JP3945112B2 - インパクト回転工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルトやナット等のねじの締め付け作業及び緩め作業に使用するインパクトレンチやインパクトドライバのようなインパクト回転工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インパクト回転工具は、回転駆動されるハンマによる打撃衝撃を出力軸に加えることで出力軸を回転させてボルトやナット等のねじの締め付け作業や緩め作業を行うものである。このようなインパクト回転工具は、モータの減速出力で出力軸を直接回転させる回転工具に比べて、高い締付トルクを得られるが、その反面、小径のボルトやナットを締め付ける際は、締めすぎて破損させてしまう場合があり、それを恐れた場合は内部に備えられたモータの回転を早めに停止していまい、締付トルクが不足することになる。上述のような締め付けすぎによる破損ならびに締付トルク不足を避けるために、従来のインパクト回転工具では予め所定のトルク設定を行うと共に、例えば図21に示すように、モータ1を囲むハウジング1aにマイク5aを取り付け、ハンマによる打撃音を電気信号に変換し、マイク5aに接続した処理回路13により打撃音をカウントし、所定の回数に達するとモータを停止させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、締め付ける相手部材が軟質であれば打撃音が小さく、その打撃音をマイク5aで検知できないといった問題があった。
【0004】
本発明は上記問題点の解決を目的とするものであり、打撃を確実に検知することによって締付トルク精度を向上させたインパクト回転工具を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、モータで回転駆動されるハンマによる出力軸の打撃によって出力軸に回転力を加えるインパクト回転工具において、ハンマの打撃によって生じる互いに異なる複数種の変動を、それぞれ各種別に検知して検知信号を出力する複数の検知手段と、複数の検知手段の検知信号から各別に打撃を判別し、打撃検知信号を出力する処理回路と、複数の検知手段の少なくとも1つからの検知信号により打撃と判別されたとき、打撃回数をカウントし、打撃回数が所定の回数に達するとモータを停止させる制御手段とを備えたことを特徴とし、複数種であるから従来例のように1種類の検知手段と処理回路による打撃の誤検知を防止し、打撃を正確に検知して、締付トルク精度を向上させることができる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、モータに電力を供給する電池を備え、複数の検知手段は、電池の両端電圧の変動を検知して検知信号を出力する電池電圧検知回路と、モータの回転数に略比例した振幅の検知信号を出力する周波数ジェネレータとであることを特徴とし、請求項1の発明と同様の作用を奏する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、モータに電力を供給する電池を備え、複数の検知手段は、電池の両端電圧の変動を検知して検知信号を出力する電池電圧検知回路と、ハンマによる打撃音を検知して検知信号を出力するマイクとであることを特徴とし、請求項1の発明と同様の作用を奏する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、複数の検知手段は、モータの回転数に略比例した振幅の検知信号を出力する周波数ジェネレータと、ハンマによる打撃音を検知して検知信号を出力するマイクであることを特徴とし、請求項1の発明と同様の作用を奏する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、モータに電力を供給する電池を備え、複数の検知手段は、モータの回転数に略比例した振幅の検知信号を出力する周波数ジェネレータと、電池の両端電圧の変動を検知して検知信号を出力する電池電圧検知回路と、ハンマによる打撃音を検知して検知信号を出力するマイクとであり、周波数ジェネレータからの検知信号と、マイク又は電池電力検知回路の少なくとも何れか一方からの検知