JP3824708B2 - 低分子量エチレン系重合体用触媒および低分子量エチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

低分子量エチレン系重合体用触媒および低分子量エチレン系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低分子量エチレン系重合体用触媒およびこの触媒を用いた低分子量エチレン系重合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】
エチレン単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体などのエチレン系重合体は、種々の成形方法により成形され、多方面の用途に供されている。エチレン系重合体は、成形方法や用途に応じて要求される特性も異なってくる。また、重合に用いる触媒、製造方法によって得られるエチレン系重合体の特性も異なってくる。
【0003】
ところで、チーグラー型触媒、たとえばチタン系触媒を用いて得られるエチレン重合体は、一般に組成分布が広く、フィルムなどの成形体はベタつきがあるなどの問題点がある。
【0004】
また、クロム系触媒を用いて得られるエチレン系重合体は、共重合性に劣り、生成するエチレン系共重合体の組成分布が広いという問題点がある。
チーグラー型触媒系のうち、メタロセン触媒系を用いて得られるエチレン系重合体は、組成分布が狭くフィルムなどの成形体はベタつきが少ないなどの長所があることが知られている。しかしながら、メタロセン触媒系を用いて得られるエチレン系重合体は、分子量分布も狭いため成形性に劣ることが予想される。
【0005】
このようなメタロセン触媒系を用いて得られるエチレン系重合体の成形性を向上させる方法としては、2基の連続した重合基を用い、1段目において高分子量の重合体を製造し、2段目において水素の存在下に低分子量の重合体を製造して分子量分布の広いエチレン系重合体を製造する方法、2種の触媒を用い、1基の重合基により分子量分布の広いエチレン系重合体を製造する方法などがある。
【0006】
上記のように1基の重合基により分子量分布の広いエチレン系重合体を製造する場合には、通常分子量調整剤である水素が使用できないため、通常の重合条件で、かつ水素の不存在下でも分子量の小さい重合体が得られるような触媒が必要とされる。
【0007】
本発明者らはこのような状況のもと鋭意検討した結果、メタロセン系触媒の遷移金属化合物触媒成分として、特定の置換基を有するシクロペンタジエニル基を有する遷移金属化合物が、重合系に必ずしも水素を添加しなくても分子量分布が狭く、かつ低分子量のエチレン系重合体が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、低分子量エチレン系重合体を製造するのに適した触媒およびこの触媒を用いた低分子量エチレン系重合体の製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】
本発明に係る極限粘度[η]が、0.005〜1.0dl/gの重合体の製造に用いられる低分子量エチレン系重合体用触媒は、
(A)下記一般式(I)で表される周期表4族の遷移金属化合物と、
(B)有機アルミニウムオキシ化合物と、
必要に応じて
(C)有機アルミニウム化合物とからなることを特徴としている。
【0010】
【化2】
Figure 0003824708
【0011】
(式中、Mは、周期表4族の遷移金属原子を示し、
R1 およびR2 は、n−ブチル基を示し、
mおよびnは、互いに同一でも異なっていてもよく、1〜4の整数であり、
X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、イオウ含有基、ハロゲン原子または水素原子を示し、
Yは、2価の炭化水素基または2価のケイ素含有基を示す。)
本発明では、前記(A)遷移金属化合物および(B)有機アルミニウムオキシ化合物は、微粒子状担体に担持することができる。
【0012】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体の製造方法は、上記のような触媒の存在下にエチレンを単独重合させるか、またはエチレンと炭素原子数が3以上のオレフィンとを共重合させることを特徴としている。
【0013】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る低分子量エチレン系重合体用触媒および低分子量エチレン系重合体の製造方法について具体的に説明する。
【0014】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体用触媒は、(A)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、(B)有機アルミニウムオキシ化合物と、必要に応じて(C)有機アルミニウム化合物とから形成さている。
【0015】
まず、本発明に係る低分子量エチレン系重合体用触媒を形成する各成分について説明する。
本発明に係るエチレン系重合体用触媒に用いられる(A)遷移金属化合物は、下記式(I)で表される遷移金属化合物である。
【0016】
【化3】
Figure 0003824708
【0017】
式中、Mは、周期表4族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。
R1 およびR2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基またはケイ素含有基を示す。
【0018】
炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基などが挙げられ、より具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、アイコシルなどの炭素原子数が1〜20のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が4〜20のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどの炭素原子数が2〜20のアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ネオフィルなどの炭素原子数が7〜20のアラルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどの炭素原子数が6〜20のアリール基が挙げられる。これらの炭化水素基は、ハロゲンが置換していてもよい。
【0019】
