JP3962325B2 - Icp分析装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導結合高周波プラズマ放電を利用して測定対象である溶液試料の成分元素を分析するICP分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平11−142336号公報
【0003】
従来から、ICP分析装置の一つとして、ICP(高周波誘導結合プラズマ)によるプラズマ発光を用いて分析対象である溶液試料の成分元素を分析するICP発光分光分析装置が知られている。このようなICP発光分光分析装置においては、プラズマトーチに分析対象の溶液試料を供給するのに、プラズマトーチの前段にネブライザを備えたスプレーチャンバを設け、溶液試料をネブライザによってスプレーチャンバ内に吹き付けて霧化し、この霧化された溶液試料を選別してプラズマトーチに試料として供給している。なお、プラズマトーチへの試料供給までの工程は、他のICP分析装置(例えばIPC質量分析装置など)でも変わるところがないので、以下でもIPC分析装置の一例としてICP発光分光分析装置を挙げて説明する。
【0004】
図6は従来のICP発光分光分析装置におけるスプレーチャンバおよびその付近の構成図である。
【0005】
図6において、1はスプレーチャンバで、その前段にはネブライザ2が連設されている。このネブライザ2は、同心配置された試料ノズル2aとキャリアガスノズル2bと有し、ネブライザアダプタ3に装着され、このネブライザアダプタ3がスプレーチャンバ1の流入側に嵌合される。スプレーチャンバ1内には霧状試料を選別するための筒状部材1aが設けられている。試料容器4には溶液試料5が収容され、試料導入管6の一端は溶液試料5に浸され、その他端はネブライザ2における試料ノズル2aの試料流入側に接続されている。また、ネブライザ2にはキャリアガス7を導入するための導入部8が設けられている。
【0006】
スプレーチャンバ1の底部の排出側には排出口9が形成され、この排出口9は略S字形状のドレイン管10に接続され、スプレーチャンバ1内の底部に溜まった不要な液はドレイン管10を介して廃液11として廃液容器12に排出される。また、スプレーチャンバ1の上部にはネブライザ2の試料ノズル2aから噴射されて霧化した試料(霧化試料)を導出する霧化試料導出口13が形成され、この霧化試料導出口13は接続管14を介して後で述べるプラズマトーチ15の試料流路16に接続されている。
【0007】
プラズマトーチ15には、キャリアガス7とともに霧状試料が流れる試料流路16と、補助ガスが流れる補助ガス流路18と、冷却ガスが流れる冷却ガス流路19とが、この順に内から外に同心配置されるとともに、その冷却ガス流路19の先端部近傍の外周には高周波電源(図示せず)に接続された誘導コイル20が周設されており、この誘導コイル20による高周波磁界によってプラズマトーチ15に供給される試料がプラズマ化し、プラズマ発光する。
【0008】
なお、一般に、キャリアガスは、霧状試料をプラズマ中に導入するために流す不活性ガスであり、補助ガスはプラズマトーチ15の中間部に流す不活性ガスである。この補助ガスは、プラズマ点灯開始時には必ず流しておくことが必要であり、プラズマが下がってプラズマトーチ15の中央および中間の管(補助ガス流路18)に接触して管を溶かすことを防止する役目をする。また、冷却ガスは、プラズマトーチの外側管(冷却ガス流路19)に多量に流す不活性ガスであり、プラズマのプラズマトーチ15への接触を防止している。
【0009】
図6に戻って、この従来のICP発光分光分析装置を用いて試料容器4に収容された溶液試料5を分析する際は、キャリアガス7が導入部8を介してネブライザ2のキャリアガスノズル2bに流入され、これにより生じるキャリアガスノズル2bの先端付近の負圧により、試料容器4内の溶液試料5が、試料導入管6を介して試料ノズル2aに流入され、この試料ノズル2aから霧化されてスプレーチャンバ1内に噴霧される。
【0010】
