JP3885605B2 - バレル研磨方法、およびバレル研磨用メディア - Google Patents

バレル研磨方法、およびバレル研磨用メディア Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バレル研磨方法、およびバレル研磨用メディアに関する。
【0002】
【従来の技術】
バレル研磨は、ワークの表面仕上げに用いられる。たとえば、ベルト式駆動式無段変速機のエレメントもバレル研磨を行って、面粗さを調整している。
【0003】
ところで、このエレメントは、金属製板材を打ち抜くことで成形しているため、バリの発生が避けられない。このため、表面仕上げとして行われるバレル研磨に先立ち、このバリ取り加工を行う必要がある。
【0004】
バリ取り加工装置としては、たとえば特開2001−138193号公報には、エレメント、特にその凹部を研磨加工することでバリ取りを行う装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、バレル研磨は、バレル研磨槽の中にメディアとともにワークを入れて攪拌することにより、ワーク表面をメディアによって研磨しているものである。したがって、原理的にはワークについているバリなどの不要物も取り去ることができる。
【0006】
そこで、前記のエレメントもバリ取り加工を別途行うことなく、バレル研磨のみでバリ取りとともに表面仕上げを行うことが考えられる。そうすると、エレメントの形状から凹部にもバリがあるため、この凹部の隙間にも入り込むようなメディアを使用する必要がある。
【0007】
しかしながら、エレメントの凹部に入り込むような小さなメディアを用いた場合、メディアが小さくなりすぎて、バリ取り効果がないといった問題がある。
【0008】
一方、バリ取り効果が大きくなるように大きなメディアを使用すると、打ち抜きの際にできた外周部のバリを取ることはできるものの、凹部の隙間にできたバリを取ることは難しく、また、メディアを大きくしすぎると、バレル研磨において研磨された部分に2次バリと称するメディアによって研磨された部分に、あらたなバリが発生してしまうことがある。
【0009】
このため、バリ取り加工と表面仕上げを一度のバレル研磨処理により実行できないのが現状である。
【0010】
そこで、本発明の目的は、バリ取りと表面仕上げをともに行うことのできるバレル研磨方法を提供することであり、また、このためのバレル研磨用メディアを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下の構成により達成される。
【0012】
(1)凹部を有するワークのバレル研磨方法であって、前記凹部の隙間の間隔未満の大きさであり、かつ、その形状が略三角柱形状で、該略三角柱形状の側面が内側に窪み、該略三角柱形状の三角形を構成する各頂角部分が円弧形状である第1のメディアと、前記凹部の隙間の間隔以上の大きさの第2のメディアとを混合したメディアを使用することを特徴とするバレル研磨方法。
【0014】
)前記第1のメディアと前記第2のメディアの混合比は、1対1〜4対1であることを特徴とする。
【0015】
)前記略三角柱形状の三角形を構成する一辺の長さおよび柱の高さは、その上限が前記ワークの凹部の隙間間隔の0.4倍以下であり、下限がバレル研磨によりワークを研削することが可能な大きさであることを特徴とする。
【0016】
)前記略三角柱形状側面の窪みは、窪み部分の成す角が120〜160度であることを特徴とする。
【0017】
)前記ワークは、ベルト式駆動式無段変速機のエレメントであることを特徴とする。
【0018】
)凹部を有するワークのバレル研磨に用いるバレル研磨用メディアであって、略三角柱形状で、三角形を構成する一辺および柱の高さが、前記凹部より小さく、該略三角柱形状の側面が内側に窪み、該略三角柱形状の三角形を構成する各頂角部分が円弧形状であることを特徴とするバレル研磨用メディア。
【0019】
)前記略三角柱形状の三角形を構成する一辺の長さおよび柱の高さは、その上限が前記ワークの凹部の隙間間隔の0.4倍以下であり、下限がバレル研磨によりワークを研削することが可能な大きさであることを特徴とする。
【0020】
)前記略三角柱形状側面の窪みは、窪み部分の成す角が120〜160度であることを特徴とする。
【0021】
【発明の効果】
本発明は請求項ごとに以下の効果を奏する。
【0022】