ケイ素含有基としては、メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル;ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル;トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0020】
mおよびnは、互いに同一でも異なっていてもよく、1〜4の整数であり、
mが2、3または4のとき、複数のR1 は、互いに同一でも異なっていてもよく、nが2、3または4のとき、複数のR2 は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0021】
また、R1 およびR2 の少なくとも1個は、炭素原子数が3以上の直鎖状炭化水素基であり、好ましくはn-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチルである。
X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、イオウ含有基、ハロゲン原子または水素原子を示す。
【0022】
炭素原子数が1〜20の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などを例示することができ、より具体的には、前記R1 およびR2 と同様の基を例示することができる。
【0023】
アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、オクトキシなどを例示することができる。
【0024】
アリーロキシ基としては、フェノキシなどを例示することができる。
トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリルなどを例示することができる。
【0025】
イオウ含有基としては、メチルスルフォナト、トリフルオロメタンスルフォナト、フェニルスルフォナト、ベンジルスルフォナト、p-トルエンスルフォナト、トリメチルベンゼンスルフォナト、トリイソブチルベンゼンスルフォナト、p-クロルベンゼンスルフォナト、ペンタフルオロベンゼンスルフォナトなどのスルフォナト基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基が挙げられる。
【0026】
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素である。
Yは、2価の炭化水素基または2価のケイ素含有基である。
2価の炭化水素基としては、メチレン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアルキレン基;イソプロピリデン、シクロヘキシリデンなどのアルキリデン基;ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2-エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素原子数が1〜20の2価の炭化水素基が挙げられる。
【0027】
2価のケイ素含有基としては、シリレン;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレンなどのアルキルシリレン基;メチルフェニルシリレンなどのアルキルアリールシリレン基;ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアリールシリレン基;テトラメチル-1,2-ジシリレンなどのアルキルジシリレン基;テトラフェニル-1,2-ジシリレンなどのアルキルジシリレン基;アルキルアリールジシリレン基;アリールジシリレン基などの2価のケイ素含有基が挙げられる。
【0028】
このような一般式(I)で表される遷移金属化合物としては、
ジメチルシリレンビス(2-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(3-n-プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、
ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、
ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロライド、
ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロライド、
ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメトキシド、
ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロライド、
ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ジメチルシリレンビス(3-n-ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(3-n-オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(3-n-デシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,3-n-ブチル,メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,3-n-プロピル,メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,4-n-ブチル,メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,4-n-ブチル,エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,4-ジ-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,4-n-プロピル,メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,3,4-n-ブチル,ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,3,5-n-ブチル,ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,3,5-ジn-ブチル,メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,3,5-トリn-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,3,4,5-n-ブチル,トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,3,4,5-ジn-ブチル,ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,3,4,5-トリn-ブチル,メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,3,4,5-テトラn-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレン(3-メチルシクロペンタジエニル)(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレン(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)(2-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレン(3-メチルシクロペンタジエニル)(2,4-n-ブチル,メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレン(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)(2,4-n-ブチル,メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジフェニルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
メチルフェニルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
エチレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
エチレンビス(2,4-n-ブチル,メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
エチレンビス(2,4,5-n-ブチル,ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
イソプロピリデンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
イソプロピリデンビス(2,4-n-ブチル,メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
イソプロピリデンビス(2,4,5-n-ブチル,ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
シクロヘキシリデンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジフェニルメチレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドなどが挙げられる。
【0029】
本発明では上記のようなジルコニウム化合物において、ジルコニウム金属を、チタン金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることができる。
【0030】
これらの、一般式(I)で表される遷移金属化合物のうちでは、
ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,4-n-ブチル,メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシリレンビス(2,4-n-ブチル,エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
エチレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドが特に好ましい。
【0031】
本発明に係る低分量エチレン系重合体用触媒に用いられる(b)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のベンゼン可溶性のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−276807号公報で開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0032】
従来公知のアルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製造することができる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と、有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水や氷や水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエン等の媒体中でトリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシド等の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0033】
なお、このアルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解してもよい。
【0034】
アルミノキサンを製造する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げられる。
【0035】
これらのうち、トリアルキルアルミニウムおよびトリシクロアルキルアルミニウムが特に好ましい。
また、この有機アルミニウム化合物として、下記一般式
(i-C4H9)x Aly (C5H10)z
(x、y、zは正の数であり、z≧2xである)
で表わされるイソプレニルアルミニウムを用いることもできる。
【0036】
上記のような有機アルミニウム化合物は、単独でまたは組合せて用いられる。
アルミノキサンの製造の際に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素が好ましい。
【0037】
またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶性または難溶性である。
【0038】
有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼンに対する溶解性は、100ミリグラム原子のAlに相当する該有機アルミニウムオキシ化合物を100mlのベンゼンに懸濁した後、攪拌下60℃で6時間混合した後、ジャケット付G−5ガラス製フィルターを用い、60℃で熱時濾過を行ない、フィルター上に分離された固体部を60℃のベンゼン50mlを用いて4回洗浄した後の全濾液中に存在するAl原子の存在量(xミリモル)を測定することにより求められる(x%)。
