JP4054375B2 - Tie−2リガンド、その作製方法および使用方法 - Google Patents

Tie−2リガンド、その作製方法および使用方法 Download PDF

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Description

本国際特許出願は、同時係属中である、1995年4月6日に提出された米国特許出願番号第418,595号、および1995年1月17日に提出された同第373,579号、および1994年12月9日に提出された同第353,503号、1994年12月2日に提出された同第348,492号、および1994年10月27日に提出された同第330,261号、および1994年10月7日に提出された同第319,932号の優先権を主張する。これらの各々の内容は、本明細書中に参考として援用される。本出願を通して、種々の出版物が引用される。これらの出版物の開示の全てが、本出願中に参考として援用される。
緒言
本発明は、一般に遺伝子操作の分野に関し、そしてより詳細には、レセプターチロシンキナーゼおよびそれらの同族リガンドに対する遺伝子、組換えDNAベクターへのそれらの挿入、ならびに微生物のレシピエント株およびレシピエント真核生物細胞中におけるコードされるタンパク質の産生に関する。より詳細には、本発明は、TIE-2リガンドとして知られる、新規リガンド(TIE-2レセプターに結合する)、ならびにTIE-2リガンドを作製および使用する方法に関する。本発明はさらに、TIE-2リガンドをコードする核酸配列、ならびにTIE-2リガンドをコードする核酸およびそれらの遺伝子産物の産生のための方法を提供する。TIE-2リガンド、ならびにそれらをコードする核酸は、内皮細胞および会合するTIEレセプターに関する特定の疾患(例えば、腫瘍血管形成を含む腫瘍性の疾患、創傷治癒、血栓塞栓性疾患(thromboembolic disease)、アテローム性動脈硬化症、および炎症性疾患)の診断および処置において有用であり得る。より一般的には、生物学的に活性なTIE-2リガンドは、TIE-2レセプターを発現する細胞の成長、生存、および/または分化を促進するのに用いられ得る。生物学的に活性なTIE-2リガンドは、TIE-2レセプター発現細胞の培養物中でのインビトロでの維持のために用いられ得る。TIE-2レセプターを発現する細胞および組織としては、例えば、心臓細胞および血管内皮細胞、水晶体上皮、ならびに心臓の心外膜が挙げられる。あるいは、このようなリガンドは、TIE-2レセプターを発現するように操作される細胞を支持するのに用いられ得る。さらに、TIE-2リガンドおよびそれらの同族レセプターは、TIE-2レセプターのアゴニストまたはアンタゴニストを同定するためのアッセイ系において用いられ得る。
発明の背景
分化した細胞および組織の発達、維持、および修復を担う細胞の挙動は、大部分において、成長因子および類似したリガンドならびにそれらのレセプターを介して伝達される細胞内シグナルにより調節されている。レセプターは、応答細胞の細胞表面に位置され、そしてそれらは、成長因子として知られるペプチドまたはポリペプチドならびに他のホルモン様リガンドに結合する。この相互作用の結果は、応答細胞における迅速な生化学的変化、ならびに細胞の遺伝子発現の迅速かつ長期にわたる再調整である。種々の細胞表面と会合するいくつかのレセプターは、特定の成長因子に結合し得る。
チロシンキナーゼによるタンパク質上でのチロシンのリン酸化は、それによってシグナルが、原形質膜を横断して伝達される重要な様式の一つである。現在知られているタンパク質チロシンキナーゼ遺伝子のいくつかは、上皮増殖因子(EGF)、インシュリン、インシュリン様成長因子-I(IGF-I)、血小板由来増殖因子(PDGF-Aおよび-B)、および線維芽細胞成長因子(FGF)のようなポリペプチド成長因子およびホルモンに対する膜貫通レセプターをコードする(Heldinら、Cell Regulation, 1: 555-566(1990); Ullrichら、Cell、61: 243-54(1990))。各々の場合、これらの成長因子は、それらの同族レセプターの細胞外部分に結合することにより作用を示す。この作用は、レセプターの細胞質部分に存在する内因性チロシンキナーゼの活性化を導く。内皮細胞の成長因子レセプターは、いくつかの重要な生理学的および病理学的プロセス(例えば、脈管形成、血管形成、アテローム性動脈硬化症、および炎症性疾患)における成長因子のあり得る関与のために特に重要である(Folkmanら、Science, 235: 442-447(1987))。さらに、いくつかの造血成長因子のレセプターは、チロシンキナーゼである;これらは、コロニー刺激因子1レセプターであるc-fms(Sherrら、Cell, 41: 665-676(1985))、およびHuangら、Cell, 63: 225-33(1990)に報告された原始の造血成長因子レセプターであるc-kitを包含する。
レセプターチロシンキナーゼは、外部ドメインの特徴的構造に基づいて進化のサブファミリーに分類されている(Ullrichら、Cell, 61: 243-54(1990))。このようなサブファミリーには、EGFレセプター様キナーゼ(サブクラスI)およびインシュリンレセプター様キナーゼ(サブクラスII)が挙げられ、これらの各々は、それらの細胞外ドメイン中に繰り返し相同性システインリッチ配列を含有する。単一のシステインリッチ領域はまた、eph様キナーゼの細胞外ドメイン中に見出され得る。Hiraiら、Science, 238: 1717-1720(1987); Lindbergら、Mol.Cell.Biol., 10: 6316-24(1990);Lhotakら、Mol.Cell.Biol. 11: 2496-2502(1991)。PDGFレセプターならびにc-fmsおよびc-kitレセプターチロシンキナーゼは、サブクラスIIIに分類され得る;一方、FGFレセプターは、サブクラスIVを形成する。これらのサブクラスの両方のメンバーに典型的であるのは、鎖内ジスルフィド結合により安定化される細胞外折りたたみ単位である。これらのいわゆる免疫グロブリン(Ig)様折りたたみは、細胞結合リガンドまたは可溶性リガンドのいずれかを有する広範な種々の他の細胞表面レセプターを含有する免疫グロブリンスーパーファミリーのタンパク質中に見出される。Williamsら、Ann.Rev.Immunol., 6: 381-405(1988)。
レセプターチロシンキナーゼは、それらの特異性および親和性において異なる。一般に、レセプターチロシンキナーゼは、糖タンパク質である。これは、(1)特定の成長因子(単数または複数)と結合し得る細胞外ドメイン;(2)通常はタンパク質のα-ヘリックス部分である膜貫通ドメイン;(3)レセプターが、例えばタンパク質リン酸化により調節され得る膜近傍ドメイン;(4)レセプターの酵素成分であるチロシンキナーゼドメイン;および(5)多くのレセプターにおいてチロシンキナーゼに対する基質の認識および結合に関与するカルボキシル末端尾部からなる。
オルタナティブ(alternative)エキソンスプライシングおよび遺伝子プロモーターまたはポリアデニル化部位の代替的な選択のようなプロセスは、同一の遺伝子からいくつかの異なるポリペプチドを産生し得ると報告されている。これらのポリペプチドは、上記に列挙された種々のドメインを含有するかもしれないか、含有しないかもしれない。結果として、いくつかの細胞外ドメインは、異なる分泌タンパク質として発現され得、そしてレセプターのいくつかの形態は、チロシンキナーゼドメインを欠失し得、そして膜貫通ドメインおよび短いカルボキシル末端尾部により原形質膜中に挿入される細胞外ドメインのみを含有し得る。
内皮細胞膜貫通チロシンキナーゼをコードする遺伝子(当初は、ヒト白血病細胞由来の未知のチロシンキナーゼ相同性cDNAフラグメントとしてRT-PCRにより同定された)は、Partanenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 87: 8913-8917(1990)に記載された。この遺伝子およびそれがコードするタンパク質は、「tie」と呼ばれる。これは、「IgおよびEGF相同ドメインを有するチロシンキナーゼ(tyrosine kinase with Ig and EGF homology domains)」の略語である。Partenenら、Mol.Cell.Biol. 12:1698-1707(1992)。
tie mRNAが、全てのヒト胎児およびマウス胎児組織内に存在することが報告されている。視察の結果、tieメッセージは、心臓細胞および血管内皮細胞に局在していた。tie mRNAは、9.5〜18.5日齢マウス胎児の血管および心内膜の内皮に局在していた。増強されたtie発現は、卵胞および皮膚創傷における肉芽組織の発達に関連した新生血管形成の間に示された。Korhonenら、Blood 80: 2548-2555(1992)。従って、tieは、血管形成においてある役割を演じると示唆されている。これは、固形腫瘍およびいくつかの他の血管形成依存性疾患(例えば、糖尿病性網膜症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、および関節炎)の処置法を開発するのに重要である。
2つの構造的に関連したラットTIEレセプタータンパク質は、関連した発現のプロフィールを有する異なる遺伝子によりコードされることが報告されている。tie-1と呼ばれる1つの遺伝子は、ヒトtieのラット相同物である。Maisonpierreら、Oncogene 8: 1631-1637(1993)。他の遺伝子、tie-2は、マウスtek遺伝子のラット相同物であり得る。これは、tieのように、内皮細胞およびそれらの推定上の前駆体中で排他的にマウスにおいて発現されると報告されている。Dumontら、Oncogene 8: 1293-1301(1993)。
両方の遺伝子は、胎児組織および出生後の組織の内皮細胞において広範に発現されることが見出された。顕著なレベルのtie-2転写産物がまた、他の胎児細胞集団(水晶体上皮、心臓の心外膜、および間充織の領域を含む)中に存在した。Maisonpierreら、Oncogene 8: 1631-1637(1993)。
血管内皮におけるTIEレセプターの優勢な発現は、TIEが脈管系の発達および維持において役割を演じることを示唆する。これは、内皮細胞の決定、増殖、分化、ならびに血管要素中への細胞遊走およびパターニングにおける役割を包含し得る。TIE-2を欠損したマウス胎児の分析により、TIE-2が血管形成、特に内皮細胞における血管網形成に重要であることを示す報告がされている。Sato, T.N.ら、Nature 376:70-74(1994)。成熟した脈管系では、TIEは、内皮細胞の生存、維持、および病原性の影響に対する応答において機能し得る。
発明の要旨
本発明は、他のタンパク質を実質的に含まないTIE-2リガンドを含有する組成物を提供する。本発明はまた、TIE-2リガンドをコードする単離された核酸分子を提供する。単離された核酸は、DNA、cDNA、またはRNAであり得る。本発明はまた、TIE-2リガンドをコードする単離された核酸分子を含有するベクターを提供する。本発明は、さらに、TIE-2リガンドの生物学的活性を有するポリペプチドの適切な宿主細胞中での産生のための宿主-ベクター系を提供する。適切な宿主細胞は、細菌、酵母、昆虫、または哺乳動物であり得る。本発明はまた、ポリペプチドの産生を可能にする条件下で宿主-ベクター系の細胞を増殖させる工程およびそのように産生されたポリペプチドを回収する工程を包含する、TIE-2リガンドの生物学的活性を有するポリペプチドを産生する方法を提供する。
TIE-2リガンドをコードする単離された核酸分子について本明細書に記載される本発明は、TIEレセプターを発現する細胞、組織、または器官に関する障害を患う患者の処置のための治療法として、リガンド、フラグメントまたはその誘導体、またはレセプターアゴニストまたはアンタゴニストである別の分子の開発をさらに提供する。本発明はまた、このような治療分子に特異的に結合する抗体を提供する。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。本発明はまた、このようなモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を用いて、治療の経過をモニターする目的で、患者から採取した試料中の治療分子の量を測定する方法を提供する。