信号とから処理回路で打撃を略同時に判別したときに、制御回路は打撃回数をカウントすることを特徴とし、請求項1の発明と同様の作用を奏する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1記載の発明において、スイッチング素子を備えてモータを駆動させる駆動回路と、駆動回路をPWM制御するPWM回路とを備え、複数の検知手段のうち少なくとも1つは、モータの回転数に略比例した周波数の検知信号を出力するパルスジェネレータであることを特徴とし、検知手段をパルスジェネレータとしたことによって、PWM制御信号に起因する検知信号波形の歪の発生を防止し、打撃をさらに確実に検知し、締付トルク精度をさらに向上させることができる。
【0011】
請求項7の発明は、請求項6記載の発明において、処理回路は、パルスジェネレータから出力される検知信号を、検知信号の周波数に略比例した電圧値に変換するコンバータ回路と、変換された電圧値を基準電圧値と比較して打撃を判別する比較回路とを備えたことを特徴とし、検知信号の周波数に略比例した電圧値を基準電圧値と比較することによって、打撃をさらに確実に検知し、締付トルク精度をさらに向上させることができる。
【0012】
請求項8の発明は、請求項2又は4又は5の何れかに記載の発明において、処理回路は、周波数ジェネレータから出力される検知信号のピーク値を検知するピークホールド回路と、検知信号のピーク値を基準電圧値と比較して打撃を判別する比較回路とを備えたことを特徴とし、検知信号のピーク値を基準電圧値と比較することによって、打撃をさらに確実に検知し、締付トルク精度をさらに向上させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態のインパクト回転工具は、図1に示すように、内部に備えた電池6と、電池6から供給される電力によってハンマを回転させるモータ1と、スイッチング素子たるFETを備えてモータ1への供給電力を可変しモータ1を駆動する駆動回路2と、駆動回路2をPWM制御するPWM回路3と、PWM回路3にモータ1の回転数を制御する信号を出力する制御手段たるマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略す)4と、ハンマによる打撃によって生じる互いに異なっる複数種の変動を、それぞれ各種別に検知して打撃検知信号をマイコン4に出力する打撃検知回路5と、PWM回路3及びマイコン4並びに打撃検知回路5のそれぞれに応じた電源を、電池6を電源として作成しそれぞれに供給する電源回路7とを備えている。
【0014】
打撃検知回路5は、ハンマによる打撃音を検知して検知信号を出力するマイク5a、モータ1の回転数に略比例した振幅の検知信号を発生する周波数ジェネレータ5b、電池6の両端電圧の変動を検出して検知信号を出力する電池電圧検知回路5cからなる3つの検知手段と、それぞれから出力される検知信号を各別に処理する検知ブロック5dとを備えている。
【0015】
マイク5aは、従来例に示すように、モータ1を囲むハウジング1aに取り付けられ、マイク5aから出力される検知信号は、検知ブロック5d内部にあるマイク用の処理回路5d1に入力される。処理回路5d1は、検知信号の電圧値と基準電圧値とを比較し、検知信号の電圧値が基準電圧値よりも大きいとき、打撃があったと判断し、矩形波の打撃検知信号をマイコン4の入力端Pに出力するようにしている。
【0016】
マイク用の処理回路5d1は、図2に示すように、マイコン4の入力端Pに出力端子が接続され、マイコン4の出力端DAの基準電圧が反転入力端子に印加されるコンパレータCo1と、コンパレータCo1の反転入力端子に一端を接続されるコンデンサC2と、コンパレータCo1の非反転入力端子に接続されるコンデンサC1と、一端に動作電圧Vdが印加される抵抗R2と、抵抗R2の他端及びコンデンサC1の他端にソースが接続されるトランジスタTr1と、トランジスタTr1のドレインに一端を接続され、他端をコンデンサC2に接続される抵抗3と、抵抗R3及びトランジスタTr1のゲートに接続される抵抗R1と、抵抗R2の直流電圧Vdが印加される一端及びコンパレータCo1の出力端子に接続される抵抗R6と、抵抗R2及びコンデンサC1の直列回路に並列接続されるダイオードD1並びに抵抗R4と、コンデンサC1及びトランジスタTr1並びに抵抗R3の直列回路に並列接続されるダイオードDr2並びに抵抗R5とから成り、マイク5aはこのマイク用の処理回路5d1の抵抗R1に並列接続される。
