JP3678048B2 - 半田プリコート方法および半田プリコート基板 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板の電極に半田プリコートを形成する半田プリコート方法および半田プリコートが施された電極を有する半田プリコート基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品が実装される基板の電極に、予め半田をコーティングする半田プリコート方法として、粘着性付与化合物を用いる方法が知られている(特第2592757号公報参照)。この方法は、主として銅の電極に粘着性付与化合物を反応させて電極の表面に粘着性を付与し、この粘着性を有する電極に半田粉末を付着させた後に、付着した半田を溶融させて電極に半田プリコートを形成するものである。この方法によれば、基板表面のうち電極部分のみに半田を供給して、均一な厚さの半田プリコートを形成できるという特徴を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、基板に形成された多数の電極のうち、特定部分のみに、例えば電子部品の金属バンプなどを接合する特定電極のみに部分的に限定して半田プリコートを形成する、いわゆる部分半田プリコートを行う場合がある。この場合においても半田プリコート方法として、簡便な方法で均一な厚さの半田プリコートが得られる上述の粘着剤付着処理を用いる方法を適用することが望ましい。
【0004】
しかしながら、従来の粘着剤付着処理を用いた半田プリコート方法では、複数の電極のうち所定部分に限定して半田プリコートを形成するためには、予め所定部分以外の電極に保護膜を形成するなどのマスキング処理を基板1枚毎に行う必要があった。このため半田プリコート工程が複雑化してコストアップを招くとともに、本来不要な保護膜が製品に残留して信頼性を損なう可能性があるという問題点があった。
【0005】
ところで本発明者は、粘着性付与化合物について調査・実験を行ったところ、表面の清浄度が高い金膜に対して粘着性付与化合物を反応させても、充分な粘着性が得られないという新たな事実が判明した。そして同じ金膜でも表面に銅やニッケル等の化合物を多く含んだ不純物が多くなるほど、安定した粘着性を付与することができることも確認した。本発明者は、このような粘着性付与化合物の性質を利用すれば、高価なマスキング処理を行うことなく部分半田プリコートを行うことが可能であることに気が付いた。
【0006】
そこで本発明は、簡便な方法で高品質の部分半田プリコートを形成できる半田プリコート方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の半田プリコート方法は、基板に形成され表面に金膜を有する複数の電極のうち、所定の電極のみに選択的に半田プリコートを形成する半田プリコート方法であって、前記所定の電極以外の電極の位置に対応して開口部が設けられたテンプレートで前記基板の表面を覆った状態でドライエッチング処理することにより前記所定の電極以外の金膜の表面をクリーニングする工程と、クリーニング後の電極に粘着性付与化合物を反応させて前記所定の電極の表面に粘着性を付与する工程と、この粘着性を有する電極に半田粉末を付着させる工程と、加熱により前記半田粉末を溶融させて前記所定の電極のみに半田プリコートを形成するようにした。
【0008】
請求項2記載の半田プリコート基板は、表面に金膜を有する複数の電極が形成され、これらの電極のうち所定の電極のみに選択的に半田プリコートがなされた半田プリコート基板であって、前記半田プリコートは、請求項1記載の半田プリコート方法によって形成されたものである。
【0009】
請求項3記載の半田プリコート方法は、基板に形成され表面に金膜を有する複数の電極のうち、所定の電極のみに選択的に半田プリコートを形成する半田プリコート方法であって、前記所定の電極の位置に対応して開口部が設けられたテンプレートで前記基板を覆った状態で成膜処理を施して前記所定の電極の表面に少なくとも銅またはニッケルのいずれかを含む金属被膜を形成する工程と、この電極に粘着性付与化合物を反応させて前記所定の電極の表面に粘着性を付与する工程と、この粘着性を有する電極に半田粉末を付着させる工程と、加熱により前記半田粉末を溶融させて前記所定の電極のみに半田プリコートを形成するようにした。
【0010】
請求項4記載の半田プリコート基板は、表面に金膜を有する複数の電極が形成され、これらの電極のうち所定の電極のみに選択的に半田プリコートがなされた半田プリコート基板であって、前記半田プリコートは、請求項3記載の半田プリコート方法によって形成されたものである。
【0011】
