JP3856826B2 - 組成物および使用 - Google Patents

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Description

本発明は、2−アルキル−および2−アラルキル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンをプラスチック材料の保護のための生物致死薬として使用すること、特にそれらを殺真菌薬として使用すること、ならびにその組成物に関する。1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(以下、“BIT”)およびそれらを生物致死薬として使用することは当技術分野で周知である。
英国特許第848,130号には、特に少なくとも4個の炭素原子を含む2−アルキル−置換基またはハロゲンで置換された2−ベンジル基を含むBITが開示される。これらの化合物は有用な抗菌および抗真菌活性をもち、医薬用、動物用および農業用の生物致死薬として有用であると言われている。
米国特許第3,517,022号には、特に4〜24個の炭素原子をもつ2−アルキル−置換基を含み、BITのフェニル環がハロゲン、C1〜4−アルキルまたはC1〜4−アルコキシで置換されたBITが開示される。これらの化合物は有用な工業用生物致死薬、特に農業用の殺真菌薬および殺虫薬であると言われている。
英国特許第1,531,431号には、2−(C1〜3−アルキル)−BIT、ならびにそれらを工業用生物致死薬(殺真菌薬を含む)として、水性系および塗膜中に使用することが開示される。
より最近になって欧州特許第475,123号に、2−(n−C6〜8−アルキル)−BITを工業用生物致死薬、特に塗料およびプラスチック材料の殺真菌薬として使用することが提示された。これらの化合物は特にScopulariopsis brevicaulisに対して有効であると言われている。さらに、2−(n−C6〜8−アルキル)−BITは糸状菌に対して英国特許第1,531,431号の2−(C1〜3−アルキル)−BITより高い活性をもつと述べられている。実際に真菌および酵母に対して2−n−オクチル−BITは2−n−ヘキシル−BITより活性が高く、また両者とも2−メチル−BITより有意に活性が高いことを示すデータが提示されている。
今回、ある2−アルキル−BIT誘導体がプラスチック材料に対する真菌系の劣化原(deteriogen)に対してきわめて有効であり、また最近の欧州特許第475,123号の知見と対照的に、プラスチック材料において重大な真菌に対するこれらの化合物の活性は2−アルキル鎖中の炭素原子数が増すのに伴って実際には低下することが見出された。また、ある2−アラルキル−BIT誘導体もプラスチック材料におけるこれらの真菌に対してきわめて有効であることも見出された。
プラスチック材料用の殺真菌薬に要求されるさらに重要な特性は、これらの材料が加工操作、たとえば押出しに際して受ける処理条件に耐えうることである。この操作は一般にプラスチック材料を140℃以上の温度に加熱することを伴う。したがって殺真菌薬はこれらの条件下で高い温度安定性および低い揮発性を示すことが重要である。
より活性の高いBIT−誘導体は揮発性が高すぎてプラスチック材料用の殺真菌薬として適さないこと、したがって2−アルキル基は3個以上の炭素原子を含まなければならないことも、今回見出された。2−アラルキル−BIT誘導体は許容しうる、きわめて有利な低い揮発性を示す。
プラスチック材料用の殺真菌薬に対するさらに重要な要件は、プラスチック材料加工工業に一般に用いられる可塑剤および安定剤と配合しうること、また殺真菌薬が使用中の変色に対して高い抵抗性を示し、かつ処理済みプラスチック材料が使用中に受ける種々の条件下で長い寿命を示すことである。
特定の2−アルキル−および2−アラルキル−BIT誘導体(以下、“ABIT”)が、特に揮発性およびプラスチック材料に対する真菌系の劣化原に対する活性に関して上記の要件を満たすことが見出された。
本発明によれば、プラスチック材料用殺真菌薬としての式1の2−アルキル−および2−アラルキル−BIT誘導体:
Figure 0003856826
[式中、
1はヒドロキシ、ハロゲン、C1〜4−アルキルまたはC1〜4−アルコキシであり;
