JP3857596B2 - 刃物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、刀身に延設した刃縁部に凹部と凸部とを互いに連続させて交互に形成した刃物において、その刃縁部の形態の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特許第2949645号公報に記載の刃においては、刃縁部に凹部と凸部とが互いに連続して交互に形成されている。この凹部は、凸部の頂上部を結ぶ刃縁線に対し直交し且つ凹部の谷底部を通る特定線対称線に対し対称形状をなす刃先を有している。この凸部は、凸部の頂上部を結ぶ刃縁線に対し直交し且つ凸部の頂上部を通る特定線対称線に対し対称形状をなす刃先を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の刃においては、凹部及び凸部でそれぞれ対称形状をなす刃先が波形状をなすように連続しているので、往復切断動作時に被切断物に対し与えられる切断機能が変化しない。そのため、一つの切断特性しか得ることができない。例えば、被切断物が滑り易い表面層を有する場合と、被切断物が滑りにくい表面層を有する場合とでは、刃縁部の最適な形態が異なるため、刃縁部が一つの形態しか有していない場合、刃縁部が滑り易い表面層に対し滑ったり滑りにくい表面層に対し引っ掛かったりして、切れ味が悪くなるおそれがある。
【0004】
この発明は、刃縁部に対し複数の切断特性を持たせて、被切断物に対する切れ味を向上させることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
後記実施形態の図面(図1、図2(a)及び図3に示す第一実施形態、図2(b)に示す第一実施形態の別例、図4(a)に示す第二実施形態、図4(b)に示す第三実施形態)の符号を援用して本発明を説明する。
【0006】
* 請求項1の発明(第一実施形態の別例にかかる発明を除くすべての実施形態に対応)
この発明にかかる刃物(例えばパン切りナイフ等の調理刃物)は、下記のように構成されている。
【0007】
刀身(2)に延設した刃縁部(3)には凹部(4)と凸部(5)とを互いに連続させて交互に形成している。この刃縁部(3)には、凸部(5)の頂上部(5a)を挟む前後両側にわたり延設されて凸部(5)の頂上部(5a)で互いに連続する前側の斜刃先(7)と後側の斜刃先(8)とを含む凸刃先(6)を形成している。この前側斜刃先(7)の形態(形状や大きさ)と後側斜刃先(8)の形態(形状や大きさ)とを互いに異なるものにした。この場合、「互いに異なる形態」とは、図2に示すように、凸部(5)の頂上部(5a)を結ぶ刃縁線(L)に対し直交し且つこの頂上部(5a)を通る特定線対称線に対し対称形状にないものをいう。
前記凸部(5)の頂上部(5a)を結ぶ刃縁線(L)に対する前記前側斜刃先(7)の傾斜角度(θ7)と、この刃縁線(L)に対する前記後側斜刃先(8)の傾斜角度(θ8)とのうち、一方の斜刃先(7,8)の傾斜角度(θ7,θ8)を他方の斜刃先(8,7)の傾斜角度(θ8,θ7)よりも大きく設定している。他方の斜刃先(8,7)の傾斜角度(θ8,θ7)よりも傾斜角度(θ7,θ8)を大きく設定した一方の斜刃先(7,8)では、凹部(4)及び凸部(5)よりも外側に曲率中心を有する円弧刃先(7a,8a)を含む。一方の斜刃先(7,8)の傾斜角度(θ7,θ8)よりも傾斜角度(θ8,θ7)を小さく設定した他方の斜刃先(8,7)では、凹部(4)及び凸部(5)よりも内側に曲率中心を有する円弧刃先(8a,7a)を含む。
請求項1の発明では、形態が互いに異なる前側斜刃先(7)と後側斜刃先(8)とを有する凸刃先(6)により、往復切断動作時に被切断物(P)に対し与えられる切断機能が変化し、刃縁部(3)に対し複数の切断特性を持たせることができる。その切断特性の適宜利用により、被切断物(P)に対する切れ味を向上させることができる。また、前側斜刃先(7)の形態と後側斜刃先(8)の形態とを特定したので、切断特性が向上し、被切断物(P)に対する切れ味をより一層向上させることができる。