請求項1,2記載の発明によれば、比較的表面の清浄度が低い金膜で覆われた複数の電極のうち、半田プリコートを行わない電極がクリーニングされてその表面の不純物が除去される。粘着性付与化合物は不純物を多く含んだ電極上で反応してこの電極のみに選択的に粘着性を付与する。そして粘着性を有する電極に半田粉末を付着させた後加熱して半田粉末を溶融させて部分半田プリコートを行う。
【0012】
また請求項3,4記載の発明によれば、比較的表面の清浄度が高い金膜で覆われた複数の電極のうち、半田プリコートを行う電極に対して銅またはニッケルのいずれかを含む金属被膜が付着する。付着した金属被膜は酸化物等の化合物を形成する。粘着性付与化合物は、化合物(不純物)を多く含んだ電極のみに選択的に粘着性を付与する。そして粘着性を有する電極に半田粉末を付着させた後加熱して半田粉末を溶融させて部分半田プリコートを行う。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1(a),(b),(c),(d)、図2(a),(b),(c),(d)は本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図である。図1(a),(b),(c),(d)および図2(a),(b),(c),(d)は半田プリコート方法を工程順に示すものである。
【0014】
図1(a)において、基板1の上面には複数の電極2が形成されている。電極2は、銅の電極パターン2a上に置換型無電解金メッキにより薄膜型の金膜2bを形成したものであり、金膜2bにはメッキ工程中で混入した銅やニッケルなどが金膜2bの表面で酸化されて生じる化合物2c(不純物)が形成されている。したがって、この金膜2bの表面の清浄度は低い。これらの複数の電極2のうち、所定の電極である電極2Aは半田プリコートを形成する対象の電極となっている。
【0015】
次に図1(b)に示すように、基板1は、ドライエッチング処理によるクリーニング工程に送られ、プラズマ処理装置4の処理室5内の電極部6上に載置される。処理室5内には基板1の上方に位置するようにテンプレート3が配設されている。図1(c)に示すように、テンプレート3には電極2A以外の電極2の位置および形状に対応して開口部3aが設けられている。したがって、基板1が電極部6上に載置され位置決めされた状態では、電極2Aはテンプレート3によって上方を覆われており、他の電極2は開口部3aを介して上方に露呈されている。
【0016】
プラズマ処理部8によって処理室5内の真空排気およびプラズマ発生用ガス供給を行った後、電源部7を駆動して電極部6に高周波電圧を印加する。これにより処理室5内にはプラズマが発生し、この結果発生したイオンや電子が基板1の上面に衝突する。この結果図1(d)に示すように、基板1のうち上面が開口部3aによって露呈した電極2の上面は、イオンや電子の衝突によりクリーニングされ、金膜2bの表面に形成されていた化合物2cは除去される。これに対し、テンプレート3によって上方を覆われていた電極2Aについては、ドライエッチング処理によるクリーニング作用が及ばず、金膜2bの表面の化合物2cは残留したままとなっている。
【0017】
次に、ドライエッチング処理によるクリーニングが行われた基板1に対して、粘着性付与処理が行われる。この処理は、粘着性付与化合物の溶液を基板1上に塗布するか、あるいはこの溶液中に基板1を浸漬することにより、電極表面に粘着性物質を生成させるものである。ここで用いられる粘着性付与化合物は、銅やニッケル成分を含む金属被膜の表面では反応し易いのに対し、表面の清浄度が高い金膜の表面では反応しにくいという特性を有している。なお、粘着性付与化合物としては、登録特許公報第2592757号に開示されているものが知られている。
【0018】
このため、前述のプラズマ処理後の基板1に対してこの粘着性付与処理を行うことにより、図2(a)に示すように基板1上の電極2のうち、銅やニッケルを含む化合物2cを有する電極2Aのみに選択的に粘着性を付与させることができる。次いで基板1に付着する粘着性付与化合物を洗浄・除去して乾燥させた後、基板1上面に半田粉末10を散布することにより、図2(b)に示すように粘着性を有する電極2Aには半田粉末が付着する。この後、余分な半田粉末を払い落とすことにより、電極2Aのみに半田粉末を付着させることができる。
【0019】
この後、基板1はリフロー工程に送られ、ここで必要に応じてフラックスを供給した後、図2(c)に示すように半田の融点温度以上に加熱され、電極2Aに付着した半田粉末10が溶融する。これにより、電極2Aには溶融半田が溶着し、半田プリコート10’が形成され、所定の電極2Aのみに選択的に半田プリコートがなされた半田プリコート基板が完成する。
【0020】