RはC3〜5−アルキル、シクロアルキル、またはアラルキルであってアリール基を窒素原子に連結する少なくとも2個の炭素原子を含むものであり、これらにおいてアルキルまたはアリール基は所望により置換されていてもよく;そして
nは0〜4である]
の使用が提供される。
好ましくはハロゲンは臭素、特に塩素である。
置換基R1は好ましくはBIT分子の5−および/または6−位にあり、特に6−位にある。
特に好ましい態様は、nがゼロの場合である。
Rがアルキルである場合、それは直鎖または分枝鎖のいずれであってもよいが、好ましくは直鎖である。このようなアルキル基の例はn−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、n−アミル、イソ−アミルおよび2−メチルブチルである。
Rがシクロアルキルである場合、それは好ましくはシクロペンチルである。
Rがアルキルである場合、それは好ましくは4個の炭素原子を含み、特にn−ブチルである。
Rがアラルキルである場合、それは好ましくは2−アリールエチル、特に2−フェニルエチルである。
Rが表すアルキル基またはアラルキル基のアリール部分が置換されている場合、置換基は好ましくはヒドロキシ、ハロゲンまたはニトリルである。しかしアルキル基およびアリール部分は置換されていないことが好ましい。
Rがn−ブチル、および特に2−フェニルエチルである場合に特に有用な効果が得られた。
ABITは保護すべきプラスチック材料に、ABITが真菌の増殖に対してある程度の抑制を示す濃度から、それよりはるかに高い濃度までの濃度で装入される。ABITの量はプラスチック材料の重量に対して好ましくは1.5重量%未満、より好ましくは1.0重量%未満、特に0.7重量%未満、殊に0.5重量%未満である。ABITの量がプラスチック材料の重量に対して0.25重量%未満、さらには0.1重量%未満ですら有用な効果が得られた。
ABITはプラスチック材料を加工する温度条件に対して安定でなければならない。それは好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、特に250℃以上で安定である。25℃から160まで10℃/分の加熱速度で加熱した際の減量が10%未満であることが好ましく、より好ましくは6%未満、特に2%未満である。
前記のようにABITは一般に、保護されるプラスチック材料と共に用いるのに適した可塑剤または安定剤と一緒に配合される。したがって本発明の他の態様によれば、可塑剤または安定剤およびABITを含む組成物が提供される。
可塑剤または安定剤はプラスチック加工工業に一般に用いられるものである。それは好ましくは液体であり、特にモノ−およびジ−カルボン酸と直鎖または分枝鎖アルコールとから誘導されたエステル、エポキシド化脂肪族エステル、ならびにエポキシド化植物油である。これらの可塑剤および安定剤の例は、フタレート、特にジアルキルフタレート、たとえばフタル酸ジオクチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノニルおよびフタル酸ジ−イソデシル、エポキシド化ステアリン酸オクチル、ならびにエポキシド化大豆油;ならびに一般式O=P(OR23のリン酸エステル(式中、R2はヒドロカルビル、特にアリール、たとえばフェニル、より好ましくは直鎖または分枝鎖C1〜4−アルキルである)である。このようなアルキル基の例はメチル、エチル、イソプロピル、ブチルおよびt−ブチルである。他のエステルの例は、直鎖または分枝鎖アルコール、特に8〜10個の炭素原子を含むアルコールのアジピン酸エステル、セバシン酸エステルおよびトリメリト酸エステル、ならびに低分子量オリゴ−およびポリ−エステル、たとえば1,3−ブタンジオールをアジピン酸と反応させることにより得られるものである。
