JP3832518B2 - カラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示パネル等に用いられるカラーフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【発明の背景】
液晶表示パネル等のカラーフィルタを製造する方法として、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法などがある。
【0003】
染色法は、染色用材料である水溶性高分子材料に感光剤を添加して感光し、これをリソグラフィ工程でパターニングしたのち、染色液に浸漬し着色パターンを得る方法である。
【0004】
例えば、まず、ガラス基板の上にブラックマトリクス(以下、BMという)を形成する。そして、水溶性高分子材料に感光剤を添加して光が当たれば溶媒に溶解しにくくなるようにした染色用材料を、BMの形成された基板に塗布する。次に、マスクを通して染色用材料の一部のみを露光し現像することで、第一のカラー領域にのみ染色用材料が残るようパターニングする。そして、この染色用材料を染色液に浸漬して染色し、固着させることで第一の着色層が形成される。この工程を3回繰り返すことで3色のカラーフィルタが形成される。
【0005】
この染色法で製造されたカラーフィルタは、透過率が高くて色が鮮やかな反面、耐光性、耐熱性及び吸湿性において劣るという特性がある。
【0006】
次に、顔料分散法は、顔料を分散した感光性樹脂を基板に塗布し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る、という工程を繰り返す方法である。上記染色法が、染色用材料をパターニングしてから染色する方法であったのに対して、顔料分散法は、予め着色された感光性樹脂を基板に塗布するものである。そして、顔料分散法にて製造されたカラーフィルタは、耐性が高いものの透過率が多少低いという特性を持っている。
【0007】
さらに、上記感光性樹脂は、少なくとも塗布された70%以上が除去・廃棄され材料の利用効率で大きな課題を有する。
【0008】
印刷法は、熱硬化性樹脂に顔料を分散させた塗料を繰り返し印刷によって3色を塗り分け、樹脂を熱硬化させて着色層を形成する方法である。この印刷法は、工程が簡易であるものの、平坦性に劣るものである。
【0009】
電着法は、パターニングされた透明電極を基板に設けておき、これを顔料・樹脂・電解液等の入った電着塗装液に浸漬して第一色を電着させる。そして、この工程を3回繰り返し最後に焼成する方法である。この電着法は、平坦性に優れているのでストライプパターンのカラー配列であれば有効であるが、モザイクパターンのようなカラー配列を形成することは困難である。
【0010】
以上の製造方法のうち、印刷法は精度の点で欠点があり、電着法はパターンが限定されるという欠点があったので、従来、染色法及び顔料分散法が主として用いられてきた。しかし、染色法及び顔料分散法は、第1色、第2色、第3色の領域を形成する際に毎回リソグラフィの工程が必要であり、カラーフィルタの量産性向上の大きな妨げとなっていた。
【0011】
そこで、特開平7−146406号公報には、BMの形成されたガラス基板にインク受容層を形成し、インクジェット方式によってこのインク受容層を染色することによりカラーフィルタの量産性を向上させる方法が開示されている。
【0012】
しかしこの方法では、同一画素内においてもその着色濃度にバラつきを生じ、各画素に対応する一つのフィルタ領域内においても、その中央部と周囲部とでは透過率に差が出てカラー濃度にムラができてしまう。そこで、このような問題点を回避するために着色領域を画素領域よりも大きくし、不要な領域を予め基板に形成されたBMで隠すことにより透過率のバラつきを防いでいる。つまり、BMがこのようなバラつきを押さえるための重要な要素となっている。
【0013】
なお、BMのこのような必要性は上述のようなインクジェット方式に限らず、従来の染色法又は顔料分散法においても同様である。
【0014】
しかし、BMは、スパッタ等によって基板全面にCr薄膜を膜付けし、不要な部分をエッチングして形成するため、その形成に非常に多くの工数が必要となる。
【0015】
あるいは、スパッタの代わりに、特開平1−217302号公報に開示されるように、感光性材料でBMを形成する方法もあるが、これにおいてもBMは必要不可欠な要素である。
【0016】
また、近年、液晶表示パネルの開口率を上げるために、BMをアレイ基板に設ける技術が提案されており、BMを必要としないカラーフィルタの製造方法が期待されている。
【0017】