【0008】
* 請求項2の発明(第一実施形態に対応)
この発明にかかる刃物(例えばパン切りナイフ等の調理刃物)は、下記のように構成されている。
【0009】
刀身(2)に延設した刃縁部(3)には凹部(4)と凸部(5)とを互いに連続させて交互に形成している。この刃縁部(3)には、凸部(5)の頂上部(5a)を挟む前後両側にわたり延設されて凸部(5)の頂上部(5a)で互いに連続する前側の斜刃先(7)と後側の斜刃先(8)とを含む凸刃先(6)を形成している。この凸刃先(6)の形態(形状や大きさ)が異なる複数の領域(A,C,B)を、前記凸部(5)の頂上部(5a)を結ぶ刃縁線(L)の方向で互いに並設した。
前記凸部(5)の頂上部(5a)を結ぶ刃縁線(L)に対する前記前側斜刃先(7)の傾斜角度(θ7)と、この刃縁線(L)に対する前記後側斜刃先(8)の傾斜角度(θ8)とのうち、一方の斜刃先(7,8)の傾斜角度(θ7,θ8)を他方の斜刃先(8,7)の傾斜角度(θ8,θ7)よりも大きく設定している。他方の斜刃先(8,7)の傾斜角度(θ8,θ7)よりも傾斜角度(θ7,θ8)を大きく設定した一方の斜刃先(7,8)では、凹部(4)及び凸部(5)よりも外側に曲率中心を有する円弧刃先(7a,8a)を含む。一方の斜刃先(7,8)の傾斜角度(θ7,θ8)よりも傾斜角度(θ8,θ7)を小さく設定した他方の斜刃先(8,7)では、凹部(4)及び凸部(5)よりも内側に曲率中心を有する円弧刃先(8a,7a)を含む。
請求項2の発明では、凸刃先(6)の形態が異なる複数の領域(A,C,B)により、切断動作時に被切断物(P)に対し与えられる切断機能が変化し、刃縁部(3)に対し複数の切断特性を持たせることができる。その切断特性の適宜利用により、被切断物(P)に対する切れ味を向上させることができる。また、前側斜刃先(7)の形態と後側斜刃先(8)の形態とを特定したので、切断特性が向上し、被切断物(P)に対する切れ味をより一層向上させることができる。
【0014】
* 請求項3の発明(第一実施形態に対応)
この発明においては、請求項1または請求項2の発明にかかる一方の斜刃先(7,8)の円弧刃先(7a,8a)における曲率半径(R7,R8)を他方の斜刃先(8,7)の円弧刃先(8a,7a)における曲率半径(R8,R7)よりも小さく設定した。請求項3の発明では、前側斜刃先(7)の形態と後側斜刃先(8)の形態とを特定したので、切断特性が向上し、被切断物(P)に対する切れ味をより一層向上させることができる。
【0015】
* 請求項4の発明(第一実施形態に対応)
この発明にかかる刃物(例えばパン切りナイフ等の調理刃物)は、下記のように構成されている。
【0016】
刀身(2)に延設した刃縁部(3)には凹部(4)と凸部(5)とを互いに連続させて交互に形成している。この刃縁部(3)には、凸部(5)の頂上部(5a)を挟む前後両側にわたり延設されて凸部(5)の頂上部(5a)で互いに連続する前側の斜刃先(7)と後側の斜刃先(8)とを含む凸刃先(6)を形成している。前記刃縁部(3)には、凸部(5)の頂上部(5a)を結ぶ刃縁線(L)に対する後側斜刃先(8)の傾斜角度(θ8)をこの刃縁線(L)に対する前側斜刃先(7)の傾斜角度(θ7)よりも大きく設定した第一領域(引切り領域A)と、凸部(5)の頂上部(5a)を結ぶ刃縁線(L)に対する前側斜刃先(7)の傾斜角度(θ7)をこの刃縁線(L)に対する後側斜刃先(8)の傾斜角度(θ8)よりも大きく設定した第二領域(押切り領域B)とを、この刃縁線(L)の方向へ配設した。
【0017】
