JP3763668B2 - 車両用覚醒維持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の運転中に覚醒度合いが低下した場合、快適性を損なうことなく運転者に覚醒を促すと共に覚醒状態を維持するようにした車両用覚醒維持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の居眠り運転を防止するため、運転中に、運転者の状態や車両の運転状態等から覚醒度合いが低下したと判断された場合、ブザー等により運転者に警報を発して覚醒を促すようにした居眠り防止装置が種々提案されている。しかし、ブザー等の刺激により運転者に警報を発すると、刺激を重ねる毎に慣れの影響が生じて効果が半減したり、運転者の覚醒状態が確実に低下している時以外は運転者に不快感を与えてしまう。
【0003】
そこで、車両の運転状態から、居眠り運転の誘発状態または居眠り状態を検出すると、香り発生手段を作動させ、香りにより運転者に覚醒を促すようにした居眠り防止装置が提案されている(実開平2-99028 号公報参照)。この居眠り防止装置は、所定の判定時間内における低車速状態の累積時間が規定時間を越えている場合は、居眠り運転が生じやすい状態と判断し、周期的に香りを発生させるようになっている。
【0004】
香りにより運転者に覚醒を促すことで、運転者に不快感を与えることがない。また、嗅覚疲労が生じない周期で香りを発生させることで慣れの影響が生じることがない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の居眠り防止装置は、居眠り運転の誘発状態(または居眠り状態を検出した場合)に香りを発生させて居眠り運転を防止しようとするものであるが、居眠り運転を誘発する状態と、実際の居眠り運転状態を同等に評価しているため、以下に示す問題が生じる。
【0006】
居眠り運転状態を基準として覚醒度の向上が期待できる程度で香りを発生させると、居眠り運転の誘発状態においては、運転者に必要以上の刺激を与えることになりかねない。即ち、居眠り運転の誘発状態においては、運転者は必ずしも居眠り運転状態にあるわけではなく、居眠り運転状態からの覚醒度向上効果が期待できるほどの香りを与えると、運転者に不快感を与えることになりかねない。また、香料が無駄に消費されることにもなる。
【0007】
また、居眠り運転の誘発状態を基準として覚醒度の維持が期待できる程度で香りを発生させると、居眠り運転状態では香りによる刺激が不十分となり十分な居眠り運転防止効果が得られない問題が生じる。
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、快適性を損なうことなく運転者に覚醒を効率よく促すと共に覚醒状態を効率よく維持するようにした車両用覚醒維持装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の構成は、運転者の注意力低下度が規定値以上となったとき運転者の覚醒度が低下したことを判定する覚醒度低下判定手段と、運転者の運転操作の単調度が増加した状態であるとき運転者の覚醒度の低下を誘発する単調運転状態であると判定する単調運転状態判定手段と、車室内に覚醒用の香りを発生させる香り発生手段と、前記単調運転状態判定手段により前記単調運転状態にあることを検知すると前記香りをゆらぎ間隔で発生させると共に、前記覚醒度低下判定手段により前記覚醒度が低下したことを検知すると前記単調運転状態を検知した場合に優先して前記香りを前記ゆらぎ間隔より短い一定間隔で発生させるよう前記香り発生手段の作動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。覚醒度の低下を誘発する単調運転状態の時は、ゆらぎ間隔で運転者にとって不快感なく適切な刺激タイミングで香りを発生させて運転者の覚醒度を維持し、覚醒度が低下した時は、ゆらぎ間隔よりも短い一定間隔で単調運転とは異なるパターンでより強い刺激を与える状態で香りを発生させて運転者の覚醒度を回復させる。また、覚醒度の更なる低下を抑制する。
そして、請求項2に係る本願発明は、請求項1に記載の車両用覚醒維持装置において、前記制御手段は、前記単調運転状態判定手段により前記単調運転状態にあることを検知すると、前回の前記香り呈示から所定時間が経過していれば前記香りを発生させることを特徴とする。