本発明は、上述したような課題を解決するものであり、その目的は、BMを必要としないほど透過率、色バラつきのないカラーフィルタを、簡単な工程で製造するためのカラーフィルタの製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るカラーフィルタの製造方法は、所定配列の複数のインク充填用凹部を有する原盤を製造する第1工程と、それぞれのインク充填用凹部に、予め設定された色のインクを充填してインク層を形成する第2工程と、前記インクの充填された原盤上に樹脂を塗布し、光透過性を有する樹脂層を形成する第3工程と、前記インク層及び樹脂層を、固化後に一体的に前記原盤から剥離する第4工程と、を含む。
【0019】
本発明は、要するに、原盤を型としてインク層及び樹脂層を形成し、これらを一体的に固めてカラーフィルタとする方法である。そして、インクを充填して形成されるインク層は均一の厚みで、シャープなエッジを有するようになる。したがって、カラー濃度にむらのないカラーフィルタを得ることができる。
【0020】
また、原盤は、一旦製造すればその後、耐久性の許す限り何度でも使用できるため、経済的である。また、第1工程は、二枚目以降のカラーフィルタの製造工程において省略でき、工程数の減少、及びコスト削減を図ることができる。
【0021】
第1工程として、具体的には例えば次の工程がある。
【0022】
(1)基板の表面にポジ型のレジストを塗布し、前記インク充填用凹部の形成領域に光が透過するマスクを介して前記レジストを露光、現像し、エッチングによって前記基板に前記インク充填用凹部を形成して原盤を製造する工程。
【0023】
この工程において、ポジ型のレジストは、露光された部分が現像液により選択的に除去される物質である。したがって、マスクを介してインク充填用凹部の形成領域に光を当てると、この領域のレジストは溶けやすくなる。そして、現像するとインク充填用凹部に相当する領域のレジストのみが除去される。こうして、インク充填用凹部の形成領域以外の領域においてレジストで基板を覆い、この基板の表面に対してエッチングを行うと、インク充填用凹部を形成することができる。なお、エッチングとしては、ウェットエッチング、ドライエッチング等があるが、制御性の点からいうと反応性イオンエッチングが優れる。
【0024】
こうして、エッチングによって形成されるインク充填用凹部は、エッチング条件を変えることにより、その形状及び面粗さを高精度かつ自由にコントロールすることが可能である。そして、このインク充填用凹部に充填されて形成されるインク層は、インク充填用凹部の形状を忠実に転写するためバラつきのない均一な層となる。
【0025】
(2)基板の表面にネガ型のレジスト材料を塗布し、マスクを介して露光、現像すると、インク充填用凹部に相当する領域のレジスト材料が除去される。そして、これをエッチングすることにより前記基板に前記インク充填用凹部を形成して原盤を製造する工程。
【0026】
この工程において、ネガ型のレジストは、露光された部分が現像液に溶けにくくなる合成樹脂である。したがって、マスクを介してインク充填用凹部の形成領域以外の領域に光を当てると、インク充填用凹部の形成領域以外の領域においてレジストは溶けにくくなる。つまり、インク充填用凹部の形成領域では、レジストは溶けやすいままである。
【0027】
そして、現像するとインク充填用凹部の形成領域以外の領域ではレジストが残り、インク充填用凹部の形成領域ではレジストが除去される。こうして、インク充填用凹部の形成領域以外の領域においてレジストで基板を覆い、この基板の表面に対してエッチングを行うと、インク充填用凹部を形成することができる。
【0028】
(3)基板の表面にポジ型のレジストを塗布し、前記インク充填用凹部の形成領域をレーザ光によって直接露光し、現像し、エッチングによって前記基板に前記インク充填用凹部を形成して原盤を製造する工程。
【0029】
この工程によれば、上記(1)の工程と比較して、マスクが不要となる。
【0030】
(4)基板の表面にネガ型のレジストを塗布し、前記インク充填用凹部を除く領域をレーザ光によって直接露光し、現像し、エッチングによって前記基板に前記インク充填用凹部を形成して原盤を製造する工程。
【0031】
この工程によれば、上記(2)の工程と比較して、マスクが不要となる。
【0032】
(5)基板の表面にポジ型のレジストを塗布し、前記インク充填用凹部に対応する領域においてマスクを介して前記レジストを露光、現像した後、前記基板及びレジストの表面を導体化して電気メッキ方法により金属を電着させて金属層を形成し、この金属層を前記基板及びレジストから剥離して原盤とする工程。
【0033】
この工程において、ポジ型のレジストは、露光された部分が現像液に溶けやすくなる合成樹脂である。したがって、マスクを介してインク充填用凹部に対応する領域以外の領域を露光すると、インク充填用凹部に対応する領域においてはレジストは溶けにくく、インク充填用凹部に対応する領域以外の領域においてレジストは溶けやすくなる。
【0034】
そして、現像するとインク充填用凹部に対応する領域以外のレジストが除去され、インク充填用凹部に対応する領域ではレジストが残る。こうして残ったレジストは、凸型となる。