本発明はまた、TIE-2リガンドに特異的に結合する抗体を提供する。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。従って、本発明はさらに、薬学的に受容可能なビヒクル中にTIE-2リガンドに特異的に結合する抗体を含有する治療用組成物を提供する。本発明はまた、薬学的に受容可能なビヒクル中にTIE-2リガンドに特異的に結合する抗体を含有する治療用組成物の有効量を投与することにより、哺乳動物中の血管成長をブロックする方法を提供する。
本発明はさらに、薬学的に受容可能なビヒクル中にTIE-2リガンドを含有する治療用組成物を提供する。本発明はまた、薬学的に受容可能なビヒクル中にTIE-2リガンドを含有する治療用組成物の有効量を投与することにより、患者における新血管新生を促進する方法を提供する。1つの実施態様では、この方法は、創傷治癒を促進するのに用いられ得る。別の実施態様では、この方法は、虚血を処置するのに用いられ得る。
あるいは、本発明は、TIE-2リガンドが、細胞傷害性因子およびそこから調製された治療組成物に結合し得ることを提供する。本発明はさらに、TIE-2リガンドに特異的に結合するレセプター体を提供する。本発明はさらに、薬学的に受容可能なビヒクル中に、TIE-2リガンドに特異的に結合するレセプター体を含有する治療組成物を提供する。本発明はまた、薬学的に受容可能なビヒクル中に、TIE-2リガンドに特異的に結合するレセプター体を含有する治療組成物の有効量を投与することにより、哺乳動物中の血管成長をブロックする方法を提供する。
本発明はまた、TIE-2レセプターアンタゴニスト、ならびにTIE-2アンタゴニストの有効量を哺乳動物に投与する工程を包含する、哺乳動物中のTIE-2リガンドの生物学的活性を阻害する方法を提供する。本発明によれば、アンタゴニストは、TIE-2リガンドまたはTIE-2レセプターのいずれかに特異的に結合し得る、抗体または他の分子であり得る。例えば、アンタゴニストは、TIE-2レセプター体であり得る。
【図面の簡単な説明】
図1Aおよび1B−TIE-2レセプター体(TIE-2 RB)は、胚ニワトリ漿尿膜(CAM)中の血管の発達を阻害する。6μgのRBを浸漬した再吸収性ゼラチンフォーム(Gelfoam)の単一片を、1日齢ヒヨコ胚のCAMのすぐ下に挿入した。さらに3日間インキュベートした後、4日齢の胚および周囲のCAMを取り出し、そして検査した。図1A:EHK-1 RB(rEHK-1 ecto/h IgG1 Fc)で処理した胚は、生存能力があり、そしてそれらの周囲のCAM中に正常に発達した血管を保有していた。図1B:TIE-2 RB(r TIE-2 ecto/h IgG1 Fc)で処理した胚は全て死亡し、サイズが減少しており、そして周囲の血管がほとんど完全に欠失していた。
図2−ベクターpJFE14。
図3−λgt10の制限マップ。
図4−htie-2リガンド1をコードするλgt10クローン由来のヒトTIE-2リガンドの核酸配列および推定アミノ酸配列(1文字コード)。
図5−T98Gクローン由来のヒトTIE-2リガンドの核酸配列および推定アミノ酸配列(1文字コード)。
図6−ヒトTIE-2リガンド2をコードするpBluescript KSクローン由来のヒトTIE-2リガンドの核酸配列および推定アミノ酸配列(1文字コード)。
図7−TIE-2リガンド1(レーンL1)によるTIE-2レセプターの活性化(TIE-2リガンド2(レーンL2)またはコントロール(模擬)により活性化されない)を示すウエスタンブロット。
図8−過度のTIE-2リガンド2でのHAEC細胞の前処理(レーン2)が、模擬(MOCK)培地でのHAEC細胞の前処理(レーン1)と比較して、希釈したTIE-2リガンド1のTIE-2レセプター(TIE2-R)を活性化する引き続く能力に拮抗することを示すウエスタンブロット。
図9−C2C12 ras、Rat2 ras、SHEP、およびT98G濃縮(10×)馴化培地中のTIE2リガンドによる、表面に固定化されたラットTIE2 IgGへの結合のヒストグラム説明。ラットTIE2(rTIE2)の特異的結合は、可溶性trkB RBの存在下での微小な減少と比較した、25μg/mlの可溶性ラットTIE2 RBの存在下での結合活性における有意な減少により示される。
図10−cos細胞上清における、組換えヒトTIE-2リガンド1(hTL1)およびヒトTIE-2リガンド2(hTL2)の、表面に固定化したヒトTIE-2 RBへの結合。ヒトTIE-2特異的結合を、25μg/mlの可溶性ヒトTIE2 RBまたはtrkB RBのいずれかとともに試料をインキュベートすることにより測定した;結合活性における有意な減少は、ヒトTIE2 RBとともにインキュベートした試料についてのみ観察される。
図11-TIE-2レセプター体(TIE-2RB、またはここではTIE2-Fcとして示される)が、HUVEC細胞中のTIE2リガンド1(TL1)によるTIE-2レセプターの活性化をブロックするが、一方、無関係なレセプター体(TRKB-Fc)がこの活性化をブロックしないことを示すウエスタンブロット。
発明の詳細な説明
以下でより詳細に記載されるように、出願人は、発現クローニングにより、TIE-2レセプターに結合する新規のリガンドを単離した。本発明は、TIE-2リガンドならびにそのアミノ酸配列、およびさらにアミノ酸残基が、配列内でサイレントな変化を生じる残基に置換されている機能的に等価な分子を包含する。例えば、配列内の1以上のアミノ酸残基は、機能的等価物として作用する類似した極性を有する別のアミノ酸(単数または複数)(サイレントな変化を生じる)により置換され得る。配列内のアミノ酸に対する置換物は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択され得る。例えば、無極性(疎水性)アミノ酸のクラスは、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンを包含する。極性の中性アミノ酸は、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンを包含する。正に荷電した(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リシン、およびヒスチジンを包含する。負に荷電した(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸およびグルタミン酸を包含する。同一または類似した生物学的活性を示すタンパク質あるいはそのフラグメントまたは誘導体、および翻訳中または翻訳後に差別的に改変される(例えば、グリコシル化、タンパク質分解消化、抗体分子または他の細胞のリガンドへの結合など)誘導体がまた、本発明の範囲に含まれる。
本発明はまた、TIE-2リガンド1として本明細書に記載されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列、ならびにこのタンパク質を生成するように、例えば、適切な発現ベクター中に本明細書に記載のTIE-2リガンド1をコードする核酸のトランスフェクション、形質導入、感染、エレクトロポレーション、またはマイクロインジェクションにより、遺伝子操作されている細胞を包含する。
本発明はさらに、TIE-2リガンド2として本明細書に記載されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列、ならびにこのタンパク質を生成するように、例えば、適切な発現ベクター中に本明細書に記載のTIE-2リガンド2をコードする核酸のトランスフェクション、形質導入、感染、エレクトロポレーション、またはマイクロインジェクションにより、遺伝子操作されている細胞を包含する。
当業者はまた、本発明が、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual第2版、第1巻、101-104頁、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)に規定される中程度のストリンジェンシーの条件下で、推定のTIE-2リガンドコード配列にハイブリダイズするDNAおよびRNA配列を包含することを理解する。従って、本発明によって意図される核酸分子は、本明細書に記載されるように調製されたTIE-2リガンドのアミノ酸配列から推定される配列を有する核酸分子、ならびにこのような核酸配列にハイブリダイズする核酸の配列を有する分子、およびさらに遺伝コードの結果として上記配列が縮重しているが、TIE-2レセプターに結合するリガンドをコードする核酸配列を包含する。
DNAフラグメントのベクターへの挿入に関して当業者に公知の任意の方法が、適切な転写/翻訳制御シグナルおよびタンパク質コード配列を用いて、TIE-2リガンドをコードする発現ベクターを構築するのに用いられ得る。これらの方法は、インビトロ組換えDNAおよび合成技術ならびにインビボ組換え(遺伝的組換え)を包含し得る。TIE-2リガンドまたはそのペプチドフラグメントをコードする核酸配列の発現は、タンパク質またはペプチドが組換えDNA分子で形質転換された宿主中で発現されるように、第2の核酸配列により調節され得る。例えば、本明細書に記載されるTIE-2リガンドの発現は、当該分野で公知の任意のプロモーター/エンハンサーエレメントにより制御され得る。リガンドの発現を制御するのに用いられ得るプロモーターは、Squintoら、(Cell 65: 1-20(1991))に記載されるような長末端反復; SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon, Nature 290:304-310)、CMVプロモーター、M-MuLV 5'末端反復、Rous肉腫ウイルスの3'の長末端反復中に含まれるプロモーター(Yamamotoら、Cell 22:787-797(1980))、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A 78: 144-1445(1981))、アデノウイルスプロモーター、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、Nature 296:39-42(1982));β-ラクタマーゼプロモーターのような原核生物の発現ベクター(Villa-Kamaroffら、Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 75:3727-3731(1978))、またはtacプロモーター(DeBoerら、Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 80: 21-25(1983))、さらに「組換え細菌由来の有用なタンパク質」Scientific American, 242:74-94(1980)を参照のこと; Gal 4プロモーター、ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーターのような酵母または他の菌類由来のプロモーターエレメント、および以下の動物の転写制御領域(これは組織特異性を示し、トランスジェニック動物において利用されている)を包含するがこれに限定されない:膵臓腺房細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら、Cell 38:639-646(1984); Ornitzら、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399-409(1986); MacDonald, Hepatology 7:425-515(1987)); 膵臓β細胞において活性であるインシュリン遺伝子制御領域(Hanahan, Nature 315:115-122(1985))、リンパ系細胞において活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら、1984, Cell 38: 647-658; Adamesら、1985, Nature 318: 533-538; Alexanderら、1987, Mol.Cell.Biol. 7:1436-1444)、精巣細胞、乳房細胞、リンパ系細胞、および肥満細胞において活性であるマウス乳腺癌ウイルス制御領域(Lederら、1986, Cell 45:485-495)、肝臓において活性であるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら、1987, Genes and Devel. 1:268-276)、肝臓において活性であるα-フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufら、1985, Mo1.Cell.Biol 5:1639-1648; Hammerら、1987, Science 235:53-58);肝臓において活性であるα1-抗トリプシン遺伝子制御領域(Kelseyら、1987, Genes and Devel. 1:161-171)、骨髄細胞において活性であるβ-グロビン遺伝子制御領域(Mogramら、1985, Nature 315:338-340;Kolliasら、1986, Cell 46:89-94);脳の乏突起膠細胞において活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら、1987, Cell 48:703-712);骨格筋において活性であるミオシンL鎖-2遺伝子制御領域(Shani, 1985, Nature 314:283-286)、および視床下部において活性である性腺刺激ホルモン(gonadotropic)放出ホルモン遺伝子制御領域(Masonら、1986, Science 234: 1372-1378)。本発明はさらに、TIE-2リガンドの発現を調節するために、TIE-2リガンドをコードするRNAの配列と特異的にハイブリダイズし得るアンチセンス化合物の産生を包含する(1992年11月24日に提出されたEcker、米国特許第5,166,195号)。