本発明組成物は1種より多くのABITを含有することができる。組成物の活性スペクトルを広げるために他の殺真菌薬および/または殺藻類薬を含有してもよい。他の殺真菌薬および殺藻類薬の例には以下のものが含まれる:2−アルキル−BIT、たとえば2−(n−ヘキシル)−BIT、2−(2−エチルブチル)−BIT、2−(2−エチルヘキシル)−BIT、2−オクチルイソチアゾリン−3−オン、オキシ−ビス−10,10−フェノキサアルシン、トリクロロメチルメルカプトフタルイミド;尿素類、たとえば2−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素および2−(4−イソプロピルフェニル)−1,1−ジメチル尿素;4−アルキルスルホニルハロゲン化ピリジン類、たとえば2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンおよび2,3,6−トリクロロ−4−(イソプロピルスルホニル)ピリジン;テトラクロロ−イソフタロニトリル;ベンゾイミダゾメチル−カルバメート;チオシアナトメチルチオベンゾチアゾール;メチレンビスチオシアネート、ヨードプロパルギル−n−ブチル−カルバメート;トリアジン類、たとえば2−t−ブチルアミノ−4−エチルアミノ−6−メチルメルカプト−1,3,5−トリアジンおよび2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−1,3,5−トリアジン;N−(1−メチル−1−ナフチル)マレアミド;ジクロロフルアニド、(フルオロ)カプタンおよび(フルオロ)フォルペット。
組成物が他の殺真菌薬および/または殺藻類薬を含有する場合、それはABITの量に対して好ましくは50重量%未満、より好ましくは30重量%未満、特に10重量%未満の濃度で存在する。
前記のように、プラスチック材料用の殺真菌薬は微生物学的活性と揮発性を慎重に釣り合わせる必要があり、したがって他の殺真菌薬および/または殺藻類薬が使用に際してABITの特性および性能を有意に損なうべきではない。このため、組成物はABITのみを含有するのが好ましい。
式1の2−アルキル−BITは20〜25℃で一般に液体であり、可塑剤または安定剤に易溶性である。アラルキル−BITは20〜25℃で固体であるが、必要ならば加熱することにより可塑剤または安定剤に容易に溶解する。
可塑剤または安定剤中にさらに高濃度のABITが必要であってこれがABITの溶解度を越える場合、好適な分散剤、特に非イオン性分散剤によりABITを可塑剤または安定剤中に分散させてもよい。好ましい分散剤のひとつは、ヒドロキシカルボン酸とアミンの反応生成物、またはその塩類である。
特に好ましいものは式2の分散剤である:
Y.CO.ZR3
式中、
Zは酸素原子または窒素原子によりカルボニル基に結合した二価の架橋基であり;
3は第一級、第二級もしくは第三級アミノ基、またはそれと酸との塩、あるいは第四級アンモニウム塩であり;そして
Yはポリエステル鎖の残基であり、−CO−基と共に式3のヒドロキシカルボン酸:
HO−X−COOH 3
(Xは少なくとも8個の炭素原子を含む二価の飽和または不飽和脂肪族基であり、ヒドロキシ基とカルボン酸基の間に少なくとも4個の炭素原子がある)から誘導されるか、または上記ヒドロキシカルボン酸とヒドロキシ基を含まないカルボン酸との混合物から誘導される。
基Xは、好ましくはアルキレン基またはアルケニレン基であり、好ましくは30個以下の炭素原子を含み、特に20個以下の炭素原子を含む。好適な式3のヒドロキシカルボン酸の例は、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシデカン酸および6−ヒドロキシカプロン酸である。
Zが表す二価の架橋基は、好ましくは次式のものである:
Figure 0003856826
式中、T1は水素原子、C1〜22−アルキル基またはエチレンであり、Aは2〜6個の炭素原子を含むアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基である。T1がアルキルである場合、それは好ましくはC1〜6アルキルであり、Aがヘテロシクロアルキレンである場合、それは好ましくはピペラジンである。T1とAが両方ともエチレンである場合、T1とAはそれらが結合している窒素原子およびアミノ基R3の窒素原子と一緒にピペラジン環を形成してもよい。
1が表す基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルおよびオクタデシルが挙げられる。Aが表す基の例としては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレンおよびβ−ヒドロキシトリメチレンが挙げられる。