【0035】
したがって、基板及びレジストを型として、これらの表面に金属層を形成すれば、レジストが凸型となって、インク充填用凹部を有する原盤を製造することができる。
【0036】
このインク充填用凹部は、リソグラフィによってパターン化されたレジストを凸型とし、この凸型から金属製原盤が形成される。金属製原盤は剥離性に優れ、転写不良を押さえることができる。
【0037】
(6)基板の表面にネガ型のレジストを塗布し、前記インク充填用凹部に対応する領域において光マスクを介して前記レジストを露光、現像した後、前記基板及びレジストの表面を導体化して電気メッキ方法により金属を電着させて金属層を形成し、この金属層を前記基板及びレジストから剥離して原盤とする工程。
【0038】
この工程において、ネガ型のレジストは、露光された部分が現像液に溶けにくくなる合成樹脂である。したがって、マスクを介してインク充填用凹部に対応する領域に光を当てると、インク充填用凹部に対応する領域においてはレジストは溶けにくく、インク充填用凹部に対応する領域以外の領域においてレジストは溶けやすいままとなる。
【0039】
そして、現像するとインク充填用凹部に対応する領域以外のレジストが除去され、インク充填用凹部に対応する領域ではレジストが残る。こうして残ったレジストは、凸型となる。
【0040】
したがって、基板及びレジストを型として、これらの表面に金属層を形成すれば、レジストが凸型となって、インク充填用凹部を有する原盤を製造することができる。
【0041】
このインク充填用凹部は、リソグラフィによってパターン化されたレジストを凸型とし、この凸型から金属製原盤が形成される。金属製原盤は剥離性に優れ、転写不良を押さえることができる。
【0042】
(7)前記第1工程は、基板の表面にポジ型のレジストを塗布し、前記インク充填用凹部に対応する領域を除いてレーザ光により露光、現像した後、前記基板及びレジストの表面を導体化して電気メッキ方法により金属を電着させて金属層を形成し、この金属層を前記基板及びレジストから剥離して原盤とする工程。
【0043】
この工程によれば、上記(5)の工程と比較して、マスクが不要となる。
【0044】
(8)基板の表面にネガ型のレジストを塗布し、前記インク充填用凹部に対応する領域をレーザ光により直接露光し、現像した後、前記基板及びレジストの表面を導体化して電気メッキ方法により金属を電着させて金属層を形成し、この金属層を前記基板及びレジストから剥離して原盤とする工程。
【0045】
また、前記基板自体をエッチングしてインク充填用凹部を形成するときには、シリコンウエーハを基板とすることが好ましい。シリコンウエーハをエッチングする技術は、半導体デバイスの製造技術として用いられており、高精度の加工が可能である。
【0046】
この工程によれば、上記(6)の工程と比較して、マスクが不要となる。
【0047】
本発明は、前記第1工程後、前記第2工程前に、前記インク充填用凹部に低撥水性のインク受容層を形成することが好ましい。
【0048】
例えば、水性インクを使用した場合、シリコンウエーハのような表面撥水性の原盤を用いると、インクの表面エネルギーより原盤の表面エネルギーが小さいので、インクはウエーハ表面で濡れを引き起こしにくい。したがって、インクジェット装置のインク吐出駆動部により飛行エネルギーを与えられたインク滴は、着弾時に原盤上に定着せず輪転し、近隣に存在するインク滴同士は凝集して所望のパターニングがしにくい。また、同様の原因により、着弾時にインク滴が原盤にぶつかったショックで飛散し、周囲のインクと混じり合い、混色する場合がある。
【0049】
そこで、インク充填用凹部に低撥水性のインク受容層を形成することで、パターニングを容易にして、周囲のインクとの混じり合いを防止することができる。
【0050】
上記インク受容層は、例えば、セラミックス、セルロース、又は親水性樹脂で形成することが好ましい。
【0051】
次に、第2工程では、前記インクをインクジェット方式によって充填することが好ましい。
【0052】
インクジェット方式によれば、インクの充填を高速化できるとともに、インクを無駄にすることがない。
【0053】
また、第2工程では、前記インク充填用凹部に、インクとの密着性の低い材質からなる離型層を形成してから前記インクを充填することが好ましい。こうすることで、原盤からの型抜きを良好に行うことができる。離型層として、例えば、ニッケルやクロムの薄膜などが挙げられる。
【0054】
あるいは、前記第2工程で充填されるインクに、離型剤を添加しておいてもよい。
【0055】
さらに、第2工程では、前記インク充填用凹部に充填された前記インクを熱処理して溶剤を蒸発させて顔料を残す工程を含むことが好ましい。こうして、インクの溶剤を飛ばしてから、第3工程で樹脂層を形成することで、インク層の転写不良を防止することができる。
