JP3848767B2 - 小型トラック用ラジアルタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型トラックに用いられる空気入りラジアルタイヤに関し、更に詳しくは、ベルト層を2層配置した偏平比0.85以下の小型トラック用ラジアルタイヤにおいて、耐久性の問題を招かずに、良好な操縦安定性と耐轍ワンダリング性を得ることができるようにした小型トラック用ラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、小型トラック用ラジアルタイヤは、トレッド部のカーカス層外周側にスチールコードを配列した3層のベルト層を配置し、高いコーナリングパワーを確保することで、良好な操縦安定性を発揮するようにしている。ところで、近年、小型トラック用ラジアルタイヤにあっても、偏平化したタイヤが開発されているが、このようにベルト層を3層配置してトレッド部の剛性を高くしたラジアルタイヤは、偏平化により耐轍ワンダリング性が悪化する。特に、偏平比0.85以下の小型トラック用ラジアルタイヤにおいて、耐轍ワンダリング性の低下が顕著になるという問題があった。
【0003】
そこで、従来、上記対策として、ベルト層を2層構造にすることで、トレッド部の剛性を低くして耐轍ワンダリング性を向上する一方、トレッド部を構成するゴムに高いグリップ性能を発揮できるゴムを使用することにより、コーナリングパワーを高めて良好な操縦安定性を得るようにした技術の提案がある。しかし、このようなゴムをトレッド部に用いると耐発熱性が低下する結果、耐久性が悪化するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐久性の問題を生じることなく、良好な操縦安定性と耐轍ワンダリング性を確保することが可能な小型トラック用ラジアルタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、トレッド部のカーカス層外周側にスチールコードを配列したベルト層を2層のみ設けた偏平比0.85以下の小型トラック用ラジアルタイヤにおいて、各ベルト層の下記式で定義される面内曲げ剛性を2200〜7500 kgf ・ mm 2 、前記スチールコード1本当たりの面外曲げ剛性を30〜140 kgf ・ mm 2 にすると共に、前記スチールコードの配列間隔を0.3〜1 mmにし、かつ前記トレッド部を構成するゴムの20℃における損失正接tan δ20と動的貯蔵弾性率E'20 をそれぞれ0.12≦tan δ20≦0.20、4.2kgf/mm2 ≦E'20 ≦6.5kgf/mm2 にしたことを特徴とする。
【0006】
面内曲げ剛性=(スチールコード1本当たりのベルト層面内方向の曲げ剛性)×(ベルト層タイヤ幅方向50mm当たりのスチールコード本数)
このように両ベルト層の面内曲げ剛性を高く設定することで、コーナリング時にベルト層が踏ん張って大きなコーナリングパワーを発揮することが可能になるので、良好な操縦安定性を得ることができる。他方、ベルト層のスチールコード1本当たりの面外曲げ剛性を低い範囲にすることにより、ベルト層が轍に対応して変形できるようになるため、良好な耐轍ワンダリング性を確保することができる。
【0007】
しかも、ドレッド部を構成するゴムの物性を上記の範囲に特定することで、耐発熱性を悪化させることなく、かつトレッドゴムの軟らかすぎによる操縦安定性の低下を招くようなこともない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の偏平比0.85以下の小型トラック用ラジアルタイヤの一例を示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部、CLはタイヤセンターラインである。タイヤ内側には左右のビード部3間に2層のカーカス層4A,4Bが装架され、内側のカーカス層4Aの両端部4aがビードコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返されている。外側のカーカス層4Bは、その両端部4bがカーカス層4Aの折り返された両端部4aに沿ってビードコア5の近傍まで延在する構成になっている。
【0009】
トレッド部1のカーカス層外周側には、スチールコードfを配列した2層のみからなるベルト層7A,7Bが設けられている。両ベルト層7A,7Bは、スチールコードfが層間でタイヤ周方向に対する傾斜を逆向きにして互いに交差するように配列され、そのタイヤ周方向に対する傾斜角度を16°〜26°にしている。ベルト層7A,7Bの両端部外周側には、ナイロン等の有機繊維コードをタイヤ周方向に巻回した2層のエッジカバー層8が配設されている。
【0010】
各ベルト層7A,7Bは、ベルト層を面内方向(面が延在する方向)に曲げた時の剛性である面内曲げ剛性がそれぞれ2200 kgf・mm2 以上になっている。但し、この面内曲げ剛性は次の式により定義されるものとする。
面内曲げ剛性=(スチールコード1本当たりのベルト層面内方向の曲げ剛性)×(ベルト層タイヤ幅方向50mm当たりのスチールコード本数)
また、配列された各スチールコードfは、ベルト層と交差する方向に曲げた時の剛性である面外曲げ剛性を1本当たり140 kgf・mm2 以下にしてある。隣接するスチールコードf間の間隔である配列間隔aは0.3mm以上に設定されている。
【0011】
また、トレッド部1を構成するゴム部1Aのゴムの20℃における損失正接tan δ20と動的貯蔵弾性率E'20 が、それぞれ0.12≦tan δ20≦0.20、4.2kgf/mm2 ≦E'20 ≦6.5kgf/mm2 の範囲になっている。
このように2層のベルト層7A,7Bを設けた偏平比0.85以下の小型トラック用ラジアルタイヤにおいて、両ベルト層7A,7Bの面内曲げ剛性を上記のように高く設定することにより、コーナリング時に踏ん張りをきかせて、高いコーナリングパワーを発揮させることができるため、良好な操縦安定性の確保が可能になる一方、スチールコード1本当たりの面外曲げ剛性を上記のように低く設定することで、轍に入り込んだ際にベルト層がそれに対応して変形し易くなるので、耐轍ワンダリング性の改善が可能になる。