また、請求項3に係る本願発明は、請求項1もしくは請求項2に記載の車両用覚醒維持装置において、前記注意力低下度は、車両の蛇行率、操舵量及び前記単調度に基づき判断されることを特徴とする。
また、請求項4に係る本願発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両用覚醒維持装置において、前記単調度は、クラッチ、ウインカー、排気ブレーキの所定時間内の操作頻度に基づいて演算されることを特徴とする。
また、請求項5に係る本願発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車両用覚醒維持装置において、前記車両の蛇行率は、白線認識カメラの情報に基づいて求められることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1には本発明の一実施形態例に係る車両用覚醒維持装置の香り発生手段の概略構成、図2には車両用覚醒維持装置の制御装置のブロック構成、図3には香り呈示制御のフローチャート、図4には香り呈示頻度と香り呈示時間間隔との関係を表すグラフを示してある。
【0011】
図1に示すように、車両に搭載される香り発生手段としての芳香装置1は、ケース2内にタンク3が備えられ、タンク3には液状の芳香剤が入れられている。タンク3には噴霧ピストン4が備えられ、噴霧ピストン4はモータ5により作動してケース2内の蒸散室6に芳香剤を噴霧するようになっている。蒸散室6に熱板7が設けられ、熱板7に噴霧された芳香剤は強制的に気化され、ファン8によりダクト9から車室内に芳香剤の香りが呈示される。尚、ダンパ10はファン8の起動・停止に連動して開閉するよう構成されており、ファン8の作動中は開状態となっている。また、ファン8の停止と同時に蒸散室6のダンパ10が閉じることで車室内への香りの呈示が停止される。モータ5及びファン8の作動は、制御装置11の制御手段としての駆動指令部12からの指令に基づいて制御されるようになっている。
【0012】
尚、芳香装置1としては、固体の芳香剤を設けると共に芳香剤を可動式のカバーで覆い、カバーの移動により芳香剤の香りを呈示するようにすることも可能である。この場合、構成が極めて簡素化される。
【0013】
図2に基づいて制御装置11を説明する。制御装置11には、白線認識カメラ13の情報が入力されて車両の蛇行率が求められ、車速センサ14の情報が入力されて車両の車速が求められ、操舵角センサ15の情報が入力されてステアリングホイールの操舵量が求められる。車両の蛇行率、操舵量、及び後述の単調度に基づいて、公知のファジー理論を使った判定により運転者の注意力低下度が判断される。注意力低下度が規定値以上となった場合には、覚醒度低下判定手段16により注意力が低下して覚醒度が低下したことが判定される。尚、車速情報は注意力低下度の判定が可能な車速領域の検出に利用され、所定車速以上の領域でのみ注意力低下度が判断される。
【0014】
また、制御装置11には、車両のクラッチスイッチ17の情報が入力されてクラッチの操作状況が認識され、ウインカースイッチ18及び排気ブレーキスイッチ19の情報が入力されてウインカー及び排気ブレーキの操作状況が認識される。クラッチ、ウインカー及び排気ブレーキの所定時間内の操作頻度に基づいて、運転者の運転操作の単調度が逐次演算される。注意力低下度が規定値以下であっても単調度の単位時間当たりの平均が増加した場合、単調運転状態判定手段20により覚醒状態であるが単調度が増加した状態、即ち、覚醒度の低下を誘発する状態であることが判定される。
【0015】
覚醒度が低下した状態であること、覚醒状態であるが単調度が増加した状態であること及び覚醒状態であり単調度も増加していない状態であることが判定されると、判定情報が駆動指令部12に送られる。覚醒度が低下した状態であると判定された場合、1分毎に断続的に香りを呈示するように芳香装置1のモータ5及びファン8の作動制御を行う。覚醒状態であるが単調度が増加した状態であると判定された場合、ゆらぎ間隔(1/f ゆらぎ間隔)で香りを呈示するように芳香装置1のモータ5及びファン8の作動制御を行う。この時、タイマ21により前回の香り呈示から所定時間(例えば5分)が経過していれば1/f ゆらぎ間隔で香りを呈示する。覚醒状態であり単調度も増加していない状態であると判定された場合、香り呈示を停止する状態に芳香装置1のモータ5及びファン8の作動制御を行う。