【0017】
打撃音は、マイク5aによって電圧信号に変換され、マイク用の処理回路5d1のトランジスタTr1を介して増幅されてコンパレータCo1の非反転入力端に入力する。この非反転入力端に入力する電圧信号は、例えば図3に示すような波形を有し、約30m秒毎(約33.3Hz)の打撃音によって時刻t1〜t7の各々の付近には、他の時刻tと比べて大きな振幅を示す波形が現れている。処理回路5d1は、コンパレータCo1で、上述の非反転入力端に入力された電圧信号をマイコン4の基準電圧と比較し、振幅Wより大きな電圧信号であれば打撃があったと判断し、矩形波の打撃検知信号をマイコン4の入力端Pに出力する。マイコン4は、時刻t1〜t7の各々の付近でハンマによる打撃があったとして打撃回数をカウントし処理することができる。
【0018】
ところで、マイク5aによる打撃音の検知では、時刻t2,t3付近での波形の振幅が振幅Wよりも小さいために、処理回路5d1では打撃がなかったものとして誤って判断されることがある。このような誤った判断は、周波数ジェネレータ5b及び電池電圧検知回路5c並びに検知ブロック5dによって防ぐことができる。以下、周波数ジェネレータ及び電池電圧検知回路5cについて詳細に説明する。
【0019】
周波数ジェネレータ5bは、図4に示すように、モータ1に設けられ、周波数ジェネレータ5bから出力されるモータ1の回転数に略比例した振幅の検知信号は、処理回路5d内部にある周波数ジェネレータ用の処理回路5d2に入力される。
【0020】
周波数ジェネレータ用の処理回路5d2は、図5に示すように、マイコン4の入力端Pに出力端子が接続されるコンパレータCo2と、コンパレータCo2の反転入力端子に接続されるコンデンサC3及び抵抗R7の直列回路と、コンパレータCo2の非反転入力端子に接続される抵抗R8,R9の直列回路と、コンパレータCoの出力端子および反転入力端子に接続される抵抗R10,R11の直列回路と、コンパレータCoの出力端子および非反転入力端子に接続される抵抗R12と、抵抗R9の抵抗R8が接続されていない一端およびコンパレータCoの反転入力端子に接続される抵抗R13及びダイオードD3並びにコンデンサC4と、抵抗R11に並列接続されるダイオードD4と、抵抗R8,R9の接続点および抵抗R10,R11の接続点に接続される抵抗R14とから成る。そして周波数ジェネレータ5dは、抵抗R7のコンデンサC3に接続されていない一端と抵抗R9,R13の接続点とに接続される。
【0021】
この処理回路5d2は、図6(a)に示すように、振幅Vt以上の検知信号が周波数ジェネレータ5dから入力されると、ハンマによる打撃があったと判断し、図6(b)に示すように、コンパレータCo2の出力端子からマイコン4の入力端Pに矩形波の打撃検知信号を出力する。
【0022】
電池電圧検知回路5cは、図7に示すうに、電池6の両端に接続され、電池6の両端電圧Vを常時計測する。
【0023】
例えば図8に示すように、電池電圧検知回路5cから出力される検知信号の波形は、時刻t8〜t9付近でハンマが略周期的に打撃しているとき、電池6の両端電圧Vの値は略周期的に急激に大きくなる。このような急激に立上がるパルス波形は、ハンマの打撃によって生じるものである。
【0024】
検知ブロック5dは、例えばマイク用の処理回路5d1と同様の電池電圧検知回路用の処理回路を備え、この処理回路に設定された振幅より大きな振幅を有する検知信号が入力されると、矩形波の打撃検知信号をマイコン4の入力端Pに出力する。
【0025】
上述のように、マイコン4の入力端Pには、検知ブロック5dに備えられたマイク用の処理回路5d1及び周波数ジェネレータ用の処理回路5d2ならびに電池電圧検知回路用の処理回路の夫々でハンマによる打撃があったと判断されて出力される矩形波の検知信号が入力されるようにしている。マイコン4は、周波数ジェネレータ用の処理回路5d2又はマイク用の処理回路5d1又は電池電圧検知回路用の処理回路の何れかの検知信号が入力されたとき、ハンマによる打撃があったものと判断し、打撃回数をカウントする。そして、マイコン4は、一定時間内の打撃回数の変化を算出し、打撃回数の変化が所定値よりも大きいとき、PWM回路3にモータ1の回転数を制御する信号を出力する。
