JP3718397B2 - マルチビーム光学系 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、露光対象面上に複数のビームスポットを形成するマルチビームレーザープロッター等のマルチビーム光学系に関し、特に、単一の光源からのレーザー光を回折分岐素子を用いて分割して複数のビームを得るタイプの光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
マルチビーム光学系には、光源から発したレーザー光をビームスポットの数に応じたビームに分岐させるための分岐素子が必要である。従来、分岐素子としてはプリズム型の素子が用いられていたが、プリズム型では分岐するビーム数に対応する個数のプリズムブロックが必要となり、本数が多くなるほど接合時の誤差による露光対象面上でのビームスポットのズレが大きくなる。
【0003】
そこで、近時、回折効果を利用した回折分岐素子が用いられるようになっている。回折分岐素子は、貼り合わせ等が不要な単一の素子で構成されるため、分岐するビームの本数が多くなってもプリズム型におけるような誤差は生じない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光の回折角度は波長に比例して変化するため、光源が複数の波長で発光する場合には、同一の次数で回折したビームであっても露光対象面上では波長によって収束位置がずれ、あるいは、光源の発光波長が単一である場合にも、発光波長が変化すると露光対象面上でのビームスポットのピッチが変化するという問題がある。
【0005】
例えば、レーザーフォトプロッター等の光源として用いられるアルゴンレーザーは、可視域、紫外域で複数のピーク波長を持つが、回折素子を利用する場合にはその一つの波長しか使用し得ず、エネルギーの利用効率を高めることができなかった。
【0006】
この発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、回折分岐素子が持つ波長依存性による影響を補正することができ、波長が異なる複数のビームを利用した場合の露光対象面上でのビームスポットの位置ズレや、波長が変化した際のビームスポットのピッチの変化を防ぐことができるマルチビーム光学系の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明によるマルチビーム光学系は、回折分岐素子により分岐された光束を入射させる位置に配置され、全体としてアフォーカル系を構成する第1群及び第2群とからなる補正光学系を、含む。この補正光学系は、入射した光束に対する角倍率をその波長に反比例させる特性を有するか、若しくは、ν1を第1群のアッベ数,f1を第1群の焦点距離,ν2を第2群のアッベ数,f2を第2群の焦点距離,νDOE前記回折分岐素子のアッベ数とした場合、以下の条件(1),(2)を実質的に満たしていなければならない。
【0008】
(1)ν1=(f1+f2)/f1・νDOE
(2)ν2=−(f1+f2)/f2・νDOE
このように構成されれば、回折分岐素子にて互いに異なる角度で回折された各波長の光束が、第1群を通過することによって、第2群においてそのビーム同士が同一箇所に入射し、ともに平行光束となって、同じ方向へ射出される。従って、補正光学系を通過することにより、回折分岐素子によって分散された同一次数の光束が、同じ光路上に重なって進むことになる。従って、回折格子が持つ波長依存性による影響を補正することができる。
【0009】
さらに、補正光学系が、以下の条件(3),(4)及び(5)を満たすように設計すれば、上記した条件(1)及び(2)が直ちに満たされるので、設計が容易になる。
【0010】
(3)f1/ν1=−f2/ν2
(4)f1=f2
(5)ν1=−ν2=2νDOE
この補正光学系を構成する第1群及び第2群は、正のパワーを持つ反射面上に回折レンズ構造が形成された素子として構成されれば、上記各条件(1),(2),(5)を容易に満たし得るが、正レンズ及び回折レンズ構造の複合素子として構成されても良い。
【0011】