【0056】
また、第2工程で充填される前記インクは、放射線硬化型のものであることが好ましい。
【0057】
あるいは、第3工程で塗布される前記樹脂は、放射線あるいは熱硬化性のものであることが好ましい。
【0058】
特に、インク及び樹脂のいずれもが放射線あるいは熱硬化性のものである場合には、インクが固化する前に樹脂を塗布し、両者同時に放射線を当てて同時に固化させることができる。
【0059】
また、第3工程で、樹脂層の上に光透過性の補強板を載せる工程を含むようにすれば、カラーフィルタの強度を向上させることができる。
【0060】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。図2(a)〜図2(e)は、本発明の第1の実施形態における原盤を製造する工程を示す図である。
【0061】
まず、図2(a)に示すように、基板10の上にレジスト12を塗布する。
【0062】
基板10は、表面をエッチングして原盤とするためのもので、ここではシリコンウエーハが用いられる。シリコンウエーハをエッチングする技術は、半導体デバイスの製造技術において確立されており、高精度なエッチングが可能である。なお、基板10は、エッチングが可能な材料であれば、シリコンウエーハに限らずガラス基板であってもよい。
【0063】
レジスト12は、いわゆるポジ型のもので、露光された部分が現像液により選択的に除去される物質である。
【0064】
次に、図2(b)に示すように、マスク14をレジスト12の上に配置し、マスク14を介してレジスト12の所定領域のみを放射線16によって露光する。
【0065】
マスク14は、図2(e)に示すインク充填用凹部20の形成領域のみに放射線が透過するよう形成されたものである。また、インク充填用凹部20は、製造しようとするカラーフィルタの各色の形状又は配列に応じて形成されるもので、例えば、10型のVGA仕様の液晶表示パネルでは、約100μmピッチで、640×480×3(色)で90万画素、つまり約90万個のインク充填用凹部20が形成される。
【0066】
そして、露光した後これを現像液で現像すると、図2(c)に示すように、インク充填用凹部20の領域のレジストのみが選択的に除去され、レジスト12が残る。
【0067】
こうしてレジスト12がパターン化されると、図2(d)に示すように、エッチングを行う。
【0068】
例えば、エッチングとして反応性イオンエッチングを用いる場合を例に説明すると、電極間に基板10を配置して、フッ素ラジカル等の活性種18を基板10の表面に引き寄せることにより基板10をエッチングする。反応性イオンエッチングによれば、ガス種、流量、ガス圧、バイアス電圧等のエッチング条件変更することにより、インク充填用凹部にテーパーを付けたり、面を粗したり、矩形に形成したりと、所望の形状にエッチングすることができる。
【0069】
次に、エッチングが完了すると、レジスト12を除去して、インク充填用凹部20を有する基板10を原盤22とする。
【0070】
この原盤22は、一旦製造すればその後、耐久性の許す限り何度でも使用できるため経済的である。また、原盤22の製造工程は、二枚目以降のカラーフィルタの製造工程において省略でき、工程数の減少、及びコスト削減を図ることができる。
【0071】
こうして、原盤22が得られた後の工程を図1(a)〜図1(c)に示す。図1(a)において、原盤22のインク充填用凹部20に対向させてインクジェット方式によりインクを吐出するヘッド24を配置してある。
【0072】
ヘッド24は、例えばインクジェットプリンタ用に実用化されたもので、インク充填用凹部20のピッチに対応させてインクを吐出できるようになっている。
【0073】
例えば、このヘッド24を、駆動周波数5kHz(1秒間に5000回の吐出)でインクを吐出する吐出口を5個、2列に配列し、一つのインク充填用凹部20にインクを3滴ずつ吐出するとすれば、約90万画素の10型VGA仕様のカラーフィルタ用の基板のインク充填用凹部20にインクを充填するのに要する時間は、
90万×3滴/(5000回×5個×2列)=約54秒
となる。ここで、ヘッド24がインク充填用凹部20、20間を移動する時間を考慮しても、2〜3分程度で基板にインクを充填することができる。
【0074】
なお、顔料分散法等によれば、フォトリソグラフィによる1色毎の形成時間が10分程度かかる為、1枚約30分の時間が必要となる。これと比較すると、本実施の形態では、インクの充填に2〜3分、その後の樹脂塗布から剥離までの工程で1〜2分程度の時間で形成可能であり、従来と比べて短時間でカラーフィルタが形成できる。
【0075】
図1(a)では、ヘッド24によって、例えば赤インクR、緑インクG、青インクBをインク充填用凹部20に吐出して、インク層26を形成する様子を示してある。これらのインクは、色材を含有する放射線硬化性のものでよい。