そして、霧化された試料21は、スプレーチャンバ1で粒子の均一化と気流の安定化が図られた後、プラズマトーチ15に導かれる。即ち、霧化された試料21のうち所定の粒径よりも小さい粒径の試料22が、筒状部材1aによって選別され、キャリアガスとともに接続管14を介して試料流路16に供給される。プラズマトーチ15には、補助ガスが補助ガス流路18に、冷却ガスが冷却ガス流路19にそれぞれ適宜供給されており、試料流路16に供給された試料22は、プラズマ23中でプラズマ発光する。
【0011】
一方、前記霧化された試料21のうち所定の粒径以上の試料の大部分は、筒状部材1aによっても選別され、スプレーチャンバ1の内壁に付着し、また、自重で沈降し、溶液となって留まりかけるが、この溶液は排出口9から排出され、ドレイン管10を介して廃液容器12に廃液11となって回収される。なお、ドレイン管10はドレイントラップ部10aを有し、廃液の排出後、廃液がドレイントラップ部10aに所定量だけ留まるので、ドレイン管10の出口側からの空気などが逆流してスプレーチャンバ1内に入るようなことはない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特に、揮発性の高い有機溶媒による溶液試料を分析する場合では、プラズマトーチ15への導入試料の揮発や拡散、あるいは炭化水素の原子化のしにくさに由来するプラズマ揺らぎを抑えるために、水などの溶媒による溶液試料を用いる場合に比べて、より径の細い試料導入管6が使われる。
【0013】
このとき、キャリアガスの供給量を多くすると、スプレーチャンバ1内の霧化量と気化量が多くなって、スプレーチャンバ1内の圧力が高くなり、これにより、プラズマトーチ15への試料ガスの流速が速くなり、プラズマ23が不安定になり易くなる。そこで、スプレーチャンバ1内の圧力を下げるため、キャリアガスの供給量を減らし、スプレーチャンバ1への試料導入量を少なくするしかないが、この場合は、試料が少ないので試料の分析の測定感度が低下することになる。
【0014】
また、このような構成の従来のICP発光分光分析装置の他に、ドレイン管10のドレイントラップ部10a内の液面W1に大気圧がかかるように、例えば、図6中の矢印10bで示すような箇所に孔を開けた構成もあるが、この構成の場合でも、スプレーチャンバ1内の圧力を完全に打ち消すことができず、スプレーチャンバ1内の圧力が高くなるので、前記のようにプラズマ23が不安定になる。
【0015】
また、このような構成の従来のICP発光分光分析装置の他に、スプレーチャンバ1を冷却してスプレーチャンバ1自体の温度を下げ、これにより、スプレーチャンバ1内の蒸気圧を下げて気化量を減らすことでスプレーチャンバ1内の圧力を低下させるように構成したものがある。この構成の場合は、温度変化による試料の導入状態変化を補正して試料の安定導入を図っているが、スプレーチャンバ1の壁面に恒温層を設ける必要があるとともに冷却装置も必要となって、コスト高になり、また、冷却温度にも制限があり、実際には効果が少ない。
【0016】
なお、特許文献1に記載のICP分析装置では、スプレーチャンバに貯溜する液面の高さを一定にするために設けられたU字管を二重管構造の廃液溜容器としている。詳しくは、スプレーチャンバの排出口は、廃液溜管および廃液溜容器を介してドレインタンクに接続されている。このような構成により、スプレーチャンバ内の圧力を一定に保つようにしているが、スプレーチャンバ内の圧力が急激に変化した場合、前記排出口付近の液面は圧力の変化に追従できなくて、直ぐには上下しないので、その間、スプレーチャンバ内の圧力の変化によるプラズマの揺らぎが生じる傾向があり、このため、測定感度が低下することになり、前記の従来技術と同様な課題が生じる。
【0017】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、試料の分析時にスプレーチャンバ内の圧力を一定に保つことができるようにし、分析の測定感度の向上を図れるICP分析装置を提供することを目的する。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明に係るICP分析装置は、プラズマトーチ前段に設けたスプレーチャンバの流入側に、試料ノズルとキャリアガスノズルが同心配置されたネブライザが連設され、このネブライザのキャリアガスノズルにキャリアガスを流入させることにより前記キャリアガスノガルの先端付近に生じる負圧によって溶液試料が前記試料ノズルに流入し霧化されて前記スプレーチャンバ内に噴霧され、その霧化された溶液試料をプラズマトーチに導入して該溶液試料の成分を分析するように構成されているICP分析装置において、前記スプレーチャンバの側面下方もしくは前記スプレーチャンバの排出口に接続されたドレイン管の壁面の所定箇所に、前記スプレーチャンバ内の圧力が所定値を超えたとき、このスプレーチャンバ内の圧力を一定に保つように該スプレーチャンバ内のガスを外部にリークさせ排出する圧力調整手段が設けられていることを特徴としている(請求項1)。