【0039】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体用触媒は、前記(A)遷移金属化合物と、前記(B)有機アルミニウムオキシ化合物とから形成されるが、必要に応じて前記(A)遷移金属化合物および前記(B)有機アルミニウムオキシ化合物の少なくとも一方を下記のような微粒子状担体に担持してもよい。
【0040】
必要に応じて用いられる微粒子状担体は、無機または有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体が使用される。このうち無機化合物としては多孔質酸化物が好ましく、具体的にはSiO2 、Al2 O3 、MgO、ZrO2 、TiO2 、B2 O3 、CaO、ZnO、BaO、ThO2 等またはこれらの混合物、例えばSiO2-MgO、SiO2-Al2 O3 、SiO2-TiO2 、SiO2-V2 O5 、SiO2-Cr2 O3 、SiO2-TiO2-MgO等を例示することができる。これらの中でSiO2 およびAl2 O3 からなる群から選ばれた少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
【0041】
なお、上記無機酸化物には少量のNa2 CO3 、K2 CO3 、CaCO3 、MgCO3 、Na2 SO4 、Al2 (SO4)3 、BaSO4 、KNO3 、Mg(NO3 )2 、Al(NO3 )3 、Na2 O、K2 O、Li2 O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差しつかえない。
【0042】
このような微粒子状担体は種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、比表面積が50〜1000m2 /g、好ましくは100〜700m2 /gであり、細孔容積が0.3〜2.5cm3 /gであることが望ましい。該担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃の温度で焼成して用いられる。
【0043】
このような微粒子状担体では、吸着水量が1.0重量%未満、好ましくは0.5重量%未満であることが望ましく、表面水酸基が1.0重量%以上、好ましくは1.5〜4.0重量%、特に好ましくは2.0〜3.5重量%であることが望ましい。
【0044】
ここで、微粒子状担体の吸着水量(重量%)および表面水酸基量(重量%)は下記のようにして求められる。
[吸着水量]
200℃の温度で、常圧、窒素流通下で4時間乾燥させたときの重量減を求め、乾燥前の重量に対する百分率として示す。
[表面水酸基量]
200℃の温度で、常圧、窒素流通下で4時間乾燥して得られた担体の重量をX(g)とし、さらに該担体を1000℃で20時間焼成して得られた表面水酸基が消失した焼成物の重量をY(g)として、下記式により計算する。
【0045】
表面水酸基量(重量%)={(X−Y)/X}×100
さらに、微粒子状担体としては、粒径が10〜300μmの範囲にある有機化合物の顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。これら有機化合物としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体もしくは共重合体を例示することができる。
【0046】
さらに本発明では、低分子量エチレン系重合体用触媒を形成する触媒成分として、下記のような(C)有機アルミニウム化合物を必要に応じて用いることができる。
【0047】
必要に応じて用いられる(C)有機アルミニウム化合物としては、たとえば下記一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
Ra n AlX3-n … (II)
(式中、Ra は炭素原子数が1〜12の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜3である。)
上記一般式(II)において、Ra は炭素原子数が1〜12の炭化水素基、たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、ノニル、オクチルなどのアルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基、フェニル、トリルなどのアリール基である。
【0048】
このような有機アルミニウム化合物(C)として具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジヒドロフェニルアルミニウム、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジ-n-ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジイソヘキシルアルミニウムハイドライド、ジフェニルアルミニウムハイドライド、ジシクロヘキシルアルミニウムハイドライド、ジ-sec-ヘプチルアルミニウムハイドライド、ジ-sec-ノニルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなど。
【0049】
また有機アルミニウム化合物(C)として、下記一般式(III)で表される化合物を用いることもできる。
Ra n AlY3-n … (III)
(式中、Ra は上記と同様であり、Yは−ORb 基、−OSiRc 3 基、−OAlRd 2 基、−NRe 2 基、−SiRf 3 基または−N(Rg )AlRh 2 基であり、nは1〜2であり、Rb 、Rc 、Rd およびRh はメチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、シクロヘキシル、フェニルなどであり、Re は水素原子、メチル、エチル、イソプロピル、フェニル、トリメチルシリルなどであり、Rf およびRg はメチル、エチルなどである。)
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
(1)Ra n Al(ORb)3-n で表される化合物、たとえば
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど;
(2)Ra n Al(OSiRc 3)3-n で表される化合物、たとえば
Et2 Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2 Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2 Al(OSiEt3)など;
