JP3810518B2 - 超音波洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は被洗浄物を洗浄する洗浄液に超音波振動を付与するために用いられる超音波洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば液晶製造装置や半導体製造装置においては、液晶用ガラス基板や半導体ウエハなどの被洗浄物を高い清浄度で洗浄することが要求される工程がある。上記被洗浄物を洗浄する方式としては、洗浄液中に複数枚の被洗浄物を浸漬するデイップ方式や被洗浄物に向けて洗浄液を噴射して一枚づつ洗浄する枚葉方式があり、最近では高い清浄度が得られるとともに、コスト的に有利な枚葉方式が採用されることが多くなってきている。
【0003】
枚葉方式の1つとして被洗浄物に噴射される洗浄液に超音波振動を付与し、その振動作用によって上記被洗浄物から微粒子を効率よく除去するようにした洗浄方式が実用化されている。
【0004】
洗浄液に付与する振動は、従来は20〜50kHz程度の超音波であったが、最近では600 〜2000kHz程度の極超音波帯域の音波を付与する超音波洗浄装置が開発されている。
【0005】
ところで、上記超音波洗浄装置は装置本体を有し、この装置本体には振動子が取り付けられた振動板が設けられている。上記振動子には超音波発振器が接続される。この超音波発振器は所定の周波数の電力を出力し、その電力を上記振動子に印加する。それによって、上記振動子が超音波振動するから、その超音波振動に上記振動板が連動し、この振動板によって洗浄液に超音波振動が付与されるようになっている。
【0006】
上記構成の超音波洗浄装置によると、たとえば振動板と振動子との接着状態が一定でなかったり、振動子が固有の特性を有するなどのことにより、それぞれの超音波洗浄装置の振動子を消費電力の少ない効率のよい最適な状態で作動させるインピ−ダンスにバラツキが生じるということが避けられない。そのため、上記振動子が設けられるマッチング回路にはコイルとコンデンサを設け、これらコイルとコンデンサで超音波発振器と振動子とのインピ−ダンスマッチングをとるということが行われている。
【0007】
従来、超音波発振器と振動子とのインピ−ダンスマッチングを取るためには、インピ−ダンスの異なる複数のコイルを予め用意しておき、それぞれのコイルを順次マッチング回路に組み込んでマッチング状態を測定し、そのマッチング回路に消費電力の最も少なくなる最適なインダクタンスのコイルを使用するということが行われていた。
【0008】
しかしながら、このようにしてインピ−ダンスマッチングを取るようにすると、インピ−ダンスの異なる複数のコイルを用意しておかなければならないから、不経済であるばかりか、それぞれの超音波洗浄装置ごとに最も適したインピ−ダンスのコイルを選択して取り付けなければならないから、その作業に手間が掛かるということがあり、さらにはコイルを交換するだけでは微調整ができないなどのことがあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来はそれぞれの超音波洗浄装置に適したインダクタンスのコイルを選択して取り付けるということが行われていたので、インダクタンスの異なる複数のコイルを用意し、最適なものを選択しなければならないため、その作業が容易でなく、しかも微調整がしにくいということがあった。
【0010】
この発明は上記事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、超音波洗浄装置に予め設けられたコイルによってインピ−ダンスマッチングを取ることができるようにした超音波洗浄装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、洗浄液に超音波振動を付与して被洗浄物を洗浄するための超音波洗浄装置において、
洗浄液が供給される装置本体と、
この装置本体に設けられた振動板に取り付けられた振動子と、
この振動子と電気的に接続されこの振動子を駆動して超音波振動させる超音波発振器と、
この超音波発振器と上記振動子の間に設けられ、この振動子と上記超音波発振器とのインピ−ダンスマッチングをとるためのコイルおよびコンデンサとを具備し、