このマルチビーム光学系は、複数光束を同時に偏向するマルチビーム走査光学系に用いられることが通常の用途であるが、それ以外の用途に用いられても良いのは勿論である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明にかかるマルチビーム光学系の実施形態を説明する。図1はこの発明のマルチビーム光学系を走査光学系に適用した実施形態を示す説明図、図2及び図3は発明の原理の説明図である。まず、図1に基づいて実施形態の構成を説明した後、図2及び図3に従って発明の原理を説明する。この走査光学系内には曲面ミラーも含まれているので、実際には光軸は折り曲げられているが、光線の進行の状態が理解し易くなるように、図1乃至図3においては、光軸が一直線状となるように展開された状態で、示されている。また、これら各図においては、走査光学系を構成する各光学部材(曲面ミラー及びレンズ)は、その厚さがないものとして概略図示されている。
【0013】
実施形態の走査光学系は、図1に示すように、光源側から順に配列されたレーザー光源1,ビームエクスパンダー2,回折分岐素子3,補正光学系4,収束ミラー5,マルチチャンネル変調器6,コリメートレンズ7,偏向器としてのポリゴンミラー8,走査レンズであるfθレンズ9,及び、露光対象面10から、構成されている。
【0014】
なお、ポリゴンミラー8は、図1の紙面に直交する方向を向いた回転軸を中心として回転することによって各光束を偏向するので、以下、図1における上下方向を、「主走査方向」と称する。また、描画面Sは、図1の紙面に直交する方向に移動することによって、平面的な描画を可能としているので、以下、図1の紙面に直交する方向を、「副走査方向」と称する。
【0015】
光源1は、複数のピーク波長で発光するアルゴンレーザー等のレーザー光源であり、この光源1から発した光束は、ビームエクスパンダー2によって光束径が調整された後に、平行光束として回折分岐素子3に入射する。この回折分岐素子3は、ビームエクスパンダー2からの平行光束を、回折させることにより複数の回折次数の光束に分岐して、各々異なる角度で射出させる。ただし、後述するように、回折分岐素子3に入射する平行光束に含まれる各波長成分はその波長に応じた角度で回折されるので(即ち、回折角の色収差を発生するので)、各回折次数の光束は、更に、各波長毎に異なった角度で分散して射出される。
【0016】
回折分岐素子3により分岐された各回折次数の光束(平行光束)は、補正光学系4に入射する。この補正光学系4は、全体として正のパワーを持つとともに負の色分散を与える回折レンズ成分を含む凹面鏡からなる第1群4aと、全体として正のパワーを持つとともに正の色分散を与える回折レンズ成分を含む凹面鏡からなる第2群4bとから構成され、全体として、アフォーカル系をなすとともに、入射光束に対する角倍率をその波長に反比例させることによって回折分岐素子において発生した回折角の色収差を補正する補正系として、機能する。即ち、個々の回折次数の光束をなす各波長成分は、この補正光学系4を通ることによって、同一光路を通る平行光束に補正される。このような補正系としての機能を満たすべく、補正光学系4の各群4a,4bの基準光線に対する焦点距離f1,f2及びアッベ数ν1,ν2は、後で詳しく説明するようにして、具体的に決定される。但し、第1群4aは、回折分岐素子3から自己の前側主点までの距離が自らの焦点距離f1と合致する位置に、配置されている。また、第2群4bは、第1群4cの後側主点から自己の前側主点までの距離が第1群4aの焦点距離f1及び自らの焦点距離f2の和と合致する位置に、配置されている。
【0017】
補正光学系4を通過した各次数の平行光束は、次に、収束ミラー5によって、夫々の主光線を平行に並べた状態で収束される。この収束ミラー5によって収束された各次数の光束のビームウェスト位置には、AOM(音響光学変調素子)等のマルチチャンネル変調素子6が配置されている。このマルチチャンネル変調素子6は、収束ミラー5によって収束された各光束に夫々対応した複数のチャンネルから構成された素子である。このマルチチャンネル変調素子6の各チャンネルは、夫々、制御信号に基づいて発生する超音波によって屈折率の周期的変動を生じ、そこを光が通過するときの回折を利用して光の方向を切り替える。そして、各チャンネルを直進する光束又は回折光を、変調光として選択する。このような構成により、マルチチャンネル変調素子6は、各チャンネルを独立して制御することにより、各光束を独立して変調する。
