JP3704591B2 - 積雪面の融雪/除雪方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、積雪面の融雪/除雪方法、特に屋根の融雪/除雪方法に係る。ここで言う「積雪面」とは、瓦屋根、瓦棒屋根、板敷き屋根、その他形式の屋根、柔軟性のあるテント屋根、大型膜体構造のドーム状屋根、コンクリート構築物壁面、路面を含む概念である。
本発明を説明するにあたり、便宜上、屋根の融雪技術に関連して解説することにする。
【0002】
【従来の技術】
本件出願人は、流下規正テープを使用して屋根、その他の除雪について様々な検討を加えてきた。本件出願人の居住する岡山県を例にとると、鳥取県境近くに中国山脈が横たわり、この山岳地帯南側斜面には毎年相当量の降雪がある。北陸、東北地方においては、日本側より山を越えた内陸部に雪が多く、多量の降雪による雪害を長年被ってきた地帯である。
【0003】
融雪方法には様々な方法がある。例えば、熱交換装置を積雪表面または積雪面の裏側に設置したり、屋根に直接水を流して融雪する方法が行われている。本発明の技術問題解決の対象は、流水による融雪技術の欠点に対してのものである。屋根の流水融雪技術は、東北地方各都市に見られる多量の地下水を利用した道路の流水除雪に似通った技術である。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
流水除雪は、降雪量を予想し必要とする融雪熱量を求め、これに見合う供給水の温度と流量を特定する方法によるため、どの事例においても水の総量は甚だしく多い。水は収束したり分岐したりする傾向を見せるため、中途半端な少量の水で融雪が効果的に行えることについての認識はなく、少量の水しか入手できない事情があればこうした流水融雪は実際に行い得ないとされてきた。地下水を利用する場合、充分な水量を確保できないのが通例であり、屋根の流水融雪は意外に利用されていないのが現状である。
【0005】
積雪面に沿って流下する水が不充分であれば、積雪層の下部にトンネルが形成され、最終的にはアーチ状の雪ブリッジができあがる。雪ブリッジを形成する雪は比較的粘着性があるため、この雪ブリッジが崩れないまま残ることがあり、上部に雪が堆積して融雪効果が失われる。
本発明の目的は、高額の設備投資を必要とせず、簡単な作業により既存の屋根および新設屋根、各種構築物の積雪面に確実な除雪機能を持たせ、効果的な除雪を行う具体的な方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
こうした従来技術の欠点を解決するため、本発明の方法は、間隔を開けて配列した液体含浸保有量の少ない主要流下経路と、これら主要流下経路の側部に位置する液体含浸保有量の大きな副流下経路とを有し、主要流下経路が吸液素材の流下方向に沿って経路表面を滑る露出した主流を形成し、副流下経路が主流の側部に主流よりも比較的流量の少ない副流を形成するような吸液素材で積雪面を覆い、この吸液素材に融雪の呼び水となる比較的少量の熱媒体を含浸流下させ、降雪粒子に流下する熱媒体の一部を吸収させて雪シャーベットを形成する一方、所定の時間間隔を置いて間欠的に多量の熱媒体を流下させ、吸液素材に載った雪シャーベットを強制的に押し流して除雪を行うようにしている。
【0007】
【作用】
吸液素材は流速に強弱のある並列した流下経路を形成している。この任意の幅の流下経路に沿って熱媒体は流下していく。吸液素材は液体含浸保有量の少ない主要流下経路と、この主要流下経路の側部に位置し液体含浸保有量の大きな副流下経路からなり、主要流下経路を流下する熱媒体の主流の側部に副流が配置され、主流と副流が交互に並び流下方向を規正された状態で熱媒体は流れていく。
主要流下経路は液体含浸保有量が少ないため、吸液素材の流下方向に沿って経路表面を滑る露出した主流を形成し、また液体含浸保有量が大きい(または流下抵抗の大きな液体吸収性に富む)副流下経路により、主流の側部に主流よりも比較的流量の少ない流速の遅い副流が形成される。