従って、本発明によれば、本明細書に記載されるTIE-2リガンドをコードする核酸を含有する、細菌または真核生物の宿主内で複製され得る発現ベクターが、宿主をトランスフェクトするのに用いられ、そしてそれにより、TIE-2リガンドを産生するこのような核酸の発現を指揮するのに用いられる。次いで、TIE-2は生物学的に活性な形態で回収され得る。本明細書で用いられる、生物学的に活性な形態は、TIE-2レセプターに結合し、そして生物学的応答(例えば、分化した機能)を引き起こすか、またはレセプターを発現する細胞の表現型に影響し得る形態を包含する。このような生物学的に活性な形態は、例えば、TIE-2レセプターのチロシンキナーゼドメインのリン酸化を包含する。
遺伝子挿入物を含有する発現ベクターは、4つの一般的なアプローチにより同定され得る:(a)DNA-DNAハイブリダイゼーション、(b)「マーカー」遺伝子機能の存在または非存在、(c)挿入された配列の発現、および(d)PCR検出。第1のアプローチでは、発現ベクター中に挿入された外来遺伝子の存在は、挿入されたTIE-2リガンドコード遺伝子に相同な配列を含有するプローブを用いて、DNA-DNAハイブリダイゼーションにより検出され得る。第2のアプローチでは、組換えベクター/宿主系は、ベクターにおける外来遺伝子の挿入により引き起こされる、特定の「マーカー」遺伝子機能(例えば、チミジンキナーゼ活性、抗生物質に対する耐性、形質転換表現型、バキュロウイルスにおける封入体(occlusion body)の形成など)の存在または非存在に基づいて同定および選択され得る。例えば、TIE-2リガンドをコードする核酸が、ベクターのマーカー遺伝子配列中に挿入される場合、挿入物を含有する組換え体は、マーカー遺伝子機能の非存在により同定され得る。第3のアプローチでは、組換え発現ベクターは、組換え体により発現される外来遺伝子産物をアッセイすることにより同定され得る。このようなアッセイは、例えば、TIE-2リガンド遺伝子産物の物理的特性または機能的特性(例えば、リガンドの、例えば、検出可能な抗体またはその一部で標識され得るTIE-2レセプターまたはその一部への結合によるか、あるいはTIE-2リガンドタンパク質またはその一部に対して産生された抗体への結合による)に基づき得る。本発明の細胞は、一時的、または好ましくは、構成的および永続的に、本明細書に記載されるTIE-2リガンドを発現し得る。第4のアプローチでは、DNAヌクレオチドプライマーは、tie-2特異的DNA配列に対応するように調製され得る。次いで、これらのプライマーは、tie-2遺伝子フラグメントをPCRするのに用いられ得る(PCR Protocol:A Guide To Methods and Applications, Edited by Michael A. Innisら、Academic Press(1990))。
組換えリガンドは、安定な、生物学的に活性なタンパク質の引き続く形成を考慮した任意の技術により精製され得る。例えば(限定されることを意図しないが)、リガンドは、可溶性タンパク質または封入体のいずれかとして細胞から回収され得、そしてそれらから8M塩酸グアニジウムおよび透析により定量的に抽出され得る。リガンドをさらに精製するために、従来のイオン交換クロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、またはゲル濾過が用いられ得る。
本発明のさらなる実施態様では、組換えTIE-2リガンドコード遺伝子は、相同的組換えにより内因性遺伝子を不活化または「ノックアウト」するのに用いられ得、そしてそれにより、TIE-2リガンドを欠失した細胞、組織、または動物を作製する。例えば(限定されることを意図しないが)、組換えTIE-2リガンドコード遺伝子は、挿入性の変異(例えば、天然のTIE-2リガンドコード遺伝子を不活化するneo遺伝子)を含有するように操作され得る。このような構築物は、適切なプロモーターの制御下で、トランスフェクション、形質導入、またはインジェクションのような技術により、細胞(例えば、胚幹細胞)中に導入され得る。次いで、この構築物を含有する細胞は、G418耐性により選択され得る。次いで、インタクトなTIE-2リガンドコード遺伝子を欠失する細胞は、例えば、サザンブロッティング、PCR検出、ノーザンブロッティング、または発現のアッセイにより同定され得る。次いで、インタクトなTIE-2リガンドコード遺伝子を欠失する細胞は、初期の胚細胞に融合され、このようなリガンドを欠失するトランスジェニック動物を産生し得る。このような動物は、通常リガンドに依存した特異的インビボプロセスを規定するのに用いられ得る。
本発明はまた、本明細書に記載されるTIE-2リガンドに対する抗体を提供する。これは、例えば、診断適用における、リガンドの検出に有用である。TIE-2リガンドに指向するモノクローナル抗体の調製のために、培養物中の持続した細胞株による抗体分子の産生を提供する任意の技術が用いられ得る。例えば、KohlerおよびMilsteinにより当初開発されたハイブリドーマ技術(1975, Nature 256:495-497)、ならびにトリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983, Immunology Today 4:72)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV-ハイブリドーマ技術(Coleら、1985, 「Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy」Alan R.Liss, Inc. 77-96頁)などが本発明の範囲内にある。
モノクローナル抗体は、ヒトモノクローナル抗体またはキメラヒト-マウス(または他の種)モノクローナル抗体であり得る。ヒトモノクローナル抗体は、当該分野で公知の多数の技術のいずれかにより作製され得る(例えば、Tengら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 80:7308-7312; Kozborら、1983 Immunology Today 4:72-79; Olssonら、1982, Meth.Enzymol. 92:3-16)。キメラ抗体分子は、マウス抗原結合ドメインおよびヒト定常領域を含有するように調製され得る(Morrisonら、1984, Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A. 81:6851, Takedaら、1985, Nature 314:452)。
当該分野で公知の種々の手順が、本明細書に記載されるTIE-2リガンドのエピトープに対するポリクローナル抗体の産生に用いられ得る。抗体の産生のために、種々の宿主動物が、TIE-2リガンド、あるいはそのフラグメントまたは誘導体を注射することにより免疫化され得、これは、ウサギ、マウス、およびラットを包含するが、これらに限定されない。種々のアジュバントが、免疫学的応答を増加するのに用いられ得、これは、宿主の種に依存し、そしてFreundの(完全および不完全な)アジュバント、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノールのような表面活性物質、ならびにBCG(Bacille Calmette-Guerin)およびCorynebacterium paryumのような潜在的に有用なヒトアジュバントを包含するが、これらに限定されない。
選択されたTIE-2リガンドエピトープに対する抗体の分子クローンは、公知の技術により調製され得る。組換えDNA方法論(例えば、Maniatisら、1982、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York)は、モノクローナル抗体分子、またはその抗原結合領域をコードする核酸配列を構築するのに用いられ得る。
本発明は、抗体分子ならびにこのような抗体分子のフラグメントを提供する。分子のイディオタイプを含有する抗体フラグメントは、公知の技術により生成され得る。例えば、このようなフラグメントは、抗体分子のペプシン消化により産生され得るF(ab')2フラグメント;F(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を減少させることにより生成され得るFab'フラグメント、および抗体分子をパパインおよび還元剤で処理することにより生成され得るFabフラグメントを包含するが、これらに限定されない。抗体分子は、公知の技術(例えば、免疫吸着または免疫アフィニティークロマトグラフィー、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)のようなクロマトグラフィー法、またはそれらの組合せ)により精製され得る。
本発明はさらに、以下の工程により生物学的試料中のTIE-2リガンドの量を測定するためのイムノアッセイを包含する:
a)生物学的試料とTIE-2リガンドに特異的に結合する少なくとも1つの抗体とを、抗体が試料中に存在するいかなるTIE-2リガンドとも複合体を形成するように接触させる工程;および
b)複合体の量を測定し、そしてそれにより生物学的試料中のTIE-2リガンドの量を測定する工程。
本発明はさらに、以下の工程により生物学的試料中のTIE-2レセプターの量を測定するためのアッセイを包含する:
a)生物学的試料と本発明の少なくとも1つのリガンドとを、リガンドがTIE-2レセプターと複合体を形成するように接触させる工程;および
b)複合体の量を測定し、そしてそれにより生物学的試料中のTIE-2レセプターの量を測定する工程。
本発明はまた、TIE-2レセプター発現細胞の生存および/または増殖および/または分化を維持するためのTIE-2リガンドの利用を提供する。従って、このリガンドは、例えば、培養物中の内皮細胞を維持するための補充物として用いられ得る。さらに、TIE-2レセプターについての同族リガンドの適用による発見は、TIE-2レセプターのアゴニストまたはアンタゴニストの同定のために有用なアッセイ系の利用を可能にする。このようなアッセイ系は、血管形成を促進または阻害し得る分子を同定するのに有用である。例えば、1つの実施態様では、TIE-2レセプターのアンタゴニストは、TIE-2レセプターと生物学的に活性なTIE-2リガンドとの相互作用を妨害し得るテスト分子として同定され得る。このようなアンタゴニストは、それらの1)生物学的に活性なTIE-2リガンドのレセプターへの結合(例えば、BIAcoreバイオセンサー技術(BIAcore;Pharmacia Biosensor, Piscataway, NJ)を用いて測定される)をブロックする;または2)生物学的に活性なTIE-2リガンドが生物学的応答を引き起こす能力をブロックする、能力により同定される。このような生物学的応答は、TIE-2レセプターまたはTIE-2シグナル伝達経路の下流成分のリン酸化、またはTIE-2レセプター保有細胞の生存、増殖、または分化を包含するが、これらに限定されない。