なお図1(a)に示す金膜2bが形成された電極2を有する基板1について、ドライエッチング処理を行う前に予め熱処理を行うことが望ましい。これにより、金膜2bの表面付近の銅やニッケルなどの不純物は熱処理過程において金膜2bの表面に析出して大気に触れることにより酸化し、化合物2cの形成が促進されるとともに、化合物2cより深い部分の金膜2bはより純度の高い金を含有する金層となる。
【0021】
したがって、プラズマ処理によるクリーニング後には、銅やニッケル等の化合物2cが残留している電極2Aと、化合物2cが除去されてより純度の高い金層が露呈した他の電極2との表面組成(清浄度)の相違のコントラストがより明瞭となる。したがって、粘着性付与処理において所定電極のみに限定して粘着性を付与する選択性をより確実にすることが可能となる。
【0022】
また、本方法によって製作された基板は、半田プリコートの厚みのばらつきが少ないという長所に加え、半田プリコートされていない電極に対してもプラズマクリーニングにより表面の清浄度及び金膜の純度が高められているので、その後のアセンブリ工程での半田付け性やボンディング性に優れ、不良を発生させにくいという長所を有する。さらに置換型無電解金メッキを使用しているので、製造コストがさらに低くできるという長所を有する。
【0023】
(実施の形態2)
図3(a),(b),(c)、図4(a),(b),(c),(d)は本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図である。図3(a),(b),(c)、図4(a),(b),(c),(d)は半田プリコート方法を工程順に示したものである。
【0024】
図3(a)において、基板11の上面には複数の電極12が形成されている。電極12は銅の電極パターン12a上に厚付金メッキ、例えば電解金メッキや還元型無電解金メッキなどの方法により厚膜型の金膜12bを形成したものである。これら圧膜型の金メッキは、前述の置換型無電解金メッキに比べて表面の清浄度が高く、粘着性付与化合物を反応させても粘着性物質を生成することができない。これらの複数の電極12のうち、所定の電極である電極12Aは、半田プリコートを形成する対象の電極となっている。
【0025】
次に基板11は、成膜工程に送られる。図3(b)に示すように、基板11は上方にテンプレート13を配置した状態でスパッタリング処理が行われる。テンプレート13には、電極12Aの位置および形状に対応して開口部13aが設けられている。したがって、基板11がテンプレート13に対して位置決めされた状態では、電極12Aのみが開口部13aを介して上方に露呈した状態となっており、他の電極12はテンプレート13によって上方を覆われている。
【0026】
スパッタリング処理においては、図3(b)に示すように真空雰囲気中で銅やニッケルなどを含む金属粒子14を基板11の上面に対して衝突させることにより、衝突面に少なくとも銅またはニッケルのいずれかを含む金属被膜を形成する。これにより、図3(c)に示すように開口部13aによって上方に露呈した電極12Aのみの金膜12bの表面に、銅やニッケルを含む金属被膜が形成される。これらの金属被膜は、空気中の酸素等と反応することにより酸化膜等の化合物12cとなる。なお金属被膜を形成する成膜処理としては、スパッタリング処理以外に、蒸着処理やイオンプレーティング処理等の真空成膜処理の他、金属溶射など大気中で行う成膜処理を用いることができる。
【0027】
次に、スパッタリング処理が行われた基板11に対して、粘着性付与処理が行われる。この処理は、粘着性付与化合物の溶液を基板11上に塗布するか、あるいはこの溶液中に基板11を浸漬することにより、電極表面に粘着性物質を生成させるものである。ここで用いられる粘着性付与化合物は、銅やニッケル成分を含む金属被膜の表面では反応し易いのに対し、純度が高い金膜の表面では反応しにくいという特性を有している。なお、粘着性付与化合物としては、登録特許公報第2592757号に開示されているものが知られている。
【0028】
このため、前述のプラズマ処理後の基板11に対してこの粘着剤付着処理を行うことにより、図4(a)に示すように基板11上の電極12のうち、銅やニッケルを含む化合物12cを有する電極12Aのみに選択的に粘着性を付与させることができる。次いで基板11に付着する粘着性付与化合物を洗浄・除去して乾燥させた後、基板11上面に半田粉末10を散布することにより、図4(b)に示すように粘着性を有する電極12Aには半田粉末が付着する。この後、余分な半田粉末を払い落とすことにより、電極12Aのみに半田粉末を付着させることができる。
【0029】
