JP3673086B2 - 液圧発生用アクチュエータの連結構造 - Google Patents

液圧発生用アクチュエータの連結構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体前部側に画成されたエンジン室内で、ペダル操作による入力を増大するブースタと、該ブースタからの入力によってブレーキやクラッチを液圧で作動する液圧マスタシリンダとの2つの液圧発生用アクチュエータを連結する構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車体前部のエンジン室内に、ブースタや液圧マスタシリンダ等の液圧発生用アクチュエータを取付けする構造として、例えば特開平6−211115号公報に示されるものがある。
この技術は、乗員室内のダッシュパネルとカウルパネルとに、ブレーキペダルを揺動可能に支持するペダルブラケットを掛け渡して、該ペダルブラケットを、係止ピンや長孔等を用いた連結手段によってカウルパネルに分離可能に連結し、前記ダッシュパネルの上端部を前記カウルパネルに支持すると共に、該ダッシュパネルの上端部に、支持板や固定ボルト,蛇腹部等を用いた傾倒手段を設けており、衝突エネルギー等の車体前部方向からの外力によってエンジン室が潰れた場合に、エンジン室の構成部品がダッシュパネルのエンジン室側面に突設したブレーキブースタを車体後方へ押し出し、更にブレーキブースタがダッシュパネルとペダルブラケットとを車体後方へ押し出して、ペダルブラケットとカウルパネルとの連結状態が解除されることにより、傾倒手段で車体前部方向からの外力を吸収しながら、ブレーキブースタとダッシュパネルと共にペダルブラケットを傾動させて、ブレーキペダルをダッシュパネル側へ退避させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成にあっては、車体構造であるダッシュパネルやカウルパネルを蛇腹状に折り畳むなどして直接加工したり、これらに連結手段や傾倒手段の係止ピンや支持板,固定ボルトを取付ける必要があって、製作工数と加工工数並びに組付け作業工数が多く、コストのかかるものとなっていた。
【0004】
また、車体前部方向からの外力は、ブレーキブースタとダッシュパネルを通して、ペダルブラケットとカウルパネルとの連結状態を解除する方向に作用することが条件となるが、外力の伝わり具合によっては、ペダルブラケットとカウルパネルとの連結状態が解除されないことがあり、ブレーキペダルを必ずしもダッシュパネル側へ退避させるとはいえない。
【0005】
さらに、他の液圧発生用アクチュエータの取付け構造として、ブースタや液圧マスタシリンダを、車体前後方向から車体上方等の一側方へ傾けることが知られているが、車体前部方向からの外力を受けた場合に、ブースタや液圧マスタシリンダが車体後部方向へそのまま平行移動することがあって、上述の場合と同様に、ペダルを必ずしもダッシュパネル側へ退避させるとはいえない。
【0006】
そこで本発明は、乗員室内に配設されるペダル類やブースタ用のプッシュロッド等の突き戻しを、車体前後方向から外れたオフセット荷重として作用する外力にも幅広く対応して極力防止することが可能で、しかもこのために、ダッシュパネル等の車体構造を格別加工したり特別な部材を取付ける必要のない液圧発生用アクチュエータの連結構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的に従って、請求項1の発明では、車体前部側のエンジン室と、これに続く乗員室との間を仕切るダッシュパネルのエンジン室側面に、ペダル踏力を増大するブースタを突設し、該ブースタの前部に、ブースタで増大したペダル踏力を受けてブレーキやクラッチを液圧作動する液圧マスタシリンダを連結するブースタと液圧マスタシリンダとの2つの液圧発生用アクチュエータを連結する構造であって、前記ブースタのブースタシェルの前面板と、前記液圧マスタシリンダの車体後部側の連結フランジとを重ね合わせして、複数の連結ボルトにて連結する液圧発生用アクチュエータの連結構造において、前記ブースタと液圧マスタシリンダとを、車体前後方向から前記連結ボルトの間を側方へ傾けて配設し、前記ブースタシェルの前面板の前記ブースタと液圧マスタシリンダの傾け側に低強度部を設け、前記連結フランジが車体前部方向からの外力によって傾いた際に、前記ブースタシェルの低強度部を破断して連結フランジがブースタシェル内に入り込むようにする。
