JP4033077B2 - サスペンションメンバ用のダイナミックダンパ - Google Patents

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Description

この発明はダイナミックダンパに関し、詳しくはダンパマスを互いに反対方向の両側から一対のゴム弾性体を介して弾性支持する両持ちタイプのダイナミックダンパに関する。
自動車その他において、所定の質量を有するダンパマスとゴム弾性体とを有するダイナミックダンパを振動体即ち制振対象に取り付けてその振動を抑制することが広く行われている。
例えば車両のサスペンションメンバには様々な振動モードがあり、その振動を抑制するために、従来かかるサスペンションメンバにダイナミックダンパを取り付けることが行われている。
このダイナミックダンパは、剛性の支持部に対するダンパマス及びゴム弾性体の配置により、ゴム弾性体を剪断使いする剪断タイプや、圧縮使いする圧縮タイプ等に分類される。
また剪断タイプの中でも、図10(A)に示すような片持ちタイプや(B)に示すような両持ちタイプ等がある。
ここで片持ちタイプは、ダンパマス200における剛性の支持部202に対向する側の一方のみをゴム弾性体204にて支持部202に連結した形態のもので、この種片持ちタイプのものについては例えば下記特許文献1に開示されている。
一方(B)に示す両持ちタイプのものは、離隔して配置した剛性の第1支持部202A,第2支持部202Bの間にダンパマス200を配置し、そしてダンパマス200における第1支持部202Aに対向する側の一方を第1ゴム弾性体204Aにて第1支持部202Aに連結するとともに、反対側である第2支持部202Bに対向する側の他方を第2ゴム弾性体204Bで第2支持部202Bに連結した形態のもので、この両持ちタイプのものについては例えば下記特許文献2及び特許文献3にそれぞれ開示されている。
尚図10(B)において206は取付ブラケット、208は制振対象となる振動体であり、図示の例において支持部202は取付ブラケット206に一体に構成されている。
前者の片持ちタイプのダイナミックダンパの場合、ダンパマスが支持部202に対して首振り運動する振動モードが発生するのに対し、後者の両持ちタイプのダイナミックダンパの場合、ダンパマスを両側から弾性支持していることから安定した支持が可能であり、片持ちタイプのダイナミックダンパにおいて生ずる上記の首振り振動モードを避けることができる利点がある。
即ち両持ちタイプのダイナミックダンパの場合、ダンパマス200の振動は振動体208の振動方向と同じ方向となって、ダンパマス200の振動モードが振動体208の振動に対して有効な振動モードとなる利点がある。
しかしながら一方で後者の両持ちタイプのダイナミックダンパの場合、第1及び第2ゴム弾性体204A,204Bの加硫後における収縮によって、それら第1,第2ゴム弾性体204A,204Bに引張り歪みが発生し、その引張り歪みによってゴム弾性体(第1,第2ゴム弾性体204A,204B)の耐久寿命が低下してしまう問題を生ずる。
このためこのような両持ちタイプのダイナミックダンパにあっては、加硫後において取付ブラケットを絞り加工(ダンパマスが管体の場合には拡管)するなどして、ゴム弾性体における引張り歪みを解消するようにしている。
しかしながらこの場合、ダイナミックダンパの製造工程数が多くなることとなり、これによってダイナミックダンパのコストが高くなるばかりか、このような絞り加工等の工程が、ダイナミックダンパの特性のばらつきを大きくする要因になるといった問題が生ずる。
実用新案登録第2552801号公報 特開平5−10385号公報 特開平11−94015号公報