請求項1記載の本発明によれば、ワーク凹部の隙間間隔未満の大きさで、かつ、その形状が三角形の辺を有している第1のメディアと、隙間間隔以上の大きさの第2のメディアとを混合してバレル研磨を行うことにしたので、ワーク凹部のなかまで確実に研削してバリ取りを行うことができ、かつワーク表面の仕上げ研磨も同時に行うことができる。特に、第1のメディアを、略三角柱形状で、その側面が内側に窪みを持たせ、かつ三角形を構成する各頂角部分を円弧形状にしたことで、ワーク凹部に第1のメディアを入り込みやするすることができる。
【0024】
請求項記載の本発明によれば、第1のメディアと第2のメディアの混合比を、1対1〜4対1とすることで、バリ取りのための十分な研削量を得ることができるとともに、ワーク表面の面粗度を細かく仕上げることができる。
【0025】
請求項記載の本発明によれば、略三角柱形状にした第1のメディアの三角形を構成する一辺の長さおよび柱の高さについて、その上限をワークの凹部の隙間間隔の0.4倍以下とし、下限をバレル研磨によりワークを研削することが可能な大きさとすることで、ワーク凹部に第1のメディアを入り込みやすくすることができる。
【0026】
請求項記載の本発明によれば、略三角柱形状にした第1のメディア側面の窪みにおける成す角を120〜160度とすることで、よりワーク凹部に第1のメディアを入り込みやすくすることができる。
【0027】
請求項記載の本発明によれば、ベルト式駆動式無段変速機のエレメントの凹部隙間のバリ取りとともに表面仕上げをバレル研磨のみで行うことができる。
【0028】
請求項記載の本発明によれば、バレル研磨用メディアの形状を略三角柱形状で、三角形を構成する一辺および柱の高さが、ワークの凹部より小さく、略三角柱形状の側面が内側に窪み、三角形を構成する各頂角部分が円弧形状とすることで、ワークの凹部の隙間内にメディアを入り込ませて、この凹部内を研磨することができる。
【0029】
請求項記載の本発明によれば、略三角柱形状としたメディアの三角形を構成する一辺の長さおよび柱の高さの上限をワークの凹部の隙間間隔の0.4倍以下とし、下限をバレル研磨によりワークを研削することが可能な大きさとすることで、より確実にワーク凹部にメディアを入り込みやすくすることができる。
【0030】
請求項記載の本発明によれば、略三角柱形状としたメディア側面の窪みにおける成す角を120〜160度とすることで、よりワーク凹部に第1のメディアを入り込みやすくすることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
本発明を適用した実施の形態は、ベルト式駆動式無段変速機のエレメントのバリ取りと表面仕上げをバレル研磨により行うものである。
【0033】
ここで、まず、加工するワークとしてのエレメントについて簡単に説明する。
【0034】
エレメントは、概略、図1に示すような形状であり、このエレメント1は、図示しない自動車用ベルト式駆動式無段変速機のベルトを構成する一部品である。
【0035】
このエレメント1は、図示するように、ボデー部2とヘッド部3とがネック部4により一体的に連設されており、ネック部4の両側に凹部5が設けられている。なお、図1Aは、エレメント1を示す斜視図であり、図1Bは平面図である。
【0036】
このエレメント1は、図2に示すように、プレスによる打ち抜き(S1)、熱処理(S2)、バレル研磨(S3)により加工成形される。このため、プレスによる打ち抜き(S1)の際に、その打ち抜き輪郭に沿ってバリが生じることがある。
【0037】
本実施の形態は、この一連の加工工程のうち、バレル研磨(S3)を行うもので、このバレル研磨によりバリの除去とともに表面仕上げ加工を行うものである。
【0038】
本実施の形態におけるバレル研磨では、大きさの異なる2種類のメディアを使用する。
【0039】
2種つりのメディアは、エレメント1の凹部5の隙間間隔未満の大きさの第1のメディアαと、エレメント1の凹部5の間隔よりも大きな第2のメディアβである。
【0040】
第1のメディアαは、凹部5の間隔aより小さいだけでなく、凹部5へ入り込みやすいように、図3に示すように、略三角柱形状で、その側面11が内側に窪んでいる。なお、図3Aは第1のメディアαの斜視図であり、図3Bは第1のメディアαの平面図である。
【0041】
この第1のメディアαの大きさは、三角形の1辺の長さが0.2a〜0.4a、柱の高さもまた0.2a〜0.4aとすることが好ましい。また、側面11の窪み部分は、この窪みを成す角θを120〜160度とすることが好ましい。すなわち、窪みを成す角θが120度より小さいと側面11が薄肉で細長くなるため、特に第1のメディアが摩耗したときに研削量が低下し、逆に160度より大きいと凹部5へ入り込みづらくなって研削量が低下し、特に面取り研削量が低下するため、120〜160度とすることが好ましいのである。さらに、三角柱の頂角部分は円弧形状として、この円弧形状部分12の曲率半径をa/2とすることが好ましい。
