JP3960163B2 - 記録層を2層備えた磁気記録媒体への磁気転写方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、現在コンピュータの外部記憶装置として主流となっている磁性膜を記録材料として用いるハードディスクドライブ(以下、HDDと略記)等において、磁気記録媒体表面に書き込まれているデータ書込み/読み出しヘッドの位置決め用サーボ情報を磁気的な転写技術を用いて書き込む技術に関し、特に記録層を2層備えた磁気記録媒体への磁気転写方法および磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
線形状または島形状の軟磁性パターンが表面部分に埋め込まれている磁気転写マスターディスクを磁気記録媒体(HDDの磁気記録ディスク)上に密着または近接させた状態で外部から磁場を印加することによって、軟磁性パターンに書き込まれているデータ書込み/読み出しヘッドの位置決め用サーボ情報を磁気記録媒体表面の磁気記録層に磁気的に転写を行う、新しいサーボ・ライト技術が最近話題を呼んでいる。この転写技術は、HDDのヘッドを制御するために必要な位置情報(サーボパターン)をハードディスクに効率的に格段に短時間に書き込むことができるため、HDDの製造コストを大きく引き下げる可能性が高く、またHDDの高密度化や新たな付加価値の創造にもつながると期待されている。
【0003】
図7はこのような転写技術の従来の工程を示す。図7の(a)に示すように、磁気記録媒体(磁気記録ディスク)1は初めに、その表面上に永久磁石4を一定の間隔を保持して円周方向に移動させることで、媒体1の保磁力Hcよりも十分に大きな外部磁界Hexを印加され(初期磁化工程)、同図の右向き(周方向)6に一様に磁化される。なお、5は永久磁石4と共にリング型ヘッドを構成する軟磁性材料からなるヨークである。
【0004】
次に、図7の(b)に示すように、初期磁化工程を経た媒体1の上に磁気転写用のマスターディスク3を配置して位置合せする。このマスターディスク3の表面には埋め込み磁性膜3a(Co系軟磁性膜)が基板表面部3bに取り囲まれて離散的に埋め込まれている。このように、マスターディスク3を媒体1の表面に重ね合わせた状態で、マスターディスク3の上を磁気転写用の永久磁石4を移動させ、初期磁化工程で印加される外部磁界とは反対方向7の外部磁界Hexを印加することによって、磁気転写が完了する。
【0005】
さらに詳述すると、上記転写工程において、永久磁石4を移動させると、永久磁石4からの漏れ磁界(磁気転写書込み磁界の向きで、初期化磁界とは反対方向)は、基板表面部3bの部分では透過して媒体1の表面の磁性層に達し、初期磁化を反転させて高保磁力の記録磁化とさせるが、埋め込み磁性膜3aの部分では磁気抵抗の小さい磁気経路となるように沿面方向に通過して媒体1の磁性層に達し難いのでそのまま初期磁化が残り、埋め込み磁性膜3aのパターンの陰パターンが媒体1に磁気転写される。この磁気転写技術は、マスターディスク3の埋め込み磁性膜3a自身の漏れ磁界により媒体1を磁化するものではなく、埋め込み磁性膜3aが永久磁石4からの漏れ磁界を遮断するための磁気転写マスクとして機能しており、永久磁石4からの漏れ磁界が基板表面部3bを介して媒体1に対して選択的に磁化するようになっている(特開2001−34939号公報参照)。
【0006】
以下では、転写工程で磁気転写を行う外部磁界Hexの大きさと、媒体1の保磁力Hcの関係を説明する。
上述のようにマスターディスク3の表面には微細な軟磁性パターンが埋め込まれている。図8の(a)は、この軟磁性パターン3aの周辺の磁界分布を拡大して示した断面図である。図8の(b)のグラフは、媒体1上での磁束の水平成分の分布を表している。
【0007】
図8の(a)に示すように、軟磁性パターン3aの存在する場所では、磁束は透磁率の高い軟磁性パターン3aに集められ、軟磁性パターンの存在しない部分3bでは、一旦軟磁性パターン3aに収束された磁束が軟磁性パターン3aから空間に広がる。したがって、軟磁性パターン3aの中央部分の直下の磁界Haは、磁束がパターンに集められるため小さく、軟磁性パターンの両端の磁界Hbは、収束した磁束が媒体1に印加されるため最大となる。またある軟磁性パターン3aと隣接の軟磁性パターン3aの中央での磁界Hgは、一旦集められた磁束が十分に広がってしまうため、両端の磁界Hbよりも小さくなる。