(3)Ra n Al(OAlRd 2 )3-n で表される化合物、たとえば、
Et2 AlOAlEt2 、(iso-Bu)2 AlOAl(iso-Bu)2 など;
(4)Ra n Al(NRe 2)3-n で表される化合物、たとえば
Me2 AlNEt2、Et2 AlNHMe、Me2 AlNHEt、Et2 AlN(SiMe3)2、(iso-Bu)2 AlN(SiMe3)2 など;
(5)Ra n Al(SiRf 3)3-n で表される化合物、たとえば
(iso-Bu)2 AlSiMe3 など;
(6)Ra n Al(N(Rg )AlRh 2)3-n で表される化合物、たとえば
Et2 AlN(Me)AlEt2、
(iso-Bu)2 AlN(Et)Al(iso-Bu)2 など。
【0050】
上記一般式(II)および(III)で表される有機アルミニウム化合物の中では、一般式Ra 3 Al、Ra n Al(ORb)3-n 、Ra n Al(OAlRd 2)3-n で表される化合物が好ましく、特にRa がイソアルキル基であり、n=2である化合物が好ましい。
【0051】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体用触媒としては、上記のような(A)遷移金属化合物(成分(A))と、(B)有機アルミニウムオキシ化合物(成分(B))とからなる触媒(i)、微粒子状担体に、成分(A)と成分(B)とが担持された固体触媒(ii)、または前記触媒(i)(触媒成分)と(C)有機アルミニウム化合物(成分(C))とからなる触媒、前記固体触媒(ii)(固体触媒成分)と成分(C)とからなる触媒などがある。
【0052】
図1に、本発明に係る低分子量エチレン系重合体用触媒の調製工程を示す。
固体触媒(ii)は、成分(A)、成分(B)および微粒子状担体、必要に応じて成分(C)とを接触させることにより調製することができる。
【0053】
成分(A)、成分(B)および微粒子状担体、必要に応じて成分(C)の接触は、不活性炭化水素溶媒中で行うことができ、触媒の調製に用いられる不活性炭化水素溶媒として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0054】
成分(A)、成分(B)および微粒子状担体、必要に応じて成分(C)を混合接触するに際して、成分(A)は、微粒子状担体1g当り、成分(A)中の遷移金属原子に換算して通常5×10-6〜5×10-4モル、好ましくは10-5〜2×10-4モルの量で用いられ、成分(A)の濃度は、成分(A)中の遷移金属原子に換算して約10-4〜2×10-2モル/リットル(溶媒)、好ましくは2×10-4〜10-2モル/リットル(溶媒)の範囲である。成分(B)中のアルミニウム原子と、成分(A)中の遷移金属原子(M)との原子比(Al/M)は、通常10〜500、好ましくは20〜200である。必要に応じて用いられる成分(C)中のアルミニウム原子(Al-C)と成分(B)中のアルミニウム原子(Al-B)の原子比(Al-C/Al-B)は、通常0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5の範囲である。各成分を混合接触する際の混合温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1分〜50時間、好ましくは10分〜25時間である。
【0055】
上記のようにして調製された固体触媒(ii)は、微粒子状担体1g当り、成分(A)は、該成分(A)中の遷移金属原子に換算して5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは10-5〜2×10-4グラム原子の量で担持され、また成分(B)および成分(C)は、微粒子状担体1g当り、該成分(B)および成分(C)中のアルミニウム原子に換算して10-3〜5×10-2グラム原子、好ましくは2×10-3〜2×10-2グラム原子の量で担持されていることが望ましい。
【0056】
オレフィン重合用触媒は、成分(A)、成分(B)、微粒子状担体および予備重合により生成するポリオレフィンと、必要に応じて成分(C)とからなる予備重合触媒であってもよい。
【0057】
予備重合触媒は上記成分(A)、成分(B)および微粒子状担体、必要に応じて成分(C)の存在下、不活性炭化水素溶媒中にオレフィンを導入し予備重合を行うことにより調製することができる。なお上記成分(A)、成分(B)および微粒子状担体から前記固体触媒(ii)(固体触媒成分)が形成されていることが好ましい。この場合、固体触媒(ii)に加えて、さらに成分(B)および/または成分(C)を添加してもよい。
【0058】
予備重合触媒は、上述の固体触媒(ii)(固体触媒成分)を調製した懸濁液にオレフィンを導入してもよく、また固体触媒(ii)を調製した後、生成した固体触媒(ii)を懸濁液から分離し、その後固体触媒(ii)を再び不活性炭化水素で懸濁状にし、そこへオレフィンを導入してもよい。
【0059】
予備重合する際には、上記成分(A)は、該成分(A)中の遷移金属原子に換算して通常10-6〜2×10-2モル/リットル(溶媒)、好ましくは5×10-5〜10-2モル/リットル(溶媒)の量で用いられ、成分(A)は微粒子状担体1g当り、該成分(A)中の遷移金属原子に換算して通常5×10-6〜5×10-4モル、好ましくは10-5〜2×10-4モルの量で用いられる。成分(B)中のアルミニウム原子と、成分(A)中の遷移金属原子(M)との原子比(Al/M)は、通常10〜500、好ましくは20〜200である。必要に応じて用いられる成分(C)中のアルミニウム原子(Al-C)と成分(B)中のアルミニウム原子(Al-B)の原子比(Al-C/Al-B)は、通常0.02〜3、好ましくは0.05〜1.5の範囲である。
【0060】
予備重合温度は−20〜60℃、好ましくは0〜50℃であり、また予備重合時間は0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間程度である。
予備重合の際に用いられるオレフィンとしては、炭素原子数が2〜20のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセンなどを例示することができる。これらの中では、エチレン単独、またはエチレンと重合の際に用いられるα−オレフィンとの組合せが特に好ましい。
【0061】