【0008】
請求項2の発明では、車体前部側のエンジン室と、これに続く乗員室との間を仕切るダッシュパネルのエンジン室側面に、ペダル踏力を増大するブースタを突設し、該ブースタの前部に、ブースタで増大したペダル踏力を受けてブレーキやクラッチを液圧作動する液圧マスタシリンダを連結するブースタと液圧マスタシリンダとの2つの液圧発生用アクチュエータを連結する構造であって、前記ブースタのブースタシェルの前面板と、前記液圧マスタシリンダの車体後部側の連結フランジとを重ね合わせして、複数の連結ボルトにて連結する液圧発生用アクチュエータの連結構造において、前記ブースタと液圧マスタシリンダとを、車体前後方向から前記連結ボルトの間を側方へ傾けて配設し、前記ブースタシェルの前面板の前記ブースタと液圧マスタシリンダの傾け側に低強度部を設け、前記液圧マスタシリンダの連結フランジには、車体前部方向からの外力によって連結フランジが傾いた際に、前記ブースタシェルの低強度部を破断してブースタシェル内に入り込む突片を設ける。
【0009】
請求項3の発明では、車体前部側のエンジン室と、これに続く乗員室との間を仕切るダッシュパネルのエンジン室側面に、ペダル踏力を増大するブースタを突設し、該ブースタの前部に、ブースタで増大したペダル踏力を受けてブレーキやクラッチを液圧作動する液圧マスタシリンダを連結するブースタと液圧マスタシリンダとの2つの液圧発生用アクチュエータを連結する構造であって、前記ブースタのブースタシェルの前面板と、前記液圧マスタシリンダの車体後部側の連結フランジとを重ね合わせして、複数の連結ボルトにて連結すると共に、前記ブースタシェルの前面板の内側に補強板を付設した液圧発生用アクチュエータの連結構造において、前記ブースタと液圧マスタシリンダとを、車体前後方向から前記連結ボルトの間を側方へ傾けて配設し、前記補強板の前記ブースタと液圧マスタシリンダの傾け側に、半径方向外側へ開口する切欠き部を設け、前記液圧マスタシリンダの連結フランジには、車体前部方向からの外力によって連結フランジが傾いた際に、前記ブースタシェルの前面板を破断して前記補強板の切欠き部内に入り込む突片を設ける。
【0010】
請求項4の発明では、請求項3の発明の補強板において、切欠き部と連結フランジの突片とに挟まれるブースタシェルの前面板に、突片の押動で破断する低強度部を設ける。
【0011】
請求項5の発明では、請求項2または4の発明の低強度部を、切込み溝や打刻等の被破断手段によって形成する。請求項6の発明では、請求項2または4の発明の低強度部を、ブースタシェルの前面板に穿った貫通孔とし、該貫通孔をグロメットで閉塞する。
【0012】
さらに、請求項7の発明では、請求項1〜6のいずれかの発明において、液圧マスタシリンダの連結フランジまたは該連結フランジの突片とブースタシェルの前面板との間に、間隙を設定する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各形態例を図面に基づいて説明する。
図1〜図5は、本発明の第1形態例を示し、車体前部側(図2の左側)のエンジン室1とこれに続く乗員室2とはダッシュパネル3にて仕切られており、エンジン室1には、ダッシュパネル3のエンジン室側面に、負圧ブースタ4と液圧マスタシリンダ5との2つの液圧発生用アクチュエータを直列につないだ液圧発生装置6が突設され、乗員室2には、負圧ブースタ4のバルブハウジング4bとプッシュロッド7とペダル8とが配設されていて、ペダル8によるペダル踏力を負圧ブースタ4で増大し、該負圧ブースタ4で増大したペダル踏力によって、ブレーキやクラッチの作動に必要な液圧を液圧マスタシリンダ5で発生するようになっている。