このような刃物を使用する際には、押し切り動作と引き切り動作とのうち、いずれか一方の動作のみを繰り返す場合と、それらの動作を交互に繰り返す場合とがある。また、この各動作で、刃縁部(3)の第二領域(押切り領域B)と第一領域(引切り領域A)とのうち、いずれか一方の領域(A,B)のみを利用するか、両方の領域(A,B)を利用する。例えば、被切断物(P)に関する所定条件に応じて、被切断物(P)に対し押し切りを行う際には、押切り領域(B)で傾斜角度(θ7)の大きい前側斜刃先(7)により被切断物(P)の表面層を切断し、同じく引き切りを行う際には、引切り領域(A)で傾斜角度(θ8)の大きい後側斜刃先(8)により被切断物(P)の表面層を切断する。また、被切断物(P)に関する所定条件に応じて、被切断物(P)に対し押し切りを行う際には、引切り領域(A)で傾斜角度(θ7)の小さい前側斜刃先(7)により被切断物(P)の表面層を切断し、同じく引き切りを行う際には、押切り領域(B)で傾斜角度(θ8)の小さい後側斜刃先(8)により被切断物(P)の表面層を切断する。従って、請求項4の発明では、被切断物(P)に関する条件に応じて、上記各動作や領域(A,B)を使い分けることにより、被切断物(P)に対する切れ味を向上させることができる。
【0018】
前記第一領域(A)の後側斜刃先(8)及び前記第二領域(B)の前側斜刃先(7)では、凹部(4)及び凸部(5)よりも外側に曲率中心を有する円弧刃先(8a,7a)を含む。前記第一領域(A)の前側斜刃先(7)及び前記第二領域(B)の後側斜刃先(8)では、凹部(4)及び凸部(5)よりも内側に曲率中心を有する円弧刃先(7a,8a)を含む。前記第一領域(A)の後側斜刃先(8)及び前記第二領域(B)の前側斜刃先(7)の円弧刃先(8a,7a)における曲率半径(R8,R7)を前記第一領域(A)の前側斜刃先(7)及び前記第二領域(B)の後側斜刃先(8)の円弧刃先(7a,8a)における曲率半径(R7,R8)よりも小さく設定した。従って、請求項4の発明では、凸刃先(6)の形態を特定したので、切断特性が向上し、被切断物(P)に対する切れ味をより一層向上させることができる。
【0019】
* 請求項5の発明
この発明は、請求項4の発明を前提として下記のように構成されている。
【0020】
前記第一領域(A)と前記第二領域(B)との間で刃縁部(3)には、第一領域(A)の斜刃先(7,8)と第二領域(B)の斜刃先(7,8)とにそれぞれ連続する斜刃先(7,8)を有する第三領域(中間領域C)を設定した。請求項5の発明では、第三領域(C)の斜刃先(7,8)により、傾斜角度(θ7,θ8)などの形態が互いに異なる第一領域(A)の斜刃先(7,8)と第二領域(B)の斜刃先(7,8)とを滑らかに連続させることができる。
【0021】
* 第6の発明
この発明は、請求項1から請求項5のうちいずれかの請求項の発明を前提として下記のように構成されている。
【0022】
前記第一領域(A)及び第二領域(B)で、凸刃先(6)は、凸部(5)の頂上部(5a)で前側斜刃先(7)と後側斜刃先(8)とが互いに交差した尖端状に形成されている。
【0023】
* 第7の発明
この発明は、請求項1から請求項5うちいずれかの請求項の発明、または第6の発明を前提として下記のように構成されている。
【0024】
前記刃縁部(3)には、凹部(4)の谷底部(4a)を挟む前後両側にわたり延設されて凹部(4)の谷底部(4a)で互いに連続する前側の斜刃先(7)と後側の斜刃先(8)とを含む凹刃先(9)を形成した。
【0025】
* 第8の発明
この発明は、第7の発明を前提として下記のように構成されている。
前記凹刃先(9)は、凹部(4)の谷底部(4a)で凹部(4)及び凸部(5)よりも外側に曲率中心を有する円弧刃先(12)を有している。その円弧刃先(12)で前側斜刃先(7)と後側斜刃先(8)とを互いに連続させている。
【0026】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の第一実施形態にかかる刃物としてのパン切りナイフについて図1、図2(a)及び図3を参照して説明する。
【0027】