主要流下経路の方が副流下経路に比べて流下速度が速いため吸液素材外側へのチャネリングが発生しにくい。従って、吸液素材からそれた流れが出現しこれが凍結する可能性は少ない。吸液素材に付着した熱媒体は平面的に広がり、吸液素材の境界域内に所望の熱量を保有する平面放熱体が形成される。
吸液素材の表面に落下する降雪粒子は流下する熱媒体の一部を吸収し、雪シャーベット状になる。この雪シャーベットは主に主要流下経路を流下する熱媒体と共に流下経路に沿って流下し易くなる。主要流下経路に沿って流下する主流は経路の上部に経路に捕捉されていない露出した厚みのある主流を形成し、間欠的に供給される多量の熱媒体の流れの出現により、主要流下経路および副流下経路に残留する雪シャーベットはこれら流下経路に沿って押し流され吸液素材表面から除去される。
熱の供給を受けて雪から解け出した水も吸液素材が保持し、この融雪水の持つ熱も雪の融雪に利用されるため、熱媒体と雪との間に効率のよい熱交換が行われる。
吸液素材はその全面に主流と副流が存在するため比較的幅の広い吸液素材を使用でき、同じ幅の吸液素材に比べて有効融雪面を広げることができる。
【0008】
【実施例】
以下、添付図面に沿って本発明の実施例につき詳細に説明する。
図1は、本発明に係る積雪面の融雪/除雪方法の実施事例を具体的に示す斜視説明図である。
積雪に先立ち、積雪面1は連続する細長い平面状の吸液素材2で覆われる。この吸液素材2は間隔を置いて配置され、吸液素材に沿って熱媒体が流される。熱媒体は融雪の呼び水となる性質を備えた液体、例えば、地下水等の比較的少量の温水である。吸液素材に沿って流下する熱媒体は降雪粒子が吸収する。降雪粒子に吸液素材から流下する熱媒体の一部を吸収させれば雪の白色は消え、透明な雪シャーベットが形成される。雪シャーベットの比重は1よりも小さいため、熱媒体に浮揚する雪シャーベットがあれば、この浮遊状態の雪シャーベットは熱媒体の流速により流下経路に沿って流下し易くなる。
【0009】
吸液素材の配列間隔、幅および厚み、熱媒体の流量は選択事項である。
【0010】
熱媒体の熱により生じた融雪水は吸液素材2が保持し、流下熱媒体と融雪水を含浸する平面蓄熱体が形成される。融雪水は低温ではあるが所定の熱量を所有しており、この熱も有効利用される。こうして、吸液素材の流下経路は平面放熱体を形成し、この流下経路の上方に位置する雪を融雪させることができる。
【0011】
降雪量が多く、吸液素材2の流下経路を流れる熱媒体の保有熱量が即時の融雪に必要な熱量よりも少なければ雪は堆積していく。この堆積した雪は、流下経路が平面蓄熱放熱体として機能するため、この流下経路の上方に位置する雪は吸液素材から外れた積雪面に堆積している雪よりも速く解け、結果的に積雪表面に顕著な凹凸面が形成される。この凹凸面の出現により積雪表層の露出表面積を拡大して外気温または直達日射により、また吸液素材から積雪面に伝達される熱により融雪を促進することができる。
【0012】
前記比較的少量の熱媒体は連続的または間欠的に供給される。間欠的に供給する場合、流下経路に沿って流下する熱媒体にパルス波動を生じさせるように供給圧を変動させることも可能である。こうした間欠的供給によれば、雪シャーベットの運搬能率が高まることがある。
【0013】
前述の熱媒体に加えて、またはこの熱媒体の供給を停止した後に、所定の比較的短時間の間、例えば、数分から数十分の間、多量の熱媒体を流下させる操作が行われる。具体的には、比較的少量の熱媒体を30分間流した後、同一の供給配管系または別に用意した配管系を通じて3分間多量の熱媒体を流下させ、前記比較的少量の熱媒体の流下により形成された主要流下経路と副流下経路上に残留する雪シャーベットをこの多量の熱媒体により強制的に洗い流す操作が行われる。比較的少量の熱媒体に井戸水を使用する場合、多量の熱媒体には水道水を利用することができる。熱媒体の温度、種類、流量は選択事項である。
【0014】
なお、前述した方法において、操作初期の段階で既に相当量の雪が積雪面に堆積している場合、あるいは配管系の故障、操作者のミスにより大量の雪が積もってしまった場合の対策として、できるだけ早い時期に、すなわち雪の圧密の程度が比較的軽微である時期に、前記吸液素材表面には40℃以上の比較的少量の高温水を供給し、吸液素材を高温放熱体として利用し急速に融雪を進行させることが望ましい。