【0026】
本実施形態では、互いに異なる3つの検知手段と夫々に対応した処理回路を備えて、そのうちの少なくとも1つの検知信号によって打撃を判別するようにしたことによって、打撃検知を正確にしてトルク管理することができ、締付トルク精度を向上させることができる。
【0027】
ところで、周波数ジェネレータ用の処理回路5d2からの検知信号と、マイク用の処理回路5d1又は電池電圧検知回路用の処理回路の何れか一方からの検知信号とが、略同時にマイコン4に入力したとき、総合的にハンマによる打撃があったものと判断し、打撃回数をカウントしても良い。
【0028】
さらに、マイク5a,周波数ジェネレータ5b,電池電圧検知回路5cの何れか2つと、夫々の検知手段に対応する処理回路とを備えて、マイコン4は、何れか一方の処理回路から打撃検知信号がマイコン4に出力されたとき、ハンマによる打撃があったとして判断し、打撃回数をカウントするようにしても良い。また、電池電圧検知回路5cの代わりに、電池6からモータ1に流す電流値の変動を検知して検知信号を出力する電流検出回路を備えても良い。
【0029】
なお、マイク5aの取付作業は取付精度を要求されるため、本工具の製造が困難となり、さらに取り付けられたマイク5aは、モータ1の回転機構の潤滑油や粉塵の影響を受けてしまう。そこでマイク5aを用いずに、周波数ジェネレータ5bと電池電圧検知回路5cを用いたときには、本工具を容易に製造することができるとともに、潤滑油や粉塵の影響を受けない場所に設置することができる。(実施形態2)
本実施形態は、周波数ジェネレータ用の処理回路5d2に特徴があり、それ以外の構成は実施形態1と共通するので、共通する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
本実施形態の処理回路5d2は、図9に示すように、周波数ジェネレータ5bから出力される検知信号の電圧のピーク値を保持するピークホールド回路5eと、ピークホールド回路5eによって保持されたピーク値を基準電圧値と比較し、ピーク値が基準電圧値より小さいとき、矩形波の打撃検知信号を出力する比較回路5fとを備えている。
【0031】
ピークホールド回路5eは、図10に示すように、周波数ジェネレータ5bからの検知信号が入力される入力端I1にアノードが接続されるダイオードD5と、ダイオードD5のカソードに非反転入力端子が接続されるオペアンプA1と、入力端I1及びオペアンプA1の出力端子に接続されるダイオードD6及び抵抗R15の直列回路と、ダイオードD5及びオペアンプA1の接続点に一端が接続され、他端側が接地されたコンデンサC4ならびに抵抗R16及びスイッチSWの直列回路とから成る。なお、ダイオードD6及び抵抗R15の直列回路により、ダイオードD5の逆方向のリーク電流を減少させ、オペアンプA1の出力応答時間の改善を図っている。
【0032】
比較回路5fは、オペアンプA1の出力端子に反転入力端子が接続されるコンパレータCo3と、コンパレータCo3の非反転入力端子に正極が接続され、負極を接地した基準電源E1とを備えている。
【0033】
このような処理回路5d2では、周波数ジェネレータ5bのモータ1の回転速度に応じて出力される検知信号の波形の振幅が常に変化することを利用している。例えば、予めピークホールド回路5のスイッチSWをオフにしておき、図11に示すような波形の検知信号が周波数ジェネレータ5bから出力され入力端I1に入力されると、ピークホールド回路5は、時刻t10付近でピークとなる電圧値Vp1に応じた電荷を保持し、電圧値Vp1に応じた電圧信号を比較回路5fのコンパレータCo3に出力する。そして、ピークホールド回路5のスイッチSWは、マイコン4の制御によってオンされ、ピークホールド回路5が保持していた電荷をリセットし、その後再びオフされる。このように、スイッチSWは定期的にオン/オフされて、ピークホールド回路5で保持している電荷を引き抜くようにしているので、次に時刻t11付近でピークとなる電圧値Vp2を有する検知信号が入力されても、同様の動作を繰り返す。