1つの実施態様では、TIE-2レセプターを発現するように遺伝子操作された細胞は、増殖についてTIE-2リガンドの添加に依存的であり得る。このような細胞は、TIE-2レセプターのさらなるアゴニスト、またはこのような細胞上でTIE-2リガンドの活性を妨害し得るアンタゴニストを同定するための有用なアッセイ系を提供する。あるいは、TIE-2リガンドおよびTIE-2レセプターの両方を同時発現し得るように遺伝子操作された自己分泌細胞は、潜在的なアゴニストまたはアンタゴニストをアッセイするための有用な系を提供し得る。
従って、本発明は、TIE-2レセプターを通常発現しない細胞中へのこのTIE-2レセプターの導入を提供し、それゆえこれらの細胞が、このレセプターと結合するリガンドに対して絶大でかつ容易に識別可能な応答を示すことを可能にする。惹起された応答のタイプは、用いられた細胞に依存し、細胞中に導入された特異的レセプターに依存するわけではない。チロシンキナーゼレセプター上で作用し得る分子のアッセイおよび発見について最大効果の応答を生じるように、適切な細胞株が選択され得る。分子は、レセプター特異的様式で記載される系において作用する任意のタイプの分子であり得る。このような分子は、ペプチドおよび非ペプチド分子を包含するが、これらに限定されない。
利用されるより有用な系の1つは、TIE-2レセプターの線維芽細胞株(例えば、NIH3T3細胞)への導入を包含する。従って、通常は増殖性応答を媒介しないこのようなレセプターが、線維芽細胞への導入後、それにも関わらず、線維芽細胞増殖因子の効果を定量するために種々の十分に確立された方法によりアッセイされ得る(例えば、チミジン取り込みまたは他のタイプの増殖アッセイ;van Zoelen、1990「The Use of Biologial Assays For Detection Of Polypeptide Growth Factors」、Progress Factor Research、第2巻、131〜152頁;ZhanおよびM. Goldfarb、1986、Mol. Cell. Biol., 第6巻、3541〜3544頁を参照のこと)。これらのアッセイは、任意の調製物が、導入されたレセプターを有する細胞株およびレセプターを欠く親細胞株の両方においてアッセイされ得るというさらなる利点を有する。レセプターを有する細胞株における特異的な効果のみが、導入されたレセプターによって媒介されたと判断される。このような細胞は、TIE-2リガンドを発現するようにさらに遺伝子操作され得、従って、この相互作用のアンタゴニスト/アゴニストとして作用する分子についてアッセイするために有用である自己分泌系を作出する。従って、本発明は、TIE-2リガンドをコードする核酸およびTIE-2レセプターをコードする核酸を含む宿主細胞を提供する。
TIE-2レセプター/TIE-2リガンド相互作用はまた、TIE-2レセプターの小分子アゴニストまたはアンタゴニストを同定するための有用な系を提供する。例えば、TIE-2レセプターに結合するが生物学的活性を誘導しないTIE-2リガンドのフラグメント、変異体、または誘導体が同定され得る。あるいは、TIE-2リガンドの特徴付けは、分子の活性部分の決定を可能にする。さらに、リガンドの同定は、レセプター/リガンド複合体のX線結晶構造の決定を可能にし、従って、レセプター上の結合部位の同定を可能にする。結合部位の知見は、新規なアゴニストおよびアンタゴニストの合理的設計への有用な洞察を提供する。
テスト分子のTIE-2レセプターへの特異的結合は、多くの方法で測定され得る。例えば、テスト分子のtie-2発現細胞への実際の結合は、(i)無傷細胞の表面に結合されたテスト分子;(ii)細胞溶解物中のTIE-2タンパク質に架橋されたテスト分子;または(iii)インビトロでTIE-2に結合されたテスト分子を検出または測定することにより、検出または測定され得る。テスト分子とTIE-2との間の特異的相互作用は、その相互作用の独特の特性を示す試薬を用いることにより評価され得る。
特定の限定的でない例として、本発明の方法は、以下のようにして用いられ得る。試料中のTIE-2リガンドが測定されるべきである場合を考慮する。種々の希釈度の試料(テスト分子)が、TIE-2リガンド活性を含まないネガティブコントロール(NC)および既知量のTIE-2リガンドを含むポジティブコントロール(PC)と並行して、検出可能に標識されたTIE-2リガンド(本実施例においては、放射性ヨード化リガンド)の存在下でtie-2を発現する細胞に曝され得る。テスト試料中のTIE-2リガンドの量は、コントロールおよび各希釈物において結合する125I標識TIE-2リガンドの量を決定し、そして次いで試料値を標準曲線と比較することにより評価され得る。試料中に多くのTIE-2リガンドが存在するほど、TIE-2に結合する125Iリガンドは少なくなる。
結合された125Iリガンドの量は、細胞当たりの放射活性量を測定することによるか、またはMeakinおよびShooter, 1991, Neuron 6:153-163に記載のようにDSSを用いてTIE-2を細胞表面タンパク質に架橋させ、そして細胞抽出物中の標識タンパク質の量を検出する(例えば、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(これは、TIE-2リガンド/TIE-2レセプターに相当する大きさを有する標識タンパク質を示し得る)を用いて)ことにより、決定され得る。特異的なテスト分子/TIE-2の相互作用は、このアッセイに非標識コントロールリガンド(このリガンドはTIE-2レセプターに結合せず、従って標識リガンドとTIE-2結合についてのテスト分子との間の競合に実質的な影響を有さない)の種々の希釈物を添加することにより、さらにテストされ得る。あるいは、TIE-2リガンド/TIE-2結合を破壊し得ることが知られる分子(例えば、抗TIE-2抗体、または本明細書中で記載されるTIE-2レセプター体)は、TIE-2レセプター結合についての125I-TIE-2リガンドとテスト分子との間の競合を妨害することが予想され得る。
検出可能に標識されたTIE-2リガンドは、放射性物質、蛍光物質、酵素活性を有する物質、酵素に対する基質として働き得る物質(比色的に検出可能な反応と関連した酵素および基質が好ましい)、または好ましくは検出可能に標識された抗体分子である抗体分子により認識され得る物質に共有結合または共有結合でない結合で結合されたTIE-2リガンドを包含するが、これらに限定されない。
あるいは、テスト分子のTIE-2への特異的結合は、TIE-2リガンド/TIE-2レセプター結合の二次的な生物学的効果を評価することにより測定され得る。このような効果は、細胞増殖および/または分化または即時型遺伝子発現またはTIE-2のリン酸化を包含するが、これらに限定されない。例えば、テスト分子が分化を誘導する能力は、tie-2を欠損する細胞およびtie-2を発現する同等の細胞において試験され得る。tie-2を欠損する同等の細胞ではなくtie-2発現細胞における分化が、特異的なテスト分子/TIE-2相互作用を示し得る。同様の分析が、tie-2マイナス細胞およびtie-2プラス細胞における即時型遺伝子(例えば、fosおよびjun)誘導を検出することによるか、または当該分野で公知の標準リン酸化アッセイを用いてTIE-2のリン酸化を検出することにより実施され得る。このような分析は、TIE-2に競合的に結合しないアゴニストまたはアンタゴニストを同定することにおいて有用であり得る。
同様に、本発明は、TIE-2リガンドの生物学的活性を有する分子を同定する方法を提供する。この方法は、(i)tie-2を発現する細胞をテスト分子に曝す工程および(ii)テスト分子のTIE-2レセプターへの特異的結合を検出する工程を包含し、ここでTIE-2への特異的結合は、TIE-2様活性と正に相関する。特異的結合は、上述したように、直接結合または結合の二次的な生物学的効果についてのアッセイのいずれかにより検出され得る。このような方法は、TIEリガンドファミリーの新規なメンバーの同定において、または製薬業において、TIE関連生物学的活性について多数のペプチド分子および非ペプチド分子(例えば、ペプチド模倣物)をスクリーニングすることにおいて特に有用であり得る。本発明の好ましい特定の限定されない実施態様では、tie-2マイナスであるか、またはtie-2プラスに遺伝子操作されたPC12(または線維芽細胞、以下を参照のこと)細胞を交互に含有する大きなグリッドの培養ウェルが調製され得る。次いで、種々のテスト分子が、グリッドの各カラムまたはそれらの一部が異なるテスト分子を含有するように添加され得る。次いで、各ウェルで、増殖および/または分化の存在または非存在について評価され得る。非常に多くのテスト分子が、この様式でこのような活性についてスクリーニングされ得る。
さらなる実施態様では、本発明は、TIE様活性を検出または測定する方法、またはこのような活性を有する分子を同定する方法を提供する。このような方法は、(i)インビトロで結合を生じることが可能な条件下でテスト分子をTIE-2レセプタータンパク質に曝す工程、および(ii)テスト分子のTIE-2タンパク質への結合を検出する工程を包含し、ここでテスト分子のTIE-2への結合はTIE-2様活性と相関する。このような方法によれば、TIE-2は、実質的に精製され得るかもしくはされていなくてもよく、固体支持体(例えば、アフィニティーカラムまたはELISAアッセイ)に固定され得るか、または人工膜中に取り込まれ得る。テスト分子のTIE-2への結合は、当該分野で公知のいかなる方法によっても評価され得る。好ましい実施態様では、テスト分子の結合は、検出可能に標識された既知のTIE-2リガンドとTIE-2レセプター結合について競合するその能力を評価することにより、検出または測定され得る。
本発明はまた、テスト分子がTIE様活性のアンタゴニストとして機能する能力を検出する方法を提供する。この方法は、分子が、tie-2を発現する細胞におけるTIE-2へのTIEリガンド結合の効果を阻害する能力を検出する工程を包含する。このようなアンタゴニストはTIE-2リガンド/TIE-2レセプター結合を妨害し得るか、またはしなくてもよい。TIE-2レセプターへのTIE-2リガンド結合の効果は、好ましくは、生物学的効果または生化学的効果であり、細胞生存もしくは増殖、細胞形質転換、即時型遺伝子誘導、またはTIE-2リン酸化を包含するが、これらに限定されない。
本発明は、リガンドを中和し得るかもしくはレセプターへの結合をブロックし得る抗体または他の分子を同定する方法、ならびにその方法により同定される分子の両方をさらに提供する。限定されない例によって、この方法は、概念上ELISAアッセイに類似するアッセイを介して実施され得る。例えば、TIEレセプター体を固体支持体(例えばプラスチックマルチウェルプレート)に結合させ得る。次いで、コントロールとして、Mycでタグ化されている既知量のTIEリガンドをウェルに入れ得、そして次いで、レセプター体に結合する任意のタグ化TIEリガンドをMycタグに対するレポーター抗体によって同定し得る。次いで、このアッセイ系を用いて、テスト試料を、i)タグ化リガンドに結合し得るか、またはii)レセプター体に結合し、それによりタグ化リガンドによるレセプター体への結合をブロックし得る分子についてスクリーニングし得る。例えば、既知量のタグ化リガンドとともに目的の推定分子を含有するテスト試料をウェル中に入れ得、そしてレセプター体に結合するタグ化リガンドの量を測定し得る。結合したタグ化リガンドのテスト試料中の量とコントロール中の量とを比較することにより、レセプターへのリガンド結合をブロックし得る分子を含有する試料が同定され得る。このようにして同定された目的の分子は、当業者に周知の方法を用いて単離され得る。
一旦リガンド結合のブロッカーが見出されると、そのブロッカーがレセプターに結合するかまたはリガンドに結合するかを決定するために二次的なアッセイを、ならびにそのブロッカー分子がリガンドの生物学的活性を中和し得るかどうかを決定するためにアッセイを実施することを、当業者は理解し得る。例えば、TIEレセプター体またはTIEリガンドのいずれかが固体支持体(例えば、金表面上のカルボキシメチルデキストラン)に共有結合されている、BIAcoreバイオセンサー技術(または同等の技術)を用いる結合アッセイを用いることにより、当業者は、ブロッカー分子がリガンドまたはレセプター体に特異的に結合するかどうかを決定し得る。ブロッカー分子がリガンドの生物学的活性を中和し得るかどうかを決定するために、当業者は、リン酸化アッセイ(実施例5を参照のこと)または代替的に機能的バイオアッセイ(例えば、生存アッセイ)を、例えば、内皮細胞の初代培養物を使用することにより実施し得る。あるいは、レセプター体に結合するブロッカー分子はアゴニストであり得、そして当業者は、TIE-2レセプターのさらなるアゴニストを同定するための適切なアッセイを実施することにより、このことをどのようにして決定するかを理解し得る。