上記コイル及び上記コンデンサは上記装置本体に設けられ、このコイルの巻線には電極がスライド自在に設けられていて、このコイルの一端は上記電極を介して上記超音波発振器に接続され、他端は上記振動子を介して上記超音波発振器に接続されていることを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明によれば、コイルに設けられた電極をスライドさせると、このコイルの回路におけるインダクタンスを変えることができるから、インダクタンスの異なる複数のコイルを用意しておくことなく、超音波発振器と振動子とのインピ−ダンスマッチングを取ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態を図1乃至図3を参照して説明する。
図1に示すこの発明の超音波洗浄装置は装置本体11を有する。この装置本体11は上面が開放した凹部12が長手方向に沿って形成された上部材13と、この上部材13の下面に第1のシ−ル材14を介して液密に接合固定された下部材15とによって細長い角柱状に形成されている。
【0014】
上記上部材13の下部壁の幅方向中央部分には長手方向に沿って嵌合孔16が穿設され、上記下部材15の上面の幅方向中央部分には上記嵌合孔16に嵌合する凸部17が形成されている。
【0015】
上記下部材15の凸部17が形成された幅方向中央部分には、一端を上面に開口させ、他端を下面に開口させた空間部18が長手方向に沿って形成されている。この空間部18の断面形状は、一端(上端)から他端(下端)にゆくにつれて幅寸法が小さくなるテ−パ状をなしていて、その下端開口は狭幅なノズル口19となっている。
【0016】
上記空間部18の開口した上端はタンタル、チタンあるいはそれらの合金などによって矩形板状に形成された振動板21によって液密に閉塞されている。つまり、この振動板21は、その下面周辺部が所定の厚さを有する枠状の第2のシ−ル材22を介して上記上部材13の凹部12の内底面に接合されている。
【0017】
上記振動板21の上面には同じく枠状の押え板23が接合され、上記上部材13にねじ20によって固定されている。それによって、上記空間部18の上端開口は液密に閉塞されている。
【0018】
上記振動板21の上面の幅方向中央部分、つまり上記空間部18と対応する部位には振動子24が上記振動板21の長手方向に沿って取着されている。
上記振動板21の上方には給電板25が上記押え板23に保持部材26を介して取り付けられている。この給電板25には上記振動子24と弾性的に接触した板ばね状の接触子27が設けられている。
【0019】
上記給電板25にはコイル28が一端(下端)を電気的に接続して設けられている。このコイル28の他端(上端側)には電極29がスライド自在かつ任意のスライド位置で固定可能に設けられている。
【0020】
たとえば、上記電極29は図2に示すように上記コイル28の巻線の一端部が挿通される通孔29aを有する有底筒状のスライド部材29bと、このスライド部材29bに上記通孔29aと交差して形成されたねじ孔29dにねじ込まれた固定ねじ29cとからなり、この固定ねじ29cを緩めて上記スライド部材29bを上記巻線に沿ってスライドさせるとともに、所定の位置で上記固定ねじ29cを締め込むことで、電極29を任意の位置で上記コイル28と電気的に接続された状態で固定できるようになっている。
【0021】
上記電極29のスライド部材29bにはたとえばインピーダンス50Ωの同軸ケ−ブル30の第1のケ−ブル30aの一端が接続されている。つまり、コイル28の一端側は電極29を介して第1のケ−ブル30aの一端に接続されている。このコイル28の他端は給電板25および接触子27を介して振動子24の一方の電極に接続されている。
【0022】
上記振動子24の他方の電極は振動板21を介して押え板23に導通し、この押え板23には上記同軸ケ−ブル30の第2のケ−ブル30bの一端が接続されている。これらケ−ブル30a、30bの他端は上記振動子24を駆動して超音波振動させる超音波発振器31に接続されている。また、装置本体11には、第1のケ−ブル30aと第2のケ−ブル30bとの間に接続された可変コンデサン32が設けられ、図3に示すように上記振動子24を超音波振動させるためのマッチング回路33を形成している。つまり、マッチング回路33と超音波発振器31とは同軸ケ−ブル30によって接続されている。
【0023】
したがって、上記電極29をスライドさせて上記マッチング回路33におけるコイル28のインダクタンスを調整したり、可変コンデンサ32のリアクタンスを調整することで、超音波発振器31と振動子24とのインピ−ダンスマッチングをとることができるようになっている。
