JP3687618B2 - 糸条巻取機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動ワインダなどの糸条巻取機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動ワインダーなどの糸条巻取装置において、効率向上や小型化の観点から巻取パッケージを回転駆動するための巻取ドラムの駆動源として、DCブラシレスモータが使用されている。また、現状の糸条巻取装置では、回転数に比例したパルス数の検出信号を発生するドラムパルスや磁極位置検出センサといった回転検出器を使用し、その検出信号の周期、いわゆるパルス間の時間間隔に基づいて巻取ドラムの回転速度を算出している。このような糸条巻取装置においては、巻取中に糸欠点を検出して糸を切断した場合、あるいは糸継をするための上糸を送り出すために巻取ドラムを所定量だけ逆転する場合など、巻取ドラムを減速停止させる。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】
しかし、巻取ドラムの停止直前の最終段階では、パルス間の周期が非常に長くなり、正確な回転速度を認識できず、永久磁石で構成されているロータに作用する磁力によって、モータ(巻取ドラム)が振動してしまうという問題があった。すなわち、ロータに作用するブレーキ力が強いと、停止直前に振動するという問題があり、一方で、その振動を抑えるためにブレーキ力を弱くすると、停止するまでの時間が長くなるという問題があった。
【0004】
また、このような振動が発生すると、回転中の巻取ドラムを減速停止させる際、糸継動作との関連により、糸弛みによるビリが発生したり、糸緊張による糸切れが発生したりすることがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、巻取ドラムを減速停止制御する際、停止直前の最終段階での振動を確実に防止し、減速を開始してから所定時間経過後に、確実に停止状態とすることができる糸条巻取機を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1に記載の糸条巻取機は、巻取ドラムと、該巻取ドラムを回転駆動させる直流ブラシレスモータと、該直流ブラシレスモータの回転を制御するモータ制御装置とを備え、前記モータ制御装置は、回転速度を算出する回転速度検出手段と、前記巻取ドラムの減速中において、前記回転速度検出手段の算出結果に基づいて、前記直流ブラシレスモータの回転速度が予め設定されたブレーキ開始速度に達したと判定するとブレーキ制御を開始するブレーキ制御手段とを備え、前記ブレーキ制御手段は、前記ブレーキ制御において、前記直流ブラシレスモータに対する出力量を次第に減少させる制御を、前記直流ブラシレスモータが停止するまで間に繰り返して行うことを特徴とする。
【0007】
この請求項1の構成によると、直流ブラシレスモータが停止するまで、繰り返し直流ブラシレスモータに対する出力量を次第に減少させるため、停止直前において、回転速度の減少に伴って直流ブラシレスモータに対する出力量(ロータに作用する磁力の大きさ)が減少する。従って、振動を発生することなく、直流ブラシレスモータ(巻取ドラム)を停止させることができる。
【0008】
請求項2に記載の糸条巻取機は、請求項1に記載の糸条巻取機であって、前記ブレーキ制御手段は、直流ブラシレスモータのロータ位置を検出するロータ位置検出手段を更に備えるとともに、前記ブレーキ制御手段は、初期出力値を記憶する初期出力値記憶手段と、出力減少量を記憶する出力減少量記憶手段とを備え、前記ロータ位置検出手段の検出結果に基づいて、前記ロータが所定角度領域分回転したことを判定し、前記ブレーキ制御において、前記直流ブラシレスモータに対する出力量を前記初期出力値から前記出力減少量ずつ次第に減少させる制御を、前記ロータが所定角度領域分回転する毎に繰り返し行うことを特徴とする。
【0009】
この請求項2の構成によると、ロータの位置が次の角度領域に到達する毎に、直流ブラシレスモータに対する出力量を初期出力値に戻し、その後、ロータの位置が更に次の角度領域に達するまで、出力量を初期出力値から出力減少量ずつ次第に減少させるため、回転速度が遅くなるに伴って直流ブラシレスモータに対する出力量の減少量が大きくなる。従って、ロータに作用する磁力が次第に減少し、停止直前の最終段階での振動を確実に防止することができる。
