素子分離溝を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項1記載の光電子集積回路装置の製造方法。
- 上記第1の基板を除去した後に、上記エッチングストッパー膜および上記層を順次選択的にエッチングすることにより素子分離溝を形成する工程をさらに有することを特徴とする請求項1または2記載の光電子集積回路装置の製造方法。
- 上記光素子は発光素子または受光素子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の光電子集積回路装置の製造方法。
- 上記第2の基板はSi基板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の光電子集積回路装置の製造方法。
- 上記In原子を含む化合物半導体は、InP、InGaAs、AlInAs、AlInGaP、AlGaInAsまたはInGaAsPであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の光電子集積回路装置の製造方法。
- 上記F原子を含むガスはSF6 、CF4 、C2 F 6 またはCHF3 であり、上記Cl原子またはBr原子を含むガスはCl2 、Br2 、SiCl4 、SiBr4 またはCCl4 であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の光電子集積回路装置の製造方法。
- 上記エッチングストッパー膜が格子歪み緩和層を兼用することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の光電子集積回路装置の製造方法。
- 上記エッチングストッパー膜がコンタクト層を兼用することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の光電子集積回路装置の製造方法。
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