【0014】
ダッシュパネル3は、車体前後方向(図2の左右方向)に正対し、且つ乗員室2側へやや後傾して配設されている。負圧ブースタ4は、大径のブースタシェル4aと、該ブースタシェル4aに続く小径円筒状のバルブハウジング4bと、該バルブハウジング4bの後端から突出するプッシュロッド7とよりなっている。液圧マスタシリンダ5の連結側となるブースタシェル4aの前面板4cには、中央にブースタシェル4a内へ凹む小径の嵌合部4dが設けられ、該嵌合部4dの両側にボルト挿通孔4e,4eが穿設されており、両ボルト挿通孔4e,4eに直交する嵌合部4dの上部に、被破断手段9が設けられると共に、前面板4cの内側には、リング状の補強板10が付設されている。
【0015】
上記被破断手段9は、ブースタシェル4aの前面板4cの外面に、断面V字状の切込み溝を、後述する液圧マスタシリンダ5の連結フランジ5bの鈍角な円弧状頂部5dの先端側外縁よりやや外側に相似形に設けた、本発明でいう低強度部で、液圧マスタシリンダ5が車体前部方向からの外力を受け、連結フランジ5bの円弧状頂部5dがブースタシェル4aの前面板4cと当接した場合に、被破断手段9を形成する低強度の切込み溝を、連結フランジ5bの円弧状頂部5dが容易に破断できるようにしている。
【0016】
尚、低強度部としての被破断手段は、上述の切込み溝以外に、製造ロットや製品名等の打刻で肉厚を薄することによっても形成することができる。また、ブースタシェル4a内の負圧を保持できれば、ミシン目のような断続した切り込み線であってもよい。
【0017】
前記補強板10は、ブースタシェル4aが金属薄板を折曲して形成され、且つブースタシェル4a内が高負圧となる上に、前面板4cに液圧マスタシリンダ5が連結されることから、前面板4cの剛性を高めるために設けられるもので、ブースタシェル4aよりも厚い金属板が用いられる。
【0018】
補強板10の中央には、フランジ10aの内部に負圧ブースタ4の嵌合凹部4dよりも大径な挿通孔10bが設けられ、該挿通孔10bを挟んだ左右両側に、ボルト挿通孔10c,10cが穿設されている。ボルト挿通孔10c,10cと直交する補強板10の一側部には、外周縁に開口する切欠き部10dが略扇形に形成され、該切欠き部10dを除く補強板10の外周縁にフランジ10eが設けられている。
【0019】
上記補強板10は、挿通孔10bにブースタシェル4aの嵌合部4dを挿通して、ボルト挿通孔10c,10cをボルト挿通孔4e,4eに合致させながら、前面板4cの内面に重ね合わせし、補強板10側より各ボルト挿通孔10c,4eにそれぞれ連結ボルト11を差し込んで、該連結ボルト11の基部をブースタシェル4aの前面板4cの外面に係着することにより、ブースタシェル4aと補強板10と連結ボルト11,11とが仮組される。
【0020】
液圧マスタシリンダ5には、シリンダボディ5aの上部にリザーバ12を直結したリザーバ一体型が用いられており、シリンダボディ5aの後部側には、板状の連結フランジ5bが設けられている。連結フランジ5bは、左右に鋭角な円弧状頂部5c,5cを、上下に鈍角な円弧状頂部5d,5dを備えた左右方向に細長い菱形に形成されており、左右の円弧状頂部5c,5cにはボルト挿通孔5e,5eが穿設され、該ボルト挿通孔5e,5eと直交する一方の鈍角な円弧状頂部5dの外面に、凹部5fが設けられている。
【0021】