本発明はこのような事情を背景とし、加硫後におけるゴム弾性体の収縮に起因するゴム弾性体の引張り歪みを、絞り等の余分な工程を付加することなく解消することができ、所要工程数が少なくてダイナミックダンパのコストを低減することができるとともに、絞り等の工程がダイナミックダンパとしての特性のばらつきの原因になる問題を解消できるサスペンションメンバ用のダイナミックダンパを提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1のものは、自動車のサスペンションメンバを制振対象の振動体として、該サスペンションメンバに締結固定される同一の取付ブラケットにそれぞれが互いに接近不能な固定状態で一体に且つ離隔して配置形成された第1及び第2の剛性の一対の支持部の間にダンパマスを配置するとともに、該ダンパマスの該第1支持部に対向する側の一方を第1ゴム弾性体にて該第1支持部に連結し、反対側である前記第2支持部に対向する側の他方を第2ゴム弾性体にて該第2支持部に連結して、該ダンパマスを、該ダンパマスに対して互いに反対側に位置する前記第1支持部,前記第2支持部により該第1及び第2ゴム弾性体を介して且つそれら第1及び第2ゴム弾性体を主として前記ダンパマスの主振動方向に剪断弾性変形させる状態に両持ち状態に弾性支持するようになしたサスペンションメンバ用のダイナミックダンパにおいて、前記第1及び第2ゴム弾性体のそれぞれの肉厚方向であって加硫後の収縮により該第1ゴム弾性体,第2ゴム弾性体が前記ダンパマスを対応する前記第1支持部,第2支持部の側に逆向きに引張る引張り方向と直角方向且つ該ダンパマスの前記主振動方向と直角方向においてそれら第1ゴム弾性体,第2ゴム弾性体を互いに位置をずらせて配置するとともに、該ダンパマスの第1ゴム弾性体との固着部及び第2ゴム弾性体との固着部のそれぞれを、該第1ゴム弾性体及び第2ゴム弾性体の加硫後の収縮に伴う前記引張り方向に位置移動可能となしてあることを特徴とする
発明の作用・効果
以上のように本発明は、両持ちタイプのダイナミックダンパにおいて第1ゴム弾性体,第2ゴム弾性体を、その引張り方向と直角方向においてそれぞれ互いに位置をずらせて配置するとともに、ダンパマスにおける第1ゴム弾性体との固着部及び第2ゴム弾性体との固着部のそれぞれを、各ゴム弾性体の引張り方向に位置移動可能となしたものである。
従来の両持ちタイプのダイナミックダンパの場合、第1ゴム弾性体及び第2ゴム弾性体が、図10(B)(イ),(ロ)に示しているようにそれぞれの引張り方向と直角方向において同じ位置に配置されており、このためそれら第1ゴム弾性体及び第2ゴム弾性体が加硫後において収縮したときにダンパマスがその収縮に追従して移動することができず、その結果として第1及び第2ゴム弾性体に引張り歪みが生じてしまう。
これに対して本発明ではそれら第1ゴム弾性体及び第2ゴム弾性体の位置がずらせて配置してあるため、第1ゴム弾性体及び第2ゴム弾性体が加硫後において引張り方向に収縮したとき、その収縮に追従してダンパマスの各ゴム弾性体に対する固着部がその引張り方向に位置移動し、各ゴム弾性体の引張り歪みを解消することができる。
従って本発明によれば、加硫後において絞り加工等ゴム弾性体の引張り歪みを解消するための特別の加工を施す必要がなく、これによりダイナミックダンパの製造工程数を少なくし得てコストを低減することができるとともに、絞り等の加工がダイナミックダンパにおける特性のばらつきの原因になるといった問題を解消することができる。
本発明においては、上記第1ゴム弾性体,第2ゴム弾性体をそれらの引張り方向と直角方向で、尚且つダンパマスの主振動方向と直角方向において互いに位置をずらせて配置しておく。
また本発明では、第1及び第2の一対の支持部を、制振対象としての自動車のサスペンションメンバにダイナミックダンパを取付固定するための取付ブラケットに一体に形成しておく。
次に本発明の実施形態を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1において、10は井型サブフレームと称される車両フロント側のサスペンションメンバで、外周部4箇所の連結部12においてメンバマウント等の防振部材を介してボデー側に連結される。
14はそのサスペンションメンバ10に取り付けられた本例のサスペンションメンバ用のダイナミックダンパで、その具体的構成が図2〜図5に示してある。