TIE-2レセプターが内皮細胞に関連して同定されており、そして本明細書中で示されるように、リガンドをブロックすることが血管新生を防止するようであるので、出願人は、TIE-2リガンドが、このような血管新生が徴候となる疾患または障害における血管新生の誘導のために有用であることを示した。このような疾患または障害は、創傷治癒、虚血、および糖尿病を包含し得る。他方で、TIE-2レセプターのアンタゴニスト(例えば、本明細書中で実施例2および3において記載のレセプター体、および実施例9において記載のTIE-2リガンド2)は、血管新生を防止または減弱するのに有用であり得、従って、例えば、腫瘍成長を防止または減弱する。
TIE-2レセプター保有細胞が血管新生においてアップレギュレートされると考えられるので、TIE-2リガンド体はまた、例えば腫瘍成長を防止または減弱することにおいて有用であり得る。TIE-2リガンド体は、毒素のレセプター保有細胞への送達のために有用であり得る。あるいは、増殖因子、サイトカイン、または栄養素のような他の分子は、TIE-2リガンド体を介してTIE-2レセプター保有細胞に送達され得る。TIE-2リガンド体はまたTIE-2レセプターについての診断試薬として用いられ、インビボまたはインビトロにおいてレセプターを検出し得る。TIE-2レセプターが疾患状態と関連している場合、TIE-2リガンド体は、例えば、組織染色または全身イメージングによって、疾患を検出するための診断試薬として有用であり得る。
本発明はまた、薬理学的に受容可能なビヒクル中に、本明細書中に記載のTIE-2リガンドもしくはリガンド体、それらのペプチドフラグメント、または誘導体を含有する薬学的組成物を提供する。TIE-2リガンドタンパク質、ペプチドフラグメント、または誘導体は、全身投与または局所投与され得る。当該分野で公知の任意の適切な投与様式が用いられ得る。このような投与様式は、静脈内投与、硬膜下腔内投与、関節内投与、鼻腔内投与、経口投与、皮下投与、腹腔内投与、あるいは局所注入または外科インプラントによる投与を包含するが、これらに限定されない。持続放出処方物もまた提供される。
本発明は、ヒトTIE-2リガンドをコードする核酸配列を含む、単離され精製された核酸分子をさらに提供し、ここでこの核酸配列は、以下からなる群から選択される:
(a)図4、図5、または図6に記載のようなヒトTIE-2リガンドのコード領域を含む核酸配列;
(b)中程度にストリンジェントな条件下で(a)の核酸配列とハイブリダイズし、そしてTIE-2レセプターに結合するTIE-2リガンドをコードする核酸配列;および
(c)(a)または(b)の核酸配列に対する遺伝コードの結果として縮重し、そしてTIE-2レセプターに結合するTIE-2リガンドをコードする核酸配列。
別の実施態様では、本発明は、TIE-2リガンドをコードする単離された核酸分子を提供し、ここで、この核酸配列は以下の通りである:
(a)図4、図5、または図6に記載のようなヒトTIE-2リガンドのコード領域を含む核酸配列;
(b)中程度にストリンジェントな条件下で(a)の核酸配列とハイブリダイズし、そしてTIE-2レセプターに結合するTIE-2リガンドをコードする核酸配列;または
(c)遺伝コードの縮重がなければ(a)または(b)の核酸配列にハイブリダイズし得、そしてTIE-2レセプターに結合するTIE-2リガンドをコードする核酸配列。
本発明は、本発明の単離された核酸分子によりコードされる、単離され精製されたヒトTIE-2リガンドをさらに提供する。本発明はまた、ヒトTIE-2リガンドをコードする核酸配列を含む、単離された核酸分子を含むベクターを提供する。1つの実施態様では、このベクターは、ヒトTIE-2リガンド2をコードするpBlHescript KSと称される。
本発明は、ヒトTIE-2リガンドをコードするDNA分子を含む発現ベクターをさらに提供し、ここでこのDNA分子は発現制御配列に作動可能に連結されている。本発明はまた、ヒトTIE-2リガンドの生物学的活性を有するポリペプチドの産生のための宿主−ベクター系を提供し、この宿主−ベクター系は適切な宿主細胞中に本発明の発現ベクターを含む。1つの実施態様では、適切な宿主細胞は、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞であり得る。本発明はさらに、生物学的に活性なTIE-2リガンドの活性を有するポリペプチドを産生する方法を提供し、この方法は、ポリペプチドの産生を可能にする条件下で本発明の宿主−ベクター系の細胞を増殖させる工程、およびそこで産生されたポリペプチドを回収する工程を包含する。
本明細書中に記載されるTIE-2リガンドをコードする単離された核酸分子の発明は、リガンド、それらのフラグメントもしくは誘導体、またはレセプターアゴニストもしくはアンタゴニストである別の分子の、TIEレセプターを発現する細胞、組織、または器官に関わる障害を患う患者の処置のための治療薬としての開発をさらに提供する。限定されない例によって、本発明は、TIE-2レセプターまたはTIE-2に特異的に結合するリガンド体を提供する。別の実施態様では、本発明は、免疫グロブリン定常領域に融合されたTIE-2リガンドを含むリガンド体を提供する。1つの実施態様では、リガンド体は、TIE-2リガンド1またはTIE-2リガンド2およびヒトIgG1のFc部分を含む。リガンド体は、人体または動物の体を処置する方法、または診断方法において用いられ得る。
本発明はまた、このような治療用分子に特異的に結合する抗体を提供する。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。本発明はまた、治療経過をモニターすることを目的として、患者から採取した試料中の治療用分子の量を測定するために、このようなモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を使用する方法を提供する。
本発明は、ヒトTIE-2リガンドまたはリガンド体およびそれらに結合した細胞傷害性因子を含む治療用組成物をさらに提供する。1つの実施態様では、細胞傷害性因子は、放射性同位体または毒素であり得る。
本発明はまた、ヒトTIE-2リガンドに特異的に結合する抗体をさらに提供する。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。
本発明は、以下の工程を包含する、ヒトTIE-2リガンドを精製する方法をさらに提供する:
a)少なくとも1つのTIE-2結合基質を固体マトリックスに結合させる工程;
b)a)の基質を細胞溶解物と、その基質が細胞溶解物中のいずれのヒトTIE-2リガンドとも複合体を形成するようにインキュベートする工程;
c)固体マトリックスを洗浄する工程;および
d)ヒトTIE-2リガンドを結合基質から溶出する工程。
基質は、ヒトTIE-2リガンドと特異的に結合する任意の物質であり得る。1つの実施態様では、基質は、抗TIE-2リガンド抗体、TIE-2レセプター、およびTIE-2レセプター体からなる群から選択される。本発明は、ヒトTIE-2リガンドと特異的に結合するレセプター体、ならびに薬学的に受容可能なビヒクル中にレセプター体を含む治療用組成物、およびヒトにおいて血管成長をブロックする方法(有効量の治療用組成物を投与することを包含する)をさらに提供する。
本発明はまた、薬学的に受容可能なビヒクル中にヒトTIE-2リガンドまたはリガンド体を含む治療用組成物、ならびに有効量の治療用組成物を患者に投与することを包含する、患者の新生血管形成を促進する方法を提供する。
さらに、本発明は、TIE-2レセプターを発現する細胞を同定する方法を提供する。この方法は、細胞と検出可能に標識されたTIE-2リガンドまたはリガンド体とを、検出可能に標識されたリガンドをTIE-2レセプターに結合させることが可能である条件下で接触させる工程、および検出可能に標識されたリガンドがTIE-2レセプターに結合されるか否かを決定し、それにより細胞をTIE-2レセプターを発現する細胞であると同定する工程を包含する。本発明はまた、TIE-2リガンドまたはリガンド体およびそれに結合された細胞傷害性因子を含む治療用組成物を提供する。細胞傷害性因子は放射性同位体または毒素であり得る。
本発明はまた、細胞によりTIE-2リガンドの発現を検出する方法をさらに提供する。この方法は、細胞からmRNAを採取する工程、そのようにして得られたmRNAとTIE-2リガンドをコードする標識核酸分子とを、ハイブリダイズする条件下で接触させる工程、標識分子にハイブリダイズしたmRNAの存在を測定する工程、およびそれにより細胞におけるTIE-2リガンドの発現を検出する工程を包含する。
本発明は、組織切片においてTIE-2リガンドの発現を検出する方法をさらに提供する。この方法は、組織切片とTIE-2リガンドをコードする標識核酸分子とを、ハイブリダイズする条件下で接触させる工程、標識分子にハイブリダイズしたmRNAの存在を測定する工程、およびそれにより組織切片におけるTIE-2リガンドの発現を検出する工程を包含する。
実施例1- TIE-2レセプターについてのレポーター細胞としてのABAE細胞株の同定
成体BAE細胞は、ECACC#92010601でEuropean Cell Culture Repositoryに登録されている。(PNAS 75:2621(1978)を参照のこと)。ノーザン(RNA)分析は、ABAE(成体ウシ動脈内皮)細胞株において中程度のtie-2転写レベルを示し、血管内皮細胞へのtie-2 RNAのほぼ独占的な局在化を示したインサイチュでのハイブリダイゼーションの結果と一致する。従って、本発明者らは、TIE-2タンパク質の存在、ならびにこのTIE-2タンパク質が正常対血清欠乏増殖条件下でチロシン-リン酸化される程度について、ABAE細胞溶解物を試験した。ABAE細胞溶解物を採集し、そして免疫沈降に供し、続いて免疫沈降したタンパク質を、TIE-2特異的抗血清およびホスホチロシン特異的抗血清を用いてウエスタンブロット分析に供した。TIE-2免疫沈降の間の特異的ブロック分子としてのTIE-2ペプチドを省くことまたは含ませることにより、約150kDの適度に検出可能なタンパク質として、TIE-2が明白に同定され得、この定常状態ホスホチロシンレベルは、前の細胞の血清飢餓によりほぼ検出不能なレベルまで低下する。
ABAE細胞の培養および細胞溶解物の採集を、以下のように行った。低継代数(low-passage-number)のABAE細胞を、2×106細胞/150mmプラスチックペトリ皿(Falcon)の密度で単層としてプレートし、そして5%CO2雰囲気中、10%仔ウシ血清(10%BCS)、2mM L-グルタミン(Q)ならびに各1%のペニシリンおよびストレプトマイシン(P-S)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で培養した。細胞溶解物の採集前に、細胞をDMEM/Q/P-S中で24時間血清飢餓させ、続いて培地を吸引し、そしてオルトバナジウム酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、およびベンズアミジンナトリウムを補充した氷冷リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)でプレートをリンスした。細胞を、1% NP40界面活性剤およびプロテアーゼインヒビター(PMSFおよびアプロチニン)を補充した少量のこのリンス緩衝液中に溶解した。不溶性のデブリを、4℃にて10分間、14,000×Gで遠心分離することにより細胞溶解物から取り除き、そして約20μg/mlの溶解物に添加されたブロックペプチドの存在または非存在下で、上清を、TIE-2レセプターに対して特異的な抗血清を用いて免疫沈降に供した。免疫沈降したタンパク質を、PAGE(7.5% Laemmliゲル)により解析し、次いでPVDF膜に電気移動し、そして種々のTIE-2またはホスホチロシン特異的抗血清のいずれかとインキュベートした。TIE-2タンパク質を、HRP結合2次抗血清と共に膜をインキュベートし、続いてECL試薬(Amersham)で処理することにより、可視化した。
実施例2- TIE-2リガンド相互作用の親和性に基づく研究のためのTIE-2レセプター体のクローニングおよび発現
