JP3878281B2 - 低イヤリング容器用鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低イヤリング容器用鋼板の製造方法に関し、特に、飲料缶によく用いられる底と胴の部分を深絞りとしごき加工により一体成形する2ピース缶の素材となる容器用鋼板を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、2ピース缶の素材には大別してアルミニウム板と鋼板があり、鋼板としては、通常アルミキルド鋼板が用いられてきた。このような容器用鋼板の製造方法の概要は、熱間圧延の仕上温度をAr3 変態点以上とし、巻取は600℃前後の比較的低温で行い、その後、酸洗、冷間圧延、焼鈍、スキンパス圧延をして製缶用素材とするものである。
【0003】
容器材料にはテンパーグレードという硬度値による規格があり、その規格を満足するために、焼鈍後、強圧下スキンパスによって硬化を図りグレードを作り分けることもある。
【0004】
2ピース缶の素材として要望される特性の一つに低イヤリング性が挙げられる。イヤリングとは、深絞り加工としごき加工により底と胴が一体成形された缶の開口部の壁の高さの不均一性を示す技術用語であり、胴の高さの最大値と最小値の差を平均の胴高さで割った値に100をかけたイヤリング率がその指標として用いられている。イヤリング率が大きくなると蓋の装着ができなくなるためにトリミングをする必要が生じ、作業コストの増加を招くだけでなく歩留りの低下を招くため、イヤリング率の低減は重要な課題と位置づけられてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
最近の容器材料の開発では、素材の低コスト化を図るために缶の薄手化に焦点が当てられている。容器材の薄手化は冷間圧延の圧下率(以下、冷延率という)の増加を意味し、それによって生じる大きな問題の1つにイヤリング率の増加が挙げられる。イヤリングの発生は、材料のもつ集合組織に基づく変形の面内異方性が原因であり、熱間圧延−冷間圧延−焼鈍−強スキンパス圧延の一貫工程の最適制御により集合組織が制御され、低イヤリング化が達成される必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、容器材料の薄手化に伴うイヤリングの課題を有利に解決するために成されたものであり、上記の最適集合組織制御を熱間圧延時に集合組織を制御することにより実現して、容器用素材の耐イヤリング性を向上させることのできる、低イヤリング容器用鋼板の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とする処は、以下の通りである。
(1)質量%で、
C ≦0.1%、 N ≦0.01%、 Al=0.005〜1.0%、
Mn≦0.5%、 Si≦0.5%、 P ≦0.1%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼のスラブの熱間圧延における仕上圧延の際に、Ar3 変態点〜Ar3 変態点+100℃の温度域で合計圧下率が50%以上の圧延を潤滑を施して摩擦係数が0.2以下の条件で行うとともに、仕上温度がAr3 変態点以上の仕上圧延を行い、その後通常の酸洗をした後、冷間圧延、再結晶焼鈍、スキンパス圧延を、冷間圧延とスキンパス圧延の全圧下率が90〜95%となる条件で行うことを特徴とする低イヤリング容器用鋼板の製造方法。
(2)前記鋼が、質量%で、さらに、B=0.0002〜11N/14+0.001%を含有することを特徴とする上記(1)に記載の低イヤリング容器用鋼板の製造方法。
(3)前記熱間圧延の際に、粗圧延後、先行材の後端に後行材の先端を接合して仕上圧延に供することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の低イヤリング容器用鋼板の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。まず、鋼中の成分を限定した理由を説明する。
C量を0.1%以下としたのは、これを超えるCの添加は加工性の劣化を招くためである。
N量を0.01%以下としたのは、これを超えるNの添加は加工性の劣化を招くためである。
Alの含有量の下限を0.005%としたのは、脱酸を十分に行うためである。上限は加工性の観点で1.0%以下と限定した。
【0009】
Bは、2次加工性の向上に寄与するので用途によっては、その効果が明瞭に現われる0.0002%以上の添加が必要である。また、Bは固溶NをBNの形で鋼中から低減し、加工性を向上させる効果がある。この場合、効果はB量の増加に伴い増えるが、その効果は11N/14で飽和する。そして、過剰の添加は加工性を劣化させるので、上限を11N/14+0.001%以下とした。
【0010】
強度を高め、加工性を著しく悪くしない範囲であるMn≦0.5%、Si≦0.5%、P≦0.1%の添加は、本発明の趣旨を何ら損うものではない。
【0011】
次に、プロセス条件の限定理由について述べる。
本発明者は、冷延鋼板の成形性に及ぼす熱延鋼板の集合組織の影響を詳細に検討したところ、熱延鋼板の表層部で形成される集合組織が高圧下冷間圧延時に容器用鋼板の耐イヤリング性に悪影響を及ぼすことを見出した。すなわち、熱間圧延ではロールと圧延片の間の摩擦係数が大きいため、板厚中心部では存在しないせん断ひずみが板厚の表面近傍では大きく、それによって結晶回転が板厚中心部と顕著に異なり異質の集合組織が形成される。この集合組織の相違は、その後変態した後も質は変わるものの存在する。
【0012】
そこで、本発明者はγ域熱間圧延での集合組織制御の研究を精力的に行い、表層部の集合組織形成を中心部のそれに近づけることが、高圧下冷間圧延時に容器用鋼板の耐イヤリング性を向上させる方策であることを見出した。
【0013】