この後、基板11はリフロー工程に送られ、ここで必要に応じてフラックスを供給した後、図4(c)に示すように半田の融点温度以上に加熱され、電極12Aに付着した半田粉末10が溶融する。これにより、電極12Aには溶融半田が溶着し、半田プリコート10’が形成され、所定の電極12Aのみに選択的に半田プリコートがなされた半田プリコート基板が完成する。
【0030】
上記説明したように、本実施の形態1,2は、金メッキ処理された電極を対象として粘着剤付着処理によって電極に半田プリコートを行う際に、所定の電極のみを対象として選択的に半田プリコートを可能とするものである。すなわち従来方法で選択的に部分プリコートを行う場合に必要とされた基板1に対するマスキング処理を行うことなく、金メッキのタイプに応じてプラズマ処理あるいはスパッタリング処理を行うことにより、金膜上に選択的に粘着性を付与することができる。これにより、簡便な方法で粘着性付与処理による半田プリコート方法の利点を生かした高品質な部分半田プリコートを形成することができる。
【0031】
また本方法によって製作された基板は、半田プリコートの厚みのばらつきが少ないという長所に加え、半田プリコートされていない電極は清浄度の高い金メッキに覆われているので、その後のその後のアセンブリ工程での半田付け性やボンディング性に優れ、不良を発生させにくいという長所を有する。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、基板毎にマスキング処理を行う工程が不要にできるので、部分半田プリコートを簡便かつ低コストで実現できる。さらには、アセンブリ工程で不良を発生させにくい部分半田プリコートを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
(b)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
(c)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
(d)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
【図2】(a)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
(b)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
(c)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
(d)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
【図3】(a)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
(b)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
(c)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
【図4】(a)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
(b)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
(c)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
(d)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
【符号の説明】
1、11 基板
2、2A、12、12A 電極
2a、12a 電極パターン
2b、12b 金膜
2c 化合物
3、13 テンプレート
3a、13a 開口部
4 プラズマ処理装置
10 半田粉末
10’ 半田プリコート
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板の電極に半田プリコートを形成する半田プリコート方法および半田プリコートが施された電極を有する半田プリコート基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品が実装される基板の電極に、予め半田をコーティングする半田プリコート方法として、粘着性付与化合物を用いる方法が知られている(特第2592757号公報参照)。この方法は、主として銅の電極に粘着性付与化合物を反応させて電極の表面に粘着性を付与し、この粘着性を有する電極に半田粉末を付着させた後に、付着した半田を溶融させて電極に半田プリコートを形成するものである。この方法によれば、基板表面のうち電極部分のみに半田を供給して、均一な厚さの半田プリコートを形成できるという特徴を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、基板に形成された多数の電極のうち、特定部分のみに、例えば電子部品の金属バンプなどを接合する特定電極のみに部分的に限定して半田プリコートを形成する、いわゆる部分半田プリコートを行う場合がある。この場合においても半田プリコート方法として、簡便な方法で均一な厚さの半田プリコートが得られる上述の粘着剤付着処理を用いる方法を適用することが望ましい。