図1(a)(b)及び図2(a)に示すように、柄1に取着された刀身2において腹側には波形状の刃縁部3が延設されている。この刃縁部3には複数の凹部4と複数の凸部5とが互いに連続して交互に形成されている。この各凸部5には凸刃先6が形成されている。この各凸刃先6は、凸部5の頂上部5aを挟む前後両側にわたり延設されて凸部5の頂上部5aで互いに連続する前側の斜刃先7と後側の斜刃先8とを含む。この各凹部4には凹刃先9が形成されている。この各凹刃先9は、凹部4の谷底部4aを挟む前後両側にわたり延設されて凹部4の谷底部4aで互いに連続する前記前側斜刃先7と前記後側斜刃先8とを含む。
【0028】
前記刃縁部3には、図1及び図2(a)に示すように、各凸刃先6及び各凹刃先9の形態が互いに異なる領域(第一領域である引切り領域Aと第二領域である押切り領域Bとそれらの領域A,B間の第三領域である中間領域C)が、各凸部5の頂上部5aを結ぶ刃縁線Lの方向で互いに並設されている。前記引切り領域Aは刀身2の基端側に配設され、前記押切り領域Bは刀身2の先端側に配設され、前記中間領域Cはこの引切り領域A及び押切り領域Bとの間の境界部で一つの凸部5からなる。この引切り領域A及び押切り領域Bにおいては、互いに隣接する両凸部5の頂上部5a間で刃縁線Lの方向の間隔WA5,WB5が共に等しくなっており、互いに隣接する両凹部4の谷底部4a間で刃縁線Lの方向の間隔WA4,WB4が共に等しくなっているとともに間隔WA5,WB5にも等しくなっている。前記中間領域Cでは、一つの凸部5の頂上部5aを挟む両凹部4の谷底部4a間において前記刃縁線Lの方向の間隔WC4が、上記間隔WA5,WB5及び上記間隔WA4,WB4にほぼ等しくなっている。しかし、この中間領域Cと前記引切り領域A及び押切り領域Bとの間の境界部においては、互いに隣接する両凸部5の頂上部5a間で刃縁線Lの方向の間隔WAC5,WBC5が上記間隔WA5,WB5及び上記間隔WA4,WB4よりも大きくなっている。
【0029】
図1(c)に示すように刀身2の両側面15,16においては、前記腹側の刃縁部3に対し反対側になる背側からほぼ平行に腹側へ延びる側面15a,16aと、この側面15a,16aから刃縁部3へ向けて所定角度で傾斜する側面15b,16bとを有している。この刃縁部3においては、刀身2の両側面15b,16bのうち片側の側面16bにのみ斜状の刃付け面10が30〜40度の刃付け角度で形成され、前記各凸刃先6及び各凹刃先9の形態と同様な形態の区画線10aがそれらと平行に形成されている。
【0030】
図2(a)に示すように、前記前側斜刃先7の形態と後側斜刃先8の形態とは、下記*のように互いに異なる。
* 前記引切り領域Aにおいては、前記刃縁線Lに対する後側斜刃先8の傾斜角度θ8がこの刃縁線Lに対する前側斜刃先7の傾斜角度θ7(<θ8)よりも大きく設定されている。この傾斜角度θ8は、凸部5の頂上部5aと凹部4の谷底部4aとを結ぶ傾斜線M8(後側斜刃先8にほぼ沿う直線)が刃縁線Lに対しなす角度である。この傾斜角度θ7は、凸部5の頂上部5aと凹部4の谷底部4aとを結ぶ傾斜線M7(前側斜刃先7にほぼ沿う直線)が刃縁線Lに対しなす角度である。一方、前記押切り領域Bにおいては、前記刃縁線Lに対する前側斜刃先7の傾斜角度θ7がこの刃縁線Lに対する後側斜刃先8の傾斜角度θ8(<θ7)よりも大きく設定されている。また、前記中間領域Cでは、前記刃縁線Lに対する前側斜刃先7の傾斜角度θ7とこの刃縁線Lに対する後側斜刃先8の傾斜角度θ8(=θ7)とが互いに等しく設定されている。
【0031】
* 前記引切り領域Aの後側斜刃先8及び前記押切り領域Bの前側斜刃先7では、凹部4及び凸部5よりも外側に曲率中心を有する曲率半径R8,R7(図示せず)の円弧刃先8a,7aを含む。前記引切り領域Aの前側斜刃先7及び前記押切り領域Bの後側斜刃先8では、凹部4及び凸部5よりも内側に曲率中心を有する曲率半径R8,R7の円弧刃先8a,7aを含む。この引切り領域Aの後側斜刃先8及び押切り領域Bの前側斜刃先7の円弧刃先8a,7aにおける曲率半径R8,R7は、この引切り領域Aの前側斜刃先7及び押切り領域Bの後側斜刃先8の円弧刃先8a,7aにおける曲率半径R8,R7よりも小さく設定されている。