【0015】
図2は、図1に使用した吸液素材の具体例を示す斜視説明図である。図示の吸液素材2は、液体含浸保有量の少ない主要流下経路4と、この主要流下経路4の両側に位置する液体含浸保有量の大きな副流下経路5とを備えている。両方の経路部分の間には図示の様な段差を設けておくとより高い規正効果が得られる。
図示の例では、主要流下経路4は厚みが薄く、含浸保有しきれない多くの熱媒体が経路表面上を露出した状態で滑りながら流下する主流を形成する。主流の両側に配置された液体含浸保有量の大きな副流下経路は主要流下経路よりも多くの熱媒体を含有し、この副流下経路に沿って比較的流量の少ない流速の遅い副流が形成され、これら熱媒体の主流と副流は互いに隣接して位置し、吸液素材の全面に沿って流下していく。
【0016】
図3は、吸液素材の変更例を示す斜視説明図である。図示の吸液素材2は、液体含浸保有量の少ない主要流下経路4と、この主要流下経路4の側部に位置する液体含浸保有量の大きな副流下経路5とを備えている。従って、主要流下経路4は吸液素材の流下方向に沿って熱媒体の主流を形成し、主流の側部に主流よりも比較的流量の少ない緩慢な流速の副流が形成される。これら熱媒体の主流と副流は互いに隣接して位置し、吸液素材の全面に沿って規正された状態で流下していく。
前述の流下経路には、補助加熱手段として、電気発熱体を予め組み込んでおくことも可能である。
【0017】
前記吸液素材の流下経路の少なくとも一部は、熱媒体の移動方向に沿って疎水素材3で覆い保温することができる。疎水素材で覆われた部分には、中空な配管通路部分6を設け、吸液素材が凍結してもこの配管通路部分6に流す熱媒体により解氷することができる。
前記吸液素材は、吸液表面層と基材層から構成することができる。吸液素材はこの基材層の表面に塗布される接着剤により積雪面に貼り付けることができる。また、この基材層は、透磁率の大きな磁性材料からなる被接着面に対して磁力作用により貼り付くように、少なくとも一部分を、例えば、多量の鉄粉を含む熱伝導性に優れたプラスチック製またはゴム製の磁石から構成することができる。なお、吸水素材は任意の固定手段を用いて積雪面に対しずれないように固定してもよい。
【0018】
流下経路は、主要流下経路とその側部にある副流下経路を一対のものとし、これらを互いに隣接して配置することにより横に連続する流下経路を形成することができる。例えば、前記一対の流下経路を独立するテープストリップに構成し、テープストリップの各々を任意の素材、例えば、感圧接着剤の基材層により接続することができる。
図2および図3において、参照番号7は基材層を示している。基材層は感圧接着剤の層から形成することができる。下地面が腐食する可能性のある金属素材であれば、基材層は防水層として機能するものが好ましい。
【0019】
前記吸液素材には、以下に説明する多種多様な素材/構造を利用することができる。
主要流下経路を親液性繊維、例えば、ビニロンのような吸水繊維またはビニロンとテトロンからなる複合繊維を用いて構成し、また副流下経路をテトロンのような疎液性繊維を用いて構成した織布、不織布または編布を使用することができる。また、主要流下経路は平織りとし、副流下経路は繊維使用量の多い綾織りとする等、任意の織り方を採用できる。液体吸収性に劣る流下経路とは、必ずしも疎液性繊維を使用した部分であるというわけではなく、親液性繊維を使用した液体吸収性に劣る流下経路も含まれる。親液性繊維を使用していたとしても、疎液性繊維の部分に比べてスポット吸収性に劣るならば液体吸収性に劣る流下経路であると言える。液体吸収性については、繊維の張力を変えることである程度調節することが可能である。
【0020】
前記織布は疎液性の縦糸と横糸を使用して織られた織布生地からなり、この織布生地の縦糸に加えて親液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、疎液性の織布生地の部分に隣接して親液性の縦糸の密集した主要流下経路となる部分を設けて構成することができる。
【0021】
また、前記不織布は、主要流下経路となる親液性繊維の密集した部分の側部に副流下経路となる疎液性繊維の密集した部分を隣接して設けることができる。