3が表す第一級、第二級および第三級アミノ基は、好ましくは次式のものである:
Figure 0003856826
式中、T2およびT3はそれぞれ独立して水素、C1〜22−アルキル、置換C1〜22−アルキル、アラルキル、シクロアルキルであるか、またはT2とT3はそれらが結合している窒素原子と一緒に5または6員環を形成してもよい。T2またはT3がアルキルである場合、それは好ましくはC1〜6−アルキル、たとえばメチルである。T2またはT3がシクロアルキルである場合、それは好ましくはシクロヘキシルであり、T2とT3が環を形成している場合、それは好ましくはピペリジノ、モルホリノ、または特にピペラジノ環である。T2またはT3がアラルキルである場合、それは好ましくはベンジルである。
3が表す第四級アンモニウム基は、好ましくは次式のものである:
Figure 0003856826
式中、T4は水素、C1〜22−アルキル、置換C1〜22−アルキル、アラルキルまたはシクロアルキルであり、Wはアニオンである。T4がC1〜6−アルキル、たとえばメチルであることが好ましい。
2とT3がそれらの結合している窒素原子と一緒にピペラジノ環を形成している場合、一方または両方の窒素原子がアルキル化されていてもよく、一方の環窒素原子が塩または第四級アンモニウム化合物を形成していてもよい。
2、T3およびT4が表す基の例としては、アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルおよびオクタデシル、ヒドロキシ低級アルキル、たとえばβ−ヒドロキシエチルならびにシクロヘキシルが挙げられる。
アミノ基と塩を形成するために用いる酸、またはアニオンWを含む酸は、いかなる無機酸または有機酸であってもよく、たとえば塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸または安息香酸である。アニオンWが第四級アンモニウム基の形成に際して生じるもの、たとえばクロリド、ブロミドまたはメタンスルホネートであることが特に好ましい。
これらの分散剤の製造については本出願人らの先に付与された英国特許第1373660号に記載されている。
あるいは分散剤はポリ(低級アルキレン)イミンと遊離カルボン酸基をもつポリエステルとの反応生成物である。好ましいポリエステルは前記式3のヒドロキシカルボン酸:
HO−X−COOH 3
から誘導されるものである。
ポリエステルをポリ(低級アルキレン)イミンと、好ましくは1:1〜50:1、より好ましくは2:1〜20:1の重量比で反応させる。
低級アルキレンという用語は2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を意味し、好ましいポリ(低級アルキレン)イミンはポリエチレンイミンであり、実質的に直鎖状または分枝鎖状で得られる。好ましくはポリエチレンイミンは分枝し、特に高度に分枝し、少なくとも20%の窒素原子が第三級アミノ基として存在する。好適なポリ(低級アルキレン)イミンの分子量は一般に500より大きく、好ましくは5000より大きく、特に10,000〜100,000の範囲である。
ヒドロキシカルボン酸とポリ(低級アルキレン)イミンの反応生成物は、用いる反応条件の程度に応じて塩またはアミドである。これらの塩および/またはアミドを酸、特に鉱酸で部分中和するか、あるいはアルキル化し、付加されたアルキル基を所望によりアルキル硫酸、たとえばジメチル硫酸で置換することができ、その際に塩も生成する。
ヒドロキシカルボン酸とポリ(低級アルキレン)イミンの反応生成物の製造については、英国特許第2,001,083号に記載されている。
特に有用な分散剤が、酸価35mg KOH/gのポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)約2モルとジメチルアミノプロピルアミン1モルとから得られ、ジメチル硫酸で第四級化した反応生成物である:欧州特許第127,325号の比較例Cに記載。この分散剤を以下において“分散剤1”と呼ぶ。
他の特に有用な分散剤は、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)約3.3重量当量と、平均分子量約20,000のポリエチレンイミン1重量当量から得られる反応生成物である。これは英国特許第2,001,083号の試薬Aと同様な方法で製造され、これを以下において“分散剤2”と呼ぶ。