上記液圧マスタシリンダ5は、連結フランジ5bの一方の鈍角な円弧状頂部5dの凹部5fを、補強板10の切欠き部10dと同方向へ向けながら、ブースタシェル4aの前面板4cから突出する連結ボルト11,11を連結フランジ5bのボルト挿通孔5e,5eに差し込んで、シリンダボディ5aの後端部をブースタシェル4aの嵌合部4dに収容すると同時に、ブースタシェル4aの前面板4cに連結フランジ5bを重ね合わせし、該連結フランジ5bより突出する連結ボルト11,11の先端側に、それぞれナット13をねじ込んで負圧ブースタ4と直列に連結され、該負圧ブースタ4と液圧マスタシリンダ5とで前述の液圧発生装置6が構成される。
【0022】
この連結により、ブースタ4の前面板4cの低強度部9と液圧マスタシリンダ5の連結フランジ5bの円弧状頂部5dと補強板10の切欠き部10dとが重ね合わせされ、また連結フランジ5bの円弧状頂部5dとブースタシェル4aの前面板4cとの間には、当該円弧状頂部5dの外面に凹部5fを設けたことにより、間隙Cが設定される。
【0023】
このように連結された負圧ブースタ4と液圧マスタシリンダ5は、ブースタシェル4aの前面板4cの被破断手段9と補強板10の切欠き部10dとを車体上側に向け、2本の連結ボルト11,11を車体幅方向に向けながら、負圧ブースタ4のバルブハウジング4bを、エンジン室1側からダッシュパネル3の貫通孔3aに挿通し、ブースタシェル4aの背面板4fをダッシュパネル3のエンジン室側面に当接させて、背面板4fに突設した複数本の取付けボルト14をダッシュパネル3のボルト孔3bを通して乗員室2へ突出させ、該取付けボルト14の先端にそれぞれナット15をねじ込んで、ダッシュパネル3のエンジン室側に突設される。
【0024】
ダッシュパネル3は、前述のように乗員室2側へやや傾いて配設されているため、液圧発生装置6の負圧ブースタ4と液圧マスタシリンダ5とは、ブースタシェル4aとシリンダボディ5aの中心軸L1を、車体前後方向線L2から車体幅方向左右に位置する連結ボルト11,11の間を上方へ角度Θ分傾けて配設され、またブースタシェル4aの前面板4cの被破断手段9と補強板10の切欠き部10dと間隙Cとは、負圧ブースタ4と液圧マスタシリンダ5の傾き側である車体上部側に位置している。
【0025】
本形態例はこのように、エンジン室1に配設される液圧発生装置6の負圧ブースタ4と液圧マスタシリンダ5とが、車体前後方向線L2から上方へ角度Θ傾いて配設され、シリンダボディ5aの連結フランジ5bと、負圧ブースタ4の前面板4cとをつなぐ2本の連結ボルト11,11が車体幅方向左右に位置すると共に、ブースタシェル4aの前面板4cの被破断手段9と補強板10の切欠き部10dとが、連結ボルト11,11の間を、負圧ブースタ4と液圧マスタシリンダ5の傾き側である車体上部側へ角度Θ分傾けて配設される。
【0026】
このような構成から、車体前部の衝突など、車体前部側に位置する液圧マスタシリンダ5の先端側が、車体前部方向からの外力を受けた場合に、当該外力は、液圧マスタシリンダ5へ車体幅方向左右の連結ボルト11,11と交差する上方向に働き、連結フランジ5aを含むシリンダボディ5aの全体を上方へ倒すように作用する。
【0027】
これにより、連結フランジ5bの上部側に位置する円弧状頂部5dが、間隙Cを埋めながら金属薄板の前面板4c方向へ傾いて、円弧状頂部5dよりもやや外側に位置する被破断手段9を破断し、前面板4cを突き破って、さらにその内側に位置する補強板10の切欠き部10dに入り込んで、液圧マスタシリンダ5の全体を上方向に傾かせる。液圧マスタシリンダ5のこのような傾きは、これに続く負圧ブースタ4の上側に偏荷重として作用し、該負圧ブースタ4にダッシュパネル3への取付け部近傍を支点とする回転モーメントを付与して、負圧ブースタ4につながる乗員室2内のバルブハウジング4bやプッシュロッド7,ペダル8をダッシュパネル3の車体下方向に退避させるので、運転者側への突き戻しを良好に回避することができる。
【0028】