【0042】
このような形状とすることで、単純な三角柱形状よりもエレメント1の凹部5の隙間に入り込みやすくすることができる。
【0043】
この第1のメディアαの大きさは、同じ形状で異なる大きさの第1のメディアαと第2のメディアβをそれぞれα:β=2:1で混合して、エレメントのバレル研磨を行った結果、図4に示すように、第1のメディアαを約0.2a〜0.4aの間の大きさとした場合に優れた研磨量を示すことから決めたものである。
【0044】
ここで約0.4a以上で研削量が低下したのは、第1のメディアαが大きくなりエレメント凹部に入り込みづらくなったために研削量が低下したものと考えられる。
【0045】
一方、0.2a未満の場合に研削量が低下するのは、エレメント凹部の間隔を基準としてメディアの大きさを決めているため、約0.2a未満とした場合、メディア体積が非常に小さくなり、バレル研磨時に撹拌されても運動エネルギーが大きくならないので研削量が低下したものと考えられる。
【0046】
このことから、エレメント以外のワークをバレル研磨する場合、第1のメディアαの大きさとしては、その上限が凹部における隙間間隔の0.4倍以下とすることが好ましく、下限は、研削することが可能な運動エネルギーを得ることのできる大きさであればよいことになる。
【0047】
第2のメディアβは、従来から使用されている通常のメディアでよく、たとえば、図5Aに示すように、三角柱形状で各辺および高さが5a〜10a程度のものを用いることが好ましい。三角柱形状の他に、図5Bに示すように、その直径が5a〜10a程度の球形状のメディアを用いてもよい。
【0048】
第1のメディアαおよび第2のメディアβはともに、通常、メディアとして使用されているセラミックス系の素材、たとえば、Al23、TiO3、FEO2、SiO2などが含まれているセラミクスが用いられる。
【0049】
ここで、第1のメディアαと第2のメディアβを混合した場合の湿式バレル研磨における研削量および面粗度について説明する。
【0050】
バレル研磨の処理自体は、湿式バレル研磨法により行う。湿式バレル研磨法は、周知のとおり、バレル研磨槽内に、メディア、ワーク、および必要に応じて研磨剤などからなるマスを投入し、さらに水を入れて、バレル研磨槽を回転して内部のマスを撹拌することで、メディアによってワークを研磨するものである。
【0051】
図6は、第1のメディアαと第2のメディアβの混合比と研削量の関係を示す図面であり、図7は、第1のメディアαと第2のメディアβの混合比と面粗度の関係を示す図面である。
【0052】
一般的に単一の大きさのメディアを使用した場合は、メディアの体積が大きいほど、研削量は多くなり、面粗度が粗くなる。
【0053】
第1のメディアαと第2のメディアβを混合した場合、まず、研削量については、図6に示すように、混合比がα:β=3:1付近になるまでは第1のメディアαが多いほど研削量が多くなることがわかる。
【0054】
このことは、単一の大きさのメディアを使用した場合と比較すると逆の現象で、小さなメディアの割合が多いほど研削量が多くなっているのである。
【0055】
この理由は、体積の小さな第1のメディアαが、体積の大きな第2のメディアβとワークとの間に入り、第1のメディアαが、体積が大きくしたがって重量が重い第2のメディアβにより押されて、ワークと大きな力で接触するようになり、このためワークに対する摩擦力が上がり研磨量が増加したものと考えられる。そして、混合比がα:β=4:1付近になると、第1のメディアαが多すぎてワークを拘束してしまうことになり、ワークとメディアとの摩擦が少なくなって研削量が低下するものと考えられる。
【0056】
なお、図6において示される点線は、エレメントのバリ取りに必要な所望の研削量を示すラインであり、ここでは、このライン以上の研削量が得られる部分を好ましい研削量とした。
【0057】
次に、面粗度については、図7に示すように、第1のメディアαが多いほど面粗度が細かくなる。すなわち、比較的小さな第1のメディアαが多いほど表面仕上げ効果が大きく滑らかな表面が得られる。
【0058】
この理由については、体積の小さな第1のメディアαが多くなることにより、ワークをより細かく研削することができるためと考えられる。
【0059】