【0076】
なお、材質によっては、原盤22とインク層26及び樹脂層28との密着性が高くなる場合があり、インク層26及び樹脂層28を、固化後に一体的に原盤22から剥離する際に、部分的にインク層26や樹脂層28が欠落することが考えられる。
【0077】
そこで、各インクを吐出する前に、原盤22におけるインク充填用凹部20を有する表面に離型剤を塗布又はインクに予め添加しておき、その後の工程で各インク層26及び樹脂層28が離型しやすいようにすることが好ましい。
【0078】
そして、全てのインク充填用凹部20にインクを充填する。そして、インクに溶剤を含むものは、熱処理を行ってインクの溶剤をとばす。この熱処理は、100〜200℃で、ホットプレートを用いた場合は2〜5分、ベイク炉で行う場合は20〜30分程度行うことが好ましい。また、インク層26は、溶剤を飛ばすと収縮するが、収縮後の厚みで必要なカラー濃度が確保できるだけの量を充填しておくことが必要である。
【0079】
次に、図1(b)に示すように、インク層26の上に樹脂層28を形成し、さらにその上にガラス板29を載せる。
【0080】
例えば、放射線硬化型のポリマからなる樹脂を、インク層26の上から原盤22に塗布して樹脂層28を形成する。そして、この樹脂層28の上に、補強のためのガラス板29を載せて放射線を当て、ガラス板29に接着するように樹脂層28を固まらせたものである。なお、用途によっては、ガラス板29の代わりにフィルム基板を用いることもできる。
【0081】
なお、樹脂層28及びインク層26に同時に放射線を当てて、両者を同時に固まらせてもよい。
【0082】
こうして、インク層26、樹脂層28及びガラス板29が一体化すると、これらを原盤22から剥離して、図1(c)に示すカラーフィルタの完成品を得ることができる。
【0083】
このカラーフィルタによれば、従来のようなBMを持たないにもかからわず、インク充填用凹部20が正確にインク層26に写し取られる構成のため、均一な厚みで、隣接画素と混色のない高コントラストのカラーフィルタが得られる。
【0084】
さらに、必用に応じてインク層26上にオーバーコート層を成形し、透明電極及び配向膜を付けて、アレイに装着することになる。
【0085】
上記実施態様では、ポジ型のレジスト12を用いたが、ネガ型のレジストを用いてもよく、この場合には、上記マスク14とはパターンが反転したマスクが用いられる。あるいは、マスクを使用せずに、レーザによって直接基板10上に形成されたレジストを露光してもよい。
【0086】
(第2の実施形態)
次に、図3(a)〜図3(e)は、本発明の第2の実施形態における原盤を製造する工程を示す図である。
【0087】
まず、図3(a)に示すように、基板30にレジスト32を塗布し、マスク34をレジスト32の上に配置し、マスク34を介してレジスト32の所定領域のみを露光する。
【0088】
ここで、レジスト32は、図2(a)〜図2(e)のものと同一であるため説明を省略する。また、マスク34は、図2(a)〜図2(e)のマスク14と、パターンが反転している点でのみ相違する。
【0089】
つまり、マスク34は、図3(e)に示すインク充填用凹部に相当する領域のレジストを選択的に除去するためのものである。このインク充填用凹部42は、図2(e)のインク充填用凹部20と同一形状のものである。
【0090】
こうして、露光を行い現像すると、図3(b)に示すように、インク充填用凹部42を形成するための凸型として、一部のレジスト32が残る。
【0091】
そして次に、図3(c)に示すように、凸型としてのレジスト32の上に金属層38を形成する。例えば、レジスト32の表面にスパッタリング等によってニッケルの膜を形成して表面導体化して、電気メッキ法によりさらにニッケルを電着させることで、金属層38を形成し、これを原盤44とする。
【0092】
さらに、この金属層38だけでは強度が弱い場合には、樹脂等によって補強層40を形成して固め(図3(d))、これらを基板30及びレジスト32から剥離することで原盤44とすることも可能である(図3(e))。この原盤44は、図2(e)の原盤22と同一形状のものである。
【0093】
こうして、原盤22が得られると、引き続いて図1(a)〜図1(c)に示す工程を行うことで、カラーフィルタを得ることができる。
【0094】
この実施態様においても、ネガ型のレジストを用い、あるいは、マスクを使用せずにレーザによって直接基板30上に形成されたレジストを露光してもよい。
【0095】
(第3の実施形態)
次に、図4(a)及び図4(b)は、本発明の第3の実施形態を示す図である。
【0096】
まず、上述した第1の実施形態と同様にして、基板10をエッチングしてインク充填用凹部20を有する原盤22を製造する。そして、図4(a)に示すように、この原盤22の上に離型性を向上させる材質の離型層25を形成する。
【0097】