【0008】
図8の(b)のグラフは、上記磁界Ha,Hb,およびHgを外部磁界Hexに対してプロットしたものである。軟磁性パターン3aがあるために,外部磁界Hexを増加させていった場合、磁界Hb,Hgは、常に外部磁界Hexよりも大きな値を保ちながら増加する。したがって、磁界Hb,Hgのラインはグラフ上で傾きが1の破線のラインよりも常に上に位置する。一方、磁界Haは軟磁性パターン3aがあるために常に外部磁界Hexよりも小さくなり、グラフ上で傾きが1の破線よりも常に下に位置することになる。ここで、図中の磁界Htは、軟磁性パターン3aを磁気的に飽和させる磁界強度を示している。したがって、磁界Ht 以上の外部磁界Hexの増加に対して、軟磁性パターン3a直下の媒体1に印加される磁界Haは急激に増加する。
【0009】
よって、保磁力Hcの磁気媒体1に転写を行う場合には、Hb>>Hc,Hg>>Hc,かつHa<<Hcの条件を成り立たせる外部磁界Hexを、マスターディスク3と媒体1に印加することによって磁気転写が行われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の転写技術は、記録層を1層のみ備えた磁気記録媒体への磁気転写方法について説明したものである。
しかしながら、従来技術で述べた上記のような方法を用いたのでは、記録層を2層備えた磁気記録媒体の各層に、それぞれ独立にマスターディスクの軟磁性パターンを転写することはできない。
【0011】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、記録層を2層備えた磁気記録媒体の各記録層に独立に異なる磁気信号を転写することを実現した磁気転写方法および磁気記録媒体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、線形状または島形状のパターンに加工された軟磁性層が表面部分に埋め込まれた非磁性基板からなる磁気転写マスターディスクを、磁気記録媒体の表面に密着または近接させた状態で、外部から磁場を印加することによって、軟磁性の前記パターンに書き込まれている情報を前記磁気記録媒体の磁気記録層に磁気的に転写する磁気転写方法であって、磁気記録層を2層備えた磁気記録媒体に水平方向の磁界を印加して該磁気記録媒体の初期化を行う初期化工程と、該初期化工程を実行した後、前記磁気転写マスターディスクを前記磁気記録媒体に重ねた状態で当該磁気転写マスターディスクと当該磁気記録媒体の双方に前記初期化工程の印加磁界と反対方向の水平磁界を印加する第1の転写工程とを有することを特徴とする。
【0013】
ここで、前記第1の転写工程を実行した後、前記磁気転写マスターディスクを前記磁気記録媒体に重ねた状態で当該磁気転写マスターディスクと磁気記録媒体の双方に前記初期化工程の印加磁界と同方向の水平磁界を印加する第2の転写工程とを有することが好ましい。
さらに、前記磁気転写マスターディスクとして、前記第1の転写工程では第1の磁気転写マスターディスクを用い、前記第2の転写工程では第2の磁気転写マスターディスクを前記第1の磁気転写マスターディスクと交換して用いることが好ましい。
【0014】
また、前記第1の転写工程の印加磁界と前記第2の転写工程の印加磁界の大きさが互いに異なることが好ましく、前記磁気記録媒体の2層の記録層の保磁力が互いに異なることが好ましい。
さらに、前記磁気記録媒体の上の記録層の保磁力をHc1、下の記録層の保磁力をHc2とし、前記第1の転写工程の印加磁界をHex2とし、前記第2の転写工程の印加磁界をHex1として、Hc1<<Hc2,Hex1<<Hex2,Hc1<<Hex2,かつHex1<<Hc2とすることが好ましい。
【0015】