【0019】
このICP分析装置においては、スプレーチャンバ内の圧力を調整可能にする圧力調整手段が設けられているので、前記スプレーチャンバ内の圧力が所定値を超えると、圧力調整手段からスプレーチャンバ内のガスが外部にリークし排出することにより減圧され、前記スプレーチャンバ内の圧力は所定値に直ぐに戻されて一定に保持される。したがって、試料の分析時に前記スプレーチャンバ内の圧力を一定に保つことができ、これにより、プラズマトーチにおけるプラズマが安定し、試料の分析の測定感度を向上させることができる。
【0020】
なお、前記スプレーチャンバからのガスのリーク量は、前記圧力調整手段の設定値を変えることにより、変更することができる。また、前記圧力調整手段によって前記スプレーチャンバ内のガスをリークさせないようにすることもできる。この場合は、前記スプレーチャンバ内の圧力に影響を与えにくい揮発性の小さい溶媒による溶液試料や水溶液による溶液試料の分析にも用いることができる。
【0021】
特に、前記圧力調整手段として、ドレイン管の壁面に設けた逆止弁又はネジ切りされたねじ孔に回動自在に取り付けられたネジから構成することにより(請求項3)、スプレーチャンバ、ネブライザおよびネブライザアダプタ等は、従来からのものを使用でき、したがって、逆止弁あるいはネジをスプレーチャンバに設ける場合に比べ、製造が簡単になり、コストを安くすることができる。
【0022】
【0023】
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施形態に係るICP発光分光分析装置におけるスプレーチャンバおよびその付近の構成図である。なお、本発明は、他のICP分析装置にも適用できるが、ここではICP発光分光分析装置を例に挙げて説明する。
【0025】
図1 において、1はスプレーチャンバで、その前段にはネブライザ2が連設されている。このネブライザ2は、同心配置された試料ノズル2aとキャリアガスノズル2bと有し、ネブライザアダプタ3に装着され、このネブライザアダプタ3がスプレーチャンバ1の流入側に嵌合される。スプレーチャンバ1内には霧状試料を選別するための筒状部材1aが設けられている。試料容器4には溶液試料5が収容され、試料導入管6の一端は溶液試料5に浸され、その他端はネブライザ2における試料ノズル2aの試料流入側に接続されている。また、ネブライザ2にはキャリアガス7を導入するための導入部8が設けられている。
【0026】
スプレーチャンバ1の底部の排出側には排出口9が形成され、この排出口9は略S字形状のドレイン管10に接続され、スプレーチャンバ1内の底部に溜まった不要な液はドレイン管10を介して廃液11として廃液容器12に排出される。また、スプレーチャンバ1の上部にはネブライザ2の試料ノズル2aから噴射されて霧化した試料(霧化試料)を導出する霧化試料導出口13が形成され、この霧化試料導出口13は接続管14を介して後で述べるプラズマトーチ15の試料ガス流路16に接続されている。
【0027】
また、この第1の実施形態の特徴として、スプレーチャンバ1の側面の下方には、該スプレーチャンバ1内部の圧力を調整する圧力調整手段としての逆止弁17が設けられている。この逆止弁17は開度調整が可能で、スプレーチャンバ1内の圧力が所定値を超えると、外部に気化ガスを排出するようになっている。したがって、スプレーチャンバ1内の圧力が所定値を超えると、溶液試料5の溶媒が特に有機溶媒の場合は、気化しやすく、沸点が低いので、スプレーチャンバ1の内圧が高くなるが、逆止弁17を介して気化ガスが外部に排出されることになる。
【0028】
