JP3838687B2 - 吸液体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は吸液体に関し、特に、揮発性液体を速やかに効率良く吸液して、該揮発性液体を内部に保持して蒸気の揮発、逸散を抑制することができ、しかも吸液および回収作業を簡便かつ迅速に行うことができる吸液体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、床、路面、水面等に流出または散逸された液体を回収するために、各種の吸液体が利用されている。例えば、交通事故時の破損車両からの漏油、給油所におけるガソリン、軽油、灯油、重油等の可燃性または引火性を有する液体の漏出事故、貯蔵所における各種危険物の漏出、あるいは側溝、さらには上下水道や河川への油の流出等による汚染事故においては、流出した油等の液体を回収して処理し、流出した液体による二次災害を防止するため、吸液体による流出液体の吸収、回収が行われている。このような用途に用いられる吸液体として、従来、例えば、シート状の布、不織布等のシート状物、シート状物に不通気性シートを貼り合わせたもの、パーライト等の粉粒物などが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の吸液体を用いて、揮発性液体を吸液しても、単なる通気性シートや粉粒物からなるものは、上表面から揮発性液体が揮発、逸散してしまい、揮発性液体の回収を十分に行うことができない、という問題があった。特に、揮発蒸気が引火性を有する液体、例えば、ガソリン、軽油、灯油等の引火性液体が、床、路面等に流出したとき、これらの液体を速やかに効率良く吸液して、引火性液体が流れ広がるのを防止するとともに、蒸気の揮発を抑制することが求められるが、従来の吸液体は、これらの要求を十分に満たすことができなかった。また、シート状物に不通気性シートを貼り合わせたものでは、吸収させる液体によっては、シート状物が伸びたり、不通気性シートが縮み、反ってしまうため、吸液体としての役割を十分に果たすことができない場合があった。さらに、粉粒物からなるものは、吸液処理時には、吸液体である粉粒物を散布する作業を必要とし、この散布時に飛散するおそれがある。さらにまた、吸液処理後は、ほうき、塵取り等を用いて粉粒物を集め回収する作業を必要とし、簡便で迅速な処理作業が困難である、という問題があった。
【0004】
さらにまた、パーライトは、油と水とが共存する場合には、水を優先的に吸収するため、雨天時または側溝等の水面上に浮遊した油の吸液処理および回収作業に適用するのが困難であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、特に、揮発性液体を速やかに効率良く吸液して、該揮発性液体を内部に保持して蒸気の揮発を抑制することができ、しかも吸液および回収作業を簡便かつ迅速に行うことができる吸液体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は、袋状体またはチューブ状体の一面側に不通気性層を有し、他面側の少なくとも1部に透液材層を有し、袋状体またはチューブ状体の内部に吸液材を配設してなる保液部を有する吸液体を提供するものである。
【0007】
以下、本発明の吸液体について詳細に説明する。
【0008】
本発明の吸液体は、袋状体またはチューブ状体をなし、使用に際して上面となる一面側に、不通気性層を有し、他面側の全部または1部が透液材層で形成されているものであり、かつ一面側と他面側の間に形成される袋状体またはチューブ状体の内部に保液部が配設され、該保液部に吸液材が配設されてなるものである。
【0009】