【0004】
しかしながら、従来の粘着剤付着処理を用いた半田プリコート方法では、複数の電極のうち所定部分に限定して半田プリコートを形成するためには、予め所定部分以外の電極に保護膜を形成するなどのマスキング処理を基板1枚毎に行う必要があった。このため半田プリコート工程が複雑化してコストアップを招くとともに、本来不要な保護膜が製品に残留して信頼性を損なう可能性があるという問題点があった。
【0005】
ところで本発明者は、粘着性付与化合物について調査・実験を行ったところ、表面の清浄度が高い金膜に対して粘着性付与化合物を反応させても、充分な粘着性が得られないという新たな事実が判明した。そして同じ金膜でも表面に銅やニッケル等の化合物を多く含んだ不純物が多くなるほど、安定した粘着性を付与することができることも確認した。本発明者は、このような粘着性付与化合物の性質を利用すれば、高価なマスキング処理を行うことなく部分半田プリコートを行うことが可能であることに気が付いた。
【0006】
そこで本発明は、簡便な方法で高品質の部分半田プリコートを形成できる半田プリコート方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の半田プリコート方法は、基板に形成され表面に金膜を有する複数の電極のうち、所定の電極のみに選択的に半田プリコートを形成する半田プリコート方法であって、前記所定の電極以外の電極の位置に対応して開口部が設けられたテンプレートで前記基板の表面を覆った状態でドライエッチング処理することにより前記所定の電極以外の金膜の表面をクリーニングする工程と、クリーニング後の電極に粘着性付与化合物を反応させて前記所定の電極の表面に粘着性を付与する工程と、この粘着性を有する電極に半田粉末を付着させる工程と、加熱により前記半田粉末を溶融させて前記所定の電極のみに半田プリコートを形成するようにした。
【0008】
請求項2記載の半田プリコート基板は、表面に金膜を有する複数の電極が形成され、これらの電極のうち所定の電極のみに選択的に半田プリコートがなされた半田プリコート基板であって、前記半田プリコートは、請求項1記載の半田プリコート方法によって形成されたものである。
【0009】
請求項3記載の半田プリコート方法は、基板に形成され表面に金膜を有する複数の電極のうち、所定の電極のみに選択的に半田プリコートを形成する半田プリコート方法であって、前記所定の電極の位置に対応して開口部が設けられたテンプレートで前記基板を覆った状態で成膜処理を施して前記所定の電極の表面に少なくとも銅またはニッケルのいずれかを含む金属被膜を形成する工程と、この電極に粘着性付与化合物を反応させて前記所定の電極の表面に粘着性を付与する工程と、この粘着性を有する電極に半田粉末を付着させる工程と、加熱により前記半田粉末を溶融させて前記所定の電極のみに半田プリコートを形成するようにした。
【0010】
請求項4記載の半田プリコート基板は、表面に金膜を有する複数の電極が形成され、これらの電極のうち所定の電極のみに選択的に半田プリコートがなされた半田プリコート基板であって、前記半田プリコートは、請求項3記載の半田プリコート方法によって形成されたものである。
【0011】
請求項1,2記載の発明によれば、比較的表面の清浄度が低い金膜で覆われた複数の電極のうち、半田プリコートを行わない電極がクリーニングされてその表面の不純物が除去される。粘着性付与化合物は不純物を多く含んだ電極上で反応してこの電極のみに選択的に粘着性を付与する。そして粘着性を有する電極に半田粉末を付着させた後加熱して半田粉末を溶融させて部分半田プリコートを行う。
【0012】
また請求項3,4記載の発明によれば、比較的表面の清浄度が高い金膜で覆われた複数の電極のうち、半田プリコートを行う電極に対して銅またはニッケルのいずれかを含む金属被膜が付着する。付着した金属被膜は酸化物等の化合物を形成する。粘着性付与化合物は、化合物(不純物)を多く含んだ電極のみに選択的に粘着性を付与する。そして粘着性を有する電極に半田粉末を付着させた後加熱して半田粉末を溶融させて部分半田プリコートを行う。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1(a),(b),(c),(d)、図2(a),(b),(c),(d)は本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図である。図1(a),(b),(c),(d)および図2(a),(b),(c),(d)は半田プリコート方法を工程順に示すものである。