さらに本形態例は、車体前部方向からの外力が、車体前後方向線L2上に作用する場合はもとより、該線L2を外れたオフセット荷重として液圧マスタシリンダ5に作用する場合にも、液圧発生装置6の負圧ブースタ4と液圧マスタシリンダ5とを、車体前後方向線L2から上方へ角度Θで傾け、またブースタシェル4aの前面板4cの被破断手段9と補強板10の切欠き部10dとを、負圧ブースタ4と液圧マスタシリンダ5の傾き側である車体上部側に位置させるので、バルブハウジング4bやプッシュロッド7,ペダル8の突き戻しを確実に回避することが可能である。
【0029】
また、車体構造であるダッシュパネル3には、ペダル突き戻し防止のために、ダッシュパネル3を蛇腹状に折り畳み加工したり、専用の部材を取付ける必要がないので、製作工数と加工工数並びに組付け作業工数の省略をして低コストで実施することができ、しかも既存の車体構造に何等手を加えることなく実施できるので、汎用性が頗る高い。
【0030】
さらに、連結フランジ5bの上部側に位置する円弧状頂部5dとブースタシェル4aの前面板4cとの間に間隙Cを設定したから、円弧状頂部5dが前面板4c方向へ傾こうとする傾動初期に、円弧状頂部5dが前面板4cからの抵抗を受けないので、円弧状頂部5dによる前面板4cの破断をより確実に行なうことができる。
【0031】
次に、本発明の第2〜第5形態例を、図6〜図15に基づいて説明する。尚、上記第1形態例と同一構成箇所については、それぞれ同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0032】
図6及び図7は、本発明の第2形態例を示すもので、本形態例は、負圧ブースタ4の前面板4cに、第1形態例の被破断手段に代る低強度部20を設けた点で、第1形態例と異なっている。
【0033】
この低強度部20は、負圧ブースタ4の前面板4cに穿たれた横長円形の貫通孔で、連結フランジ5bの上側の円弧状頂部5dと、補強板10の切欠き部10dとの間に位置しており、常時は弾性材のグロメット21で塞がれていて、ブースタシェル4a内の負圧を保持している。ブースタシェル4aの前面板4cと、連結フランジ5bの上部側の円弧状頂部5dとの間には、第1形態例と同様に間隙Cが設定されており、該円弧状頂部5dとグロメット21との間も、やや離間している。
【0034】
このように構成される本形態例は、液圧マスタシリンダ5が車体前部方向からの外力を受けた場合に、連結フランジ5bの上部側の円弧状頂部5dが、グロメット21を前面板4cの内部へ押し込み、さらに円弧状頂部5dが、低強度部20を押し拡げながら、補強板10の切欠き部10dへ入り込むことにより、液圧マスタシリンダ5の全体を車体上方向へ良好に傾かせて、これに続く負圧ブースタ4の上側に、乗員室2内のバルブハウジング4bやプッシュロッド7,ペダル8をダッシュパネル3の車体下方向に退避させる回転モーメントを与えるようにしている。
【0035】
図8は、本発明の第3形態例を示し、上述の第1,第2形態例とは、ブースタシェル4aの前面板4cに低強度部として形成される被破断手段30の形状と、シリンダボディ5aの後端部側に一体形成される連結フランジ5gの形状とが異なっており、さらに、第1,第2形態例で用いたブースタシェル前面板内側の補強板は省略されている。
【0036】
シリンダボディ5aの連結フランジ5gは、外側へ若干の膨みを持った横長方形の板材でなり、連結フランジ5gの左右両端部が連結ボルト11,11を用いてブースタシェル4aの前面板4cに連結されている。被破断手段30は、前面板4cの外面に、連結フランジ5gの上縁を囲うように設けた切込み溝や断続した切り込み線,打刻等によって形成されており、液圧マスタシリンダ5が車体前部方向からの外力を受けた場合に、連結フランジ5gの上部側が、ブースタシェル4aの前面板4c方向へ倒れ込み、該前面板4cの被破断手段30を破断して、ブースタシェル4aの内部へ入り込むようにしている。
【0037】