本発明の吸液体において、一面側に配設される不通気性層は、気体不透過性を有する層であり、保液部に保持された液体が揮発性液体である場合には、該揮発性液体から生じる蒸気の透過を阻止し、蒸気の発生を抑制できるものであれば、いずれの素材から形成されたものでもよい。この不通気性層を、透明性を有する素材で形成すると、不通気性層の上から吸液状況を確認することができる点で、有効である。また、この不通気性層は、単一の通気阻止層のみからなる構造から構成されていてもよいし、複数の通気阻止層を密接して積層した構造、あるいは複数の通気阻止層を有し、隣接する層の間に気体捕捉空間を配設して複数の通気阻止層を重ね合わせた構造等の複数の通気阻止層を有する構造から構成されていてもよい。特に、この不通気性層が複数の層から構成されていると、ガス不透過性、ヒートシール時における加工性が良好となる点で、好ましい。また、不通気性層が複数の層から構成されている場合、各層は同じ素材から形成されていてもよいし、異なる素材から形成されていてもよい。また、この不通気性層によって、吸液体内の空気の外部への流出が阻止され、吸液体が水面上に浮遊することができ、水面上の油を吸液して回収することができる。不通気性層が、気体不透過性材からなる複数の通気阻止層を有し、隣接する通気阻止層の間に気体捕捉空間が配設されてなるものであると、各通気阻止層によって蒸気の透過を阻止するとともに、気体捕捉空間に蒸気を捕捉、保持することによって、蒸気の不透過性がさらに向上し、不通気性層を1層で構成する場合に比して、通気阻止層の厚さ、重量を減少させても、所要の気体透過性を得ることができるため、本発明の吸液体の重量低減に有効であり、さらに取扱い作業性の向上に有効である。さらに、不通気性層を1層で構成する場合に比して浮力が増加し、水面上で使用する場合には、長時間浮遊して吸液を確実に行うことが可能となる。不通気性層を複数の通気阻止層で構成する場合、通常、2〜5層、好ましくは2〜3層の通気阻止層で構成すると、望ましい。
【0010】
この不通気性層の通気阻止層を形成する、気体不透過性を有する素材として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロン、ポリエステル樹脂、あるいはこれらの素材に導電性の素材を混合したもの等が挙げられる。また、帯電防止処理が施されている素材を用いると、引火事故の防止に有効である点で、さらに好ましい。さらに、この不通気性層は、片面または両面に、また、複数の通気阻止層の中でも中間の通気阻止層に、高い気体不透過性を有するフィルム、金属箔を積層し、もしくは金属蒸着によって金属層を形成したり、表面に紙を積層する等の方法によって、さらに不通気性を向上させたものでもよく、また、静電気の蓄積を防止させたものでもよい。さらにまた、不通気性層中に、補強繊維、網状補強材(補強ネット)等の補強材を混入あるいは挿入すれば、機械的強度の向上に有効であり、大面積の吸液体を得るため、および使用時の破壊防止のために有効である。
【0011】
この不通気性層の厚さは、通常、5μm〜3mm程度であり、取扱い作業性および加工性の点で、好ましくは10μm〜1mm程度である。
【0012】
また、本発明の吸液体の不通気性層からなる一面側に対して、反対側の他面側には、回収する液体を透過させる透液材層が配設される。この透液材層は、他面側の全部に配設されていてもよいし、1部のみに配設されていてもよい。各透液材層の形態は、例えば、他面側に、円形、多角形、十字形等の形状の穴状、あるいは格子状、円形、多角形、千鳥状、スリット状、水玉模様、スポット状等のいずれの形態で配設されていてもよい。また、本発明の吸液体が、複数に分画された保液部を有する構造を有する場合は、各保液部に対応して他面側に独立して1つまたは複数の透液材層が形設されていてもよい。この透液材層は、保液部に配設された吸液材が吸収できるように、回収する液体を透過させることができるものであれば、いずれの透液材から形成されていてもよく、特に制限されない。この透液材は、例えば、穴あきフィルム、ネット、織布、不織布、網状体、紙等のいずれの素材からなるものであってもよく、また、その材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロン、PET等の合成樹脂、綿、麻、羊毛等の天然素材、金属、ガラス、カーボン繊維等の無機質素材などが挙げられる。
【0013】