【0014】
図1(a)において、基板1の上面には複数の電極2が形成されている。電極2は、銅の電極パターン2a上に置換型無電解金メッキにより薄膜型の金膜2bを形成したものであり、金膜2bにはメッキ工程中で混入した銅やニッケルなどが金膜2bの表面で酸化されて生じる化合物2c(不純物)が形成されている。したがって、この金膜2bの表面の清浄度は低い。これらの複数の電極2のうち、所定の電極である電極2Aは半田プリコートを形成する対象の電極となっている。
【0015】
次に図1(b)に示すように、基板1は、ドライエッチング処理によるクリーニング工程に送られ、プラズマ処理装置4の処理室5内の電極部6上に載置される。処理室5内には基板1の上方に位置するようにテンプレート3が配設されている。図1(c)に示すように、テンプレート3には電極2A以外の電極2の位置および形状に対応して開口部3aが設けられている。したがって、基板1が電極部6上に載置され位置決めされた状態では、電極2Aはテンプレート3によって上方を覆われており、他の電極2は開口部3aを介して上方に露呈されている。
【0016】
プラズマ処理部8によって処理室5内の真空排気およびプラズマ発生用ガス供給を行った後、電源部7を駆動して電極部6に高周波電圧を印加する。これにより処理室5内にはプラズマが発生し、この結果発生したイオンや電子が基板1の上面に衝突する。この結果図1(d)に示すように、基板1のうち上面が開口部3aによって露呈した電極2の上面は、イオンや電子の衝突によりクリーニングされ、金膜2bの表面に形成されていた化合物2cは除去される。これに対し、テンプレート3によって上方を覆われていた電極2Aについては、ドライエッチング処理によるクリーニング作用が及ばず、金膜2bの表面の化合物2cは残留したままとなっている。
【0017】
次に、ドライエッチング処理によるクリーニングが行われた基板1に対して、粘着性付与処理が行われる。この処理は、粘着性付与化合物の溶液を基板1上に塗布するか、あるいはこの溶液中に基板1を浸漬することにより、電極表面に粘着性物質を生成させるものである。ここで用いられる粘着性付与化合物は、銅やニッケル成分を含む金属被膜の表面では反応し易いのに対し、表面の清浄度が高い金膜の表面では反応しにくいという特性を有している。なお、粘着性付与化合物としては、登録特許公報第2592757号に開示されているものが知られている。
【0018】
このため、前述のプラズマ処理後の基板1に対してこの粘着性付与処理を行うことにより、図2(a)に示すように基板1上の電極2のうち、銅やニッケルを含む化合物2cを有する電極2Aのみに選択的に粘着性を付与させることができる。次いで基板1に付着する粘着性付与化合物を洗浄・除去して乾燥させた後、基板1上面に半田粉末10を散布することにより、図2(b)に示すように粘着性を有する電極2Aには半田粉末が付着する。この後、余分な半田粉末を払い落とすことにより、電極2Aのみに半田粉末を付着させることができる。
【0019】
この後、基板1はリフロー工程に送られ、ここで必要に応じてフラックスを供給した後、図2(c)に示すように半田の融点温度以上に加熱され、電極2Aに付着した半田粉末10が溶融する。これにより、電極2Aには溶融半田が溶着し、半田プリコート10’が形成され、所定の電極2Aのみに選択的に半田プリコートがなされた半田プリコート基板が完成する。
【0020】
なお図1(a)に示す金膜2bが形成された電極2を有する基板1について、ドライエッチング処理を行う前に予め熱処理を行うことが望ましい。これにより、金膜2bの表面付近の銅やニッケルなどの不純物は熱処理過程において金膜2bの表面に析出して大気に触れることにより酸化し、化合物2cの形成が促進されるとともに、化合物2cより深い部分の金膜2bはより純度の高い金を含有する金層となる。
【0021】
したがって、プラズマ処理によるクリーニング後には、銅やニッケル等の化合物2cが残留している電極2Aと、化合物2cが除去されてより純度の高い金層が露呈した他の電極2との表面組成(清浄度)の相違のコントラストがより明瞭となる。したがって、粘着性付与処理において所定電極のみに限定して粘着性を付与する選択性をより確実にすることが可能となる。
【0022】