離型層25としては、金属が好適である。離型層25の形成方法として、例えば、制御性が良くかつ経済的なスパッタ法を用いることができる。ただし、スパッタ法に限定されるものではなく、その他に、真空蒸着法、CVD法等を用いてもよい。なお、金属層の厚みは、数十〜数千Åほどで良い。
【0098】
金属材料としては、ニッケル、クロムが好ましい。これらは、容易かつ経済的に原盤22上に薄膜を形成できるものである。しかも、顔料や染料インク等のインク材料との密着性が低い。特に、透過性が優れ樹脂層として好適なアクリレート系の樹脂との密着性が低い。
【0099】
そして、図4(b)に示すように、ヘッド24によってインクR,G,Bを吐出して、インク層26を形成する。
【0100】
このカラーフィルタ製造方法によれば、離型層25が形成されているので、固化後のインク層26及び樹脂層28(図1(b)参照)を、欠落や転写不良がなく、原盤22から一体的に剥離することができる。そして、均一な厚みで、隣接画素と混色の無い高コントラストのカラーフィルタを高い良品率で得られる。また、剥離される際に原盤22にかかる応力を小さくすることができるため、原盤22の耐久性が著しく向上させることができて経済的である。さらには、原盤22、インク層26及び樹脂層28の材質の制約がかなり少なくなり、材料選定の際の選択幅が広がるという効果が期待できる。
【0101】
なお、本発明に係る実施形態においては、図5に示すように、原盤50に形成されたインク充填用凹部52に、インク受容層54を形成することが好ましい。こうすることで、インク56の濡れ性を向上させることができる。なお、インク受容層54は、カラーフィルタの完成品から剥離されてよく、あるいはカラーフィルタと一体化して原盤50から剥離されるようにしてもよい。
【0102】
【実施例】
次に、インク受容層の有無に関する実験結果を説明する。
【0103】
(実施例1)
4インチのシリコンウエーハ基板をフォトリソグラフィーの工程を経て、インク充填用凹部(幅70μm、長さ20mm、深さ1μm、間隔210μm)のパターンを数本形成し、これを原盤とした。この原盤に、アルミナコーティング剤GA−8(西村硝子工業社製)をディッピングにて塗布し、基板にインク受容層を形成した。インクジェットプリント装置により、線幅70μm、長さ20mm、間隔210μmの直線を各色20本ずつ描画するように設定し、印字を行った。インクは、水性の顔料インクを使用し、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色を用いた。比較例として、アルミナコートをしないシリコンウエーハ基板を用意し、同様の印字を行った。印字後、5分間放置し、ホットプレートにて120℃にて10分間加熱してインクの溶媒を蒸発させ、顔料を凝集、固着させた。各々の印字結果を目視にて観察し、パターニングの善し悪しを評価した。結果を次の表に掲げる。
【0104】
【表1】
印字結果は、直線性および連続性の2項目について目視評価した。直線性とは、印字された線が曲がらずに印字されているかの評価である。また、連続性とは、印字された直線が印字に切れ目のない連続したものであるかどうかの評価である。コーティングありの基板では、印字結果が良好であった。他方、コーティング無しの基板では、基板表面の水濡れ性が悪く、インク滴が基板表面を転がり、隣接するインク滴同士が凝集するため、印字された直線は歪曲し、印字は途切れ途切れの不連続な線分になった。したがって、セラミックスコートにより、水性インクとのマッチングがとれた結果、印字品質の良い印字が可能となった。
【0105】
(実施例2)
4インチのシリコンウエーハ基板をフォトリソグラフィーの工程を経て、対角2.5インチのカラーフィルタ用のインク充填用凹部(縦80μm、縦240μm、深さ10μm、これらのパターン間隔は10μm)のパターンを形成し、これを原盤とした。この原盤に、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製、HPC−L)の水溶液をスピンコートにて塗布し、原盤にインク受容層を形成した。インクジェットプリント装置により、各々の画素にインクが入るように設定し、印字を行った。インクは、水性の顔料インクでレッド、グリーン、ブルーの3色を用いた。比較例として、インク受容層の無いシリコンウエーハ原盤を用意し、同様の印字を行った。印字後、5分間放置し、ホットプレートにて120℃にて10分間加熱し、インクの溶媒を蒸発させ、顔料を凝集、固着させた。各々の印字結果を光学顕微鏡にて観察し、印字の善し悪しを評価した。結果を次の表に掲げる。
【0106】
【表2】
コーティングありの原盤は、隣接画素へのインクの飛散や滲みはなく、印字結果は良好であった。他方コーティング無しの基板では、インク滴が基板表面を輪転・飛散し、隣接するインク滴同士が凝集するため混色や滲みを起こし、印字されたカラーフィルタのパターンは、精細性に欠けるものとなった。したがって、セルロース誘導体のコーティングにより、水性インクとのマッチングがとれた結果、印字品質の良い印字が可能となった。