また、前記第1の磁気転写マスターディスクと前記第2の磁気転写マスターディスクのパターンを異ならせることで、前記上の記録層をデータ層、前記下の記録層を該上の記録層へのデータの書込み時にも消えないサーボ信号層とすることができる。
しかして、上記磁気転写方法により情報が磁気的に転写された磁気記録媒体において、前記2層の記録層の間に少なくとも1層以上の非磁性材料から構成される分離層が存在することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明実施の形態を詳細に説明する。
まず、図1のグラフを参照して、大きさの異なる保磁力Hc1およびHc2の磁気記録媒体に対して、異なる大きさの外部磁界Hex1およびHex2を印加した場合にどのような転写が行われるかを説明する。
【0017】
ここで、Hc1<<Hc2,Hex1<<Hex2,Hc1<<Hex2,かつHex1<<Hc2が成り立っているものとし、Hc1,Hc2,Hex1,およびHex2の転写マップ上の位置は図1のとおりとする。
(1)Hc1の媒体へHex1で転写する場合:
転写前には初期化工程によって、媒体は一方向に磁気飽和するまで磁化されている。図1の(A)に示すとおり、Hex1をマスターディスクと媒体に印加した場合に発生される記録磁界Ha,Hb,およびHgとHc1の関係は、Hb>>Hc1,Hg>>Hc1,かつHa<<Hc1が成り立っているために良好な転写が可能である。
【0018】
なお、図8で説明したと同様に、Haは軟磁性パターン3aの中央部分直下の記録磁界,Hbは軟磁性パターン3aの両端の記録磁界,およびHgは軟磁性パターン3a間の記録磁界である。
(2)Hc2の媒体へHex2で転写する場合:
この場合も、図1の(B)に示すとおり、Hex2をマスターディスクと媒体に印加した場合に発生される記録磁界Ha,Hb,およびHgとHc2の関係は、Hb>>Hc2,Hg>>Hc2,かつHa<<Hc2が成り立っているために良好な転写が可能である。
【0019】
(3)Hc1の媒体へHex2で転写する場合:
この場合は、図1の(H)に示すとおり、Hex2をマスターディスクと媒体に印加した場合に発生される記録磁界Ha,Hb,およびHgとHc1の関係は、Hb>>Hc1,Hg>>Hc1,かつHa>>Hc1である。したがって、初期化工程で磁化された軟磁性パターン3aの下の媒体の磁化も転写によって反転されてしまう。このように保磁力Hcに比べて十分に大きな外部磁界Hexをマスターディスク3に印加した場合には、マスターディスク3を媒体1の表面に重ねていても外部磁界によって初期磁化方向と反対方向に一様に磁化されてしまい、転写信号を書き込むことはできない。
【0020】
(4)Hc2の媒体へHex1で転写する場合:
この場合は、図1の(G)に示すとおり、Hex1をマスターディスクと媒体に印加した場合に発生される記録磁界Ha,Hb,およびHgとHc2の関係は、Hb<<Hc2,Hg<<Hc2,かつHa<<Hc2である。したがって、初期化工程で磁化された媒体の磁化は、パターン3aのある部分の下でもパターンの存在しない部分の下でも転写によって反転されず、初期磁化は一様に保持された状態で残り転写信号を書き込むことはできない。
【0021】
一方、上述した保磁力Hc1およびHc2と外部磁界Hex1およびHex2の4つの組み合わせを後述のようにうまく利用すると、記録層を2層備えた記録媒体の各層に、それぞれ独立にマスターディスクの軟磁性パターンを転写することが可能となる。以下、図2を参照して、その原理を説明する。なお、以下で用いる磁気記録媒体1の保磁力Hc1およびHc2、外部磁界Hex1およびHex2の大小関係は上述した関係と同じとする。
【0022】
図2の(a)は初期磁化の工程を示す。簡略化した媒体構造を示しているが、磁気記録媒体1を構成する上の記録層1aの保磁力をHc1、下の記録層1bの保磁力をHc2とする。この初期化工程では、媒体1の保磁力Hc1およびHc2よりも十分に大きな外部磁界Hex2を印加することによって、記録層1a,1b共に初期磁化を行う。
【0023】