また、透液材として、ワックス、低分子量樹脂、ポリスチレン等の回収する液体に溶解する成分を含むフィルムまたはシート状物であって、吸液・回収作業時にこれらの成分が回収する液体と接触して溶解し、回収する液体を透過させるようになるフィルムまたはシート状物等、さらにウレタンスポンジ等の発泡ゴム体等の連続気泡体、あるいはシラス等の多孔質物を含むフィルムまたはシート状物なども挙げられる。特に、回収対象となる液体が、ガソリン、灯油である場合には、ポリオレフィン樹脂からなる透液材を用いるのが好ましい。
【0014】
本発明の吸液体において、透液材層が不織布からなるものであると、透液性に優れ、かつ安価に製造できる点で、好ましい。また、この不織布が、親油性を有するものであると、液状油脂類の吸液を効率的かつ迅速に行うことができるため、好ましい。特に、水面上に浮遊している油を迅速に吸液するとともに、透液材層に吸液された油によって透液材層を構成する不織布内にとどまる油の撥水性により防水膜的効果を発揮して保液部への水の浸入が抑制され、選択的に油のみを吸液し、吸液材の吸液能力を十分に発揮させることができ、また、長時間、水面上に浮遊できるため、水面上の流出油の吸液、回収作業に有効である。この親油性を有する不織布の具体例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、オレフィン系ポリエステル、ナイロンまたはこれらの混合物等からなる不織布が挙げられる。
【0015】
また、本発明において、透液材層を形成する不織布が、耐水度が1〜150cmであるものが、撥水性に優れ、透水しない点で、好ましい。
【0016】
さらに、本発明において、透液材層を形成する不織布が、通気度が5〜5000cc/cm2 ・secの範囲であり、目付量が10〜200g/m2 の範囲のものであると、実用上問題がない吸収速度が得られる点で、好ましい。特に、通気度が50〜1000cc/cm2 ・secの範囲であり、目付量が20〜100g/m2 の範囲であるものが好ましい。
【0017】
本発明の吸液体において、透液材層が、2種以上の不織布を積層してなる複合不織布で形成されていると、耐水度が向上し、さらに長時間水面上に浮遊でき、水面上の流出油の吸液、回収作業が容易になる点で、有効である。この複合不織布として、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを、1/4〜10/1の目付量の比、好ましくは1/2〜6/1の目付量の比で積層してなる複合不織布が挙げられる。また、透液材層を、複合不織布で形成する場合、スパンボンド不織布が、吸液体の外側に配置され、メルトブローン不織布が吸液体の内側に配置されるように積層した複合不織布が、不通気性層を重ねて側端を接着して袋状体またはチューブ状体を構成する際に、不通気性層との接着が容易である点で、好ましい。この複合不織布を構成するスパンボンド不織布としては、平均繊維径0.1〜20デニール、目付量5〜200g/m2 のものが挙げられ、メルトブローン不織布としては、平均繊維径0.1〜5μm、目付量4〜100g/m2 のものが挙げられる。
【0018】
さらにまた、本発明の吸液体において、透液材層が、親水化処理された不織布からなるものであると、塩酸等の無機薬品の吸液、回収に有効である。親水化処理された不織布としては、例えば、脂肪族多価アルコールのカルボン酸エステル等の界面活性剤を賦与したポリオレフィン系不織布などが挙げられる。
【0019】
本発明の吸液体において、透液材層の厚さは、通常、1〜1000g/m2 程度であり、取扱い作業性および加工性の点で、好ましくは10〜600g/m2 程度である。
【0020】
本発明の吸液体の保液部に配設される吸液材は、透液材層を透過する液体を吸収し、保持できるものであれば、定形物、無定形物等のいずれの形態のものでもよく、特に制限されない。例えば、合成繊維、木材パルプ、合成パルプ、トウモロコシの茎、コットン・リンター、毛、羽毛、あるいは竹、草等の天然繊維などの繊維集積体およびその積層体、木粉、パーライト、シラス、もみ殻等の粉粒物およびその成形品などが挙げられる。これらの吸液材は1種のみを保液部に封入または充填してもよいし、また、2種以上、例えば、木材パルプ等の繊維集積体またはその積層体と、木粉等の粉粒物またはその成形品とを混合して保液部に封入または充填してもよく、さらには、3種以上を混合して保液部に封入または充填してもよい。