【0010】
請求項3に記載の糸条巻取機は、請求項2に記載の糸条巻取機であって、前記初期出力値、前記出力減少量または前記ブレーキ開始速度のうち少なくとも1つを、パラメータとして設定変更可能とする入力手段を備えることを特徴とする。
【0011】
この請求項3の構成によると、初期出力値、出力減少量またはブレーキ開始速度のうち少なくとも1つを、パラメータとして入力することを可能とするため、ブレーキ制御の形態を、負荷の大きさなどの条件に応じて適切なものに設定することができる。
【0012】
請求項4に記載の糸条巻取機は、請求項2または3に記載の糸条巻取機であって、前記ブレーキ制御手段は、ブレーキ制御中に前記直流ブラシレスモータの逆転発生を検出する逆転発生検出手段を備え、前記逆転発生検出手段により逆転発生が検出された場合に、前記初期出力量を減少させることを特徴とする。
【0013】
この請求項4の構成によると、ブレーキ制御中に逆転発生を検出するため、直流ブラシレスモータの跳ね返りにより逆転が発生した際には、ロータに作用する磁力の大きさをより減少することができる。従って、停止直前の振動をより確実に防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明における自動ワインダー(糸条巻取機)について説明する。
【0015】
まず、自動ワインダー(糸条巻取機)のユニットの構成を、図1により説明する。図1は、自動ワインダーのユニットの機器構成を示す正面図である。
【0016】
図1に示すように、自動ワインダー1のユニットは、一または多数の給糸ボビン(紡績糸ボビン)Eから解舒される紡績糸YをトラバースしながらボビンBfに巻き返して、定長巻きでコーン状の巻取パッケージPとするものである。このような自動ワインダー1のユニットが複数並設されて一台の自動ワインダーが構成されている。
【0017】
この自動ワインダー1のユニットは、ボビンBfを把持するクレードル2と、紡績糸Yをトラバースする綾振りドラム(巻取ドラム)3とを備えている。
【0018】
クレードル2は、綾振りドラム3に向けて又はその逆に旋回し、それによってボビンBf(巻取パッケージP)が綾振りドラム3に接触又は離反される。
【0019】
綾振りドラム3は、サイドフレーム4上に設けられ、その表面には、紡績糸Yをトラバースさせる螺旋状の綾振り溝3aが形成されている。綾振りドラム3は直流ブラシレスモータ30により回転駆動される。即ち、綾振りドラム3の回転により、糸Yは綾振り溝3aに係合しながら巻取パッケージPの軸方向に往復動させられる。
【0020】
綾振りドラム3の回転速度は、回転検出器3bで発生したドラムパルスが後述するモータ制御装置20に入力されることで検出される。ドラムパルスは、綾振りドラム3の回転速度に応じた周波数のパルス信号である。この綾振りドラム3は紡績糸Yの巻取中には摩擦接触により巻取パッケージPを回転させる。この綾振りドラム3はカップリングを介して直流ブラシレスモータ30に連結されるか、プーリとベルトを介して直流ブラシレスモータ30に接続される。また、綾振りドラム3の駆動軸と直流ブラシレスモータ30の駆動軸とを共通にし、直流ブラシレスモータ30を綾振りドラム3に直結するようにしても良い。
【0021】
この自動ワインダー1のユニットは、給糸ボビンEと綾振りドラム3との間の糸走行経路中に給糸ボビンE側から、テンサ5(テンション付与装置)、糸継ぎ装置7及びスラブキャッチャ(糸太さ検出器)6が配置されている。テンサ5は、走行する紡績糸Yに対して所定の張力を与えるものである。スラブキャッチャ6は、紡績糸Yの太さ欠陥を検出するためのもので、紡績糸Yを切断する機能を備えている。このスラブキャッチャ6の上方にはトラバース支点となる綾振り支点ガイド8が設けられている。糸継ぎ装置7は、糸欠陥検出からの糸切断時又は巻き返し中の糸切れ発生時に巻取パッケージP側の糸端と給糸ボビンE側の糸端とを糸継ぎするものである。
【0022】