プラズマトーチ15には、キャリアガス7とともに霧状試料が流れる試料流路16と、補助ガスが流れる補助ガス流路18と、冷却ガスが流れる冷却ガス流路19とが、この順に内から外に同心配置されるとともに、その冷却ガス流路19の先端部近傍の外周には高周波電源(図示せず)に接続された誘導コイル20が周設されており、この誘導コイル20による高周波磁界によってプラズマトーチ15に供給される試料がプラズマ化し、プラズマ発光する。
【0029】
この第1の実施形態のICP発光分光分析装置を用いて試料容器4に収容された溶液試料5を分析する際は、キャリアガス7が導入部8を介してネブライザ2のキャリアガスノズル2bに流入され、これにより生じるキャリアガスノズル2bの先端付近の負圧により、試料容器4内の溶液試料5が、試料導入管6を介して試料ノズル2aに流入し、この試料ノズル2aから霧化されてスプレーチャンバ1内に噴霧される。
【0030】
そして、霧化された試料21は、スプレーチャンバ1で粒子の均一化と気流の安定化が図られた後、プラズマトーチ15に導かれる。即ち、霧化された試料21のうち所定の粒径よりも小さい粒径の試料22が、筒状部材1aによっても選別され、キャリアガスとともに接続管14を介して試料流路16に供給される。プラズマトーチ15には、補助ガスが補助ガス流路18に、冷却ガスが冷却ガス流路19にそれぞれ適宜供給されており、試料流路16に供給された試料22は、プラズマ23中でプラズマ発光する。
【0031】
一方、前記霧化された試料21のうち所定の粒径以上の試料の大部分は、筒状部材1aによっても選別され、スプレーチャンバ1の内壁に付着し、また、自重で沈降し、溶液となって留まりかけるが、この溶液は排出口9から排出され、ドレイン管10を介して廃液容器12に廃液11となって回収される。なお、ドレイン管10はドレイントラップ部10aを有し、廃液の排出後、廃液がドレイントラップ部10aに所定量だけ留まるので、ドレイン管10の出口側からの空気などが逆流してスプレーチャンバ1内に入るようなことはない。
【0032】
ところで、例えば、溶媒が水の場合は、気化量が極めて少なく、スプレーチャンバ1内の圧力が上昇することが殆どないので、上述したようにスプレーチャンバ1に逆止弁17を設ける必要がないが、キシレン,THF(テトラヒドロフラン),アセトンなどといった溶解力および腐食性の強い有機溶媒の場合は、気化しやすく(揮発性が高い)、また、沸点が低く、そのため、スプレーチャンバ1内の温度が高くなるに伴って、スプレーチャンバ1内の圧力が高くなる。スプレーチャンバ1内の圧力が高くなると、プラズマトーチ15へのキャリアガスが増加することにより、試料も多くプラズマ23中に上がり、また、逆に、スプレーチャンバ1内の圧力が低くなると、プラズマトーチ15へのキャリアガスが減少することにより、プラズマ23中に上がる試料も減少する。即ち、スプレーチャンバ1内の圧力が変動することにより、プラズマ23が不安定になる。
【0033】
そこで、本実施形態では、スプレーチャンバ1の側面に逆止弁17を設け、スプレーチャンバ1内の圧力が一定になるように逆止弁17の開度を調整している。スプレーチャンバ1内のガスを外部にリークさせる部分は、霧化された試料のうちプラズマトーチ15へ導入される分に影響が少ない部分、つまり、スプレーチャンバ1の側面下方が良いので、逆止弁17はスプレーチャンバ1の側面下方に設けられる。
【0034】
このような逆止弁17を設けることにより、揮発性の高い有機溶媒による溶液試料を分析する場合でも、スプレーチャンバ1内の圧力を一定にすることができ、これにより、プラズマ23が安定し、分析の測定感度を向上させることができる。しかも、スプレーチャンバ1内の圧力が変化して高くなると、直ぐに逆止弁17からガスが排出されるので、圧力変動に対する追従性(応答性)が高くなり、測定感度が更に向上する。また、スプレーチャンバ1内の圧力を、溶媒の種類に合わせて、逆止弁17により調整することにより、試料のスプレーチャンバ1への導入効率が向上することが期待でき、したがって、例えば、キシレン,THF(テトラヒドロフラン),アセトン等のような揮発性の高い有機溶媒による溶液試料の分析の測定感度も向上する。
【0035】
なお、本実施形態では、逆止弁17をスプレーチャンバ1に設けるだけであるので、ドレイン部10aを有するドレイン管10、ネブライザ2、およびネブライザアダプタ3は、従来からのものを使用でき、改良の費用が安くて済む。