本形態例はこのように、ブースタシェル4aの前面板4cが金属製の薄板であるうえ、さらにこの前面板4cに、低強度の被破断手段30を設けたことより、頂部や突部形状を持たない本形態例のような横長方形の連結フランジ5gでも、ブースタシェル4aの前面板4cを容易に破断できるようしている。
【0038】
図9〜図11は、本発明の第4形態例を示すもので、液圧マスタシリンダ5の連結フランジ5bは、全体が同一厚さを持つ横長の菱形に形成され、左右の連結ボルト11,11と直交する車体上部側の円弧状頂部5dに、略三角形の突片5hが設けられており、上述の第1〜第3形態例で、ブースタシェル4aの前面板4cに設けた低強度部は省略されている。
【0039】
連結フランジ5bの突片5hは、連結フランジ5bよりもやや薄肉で、連結フランジ5bのシリンダボディ前部寄りに設けられており、連結フランジ5bとブースタシェル4aの前面板4cとを連結ボルト11,11で連結した際には、補強板10の切欠き部10dと連結フランジ5bの突片5hとが、ブースタシェル4aの前面板4cを挟んで対向し、また突片5hとブースタシェル4aの前面板4cとの間に間隙Cが設定される。
【0040】
車体前部方向からの外力を受けた液圧マスタシリンダ5は、連結フランジ5bの上部に位置する突片5hが、間隙Cを埋めながら前面板4c方向へ傾いて、金属薄板の前面板4cを突き破り、さらにその内側に位置する補強板10の切欠き部10dに入り込んで、液圧マスタシリンダ5の全体を上方向に傾かせる。
【0041】
本形態例は、連結フランジ5bの突片5hが、連結フランジ5bの菱形形状から外側へ大きく突出するため、ブースタシェル4aの前面板4cに作用する破壊力が大きくできるので、第1〜第3形態例でブースタシェル4aの前面板4cに設けた被破断手段や低強度部を省略することができる。
【0042】
図12及び図13は、本発明の第5形態例を示し、液圧マスタシリンダ5の連結フランジ5bの突片5hと、補強板10の切欠き部10dとに挟まれるブースタシェル4aの前面板4cの外面には、本発明の低強度部となる被破断手段40が設けられている。
【0043】
被破断手段40は、切込み溝や断続した切り込み線、打刻等によるもので、液圧マスタシリンダ5が車体前部方向からの外力を受け、連結フランジ5bの突片5hがブースタシェル4aの前面板4cと当接した場合に、突片5hが被破断手段40を容易に破断できるようにしている。
【0044】
図14及び図15は、本発明の第6形態例を示すもので、本形態例は、ブースタシェル4aの前面板4cに、円形の貫通孔を穿って低強度部50とし、該低強度部50を弾性材のグロメット51で塞いでブースタシェル4a内の負圧を保持しており、液圧マスタシリンダ5が車体前部方向からの外力を受けた場合に、連結フランジ5bの突片5hの先端がグロメット51を突き破って、低強度部50から補強板10の切欠き部10dへ容易に入り込めるようにしている。
【0045】
尚、本発明は、ブースタと液圧マスタシリンダとを、車体前部方向線からいずれの方向へ傾けても差支えない。さらに、連結フランジの突片とブースタシェルの前面板との間には、形態例に示した如く間隙を設けておくと、連結フランジの傾動初期に前面板からの抵抗を受けずに、連結フランジや突片を前面板方向へ容易に傾けることができるが、本発明は間隙がない場合でも、連結フランジや突片を傾かせることは可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液圧発生用アクチュエータの連結構造によれば、車体前部側に位置する液圧マスタシリンダの先端側に、車体前部方向からの外力が、車体前後方向線やこれを外れたオフセット荷重として作用した場合にも、液圧マスタシリンダの連結フランジや連結フランジに設けた突片が、ブースタシェルの前面板の低強度部を突き破って、液圧マスタシリンダの全体を傾かせ、液圧マスタシリンダに続くブースタに回転モーメントを与えるので、乗員室内のプッシュロッドやペダル類をダッシュパネル方向に退避させて、運転者側への突き戻しを良好に回避することができる。