また、自動ワインダー1のユニットは、サイドフレーム4に旋回自在に軸支された下糸捕捉案内手段としての中継パイプ9と、サイドフレーム4に旋回自在に軸支された上糸捕捉案内手段としてのサクションマウス10を有している。中継パイプ9は、糸欠陥検出後の糸切断又は糸切れ検出後に、給糸ボビンE側の糸端を吸引・捕捉して糸継ぎ装置7に導入するものである。サクションマウス10は、糸欠陥検出後の糸切断又は糸切れ検出後に、巻取パッケージP側の糸端を吸引・捕捉して糸継ぎ装置7に導入するものである。走行中の紡績糸Yにあるスラブなどの糸欠点がスラブキャッチャ6で検出されると、スラブキャッチャ6内部あるいはその近傍に設けられているカッタが作動して走行中の紡績糸Yを切断し、巻取りが停止された後、糸継ぎ動作が行われる。
【0023】
糸継ぎ時には、サクションマウス10(上糸捕捉案内手段)を図示の位置から巻取パッケージPに向けて移動(旋回)させた状態で綾振りドラム3(巻取ドラム)を逆転させることにより、巻取パッケージPの糸をサクションマウス10(上糸捕捉案内手段)に捕捉し、その後、サクションマウス10(上糸捕捉案内手段)を図示の位置まで移動(旋回)させて糸継ぎ装置7まで糸を引き出す。同時に、図示の位置から下向きに移動(旋回)させることにより、給糸ボビンEの糸を中継パイプ9(下糸捕捉案内手段)に捕捉し、その後、中継パイプ9(下糸捕捉案内手段)を図示の位置まで移動(旋回)させて糸継ぎ装置7まで糸を引き出す。その後、糸継ぎ装置7において、上糸と下糸とを旋回空気流を用いて糸継ぎする。具体的には、綾振りドラム3(巻取ドラム)の逆転量が所定量に達すると、その逆転を停止すると略同時に引き出した糸を糸継ぎ装置7内で把持し、旋回空気流を噴射して糸継ぎを行う。糸継ぎ装置7で、上糸と下糸とを糸継ぎした後、巻取が再開される。以上の糸継ぎ時には、糸欠陥を検出し、糸切断をした後、及び、上糸を捕捉する時に、綾振りドラム3を所定量逆回転させた後に、綾振りドラム3の停止制御が行われる。
【0024】
次に、自動ワインダー(糸条巻取機)におけるモータ制御装置20の構成を、図2乃至図7により説明する。図2は、ドラム駆動用の直流ブラシレスモータを制御するモータ制御装置の概略構成を示すブロック図である。図3は、直流ブラシレスモータとパワー回路(スイッチング回路)との構成を示すブロック図である。図4は、巻取ドラムを停止させる際の速度パターンを示すグラフである。図5は、ブレーキ制御中の磁極位置検出センサの出力信号(ロータ位置検出信号)とスイッチングの励磁パターンとの関係を示した図である。図6は、ブレーキ制御中のスイッチング素子のPWM制御、磁極位置検出センサの出力信号(ロータ位置検出信号)及びPWM制御における出力量(デューティ量)の関係を示した図である。
【0025】
モータ制御装置20は、ドラム駆動用の直流ブラシレスモータ30を制御するものである。図2に示すように、モータ制御装置20は、回転検出器3bと、磁極位置検出センサ(ホールセンサ)29と、直流ブラシレスモータ30とに接続されている。また、直流ブラシレスモータ30は、モータ制御装置20にあるパワー回路(スイッチング回路)26に接続されている。
【0026】
直流ブラシレスモータ30は、図3に示すように、永久磁石よりなるロータ(回転子)30aと、電機子巻線よりなるステータコイル(固定子)30bとを備えている。また、直流ブラシレスモータ30は、ロータの位置検出用の磁極位置検出センサ(ロータ位置検出手段)29を有している。また、直流ブラシレスモータ30のトルクはモータ電流に略比例する。
【0027】
磁極位置検出センサ(ホールセンサ)29は、波形切り替えのタイミング及び後述する出力量切りかえのタイミングを検出するためのものであり、直流ブラシレスモータ30回転中は、ロータの磁極に反応して、ロータの回転速度に応じた周波数のロータ位置検出信号を出力する。4極の直流ブラシレスモータ30の場合、一回転で2パルス出力する。磁極位置検出センサ29から出力されたロータ位置検出信号は、後述するモータ制御装置20の出力部(駆動回路)25及び速度制御部23に入力される。
【0028】
回転検出器(ドラム回転センサ)3bは、綾振りドラム3又は直流ブラシレスモータ30のロータの回転軸に設けられた磁気式又は光学式のロータリエンコーダであり、回転軸の一回転で数十パルスのドラムパルスを出力する。回転検出器(ドラム回転センサ)3bから出力されたドラムパルスは、後述するモータ制御装置20の速度制御部23に入力される。
