JP3676052B2 - 複合型延焼防止シート及びそれを用いた延焼防止処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線・ケーブル等の可燃性長尺物が火災で延焼するのを防止するための複合型延焼防止シートと、それを用いた延焼防止処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電線・ケーブルには電気絶縁および保護などの目的でゴムやプラスチックが使用されている。このため電線・ケーブルは、火災にあうと燃焼して高熱や多量の煙を発生するだけでなく、延焼により火災を拡大する等の問題がある。したがって電線・ケーブルの難燃化、延焼防止処置は重要な課題であり、特に電線・ケーブルが多条布設されている所は最も危険な箇所として何らかの延焼防止処置を施す必要がある。
【0003】
従来、このような箇所の延焼防止処置としては、ケーブル全面に延焼防止塗料を塗布する方法や、ケーブル全体を延焼防止シートで包み込む方法などが知られている。
しかし延焼防止塗料を塗布する方法は、▲1▼必要な塗料厚さ(0.8〜1.2mm)を確保するのに数回以上の塗布作業が必要である、▲2▼塗料を均一な厚さに塗布することが難しい、▲3▼塗料乾燥後はケーブルの撤去が困難である、等の問題がある。
【0004】
これに対し延焼防止シートで包み込む方法は、施工が簡単である、施工ムラが生じない、施工後のケーブルの撤去や増設も容易である、等の利点がある。延焼防止シート(テープ状のものを含む)としては、ガラスクロスに酸素指数30以上の難燃性ゴム又はプラスチックをコーティングしたもの、金属箔とガラスクロスを貼り合わせたもの、或いは金属箔と難燃性ゴム又はプラスチック等を貼り合わせたもの等が公知である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら延焼防止シートを用いた延焼防止処置にも以下に説明するようないくつかの問題がある。図9(A)(B)はケーブルラック1にケーブル2を多条布設し、全体を延焼防止シート3で包み込んで、結束バンド4により結束した状態を示している。このままの状態では、延焼防止シート3の巻き始め端または巻き終わり端では、延焼防止シート3とケーブル2の間の隙間Sが外部に開口しているため、火災の際にはそこから熱気や可燃性ガスが入り込み、延焼防止シート3内のケーブル2が燃焼するおそれがある。このため従来は、図10(A)(B)に示すように延焼防止シート3の端部の内側にパテ状の耐熱シール材5(ロックウールでも可)を充填して、火災の熱気や可燃性ガスが延焼防止シート3内に入り込まないようにする必要があった。
【0006】
また延焼防止シート3を巻きつけると、図9のように延焼防止シート3の両側縁の重ね合わせ部Lが長手方向にできることになるが、火災になると、この重ね合わせ部Lの隙間から熱気や可燃性ガスが延焼防止シート3内に入り込み、ケーブル2が燃焼するおそれがある。このため、より高度な延焼防止処置を施す場合には、図11に示すように延焼防止シート3の重ね合わせ部に耐熱シール材5を充填して、火災の熱気や可燃性ガスが延焼防止シート3内に入り込まないようにする必要があった。
【0007】
しかし、延焼防止シートの端部の内側に耐熱シール材やロックウールを充填したり、延焼防止シートの重ね合わせ部に耐熱シール材を充填したりする作業は非常に面倒であり、労力と時間がかかる。また延焼防止シートを巻いた後にケーブルの増設や撤去を行う場合にも、耐熱シール材の除去や再充填が必要となり、面倒である。特にケーブルラックの下部は隙間に耐熱シール材等を充填する作業が困難であった。
【0008】
本発明の目的は、以上のような問題点に鑑み、耐熱シール材やロックウール等を充填する必要のない複合型延焼防止シートと、それを用いた延焼防止処理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る複合型延焼防止シートは、延焼防止シートの、可燃性長尺物に巻きつけるときに内側になる面の、端縁及び側縁の少なくとも一方に沿って、熱膨張性耐火材シートを取り付け、前記延焼防止シートの熱膨張性耐火材シート取り付け面と反対側の面に、シート結束部材のずれ止めガイドを設けたことを特徴とするものである。