また、吸液材とともに凝固剤またはゲル化剤を混合して保液部に封入または充填すると、保液部における保液性能を向上させることができる、また、薄い保液部で所要の保液性能を得ることができるため、運搬時の嵩量の低減、軽量化等の点で、有効である。また、保液部に配設される吸液材の量は、吸液体に要求される吸液量等に応じて適宜選択され、通常、嵩密度で0.005〜0.5g/cm3 程度である。さらに、吸液、回収する液体が流出する勢いによって、吸液体が浮遊したり、移動することを防止するため、吸液材の見掛け比重を調整する目的で、セラミック、石、金属、またはこれらの粉末等の高比重物を封入もしくは充填してもよい。吸液材の充填率を80%以下にすると、水面上に浮遊し易く、水面上の油を吸液し易くなるため、好ましい。
【0021】
本発明の吸液体において、吸液材として、木粉を使用すると、吸液、回収処理後、容易に焼却することができ、また、その焼却処理時に塩素等の有害ガスを発生することもないため、有効である。この木粉としては、木材の裁断加工時に裁断屑として発生する木粉、いわゆる鋸屑(おが屑)が有用かつ経済性に優れ、さらに資源の有効利用の点で、好ましい。特に、本発明においては、杉、ヒバ、ヒノキ等の針葉樹の裁断加工時に生じる鋸屑が、吸液効率が高く、自重に対する吸液保持量、すなわち吸液倍率が高く、かつ吸液速度が早いため、吸液能力が高い。また、鋸屑は、一旦吸液後は、水と接触しても吸液した油等の液体を離さずに保持する性質があるため、好ましい。また、この木粉は、粒度2mm以下のものが、好ましい。ところで、一般に、針葉樹は、木部が仮導管と呼ばれる中空の細長い細胞から構成され、針葉樹材中の仮導管による空隙割合は、木材容積の70%程度にも達する。鋸屑においては、この仮導管による空隙が開口した形態を有し、その開口部から毛細管現象によって、多量の液体を迅速に吸液し、高い吸液効率を発揮することができると考えられる。
【0022】
さらに、本発明の吸液体を分画し、複数の保液部を有するものとすると、保液部の内部に配設される吸液材が偏在するのを防止することができる点で、好ましい。分画の数は、吸液体の形状、大きさ等に応じて適宜選択される。例えば、吸液体が40cm×40cm程度の大きさである場合には、3〜4個の室に分画されているものが好ましい。各室は、完全に独立するように分画されていてもよいし、完全に分画されずに、吸液材が室から室へ容易に移動できない程度の隙間を有していてもよい。例えば、連続空間、溝等の隙間を有していてもよい。
【0023】
また、本発明の吸液体の形状、大きさ等は、使用形態、使用方法等に応じて適宜決定される。例えば、本発明の吸液体が床等で使用される場合には、吸液・回収作業時に取扱い易い点で、20cm×20cm〜1m×1m程度の大きさにするのが好ましい。また、溝、塀際、水面上、細長い場所等における吸液・回収作業には、チューブ状の展張できるものが、作業時間の短縮、効率的な吸液・回収作業を行うことができる点で、好ましい。
【0024】
さらに、本発明の吸液体を用いる液体の回収は、本発明の吸液体を液体の上に被せ、放置または上部から均一に押して、透液材層を通して液体を保液部に透過させ、吸液材に液体を吸収させることによって行うことができる。このとき、吸液材に保持された液体が揮発性液体である場合には、上部にある不通気性層によって吸液体の外部へ揮発した液体が揮散することが阻止され、揮発性液体を保液部内に保持することができる。吸液体の吸液量が飽和または吸液作業が終了した後、吸液体を回収袋に入れて集め、焼却処分等によって最終処分を行うことができる。
【0025】
以下、図1〜3に示す本発明の吸液体の実施態様を例にとり、本発明の吸液体について詳細に説明する。なお、以下の図1〜3において、同一の符号は、同一の部分を示す。
【0026】
図1(A)に斜視図を示し、図1(B)に模式断面図を示す吸液体1は、不通気性層2と、透液材層3とを重ね合わせ、4つの側端4a,4b,4c,4dを閉塞してなるものであり、図1(B)に示すように、内部に形成された袋状の保液部5に吸液材6を配設してなるものである。