【0029】
モータ制御装置20は、入力部(入力手段)21と、運転制御部22と、速度制御部23と、出力部(駆動回路)25と、パワー回路(スイッチング回路)26と、から構成される。なお、以下に説明するようなモータ制御装置20が備える各機能は、主としてCPU等の中央演算装置により実現される。
【0030】
モータ制御装置20は、以下のようにして、ロータ位置に同期した電圧をステータコイルに印加することで、直流ブラシレスモータ30を駆動させる。即ち、モータ制御装置20は、磁極位置検出センサ29によるロータ位置検出信号に基づいて、出力部(駆動回路)25からパワー回路(スイッチング回路)26に出力される駆動信号を切り替えることにより、ステータコイルの電機子巻線の相切り替え制御(波形切り替え)を行う。モータ制御装置20は、磁極位置検出センサ29から出力されたロータ位置検出信号に基づいて電機子巻線の通電を切り替え、かつPWM信号を生成し、出力部(駆動回路)25を介して駆動信号をパワー回路(スイッチング回路)26に出力する。このようにしてスイッチング素子をPWM制御することにより、直流ブラシレスモータ30を駆動する。
【0031】
入力部21は、速度制御部23に対してブレーキ開始速度、初期出力値(初期デューティ量)、出力減少量をパラメーターとして入力する。入力されたブレーキ開始速度、初期出力値、及び出力減少量は、それぞれ、回転速度検出部(回転速度検出手段)23a、初期出力値記憶部(初期出力値記憶手段)24a、及び出力減少量記憶部(出力減少量記憶手段)24bに記憶される。また、運転制御部22は、目標速度を速度制御部23に入力する。
【0032】
速度制御部23は、回転速度検出部(回転速度検出手段)23aと、ブレーキ制御部(ブレーキ制御手段)24とを備えている。速度制御部23は、ブレーキ制御が行われるブレーキ制御期間(図4のt2からt3までの間)の前の、定常速度での運転が行われる定常期間(図4のt0からt1までの間)と、定常速度からブレーキ開始速度まで速度を減速する運転が行われる減速期間(図4のt1からt2までの間)との双方において、運転制御部22から入力された目標速度と回転速度検出部により算出された回転速度(現在速度)との偏差に基づいて、直流ブラシレスモータ30に供給する電力(トルク)を調整するためのデューティ量を算出し、出力部25に対してデューティ指令を出力する。なお、ブレーキ制御が行われるブレーキ制御期間(図4のt2からt3までの間)は、目標速度と現在速度との偏差によるデューティ量の算出は行わない。
【0033】
回転速度検出部23aは、回転検出器(ドラム回転センサ)3bから入力されたドラムパルスを基に、直流ブラシレスモータ30のロータの回転速度(現在速度)を算出する。算出された回転速度は、運転制御部22から入力された目標速度との偏差に基づいて出力部25に対して出力されるディーティ指令の算出に使用される。また、算出された回転速度は、入力部21からあらかじめ設定されていたブレーキ開始速度と比較される。算出された回転速度が、入力部21からあらかじめ設定されたブレーキ開始速度に達した場合は、ブレーキ制御部24によるブレーキ制御が行われる。
【0034】
ブレーキ制御部24は、直流ブラシレスモータ30のロータの回転速度が予め設定されたブレーキ開始速度に達した後の、ブレーキ制御期間(図4のt2からt3までの間)において、ブレーキ制御を行う。ブレーキ制御部24は、初期出力値記憶部24aと、出力減少量記憶部24bと、逆転発生検出部24cとから構成されている。ブレーキ制御では、直流ブラシレスモータ30のロータを静止させる向きに力が作用するように、電機子巻線の相切り替えを行う。即ち、定常期間と減速期間では、ロータの現在位置に対して回転方向に進めた位置に磁界が発生するように(ロータを回転方向前方に引き付けるような磁力が発生するように)、ステータコイルに対する励磁の切り替えを行うのに対し、ブレーキ制御中は、ロータの現在位置に相当する位置に磁界が発生するように(ロータを現在位置でロックさせるような磁力が発生するように)、ステータコイルに対する励磁の切り替えを行う。また、ブレーキ制御部24では、直流ブラシレスモータ30に対する出力のデューティ量を、後述する初期出力値から、所定時間毎に、後述する出力減少量ずつ次第に減少させる制御を、ロータの所定角度領域分回転する毎に繰り返す。ここで、磁極位置検出センサ29からのロータ位置検出信号により、ロータが所定角度領域分回転したと判断した場合、直流ブラシレスモータに対する出力量を初期出力値に戻す。