次に、図2の(b)に示す第1の転写工程において、マスターディスク3を磁気記録媒体1上に重ね、外部磁界Hex2(初期磁化と反対方向の磁界)を印加する。この時、保磁力Hc1の記録層1aは、上記「(3)Hc1の媒体へHex2で転写する場合」で述べたように、外部磁界Hex2によって初期磁化と反対方向に一様に磁化される。一方、保磁力Hc2の記録層1bは、上記「(2)Hc2の媒体へHex2で転写する場合」で述べたように、外部磁界Hex2によって良好な転写が行われる。
【0024】
更にこの後、図2の(c)に示す第2の転写工程において、好ましくは別のマスターディスク2を磁気記録媒体1上に重ね、外部磁界Hex1(初期磁化と同じ方向の磁界)を印加する。この時、保磁力Hc1の記録層1aは上記「(1)Hc1の媒体へHex1で転写する場合」で述べたように、外部磁界Hex1によって良好な転写が行われる。一方、保磁力Hc2の記録層1bは、上記「(4)Hc2の媒体へHex1で転写する場合」で述べたように、外部磁界Hex1によって書込みは行われず、第2の転写工程前の磁化が保持される。
【0025】
以上の転写方法をまとめると次のようになる。
▲1▼ 2つの記録層を備えた磁気記録媒体で、上の記録層の保磁力Hc1、下の記録層の保磁力Hc2とする。
▲2▼ 互いの保磁力の間にHc1<<Hc2の関係があるものとする。
▲3▼ 第1の転写工程で外部磁界Hex2を印加する。この時、記録磁界Ha,Hb,Hgおよび保磁力Hc1,Hc2の間には、Hb>>Hc2,Hg>>Hc2,かつHa<<Hc2およびHb>>Hc1,Hg>>Hc1,かつHa>>Hc1が成り立っている。したがって、下の記録層1bにのみ良好な転写がされ、上の記録層1aには転写が行われず、替わりに上の記録層1aは初期磁化と反対に一様に磁化される。
▲4▼ 第2の転写工程で外部磁界Hex1を印加する。この時、記録磁界Ha,Hb,Hgおよび保磁力Hc1,Hc2の間には、Hb<<Hc2,Hg<<Hc2,かつHa<<Hc2およびHb>>Hc1,Hg>>Hc1,かつHa<<Hc1が成り立っている。したがって、今度は上の記録層1aにのみ良好な転写がされ、下の記録層1bは影響を受けずに磁化パターンは保持される。
【0026】
この様にして、記録層を2層備えた記録媒体の各層に、それぞれ独立にマスターディスクの軟磁性パターンを転写することが実現される。
【0027】
【実施例】
更に、図面を参照して、本発明の実施の具体例を詳述する。
(第1の実施例)
図3は、本発明の第1の実施例の工程を示す。この実施例では、2つの記録層を備えた磁気記録媒体1の上の記録層1aの保磁力Hc1を3000(Oe)、下の記録層1bの保磁力Hc2を6000(Oe)とする。この実施例は、転写工程によって記録層1bのみに磁気転写を行うことを目的としている。図3の(a)の初期化工程において、磁気記録媒体1は最初に7000(Oe)程度の外部転写磁界で記録層1a,1b共に初期磁化される。
【0028】
その後、図3の(b)の転写工程において、初期磁化と反対方向の外部磁界Hex6000(Oe)で転写を行う。この転写によって、記録層1aは一様に磁化転写し、記録層1bのみにマスターディスク3の軟磁性パターン3aの転写が行われる。用いたマスターディスク上3の軟磁性パターン3aの線幅は0.5μm〜3μm、軟磁性層の厚さは500nmである。また、マスターディスク基板は単結晶シリコン基板であり、軟磁性パターンの材料は純コバルトである。
【0029】
(第2の実施例)
図4は、本発明の第2の実施例の工程を示す。第2の実施例においても、2つの記録層を備えた磁気媒体の記録層1aの保磁力Hc1を3000(Oe)、記録層1bの保磁力Hc2を6000(Oe)とする。この実施例は、第1の転写工程によって記録層1bに、第2の転写工程によって記録層1aに、それぞれ独立に磁気転写を行うものである。
【0030】
図4の(a)の初期化工程において、磁気記録媒体1は最初に7000(Oe)程度の外部転写磁界で両記録層1a,1b共に初期磁化される。
その後、図4の(b)の第1の転写工程において、初期磁化と反対方向の外部磁界6000(Oe)で転写を行う。この転写によって、記録層1aは一様に磁化転写し、記録層1bのみにマスターディスク3の軟磁性パターン3aの転写が行われる。