分散剤が存在する場合、その量が組成物の全重量に対して好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%、特に3〜10重量%、殊に3〜7重量%である。組成物は好ましくは、貯蔵に際しての沈降を防ぐために安定剤をも含有する。安定剤の例は天然のクレー、たとえばベントナイト、特に有機改質したベントナイトクレー、および高分子量ポリマー、たとえばPVCである。
前記のように、ABITはプラスチック材料を保護するための、特に有機ポリマー系プラスチック材料を微生物分解から保護するため生物致死薬、特に殺真菌薬として用いられる。ABITは特に可塑剤または安定剤を含有するポリウレタン材料、殊に有機ポリマー材料、たとえば重合したポリハロゲン化ビニル、たとえばポリ塩化ビニル(PVC)から誘導されるものに適している。可塑化PVCは家族および工業界で共に広く用いられ、衣類、家具、シャワーカーテン、床張り、防水膜など、PVCを含有するか、またはPVCで作成した物品が水蒸気や水分の多い条件に暴露される場所に用いられる。
プラスチック材料中に存在する可塑剤の量は広範囲に変化し、加工された材料に要求される柔軟度により決定される。それは一般にプラスチック材料の1〜50重量%である。
したがって本発明の他の態様としては、ABITおよびプラスチック材料を含む組成物が提供される。
ABITは当技術分野で既知の方法、たとえば英国特許第484,130号に記載の方法で製造される。この方法では2−クロロスルフェニルベンゾイルクロリドをアルキルアミンまたはアラルキルアミンと反応させる。
幾つかのABITは新規である。したがって本発明の他の態様としては、式1においてRが−CH(CH3)CH2CH2CH3、−CH(C25)CH2CH3、−CH2CH2CH(CH3)CH3、−CH2CH(CH3)CH3、−CH2CH(CH3)C25およびシクロペンチルであり、R1およびnが前記に定めたものである化合物が提供される。
すべての態様の本発明を以下の実施例にさらに説明および記述する。実施例中の部は、別途指示しない限り重量による。
実施例1および比較例A
ジャガイモデキストロース寒天(2部;オキソイドから)、トリプトンソーヤブロス(10部;オキソイドから)、および寒天(14部;オキソイドから)から、1リットルに調整したpH6.5の寒天配合物を調製した。被験ABITの一定部分をジオクチルフタレート中の0.1%w/w溶液から、寒天配合物中の最終濃度1.25、2.5、5、20および30ppmとなるようにジオクチルフタレートで3mlに希釈して添加した。ABIT溶液を寒天に添加し、均質化したのち、平板を注型して硬化させた。次いでこれらの平板に、プラスチック材料に対する下記の真菌系劣化原の105胞子懸濁液を接種した。
Figure 0003856826
接種した平板を20℃で4日間インキュベートし、真菌の増殖を抑制したABIT濃度を測定した。結果を下記の表1に示す。これは式1においてnがゼロであり、かつRが表に示したものであるABITに関する。これらは2−エチル−および2−(n−プロピル)−BITが対照と比較して全体的にわずかにすぐれた活性、ならびにAPおよびSBの両方に対してより良好な活性を示すことを表す。
Figure 0003856826
実施例2および比較例B〜D
下記の表2に示すABITを用いて実施例1を繰り返し、真菌の増殖を抑制した化合物濃度を判定した。結果を下記の表2に示す。2−(n−ブチル)−BITがプラスチック材料に対する5種の真菌系劣化原に対して、欧州特許第475,123号に開示される2−(n−ヘキシル)−および2−(n−オクチル)−BIT化合物より有効であり、特に2−(n−オクチル)−BITと比較した場合にSBに対してより高い活性をもつことを示す。全般的に2−(n−ブチル)−BITは対照に類似する。実施例1の結果と合わせると、ABITのアルキル鎖の長さが増すのに伴ってプラスチック材料劣化原に対する活性が低下する全般的傾向がある。2−ベンジル−BITは、(n−ヘキシル)−と2−(n−オクチル)−BITの中間の活性を示す。プラスチック材料に対するこれらの重大な真菌系劣化原につき見出されたABITの2−アルキル鎖中の炭素原子数の増加に伴うこの活性低下は、欧州特許第475,123号に開示されるAspergillus nigerなどの真菌に関して提示されたものと逆である。