【0018】
コリメートレンズ7は、ビーム中心軸l上において、自らの前側焦点がマルチチャンネル変調素子6と合致する位置に配置されている。このコリメートレンズ7から射出された各光束は平行光束となり、各光束のビーム軸はコリメートレンズ7の後側焦点において互いに交差する。
【0019】
このコリメートレンズ7の後側焦点位置には、ポリゴンミラー8の反射面が配置されている。このポリゴンミラー8は、その回転軸を中心として回転することにより、その反射面に入射した各光束を、均等な角度差をもった平行光のまま、主走査方向へ偏向・走査する。
【0020】
走査レンズ9は、fθ特性を有し、ポリゴンミラー8によって反射された各光束を収束させ、描画面10上において、副走査方向において等間で一直線状に並んだスポット列を形成し、ポリゴンミラー8の回転に伴って、主走査方向に等速度で同時に走査する。
【0021】
続いて、図2及び図3に基づいて、補正光学系4の詳細を説明する。この補正光学系4の各群4a,4bは、本実施形態においては、凹面鏡の表面にフレネル状の回折レンズ構造を形成することにより構成されている。
【0022】
回折レンズ構造を採用したのは、補正光学系4の機能を果たすのに必要十分な分散を得るためには、回折レンズ構造が有利だからである。即ち、回折レンズ成分のνd相当の等価的アッベ数νDOEは−3.453であり、回折レンズ成分の分散は負の値を持つとともに屈折レンズの分散と比較してかなり大きい。従って、屈折レンズでは困難な色補正が実現できるのである。
【0023】
また、回折レンズ成分が形成される基材を反射鏡としたのは、反射鏡自体のアッベ数が無限大であるが故に、光学素子全体の色分散が回折レンズ成分のみによって発生するようになり、その結果、その分散が波長に対してリニアとなるので、同じく回折型の素子である回折分岐素子3において波長に対してリニアに発生した分散を補正するのに適しているからである。
【0024】
図2に示すように、回折分岐素子3は、入射光束に対して負の色分散を与える。従って、回折分岐素子3は、同次数の回折光であっても、長い波長成分λAを、短い波長成分λBよりも大きい角度で回折する。そのため、波長が長いほど、補正光学系4の第1群4aへの入射位置の高さ(光軸lからの距離)h1が高くなり、第1群4aへの入射角が大きくなる。
【0025】
補正光学系4の第1群4aは、同次数の回折光を構成する各波長成分(特に、その主光線)の通過位置の高さを、第2群4bへの入射の際に揃える機能を担っている。従って、第1群4aは、長い波長成分ほど大きく偏向させる色分散特性,即ち、負の分散(1/ν1)を有していなければならない。以下、このν1の導出を行う。
【0026】
図2において、波長成分λAの主光線に関し、第1群4aへの入射時においてビーム中心軸lに対してなす傾きをuAとし、第1群4aへの入射位置の高さをh1Aとし、第1群4aからの出射時においてビーム中心軸lに対してなす傾きをu'Aとし、第1群4aが発揮するパワーをψ1Aとし、第1群4aが示す焦点距離をf1Aとする。同様に、波長成分λBの主光線に関し、第1群4aへの入射時においてビーム中心軸lに対してなす傾きをuBとし、第1群4aへの入射位置の高さをh1Bとし、第1群4aからの出射時においてビーム中心軸lに対してなす傾きをu'Bとし、第1群4aが発揮するパワーをψ1Bとし、第1群4aが示す焦点距離をf1Bとする。
【0027】
いま、図2に示すように、波長成分λAの主光線を第1群4aでの反射後においてビーム中心軸lと平行にするとともに、両波長成分λA,λBの主光線を第2群の同一位置へ入射させるものとする。この場合、波長成分λAについては、次の式によって、その主光線の傾きが表される。
【0028】
u'A=uA+h1Aψ1A ……(1)
ここで、u'A=0とすると、式(1)は、
A=−h1Aψ1A ……(2)
となる。
【0029】
一方、波長成分λBについては、次の式によって、その主光線の傾きが表される。
【0030】
Figure 0003718397
この式(3)に式(2)を代入すると、
Figure 0003718397
となる。また、図2より、h1A=−uA1Aなので、
u'B=−λB/λA・uA1A・(f1A−f1B)/(f1A1B