また、本方法によって製作された基板は、半田プリコートの厚みのばらつきが少ないという長所に加え、半田プリコートされていない電極に対してもプラズマクリーニングにより表面の清浄度及び金膜の純度が高められているので、その後のアセンブリ工程での半田付け性やボンディング性に優れ、不良を発生させにくいという長所を有する。さらに置換型無電解金メッキを使用しているので、製造コストがさらに低くできるという長所を有する。
【0023】
(実施の形態2)
図3(a),(b),(c)、図4(a),(b),(c),(d)は本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図である。図3(a),(b),(c)、図4(a),(b),(c),(d)は半田プリコート方法を工程順に示したものである。
【0024】
図3(a)において、基板11の上面には複数の電極12が形成されている。電極12は銅の電極パターン12a上に厚付金メッキ、例えば電解金メッキや還元型無電解金メッキなどの方法により厚膜型の金膜12bを形成したものである。これら圧膜型の金メッキは、前述の置換型無電解金メッキに比べて表面の清浄度が高く、粘着性付与化合物を反応させても粘着性物質を生成することができない。これらの複数の電極12のうち、所定の電極である電極12Aは、半田プリコートを形成する対象の電極となっている。
【0025】
次に基板11は、成膜工程に送られる。図3(b)に示すように、基板11は上方にテンプレート13を配置した状態でスパッタリング処理が行われる。テンプレート13には、電極12Aの位置および形状に対応して開口部13aが設けられている。したがって、基板11がテンプレート13に対して位置決めされた状態では、電極12Aのみが開口部13aを介して上方に露呈した状態となっており、他の電極12はテンプレート13によって上方を覆われている。
【0026】
スパッタリング処理においては、図3(b)に示すように真空雰囲気中で銅やニッケルなどを含む金属粒子14を基板11の上面に対して衝突させることにより、衝突面に少なくとも銅またはニッケルのいずれかを含む金属被膜を形成する。これにより、図3(c)に示すように開口部13aによって上方に露呈した電極12Aのみの金膜12bの表面に、銅やニッケルを含む金属被膜が形成される。これらの金属被膜は、空気中の酸素等と反応することにより酸化膜等の化合物12cとなる。なお金属被膜を形成する成膜処理としては、スパッタリング処理以外に、蒸着処理やイオンプレーティング処理等の真空成膜処理の他、金属溶射など大気中で行う成膜処理を用いることができる。
【0027】
次に、スパッタリング処理が行われた基板11に対して、粘着性付与処理が行われる。この処理は、粘着性付与化合物の溶液を基板11上に塗布するか、あるいはこの溶液中に基板11を浸漬することにより、電極表面に粘着性物質を生成させるものである。ここで用いられる粘着性付与化合物は、銅やニッケル成分を含む金属被膜の表面では反応し易いのに対し、純度が高い金膜の表面では反応しにくいという特性を有している。なお、粘着性付与化合物としては、登録特許公報第2592757号に開示されているものが知られている。
【0028】
このため、前述のプラズマ処理後の基板11に対してこの粘着剤付着処理を行うことにより、図4(a)に示すように基板11上の電極12のうち、銅やニッケルを含む化合物12cを有する電極12Aのみに選択的に粘着性を付与させることができる。次いで基板11に付着する粘着性付与化合物を洗浄・除去して乾燥させた後、基板11上面に半田粉末10を散布することにより、図4(b)に示すように粘着性を有する電極12Aには半田粉末が付着する。この後、余分な半田粉末を払い落とすことにより、電極12Aのみに半田粉末を付着させることができる。
【0029】
この後、基板11はリフロー工程に送られ、ここで必要に応じてフラックスを供給した後、図4(c)に示すように半田の融点温度以上に加熱され、電極12Aに付着した半田粉末10が溶融する。これにより、電極12Aには溶融半田が溶着し、半田プリコート10’が形成され、所定の電極12Aのみに選択的に半田プリコートがなされた半田プリコート基板が完成する。
【0030】
上記説明したように、本実施の形態1,2は、金メッキ処理された電極を対象として粘着剤付着処理によって電極に半田プリコートを行う際に、所定の電極のみを対象として選択的に半田プリコートを可能とするものである。すなわち従来方法で選択的に部分プリコートを行う場合に必要とされた基板1に対するマスキング処理を行うことなく、金メッキのタイプに応じてプラズマ処理あるいはスパッタリング処理を行うことにより、金膜上に選択的に粘着性を付与することができる。これにより、簡便な方法で粘着性付与処理による半田プリコート方法の利点を生かした高品質な部分半田プリコートを形成することができる。
【0031】