それを実現する熱間圧延条件が熱間圧延の限定条件になる。その限定条件は、Ar3 変態点〜Ar3 変態点+100℃の温度域で合計圧下率が50%以上の圧延を潤滑を施して摩擦係数が0.2以下の条件で行うことである。圧延時に潤滑を施すことによりロールと圧延板の間の摩擦係数が0.2以下になると表面のせん断ひずみを低減できる。しかし、潤滑圧延での全圧下率が小さいと面内異方性を小さくする集合組織の形成が不十分になるため、少なくとも50%以上の圧下を1パスあるいは多パスにより加える必要がある。その際、圧延温度が高すぎると再結晶、粒成長が顕著に起きて集合組織の尖鋭化が阻まれるので、Ar3 変態点+100℃を上限とした。また、Ar3 変態点未満で圧延されると高圧下冷間圧延時に容器用鋼板の耐イヤリング性の著しい劣化が見られるので、潤滑圧延の温度域の下限はAr3 変態点とした。
【0014】
また、仕上温度がAr3 変態点未満となると、高圧下冷間圧延時に容器用鋼板の耐イヤリング性の著しい劣化が見られるので、その下限はAr3 変態点とした。
【0015】
潤滑圧延では、ロールバイトへの噛み込みの際、潤滑状態で圧延すると噛み込み不良やスリップなどが起る可能性が高いため、1スラブ毎に圧延する場合、ホットストリップの先端が巻き取られるまで、潤滑を施さないのが一般的な操業である。しかし、この場合、長手方向で無潤滑部と潤滑部の特性が異なり、品質管理上支障を来たすことがあるので、粗圧延後、先行材の後端に後行材の先端を接合して仕上圧延に供し、連続的に熱間圧延を行うことが好ましい。この対策により品質の安定性が確保できる。
【0016】
本発明者は、イヤリング率に及ぼす冷延率とスキンパス圧下率の影響を検討したところ、イヤリング率は冷間圧延とスキンパス圧延の全圧下率で整理できることを見出した。その指標に従うと、本発明の範囲では冷間圧延とスキンパス圧延の全圧下率が90%未満になるとイヤリング率は高く、逆に95%を超しても耐イヤリング性の劣化が顕在化することが分かった。一方、従来法ではこの最適な冷延率が低圧下率側にシフトするだけでなく、達成できるイヤリング率も本発明鋼より高くなることが分かった。
【0017】
【実施例】
本発明の実施例を、比較例と共に説明する。
実施例には表1に示した成分組成を有する鋼を用いた。熱間圧延条件(Ar3 変態点〜Ar3 +100℃の温度域で摩擦係数μ=0.2の条件で圧延する潤滑圧延の全圧下率)と冷間圧延+スキンパス圧延のトータルの圧下率ならびに2ピース缶を製造したときのイヤリング率を表2に示す。その他の製造条件は、スラブ加熱温度1200℃前後、巻取温度630℃前後、冷間圧延後の再結晶処理は、鋼種A,B,Eは680℃で30秒、鋼種C,D,Fは750℃で30秒の連続焼鈍を行った。
【0018】
本発明の範囲を満足した実験番号1,2,3,5,7,9〜14,16〜18,20,21の材料は、低いイヤリング率を示す。一方、従来法で製造された実験番号22,25〜27の材料は、本発明鋼より高いイヤリング率を示す。従来法では、実験番号27の結果が示すように冷間圧延とスキンパス圧延の全圧下率が小さいとイヤリング率は低下するが、最終板厚が薄手化に向かっている市場ニーズに応えるには、この冷間圧延とスキンパス圧延の全圧下率を確保するには熱延鋼板の板厚を薄くしなければならず生産性が低下する欠点がある。
【0019】
Ar3 変態点〜Ar3 変態点+100℃の温度域で摩擦係数μ≦0.2の条件で圧延された合計圧下率が40%と低い実験番号4の材料では、低イヤリング率は達成できなかった。冷間圧延とスキンパス圧延の全圧下率が本発明の範囲外であった実験番号6,8,15,19の材料も、高いイヤリング率を示した。仕上温度がAr3 変態点未満となった実験番号23,24の材料では、低イヤリング率は得られなかった。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明により、現状ならびに将来にわたる市場ニーズである容器用鋼板の薄手化に対し、高生産性を確保しつつ、低イヤリングの材料を供給することができるため、本発明は工業的に価値の高い発明であると言える。
Claims (3)
- 質量%で、
C ≦0.1%、
N ≦0.01%、
Al=0.005〜1.0%、
Mn≦0.5%、
Si≦0.5%、
P ≦0.1%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼のスラブの熱間圧延における仕上圧延の際に、Ar3 変態点〜Ar3 変態点+100℃の温度域で合計圧下率が50%以上の圧延を潤滑を施して摩擦係数が0.2以下の条件で行うとともに、仕上温度がAr3 変態点以上の仕上圧延を行い、その後通常の酸洗をした後、冷間圧延、再結晶焼鈍、スキンパス圧延を、冷間圧延とスキンパス圧延の全圧下率が90〜95%となる条件で行うことを特徴とする低イヤリング容器用鋼板の製造方法。 - 前記鋼が、質量%で、さらに、
B=0.0002〜11N/14+0.001%
を含有することを特徴とする請求項1に記載の低イヤリング容器用鋼板の製造方法。 - 前記熱間圧延の際に、粗圧延後、先行材の後端に後行材の先端を接合して仕上圧延に供することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の低イヤリング容器用鋼板の製造方法。
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|---|---|---|---|
| JP14038297A JP3878281B2 (ja) | 1997-05-29 | 1997-05-29 | 低イヤリング容器用鋼板の製造方法 |
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| JPH10330845A JPH10330845A (ja) | 1998-12-15 |
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| JP14038297A Expired - Fee Related JP3878281B2 (ja) | 1997-05-29 | 1997-05-29 | 低イヤリング容器用鋼板の製造方法 |
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1997
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