【0031】
次に、図4の(c)の第2の転写工程において、初期磁化と同じ方向の外部磁界3000(Oe)で転写を行う。この転写によって、記録層1bは磁化の変化を受けず、記録層1aのみにマスターディスク3の軟磁性パターン3aの転写が行われる。第2の実施例では、第1および第2の転写工程で使用するマスターディスクが同じものである場合に対応する。
【0032】
(第3の実施例)
図5は、本発明の第3の実施例の工程を示す。第3の実施例は、第1の転写工程と第2の転写工程で用いるマスターディスクのパターンが異なる場合に対応する。
第3の実施例においても、2つの記録層を備えた磁気媒体の記録層1aの保磁力Hc1を3000(Oe)、記録層1bの保磁力Hc2を6000(Oe)とする。
【0033】
図5の(a)の初期化工程において、磁気記録媒体1は最初に7000(Oe)程度の外部転写磁界で量記録層1a,1b共に初期磁化される。
その後、図5の(b)の第1の転写工程において、初期磁化と反対方向の外部磁界6000(Oe)で転写を行う。この転写によって、記録層1aは一様に磁化転写し、記録層1bのみにマスターディスク2の軟磁性パターン2aの転写が行われる。
【0034】
次に、図5の(c)の第2の転写工程において、第1の転写工程のマスターディスク2と交換してマスターディスク3を用い、初期磁化と同じ方向の外部磁界3000(Oe)で転写を行う。この転写によって、記録層1bは磁化の変化を受けず、記録層1aのみにマスターディスク3の軟磁性パターン3aの転写が行われる。
【0035】
このように、第1の転写工程と第2の転写工程で用いるマスターディスクのパターンを異ならせることによって、例えば磁気記録媒体1の上層1aをデータ層とし、下層1bは上層へのデータの書込み時にも消えないサーボ信号層とすることができる。
(第4の実施例)
図6は本発明の第2の発明に相当する2つの記録層を備えた磁気記録媒体の断面構造の実施例を示す。図6に示すように、まずアルミまたはガラスからなる媒体基板9上に、記録層の磁気容易軸方向を制御する目的で、非磁性の第1の下地層10をスパッタリング法によって10nm成膜する。下地層10の材料としてはCoCr,CoW,CoTiなどの合金が用いられる。
【0036】
この下地層10の上に例えば金属Coを主体とし、Pt,Cr,Ta,Bなどを数%から十数%添加した金属磁性膜(例えば、CoCrPtTaやCoCrPtBなどの合金材料からなる磁性膜)を下の記録層11(図2から図5の下の記録層1bに相当)として成膜する。
次に、CoCr,CoW,CoTiなどのCoを主体とした非磁性の分離層12、さらに同じくCoCr,CoW,CoTiなどのCoを主体とした非磁性の第2の下地層13の成膜を行う。ここで、下地層13と分離層12はCoを主体とする合金材料であるが、組成や材料の組み合わせが異なる。
【0037】
下地層13の上には上の記録層14(図2から図5の上の記録層1aに相当)が成膜される。記録層14は、やはり記録層11と同じ金属Coを主体とし、Pt,Cr,Ta,Bなどを添加した合金であるが、記録層11よりも保磁力を低くする目的で、添加金属の組成が異なっている。
最後に、記録層14上に腐食から、または、記録の書込み/読出しヘッドとの摩擦による劣化から磁性膜を保護する目的でカーボン膜(カーボン保護層)15を成膜する。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、記録層を2層備えた磁気記録媒体の各記録層に独立に異なる磁気信号を転写することができるので、例えば、磁気記録媒体の上層をデータ層とし、下層は上層へのデータの書込み時にも消えないサーボ信号層とするなど、磁気プリント技術の応用範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明する図であって、大きさの異なる保磁力Hc1およびHc2の磁気記録媒体に対して、異なる大きさの外部磁界Hex1およびHex2を印加した場合にどのような転写が行われるかを説明するグラフである。