予備重合において、生成するオレフィン(共)重合体は、微粒子状担体1g当り0.1〜500g、好ましくは0.2〜300g、より好ましくは0.5〜200gの量であることが望ましい。また、予備重合触媒では、成分(A)は、微粒子状担体1g当り、遷移金属原子として約5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは10-5〜2×10-4グラム原子の量で担持され、成分(B)および成分(C)は、該成分(B)および成分(C)中のアルミニウム原子(Al)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比(Al/M)で、5〜200、好ましくは10〜150の範囲の量で担持されていることが望ましい。
【0062】
予備重合は、回分式または連続式のいずれでも行うことができ、また減圧、常圧または加圧下のいずれでも行うことができる。予備重合に際しては、水素を共存させて、少なくとも135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.2〜7dl/gの範囲、好ましくは0.5〜5dl/gであるような予備重合体を製造することが望ましい。
【0063】
本発明では、エチレンの重合または共重合は、上記のような触媒(i)、固体触媒(ii)または予備重合触媒の存在下で、または上記のような固体触媒(ii)(固体触媒成分)または予備重合触媒(成分)と(C)有機アルミニウム化合物との存在下で、気相でまたはスラリー状の液相で行われる。スラリー重合においては、不活性炭化水素を溶媒としてもよいし、オレフィンを溶媒とすることもできる。
【0064】
スラリー重合において用いられる不活性炭化水素溶媒として具体的には、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族系炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分などが挙げられる。これら不活性炭化水素媒体のうち脂肪族系炭化水素、脂環族系炭化水素、石油留分などが好ましい。
【0065】
スラリー重合法または気相重合法で実施する際には、前記成分(A)は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度として、通常10-8〜10-3グラム原子/リットル、好ましくは10-7〜10-4グラム原子/リットルの量で用いられることが望ましい。成分(B)は、該成分(B)中のアルミニウム原子(Al)と、成分(a)中の遷移金属原子(M)とのモル比(Al/M)が、通常10〜5000、好ましくは20〜2000となるような量で用いられる。
【0066】
また、固体触媒(ii)または予備重合触媒を用いる場合には、微粒子状担体に担持されている有機アルミニウムオキシ化合物(成分(B))に加えて、さらに担持されていない有機アルミニウムオキシ化合物を用いてもよい。この場合、担持されていない有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子(Al)と、遷移金属化合物(A)に由来する遷移金属原子(M)との原子比(Al/M)は、5〜300、好ましくは10〜200、より好ましくは15〜150の範囲である。
【0067】
本発明において、スラリー重合法を実施する際には、重合温度は、通常50〜100℃、好ましくは60〜90℃の範囲であり、気相重合法を実施する際には、重合温度は、通常50〜120℃、好ましくは60〜100℃の範囲である。
【0068】
重合圧力は、通常常圧ないし100kg/cm2 、好ましくは2〜50kg/cm2 の加圧条件下であり、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方式においても行うことができる。
【0069】
さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
なお、本発明では、低分子量エチレン系重合体用触媒は、上記のような各成分以外にもエチレンの重合に有用な他の成分を含むことができる。
【0070】
このような本発明の低分子量エチレン系重合体用触媒は、エチレンの単独重合または、エチレンと炭素原子数が3以上のオレフィンとの共重合に好適に用いられる。
【0071】
ここで、炭素原子数が3以上のオレフィンとしては、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン;
炭素原子数が3〜20の環状オレフィン、例えばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-メチル1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン等の炭素原子数が3〜20のα−オレフィンを挙げることができる。さらにスチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエン等を用いることもできる。
【0072】
本発明の低分子量エチレン系重合体用触媒および低分子量エチレン系重合体の製造方法により得られたエチレン系重合体では、エチレンから導かれる構成単位は、50〜100重量%、好ましくは55〜99重量%、より好ましくは65〜98重量%、最も好ましくは70〜96重量%の量で存在し、炭素原子数が3以上のオレフィンから導かれる構成単位は0〜50重量%、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは2〜35重量%、最も好ましくは4〜30重量%の量で存在することが望ましい。
【0073】
エチレン系重合体の組成は、通常10mmφの試料管中で約200mgの共重合体を1mlのヘキサクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−NMRスペクトルを、測定温度120℃、測定周波数25.05MHz 、スペクトル幅1500Hz 、パルス繰返し時間4.2sec.、パルス幅6μsec.の測定条件下で測定して決定される。
【0074】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体の製造方法で得られた低分子量エチレン系重合体は、通常下記(i)〜(iii)に示すような特性を有している。
(i)密度は、0.850〜0.980g/cm3 、好ましくは0.880〜0.960g/cm3 、より好ましくは0.890〜0.935g/cm3 、最も好ましくは0.905〜0.930g/cm3 の範囲にある。
【0075】
なお密度は、190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート測定時に得られるストランドを120℃で1時間熱処理し、1時間かけて室温まで徐冷したのち、密度勾配管で測定する。
【0076】
(ii)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、0.005〜1.0dl/g、好ましくは0.005〜0.85dl/gの範囲にある。