【0022】
また前記織布は、親液性の縦糸と横糸を使用して織られた織布生地から構成し、この織布生地の縦糸に加えて側部に副流下経路となる疎液性の縦糸の密集した部分を織り込み、親液性の織布生地の部分と疎液性の縦糸の密集した部分を隣接して設けてもよい。
【0023】
あるいは、前記織布を親液性の縦糸を使用して織られた織布生地から構成し、織布生地の縦糸に加えてこの生地縦糸よりもさらに液体吸収性に富む保液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、副流下経路となる前記親液性の織布生地の部分と主要流下経路となる前記保液性の縦糸の密集した部分を隣接して設けることもできる。
【0024】
さらに、前記織布は親液性の縦糸を使用して織られた織布生地から構成し、織布生地の縦糸に加えてこの生地縦糸よりも太い径の親液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、副流下経路となる前記親液性の織布生地の部分と主要流下経路となる前記太い径の親液性の縦糸の密集した部分を隣接して設けるようにもできる。
【0025】
前記織布は疎液性の縦糸を使用して織られた織布生地から構成し、織布生地の縦糸に加えてこの生地縦糸よりも太い径の疎液性の縦糸の密集した部分をすじ状に織り込み、副流下経路となる前記疎液性の織布生地の部分に隣接して前記太い径の疎液性の縦糸の密集した主要流下経路を形成することも可能である。
【0026】
前述の構造とは異なり、前記吸液素材は、基材層とこの基材層に接着した液体吸収性に富むその他の任意の材料、例えば、粉体塗装層の主要流下経路と、この主要流下経路の側部に配置された液体吸収性に劣る粉体塗装層から構成することができる。
【0027】
また、前記吸液素材は、屋根表面に接着した溶射粉体塗装層から構成することができる。
【0028】
この方法とは別に、吸液素材は、液体吸収性に劣る基材層とこの基材層表面を加工して形成された液体吸収性に富む荒い細かい凹凸表面の部分から構成し、液体吸収性に劣る基材層表面の部分が副流下経路を形成し、液体吸収性に富む凹凸表面の部分が主要流下経路を形成するようにもできる。
【0029】
あるいは、前記吸液素材は親液性繊維と疎液性繊維の両方の繊維を混合したものからなり、主要流下経路に相当する部分がこれに隣接する副流下経路に相当する部分よりも親液性繊維の比率が高くなるようにして構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積雪面の融雪/除雪方法を実施した場合の状況を示す斜視説明図。
【図2】吸液素材の構成例を示す斜視説明図。
【図3】吸液素材の変更例を示す斜視説明図。
【符号の説明】
1 積雪面
2 吸液素材
3 疎水素材
4 主要流下経路
5 副流下経路
6 配管通路部分
7 基材層

Claims (3)

  1. 間隔を開けて配列した液体含浸保有量の少ない主要流下経路と、これら主要流下経路の側部に位置する液体含浸保有量の大きな副流下経路とを有し、主要流下経路が吸液素材の流下方向に沿って経路表面を滑る露出した主流を形成し、副流下経路が主流の側部に主流よりも比較的流量の少ない副流を形成するような吸液素材で積雪面を覆い、この吸液素材に熱媒体を含浸流下させ、降雪粒子に流下する熱媒体の一部を吸収させて雪シャーベットを形成する一方、所定の時間間隔を置いて間欠的に多量の熱媒体を流下させ、吸液素材に載った雪シャーベットを強制的に押し流して除雪を行う積雪面の融雪/除雪方法。
  2. 請求項1に記載された積雪面の融雪/除雪方法において、前記吸液素材は積雪面に接する側に基材層を備え、この基材層が接着剤による接着面を形成した積雪面の融雪/除雪方法。
  3. 請求項1に記載された積雪面の融雪/除雪方法において、前記吸液素材は積雪面に接する側に基材層を備え、この基材層が、透磁率の大きな磁性材料からなる被接着面に対して磁力作用により貼り付くように、プラスチック製またはゴム製の磁石から構成された疎水性材料からなる積雪面の融雪/除雪方法。
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