【0107】
(実施例3)
アクリル樹脂基板をプラズマエッチングの工程を経て、インク充填用凹部(幅70μm、長さ20mm、深さ5μm、間隔210μm)のパターンを数本形成し、これを原盤とした。この原盤に、ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA117)をインクジェットプリント装置により塗布した。インクジェットプリント装置により、線幅70μm、長さ20mm、間隔210μmの直線を20本描画するように設定し、印字を行った。インクは、水性の顔料インクでブラックを用いた。比較例として、コーティングをしないアクリル樹脂原盤を用意し、同様の印字を行った。印字後、1日放置し、インクの溶媒を蒸発させ、顔料を凝集、固着させた。各々の印字結果を目視にて観察し、パターニングの善し悪しを評価した。結果を次の表に掲げる。
【0108】
【表3】
コーティングありの原盤は、印字結果は良好であった。他方、コーティング無しの原盤では、インク滴が基板表面を転がり、隣接するインク滴同士が凝集するため、印字された直線は歪曲し、印字は途切れ途切れの不連続な線分になった。したがって、樹脂コートにより、基板は親水化され、水性インクとのマッチングがとれた結果、印字品質の良い印字が可能となった。
【0109】
なお、インク受容層を形成する材料は従来公知のものを使用することができる。耐熱性等を考慮すると、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂が好適であり、更に水性インクと吸収性を考慮すると、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体が望ましい。その形成方法としては、スピンコート、ロールコート、バーコート、スプレーコート、ディップコート等の方法を用いることができる。表面グラフト重合法により高分子鎖を導入してもよい。また、インク受容層をインクジェット法により塗布・形成する方法は、材料の損失が無く、非常に有効な塗布方法と言える。さらにセラミックス層を形成する方法として、ゾルゲル法、電着法およびスパッタ法による従来公知の薄膜形成技術が応用できる。
【0110】
(その他の実験データ)
図1(b)に示す原盤22から、インク層26、樹脂層28及びガラス板29を剥離して、図1(c)に示すカラーフィルタの完成品を得るときに、インク層26がある程度堅牢な膜を作らないと剥離されないことが実験で判明した。インク層26が堅牢な膜を作るには、所定の温度が必要である。
【0111】
例えば、エマルジョンタイプのインクの最低造膜温度は60〜80℃である。アクリル樹脂タイプのインクは、60〜100℃で硬化する。なお、加熱温度の最高値は、色材の耐熱性によって決定される。色材として顔料が使用されるときには300℃、染料が使用されるときには120〜200℃が加熱温度の最高値である。
【0112】
ただし、加熱方法によって温度及び時間が異なる。例えば、ホットプレート上では、110℃で10〜120分間の加熱が必要である。あるいは、オーブン内では120℃で10〜120分間、真空乾燥機では100℃で10〜120分間の加熱が必要である。
【0113】
次に、インクについて、インクジェット方式にて充填するときには、ヘッドを保護するために、粘度が10cps以下で、表面張力が30dyne前後で、水系のものが望ましい。具体的には、熱硬化タイプ、放射線硬化タイプのインクが上げられる。
【0114】
熱硬化タイプのものとして、顔料インク及び染料インクがあり、これらの組成を次表に示す。
【0115】
1)顔料インク(エマルジョンタイプ):耐熱性300℃
【表4】
2)染料インク(アクリル樹脂タイプ):耐熱性120℃〜200℃
【表5】
放射線硬化タイプの顔料インクの組成を次表に示す。
【0116】
【表6】
次に、色材の具体例を次表に示す。
【0117】
1)顔料
【表7】
なお、この他にも、紫色系、黄色系、シアニン系およびマゼンタ系の顔料等を併用することも可能である。
【0118】
2)染料
【表8】
次に、離型剤の具体例を挙げると、4級アンモニウムクロライド化合物、アルキル酸性リン酸エステル化合物、又は撥水性フッ素化合物などがある。これらの離型剤を0.01〜0.2%溶かしたイソプロピルアルコール溶液を、スピンコートまたはディップコートにより塗布して使用したところ、剥離を容易に行うことができた。あるいは、これらの離型剤は、インクに0.01〜0.2%添加しても同様であった。または、金/チオールの薄膜を原盤に形成しても同様である。
【0119】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜図1(c)は、本発明の実施形態における原盤が得られた後の工程を示す図である。