【0035】
初期出力値記憶部24aは、入力部21から入力された初期出力値を記憶し、出力減少量記憶部24bは、入力部21から入力された出力減少量を記憶する。なお、初期出力値と出力減少量とは、ブレーキ開始速度とともに、パラメータとして設定変更可能である。また、逆転発生検出部24cは、ブレーキ制御中に、磁極位置検出センサ29からのロータ位置検出信号によりロータの逆転(跳ね返り)が発生したことを検出する。逆転発生検出器24cにより逆転の発生を検出すると、初期出力値をより小さい値に変更する。即ち、ロータの逆転が検出された後は、初期出力値がそれまでの値より小さい値に設定され、直流ブラシレスモータ30に対する出力量は、その初期出力値から所定時間毎に出力減少量ずつ次第に減少される。
【0036】
出力部25は、ロータ位置検出信号と、速度制御部23から入力されたデューティ指令とにより、電機子巻線の通電の切り替えを行うための駆動信号を生成する。生成された駆動信号は、出力部25から出力され、パワー回路(スイッチング回路)26に入力される。
【0037】
パワー回路(スイッチング回路)26は、図3に示すように、三相ブリッジ接続された複数のトランジスタ31〜36(スイッチング素子)で構成されている。なお、これらのトランジスタ31〜36(スイッチング素子)には、還流用のダイオードがそれぞれ逆並列に接続されている。出力部25から入力された駆動信号により、トランジスタ31〜36(スイッチング素子)がPWM制御され、直流ブラシレスモータ30が駆動される。ブレーキ制御中においては、直流ブラシレスモータ30の回転は、磁極位置検出センサ29からの出力信号に応じてスイッチング素子31〜36が図5に示すように開閉されることにより制御される。即ち、図5に示すように、ブレーキ制御中においては、ロータをロックするような励磁パターンにより、スイッチング素子31〜36が制御される。励磁パターンは、出力部(駆動回路)25からパワー回路(スイッチング回路)26に出力される駆動信号により切り替えられる。ロータ位置検出信号に基づく各スイッチング素子のオン/オフ制御パターンは図5の通りであるが、図5にも一部図示するように、各スイッチング素子はチョッピング制御され、PWM周期内で所定のデューティ量となるように、1つの角度領域内(ロータ位置検出信号のエッジ間)で多数回のオン/オフ切り替えが行われる。定常期間及び減速期間においては、1つの角度領域内では、デューティ量が固定値に設定されるが、停止直前のブレーキ制御期間においては、図6に示すように、1つの角度領域内でデューティ量が次第に減少するように制御される。即ち、図6に示すように、ブレーキ制御中には、ロータ位置検出信号(磁極位置検出センサの出力信号)のエッジ毎に、直流ブラシレスモータ30に対する出力量(デューティ量)を段階的に減少させる制御が繰り返し行われる。また、図5に示すように、ブレーキ制御中は、3相のステータコイルのうち、1相のコイルから残りの2相のコイルに電流が流れるパターンと、2相のコイルから残りの1相のコイルに電流が流れるパターンとが繰り返される。このパターンの繰り返しは、磁極位置検出センサのロータ位置検出信号のエッジ毎に行われる。このように、常に3相のコイルを使用して2つの電流経路(例:V→UとV→Wの2つ)を形成することにより、直流ブラシレスモータ内には、各電流経路により発生する磁界を合成した合成磁界が発生し、ロータを振動なく停止させるために有効に作用する。
【0038】
次に、上記の構成において、モータ制御装置20によるブレーキ制御の作用について、より詳細に説明する。
【0039】
回転速度検出部23aにおいて、直流ブラシレスモータ30の回転速度が、入力部21からあらかじめ設定されたブレーキ開始速度に達したことを検出すると、ブレーキ制御部24によるブレーキ制御が行われる(図5及び図6参照)。