【0034】
コンパレータCo3は、オペアンプA1の出力端子から出力される電圧値Vp1,Vp2に対応する電圧信号を入力し、電圧信号の電圧値を基準電源E1の基準電圧値と比較し、基準電圧値よりも小さいとき、矩形波の打撃検知信号を出力端O1から出力するようにしている。このように基準電圧値と比較して打撃を判別することにより、打撃検知をさらに正確にして、締付トルク精度をさらに向上させることができる。
(実施形態3)
本実施形態は、周波数ジェネレータ5bと処理回路5d2の代わりに、光学的エンコーダであるパルスジェネレータ8とパルスジェネレータ用の処理回路8aを用いた点に特徴があり、それ以外の構成は実施形態1と共通するので、共通する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
パルスジェネレータ8は、図12及び図13に示すように、略中央部に形成された貫通穴11にモータ1の回転軸1bを通して取り付けられ、略等間隔に配置される複数のスリット12が周部に形成された略円盤状の検出盤8bと、検出盤8bのスリット12が形成された部位を挟むように配置されたフォトインタラプタ8cとを備えている。
【0036】
フォトインタラプタ8cは、図14に示すように、互いに略対向して配置された発光ダイオードD7とフォトトランジスタTr2とを備えて、フォトトランジスタTr2は、発光ダイオードD7からの光を受光したとき、コレクタ−エミッタ間を導通させる。
【0037】
処理回路8aは、マイコン4の入力端Pに出力端子が接続されるコンパレータCo4と、コンパレータCo4の反転入力端子及びフォトトランジスタTr2のコレクタに接続される抵抗R17と、コンパレータCo4の非反転入力端子及びフォトトランジスタTr2のコレクタに接続される抵抗R18、R19,R20の直列回路と、コンパレータCo4の出力端子及びフォトトランジスタTr2のコレクタに接続される抵抗R21と、フォトトランジスタTr2及び抵抗R17の直列回路に並列接続されるダイオードD8と、抵抗R17,R20の直列回路に並列接続されるダイオードD9と、抵抗R18,R19の接続点及びフォトトランジスタTr2のコレクタに接続される抵抗R22と、抵抗R19,R20の接続点及び発光ダイオードD7のカソードに接続される抵抗R23とを備えて、発光ダイオードD7のアノードはフォトトランジスタTr2のコレクタに接続される。
【0038】
上述のようなパルスジェネレータ8と処理回路8aを用いることにより、モータ1の回転軸1bの回転とともに検出盤8bが回転し、検出盤8bのスリット12がフォトトランジスタTr2に略対向したとき、発光ダイオードD7から発する光は、スリット12を通ってフォトトランジスタTr2に受光される。このとき、フォトトランジスタTr2のコレクタ−エミッタ間が導通し、回転軸1bが略一定の速度で回転している場合、コンパレータCo4の出力端子からは、図15に示すような、略一定周期の矩形波の検知信号が出力される。
【0039】
例えば、図16(a)に示すように打撃がない場合、回転軸1bは、フル・スロットル(PWM制御なしの状態)のとき約18000rpmの回転数で回転し、矩形波間の時間差tw1は約170〜195μ秒となる。一方、図16(b)に示すように打撃がある場合、回転軸1bは、フル・スロットルのとき約11000rpmの回転数で回転し、矩形波間の時間差tw2は約290〜340μ秒となる。なお、図16(a),(b)のそれぞれの波形のDuty比は、例えば約36〜38%としている。このように、打撃があった場合と無かった場合とで、矩形波間の時間差tw1,tw2が異なって、一定時間内に出力される矩形波の数が異なる。マイコン4は、この一定時間内の矩形波をカウントすることによって、カウント数が少なければ打撃があったと検知することができる。
【0040】
ところで、PWM回路3からは、駆動回路2のFETを任意のオンデューティでオン/オフするPWM制御信号が出力される。実施形態1及び2では、例えば図17(b)に示すように、時刻t12〜t13付近の間と、時刻t14〜t15付近の間にPWM制御信号が出力されたとき、図17(a)に示すように、周波数ジェネレータ5bから出力される検知信号の波形には歪が発生してしまう。