また本方法によって製作された基板は、半田プリコートの厚みのばらつきが少ないという長所に加え、半田プリコートされていない電極は清浄度の高い金メッキに覆われているので、その後のその後のアセンブリ工程での半田付け性やボンディング性に優れ、不良を発生させにくいという長所を有する。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、基板毎にマスキング処理を行う工程が不要にできるので、部分半田プリコートを簡便かつ低コストで実現できる。さらには、アセンブリ工程で不良を発生させにくい部分半田プリコートを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
(b)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
(c)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
(d)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
【図2】(a)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
(b)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
(c)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
(d)本発明の実施の形態1の半田プリコート方法の工程説明図
【図3】(a)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
(b)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
(c)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
【図4】(a)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
(b)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
(c)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
(d)本発明の実施の形態2の半田プリコート方法の工程説明図
【符号の説明】
1、11 基板
2、2A、12、12A 電極
2a、12a 電極パターン
2b、12b 金膜
2c 化合物
3、13 テンプレート
3a、13a 開口部
4 プラズマ処理装置
10 半田粉末
10’ 半田プリコート
Claims (4)
- 基板に形成され表面に金膜を有する複数の電極のうち、所定の電極のみに選択的に半田プリコートを形成する半田プリコート方法であって、前記所定の電極以外の電極の位置に対応して開口部が設けられたテンプレートで前記基板の表面を覆った状態でドライエッチング処理することにより前記所定の電極以外の金膜の表面をクリーニングする工程と、クリーニング後の電極に粘着性付与化合物を反応させて前記所定の電極の表面に粘着性を付与する工程と、この粘着性を有する電極に半田粉末を付着させる工程と、加熱により前記半田粉末を溶融させて前記所定の電極のみに半田プリコートを形成することを特徴とする半田プリコート方法。
- 表面に金膜を有する複数の電極が形成され、これらの電極のうち所定の電極のみに選択的に半田プリコートがなされた半田プリコート基板であって、前記半田プリコートは、請求項1記載の半田プリコート方法によって形成されたものであることを特徴とする半田プリコート基板。
- 基板に形成され表面に金膜を有する複数の電極のうち、所定の電極のみに選択的に半田プリコートを形成する半田プリコート方法であって、前記所定の電極の位置に対応して開口部が設けられたテンプレートで前記基板を覆った状態で成膜処理を施して前記所定の電極の表面に少なくとも銅またはニッケルのいずれかを含む金属被膜を形成する工程と、この電極に粘着性付与化合物を反応させて前記所定の電極の表面に粘着性を付与する工程と、この粘着性を有する電極に半田粉末を付着させる工程と、加熱により前記半田粉末を溶融させて前記所定の電極のみに半田プリコートを形成することを特徴とする半田プリコート方法。
- 表面に金膜を有する複数の電極が形成され、これらの電極のうち所定の電極のみに選択的に半田プリコートがなされた半田プリコート基板であって、前記半田プリコートは、請求項3記載の半田プリコート方法によって形成されたものであることを特徴とする半田プリコート基板。
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