ヒト免疫グロブリンγ-1定常領域(IgG1 Fc)に融合した、ラットTIE-2レセプターの全細胞外部分からなる分泌タンパク質を産生する発現構築物を作製した。この融合タンパク質は、TIE-2「レセプター体」(RB)と呼ばれ、そして個々のIgG1 Fcテール間のジスルフィド結合の形成に基づいて、溶液中でダイマーとして存在することが通常予想される。TIE-2 RBのFc部分を、以下のように調製した。タンパク質のヒンジ領域からカルボキシ末端まで広がる、ヒトIgG1のFc部分をコードするDNAフラグメントを、公開されたヒトIgG1配列に対応するオリゴヌクレオチドを用いるPCRにより、ヒト胎盤cDNAから増殖し;得られたDNAフラグメントを、プラスミドベクターにクローン化した。完全長TIE-2レセプターをコードするプラスミド由来およびヒトIgG1 Fcプラスミド由来の適切なDNA制限フラグメントを、インフレームでTIE-2およびヒトIgG1 Fcタンパク質コード配列に融合するように設計した短いPCR由来フラグメントのいずれかの側に連結した。このように、得られたTIE-2外表ドメイン(ectodomain)-Fc融合タンパク質は、TIE-2トランスメンブランおよび細胞質ドメインに広がる領域の代わりに、IgG1 Fcを正確に置換した。RBの別の調製方法は、Goodwinら、Cell 73:447-456(1993)に記載されている。
TIE-2 RB DNAフラグメントをpVL1393バキュロウイルスベクターにクローニングし、続いてSpodoptera frugiperda SF-21AE昆虫細胞株を感染させることにより、ミリグラム量のTIE-2 RBを得た。あるいは、細胞株SF-9(ATCC受託番号CRL-1711)または細胞株BTI-TN-5b1-4を使用し得る。TIE-2 RBをコードするDNAを、Eco RI-NotIフラグメントとして、バキュロウイルス転移プラスミドpVL1393にクローン化した。3μgのプラスミドDNAを0.5μgのBaculo-Gold DNA(Pharminigen)と混合し、続いて30μgのLipofectin(GIBCO-BRL)を用いてリポソームに導入することにより、塩化セシウム密度勾配遠心分離により精製したプラスミドDNAを、ウイルスDNA中に組み換えた。DNA-リポソーム混合物を、27℃にて5時間、TMN-FH培地(改変Grace's昆虫細胞培地(GIBCO-BRL))中のSF-21AE細胞(2×106細胞/60mm皿)に添加し、続いて5%ウシ胎児血清を補充したTMN-FH培地中で、27℃にて5日間インキュベートした。組織培養培地を、組換えウイルスのプラーク精製のために採集し、この精製は、アガロース重層が125μg/mLのX-gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド;GIBCO-BRL)を含んでいたこと以外は、前記の方法(O'Reilly,D.R.、L.K.Miller、およびV.A.Luckow、Baculovirus Expression Vectors-A Laboratory Manual. 1992、New York:W.H.Freeman)を用いて行った。27℃にて5日間のインキュベーション後、非組換えプラークを、X-gal基質に対する陽性色素反応により記録し、そしてそれらの位置に印を付けた。次いで、組換えプラークを、100μg/mLのMTT(3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]2,5,ジフェニルテトラゾリウムブロマイド;Sigma)を含む第2の重層の添加により可視化した。推定組換えウイルスプラークを、プラグ吸引(plug aspiration)により採集し、そして多回ラウンドのプラーク単離により精製し、均質性を確かめた。ウイルスストックを、プラーク精製ウイルスの連続した低多重性の継代(serial, low-mutiplicity passage)により作製した。1つのウイルスクローン(vTIE-2レセプター体)の低継代株が産生された。
SF-21AE細胞を、1×抗生物質/抗真菌性溶液(Gibco BRL)および25mg/Lゲンタマイシン(Gibco BRL)を含有する無血清培地(SF-900 II、Gibco BRL)中で培養した。Pluronic F-68を、界面活性剤として1g/Lの最終濃度まで添加した。培養物(4L)を、感染前に少なくとも3日間バイオリアクター(Artisan Cell Station System)中で培養した。80mL/分のガス流速にて、50%の溶存酸素までガスを通気しながら(スパージリング(sparge ring)にて通気)、細胞を増殖させた。100rpmの速度にて、海洋インペラ(marine impeller)により攪拌した。細胞を中間対数増殖期(1mLあたり約2×106細胞)で採集し、遠心分離により濃縮し、そして1細胞あたりvTIE-2レセプター体の5プラーク形成単位で感染させた。細胞および接種物を、新鮮な培地で400mLにし、そしてウイルスを、スピンナーフラスコ(spinner flask)中、27℃にて2時間吸着させた。次いで、培養物を、新鮮な無血清培地を含む8Lの最終容量に再懸濁し、そして細胞を、前記の条件を用いてバイオリアクター中でインキュベートした。
vTIE-2レセプター体感染SF21AE細胞由来の培養培地を、感染72時間後で遠心分離(500×g、10分)により採取した。細胞上清をNaOHでpH8にした。EDTAを10mMの最終濃度まで添加し、そして上清のpHを8に再調整した。上清を濾過(0.45μm、Millipore)し、そしてプロテインAカラム(プロテインAセファロース4ファストフローまたはHiTrapプロテインA、両方ともPharmaciaから入手)にロードした。280nmでの吸光度がベースラインまで低下するまで、カラムを、0.5M NaClを含有するPBSで洗浄した。カラムをPBSで洗浄し、そして0.5M酢酸で溶出した。カラム画分を、1M Tris(pH9)を含有するチューブ中に溶出することにより、直ちに中和した。TIE-2 RBを含有するピーク画分をプールし、そしてPBSに対して透析した。
実施例3- TIE-2が血管の発達に重要な役割を有することの実証
TIE-2レセプターについて公知のリガンドが存在しないとすると、「過剰」の可溶性TIE-2レセプター体(TIE-2 RB)を発達系に導入することにより、TIE-2の機能への洞察を得ることが可能であることが推論される。TIE-2 RBが利用可能なTIE-2リガンドへ結合し、それゆえ中和するという潜在的な能力を有することにより、正常な血管発達の観察可能な崩壊およびリガンドの特徴づけが可能となる。TIE-2 RBが、初期トリ胚において血管発達を崩壊させるのに使用され得るかどうかを試験するために、生体再吸収性フォームの小片を、TIE-2 RBで浸漬し、そして初期胚に対してちょうど横の位置で、漿尿膜の直下に挿入した。
初期ニワトリ胚は、漿尿膜(CAM)により覆われる細胞の小さなディスクから卵黄の頂上に発達する。胚において血管系を一列に並べるようになる内皮細胞は、胚外細胞源および胚内細胞源の両方から生じる。胚外由来の内皮細胞(これは、胚における内皮細胞のための主要な発達源を提供する)は、胚固有(embryo-proper)の側面周囲(CAMの直下)に位置する間葉の付着成長から生じる。これらの間葉細胞が成熟すると、内皮細胞系および造血細胞系の両方の共通の始原細胞(血管芽細胞(hemangioblast)と呼ばれる)を生じる。今度は、血管芽細胞は、血管芽細胞(angioblast)(内皮細胞始原細胞)および血球芽細胞(多能性造血前駆体)の混合集団を生じる。循環系の原基痕跡の形成は、内皮細胞子孫が分離して、初期血液細胞を取り囲む1細胞厚の小胞を形成するとき開始する。これらの細胞成分の増殖および移動により、最後には胚に入り、限定された胚内由来の血管成分と結合する、CAM下の血液充填毛細血管の巨大な網が最終的に生成される。
Spafas,Inc.(Boston,MA)から得た新たに受精させたニワトリ卵を、99.5°F、55% RHにてインキュベートした。発達約24時間で、卵殻を70%エタノールで拭き、そして歯科医のドリルを用いて各卵の鈍頂に1.5cmの穴を開けた。殻膜を取り除くと、胚の直上に気室が現れた。滅菌Gelfoam(Upjohn)の長方形の小片を外科用メスで切り取り、そして等濃度のTIE-2レセプター体またはEHK-1レセプター体のいずれかに浸漬した。EHK-1レセプター体を、TIE-2細胞外ドメインの代わりにEHK-1細胞外ドメインを用いて、実施例2に示すように作製した(Maisonpierreら、Oncogene 8:3277-3288(1993))。各Gelfoam片は、30μl中の約6μgのタンパク質を吸収した。滅菌時計エピンセットを用いて、初期胚に対して数ミリメートル横の位置で、CAMに小さな裂け目を作製した。RB浸漬したGelfoam片の大部分を、CAM下に挿入し、そして卵殻を一片の接着テープでシールした。他の同様の期の卵を、無関係のニューロン発現レセプターチロシンキナーゼ(EHK-1(Maisonpierreら、Oncogene 8:3277-3288(1993))のRBと平行して処理した。4日間発達を進行させ、次いで胚を視覚検査により試験した。加温PBS皿中で殻を注意深く割り、そして周囲のCAMと共に胚を注意深く切り出すことにより胚を取り出した。それぞれRBで処理した12の卵のうち、6つのTIE-2 RBおよび5つのEHK-1 RB処理胚は、実験開始時に観察された期を過ぎて発達した。図1Aおよび1Bに示すように、これらの発達した胚間に劇的な差が見られた。EHK-1 RBで処理した胚は、比較的正常に発達したようであった。5つのEHK-1胚のうち4つは、心臓の鼓動の存在により判定されるように生存可能であった。さらに、胚外血管(これは、赤血球の存在により視覚的に明らかである)は、豊富であり、そしてCAM下で数センチメートル横に延びていた。対照的に、TIE-2 RBで処理した胚は、重度に発育不全であり、EHK-1 RB胚では直径が10mmを超えることと比較して、直径が2〜5mmの範囲内であった。TIE-2 RB処理した胚は全て死滅し、そしてそれらのCAMには血管がない。TIE-2 RBがニワトリにおいて血管発達をブロックする能力は、TIE-2リガンドが血管系の発達にとって必要であることを実証する。
実施例4- rasオンコジーンで形質転換されたC2C12マウス筋芽細胞株由来の馴化培地におけるTIE-2特異的結合活性の同定
可溶性TIE-2特異的結合活性の存在についての種々の細胞株由来の10倍濃縮細胞馴化培地(10×CCM)のスクリーニング(BIAcore;Pharmacia Biosensor,Piscataway,NJ)は、腫瘍形成ras形質転換C2C12細胞(C2C12-ras)、RAT2-ras(これは、ras形質転換線維芽細胞株である)、ヒトグリア芽腫T98G、およびSHEP-1として公知のヒト神経芽腫細胞株由来の無血清培地において結合活性を示した。
C2C12-ras 10×CCMは、標準のリン酸カルシウムに基づく方法によるH-rasのT-24変異体でのトランスフェクションにより腫瘍形成的に形質転換した、C2C12筋芽細胞の安定にトランスフェクトされた株から生じた。SV40に基づくネオマイシン耐性発現プラスミドを、トランスフェクトされたクローンの選択を可能にするために、ras発現プラスミドと物理的に連結した。得られたG418耐性ras-C2C12細胞を、プラスチック皿上で、10%ウシ胎児血清(FCS)を補充したDMEM/グルタミン/ペニシリン-ストレプトマイシン中に単層として規定的に維持した。細胞を、60%コンフルエンスにて、無血清規定培地中に12時間プレートすることにより、無血清C2C12-ras 10×CCMを作製した。(ZhanおよびGoldfarb、Mol. Cell. Biol. 6:3541-3544(1986));Zhanら、Oncogene 1:369-376(1987))。培地を捨て、そして新鮮なDMEM/Q/P-Sで24時間置き換えた。この培地を採集し、そして細胞に新鮮なDMEM/Q/P-Sを再供給し、これもまた、さらに24時間後に採集した。これらのCCMに、プロテアーゼインヒビターPMSF(1mM)およびアプロチニン(10μ9/ml)を補充し、そして滅菌サイズ排除膜(Amicon)上で10倍に濃縮した。BIAcore分析前に、培地を過剰のTIE-2 RBとインキュベートすることにより、TIE-2結合活性を中和し得たが、EHK-1 RBとインキュベートしても中和し得なかった。