【0041】
一方、本実施形態では、パルスジェネレータ8から出力される検知信号のPWM制御信号による歪は抑えられ、打撃検知をさらに正確にして締付トルク制度を向上させることができる。
(実施形態4)
本実施形態では、パルスジェネレータ用の処理回路8aに特徴があり、それ以外の構成は実施形態3と共通するので、共通する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
本実施形態の処理回路8aは、図18に示すように、パルスジェネレータ8から出力される検知信号を入力し、この検知信号の周波数を電圧値に変換するF/Vコンバータ回路8a1と、必要な周波数帯域のみを取り出すバンドパスフィルタ回路8a2と、バンドパスフィルタ回路8a2から出力される電圧信号の電圧値を基準電圧値と比較し、基準電圧値よりも小さいとき、矩形波の打撃検知信号を出力する比較回路8a3とを備えている。
【0043】
F/Vコンバータ回路8a1は、図19に示すように、オペアンプA2と、パルスジェネレータ8からの信号を入力する入力端I2及びオペアンプA2の反転入力端子に接続される抵抗24及びコンデンサC6並びにダイオードD10の直列回路と、オペアンプA2の反転入力端子と出力端子に接続される抵抗R25並びにコンデンサC7と、コンデンサC6及びダイオードD10の接続点にアノードが接続され、カソードが接地されたダイオードD11とからなり、オペアンプA2の非反転入力端子は接地されている。このF/Vコンバータ回路8a1の入力端I2には、図20に示すように、パルスジェネレータ8から出力される電圧値Vsの検知信号が入力される。この検知信号のパルスは積分され、コンデンサC7に、コンデンサC6の容量値C6nと電圧値Vsとを乗算した電荷Qが蓄積される。その結果、検知信号の周波数に略比例した電圧値を有する電圧信号がオペアンプA1の出力端子から出力される。
【0044】
バンドパスフィルタ回路8a2は、オペアンプA3と、F/Vコンバータ回路8a1のオペアンプA2の出力端子及びオペアンプA3の非反転入力端子に接続される抵抗R26及びコンデンサC8の直列回路と、抵抗R26及びコンデンサC8の接続点に一端が接続され、他端がオペアンプA3の出力端子に接続された抵抗R27と、コンデンサC8及びオペアンプA3の非反転入力端子の接続点に一端が接続され、他端が接地されたコンデンサC9並びに抵抗28とから成り、オペアンプA3の反転入力端子は出力端子に接続されている。
【0045】
このバンドパスフィルタ回路8a2は、オペアンプA3及びコンデンサC8,C9並びに抵抗R26,R27,R28を用いることにより、反転増幅器による多重帰還タイプに構成され、中心周波数並びにバンド幅を設定することにより、F/Vコンバータ回路8a1から出力される電圧信号の必要とする周波数帯域の電圧信号をオペアンプA3の出力端子から出力させることができる。例えば、マイク用の処理回路5d1から出力される打撃音の周波数から、中心周波数を約33.3Hz、バンド幅を約20〜50Hzとして、その間の周波数の電圧信号を出力させることにより、打撃検知をより正確に検知することができる。また、PWM回路3から出力されるPWM制御信号の影響を受けない周波数帯域の電圧信号を出力させたときには、打撃検知をさらに正確にして、締付トルク精度を向上させることができる。
【0046】
比較回路8a3は、バンドパスフィルタ回路8a2のオペアンプA3の出力端子を反転入力端子に接続するコンパレータCo5と、コンパレータCo5の非反転入力端子に正極を接続し、負極を接地する基準電源E2とから成る。バンドパスフィルタ回路8aを通して出力された電圧信号の電圧値は、コンパレータCo5により基準電源E2の基準電圧値と比較され、基準電圧値より小さいとき、打撃があったとして判断し、矩形波の電圧信号をマイコン4の入力端Pに出力する。
【0047】
ところで、パルスジェネレータ8の代わりに、周波数ジェネレータ5bを用いても良い。さらに、電池電圧検知回路用の処理回路に、バンドパスフィルタ回路8a2を備えても良い。
【0048】
【発明の効果】