【0016】
ゆらぎ間隔(1/f ゆらぎ)で香りを呈示する場合、図4に示すように、香り呈示の頻度と香り呈示時間間隔との関係が設定されている。つまり、時間間隔が短い時の香り呈示頻度が多く、時間間隔が長い時の香り呈示頻度が少なくなる状態で、香りの呈示間隔を一定ではない任意の間隔差で香りが呈示されるようになっている。例えば、運転中における眠気の周期は、実験等により7分程度であることが確認されている。このため、7分を挟んで5分から9分の間の時間間隔での1/f ゆらぎ間隔で香りを呈示するように制御される。
【0017】
図3に基づいて上記構成の車両用覚醒維持装置の作用を説明する。
【0018】
ステップS1でデータリセット等の初期設定が行われ、ステップS2で各種センサやスイッチ類のデータが読み込まれる。ステップS3で運転者の注意力低下度が規定値以上か否か、即ち、白線認識カメラ13で認識される車両の蛇行率、操舵角センサ15で認識される操舵量、及び単調度に基づいて判定される注意力低下度が規定値以上か否かが判断される。
【0019】
ステップS3で運転者の注意力低下度が規定値以上であると判断された場合、つまり、注意力が低下して覚醒度が低下していると判断された場合、ステップS4でゆらぎ間隔より短い間隔の1分毎に断続的に香りを呈示するように芳香装置1のモータ5の駆動及びダンパ10の開閉が制御される。これにより、運転者の覚醒度が低下している場合には、比較的強い刺激の香りを呈示することができ、運転者の覚醒度を効率良く回復させる(または、覚醒度の更なる低下を確実に抑制する)ことができる。
【0020】
ステップS3で運転者の注意力低下度が規定値に満たないと判断された場合、つまり、注意力は低下しておらず覚醒状態にあると判断された場合、ステップS5でクラッチスイッチ17の情報、ウインカースイッチ18及び排気ブレーキスイッチ19の情報によるクラッチ、ウインカー及び排気ブレーキの操作状況に基づいて判定される運転操作の単調度の単位時間当たりの平均が増加しているか否かが判断される。
【0021】
ステップS5で運転操作の単調度の単位時間当たりの平均が増加していると判断された場合、つまり、覚醒状態であるが単調度が増加して覚醒度の低下を誘発する状態であると判断された場合、ステップS6で前回の香り呈示から5分経過したか否かが判断される。ステップS6で5分経過していると判断された場合、ステップS7で1/f ゆらぎ間隔で香りを呈示するように芳香装置1のモータ5及びファン8の作動が制御される。これにより、覚醒状態であるが覚醒度の低下を誘発する単調運転状態にある場合には、1/f ゆらぎ間隔で香りを発生させ運転者にとって不快感なく適切な刺激タイミングで香りを呈示することができ、運転者の覚醒度を効率良く維持させることができる。また、単に単調運転状態の時には、1/f ゆらぎ間隔で香りを発生させるようにしているため、芳香剤の消費を抑制することができる。
【0022】
ステップS5で運転操作の単調度の単位時間当たりの平均が増加していないと判断された場合、運転者は覚醒状態にあり、しかも覚醒度の低下を誘発する状態でもないので、ステップS8で香り呈示を停止する状態に芳香装置1のモータ5の駆動及びダンパ10の開閉を制御する。また、ステップS6で前回の香り呈示から5分経過していないと判断された場合、ステップS8で香り呈示を停止する状態に芳香装置1のモータ5及びファン8の作動を制御する。前回の香り呈示から5分以上経過した時にのみ1/f ゆらぎ間隔で香りを発生させるようにしているので、嗅覚疲労の状態で香りが呈示されることはない。
【0023】
上述した車両用覚醒維持装置では、運転者が、覚醒状態であるが単調度が増加して覚醒度の低下を誘発する状態にある場合には、1/f ゆらぎ間隔で香りを発生させるので、運転者にとって不快感なく適切な刺激タイミングで香りを発生させることができ、運転者の覚醒度を効率良く維持させることができる。また、覚醒状態にあり単に単調運転状態の場合の芳香剤の消費を抑制することができる。
【0024】