ここで、熱膨張性耐火材シートとは、加熱されると発泡して熱に耐える層を形成する組成物をシート状にしたものである。
【0010】
また本発明に係る延焼防止処理方法は、前記複合型延焼防止シートを用いた可燃性長尺物の延焼防止処理方法であって、前記複合型延焼防止シートを、熱膨張性耐火材シートが取り付けられている面を内側にして可燃性長尺物に巻きつけ、ずれ止めガイドにシート結束部材を通して結束することを特徴とするものである。
【0011】
複合型延焼防止シートを巻きつけた状態では、延焼防止シート端部と可燃性長尺物の間、あるいは延焼防止シートの重ね合わせ部に、外部に連通する隙間ができるが、火災が発生して周囲温度が上昇すると、熱膨張性耐火材シートが膨張して前記隙間を塞ぐ。したがって耐熱シール材等を充填しなくても確実な延焼防止効果を得ることが可能となる。
【0012】
また複合型延焼防止シートを可燃性長尺物に巻きつけた場合には、巻きつけ状態を保持するため少なくとも一方の端部を結束部材(バンド等)で結束するが、この複合型延焼防止シートは、結束部材をずれ止めガイドに通して結束することにより結束部材のずれを防止できるため、巻きつけ状態がくずれることがなく、施工が容易で、延焼防止性も確実である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔実施形態1〕
図1(A)〜(C)は本発明の一実施形態を示す。この複合型延焼防止シート6は、延焼防止シート3の一方の端縁に沿って熱膨張性耐火材シート7を取り付けると共に、延焼防止シート3の熱膨張性耐火材シート7の取付け面と反対側の面に、結束バンド4のずれ止めガイド9を設けたものである。
【0014】
延焼防止シート3は従来同様、ガラスクロスに酸素指数30以上好ましくは40以上の難燃性ゴムをコーティングしたもの(電力ケーブル用)、又はアルミ箔とガラスクロスを不燃性糸で縫い合わせたもの(通信・制御ケーブル用)である。
【0015】
この例では熱膨張性耐火材シート7として、熱膨張性黒鉛、パーライト又は珪酸ナトリウム等の熱膨張性材料と無機繊維とバインダー(ゴム又は熱可塑性エラストマー)を混練したゴム状薄板を用いた。この熱膨張性耐火材シート7は、加熱されると、花火の一種であるヘビ玉のように体積が急膨張して良好な耐火断熱層を形成する。特に、薄い熱膨張性黒鉛鱗片と無機繊維をシート表面と平行方向に配向させて層状にした熱膨張性耐火材シートは好ましい材料である。各成分の配合量は、熱膨張性黒鉛が10〜20wt%、無機繊維が40〜70wt%、有機系バインダー、充填材、その他が5〜20wt%程度であることが望ましい。この熱膨張性黒鉛を用いた耐火材シートは、製造時に、押出、ローラープレス等をすることで無機繊維の働きにより熱膨張性黒鉛をシート表面と同方向に配向させたものである。この熱膨張性耐火材シートは、熱膨張性黒鉛がシート表面と同方向に配向しているので、厚さ方向への熱膨張率が極めて大きく(10倍以上)、薄いもの(1〜3mm程度)でも本発明に利用できる。
【0016】
延焼防止シート3に熱膨張性耐火材シート7を取り付けるには、接着剤などで接着することも可能であるが、前述した熱膨張性黒鉛がシート表面と同方向に配向したシートであれば薄いものを利用できるので、これを不燃性糸8で延焼防止シート3に縫い付けるのが最も簡単で確実な方法である。
【0017】
ずれ止めガイド9の設け方は特に限定されないが、この実施形態では、延焼防止シート3の一方の端縁側を熱膨張性耐火材シート7の反対側に折り返し、この折り返し部3aに適当な間隔でスリット10を入れると共に、折り返し部3aを不燃性糸8で熱膨張性耐火材シート7と共に縫い付けることにより、ずれ止めガイド9を設けている。このようにすれば熱膨張性耐火材シート3を縫い付けるときに同時にずれ止めガイド9を形成することができるので、製造コストを安くできる。なお図示の例では、熱膨張性耐火材シート3と延焼防止シートの折り返し部3aとの縫い付けを、折り返し部3aの折り目側(左側)と先端側(右側)の2箇所で行っているが、折り目側の縫い付けは省略することも可能である。
【0018】
図2(A)(B)は図1の複合型延焼防止シート6の使用状態を示す。この複合型延焼防止シート6を用いて延焼防止処置を施す場合には、複合型延焼防止シート6を、熱膨張性耐火材シート7を内側にして、ケーブルラック1に多条布設されたケーブル2を包み込むように巻きつけ、ずれ止めガイド9に結束バンド4を通して結束するだけでよい。