なお、図7において示される点線は、エレメントの表面仕上げに必要な所望の面粗度を示すラインであり、ここでは、このライン以下の面粗度が得られる部分を好ましい面粗度とした。
【0060】
これらの研削量および面粗度の関係から、エレメントのバリ取りと表面仕上げには、第1のメディアαと第2のメディアβの混合比がα:β=1:1〜3:1であることが好ましい。
【0061】
次に、第1のメディアαと第2のメディアβを混合した場合のバレル処理時間と研削量の関係は、図8に示すように、単一の大きさのメディアを使用した場合と同じ傾向であり、時間が長くなるほど研削量が低下してくる。また、この図から、第1のメディアαと第2のメディアβを混合した方が単一の大きさのメディアを使用した場合より研削量が大きいことがわかる。なお、図8に示した結果においては、第1のメディアαと第2のメディアβの混合比をα:β=2:1とした場合である。
【0062】
以上のように、エレメントの凹部の間隔より小さく、かつ、その形状が略三角柱形状の第1のメディアαと、これより大きな第2のメディアβを混合することで、エレメントのバリ取りと表面仕上げをバレル処理のみによって行うことができる。
【0063】
なお、本実施の形態は、ワークとしてエレメントを用いたものであるが、本発明はこのようなエレメントの加工に限定されるものではなく、様々なワークに対して有効であり、特に、単一の大きさのメディアではバリ取りと表面仕上げを一度に行うことのできない、凹部や隙間を有するワークに対して効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ベルト式駆動式無段変速機のエレメントを示す概略図である。
【図2】 エレメントの加工工程を示す図面である。
【図3】 本発明を適用した実施の形態において使用する第1のメディアを示す図面である。
【図4】 第1のメディアαの大きさと研磨量の関係を示す図面である。
【図5】 第2のメディアβを示す概略図である。
【図6】 第1のメディアαと第2のメディアβの混合比と研削量の関係を示す図面である。
【図7】 第1のメディアαと第2のメディアβの混合比と面粗度の関係を示す図面である。
【図8】 第1のメディアαと第2のメディアβを混合した場合のバレル処理時間と研削量の関係を示す図面である。
【符号の説明】
1…エレメント、
2…ボデー部、
3…ヘッド部、
4…ネック部、
5…凹部、
11…メディア側面

Claims (8)

  1. 凹部を有するワークのバレル研磨方法であって、
    前記凹部の隙間の間隔未満の大きさであり、かつ、その形状が略三角柱形状で、該略三角柱形状の側面が内側に窪み、該略三角柱形状の三角形を構成する各頂角部分が円弧形状である第1のメディアと、
    前記凹部の隙間の間隔以上の大きさの第2のメディアとを混合したメディアを使用することを特徴とするバレル研磨方法。
  2. 前記第1のメディアと前記第2のメディアの混合比は、1対1〜4対1であることを特徴とする請求項1記載のバレル研磨方法。
  3. 前記略三角柱形状の三角形を構成する一辺の長さおよび柱の高さは、その上限が前記ワークの凹部の隙間間隔の0.4倍以下であり、下限がバレル研磨によりワークを研削することが可能な大きさであることを特徴とする請求項記載のバレル研磨方法。
  4. 前記略三角柱形状側面の窪みは、窪み部分の成す角が120〜160度であることを特徴とする請求項または記載のバレル研磨方法。
  5. 前記ワークは、ベルト式駆動式無段変速機のエレメントであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一つに記載のバレル研磨方法。
  6. 凹部を有するワークのバレル研磨に用いるバレル研磨用メディアであって、
    略三角柱形状で、三角形を構成する一辺および柱の高さが、前記凹部より小さく、該略三角柱形状の側面が内側に窪み、該略三角柱形状の三角形を構成する各頂角部分が円弧形状であることを特徴とするバレル研磨用メディア。
  7. 前記略三角柱形状の三角形を構成する一辺の長さおよび柱の高さは、その上限が前記ワークの凹部の隙間間隔の0.4倍以下であり、下限がバレル研磨によりワークを研削することが可能な大きさであることを特徴とする請求項記載のバレル研磨用メディア。
  8. 前記略三角柱形状側面の窪みは、窪み部分の成す角が120〜160度であることを特徴とする請求項または記載のバレル研磨用メディア。
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