【図2】図2(a)〜図2(e)は、本発明の第1の実施形態における原盤を製造する工程を示す図である。
【図3】図3(a)〜図3(e)は、本発明の第2の実施形態における原盤を製造する工程を示す図である。
【図4】図4(a)〜図4(b)は、本発明の第3の実施形態に係る工程を示す図である。
【図5】インク充填用凹部にインク受容層を形成した原盤の断面を示す図である。
【符号の説明】
10 基板
12 レジスト
14 マスク
16 放射線
18 活性元素
20 インク充填用凹部
22 原盤
26 インク層
28 樹脂層
Claims (15)
- 基板の表面にレジストを塗布し、インク充填用凹部の形成領域に所定のパターンが形成されたマスクを介して前記レジストを露光、現像し、反応性イオンエッチングによって前記基板に前記インク充填用凹部を形成して、所定配列の複数の前記インク充填用凹部を有する原盤を製造する第1工程と、
それぞれのインク充填用凹部に、予め設定された色のインクを充填してインク層を形成する第2工程と、
前記インクの充填された原盤上に樹脂を塗布し、光透過性を有する樹脂層を形成する第3工程と、
前記インク層及び樹脂層を、固化後に一体的に前記原盤から剥離する第4工程と、
を含むカラーフィルタの製造方法。 - 請求項1記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記レジストは、ポジ型のレジストであるカラーフィルタの製造方法。 - 請求項1記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記レジストは、ネガ型のレジストであるカラーフィルタの製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記基板は、シリコンウエーハであるカラーフィルタの製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記第1工程後、前記第2工程前に、前記インク充填用凹部に低撥水性のインク受容層を形成するカラーフィルタの製造方法。 - 請求項5に記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記インク受容層は、セラミックスにより形成されるカラーフィルタの製造方法。 - 請求項5に記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記インク受容層は、セルロース誘導体であるカラーフィルタの製造方法。 - 請求項5に記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記インク受容層は、親水性樹脂であるカラーフィルタの製造方法。 - 請求項1から請求項8のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記第2工程で、前記インクをインクジェット方式によって充填するカラーフィルタの製造方法。 - 請求項1から請求項9のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記第2工程で、前記インク充填用凹部を有する前記原盤表面に、前記インクとの密着性の低い材質からなる離型層を形成してから前記インクを充填するカラーフィルタの製造方法。 - 請求項1から請求項9のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記第2工程で充填されるインクは、離型剤が添加されているカラーフィルタの製造方法。 - 請求項1から請求項11のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記第2工程で、前記インク充填用凹部に充填された前記インクを熱処理して溶剤を蒸発させて色材を残す工程を含むカラーフィルタの製造方法。 - 請求項1から請求項11のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記第2工程で充填される前記インクは、感光剤を含有して感光化され、放射線硬化性のものであるカラーフィルタの製造方法。 - 請求項1から請求項13のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記第3工程で滴下される前記樹脂は、感光剤を含有して感光化され、放射線硬化性のものであるカラーフィルタの製造方法。 - 請求項1から請求項14のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法において、
前記第3工程で、樹脂層の上に光透過性を有する補強板を載せる工程を含むカラーフィルタの製造方法。
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