Figure 0003856826
実施例3および4ならびに比較例EおよびF
表3に示すABITを用いて実施例1を繰り返し、ただし実施例1で用いたジオクチルフタレートの代わりにジオクチルフタレートとジオクチルアジペートの50/50混合物を用いた。下記の表3に示す結果は、n−ペンチル−BITが対照と同様な活性を示し、特にAPおよびFSに対してn−ヘプチル−BITより優れていることを示す。これらの結果も、ABITの2−アルキル鎖が長くなるのに伴って活性が低下することと一致する。分枝鎖化合物、2−エチルブチル−BIT(表3の比較例E)は直鎖類似体(表2の比較例B)と同様な活性を示し、PFに対しては活性が若干低下した。2−フェニルエチル化合物は5種の劣化原すべてに対してきわめて高い活性を示し、この点で2−(n−アルキル)−BITおよび2−ベンジル−BIT(表2の比較例D)より優れている。
Figure 0003856826
実施例5〜7および比較例A
下記の表4に挙げるABITを空気中で示差走査熱量計(DSC)により25℃から300℃まで10℃/分の加熱速度で加熱し、温度安定性および蒸発が起こる温度、ならびにPVCを加工する温度である160℃まででの減量を測定した。これらの結果は、PVCプラスチック材料の加工温度に耐えるのに適した耐熱性を得るためには、ABITのアルキル鎖中に少なくとも3個の炭素原子が必要であることを示す。これらの結果を実施例1〜4の抗真菌性データと合わせると、RがC3〜5−アルキルであるABITが、可塑剤添加したPVCプラスチック材料中で真菌系劣化原に対して保護する殺真菌薬に最適な妥協である。2−フェニルエチル−BITの活性およびその物理的特性、たとえば熱安定性は、この化合物が2−アルキル−BITと比較して、特に実施例2に記載した2−ベンジル−BITの活性と比較した場合に、PVCプラスチック材料用の抗真菌薬として優れていることを示す。
Figure 0003856826
実施例8〜15および比較例A、GおよびH
PVC中の真菌エステラーゼ活性を下記の二酢酸フルオレセインプロトコールにより測定した。
50/50ジオクチルフタレートおよびジオクチルアジペートに溶解した化合物の1%(w/w)溶解の必要な一定部分からABITを添加して、最終PVCクーポン中に100、250、750、2250および6750ppmの化合物となすことにより、PVCクーポンを作成した。
PVCクーポンは下記の組成をもっていた:−
100部、PVC樹脂(コルビック(Corvic)S 67/100)
2部、Zn/Ca安定剤(ランクロマーク(Lankromark)LN 138)
3部、Co系可塑剤(ランクロフレックス(Lankroflex)ED 6)
25部、可塑剤(ジ-イソ-オクチルフタレート)(DOP)
25部、可塑剤(ジ-オクチルアジペート)(DOA)
0.5部、分散剤ステアリン酸カルシウム
0.2部、離型剤ステアリン酸
ppm ABIT
上記成分を均質になるまで混合し、次いで二本ロールミルにより160℃で90秒間ローリング及び混合することにより、PVCシートを作成した。次いでシートを小片に切断し、鋼シート間で160℃および8トンの圧力で5分間プレスすることによりクーポン(2cm×5cm)を作成した。
PVCクーポン2枚ずつを湿らせたバーミキュレート床の表面に乗せ、実施例1に挙げた5種の真菌系劣化原の真菌胞子105個の懸濁液を噴霧した。懸濁液は、2.0部の硝酸ナトリウム、0.7部のリン酸二水素カリウム、0.3部のリン酸水素二カリウム、0.5部の塩化カリウム、0.5部の硫酸マグネシウム・7水和物および0.01部の硫酸鉄(II)・7水和物(すべて1リットル中、pH値6〜6.5)からなる最少塩類溶液中に調製された。
次いで接種クーポンを21℃で7日間インキュベートした。次いでクーポンを取り出し、乾燥アセトン中の0.06Mリン酸水素二ナトリウム(862.5ml)および0.06Mオルトリン酸二水素ナトリウム(137.5ml)ならびに1mlの二酢酸フルオレセイン(FDA)から調製した緩衝液(pH7.6)6mlを入れた個々のボトルに装入した。次いで呈色反応を行わせるために試料を37℃で30分間インキュベートした。490nmにおけるそれらの溶液の吸光度を分光光度計により測定した。この呈色反応は真菌が発現するエステラーゼの尺度であり、真菌による可塑剤の劣化を表す。