また、運転者の覚醒度が低下した場合には、単調運転状態を検出した場合に優先して1/f ゆらぎ間隔より短い断続的な1分毎の間隔で香りを発生させるので、単調運転状態を検出した場合とは異なるパターンでより強い刺激を与えることができ、運転者の覚醒度を効率良く回復させる(または覚醒度の更なる低下を確実に抑制する)ことができる。
【0025】
従って、運転者に不快感を与えることなく覚醒状態を維持することができると共に芳香剤の無駄な消費を抑えることができ、しかも、覚醒度が低下している時には確実に覚醒度を向上させることができる。
【0026】
尚、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、覚醒度低下判定手段や単調運転状態判定手段として、他の方式や、他のセンサ、他の入力パラメータを使用するものを用いてもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明の車両用覚醒維持装置は、単調運転状態判定手段により単調運転状態にあることを検知すると香りをゆらぎ間隔で発生させると共に、覚醒度低下判定手段により覚醒度が低下したことを検知すると単調運転状態を検知した場合に優先して香りをゆらぎ間隔より短い一定間隔で発生させるよう香り発生手段の作動を制御するようにしたので、覚醒度の低下を誘発する単調運転状態の時は、ゆらぎ間隔で運転者にとって不快感なく適切なタイミングで香りを発生させて運転者の覚醒度を維持し、覚醒度が低下した時は、ゆらぎ間隔よりも短い一定間隔で単調運転時とは異なるパターンでより強い刺激を与える状態で香りを発生させて運転者の覚醒度を回復させる(または覚醒度の更なる低下を確実に抑制する)ことができる。この結果、快適性を損なうことなく運転者に覚醒を効率よく促すと共に覚醒状態を効率よく維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例に係る車両用覚醒維持装置の香り発生手段の概略構成図。
【図2】車両用覚醒維持装置の制御装置のブロック構成図。
【図3】香り呈示制御のフローチャート。
【図4】香り呈示頻度と香り呈示時間間隔との関係を表すグラフ。
【符号の説明】
1 芳香装置
11 制御装置
12 駆動指令部
13 白線認識カメラ
14 車速センサ
15 操舵角センサ
16 覚醒度低下判定手段
17 クラッチスイッチ
18 ウインカースイッチ
19 排気ブレーキスイッチ
20 単調運転状態判定手段
Claims (5)
- 運転者の注意力低下度が規定値以上となったとき運転者の覚醒度が低下したことを判定する覚醒度低下判定手段と、
運転者の運転操作の単調度が増加した状態であるとき運転者の覚醒度の低下を誘発する単調運転状態であると判定する単調運転状態判定手段と、
車室内に覚醒用の香りを発生させる香り発生手段と、
前記単調運転状態判定手段により前記単調運転状態にあることを検知すると前記香りをゆらぎ間隔で発生させると共に、前記覚醒度低下判定手段により前記覚醒度が低下したことを検知すると前記単調運転状態を検知した場合に優先して前記香りを前記ゆらぎ間隔より短い一定間隔で発生させるよう前記香り発生手段の作動を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両用覚醒維持装置。 - 請求項1に記載の車両用覚醒維持装置において、
前記制御手段は、前記単調運転状態判定手段により前記単調運転状態にあることを検知すると、前回の前記香り呈示から所定時間が経過していれば前記香りを発生させることを特徴とする車両用覚醒維持装置。 - 請求項1もしくは請求項2に記載の車両用覚醒維持装置において、
前記注意力低下度は、車両の蛇行率、操舵量及び前記単調度に基づき判断されることを特徴とする車両用覚醒維持装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両用覚醒維持装置において、
前記単調度は、クラッチ、ウインカー、排気ブレーキの所定時間内の操作頻度に基づいて演算されることを特徴とする車両用覚醒維持装置。 - 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車両用覚醒維持装置において、
前記車両の蛇行率は、白線認識カメラの情報に基づいて求められることを特徴とする車両用覚醒維持装置。
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