と、変形される。ここで、f1A−f1B=−Δf1,f1B=f1とおくと、
u'B=λB/λA・uA・Δf1/f1
となる。さらに、軸上色収差を表す式Δf=−f/νより、
u'B=−λB/λA・uA/ν1 ……(5)
と、変形される。
【0031】
また、図2より、h1A及びh1Bのズレ量Δh1を補正する条件は、次の式によって表される。
【0032】
Δh1=(uA−uB)・f1 =u'B・(f1+f2
=(uA−λB/λA・uA)・f1=u'B・(f1+f2
=(λA−λB)/λA・uA1 =u'B・(f1+f2)…(6)
式(5)及び式(6)より、
u'B=−λB/λA・uA/ν1
=f1/(f1+f2)・(λA−λB)/λA・uA
となる。これを変形してν1について解くと、
ν1=λB/(λB−λA)・(f1+f2)/f1 ……(7)
となる。ここで、λB/(λB−λA)は、回折光学素子アッベ数νDOEと同等なので、式(7)は、下記のように変形することができる。
【0033】
ν1=(f1+f2)/f1・νDOE ……(8)
この式(8)が、回折分岐素子3において色分散した各波長成分λA,λBを第2群4bの入射位置において揃えるために、第1群4aに求められるアッベ数の条件である。ここで、上述したように、補正光学系4は全体としてアフォーカル系として機能し、f1及びf2は何れも正の値をとる。従って、ν1の極性は負となるので、正の分散を示すガラスのみからこのν1の値を実現することはできない。従って、この第1群4aは、アッベ数が無限大である反射鏡上に回折レンズ構造が形成されてなる光学素子として、構成されているのである。
【0034】
補正光学系4の第1群4aによって偏向された後に第2群4bに入射した同一次数の各波長成分(特に、その主光線)は、その波長が長いほど、第2群4bに対する入射角が大きくなる。
【0035】
補正光学系4の第2群4bは、同一箇所に入射した同一次数の各波長成分の射出方向を揃える機能を担っている。従って、第2群4bは、短い波長成分ほど大きく偏向させる色分散特性,即ち、正の分散(1/ν2)を有していなければならない。以下、このν2の導出を行う。
【0036】
図2において、波長成分λAの主光線に関し、第2群4bからの出射時においてビーム中心軸lに対してなす傾きをu"Aとし、第2群4bが発揮するパワーをψ2Aとする。同様に、波長成分λBの主光線に関し、第2群4bからの出射時においてビーム中心軸lに対してなす傾きをu"Bとし、第2群4bが発揮するパワーをψ2Bとする。
【0037】
この場合、波長成分λAについては、次の式によって、その主光線の傾きが表される。
【0038】
u"A=u'A+h2ψ2A ……(9)
ここで、第1群4aによって波長成分λAの主光線はビーム中心軸lと平行にされているので、u'A=0を代入すると、式(9)は、
u"A=h2ψ2A ……(10)
となる。
【0039】
一方、波長成分λBについては、次の式によって、その主光線の傾きが表される。
【0040】
u"B=u'B+h2ψ2B ……(11)
両主光線を第2群4bからの出射時に揃えるには、u"A=u"Bを満足させれば良いので、式(10)及び式(11)を合成することによって、下記式(12)が得られる。
【0041】
u'B+h2ψ2B=h2ψ2A ……(12)
これを変形してu'Bについて解くと、
Figure 0003718397
この式(13)と式(4)とを合成するとともにh2=h1Aを代入することによって、下記式(14)が得られる。
【0042】
Figure 0003718397
ここで、
Figure 0003718397
であり、f1B−f1A=Δf1=−f1/ν1,f1A≒f1≒f1Bとおくと、
Figure 0003718397
となる。同様に、
ψ2A−ψ2B≒−1/(ν22) ……(16)
となる。これら式(15)及び式(16)を式(14)に代入することにより、下記式(17)が得られる。
【0043】
−1/(ν22)=λB/λA・1/(ν11) ……(17)
これを変形してν2について解くと、
ν2=−λA/λB・f1/f2・ν1
となり、式(7)を代入すると、
ν2=−λA/λB・f1/f2・λB/(λB−λA)・(f1+f2)/f1
=−λA/(λB−λA)・(f1+f2)/f2 ……(18)