【図2】本発明の実施形態を説明する図であって、保磁力Hc1およびHc2と外部磁界Hex1およびHex2の4つの組み合わせを利用すると、記録層を2層備えた記録媒体の各層に、それぞれ独立にマスターディスクの軟磁性パターンを転写することが可能となる原理を説明する工程図である。
【図3】本発明の第1の実施例の工程図である。
【図4】本発明の第2の実施例の工程図である。
【図5】本発明の第3の実施例の工程図である。
【図6】本発明の第4の実施例として2つの記録層を備えた磁気記録媒体の断面構造の実施例を示す断面図である。
【図7】従来技術を説明する工程図である。
【図8】従来技術を説明する図であって、(a)は軟磁性パターンの周辺の磁界分布を拡大して示した断面図であり、(b)は磁気記録媒体上での磁束の水平成分の分布を表すグラフである。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体
1a 上の記録層
1b 下の記録層
2 マスターディスク
3 マスターディスク
4 リング型ヘッドを構成する永久磁石
5 リング型ヘッドを構成する軟磁性材料からなるヨーク
6 初期化工程の外部磁界の向き
7 転写工程の外部磁界の向き
8 第2の転写工程の外部磁界の向き
9 媒体基板
10 第1の下地層
11 下の記録層
12 分離層
13 第2の下地層
14 上の記録層
15 カーボン保護層
Claims (4)
- 線形状または島形状のパターンに加工された軟磁性層が表面部分に埋め込まれた非磁性基板からなる磁気転写マスターディスクを、磁気記録媒体の表面に密着または近接させた状態で、外部から磁場を印加することによって、軟磁性の前記パターンに書き込まれている情報を前記磁気記録媒体の上の記録層とそれより保磁力が大きい下の記録層の2層からなる磁気記録層に磁気的に転写する磁気転写方法であって、
前記磁気記録媒体に水平方向の磁界を印加して該磁気記録媒体の初期化を行う初期化工程と、
該初期化工程を実行した後、前記磁気転写マスターディスクを前記磁気記録媒体に重ねた状態で当該磁気転写マスターディスクと当該磁気記録媒体の双方に前記初期化工程の印加磁界と反対方向の水平磁界を印加する第1の転写工程と、
前記第1の転写工程を実行した後、前記磁気転写マスターディスクを前記磁気記録媒体に重ねた状態で当該磁気転写マスターディスクと磁気記録媒体の双方に前記初期化工程の印加磁界と同方向の水平磁界を印加する第2の転写工程とを有し、
前記第1の転写工程において、下の記録層の保磁力及び上の記録層の保磁力より大きな印可磁界が印可され、下の記録層のみに対して情報が転写され、
前記第2の転写工程において、下の記録層の保磁力より小さく、上の記録層の保磁力より大きな印可磁界が印可され、上の記録層のみに対して情報が転写される
ことを特徴とする記録層を2層備えた磁気記録媒体への磁気転写方法。 - 前記磁気転写マスターディスクとして、前記第1の転写工程では第1の磁気転写マスターディスクを用い、前記第2の転写工程では第2の磁気転写マスターディスクを前記第1の磁気転写マスターディスクと交換して用いることを特徴とする請求項1に記載の記録層を2層備えた磁気記録媒体への磁気転写方法。
- 前記磁気記録媒体の上の記録層の保磁力をHc1、下の記録層の保磁力をHc2とし、前記第1の転写工程の印加磁界をHex2とし、前記第2の転写工程の印加磁界をHex1として、Hc1<<Hc2,Hex1<<Hex2,Hc1<<Hex2,かつHex1<<Hc2とすることを特徴とする請求項1または2に記載の記録層を2層備えた磁気記録媒体への磁気転写方法。
- 前記第1の磁気転写マスターディスクと前記第2の磁気転写マスターディスクのパターンを異ならせることで、前記上の記録層をデータ層、前記下の記録層を該上の記録層へのデータの書込み時にも消えないサーボ信号層とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の記録層を2層備えた磁気記録媒体への磁気転写方法。
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