【0027】
この図1に示す吸液体の製造は、例えば、不通気性材と、透液材とを重ね合わせ、3つの側端4a、4bおよび4cを接着して封止し、保液部5を形成した後、開口されている側端4dから、吸液材6を入れ、さらに、側端4dを封止して行うことができる。接着の方法は、特に制限されず、例えば、ヒートシール、超音波加工によるシール、溶断、縫合、あるいは接着剤による方法などが挙げられる。
【0028】
この図1に示す構造の吸液体は、平坦な床や路面に流出した油等を吸液して回収する等の用途に好適に用いることができる。
【0029】
また、図2(A)は、本発明の吸液体の別の実施態様を示す斜視図であり、図2(B)はその模式断面図を示す。この図2に示す吸液体7は、上部に配設された不通気性層2と、下部に配設された透液材層3とを4つの側端4a,4b,4c,4dを閉塞するとともに、側端4bから側端4dにかけて横断して形成された分画部81 および82 によって分画し、3つの袋状の保液部51 ,52 ,53 を形成したものである。各保液部51 ,52 ,53 の内部には、図2(B)に示すように、吸液材61 、62 および63 が配設されているものである。
【0030】
この図2に示す構造の吸液体7の製造は、接着等の方法によって、図1に示す構造の吸液体の製造と同様におこなうことができ、また、各保液部51 ,52 ,53 を形成する方法も、同様の方法にしたがって行うことができる。接着の方法は、特に制限されず、例えば、ヒートシール、超音波加工によるシール、溶断、縫合、あるいは接着剤による方法などが挙げられる。
【0031】
この図2に示す構造の吸液体は、平坦な床や路面ばかりでなく、凹凸のある床、路面、特に、立ち上がり角のある個所に適用して、凹部に滞留している油を吸液・回収する際に好適に用いることができる。
【0032】
さらに、図3は、本発明の吸液体の別の実施態様を示す模式断面図である。この図3に示す吸液体9は、複数の通気阻止層を有する吸液体の実施態様を示し、上部に通気阻止層21 および22 からなる不通気性層を有する以外は、前記図1(A)および(B)に示す構造の吸液体1と同じ構造のものである。この図3に示す構造の吸液体9は、2つの不通気性層21 および22 を有するため、不通気性に優れ、揮発性液体からの蒸気の逸散をより低減することができる点で、有効である。
【0033】
この図3に示す構造の吸液体9の製造は、接着等の方法によって、図1に示す構造の吸液体の製造と同様におこなうことができる。接着の方法は、特に制限されず、例えば、ヒートシール、超音波加工によるシール、溶断、縫合、あるいは接着剤による方法などが挙げられる。
【0034】
また、図4は、本発明の吸液体の別の実施態様を示す模式断面図である。この図4に示す吸液体10は、複数の通気阻止層を有し、隣接する通気阻止層の間に気体捕捉空間を配設した構造を有する吸液体の実施態様を示し、上部に通気阻止層21 と空気阻止層22 とを有し、その2つの通気阻止層21 と22 の間に、気体捕捉空間11を配設した構造を有する不通気性層2を有する以外は、前記図1(A)および(B)に示す構造の吸液体1と同じ構造のものである。この図4に示す構造の吸液体10は、2つの通気阻止層21 および22 を有するとともに、気体捕捉空間11を有するため、各通気阻止層21 および22 によって蒸気の透過を阻止するとともに、気体捕捉空間11に蒸気を捕捉、保持することによって、蒸気の不透過性がさらに向上し、不通気性層を1層で構成する場合に比して、通気阻止層の厚さ、重量を減少させても、所要の気体透過性を得ることができるため、本発明の吸液体の重量低減に有効であり、さらに取扱い作業性の向上に有効である。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示し、本発明の吸液体についてより具体的に説明する。
【0036】
(例1)