となる。ここで、λA/(λB−λA)は、回折光学素子アッベ数νDOEと同等なので、式(18)は、下記のように変形することができる。
【0044】
ν2=−(f1+f2)/f2・νDOE ……(19)
この式(19)が、互いに異なる角度で第2群4bに入射した各波長成分λA,λBの出射方向を揃えるために、第2群4bに求められるアッベ数の条件である。
【0045】
以上は、各波長成分λA,λBの光束の主光線のみに着目した説明であるが、補正光学系4の後方において完全に色分散をなくすためには、各波長成分λA,λBの光束全体の発散又は収束の角度を互いに一致させなければならない。そのためには、第2群4bから反射された際に、各波長成分λA,λBの光束を平行光とすれば良い。
【0046】
図3から理解されるように、各波長成分λA,λBの光束は、第1群4aからの距離が夫々の波長に対応した焦点距離f1A,f1Bと合致した位置にて夫々収束した後に、発散しながら第2群4bに入射する。従って、第2群4bから出射される各波長成分λA,λBの光束を全て平行光とするためには、各波長成分λA,λBに関する第1群4aの焦点距離f1A,f1B及び第2群4bの焦点距離f2A,f2Bの和が、全て、両群4a,4bの主点間の距離(f1+f2)と等しくなり、補正光学系4全体が、各波長成分λA,λBに関してアフォーカル系となってなければならない。これを式として表すと、
Figure 0003718397
となる。
【0047】
上述した式(8),式(19)及び式(20)の条件を全て満たすためのf1及びf2の組合せの一つは、式(8)及び式(19)を式(20)に代入することにより、下記式(21)のように求められる。
【0048】
1=f2 ……(21)
また、上述した式(8),式(19)及び式(20)の条件を全て満たすためのν1,ν2の組合せの一つは、式(20)を式(8)及び式(19)に夫々代入することにより、下記式(22)のように求められる。
【0049】
ν1=−ν2=2νDOE ……(22)
次に、式(22)を満たした場合に、補正光学系4が各波長成分λA,λBの光束に対して与える角倍率βA,βBとその波長λA,λBとの関係を、検証する。
【0050】
波長成分λBに関する第1群4aの焦点距離f1Bは、式(22)を用いると、以下のように変換できる。
【0051】
Figure 0003718397
同様に、波長成分λBに関する第2群4bの焦点距離f2Bは、式(22)を用いると、以下のように変換できる。
【0052】
Figure 0003718397
従って、補正光学系4が各波長成分λA,λBの光束に対して与える角倍率の比βA/βBは、上記式(23)及び式(24)を用いることにより、以下のように変換される。
【0053】
Figure 0003718397
式(25)から理解されるように、式(22)を満たす補正光学系4は、入射した光束を、その波長に反比例した角倍率にて射出する。
【0054】
【実施例1】
次に、上述した式(21)及び式(22)を満たす補正光学系4の実施例を、具体的に示す。
【0055】
本実施例では、先ず、両群4a,4bの焦点距離f1,f2及びアッベ数ν1,ν2を夫々、次のように設定する。
【0056】
Figure 0003718397
但し、反射面上に回折素子構造が形成された複合光学素子の全体としての焦点距離fは、反射面の曲率に基づく成分fref及び回折成分fdifを下記式(26)によって合成したものとなっている。
【0057】
1/f=1/fdif+1/fref ……(26)
また、このような複合光学素子の全体としてのアッベ数νは、上記f,fref,fdif,反射鏡のアッベ数νref(=∞),回折光学素子アッベ数νDOEに対して、下記式(27)の関係を有している。
【0058】
Figure 0003718397
従って、f=f1=120,ν=ν1=2νDOEを式(27)に代入することにょって、第1群4aの焦点距離の回折成分f1difは、
1dif=240
と求められる。同様に、f=f2=120,ν=ν2=−2νDOEを式(27)に代入することにょって、第2群4bの焦点距離の回折成分f2difは、
2dif=−240
と求められる。
【0059】