これらの図において16はダンパマスで、この例のダイナミックダンパ14は、ダンパマス16を図2中上下方向(主振動方向)に振動させることによってサスペンションメンバ10の振動を抑制する。
尚本例においてダンパマス16の質量は約710gである。
またダンパマス16は、車両の左右方向に延びる第1部分16-1と、前後方向に延びる第2部分16-2とを有する、全体として平面L字状に構成されている。
この例において、ダイナミックダンパ14は、ダンパマス16と金属製の剛性の取付ブラケット18及びその取付ブラケット18に一体に形成された一対の剛性の支持部、即ち第1支持部26Aと第2支持部26Bとにダンパマス16を弾性連結する一対のゴム弾性体、即ち第1ゴム弾性体20Aと第2ゴム弾性体20Bとを含んで構成されている。
ここで第1支持部26A,第2支持部26Bは、それぞれ取付ブラケット18を構成する板体の一部を上方に90°曲げ起した形態で、即ち上向きにほぼ垂直に起立する形態で設けられている。
22は取付ブラケット18に設けられた板状の固定部でそこに締結孔24が設けられており、それら締結孔24において取付ブラケット18全体が、締結ボルトによりサスペンションメンバ10に締結固定されるようになっている。
図2,図3及び図4に示しているように、ダンパマス16は第1支持部26A,第2支持部26Bの間に配置されており、そして第1支持部26Aに対向する側の一方が第1ゴム弾性体20Aにて第1支持部26Aに弾性連結され、また反対側である第2支持部26Bに対向する側の他方が、第2ゴム弾性体20Bにて第2支持部26Bに弾性連結され、それら第1ゴム弾性体20A,第2ゴム弾性体20Bを介して第1支持部26A,第2支持部26Bにより上下方向に振動可能に両持ち状態で弾性支持されている。
この例において、ダンパマス16は第1ゴム弾性体20A,第2ゴム弾性体20Bを図中上下方向に剪断弾性変形させながら同方向に振動する。
本例において、第1ゴム弾性体20A,第2ゴム弾性体20Bは、図3及び図5に示しているようにそれぞれ同じ高さ位置に配置されている。
一方図4に明らかに示しているように、平面視において第1ゴム弾性体20A,第2ゴム弾性体20Bは、その位置をずらせて配置してある。
詳しくは第1ゴム弾性体20A,第2ゴム弾性体20Bは図1の左右方向、つまり車両の左右方向に位置をずらせて配置してある。
詳述すれば、これら第1ゴム弾性体20A,第2ゴム弾性体20Bは、それぞれの引張り方向(肉厚方向)と直角方向且つダンパマス16の主振動方向(上下方向)と直角方向において位置をずらせて配置してある。
そして一方の第1ゴム弾性体20Aが、図4に示すようにダンパマス16における第2部分16-2の先端面に接着固定され、また第2ゴム弾性体20Bが距離lだけ位置をずらせて第2部分16-1の側面に接着固定されている。
本例のダイナミックダンパ14の場合、ダンパマス16の位置移動を伴って第1ゴム弾性体20A,20Bが加硫後において肉厚方向に抵抗なく収縮することができる。
図6はその様子を表したものである。
即ちダンパマス16は、第1ゴム弾性体20A,第2ゴム弾性体20Bの加硫直後において実線で示す位置,姿勢にあるが、第1ゴム弾性体20A,第2ゴム弾性体20Bがその後収縮したとき、第1ゴム弾性体20A,第2ゴム弾性体20Bに対する接着部が位置移動して、ダンパマス16全体が図6中破線で示すように位置移動ないし姿勢変化し、第1ゴム弾性体20A,第2ゴム弾性体20Bの収縮を許容する。
その結果として第1ゴム弾性体20A,第2ゴム弾性体20Bには加硫後においてその収縮に基づく引張り歪みが残ることはなく、その引張り歪み,残留歪みによって耐久性が低下するといった問題を生じない。
一方においてダンパマス16がこのような位置移動を生じたとしても、本例のダイナミックダンパ14は良好な振動低減効果を発揮する。
図7は本例のダイナミックダンパ14を単品状態で図9(A)の矢印で示すZ方向(上下方向)に加振(Z方向に±5m/sで加振)したときの振動特性を測定した結果を、図8に示す従来の片持ちタイプのダイナミックダンパ14Aの振動特性の測定結果とともに示した図である。