10×CCMの結合活性を、表面プラスモン共鳴により実時間で生体分子相互作用をモニターするバイオセンサー技術(BIAcore;Pharmacia Biosensor、Piscataway、NJ)を用いて測定した。精製TIE-2 RBを、1級アミンを介してCM5研究用センサーチップ(Pharmacia Biosensor;Piscataway、NJ)のカルボキシメチルデキストラン層に共有結合させた。センサーチップ表面を、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)およびN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の混合物を用いて活性化し、続いてTIE-2 RB(25μg/mL、pH4.5)を固定化し、そして未反応部位を1.0Mエタノールアミン(pH8.5)で失活させた。EHK-1レセプター体のネガティブコントロール表面を、同様にして調製した。
この系で使用したランニング緩衝液は、HBS(10mM Hepes、3.4mM edta、150mM NaCl、0.005% P20界面活性剤、pH7.4)であった。10×CCM試料を、4℃で15分間遠心分離し、そして滅菌した低タンパク質結合0.45μmフィルター(Millipore;Bedford、MA)を用いてさらに明澄化した。デキストラン(2mg/ml)およびP20界面活性剤(0.005%)を、各CCM試料に添加した。40μLのアリコートを、5μL/分の流速で固定化表面(TIE-2またはEHK-1のいずれか)を横切って注入し、そしてレセプター結合を8分間モニターした。結合活性(共鳴単位、RU)を、試料注入30秒前に測定した基線値と注入30秒後に得た測定値との間の差として測定した。表面の再生は、3M MgCl2の1回の12μLパルスを用いて達成した。
機器ノイズレベルは、20RUである;従って、20RUを超えるシグナルを有する任意の結合活性が、レセプターとの真の相互作用として解釈され得る。C2C12-ras馴化培地について、結合活性は、TIE-2 RB固定化表面に対して60〜90 RUの範囲であった。EHK-1 RB固定化表面上でアッセイした同一試料については、測定活性は、35 RU未満であった。結合活性をアッセイする前に、試料を過剰の可溶性のTIE-2またはEHK-1 RBのいずれかとインキュベートすることにより、TIE-2レセプター体に対する特異的結合を評価した。可溶性EHK-1 RBの添加は、いずれの試料のTIE-2結合活性に対しても効果を有さなかったが、可溶性TIE-2の存在下では、表面への結合は、TIE-2の非存在下で測定した結合の3分の2未満である。>50×濃縮C2C12-ras CCMを用いる反復アッセイは、TIE-2特異的結合シグナルのバックグラウンドに対して4倍の増強を生じた。
実施例5- C2C12-ras CCMは、TIE-2レセプターのチロシンリン酸化を誘導する活性を有する
C2C12-ras 10×CCMを、ABAE細胞においてTIE-2のチロシンリン酸化を誘導するその能力について試験した。血清飢餓ABAE細胞を、上記のように、C2C12-ras CCMと短時間インキュベートし、溶解し、そして免疫沈降およびウエスタン分析に供した。無血清C2C12-ras 10×CCMでの血清飢餓ABAE細胞の刺激を、以下のように行った。上記のように飢餓させたABAE細胞の培地を取り除き、そして37℃まで予備加温しておいた規定培地または10×CCMのいずれかと置き換えた。10分後、培地を取り除き、そして細胞を、氷上で、オルトバナジウム酸塩/NaF/ベンズアミジンを補充した過剰の冷PBSで2回リンスした。細胞溶解およびTIE-2特異的免疫沈降を、上記のように行った。
規定培地と10分間インキュベートしたABAE細胞は、TIE-2チロシンリン酸化の誘導を示さなかったが、C2C12-ras CCMとのインキュベーションは、TIE-2リン酸化において少なくとも100×の増加を刺激した。この活性は、C2C12-ras 10×CCMを、プロテインG-セファロースビーズに結合させた13ugのTIE-2 RBと室温で90分間予備インキュベートすることにより、ほぼ完全に失われた。プロテインGセファロースのみとインキュベートした培地は、このリン酸化活性を失わなかった。
実施例6- TIE-2リガンドの発現クローニング
COS-7細胞を、5%CO2雰囲気中、10%ウシ胎児血清(FBS)、各1%のペニシリンおよびストレプトマイシン(P/S)、ならびに2mMグルタミンを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で培養した。マウス筋芽細胞C2C12 ras細胞株を、10%FBS、(P/S)、および2mMグルタミンを含むイーグル最小必須培地(EMEM)中で培養した。完全長マウスTIE-2リガンドcDNAクローンを、COS細胞中で発現されたpJFE14ベクター中のC2C12 ras cDNAライブラリーをスクリーニングすることにより得た。図2に示すように、このベクターは、ベクターpSRαの改変バージョンである(Takebeら、1988、Mol. Cell. Biol. 8:466-472)。このライブラリーを、pJFE14ベクター中の2つのBSTX1制限部位を用いて作製した。
COS-7細胞を、DEAEデキストラントランスフェクションプロトコルにより、pJFE14ライブラリーまたはコントロールベクターのいずれかで一時的にトランスフェクトした。簡潔に述べれば、COS-7細胞を、トランスフェクション前に、100mmプレートあたり1.0×106細胞の密度で24時間プレートした。トランスフェクションのために、細胞を、5%CO2雰囲気中、400μg/mlのDEAEデキストラン、1μMクロロキン、および2mMグルタミン、ならびに1μgの適切なDNAを含有する無血清DMEM中で37℃にて3〜4時間培養した。トランスフェクション培地を吸引し、そして10%DMSOを含むリン酸緩衝化生理食塩水で2〜3分間置き換えた。このDMSO「ショック」後、COS-7細胞を、10%FBS、各1%のペニシリンおよびストレプトマイシン、ならびに2mMグルタミンを含むDMEM中に48時間置いた。
TIE-2リガンドは分泌されるので、リガンドへのレセプター体プローブの結合を検出するために細胞を透過処理する(permeabilize)必要があった。トランスフェクション2日後、細胞をPBSでリンスし、次いで1.8%ホルムアルデヒドを含有するPBSと室温で15〜30分間インキュベートした。次いで、細胞をPBSで洗浄し、そして0.1%Triton X-100および10%仔ウシ血清を含有するPBSと15分間インキュベートし、細胞を透過処理し、そして非特異的結合部位をブロックした。TIE-2レセプター体(これは、IgG1定常領域に融合したTIE-2の細胞外ドメインからなる)を用いる直接的な染色局在化により、スクリーニングを行った。このレセプター体を、実施例2に示すように調製した。トランスフェクトされ、固定され、そして透過処理されたCOS細胞の100mm皿を、TIE-2-RBと30分間インキュベートすることによりプローブした。次いで、細胞をPBSで2回洗浄し、そしてPBS/10%仔ウシ血清/抗ヒトIgGアルカリホスファターゼ結合体とさらに30分間インキュベートした。3回のPBS洗浄後、細胞をアルカリホスファターゼ基質中で30〜60分間インキュベートした。次いで、皿を、染色された細胞の存在について顕微鏡で検査した。各々の染色された細胞について、染色された細胞を含む細胞の小さな領域を、プラスチックピペットチップを用いて皿からこすり取り、次いでプラスミドDNAをレスキューし、そしてそれを使用して細菌細胞をエレクトロポレートした。エレクトロポレーションにより生じた単一細菌コロニーを採集し、そしてこれらのコロニーから調製したプラスミドDNAを用いて、COS-7細胞をトランスフェクトした。このCOS-7細胞を、TIE-2レセプター体への結合により証明される、TIE-2リガンド発現についてプローブした。これにより、TIE-2リガンドをコードする単一クローンの同定が可能となった。TIE-2リガンド発現の確認を、実施例5に示す方法を用いるTIE-2レセプターのリン酸化により得た。TIE-2リガンドをコードするプラスミドクローンを1994年10月7日にATCCに寄託し、そしてATCC受託番号第75910号で「TIE-2リガンドをコードするpJFE14」と命名した。
実施例7- ヒトTIE-2リガンドをコードする完全長cDNAクローンの単離および配列決定
λgt-10におけるヒト胎児肺cDNAライブラリー(図3を参照のこと)を、Clontech Laboratories,Inc.(Palo Alto、CA)から得た。プラークを、1.25×106/20×20cmプレートの密度でプレートし、そして標準の手順(Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、8.46頁、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York)に従ってレプリカフィルターを取った。ヒトtie-2リガンドクローンの単離を、以下のように行った。寄託されたtie-2リガンドクローン(ATCC NO.75910-上記実施例6を参照のこと)由来の2.2kb XhoIフラグメントを、約5×108cpm/ngの比活性までランダムプライミングにより標識した。0.5mg/mlサケ精子DNAを含有するハイブリダイゼーション溶液中、65℃にてハイブリダイゼーションを行った。フィルターを2×SSC、0.1%SDS中、65℃にて洗浄し、そして-70℃にて一晩Kodak XAR-5フィルムに曝した。陽性ファージをプラーク精製した。純粋なファージの高力価ファージ溶解物を、標準技術(Qiagen,Inc.、Chartsworth、CA、1995カタログ、36頁)を用いて、QiagenカラムによるDNAの単離のために使用した。ファージDNAをEcoRIで消化し、続くサブクローニングのためのクローン化cDNAフラグメントを放出させた。ヒトtie-2リガンドDNAを含むλファージベクターを、htie-2リガンド1をコードするλgt10という名称で、ATCCに1994年10月26日に寄託した(ATCC受託番号第75928号)。ファージDNAを、ジデオキシ鎖終止法(Sangerら、1977、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 74:5463-5467)により、直接、DNA配列分析に供し得る。
哺乳動物発現ベクターへのヒトTIE-2リガンドのサブクローン化
htie-2リガンド1をコードするクローンλgt10は、ヒトtie-2リガンドに対するコード配列の開始から490塩基対下流に位置するEcoR1部位を含む。コード領域を、それぞれ開始コドンおよび停止コドンの上流および下流の唯一の制限部位を用いて切り出し得る。例えば、開始コドンの5'側70bpに位置するSpel部位、および停止コドンの3'側265bpに位置するBpu1102i(BlpIとしても知られている)部位を用いて、完全なコード領域を切り出し得る。次いで、XbaI(SpeI突出部に対して適合する)およびPstI部位(PstIおよびBpu1102i部位は共に平滑末端とされる)を用いて、これをpJFE14クローニングベクターにサブクローン化し得る。
ヒトTIE-2リガンドの配列決定
htie-2リガンド1をコードするクローンλgt10由来のコード領域を、ABI 373A DNAシーケンサーおよびTaq Dyedeoxy Terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems,Inc.、Foster City、CA)を用いて配列決定した。htie-2リガンド1をコードするクローンλgt10由来のヒトTIE-2リガンドのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を、図4に示す。
さらに、完全長ヒトTIE-2リガンドcDNAクローンを、pJFE14ベクター中のヒトグリア芽腫T98G cDNAライブラリーをスクリーニングすることにより得た。ヒトtie-2リガンドをコードするクローンを、寄託されたtie-2リガンドクローン(ATCC番号第75910号)由来の2.2kb Xholフラグメントをプローブとして用い、DNAハイブリダイゼーションにより同定した(上記実施例6を参照のこと)。コード領域を、ABI 373A DNAシーケンサーおよびTaq Dyedeoxy Terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems,Inc.、Foster City、CA)を用いて配列決定した。この配列は、htie-2リガンド1をコードするクローンλgt10の配列とほぼ同一であった。図4に示すように、htie-2リガンド1をコードするクローンλgt10は、ヌクレオチド1114〜1116によりコードされる1つのさらなるグリシン残基を含む。T98Gクローンのコード配列は、このグリシン残基を含まないが、そうでなければhtie-2リガンド1をコードするクローンλgt10のコード配列と同一である。図5は、T98Gクローン由来のヒトTIE-2リガンドのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す。