【0047】
また、車体構造であるダッシュパネル等には、ペダル突き戻し防止のために、蛇腹状に折り畳み加工したり、専用の部材を新たに取付けたりする必要がないので、製作工数と加工工数並びに組付け作業工数を省略できて低コストで実施することが可能であり、しかも既存の車体構造に何等手を加えることなく実施できるので、汎用性が頗る高い。
【0048】
さらに、ブースタシェルの前面板内側に補強板を持つものでは、補強板に切欠き部を設けることにより、ブースタシェルの前面板を破断した連結フランジや連結フランジの突片を補強板の切欠き部内に入り込ませ、液圧マスタシリンダの全体を良好に傾かせて、液圧マスタシリンダに続くブースタに回転モーメントを与えるので、乗員室内のプッシュロッドやペダル類をダッシュパネル方向に退避させて、運転者側への突き戻しを良好に回避することができる。
【0049】
また、請求項4の発明によれば、連結フランジの突片がブースタシェル前面板の低強度部を容易に破断して、液圧マスタシリンダを傾かせることができる。さらに、請求項5または6の発明によれば、液圧マスタシリンダの容易で確実な傾きを、簡単な構造で且つ低コストで実施することができる。
【0050】
また、請求項7の発明によれば、連結フランジや連結フランジの突片が車体前部方向からの外力で前面板へ傾こうとする傾動初期に、突片が前面板からの抵抗を受けないので、連結フランジや突片による前面板の破断をより確実に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1形態例を示すブースタと液圧マスタシリンダの分解斜視図
【図2】 本発明の第1形態例を示す液圧発生装置の取付け状態の正面図
【図3】 本発明の第1形態例を示す図2のIII −III 断面図
【図4】 本発明の第1形態例を示す図3のIV−IV断面図
【図5】 本発明の第1形態例を示す図4の要部拡大図
【図6】 本発明の第2形態例を示す液圧発生装置の要部断面図
【図7】 本発明の第2形態例を示す図6のVII −VII 断面図
【図8】 本発明の第3形態例を示す液圧発生装置の要部断面図
【図9】 本発明の第4形態例を示す液圧マスタシリンダの要部斜視図
【図10】 本発明の第4形態例を示す液圧発生装置の要部断面図
【図11】 本発明の第4形態例を示す図10のXI−XI断面図
【図12】 本発明の第5形態例を示す液圧発生装置の要部断面図
【図13】 本発明の第5形態例を示す図12のXIII−XIII断面図
【図14】 本発明の第6形態例を示す液圧発生装置の要部断面図
【図15】 本発明の第6形態例を示す図12のXV−XV断面図
【符号の説明】
1…エンジン室
2…乗員室
3…ダッシュパネル
4…負圧ブースタ(液圧発生用アクチュエータ)
4a…ブースタシェル
4b…バルブハウジング
4c…ブースタシェル4aの前面板
4d…嵌合部
5…液圧マスタシリンダ(液圧発生用アクチュエータ)
5a…シリンダボディ
5b,5g…連結フランジ
5c,5d…円弧状頂部
5f…凹部
5h…突片
6…負圧ブースタ4と液圧マスタシリンダ5とからなる液圧発生装置
7…プッシュロッド
8…ペダル
9…被破断手段(低強度部)
10…補強板
10b,10c…挿通孔
11…連結ボルト
13,15…ナット
14…取付けボルト
20,50…低強度部
21,51…グロメット
30,40…被破断手段
C…間隙

Claims (7)