引切り領域A及び押切り領域Bにおいて各凸刃先6は、凸部5の頂上部5aで前側斜刃先7と後側斜刃先8とが尖端11により互いに交差するように形成されている。引切り領域A及び押切り領域Bにおいて凹刃先9は、凹部4の谷底部4aで凹部4及び凸部5よりも外側に曲率中心を有する曲率半径R12(図示せず)の円弧刃先12を有し、その円弧刃先12で前側斜刃先7と後側斜刃先8とが互いに連続している。前記中間領域Cにおいて凸刃先6は、凸部5の頂上部5aで凹部4及び凸部5よりも内側に曲率中心を有する曲率半径R13(図示せず)の円弧刃先13を有し、その円弧刃先13で前側斜刃先7と後側斜刃先8とが互いに連続している。この中間領域Cと前記引切り領域A及び押切り領域Bとの間の境界部において凹刃先9は、凹部4の谷底部4aで凹部4及び凸部5よりも外側に曲率中心を有する曲率半径R14(図示せず)の円弧刃先14を有し、その円弧刃先14で前側斜刃先7と後側斜刃先8とが互いに連続している。
【0032】
上記パン切りナイフを使用する際には、刀身2の刃縁部3を使用者から離す方向へ押しながら切断する押し切り動作と、刀身2の刃縁部3を使用者に近付ける方向へ引きながら切断する引き切り動作とのうち、いずれか一方の動作のみを繰り返す場合と、それらの動作を交互に繰り返す場合とがある。また、この各動作で、刃縁部3の押切り領域Bと引切り領域Aとのうち、いずれか一方の領域A,Bのみを利用するか、両方の領域A,Bを利用する。いずれにしても、被切断物Pに関する条件に応じて、上記各動作や領域A,Bを使い分けることができる。
【0033】
例えば、図3に示すように、被切断物Pがフランスパンなどの場合、図3(a)に示すように刀身2の刃縁部3の押切り領域Bを被切断物Pの表面層に当てがうか、または、図3(b)に示すように刀身2の刃縁部3の引切り領域Aを被切断物Pの表面層に当てがうことが、使用上好ましい。図3(a)に示す状態から押し切りを行う際には、押切り領域Bで傾斜角度θ7の大きい前側斜刃先7がまず被切断物Pの表面層を切断する。図3(b)に示す状態から引き切りを行う際には、引切り領域Aで傾斜角度θ8の大きい後側斜刃先8がまず被切断物Pの表面層を切断する。一方、他の被切断物Pによっては、押し切りにおいては引切り領域Aで傾斜角度θ7の小さい前側斜刃先7が切断し、引き切りにおいては押切り領域Bで傾斜角度θ8の小さい後側斜刃先8が切断することが、使用上好ましい場合もある。その後は、適宜、各動作及び領域A,Bで被切断物Pを切断することができる。切断終了時において、前記押し切りの際には図3(c)に示すように引切り領域Aで傾斜角度θ7の小さい前側斜刃先7が調理板Qに向かって移動し、前記引き切りの際には図3(d)に示すように押切り領域Bで傾斜角度θ8の小さい後側斜刃先8が調理板Qに向かって移動することが、使用上好ましい。
【0034】
図2(b)に示す第一実施形態の別例では、前記引切り領域Aの前側斜刃先7及び後側斜刃先8並びに前記押切り領域Bの前側斜刃先7及び後側斜刃先8は共に、凹部4及び凸部5よりも外側に曲率中心を有する曲率半径R7,R8の円弧刃先7a,8aを含む。
【0035】
図4(a)に示す第二実施形態では、刀身2の刃縁部3の全体が前記押切り領域Bの前側斜刃先7及び後側斜刃先8と同一の形態になっている。
図4(b)に示す第三実施形態では、刀身2の刃縁部3の全体が前記引切り領域Aの前側斜刃先7及び後側斜刃先8と同一の形態になっている。
【0036】
なお、本発明をパン切りナイフ以外の調理刃物や調理刃物以外の刃物に応用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は第一実施形態にかかるパン切りナイフを示す正面図であり、(b)は同じく背面図であり、(c)は同じく刀身の断面図である。
【図2】 (a)は図1(a)の刃縁部を示す部分拡大正面図であり、(b)は第一実施形態の別例にかかるパン切りナイフにおいてその刃縁部を示す部分拡大正面図である。
【図3】 第一実施形態にかかるパン切りナイフによる切断動作を示す作用説明図である。