厚さ15μmのポリプロピレンフィルムと、スパンボンド不織布(目付量:25g/m2 、耐水度:4cm、通気度:330cc/cm2 ・sec、主材:ポリプロピレン、三井石油化学工業(株)製、シンテックス)とを重ね合わせ、3つの側端をヒートシールして30cm×30cmの寸法の袋状に成形し、開口部から内部におが屑1000cm3 を充填した後、開口端をヒートシールして、保液部に吸液材としておが屑を封入し、ポリプロピレンフィルムを不通気性層とし、不織布を透液材層とする図1に示す構造の吸液体を製造した。
得られた吸液体を、ガソリン500cm3 を入れた縦30cm×横30cmのバットの中に、不織布からなる透液層を下にして置いたところ、ガソリンを完全に吸収した。このとき、バットの外周壁の外側におけるガソリン蒸気の濃度を測定したところ、0.6vol%であった。
【0037】
(例2)
厚さ40μmのポリプロピレンフィルムと、スパンボンド不織布(目付量:20g/m2 、耐水度:2cm、通気度:397cc/cm2 ・sec、主材:ポリプロピレン、三井石油化学工業(株)製、シンテックス)とを重ね合わせ、3つの側端をヒートシールして33cm角の寸法の袋状に成形し、開口部から内部に、ポリエチレンからなる合成パルプと雑フェルト繊維とを混合して厚さ10mmの板状に成形した積層吸液材(30cm角)を入れた後、開口端をヒートシールして封入し、ポリプロピレンフィルムを不通気性層とし、不織布を透液材層とする図1に示す構造の吸液体を製造した。
得られた吸液体について、実施例1と同様にして吸液性を評価したところ、完全にガソリンを吸収した。
【0038】
(例3)
実施例1で用いたものと同じポリプロピレンフィルムを2枚重ねて不通気性層を形成した以外は、実施例1と同様にして、図3に示す構造の吸液体を製造し、得られた吸液体の吸液性を評価したところ、完全にガソリンを吸収した。また、このとき、バットの外周壁の外側におけるガソリン蒸気の濃度を測定したところ、0.3vol%と低い値を示した。
【0039】
(例4、例5)
図5に示す通り、不通気性層として厚さ40μmのポリプロピレンフィルム52と、透液材層としてスパンボンド不織布(目付量:40g/m2 、主材:ポリプロピレン、三井石油化学工業(株)製、シンテックス、耐水度:10cm、通気度:200cc/cm2 ・sec)53とを重ね合わせ、上部に配設されたポリプロピレンフィルム52と、下部に配設された不織布53とを、その重ね合わせた側端54a,54b,54cを閉塞し、400mm×600mm×20mmの袋状体を形成した。その後、側端54bから側端54aおよび54cに並行してポリプロピレンフィルム52と、不織布53とをヒートシールして分画部581 ,582 および583 を形成して分画し、4つの袋状の保液部551 ,552 ,553 および554 (内容積:8l)を形成した。次に、各保液部551 ,552 ,553 および554 に、開口端54dから、それぞれ吸液材としてヒバ木粉(粒度:5mmメッシュパス品)1.2l(合計で4.8l)56を、各保液部551 ,552 ,553 および554 の内容積の60%の充填率で充填した。次に、開口端54dをヒートシールによって閉塞して吸液体51(合計重量:約650g)を得た。
【0040】
ガソリン蒸気の拡散抑止試験
直径20cmの円板状の吸液体(保液材:ヒバ木粉560ml)の試料を作製し、この試料をガソリン200mlを入れた20cmφのステンレス製シャーレ内に入れて、ガソリンを吸液させた。次に、図6に示すように、試験片を入れたステンレス製シャーレ121 を、高さ30cmのアクリル板131 ,132 および133 で隔てられたガス拡散路141 に置いた。また、比較例として、パーライト600mlを、ガソリン200mlを入れた20cmφのステンレス製シャーレ122 内に入れて、ガソリンを吸液させた後、ステンレス製シャーレ122 を、高さ30cmのアクリル板133 ,134 および135 で隔てられたガス拡散路142 に置いた。
次に、ステンレス製シャーレ121 および122 の外周壁の外側直近に設けたガソリン蒸気濃度測定点151 および152 におけるガソリン蒸気濃度を20分間連続して測定した。測定の結果を図7に示す。図7において、Aは本発明の吸液体によるガソリン蒸気の拡散抑止効果を示し、Bはパーライトによるガソリン蒸気の拡散抑止効果を示す。また、このとき、ステンレス製シャーレ121 および122 を置いた台面から30cmの高さのアクリル板133 の直上16におけるガソリン蒸気濃度を同時に測定し、図7にCとして示す。