  1. 車体前部側のエンジン室と、これに続く乗員室との間を仕切るダッシュパネルのエンジン室側面に、ペダル踏力を増大するブースタを突設し、該ブースタの前部に、ブースタで増大したペダル踏力を受けてブレーキやクラッチを液圧作動する液圧マスタシリンダを連結するブースタと液圧マスタシリンダとの2つの液圧発生用アクチュエータを連結する構造であって、前記ブースタのブースタシェルの前面板と、前記液圧マスタシリンダの車体後部側の連結フランジとを重ね合わせして、複数の連結ボルトにて連結する液圧発生用アクチュエータの連結構造において、前記ブースタと液圧マスタシリンダとを、車体前後方向から前記連結ボルトの間を側方へ傾けて配設し、前記ブースタシェルの前面板の前記ブースタと液圧マスタシリンダの傾け側に低強度部を設け、前記連結フランジが車体前部方向からの外力によって傾いた際に、前記ブースタシェルの低強度部を破断して連結フランジがブースタシェル内に入り込むようにしたことを特徴とする液圧発生用アクチュエータの連結構造。
  2. 車体前部側のエンジン室と、これに続く乗員室との間を仕切るダッシュパネルのエンジン室側面に、ペダル踏力を増大するブースタを突設し、該ブースタの前部に、ブースタで増大したペダル踏力を受けてブレーキやクラッチを液圧作動する液圧マスタシリンダを連結するブースタと液圧マスタシリンダとの2つの液圧発生用アクチュエータを連結する構造であって、前記ブースタのブースタシェルの前面板と、前記液圧マスタシリンダの車体後部側の連結フランジとを重ね合わせして、複数の連結ボルトにて連結する液圧発生用アクチュエータの連結構造において、前記ブースタと液圧マスタシリンダとを、車体前後方向から前記連結ボルトの間を側方へ傾けて配設し、前記ブースタシェルの前面板の前記ブースタと液圧マスタシリンダの傾け側に低強度部を設け、前記液圧マスタシリンダの連結フランジには、車体前部方向からの外力によって連結フランジが傾いた際に、前記ブースタシェルの低強度部を破断してブースタシェル内に入り込む突片を設けたことを特徴とする液圧発生用アクチュエータの連結構造。
  3. 車体前部側のエンジン室と、これに続く乗員室との間を仕切るダッシュパネルのエンジン室側面に、ペダル踏力を増大するブースタを突設し、該ブースタの前部に、ブースタで増大したペダル踏力を受けてブレーキやクラッチを液圧作動する液圧マスタシリンダを連結するブースタと液圧マスタシリンダとの2つの液圧発生用アクチュエータを連結する構造であって、前記ブースタのブースタシェルの前面板と、前記液圧マスタシリンダの車体後部側の連結フランジとを重ね合わせして、複数の連結ボルトにて連結すると共に、前記ブースタシェルの前面板の内側に補強板を付設した液圧発生用アクチュエータの連結構造において、前記ブースタと液圧マスタシリンダとを、車体前後方向から前記連結ボルトの間を側方へ傾けて配設し、前記補強板の前記ブースタと液圧マスタシリンダの傾け側に、半径方向外側へ開口する切欠き部を設け、前記液圧マスタシリンダの連結フランジには、車体前部方向からの外力によって連結フランジが傾いた際に、前記ブースタシェルの前面板を破断して前記補強板の切欠き部内に入り込む突片を設けたことを特徴とする液圧発生用アクチュエータの連結構造。
  4. 前記補強板の切欠き部と前記連結フランジの突片とに挟まれる前記ブースタシェルの前面板に、前記突片の押動で破断する低強度部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の液圧発生用アクチュエータの連結構造。
  5. 前記低強度部は、切込み溝や打刻等の被破断手段によって形成されることを特徴とする請求項2または4に記載の液圧発生用アクチュエータの連結構造。
  6. 前記低強度部は、前記ブースタシェルの前面板に穿った貫通孔であり、該貫通孔をグロメットで閉塞したことを特徴とする請求項2または4に記載の液圧発生用アクチュエータの連結構造。
  7. 前記液圧マスタシリンダの連結フランジまたは該連結フランジの突片と前記ブースタシェルの前面板との間に、間隙を設定したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液圧発生用アクチュエータの連結構造。
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