【0019】
この状態では、延焼防止シート3とケーブル2の間の隙間Sが延焼防止シート3の端部で外部に開口しているが、火災により加熱されると、熱膨張性耐火材シート7が急激に熱膨張して図3のような耐火断熱材7aとなって隙間を塞ぐので、延焼防止シート3内のケーブル2の延焼を確実に防止することができる。またこのとき、ずれ止めガイド9に通されている結束バンド4が、位置ずれを起こすことなく複合型延焼防止シート6の巻きつけ状態を安定に保持するので、形成された耐火断熱材7aがずれたり崩れたりすることがなく、ケーブル2の延焼防止をより確実なものにできる。
この実施形態の複合型延焼防止シート6は、延焼防止処置区間の端部に使用するのに好適である。
【0020】
またこの実施形態の複合型延焼防止シート6を用いる場合、長手方向において隣合う複合型延焼防止シート6同士の継ぎ目の部分では、一方の複合型延焼防止シート6の熱膨張性耐火材シート7がない方の端縁を内側にし、他方の複合型延焼防止シート6の熱膨張性耐火材シート7がある方の端縁を外側にして重ね合わせるとよい。このようにすると火災時に複合型延焼防止シート6の継ぎ目の部分からも熱気や可燃性ガスが侵入するのを防止でき、より延焼防止効果を高めることができる。
【0021】
〔実施形態2〕
図4(A)(B)は本発明の他の実施形態を示す。この複合型延焼防止シート6は、延焼防止シート3の一方の側縁に沿って熱膨張性耐火材シート7を取り付けたものである。
延焼防止シート3および熱膨張性耐火材シート7の材質、構成並びに延焼防止シート3への熱膨張性耐火材シート7の取り付け方などは実施形態1と同じである。
【0022】
図5(A)(B)は図4の複合型延焼防止シート6の使用状態を示す。この複合型延焼防止シート6を用いて延焼防止処置を施す場合には、複合型延焼防止シート6を、熱膨張性耐火材シート7が延焼防止シート3の他方の側縁の上に載るようにして、ケーブルラック1およびケーブル2を包み込むように巻きつけ、結束バンド4で結束するだけでよい。このようにすると、熱膨張性耐火材シート7が延焼防止シート3の両側縁重ね合わせ部Lの間に介在することになるので、施工後の状態で重ね合わせ部Lに多少の隙間があったとしても、火災により加熱されると、熱膨張性耐火材シート7が急激に熱膨張して図6のような耐火断熱材7aとなって隙間を塞ぐ。したがって延焼防止シート3内のケーブル2の延焼を確実に防止することができる。
この実施形態の複合型延焼防止シート6は、延焼防止処置区間の中間部に使用するのに好適である。
【0023】
〔実施形態3〕
図7(A)(B)は本発明のさらに他の実施形態を示す。この複合型延焼防止シート6は、延焼防止シート3の一方の端縁と一方の側縁に沿って熱膨張性耐火材シート7を取り付けると共に、延焼防止シート3の熱膨張性耐火材シート7の取付け面と反対側の面に、前記一方の端縁に沿って、結束バンドのずれ止めガイド9を設けたものである。
延焼防止シート3および熱膨張性耐火材シート7の材質や構成、延焼防止シート3への熱膨張性耐火材シート7の取り付け方、並びに結束バンドのずれ止めガイド9の設け方などは実施形態1と同じである。
【0024】
図8(A)(B)は図7の複合型延焼防止シート6の使用状態を示す。この複合型延焼防止シート6を用いて延焼防止処置を施す方法は前記実施形態1、2と同じであるが、この複合型延焼防止シート6を用いると、実施形態1と2を合わせた効果、すなわち延焼防止処置区間の端部と中間部の両方で延焼防止効果を得ることができる。またずれ止めガイド9のため結束バンド4の位置がずれないことによる効果も実施形態1と同様である。
この実施形態の複合型延焼防止シート6は、延焼防止処置区間の端部と中間部の両方に使用することができる。
なお延焼防止シート3の3辺あるいは4辺に沿って熱膨張性耐火材シート7を取り付けてもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、布設された可燃性長尺物に複合型延焼防止シートを巻きつけるだけで延焼防止処置を施すことができるので、施工が非常に簡単になると共に、可燃性長尺物の増設や撤去も容易であるという利点がある。また延焼防止シートに結束バンドのずれ止めガイドを設けることにより、複合型延焼防止シートの巻きつけ状態を安定させることができるので、延焼防止効果、施工性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る複合型延焼防止シートの第1の実施形態を示す、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図、(C)は底面図。