FDA分析により評価する前に、25℃で相対湿度95%において1か月間インキュベーション後に、クーポンを立体顕微鏡により真菌の増殖により視覚的にも評価した。
アトラス(Atlas)ES−25ウェザロメーター内でカム設定7、10分毎に2分の水サイクルおよび連続UV照射で100時間、屋外暴露処理したクーポンについても平行した実験を行った。
結果を下記の表5および6に示す。
屋外暴露処理しない100および250ppm濃度の試料についての表5のFDA分析で、プラスチック材料に対する5種の真菌系劣化原に対する活性は2−アルキル鎖中の炭素原子数が増すのに伴って低下することが確認される。これは、低級アルキル鎖類似体の場合にクーポンの加工中に若干のABIT損失が起こったにちがいないにもかかわらず、明らかである。しかし屋外暴露処理後には、この傾向は逆転し、真菌に対する保護は2−アルキル基中の炭素原子数が増すのに伴って増大した。これはABIT濃度750ppmで最も明瞭にみられる。
表6の真菌増殖データの傾向はこれほど明瞭ではないが、この場合も2−アルキル基中の炭素原子数が増すのに伴って活性が低下する傾向がある。これはABIT添加250および750ppmの屋外暴露処理しないデータで最も明瞭に示される。屋外暴露処理後の傾向はこれほど明瞭ではない。しかし表1〜6のデータを組み合わせると、プラスチック材料に適するABITは高温安定性、揮発性、および真菌系劣化原に対する活性間の妥協である。2−アルキル鎖を含むABITの場合、この妥協は2−(C3〜5−アルキル)−BITに集中する。
Figure 0003856826
Figure 0003856826
実施例16
a)2,2′−ジチオジ−N−(3−メチルブチル)ジベンズアミドの製造
塩化ジチオジベンゾイル(6.86部、0.02M)を0〜5℃で撹拌しながらイソアミルアミン(3.47部、0.04M、アルドリッヒから)およびトリエチルアミン(4.04部、0.04M、アルドリッヒから)の、ジエチルエーテル中における溶液に少量ずつ添加した。直ちに沈殿が生じた。反応混合物を16時間撹拌し、その間に温度は約20℃に上昇した。次いでエーテルを蒸発させ、生成物をメタノール(50ml)および水(50ml)で洗浄した。最後に生成物をメタノールから白色固体として再結晶した(6部、理論値の69%)。融点181〜183℃。
元素分析:
理論値:- 64.8%C,7.3%H,6.3%N,14.4%S
実測値:- 64.1%C,6.9%H,6.3%N,14.4%S
b)2−(3−メチルブチル)ベンゾイソチアゾリン−3−オンの製造
上記に従って製造したビスアミド(5.7部、0.0128M)をピリジン(75ml)に溶解し、20〜25℃で撹拌しながらヨウ素(3.26部、0.0128M)を少量ずつ添加した。最初にヨウ素は急速に脱色されたが、ヨウ素添加が終了するにつれて反応混合物は黄褐色になった。20〜25℃でさらに2時間撹拌したのち、反応混合物はほとんど無色になった。次いでピリジンを蒸発させ、生成物をトルエンに溶解し、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで水で洗浄して、微量のヨウ素を除去した。次いでトルエンを蒸発させると、淡黄色の油(5.3部、理論値の94%)が得られ、放置すると凝固した。生成物をヘキサンから再結晶した。融点55〜56℃。
元素分析:
理論値:- 65.1%C,6.6%H,6.4%N,14.6%S
実測値:- 65.1%C,6.8%H,6.3%N,14.5%S
実施例17
2−(1−メチルブチル)ベンゾイソチアゾリン−3−オンの製造
ジエチルエーテル(30ml)に溶解した塩化2−クロロスルフェニルベンゾイル(6部、0.029M)を0〜3℃で、ジエチルエーテル(30ml)中の撹拌された1−メチルブチルアミン(7.36部、0.84M、アルドリッヒから)の溶液に滴加した。反応体を16時間撹拌し、その間に温度は約20℃に上昇した。次いでエーテル溶液を濾過し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。エーテルを蒸発させたのち、生成物を淡黄色のガムとして得た(5.5部、理論値の86%)。これは放置すると徐々に凝固した。これをヘキサンから再結晶した。融点52〜54℃。