【0040】
ブレーキ制御が始まると、ブレーキ制御部24では、初期出力値記憶部24a及び出力減少量記憶部24bから初期出力値(初期デューティ量)及び出力減少量(1回の減少量)を呼び出す。そして、図6に示すように、初期出力値記憶部24aから呼び出した初期出力値から所定時間毎(例えば10ms毎)に、出力減少量記憶部24bから呼び出した出力減少量ずつ直流ブラシレスモータ30に対する出力のデューティ量を次第に減少させる。ロータが所定角度領域分回転したことを検出すると、即ち、磁極位置検出センサ29が出力するロータ位置検出信号のエッジを検出すると、デューティ量を再度初期出力値に戻した後、初期出力値から所定時間毎(例えば10ms毎)に、上述と同様に、予め設定した出力減少量ずつ直流ブラシレスモータ30に対する出力のデューティ量を次第に減少させる。以下、ロータが所定角度領域分回転したことを検出する毎に、即ち、磁極位置検出センサ29が出力するロータ位置検出信号のエッジを検出する毎に、上述と同様に、デューティ量を再度初期出力値に戻した後、初期出力値から所定時間毎(例えば10ms毎)に、予め設定した出力減少量ずつ直流ブラシレスモータ30に対する出力のデューティ量を次第に減少させる。従って、ロータの回転速度が遅くなるにつれて、ロータが所定角度領域分回転するのにかかる時間(ロータ位置検出信号のエッジ間の時間)が長くなるため、初期出力値からのデューティ量の減少量(図6のように段階的に減少させる場合には減少回数)が大きくなるので、ロータに作用する磁力を回転速度に応じたものにすることができる。即ち、回転速度が遅くなるにつれて、ロータに作用する磁力を小さくすることができる。なお、ロータ位置検出信号のエッジ間の時間間隔が所定時間を超えると、ロータは停止したと判断し、直流ブラシレスモータ30に対する出力を停止させる。
【0041】
従って、停止直前では、磁極位置検出センサ29が出力するロータ位置検出信号の変化が遅いため、初期出力値からのデューティ量の減少量(図6のように段階的に減少させる場合には減少回数)が大きくなり、終にはデューティ量がなくなり、ロータに作用する磁力がなくなる。従って、直流ブラシレスモータが振動しない。
【0042】
このように、本実施形態に係る自動ワインダー1によれば、ブレーキ制御が開始されると、初期出力量から次第にデューティ量が減少していく制御がロータ位置検出信号のエッジ毎に繰り返される。エッジ間の時間間隔が長くなると、デューティ量の減少量が多くなるので、ロータに作用する磁力を回転速度に応じたものができる。即ち、回転速度が遅くなるにつれて、ロータに作用する磁力を小さくすることができるので、極低速のロータに対して大きな磁力が作用して振動することを防止することができる。
【0043】
なお、本発明に係る自動ワインダー(糸条巻取機)の実施形態は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな設計変更が可能である。
【0044】
例えば、前記実施形態においては、ロータの位置検出のために、磁極位置検出センサ(ホールセンサ)29を用いているが、それに限られない。電機子巻線に誘起される電圧信号をロータ位置検出信号に変換し、その信号に基づいて直流ブラシレスモータの転流信号を生成するセンサレス方式を用いても良い。
【0045】
また、前記実施形態においては、初期出力値から出力減少量を次第に減少させるために、初期出力値から出力減少量を、段階的に減少させているが、それに限られない。例えば、初期出力値から出力減少量を、直線的に減少させることもできる。
【0046】
さらに、前記実施例においては、ブレーキ制御中、初期出力値と出力減少量は一定であるが、それに限られない。例えば、時間の経過につれて、初期出力値を次第に減少させることもできる。また、時間の経過につれて、出力減少量を次第に増加させることもできる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の糸条巻取機によると、巻取ドラムの停止直前において、回転速度の減少に伴って、直流ブラシレスモータに対する出力量(ロータに作用する磁力の大きさ)が減少するため、振動なく、直流ブラシレスモータ(巻取ドラム)を停止させることができる。