【図4】 (a)は第二実施形態にかかるパン切りナイフを示す正面図であり、(b)は第三実施形態にかかるパン切りナイフを示す正面図である。
【符号の説明】
2…刀身、3…刃縁部、4…凹部、5…凸部、5a…凸部の頂上部、6…凸刃先、7…前側斜刃先、8…後側斜刃先、7a…前側斜刃先の円弧刃先、8a…後側斜刃先の円弧刃先、θ7…前側斜刃先の傾斜角度、θ8…後側斜刃先の傾斜角度、R7…円弧刃先の曲率半径、R8…円弧刃先の曲率半径、L…刃縁線、A…引切り領域(第一領域)、B…押切り領域(第二領域)、C…中間領域(第三領域)。
Claims (5)
- 刀身に延設した刃縁部には凹部と凸部とを互いに連続させて交互に形成し、この刃縁部には、凸部の頂上部を挟む前後両側にわたり延設されて凸部の頂上部で互いに連続する前側の斜刃先と後側の斜刃先とを含む凸刃先を形成した刃物において、この前側斜刃先の形態と後側斜刃先の形態とを互いに異なるものにし、前記凸部の頂上部を結ぶ刃縁線に対する前記前側斜刃先の傾斜角度とこの刃縁線に対する前記後側斜刃先の傾斜角度とのうち、一方の斜刃先の傾斜角度を他方の斜刃先の傾斜角度よりも大きく設定し、他方の斜刃先の傾斜角度よりも傾斜角度を大きく設定した一方の斜刃先では凹部及び凸部よりも外側に曲率中心を有する円弧刃先を含み、一方の斜刃先の傾斜角度よりも傾斜角度を小さく設定した他方の斜刃先では凹部及び凸部よりも内側に曲率中心を有する円弧刃先を含むことを特徴とする刃物。
- 刀身に延設した刃縁部には凹部と凸部とを互いに連続させて交互に形成し、この刃縁部には、凸部の頂上部を挟む前後両側にわたり延設されて凸部の頂上部で互いに連続する前側の斜刃先と後側の斜刃先とを含む凸刃先を形成した刃物において、この凸刃先の形態が異なる複数の領域を、前記凸部の頂上部を結ぶ刃縁線の方向で互いに並設し、前記凸部の頂上部を結ぶ刃縁線に対する前記前側斜刃先の傾斜角度とこの刃縁線に対する前記後側斜刃先の傾斜角度とのうち、一方の斜刃先の傾斜角度を他方の斜刃先の傾斜角度よりも大きく設定し、他方の斜刃先の傾斜角度よりも傾斜角度を大きく設定した一方の斜刃先では凹部及び凸部よりも外側に曲率中心を有する円弧刃先を含み、一方の斜刃先の傾斜角度よりも傾斜角度を小さく設定した他方の斜刃先では凹部及び凸部よりも内側に曲率中心を有する円弧刃先を含むことを特徴とする刃物。
- 一方の斜刃先の円弧刃先における曲率半径を他方の斜刃先の円弧刃先における曲率半径よりも小さく設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の刃物。
- 刀身に延設した刃縁部には凹部と凸部とを互いに連続させて交互に形成し、この刃縁部には、凸部の頂上部を挟む前後両側にわたり延設されて凸部の頂上部で互いに連続する前側の斜刃先と後側の斜刃先とを含む凸刃先を形成した刃物において、前記刃縁部には、凸部の頂上部を結ぶ刃縁線に対する後側斜刃先の傾斜角度をこの刃縁線に対する前側斜刃先の傾斜角度よりも大きく設定した第一領域と、凸部の頂上部を結ぶ刃縁線に対する前側斜刃先の傾斜角度をこの刃縁線に対する後側斜刃先の傾斜角度よりも大きく設定した第二領域とを、この刃縁線の方向へ配設し、前記第一領域の後側斜刃先及び前記第二領域の前側斜刃先では凹部及び凸部よりも外側に曲率中心を有する円弧刃先を含み、前記第一領域の前側斜刃先及び前記第二領域の後側斜刃先では凹部及び凸部よりも内側に曲率中心を有する円弧刃先を含み、前記第一領域の後側斜刃先及び前記第二領域の前側斜刃先の円弧刃先における曲率半径を前記第一領域の前側斜刃先及び前記第二領域の後側斜刃先の円弧刃先における曲率半径よりも小さく設定したことを特徴とする刃物。
- 前記第一領域と前記第二領域との間で刃縁部には、第一領域の斜刃先と第二領域の斜刃先とにそれぞれ連続する斜刃先を有する第三領域を設定したことを特徴とする請求項4に記載の刃物。
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