【図2】 図1の複合型延焼防止シートで延焼防止処置を施した状態を示す、(A)は横断面図、(B)は(A)のB−B線縦断面図。
【図3】 図2の延焼防止処置構造が火災にあったときの状態を示す横断面図。
【図4】 本発明に係る複合型延焼防止シートの第2の実施形態を示す、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図。
【図5】 図4の複合型延焼防止シートで延焼防止処置を施した状態を示す、(A)は横断面図、(B)は(A)のB−B線縦断面図。
【図6】 図5の延焼防止処置構造が火災にあったときの状態を示す横断面図。
【図7】 本発明に係る複合型延焼防止シートの第3の実施形態を示す、(A)は平面図、(B)は(A)のB−B線断面図。
【図8】 図7の複合型延焼防止シートで延焼防止処置を施した状態を示す、(A)は横断面図、(B)は(A)のB−B線縦断面図。
【図9】 従来の延焼防止シートで延焼防止処置を施したときの問題点を示す、(A)は横断面図、(B)は(A)のB−B線縦断面図。
【図10】 従来の延焼防止シートで延焼防止処置を施したときの端部の状態を示す、(A)は横断面図、(B)は(A)のB−B線縦断面図。
【図11】 従来の延焼防止シートで延焼防止処置を施したときの中間部の状態を示す横断面図。
【符号の説明】
1:ケーブルラック
2:ケーブル
3:延焼防止シート
3a:折り返し部
4:結束バンド
6:複合型延焼防止シート
7:熱膨張性耐火材シート
8:不燃性糸
9:ずれ止めガイド
10:スリット
Claims (2)
- 延焼防止シート(3)の、可燃性長尺物に巻きつけるときに内側になる面の、端縁及び側縁の少なくとも一方に沿って、熱膨張性耐火材シート(7)を取り付け、前記延焼防止シート(3)の熱膨張性耐火材シート(7)取り付け面と反対側の面に、シート結束部材(4)のずれ止めガイド(9)を設けたことを特徴とする複合型延焼防止シート。
- 請求項1記載の複合型延焼防止シートを用いた可燃性長尺物の延焼防止処理方法であって、前記複合型延焼防止シート(6)を、熱膨張性耐火材シート(7)が取り付けられている面を内側にして、可燃性長尺物(2)に巻きつけ、ずれ止めガイド(9)にシート結束部材(4)を通して結束することを特徴とする可燃性長尺物の延焼防止処理方法。
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| JP25725797A JP3676052B2 (ja) | 1997-06-13 | 1997-09-22 | 複合型延焼防止シート及びそれを用いた延焼防止処理方法 |
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|---|---|---|---|
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| JP15713997 | 1997-06-13 | ||
| JP25725797A JP3676052B2 (ja) | 1997-06-13 | 1997-09-22 | 複合型延焼防止シート及びそれを用いた延焼防止処理方法 |
Publications (2)
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| JPH1157050A JPH1157050A (ja) | 1999-03-02 |
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| JP25725797A Expired - Lifetime JP3676052B2 (ja) | 1997-06-13 | 1997-09-22 | 複合型延焼防止シート及びそれを用いた延焼防止処理方法 |
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