また、fdif=f1dif=240,f=f1=120を式(26)に代入することにより、第1群4aの焦点距離の反射鏡成分f1refは、
1ref=240
と求められる。同様に、fdif=f2dif=−240,f=f2=120を式(26)に代入することにより、第2群4bの焦点距離の反射鏡成分f2refは、
2ref=80
と求められる。
【0060】
以上のようにして算出された本実施例による補正光学系4における各群の詳細を、以下の表に列挙する。
【0061】
Figure 0003718397
上記の構成によれば、前述の式(8),式(19)及び式(20)の条件を全て満足するので、回折分岐素子3の波長に依存する回折角度のずれを、補正光学系4によって完全に補正することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、回折分岐素子により分岐された各次数の光束の回折角度のピーク波長毎のズレを、補正光学系の色分散特性により補正することができ、それぞれの回折次数において異なる角度で回折された複数の波長の光束を同一の位置にて同一方向に揃えることができる。
【0063】
したがって、貼り合わせが不要で且つ正確な分岐が可能な回折分岐素子を用いつつ、波長の違いによる露光対象面上でのビームスポットのズレや、ピッチの変化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態にかかるマルチビーム光学系が適用された走査光学系を示す説明図
【図2】 発明の原理を示す図1の一部拡大図
【図3】 発明の原理を示す図1の一部拡大図
【符号の説明】
1 光源
3 回折分岐素子
4 補正光学系
4a 第1群
4b 第2群
5 収束ミラー
6 マルチチャンネル変調器
8 ポリゴンミラー
9 fθレンズ
10 露光対象面

Claims (6)

  1. 複数のピーク波長で発光する光源と、
    該光源からの光束を回折させることにより複数本に分岐してそれぞれ異なる角度で射出させる回折分岐素子と、
    回折分岐素子により分岐された光束を入射させる位置に配置され、全体としてアフォーカル系を構成する第1群及び第2群とからなり、
    入射した光束に対する角倍率をその波長に反比例させる補正光学系と
    を含むことを特徴とするマルチビーム光学系。
  2. 複数のピーク波長で発光する光源と、
    該光源からの光束を回折させることにより複数本に分岐してそれぞれ異なる角度で射出させる回折分岐素子と、
    回折分岐素子により分岐された光束を入射させる位置に配置され、全体としてアフォーカル系を構成する第1群及び第2群とからなるとともに、以下の条件(1),(2)を実質的に満たす補正光学系と
    を含むことを特徴とするマルチビーム光学系。
    (1)ν1=(f1+f2)/f1・νDOE
    (2)ν2=−(f1+f2)/f2・νDOE
    但し、ν1は第1群のアッベ数,f1は第1群の焦点距離,ν2は第2群のアッベ数,f2は第2群の焦点距離,νDOE前記回折分岐素子のアッベ数である。
  3. 前記補正光学系は、更に、以下の条件(3),(4),(5)をも実質的に満たす
    ことを特徴とする請求項2記載のマルチビーム光学系。
    (3)f1/ν1=−f2/ν2
    (4)f1=f2
    (5)ν1=−ν2=2νDOE
  4. 前記補正光学系を構成する第1群及び第2群は、ともに、回折レンズ構造をもつ
    ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のマルチビーム光学系。
  5. 前記補正光学系を構成する第1群及び第2群は、ともに、正のパワーを持つ反射面上に回折レンズ構造が形成された素子である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のマルチビーム光学系。
  6. 前記補正光学系の第1群は、前記回折分岐素子からその前側主点までの距離が自身の焦点距離f1と合致する位置に配置されている
    ことを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載のマルチビーム光学系。
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