請求項1の発明は、モータで回転駆動されるハンマによる出力軸の打撃によって出力軸に回転力を加えるインパクト回転工具において、ハンマの打撃によって生じる互いに異なる複数種の変動を、それぞれ各種別に検知して検知信号を出力する複数の検知手段と、複数の検知手段の検知信号から各別に打撃を判別し、打撃検知信号を出力する処理回路と、複数の検知手段の少なくとも1つからの検知信号により打撃と判別されたとき、打撃回数をカウントし、打撃回数が所定の回数に達するとモータを停止させる制御手段とを備えたので、複数種であるから従来例のように1種類の検知手段と処理回路による打撃の誤検知を防止し、打撃を正確に検知して、締付トルク精度を向上させることができるという効果がある。
【0049】
請求項2の発明は、モータに電力を供給する電池を備え、複数の検知手段は、電池の両端電圧の変動を検知して検知信号を出力する電池電圧検知回路と、モータの回転数に略比例した振幅の検知信号を出力する周波数ジェネレータとであるので、請求項1の発明と同様の効果を奏する。
【0050】
請求項3の発明は、モータに電力を供給する電池を備え、複数の検知手段は、電池の両端電圧の変動を検知して検知信号を出力する電池電圧検知回路と、ハンマによる打撃音を検知して検知信号を出力するマイクとであるので、請求項1の発明と同様の効果を奏する。
【0051】
請求項4の発明は、複数の検知手段は、モータの回転数に略比例した振幅の検知信号を出力する周波数ジェネレータと、ハンマによる打撃音を検知して検知信号を出力するマイクであることを特徴とし、請求項1の発明と同様の効果を奏する。
【0052】
請求項5の発明は、モータに電力を供給する電池を備え、複数の検知手段は、モータの回転数に略比例した振幅の検知信号を出力する周波数ジェネレータと、電池の両端電圧の変動を検知して検知信号を出力する電池電圧検知回路と、ハンマによる打撃音を検知して検知信号を出力するマイクとであり、周波数ジェネレータからの検知信号と、マイク又は電池電力検知回路の少なくとも何れか一方からの検知信号とから処理回路で打撃を略同時に判別したときに、制御回路は打撃回数をカウントするので、請求項1の発明と同様の効果を奏する。
【0053】
請求項6の発明は、スイッチング素子を備えてモータを駆動させる駆動回路と、駆動回路をPWM制御するPWM回路とを備え、複数の検知手段のうち少なくとも1つは、モータの回転数に略比例した周波数の検知信号を出力するパルスジェネレータであるので、PWM制御信号に起因する検知信号波形の歪の発生を防止し、打撃をさらに確実に検知し、締付トルク精度をさらに向上させることができるという効果がある。
【0054】
請求項7の発明は、処理回路は、パルスジェネレータから出力される検知信号を、検知信号の周波数に略比例した電圧値に変換するコンバータ回路と、変換された電圧値を基準電圧値と比較して打撃を判別する比較回路とを備えたので、検知信号の周波数に略比例した電圧値を基準電圧値と比較することによって、打撃をさらに確実に検知し、締付トルク精度をさらに向上させることができるという効果がある。
【0055】
請求項8の発明は、処理回路は、周波数ジェネレータから出力される検知信号のピーク値を検知するピークホールド回路と、検知信号のピーク値を基準電圧値と比較して打撃を判別する比較回路とを備えたので、検知信号のピーク値を基準電圧値と比較することによって、打撃をさらに確実に検知し、締付トルク精度をさらに向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示すブロック図である。
【図2】同上のマイク用の処理回路を示す回路図である。
【図3】同上のマイク用の処理回路内部の電圧信号を示す波形図である。
【図4】同上のモータと周波数ジェネレータ用の処理回路とを示す構成図である。
【図5】同上の周波数ジェネレータ用の処理回路を示す回路図である。
【図6】同上の周波数ジェネレータ用の処理回路を示す(a)は検知信号の波形図、(b)は打撃検知信号の波形図である。
【図7】同上の電池と電池電圧検知回路とを示すブロック図である。
【図8】同上の電池電圧検知回路から出力される検知信号を示す波形図である。
【図9】実施形態2の周波数ジェネレータ用の処理回路を示すブロック図である。
【図10】同上の周波数ジェネレータ用の処理回路を示す回路図である。