【0024】
上記装置本体11の下部材15には、上記空間部18の幅方向両側に位置する一対の供給路34が長手方向に貫通して形成されている。この供給路34の両端には図示しない供給源が同じく図示しないチュ−ブを介して接続され、純水や薬液などの洗浄液を供給するようになっている。
【0025】
一対の供給路34にはそれぞれ複数の噴出路35(1つだけ図示)が一端を連通させて設けられている。つまり、噴出路35は上記装置本体11の上部材13と下部材15との接合する部分に形成されていて、他端を上記上部材13の凹部12の内底面の上記振動板21によって覆われた部分、つまり上記空間部18の上端側に連通するよう開口させている。上記噴出路35は上記空間部18の幅方向一側と他側において、装置本体11の長手方向に沿って所定間隔で複数形成されている。
【0026】
上記超音波発振器31は図3に示すように周波数シンセサイザ41を有する。この周波数シンセサイザ41からは所定の周波数の電力が出力されるようになっていて、その周波数はCPU42によって制御される。この実施形態では、上記周波数シンセサイザ41からの周波数は、第1の周波数である1590kHz、第2の周波数である1600kHz、第3の周波数である1610kHzに変換制御されるようになっている。すなわち、上記CPU42は上記周波数シンセサイザ41から出力される電力の周波数を所定時間ごとに上記第1乃至第3の周波数に順次変換するようになっている。
【0027】
上記周波数シンセサイザ41から出力された所定周波数の電力は、高周波パワ−アンプ43で増幅され、インピーダンス50Ωの同軸ケ−ブル30の電圧、電流をモニタするCMカップラ−(通過形電力計)44で出力がモニタ−されて上記マッチング回路33へ出力される。
【0028】
上記CMカップラ−44は以下のような原理によって上記超音波発振器31と振動子24とのマッチングをチェックできる。つまり、測定された電圧をC分圧で同位相で分圧Vv とする。相互誘導M結合で2次回路ショ−ト条件、つまりカレントトランスで十分低い抵抗に2次電流を流すことにより、電流と同位相の電圧Vi を作る。そして、マッチングをチェックする場合には、Vv −Vi が0になったかどうかによって判定する。つまり、V/I=50Ωで位相が一致していることがマッチングしているということになる。
【0029】
つぎに、上記構成の超音波洗浄装置を使用する場合について説明する。
まず、上記構成の超音波洗浄装置を実際に使用するに先立って振動子24を効率よく振動させるために、超音波発振器31と振動子24とのインピ−ダンスマッチングをとる。すなわち、超音波発振器31を作動させ、振動子24を超音波発振させるとともに、そのときに上記超音波発振器31と振動子24とのインピ−ダンスマッチングがとれているか否やかをCMカップラ−44によって測定する。
【0030】
マッチングが取れていない場合には、コイル28の巻線に設けられた電極29をその巻線に沿ってスライドさせてマッチング回路33におけるインダクタンスを調整するとともに、可変コンデンサ32を調整して同じくマッチング回路33におけるリアクタンスを調整し、上記超音波発振器31と振動子24とのインピ−ダンスをマッチングさせる。
【0031】
上記コイル28のインダクタンスの調整は、その巻線に沿って電極29をスライドさせるだけである。つまり、従来のようにインダクタンスの異なる複数のコイルを用意しておき、それぞれのコイルを順次マッチング回路33に組み込んでマッチング状態を測定し、そのマッチング回路33に最適なインダクタンスのコイルを使用するということをせずにすむ。
【0032】
そのため、インピ−ダンスのマッチングさせる作業が容易に行えるばかりか、電極29をスライドさせるという簡単な作業によってインダクタンスを微調整できるから、上記超音波発振器31と振動子24とを高い精度でマッチングさせることができる。
【0033】
しかも、上記コイル28や可変コンデンサ32は装置本体11に設けられている。そのため、各装置本体11に設けられた振動子24が固有のインダクタンスやリアクタンスを有していても、その装置本体11に接続される超音波発振器31に対してマッチングをとることができるから、装置本体11と超音波発振器31とに互換性を備えることができる。
【0034】