元素分析:
理論値:- 65.3%C,7.2%H,6.5%N,14.4%S
実測値:- 65.1%C,6.8%H,6.3%N,14.5%S
実施例18
2−(1−エチルプロピル)ベンゾイソチアゾリン−3−オンの製造
これは実施例17に記載したと同様な方法で、ただし塩化2−クロロスルホニル(6.21部、0.03M)および1−エチルブチルアミン(8.7部、0.2M、アルドリッヒから)を用いて製造された。生成物を淡黄色のガムとして得た(6.4部、理論値の96%)。これは放置すると凝固した。これをヘキサンから再結晶した。融点80〜82℃。
元素分析:
理論値:- 64.8%C,5.7%H,6.3%N,14.5%S
実測値:- 65.1%C,6.8%H,6.3%N,14.5%S
実施例19
2−シクロペンチルイソチアゾリン−3−オンの製造
これは実施例17に記載したと同様な方法で、ただし塩化2−クロロスルフェニルベンゾイル(5.175部、0.025M)およびシクロペンチルアミン(8.52部、0.1M、アルドリッヒから)を用いて製造された。生成物を黄色の油として得た(5.9部)。これをヘキサンから再結晶した。融点87〜88℃。
実施例20
2−(2−メチルプロピル)ベンズイソチアゾリン−3−オンの製造
これは実施例17に記載したと同様な方法で、ただし塩化2−クロロスルフェニルベンゾイル(4.14部、0.02M)およびイソブチルアミン(7.95部、0.08M)を用いて製造された。生成物(4部、理論値の97%)を淡黄色の油として得た。
実施例21〜25
下記の式Aのビスアミドを実施例19(a)に記載した方法で製造し、実施例19(b)に記載した方法で式Bの置換ベンゾイソチアゾリン−3−オン(BIT)に変換した。
Figure 0003856826
分析データおよび融点を下記の表7aおよび7bに示す。表中にBITの置換基R1の位置を示す。
実施例21〜25にその製造を記載した2−アルキル−BITおよび2−アラルキル−BITは、プラスチック材料に対する劣化原に対して2−n−ブチル−BITと同様な保護を示した。
Figure 0003856826
Figure 0003856826

Claims (10)

  1. プラスチック材料用殺真菌薬としての式(1)の2-アルキル-又は2-アラルキル-BIT誘導体:
    Figure 0003856826
    [式中、RはC3-5-アルキル、又はアラルキルであってアリール基を窒素原子に連結する少なくとも2個の炭素原子を含む]
    の使用。
  2. Rが4個の炭素原子を含む請求項1に記載の使用。
  3. BIT誘導体が2-(n-ブチル)-BIT又は2-フェニルエチル-BITである請求項1に記載の使用。
  4. プラスチック加工工業用の可塑剤又は安定剤と、式(1)の2-アルキル-又は2-アラルキル-BIT誘導体:
    Figure 0003856826
    [式中、RはC3-5-アルキル、又はアラルキルであってアリール基を窒素原子に連結する少なくとも2個の炭素原子を含む]
    と、を含む組成物。
  5. 前記可塑剤又は安定剤がエステル又はエポキシ化植物油である請求項4に記載の組成物。
  6. 前記エステルがジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート又はその混合物である請求項5に記載の組成物。
  7. 前記植物油が大豆油である請求項5に記載の組成物。
  8. さらに分散剤を含む請求項4〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. プラスチック材料と、式(1)の2-アルキル-又は2-アラルキル-BIT誘導体:
    Figure 0003856826
    [式中、RはC3-5-アルキル、又はアラルキルであってアリール基を窒素原子に連結する少なくとも2個の炭素原子を含む]
    と、を含む組成物。
  10. プラスチック材料がポリウレタン又は可塑剤添加PVCである請求項9に記載の組成物。
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