【図11】同上の周波数ジェネレータ用の処理回路に入力される検知信号を示す波形図である。
【図12】実施形態3を示すモータとパルスジェネレータの構成図である。
【図13】同上の検出盤を示す正面図である。
【図14】同上のパルスジェネレータ用の処理回路を示す回路図である。
【図15】同上のパルスジェネレータ用の処理回路から出力される打撃検知信号を示す波形図である。
【図16】同上のパルスジェネレータ用の処理回路から出力される他の打撃検知信号を示す波形図である。
【図17】(a)は実施形態1又は2の周波数ジェネレータから出力される検知信号を示す波形図、(b)は実施形態1又は2のPWM回路から出力されるPWM制御信号を示す波形図である。
【図18】実施形態4のパルスジェネレータ用の処理回路を示すブロック図である。
【図19】同上のパルスジェネレータ用の処理回路を示す回路図である。
【図20】同上のF/Vコンバータ回路に入力される検知信号を示す波形図である。
【図21】従来例のマイク取付例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 モータ
2 駆動回路
3 PWM回路
4 マイコン
5 打撃検知回路
5a マイク
5b 周波数ジェネレータ
5c 電池電圧検知回路
5d 検知ブロック
6 電池
7 電源回路
Claims (8)
- モータで回転駆動されるハンマによる出力軸の打撃によって出力軸に回転力を加えるインパクト回転工具において、ハンマの打撃によって生じる互いに異なる複数種の変動を、それぞれ各種別に検知して検知信号を出力する複数の検知手段と、複数の検知手段の検知信号から各別に打撃を判別し、打撃検知信号を出力する処理回路と、複数の検知手段の少なくとも1つからの検知信号により打撃と判別されたとき、打撃回数をカウントし、打撃回数が所定の回数に達するとモータを停止させる制御手段とを備えたことを特徴とするインパクト回転工具。
- モータに電力を供給する電池を備え、複数の検知手段は、電池の両端電圧の変動を検知して検知信号を出力する電池電圧検知回路と、モータの回転数に略比例した振幅の検知信号を出力する周波数ジェネレータとであることを特徴とする請求項1記載のインパクト回転工具。
- モータに電力を供給する電池を備え、複数の検知手段は、電池の両端電圧の変動を検知して検知信号を出力する電池電圧検知回路と、ハンマによる打撃音を検知して検知信号を出力するマイクとであることを特徴とする請求項1記載のインパクト回転工具。
- 複数の検知手段は、モータの回転数に略比例した振幅の検知信号を出力する周波数ジェネレータと、ハンマによる打撃音を検知して検知信号を出力するマイクであることを特徴とする請求項1記載のインパクト回転工具。
- モータに電力を供給する電池を備え、複数の検知手段は、モータの回転数に略比例した振幅の検知信号を出力する周波数ジェネレータと、電池の両端電圧の変動を検知して検知信号を出力する電池電圧検知回路と、ハンマによる打撃音を検知して検知信号を出力するマイクとであり、周波数ジェネレータからの検知信号と、マイク又は電池電力検知回路の少なくとも何れか一方からの検知信号とから処理回路で打撃を略同時に判別したときに、制御回路は打撃回数をカウントすることを特徴とする請求項1記載のインパクト回転工具。
- スイッチング素子を備えてモータを駆動させる駆動回路と、駆動回路をPWM制御するPWM回路とを備え、複数の検知手段のうち少なくとも1つは、モータの回転数に略比例した周波数の検知信号を出力するパルスジェネレータであることを特徴とする請求項1記載のインパクト回転工具。
- 処理回路は、パルスジェネレータから出力される検知信号を、検知信号の周波数に略比例した電圧値に変換するコンバータ回路と、変換された電圧値を基準電圧値と比較して打撃を判別する比較回路とを備えたことを特徴とする請求項6記載のインパクト回転工具。
- 処理回路は、周波数ジェネレータから出力される検知信号のピーク値を検知するピークホールド回路と、検知信号のピーク値を基準電圧値と比較して打撃を判別する比較回路とを備えたことを特徴とする請求項2又は4又は5の何れかに記載のインパクト回転工具。
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