また、所定角度領域において次第に直流ブラシレスモータに対する出力量を減少させるため、回転速度が遅くなるに伴って直流ブラシレスモータに対する出力量の減少量が大きくなる。従って、ロータに作用する磁力が次第に減少し、最終段階での振動を確実に防止することができる。また、入力手段により初期出力値と出力減少量とブレーキ開始速度のうち少なくとも1つをパラメータとして設定変更することができるので、ブレーキ制御の形態を条件(負荷の大きさ等)に応じて最適なものに設定することができる。更に、直流ブラシレスモータの跳ね返り(逆転)が発生した際には、ロータに作用する磁力の大きさをより減少することができるので、停止直前の振動をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動ワインダーのユニットの機器構成を示す正面図である。
【図2】ドラム駆動用の直流ブラシレスモータを制御するモータ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】直流ブラシレスモータとパワー回路(スイッチング回路)との構成を示すブロック図である。
【図4】巻取ドラムを停止させる際の速度パターンを示すグラフである。
【図5】ブレーキ制御中の磁極位置検出センサの出力信号(ロータ位置検出信号)とスイッチングの励磁パターンとの関係を示した図である。
【図6】ブレーキ制御中のスイッチング素子のPWM制御、磁極位置検出センサの出力信号(ロータ位置検出信号)及びPWM制御における出力量(デューティ量)の関係を示した図である。
【符号の説明】
1 自動ワインダー(糸条巻取機)
3 綾振りドラム(巻取ドラム)
3b 回転検出器
20 モータ制御装置
21 入力部(入力手段)
23a 回転速度検出部(回転速度検出手段)
24 ブレーキ制御部(ブレーキ制御手段)
24a 初期出力値記憶部(初期出力値記憶手段)
24b 出力減少量記憶部(出力減少量記憶手段)
24c 逆転発生検出部(逆転発生検出手段)
29 磁極位置検出センサ(ロータ位置検出手段)
30 直流ブラシレスモータ
30a ロータ

Claims (4)

  1. 巻取ドラムと、該巻取ドラムを回転駆動させる直流ブラシレスモータと、該直流ブラシレスモータの回転を制御するモータ制御装置とを備え、
    前記モータ制御装置は、
    回転速度を算出する回転速度検出手段と、
    前記巻取ドラムの減速中において、前記回転速度検出手段の算出結果に基づいて、前記直流ブラシレスモータの回転速度が予め設定されたブレーキ開始速度に達したと判定するとブレーキ制御を開始するブレーキ制御手段とを備え、
    前記ブレーキ制御手段は、前記ブレーキ制御において、前記直流ブラシレスモータに対する出力量を次第に減少させる制御を、前記直流ブラシレスモータが停止するまで間に繰り返して行うことを特徴とする糸条巻取機。
  2. 直流ブラシレスモータのロータ位置を検出するロータ位置検出手段を更に備えるとともに、
    前記ブレーキ制御手段は、
    初期出力値を記憶する初期出力値記憶手段と、
    出力減少量を記憶する出力減少量記憶手段とを備え、
    前記ロータ位置検出手段の検出結果に基づいて、前記ロータが所定角度領域分回転したことを判定し、
    前記ブレーキ制御において、前記直流ブラシレスモータに対する出力量を前記初期出力値から前記出力減少量ずつ次第に減少させる制御を、前記ロータが所定角度領域分回転する毎に繰り返し行うことを特徴とする請求項1に記載の糸条巻取機。
  3. 前記初期出力値、前記出力減少量または前記ブレーキ開始速度のうち少なくとも1つを、パラメータとして設定変更可能とする入力手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の糸条巻取機。
  4. 前記ブレーキ制御手段は、ブレーキ制御中に前記直流ブラシレスモータの逆転発生を検出する逆転発生検出手段を備え、
    前記逆転発生検出手段により逆転発生が検出された場合に、前記初期出力値を減少させることを特徴とする請求項2または3に記載の糸条巻取機。
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