【0012】
また、ドレッド部1を構成するゴム部1Aのゴム物性である20℃の損失正接tan δ20と動的貯蔵弾性率E'20 とを上述した範囲に設定することで、発熱を低く抑えることができ、かつトレッド部の剛性低下による操縦安定性を損なうようなこともない。各ベルト層の面内曲げ剛性が2200 kgf・mm2 より小さいと、ベルト剛性が不十分であるため、良好な操縦安定性を得ることが難しくなる。この面内曲げ剛性の上限値としては、偏摩耗性が悪化するため7500 kgf・mm2 とする。両ベルト層7A,7Bは面内曲げ剛性を略同じにして配置するのが好ましい。
【0013】
面外曲げ剛性が140 kgf・mm2 を越えると、轍ワンダリングに対してベルト層が追従変形し難くなる。この面外曲げ剛性の下限値としては、転がり抵抗が悪化するため30 kgf・mm2 とする。スチールコードfの配列間隔aが0.3mm未満であると、スチールコードfとゴムとの間に剥離が発生し易くなるため、ベルト耐久性が低下する。この配列間隔aの上限値としては、耐外傷性(パンク等)が悪化するため1mmとする。
【0014】
また、損失正接tan δ20が0.12未満であっても、動的貯蔵弾性率E'20 が4.2kgf/mm2 より小さくても、操縦安定性が悪化し、逆に損失正接tan δ20が0.20を越えても、動的貯蔵弾性率E'20 が6.5kgf/mm2 より大きくても、発熱性の問題が発生するため、トレッド耐久性の低下を招く。
本発明において、ベルト層7A,7Bのスチールコードfとしては、素線f1を偏平状に配置した図2に示す偏平コードを好ましく使用することができる。この偏平コードの採用により、上述した高い面内曲げ剛性と低い面外曲げ剛性を有するベルト層を容易に得ることができる。
【0015】
なお、本発明における小型トラック用ラジアルタイヤとは、JATMA(JATMA YEAR BOOK 1997)に規定された小型トラック用ラジアルプライタイヤを指すものである。
【0016】
【実施例】
タイヤサイズを205/60R17.5 111/109L LTで共通にし、図1に示す構成のタイヤにおいて、各ベルト層の面内曲げ剛性、スチールコード1本当たりの面外曲げ剛性、スチールコードの配列間隔、トレッド部を構成するゴムの20℃における損失正接tan δ20と動的貯蔵弾性率E'20 をそれぞれ表1のようにした本発明タイヤ1〜5、比較タイヤ1〜5、及び従来タイヤをそれぞれ作製した。
【0017】
これら各試験タイヤをリムサイズ17.5×6.00のリムに装着し、以下に示す測定条件により、耐轍ワンダリング性、操縦安定性、トレッド耐久性の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
耐轍ワンダリング性及び操縦安定性
各試験タイヤの空気圧を600kPa にして、2tの小型トラックに装着し、轍路テストコースにおいてテストドライバーによりフィーリングテストを実施し、その結果を10点満点で評価した。6点以上あれば、耐轍ワンダリング性及び操縦安定性が良好であると言える。
トレッド耐久性
各試験タイヤをドラム試験機に取り付け、空気圧600kPa 、荷重10.69kN、速度120km/hの条件下で、ドラム径1707mmのドラム上をタイヤが破壊するまで走行させた時の距離を測定し、その結果を従来タイヤを100とする指数値で評価した。この値が大きい程、トレッド耐久性に優れている。130以上あれば問題がない。
【0018】
【表1】
【0019】
表1から明らかなように、本発明タイヤは、いずれも耐轍ワンダリング性、操縦安定性が6点を越えると共に、トレッド耐久性も130より大きく、良好な耐轍ワンダリング性と操縦安定性を確保することができ、かつ耐久性の問題を招くことがないのが判る。
【0020】
【発明の効果】
上述したように本発明は、ベルト層を2層設けた偏平比0.85以下の小型トラック用ラジアルタイヤにおいて、各ベルト層の面内曲げ剛性とそのスチールコード1本当たりの面外曲げ剛性を上記のように特定し、かつドレッド部のゴム物性を上述した範囲に設定することにより、トレッド耐久性の問題を招くことなく、良好な操縦安定性と耐轍ワンダリング性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の小型トラック用ラジアルタイヤの一例を示すタイヤ子午線半断面図である。
【図2】ベルト層のスチールコードの好ましい例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 トレッド部 1A ゴム部
2 サイドウォール部 3 ビード部
4A,4B カーカス層 5 ビードコア
6 ビードフィラー 7A,7B ベルト層
8 エッジカバー層 f スチールコード
Claims (2)
- トレッド部のカーカス層外周側にスチールコードを配列したベルト層を2層のみ設けた偏平比0.85以下の小型トラック用ラジアルタイヤにおいて、各ベルト層の下記式で定義される面内曲げ剛性を2200〜7500 kgf ・ mm 2 、前記スチールコード1本当たりの面外曲げ剛性を30〜140 kgf ・ mm 2 にすると共に、前記スチールコードの配列間隔を0.3〜1 mmにし、かつ前記トレッド部を構成するゴムの20℃における損失正接tan δ20と動的貯蔵弾性率E'20 をそれぞれ0.12≦tan δ20≦0.20、4.2kgf/mm2 ≦E'20 ≦6.5kgf/mm2 にした小型トラック用ラジアルタイヤ。
面内曲げ剛性=(スチールコード1本当たりのベルト層面内方向の曲げ剛性)
×(ベルト層タイヤ幅方向50mm当たりのスチールコード本数) - 前記スチールコードが偏平コードである請求項1に記載の小型トラック用ラジアルタイヤ。
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