【0036】
図2は本発明の第2の実施形態に係るICP発光分光分析装置におけるチャンバーおよびその付近の構成図である。図2において、図1に示す構成要素に対応するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0037】
この第2の実施形態では、第1の実施形態における圧力調整手段としての逆止弁17に代わり、ネジ24がスプレーチャンバ1の側面に設けられている。スプレーチャンバ1の側面の下方の所定箇所にはネジ切りされたネジ孔(図示せず)が形成され、このネジ孔にネジ24が回動自在で取り付けられている。したがって、ネジ24を回すことによって、ネジ孔とネジ24間の隙間の大きさが変わり、スプレーチャンバ1内の圧力を調整することができる。スプレーチャンバ1内のガスを外部にリークさせる部分は、霧化された試料のうちプラズマトーチ15へ導入される分に影響が少ない部分、つまり、スプレーチャンバ1の側面下方が良いので、ネジ24はスプレーチャンバ1の側面下方に設けられる。
【0038】
このように本実施形態では、スプレーチャンバ1の側面にネジ24を設け、スプレーチャンバ1内の圧力が一定になるようにネジ24を回して調整している。このようなネジ24を設けることにより、揮発性の高い有機溶媒による溶液試料を分析する場合でも、スプレーチャンバ1内の圧力を一定にすることができ、これにより、プラズマ23が安定し、分析の測定感度を向上させることができる。しかも、スプレーチャンバ1内の圧力が変化して高くなると、直ぐにネジ24とネジ孔間の隙間からガスが排出されるので、圧力変動に対する追従性(応答性)が高くなり、測定感度が更に向上する。また、スプレーチャンバ1内の圧力を、溶媒の種類に合わせて、ネジ24で回して調整することにより、試料のスプレーチャンバ1への導入効率が向上することが期待でき、したがって、例えば、キシレン,THF(テトラヒドロフラン),アセトン等のような揮発性の高い有機溶媒による溶液試料の分析の測定感度も向上する。
【0039】
なお、本実施形態では、ネジ24をスプレーチャンバ1に設けるだけであるので、ドレイン部10aを有するドレイン管10、ネブライザ2、およびネブライザアダプタ3は、従来からのものを使用でき、改良の費用が安くて済む。
【0040】
図3は本発明の第3の実施形態に係るICP発光分光分析装置におけるチャンバーおよびその付近の構成図である。図3において、図1に示す構成要素に対応するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
この第3の実施形態では、圧力調整手段としての逆止弁25をスプレーチャンバ1の排出口9に接続されたドレイン管10の壁面の所定箇所に設けている。
【0042】
このように本実施形態では、ドレイン管10の側面に逆止弁25を設け、排出口9を介してスプレーチャンバ1内の圧力が一定になるように逆止弁25の開度を調整している。このような逆止弁25を設けることにより、揮発性の高い有機溶媒による溶液試料を分析する場合でも、スプレーチャンバ1内の圧力を一定にすることができ、これにより、プラズマ23が安定し、分析の測定感度を向上させることができる。しかも、スプレーチャンバ1内の圧力が変化して高くなると、直ぐに逆止弁25からガスが排出されるので、圧力変動に対する追従性(応答性)が高くなり、測定感度が更に向上する。また、スプレーチャンバ1内の圧力を、溶媒の種類に合わせて、逆止弁25により調整することにより、試料のスプレーチャンバ1への導入効率が向上することが期待でき、したがって、例えば、キシレン,THF(テトラヒドロフラン),アセトン等のような揮発性の高い有機溶媒による溶液試料の分析の測定感度も向上する。
【0043】
特に、本実施形態では、逆止弁25はドレイン管10に設けられ、スプレーチャンバ1には設けられてないので、スプレーチャンバ1、ネブライザ2、およびネブライザアダプタ3は、従来からのものを使用でき、したがって、逆止弁あるいはネジをスプレーチャンバ1に設けた第1の実施形態あるいは第2の実施形態に比べ、製造が簡単になり、コストを安くすることができる。
【0044】