【0041】
ガソリン引火試験
20cm×20cmの直方体状の吸液体(吸液材:ヒバ木粉)の試料を作製した。この試料を、ガソリン50mlを入れた20cm角のステンレス製オイルパンに入れて、ガソリンを吸液させた。また、比較例として、パーライト150mlを、ガソリン50mlを入れたステンレス製オイルパンに入れて、ガソリンを吸液させて比較試料とした。
これらの試料および比較試料を、幅4cm×深さ8cm×長さ1.5mの溝の一端の側縁上に配置し、溝の他端に着火したローソクを置き、5分間でガソリン蒸気が溝内を伝って引火を生じるか否かを確認した。なお、吸液体を用いずに、ガソリン50mlのみを入れたステンレス製オイルパンを溝の直近傍に配置した引火試験の結果では、31秒で引火した。
【0042】
水面上のガソリン吸収試験
水を張った直径25cmφの円形水槽に、ガソリン50mlを入れた後、20cm×20cmに成形した吸液体試験片を投入し、1分間攪拌し、水面上のガソリンの浮遊状況を測定した。また、比較例として、吸液体試験片の代わりに、パーライト150mlを、ガソリン50mlを入れた水槽に投入し、1分間攪拌して、水面上のガソリンの浮遊状況を測定した。
【0043】
軽油吸収倍率の測定
30cmφのろ紙をロート型に折り、保液材:ヒバ木粉500mlを入れて、秤量した(W1 g)。次に、底部にゴム栓をした15cmφのロート内に配置した後、軽油500mlを上から注ぎ入れ、5分間放置した。その後、ゴム栓を抜いて5分間放置して、軽油を切り、軽油を吸液した吸液体を入れたままのろ紙の重量(W2 g)を秤量した。また、比較例として吸液体の代わりにパーライト500mlを用いて、同様の測定を行った。さらに、吸液体を入れないろ紙についても同様の測定を行い、ろ紙による軽油の吸収量(W3 g)を測定し、下記の式(1)にしたがって軽油吸収倍率Xを求めた。
軽油吸収倍率X=(W2 −W1 −W3 )/W1
W1 :軽油吸収前の重量(g)
W2 :軽油吸収後の重量(g)
(但し、W1 およびW2 は、ろ紙の重量を差し引いた重量である。)
W3 :ろ紙による軽油の吸収量(g)
【0044】
軽油吸着試験
90cm角の鉄製オイルパンに軽油6lを入れ、吸液体(400mm×600mm)4枚を、作業者による手作業で配置し、風による吸液体の飛散状況等を観察した。また、パーライト18lを作業者による手作業で散布し、風による飛散状況を観察した。
【0045】
回収作業試験
上記の軽油吸着試験において軽油を吸液した吸液体およびパーライトのそれぞれを、防水シート上に移し、吸液体については手で摘み上げてポリ袋に入れて回収し、また、パーライトについては、ほうきと塵取りを用いて袋に回収し、それぞれの回収作業性を評価した。
前記の各試験における結果を、下記の表1にまとめて示す。
【0046】
Figure 0003838687
【0047】
(実施例1)
例4の吸液体の透液材層として、平均繊維径2.6デニールのスパンボンド不織布(目付量:30g/m2 、主材:ポリプロピレン)と、メルトブローン不織布(三井石油化学工業(株)製シンテックスMB)と、を貼り合わせ積層した複合不織布を用いた以外は、例4と同様にして吸液体を得た。
水槽に水を張り、得られた吸液体を投入したところ、水面上に5時間浮遊状態を保った。なお、例4の吸液体では、20分であった。
また、水槽に水を張り、赤色に着色したガソリン1.5lを入れて、水面上に浮遊させた後、前記に得られた吸液体を投入し、ガソリンが有効に吸液、回収されるか否かを目視で観察した。
吸液体が、水面上のガソリンに触れた瞬間から直ちに吸液が開始された。棒を使って吸液体を移動させると、吸液体が通った後は、ガソリンが吸収されて、清浄な水面が現れた。10数秒で水面のガソリンを回収できた。
【0048】
【発明の効果】