図7に示しているように本例のダイナミックダンパ14は、従来のダイナミックダンパ14Aと同等の振動抑制効果を示している。
尚図8に示す従来の片持ちタイプのダイナミックダンパ14Aにおいて、ダンパマス16の質量は880gで本実施形態のダイナミックダンパ14におけるダンパマス16の質量710gよりも大きいものである。
また図7の結果は、ダンパマス16のP.U.点にセンサを貼り付けて図9の測定方法により振動測定を行った結果である。
以上のように本例によれば、従来の両持ちタイプのダイナミックダンパの場合と異なって、第1ゴム弾性体20A及び第2ゴム弾性体20Bの位置がずらせて配置してあるため、第1ゴム弾性体20A及び第2ゴム弾性体20Bが加硫後において引張り方向に収縮したとき、その収縮に追従してダンパマス16の各ゴム弾性体20A,20Bに対する接着部がその引張り方向に位置移動し、各ゴム弾性体の引張り歪みを解消する。
従って本例よれば、加硫後において絞り加工等ゴム弾性体20A,20Bの引張り歪みを解消するための特別の加工を施す必要がなく、これによりダイナミックダンパ14の製造工程数を少なくし得てコストを低減することができるとともに、絞り等の加工がダイナミックダンパ14における特性のばらつきの原因になるといった問題を解決することができる。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
本発明の一実施形態のダイナミックダンパをサスペンションメンバに取り付けた状態で示す図である。 図1のダイナミックダンパの斜視図である。 図1,図2のダイナミックダンパの側面図である。 図1,図2のダイナミックダンパを水平面で切断して示す断面図である。 図4のア−ア断面図である。 図1,図2のダイナミックダンパの作用説明図である。 同ダイナミックダンパの振動特性の測定結果を従来例とともに示した図である。 従来の片持ちタイプのダイナミックダンパの図である。 振動特性の測定方法の説明図である。 従来のダイナミックダンパの一例を示す図である。
符号の説明
10 サスペンションメンバ
14 ダイナミックダンパ
16 ダンパマス
18 取付ブラケット
20A 第1ゴム弾性体
20B 第2ゴム弾性体
26A 第1支持部
26B 第2支持部

Claims (1)

  1. 自動車のサスペンションメンバを制振対象の振動体として、該サスペンションメンバに締結固定される同一の取付ブラケットにそれぞれが互いに接近不能な固定状態で一体に且つ離隔して配置形成された第1及び第2の剛性の一対の支持部の間にダンパマスを配置するとともに、該ダンパマスの該第1支持部に対向する側の一方を第1ゴム弾性体にて該第1支持部に連結し、反対側である前記第2支持部に対向する側の他方を第2ゴム弾性体にて該第2支持部に連結して、該ダンパマスを、該ダンパマスに対して互いに反対側に位置する前記第1支持部,前記第2支持部により該第1及び第2ゴム弾性体を介して且つそれら第1及び第2ゴム弾性体を主として前記ダンパマスの主振動方向に剪断弾性変形させる状態に両持ち状態に弾性支持するようになしたサスペンションメンバ用のダイナミックダンパにおいて、
    前記第1及び第2ゴム弾性体のそれぞれの肉厚方向であって加硫後の収縮により該第1ゴム弾性体,第2ゴム弾性体が前記ダンパマスを対応する前記第1支持部,第2支持部の側に逆向きに引張る引張り方向と直角方向且つ該ダンパマスの前記主振動方向と直角方向においてそれら第1ゴム弾性体,第2ゴム弾性体を互いに位置をずらせて配置するとともに、該ダンパマスの第1ゴム弾性体との固着部及び第2ゴム弾性体との固着部のそれぞれを、該第1ゴム弾性体及び第2ゴム弾性体の加硫後の収縮に伴う前記引張り方向に位置移動可能となしてあることを特徴とするサスペンションメンバ用のダイナミックダンパ。
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