なお、ドレイン管10の流入側とドレイントラップ部10aとの間が短くて逆止弁25を取り付けることができない場合は、ドレイン管10の流入側とドレイントラップ部10aとの間を長くする必要があるが、現状のままで逆止弁25を取り付けることが可能な場合は、ドレイン管10の流入側とドレイントラップ部10a間を長くする改良を行う必要がないので、コストを安くすることができる。
【0045】
図4は本発明の第4の実施形態に係るICP発光分光分析装置におけるチャンバーおよびその付近の構成図である。図4において、図1に示す構成要素に対応するものには同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0046】
この第4の実施形態では、圧力調整手段としてのネジ26をスプレーチャンバ1の排出口9に接続されたドレイン管10の壁面の所定箇所に設けている。ドレイン管10の側面の所定箇所にはネジ切りされたネジ孔(図示せず)が形成され、このネジ孔にネジ26が回動自在で取り付けられている。したがって、ネジ26を回すことによって、ネジ孔とネジ26間の隙間の大きさが変わり、排出口9を介してスプレーチャンバ1内の圧力を調整することができる。
【0047】
このように本実施形態では、ドレイン管10の側面にネジ26を設け、スプレーチャンバ1内の圧力が一定になるようにネジ26を回して調整している。このようなネジ26を設けることにより、揮発性の高い有機溶媒による溶液試料を分析する場合でも、スプレーチャンバ1内の圧力を一定にすることができ、これにより、プラズマ23が安定し、分析の測定感度を向上させることができる。しかも、スプレーチャンバ1内の圧力が変化して高くなると、直ぐにネジ26とネジ孔間の隙間からガスが排出されるので、圧力変動に対する追従性(応答性)が高くなり、測定感度が更に向上する。また、スプレーチャンバ1内の圧力を、溶媒の種類に合わせて、ネジ26を回して調整することにより、試料のスプレーチャンバ1への導入効率が向上することが期待でき、したがって、例えば、キシレン,THF(テトラヒドロフラン),アセトン等のような揮発性の高い有機溶媒による溶液試料の分析の測定感度も向上する。
【0048】
特に、本実施形態では、ネジ26はドレイン管10に設けられ、スプレーチャンバ1には設けられないので、スプレーチャンバ1、ネブライザ2、およびネブライザアダプタ3は、従来からのものを使用でき、したがって、逆止弁あるいはネジをスプレーチャンバ1に設けた第1の実施形態あるいは第2の実施形態に比べ、製造が簡単になり、コストを安くすることができる。
【0049】
なお、ドレイン管10の流入側とドレイントラップ部10aとの間が短くてネジ26を取り付けることができない場合は、ドレイン管10の流入側とドレイントラップ部10aとの間を長くする必要があるが、現状のままでネジ26を取り付けることが可能な場合は、ドレイン管10の流入側とドレイントラップ部10a間を長くする改良を行う必要がないので、コストを安くすることができる。
【0050】
以上の各実施形態で説明したICP発光分光分析装置におけるスプレーチャンバは、スコット型のものを示したが、これに限らず、サイクロン型のスプレーチャンバにおいても同様な圧力調整手段を設けても良く、この場合も同様な効果が得られる。また、スプレーチャンバを冷却する構成と併用して、更に、スプレーチャンバ内の圧力の安定化を図っても良い。
【0051】
図5は、本発明の各実施形態に係るICP発光分光分析装置を用いて試料(亜鉛Zn、カルシウムCa)を測定した場合の強度特性と、従来のICP発光分光分析装置を用いて同じ試料(亜鉛Zn、カルシウムCa)を測定した場合の強度特性とを示すグラフである。
【0052】
図5のグラフ51,52において、横軸は波長(単位nm)を示し、縦軸は強度(任意単位a. u. )を示す。グラフ51において、L1は本発明の各実施形態に係るICP発光分光分析装置を用いて亜鉛Znを測定したときの強度特性ラインを示し、L2は従来のICP発光分光分析装置を用いて同じく亜鉛Znを測定したときの強度特性ラインを示す。このグラフ51において、強度特性ラインL1と強度特性ラインL2を比較すると、強度特性ラインL1のピークが強度特性ラインL2のピークよりもかなり高くなっており、本発明の各実施形態に係るICP発光分光分析装置を用いれば、従来よりもかなり、亜鉛Znの分析精度が高いということが分かる。