このようにして振動子24と超音波発振器31とのインピ−ダンスをマッチングさせたならば、洗浄液を一対の供給路34から噴出路35を介して空間部18へ供給する。空間部18に供給された洗浄液は、振動子24とともに超音波振動する振動板21により超音波振動が付与され、ノズル口19から噴出する。したがって、その洗浄液によって上記ノズル口19に対向して配置される被洗浄物を超音波洗浄することができる。
【0035】
上記振動子24と超音波発振器31とはインピ−ダンスマッチングが取れているから、上記振動子24を効率よく超音波振動させることができる。つまり、消費電力を最小限にすることができるから、上記超音波発振器31のランニングコストを低減することができる。
【0036】
上記超音波発振器31の周波数シンセサイザ41から出力される電力の周波数はCPU42からの信号によって所定時間ごとに第1の周波数、第2の周波数および第3の周波数に変換される。各周波数での作動時間は、たとえば第1の周波数のときの洗浄効果が他の周波数のときよりも高い場合には、第1の周波数での作動時間を他の周波数の作動時間よりも長くして全体としての洗浄効果を高めるようにする。
【0037】
このように、振動子24は所定時間ごとに周波数を変化させて振動する。そのため、振動周波数の変化に応じて装置本体11に形成された空間部18内で発生する振動波も図4にa〜cで示すように変化する。
【0038】
振動波が変化すると、上記空間部18内における各振動波の腹Sの位置も変化する。そのため、空間部18の壁面に気泡Bが付着しても、その気泡Bはいずれかの振動波a〜cの腹Sの部分に当たるから、その腹Sの部分によって成長する前に壁面から剥離され、ノズル口19から流出する。
【0039】
つまり、空間部18の内面に気泡が付着しても、その気泡Bは成長して浮上し、振動板21の下面に付着する前に除去されるから、振動板21から洗浄液への超音波振動の伝達効率が低下したり、成長した気泡Bが振動板21に付着することで、その部分に洗浄液が接触するのが妨げられて異常に温度上昇するということも防止される。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1の発明によれば、振動子を超音波発振器で駆動する超音波洗浄装置において、その装置にコイルを設け、このコイルの巻線に電極をスライド自在に設け、この電極をスライドさせることで、上記コイルのインダクタンスを変えて上記超音波発振器と振動子とのインピ−ダンスマッチングをとるようにした。
【0041】
そのため、従来のようにインダクタンスの異なる複数のコイルを用意しておくことなく、上記電極をスライドさせるだけで超音波発振器と振動子とのインピ−ダンスマッチングを取ることができるから、その作業を容易に行うことができる。しかも、電極をスライドさせることでコイルのインダクタンスを連続的に変えることができるから、インピ−ダンスマッチングの微調整が可能である。
さらに、コイルとコンデンサを装置本体に設けたことで、超音波発振器と装置本体とに互換性を持たせることができるなどの利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を示す超音波洗浄装置の概略的構成の断面図。
【図2】同じくコイルに設けられる電極の断面図。
【図3】同じく電気回路図。
【図4】同じく洗浄液に異なる周波数の振動を付与したときの説明図。
【符号の説明】
11…装置本体
24…振動子
21…振動板
28…コイル
29…電極
31…超音波発振器
32…コンデンサ

Claims (1)

  1. 洗浄液に超音波振動を付与して被洗浄物を洗浄するための超音波洗浄装置において、
    洗浄液が供給される装置本体と、
    この装置本体に設けられた振動板に取り付けられた振動子と、
    この振動子と電気的に接続されこの振動子を駆動して超音波振動させる超音波発振器と、
    この超音波発振器と上記振動子の間に設けられ、この振動子と上記超音波発振器とのインピ−ダンスマッチングをとるためのコイルおよびコンデンサとを具備し、
    上記コイル及び上記コンデンサは上記装置本体に設けられ、このコイルの巻線には電極がスライド自在に設けられていて、このコイルの一端は上記電極を介して上記超音波発振器に接続され、他端は上記振動子を介して上記超音波発振器に接続されていることを特徴とする超音波洗浄装置。
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