本発明の吸液体は、床、路面、水面等に流出または漏出した液体を、高い吸液速度および吸液効率で、しかも簡便な作業で吸液し、回収することができる。特に、揮発性液体を速やかに効率良く吸液して、該揮発性液体を内部に保持して蒸気の揮発を抑制することができ、しかも吸液および回収作業を簡便かつ迅速に行うことができる。そのため、本発明の吸液体は、床、路上、水面等に流出した液体、特に迅速な処理が必要とされる、ガソリン、軽油等の引火性液体の吸液・回収処理に有効であり、各種の吸液・回収処理の用途に好適に用いることができるものである。また、雨天時または側溝等の水面上に浮遊した油の吸液処理および回収作業においても、高い吸液効率を発揮することができるため、実用上の価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の吸液体の第1の実施態様の概略を示す斜視図、(B)はその模式断面図。
【図2】(A)は本発明の吸液体の第2の実施態様の概略を示す斜視図、(B)はその模式断面図。
【図3】本発明の吸液体の第3の実施態様の概略を示す模式断面図。
【図4】本発明の吸液体の第4の実施態様の概略を示す模式断面図。
【図5】本発明の実施例5で製造した吸液体の一部を切り欠いて示す斜視図。
【図6】本発明の実施例4において行ったガソリン蒸気の拡散抑止試験を説明するガス拡散路平面図。
【図7】実施例4におけるガソリン蒸気の拡散抑止試験の結果を示す図。
【符号の説明】
1 吸液体
2 不通気性層
21 ,22 通気阻止層
3 透液材層
4a,4b,4c,4d 側端
5,51 ,52 ,53 保液部
6,61 ,62 ,63 吸液材
7 吸液体
81 ,82 分画部
9 吸液体
10 吸液体
11 気体捕捉空間
121 、122 ステンレス製シャーレ
131 ,132 ,133 ,134 ,135 アクリル板
141 ,142 ガス拡散路
151 ,152 ガソリン蒸気濃度測定点(シャーレ外周壁の外側直近)
16 ガソリン蒸気濃度測定点(アクリル板133 の直上)
51 吸液体
52 ポリプロピレンフィルム
53 不織布
54a,54b,54c 側端
551 ,552 ,553 ,554 保液部
581 ,582 ,583 分画部
54d 開口端
56 ヒバ木粉

Claims (11)

  1. 袋状体またはチューブ状体の一面側に不通気性層を有し、他面側の少なくとも1部に透液材層を有し、袋状体またはチューブ状体の内部に吸液材を配設してなる保液部を有し、
    前記透液材層が、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを、前記スパンボンド不織布が前記吸液体の外側に配置され、前記メルトブローン不織布が前記吸液体の内側に配置されるように、1/4〜10/1の目付量の比で積層してなる複合不織布である吸液体。
  2. 前記不通気性層の厚さが10μm〜1mmであり、
    前記透液材層の厚さが10〜600g/m2である請求項1に記載の吸液体。
  3. 前記スパンボンド不織布および前記メルトブローン不織布が、親油性を有するものである請求項1または2に記載の吸液体。
  4. 前記複合不織布が、耐水度が1〜150cmであるものである請求項1〜3のいずれかに記載の吸液体。
  5. 前記複合不織布が、通気度が5〜5000cc/cm2・secであり、目付量が10〜200g/m2であるものである請求項1〜4のいずれかに記載の吸液体。
  6. 前記保液部に配設される吸液材の量は、嵩密度で0.005〜0.5g/cm3である請求項1〜5のいずれかに記載の吸液体。
  7. 前記吸液材が、木粉である請求項1〜6のいずれかに記載の吸液体。
  8. 前記袋状体またはチューブ状体の内部に、充填率80%以下で吸液材を充填してなる請求項1〜7のいずれかに記載の吸液体。
  9. 前記袋状体またはチューブ状体が、複数に分画された保液部を有する請求項1〜8のいずれかに記載の吸液体。
  10. 前記不通気性層を複数層有する請求項1〜9のいずれかに記載の吸液体。
  11. 前記不通気性層が、気体不透過性材からなる複数の通気阻止層を有し、隣接する通気阻止層の間に気体捕捉空間を配設してなるものである請求項1〜10のいずれかに記載の吸液体。
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