【0053】
また、グラフ52において、L3は本発明の各実施形態に係るICP発光分光分析装置を用いてカルシウムCaを測定したときの強度特性ラインを示し、L4は従来のICP発光分光分析装置を用いて同じくカルシウムCaを測定したときの強度特性ラインを示す。このグラフ52において、強度特性ラインL3と強度特性ラインL4を比較すると、強度特性ラインL3のピークが強度特性ラインL4のピークよりもかなり高くなっており、本発明の各実施形態に係るICP発光分光分析装置を用いれば、従来よりもかなり、カルシウムCaの分析精度が高いということが分かる。なお、その他の元素についても同様な強度特性ラインが得られ、分析精度が高くなる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のICP分析装置によれば、スプレーチャンバ内の圧力が所定値を超えたとき、スプレーチャンバ内のガスを外部にリークさせる逆止弁またはネジ切りされたネジ孔に回動自在に取り付けられたネジからになる圧力調整手段が設けられているので、試料の分析時には前記スプレーチャンバ内の圧力を常に一定に保つことができ、これにより、プラズマへの試料の導入効率および導入の安定性が高まり、また、プラズマトーチにおけるプラズマが安定し、試料の分析の測定感度が向上する。特に、揮発性の高い有機溶媒による溶液試料の成分元素を分析する場合でも、前記スプレーチャンバ内の圧力を一定に保つことができるので、元素の分析の測定感度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係るICP発光分光分析装置におけるスプレーチャンバおよびその付近の構成図である。
【図2】 本発明の第2の実施形態に係るICP発光分光分析装置におけるスプレーチャンバおよびその付近の構成図である。
【図3】 本発明の第3の実施形態に係るICP発光分光分析装置におけるスプレーチャンバおよびその付近の構成図である。
【図4】 本発明の第4の実施形態に係るICP発光分光分析装置におけるスプレーチャンバおよびその付近の構成図である。
【図5】 本発明の各実施形態に係るICP発光分光分析装置を用いて試料(亜鉛Zn、カルシウムCa)を測定した場合の感度特性と、従来のICP発光分光分析装置を用いて同じ試料(亜鉛Zn、カルシウムCa)を測定した場合の感度特性とを示すグラフである。
【図6】 従来のICP発光分光分析装置におけるスプレーチャンバおよびその付近の構成図である。
【符号の説明】
1…スプレーチャンバ、2…ネブライザ、2a…試料ノズル、2b…キャリアガスノズル、5…溶液試料、10…ドレイン管、15…プラズマトーチ、17,25…逆止弁(圧力調整手段)、24,26…ネジ(圧力調整手段)。
Claims (3)
- プラズマトーチ前段に設けたスプレーチャンバの流入側に、試料ノズルとキャリアガスノズルが同心配置されたネブライザが連設され、このネブライザのキャリアガスノズルにキャリアガスを流入させることにより前記キャリアガスノガルの先端付近に生じる負圧によって溶液試料が前記試料ノズルに流入し霧化されて前記スプレーチャンバ内に噴霧され、その霧化された溶液試料をプラズマトーチに導入して該溶液試料の成分を分析するように構成されているICP分析装置において、前記スプレーチャンバの側面下方もしくは前記スプレーチャンバの排出口に接続されたドレイン管の壁面の所定箇所に、前記スプレーチャンバ内の圧力が所定値を超えたとき、このスプレーチャンバ内の圧力を一定に保つように該スプレーチャンバ内のガスを外部にリークさせ排出する圧力調整手段が設けられていることを特徴とするICP分析装置。
- 前記圧力調整手段が、前記ドレイン管の流入側とドレイントラップとの間の壁面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のICP分析装置。
- 前記圧力調整手段が、逆止弁又はネジ切りされたねじ孔に回動自在に取り付けられたネジからなる請求項1又は2に記載のICP分析装置。
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