(iii)GPCで測定した分子量分布(Mw/Mn、ただしMw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が1.5〜3、好ましくは1.5〜2.5の範囲にある。
【0077】
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、ミリポア社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。
分離カラムは、TSK GNH HTであり、カラムサイズは直径72mm、長さ600mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml /分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、試料注入量は500マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンは、分子量がMw<1000およびMw>4×106 については東ソー社製を用い、1000<Mw<4×106 についてはプレッシャーケミカル社製を用いた。
【0078】
【発明の効果】
本発明は、重合系に必ずしも水素を添加しなくても分子量分布が狭く、かつ低分子量のエチレン系重合体が得られる。
【0079】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0080】
[固体触媒成分の調製]
250℃で10時間乾燥したシリカ3.0gを50mlのトルエンで懸濁状にした後、0℃まで冷却した。その後、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.29ミリモル/ml)17.8mlを30分で滴下した。この際、系内の温度を0℃に保った。引き続き、0℃で30分間反応させ、次いで30分かけて95℃まで昇温し、その温度で4時間反応させた。その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーション法により除去した。
【0081】
このようにして得られた固体成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン50mlで再懸濁化した。この系内へジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液(Zr=0.0233ミリモル/ml)4.9mlを20℃で30分かけて滴下した。次いで80℃まで昇温し、その温度で2時間反応させた。その後、上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、1g当たり2.3mgのジルコニウムを含有する固体触媒を得た。
【0082】
[予備重合触媒の調製]
上記で得られた固体触媒4gをヘキサン200mlで再懸濁した。この系内にトリイソブチルアルミニウムのデカン溶液(1ミリモル/ml)5.0mlおよび1-ヘキセン0.36gを加え、35℃で2時間エチレンの予備重合を行うことにより固体触媒1g当り2.2mgのジルコニウムを含有し、3gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒を得た。
【0083】
【実施例1】
[重合]
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブに、脱水精製したヘキサンを1リットルを装入し、系内をエチレンで置換した。
【0084】
次いで系内を60℃とし、トリイソブチルアルミニウム1.5ミリモル、1-ヘキサン30ml、および上記のように調製した予備重合触媒を、ジルコニウム原子換算で0.23mg原子を添加した。
【0085】
その後、エチレンを導入し、全圧8kg/cm2-G として重合を開始した。その後、混合ガスのみを補給し、全圧を8kg/cm2-G に保ち、80℃で1.5時間重合を行った。
【0086】
重合終了後、ポリマーを濾過し、80℃で1晩乾燥した。その結果、極限粘度[η]が0.81dl/gであり、密度が0.941g/cm3 であり、Mw/Mnが1.94であるエチレン・1-ヘキセン共重合体504gを得た。
【0087】
【実施例2】
エチレンをエチレンと水素の混合ガス(水素含量;0.1モル%)に変更した以外は実施例1と同様にして、極限粘度[η]が0.65dl/gで、密度が0.940g/cm3 であり、Mw/Mnが2.27であるエチレン・1-ヘキセン共重合体438gを得た。
【0088】
【実施例3】
1-ヘキセンを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、極限粘度[η]が0.71dl/gで、密度が0.962g/cm3 であり、Mw/Mnが2.20であるエチレン重合体313gを得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る低分子量エチレン系重合体用触媒の調製工程を示す説明図である。

Claims (3)

  1. (A)下記一般式(I)で表される周期表4族の遷移金属化合物と、
    (B)有機アルミニウムオキシ化合物と、
    必要に応じて
    (C)有機アルミニウム化合物とからなることを特徴とする極限粘度[η]が、0.005〜1.0dl/gの重合体の製造に用いられる低分子量エチレン系重合体用触媒。
    Figure 0003824708
    (式中、Mは、周期表4族の遷移金属原子を示し、
    R1 およびR2 は、n−ブチル基を示し、
    mおよびnは、互いに同一でも異なっていてもよく、1〜4の整数であり、
    X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基、イオウ含有基、ハロゲン原子または水素原子を示し、
    Yは、2価の炭化水素基または2価のケイ素含有基を示す。)
  2. 微粒子担体に、
    (A)請求項1に記載の一般式(I)で表される周期表4族の遷移金属化合物と、
    (B)有機アルミニウムオキシ化合物とが担持された固体触媒と、
    必要に応じて
    (C)有機アルミニウム化合物と
    からなることを特徴とする低分子量エチレン系重合体用触媒。
  3. 請求項1または2に記載の低分子量エチレン系重合体用触媒の存在下に、エチレンを単独重合させるか、またはエチレンと炭素原子数が3以上のオレフィンとを共重合させて極限粘度[η]が、0.005〜1.0dl/gの重合体を製造することを特徴とする低分子量エチレン系重合体の製造方法。
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