実施例8 ヒトTIE-2リガンドをコードする第2の完全長cDNAクローンAの単離および配列決定
λgt-10(図3を参照のこと)中のヒト胎児肺cDNAライブラリーを、Clontech Laboratories, Inc.(Palo Alto, CA)から得た。プラークを、1.25×106/20×20cmプレートの密度でプレートし、そしてレプリカフィルターを、以下の標準的な手順(Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第2版,8.46頁,Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York)に従って取得した。2連のフィルターを、低いストリンジェンシー(2×SSC、55℃)で、ヒトtie 2L-1配列に対して作成したプローブを用いてスクリーニングした。2連のフィルターの内の1つを、5'プローブでプローブした。このプローブは、図4に示すヒトtie 2L-1のアミノ酸25〜265をコードする。第2の2連フィルターを、3'プローブでプローブした。このプローブは、ヒトtie 2L-1配列(図4を参照のこと)のアミノ酸282〜498をコードする。両方のプローブを、0.5mg/mlサケ精子DNAを含有するハイブリダイゼーション溶液中で55℃にてハイブリダイズさせた。フィルターを、2×SSC中で55℃にて洗浄し、そしてX線フィルムに一晩曝した。さらに、2連のフィルターをまた、通常のストリンジェンシー(2×SSC、65℃)でマウスtie2L(F3-15、XhoI挿入)の完全長コードプローブにハイブリダイズさせた。以下の基準を満たす3つのポジティブクローンを選び取った:i.通常のストリンジェンシーで完全長(マウス)プローブに対してハイブリダイゼーションが見られなかった、およびii.低いストリンジェンシーで5'および3'プローブの両方でハイブリダイゼーションが見られた。これらのクローンから得られたファージDNAのEcoRI消化は、約2.2kbおよび約1.8kbの挿入サイズを有する2つの独立したクローンを示した。2.2kbのEcoRI挿入物を、pBluescript KS(Stratagene)およびCOS細胞における使用に適切な哺乳動物発現ベクターの両方のEcoRI部位にサブクローン化した。哺乳動物発現ベクターについては、2つの方向を同定した。pBluescript KS中の2.2kbの挿入物を、1994年12月9日にATCCに寄託し、そしてヒトTIE2リガンド2をコードするpBluescript KSと命名した。TIE-2リガンド2コード配列の開始部位は、pBluescript EcoRI部位の下流の約355塩基対である。
COS-7細胞を、DEAE-デキストラントランスフェクションプロトコルにより、発現ベクターまたはコントロールベクターのいずれかで一時的にトランスフェクトした。簡略に述べると、COS-7細胞を、トランスフェクションの24時間前に1.0×106細胞/100mmプレートの密度でプレートした。トランスフェクションのために、細胞を、400μg/mlのDEAE-デキストラン、1μMクロロキイン、および2mMグルタミン、ならびに1μgの適切なDNAを含有する無血清DEAE中で、3〜4時間、37℃にて5%CO2の雰囲気中で培養した。トランスフェクション培地を、吸引し、そして10%DMSOを有するリン酸緩衝化生理食塩水に2〜3分間置き換えた。このDMSO「ショック」の後、COS-7細胞を10%FBS、それぞれ1%のペニシリンおよびストレプトマイシン、ならびに2mMグルタミンを有するDMEM中に48時間置いた。
TIE-2リガンドが分泌されるので、レセプター体プローブのリガンドへの結合を検出するためには、細胞を透過処理することが必要であった。トランスフェクトしたCOS-7細胞を、1.0×106細胞/100mmプレートの密度でプレートした。細胞をPBSでリンスし、次いで1,8%のホルムアルデヒドを含有するPBSで15〜30分間、室温でインキュベートした。次いで、細胞をPBSでリンスし、そして細胞を透過処理し、そして非特異的結合部位をブロックするために、0.1%Triton X-100および10%ウシ胎児血清を含有するPBSとともに15分間インキュベートした。スクリーニングを、TIE-2レセプター体を用いて直接的な染色局在化により行った。TIE-2レセプター体は、IgG1定常領域に融合したTIE-2の細胞外ドメインからなる。このレセプター体を、実施例2に示すように調製した。トランスフェクトしたCOS細胞を、これらをTIE-2-RBとともに30分間インキュベートすることによりプローブした。次いで、細胞をPBSで2回洗浄し、メタノールで固定し、次いでPBS/10%ウシ胎児血清/抗ヒトIgG-アルカリホスファターゼ結合体でさらに30分間インキュベートした。3回のPBS洗浄の後、細胞を、アルカリホスファターゼ基質中で30〜60分間インキュベートした。次いで、ディッシュを、染色細胞の存在について顕微鏡で観察した。1つの方向のクローンを発現する細胞ではTIE-2レセプター体への結合が見られたが、他の方向のものでは見られなかった。
当業者は、記載された方法が、TIEリガンドファミリーの他の関連するメンバーをさらに同定するために用いられ得ることを容易に理解する。
第2のヒトTIEリガンドの配列決定
ヒトTIE-2リガンド2をコードするクローンpBluescript KS由来のコード領域を、ABI 373A DNAシークエンサーおよびTaq Dyedeoxy Terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)を用いて配列決定した。ヒトTIE-2リガンド2をコードするクローンpBluescript KS由来の、ヒトTIE-2リガンドのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列を図6に示す。
実施例9 TIE-2リガンド2は、レセプターアンタゴニストである
TIE-2リガンド2(TL2)またはTIE-2リガンド1(TL1)のいずれかを発現するCOS細胞由来の馴化培地を、ヒト内皮細胞株中に天然に存在するTIE-2レセプターを活性化する能力について比較した。
Lipofectamine試薬(GIBCO-BRL, Inc.)および推奨されるプロトコルを、pJFE14発現ベクター単独、ヒトTIE-2リガンド1 cDNAを含有するpJFE14ベクター、またはヒトTIE-2リガンド2 cDNAを含有するpMT21発現ベクター(Kaufman,R.J., 1985, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82: 689-693)のいずれかで、COS-7細胞をトランスフェクトするために用いた。分泌されたリガンドを含有するCOS培地を、3日後に回収し、そしてダイアフィルトレーション(DIAFLO限外濾過膜、Amicon, Inc.)により20倍に濃縮した。これらの培地中に存在する活性なTIE-2リガンド1およびTIE-2リガンド2の量を測定し、そしてBIAcore結合アッセイにより測定したTIE-2レセプター特異的結合活性の量(共鳴単位、R.U.)として表した。
ノーザン(RNA)分析は、HAEC(ヒト大動脈内皮細胞)ヒト初代内皮細胞(Clonetics, Inc.)中の有意なレベルのTIE-2転写物を明らかにした。それゆえ、これらの細胞を用いて、TIE-2リガンドを含有するCOS培地に曝されたときに、TIE-2レセプターがチロシンリン酸化されたか否かについて試験した。HAEC細胞を、完全内皮細胞増殖培地(Clonetics, Inc.)中で維持した。この培地は、5%ウシ胎児血清、可溶性ウシ脳抽出物、10ng/mlヒトEGF、1mg/mlハイドロコルチゾン、50mg/m1ゲンタマイシン、および50ng/mlアンホテリシンBを含有した。TL1およびTL2がHAEC細胞中のTIE-2レセプターを活性化し得るか否かの評価を、以下のように行った。半集密的なHAEC細胞を、L-グルタミンおよびペニシリン-ストレプトマイシンを添加した高グルコースダルベッコMEM中で、2時間37℃にて血清飢餓させ、その後、5%CO2インキュベーター中で7分間37℃で飢餓培地をリガンド含有馴化COS培地に置換した。続いて細胞を溶解させ、そしてTIE2レセプタータンパク質をTIE-2ペプチド抗血清により溶解物の免疫沈降により回収し、その後、ウェスタンプロッティングを、抗ホスホチロシン抗血清を用いて実施例1に記載されるのと全く同じように行った。結果を図7に示す。TIE-2レセプター(TIE2-R)上のホスホチロシンレベルは、TIE-2リガンド1(レーンL1)でのHEAC細胞の処理により誘導されたが、TIE-2リガンド2(レーンL2)馴化COS培地では誘導されなかった。模擬は、JFE14空ベクターでトランスフェクトしたCOS由来の馴化培地である。
TL1およびTL2の両方がTIE-2レセプターに特異的に結合することの証拠を、トランスフェクトされたCOS培地中のTIE-2レセプター特異的結合活性をアッセイするBIAcoreを用いることにより、そしてTIE-2レセプター体を用いるTL1発現COS細胞およびTL2発現COS細胞の免疫染色により示した。
TL2はTIE-2レセプターを活性化しなかったために、出願人は、TL2がTL1活性のアンタゴニストとして作用し得るか否かを決定することを試みた。HAECリン酸化アッセイを行った。アッセイでは、細胞をまず「過剰の」TL2でインキュベートし、その後、希釈TL1を添加した。高レベルのTL2によるTIE-2レセプターの最初の占有が、限定濃度で存在するTL1に曝した後のレセプターのその後の刺激を防止し得るということが推論された。
半集密的なHAEC細胞を上記のように血清飢餓させ、次いで3分間37℃にて1〜2mlの20×COS/JFE14-TL2馴化培地でインキュベートした。コントロールプレートを、20×COS/JFE14-単独培地(模擬)で処理した。プレートをインキュベーターから取り出し、次いで種々の希釈度のCOS/JFE14-TL1培地を添加し、その後、さらにプレートを5〜7分間、37℃にてインキュベーションした。細胞を、続いてリンスし、溶解させ、そして溶解物中のTIE-2特異的チロシンリン酸化を、上記のようにレセプター免疫沈降およびWesternブロッティングにより試験した。TL1希釈物を、20×COS/JFE14-単独培地の添加により、2×、0.5×、0.1×、または0.02×に希釈した20×COS/JFE14-TL1培地を用いて作製した。BIAcoreバイオセンサー技術を用いる、最初の20×TL1および20×TL2 COS培地のアッセイは、これらが同様の量のTIE-2特異的結合活性(すなわち、それぞれ、TL1およびTL2について445R.U.および511R.U.)を含むことを示した。図8に示す抗ホスホチロシンWesternブロットの結果は、模擬培地でのHAEC細胞の前処理(レーン1)と比較して、過剰のTIE-2リガンド2でのHAEC細胞の前処理(レーン2)は、希釈TIE-2リガンド1がTIE-2レセプター(TIE2-R)を活性化するその後の能力と拮抗することを示す。
これらのデータは、TL1とは異なり、TL2はHAEC細胞中のTIE-2レセプターキナーゼ活性を刺激し得なかったことを示す。さらに、高濃度のTL2での内皮細胞のプレインキュベーションおよびその後のTL1添加は、TIE-2レセプターを刺激するTL1の能力をブロックした。これは、TL2がTIE-2レセプターアンタゴニストであることを示す。
実施例10 馴化培地およびCOS細胞上清中のTIE-2特異的結合活性の同定
細胞株C2C12 ras、Rat2 ras、SHEP、およびT98G、あるいはヒトTIE-2リガンド1(hTL1)またはヒトTIE-2リガンド2(hTL2)のいずれかでトランスフェクトした後のcos細胞上清由来の10×CCMの結合活性を、バイオセンサー技術(BIAcore;Pharmacia Biosensor,Piscataway,NJ)を用いて測定した。これは、生体分子相互作用を、表面プラズモン共鳴(SPR)によりリアルタイムでモニターする。精製されたラットTIE-2 RBまたはヒトTIE-2 RBを、1級アミンによりCM5研究用センサーチップ(Pharmacia Biosensor;Piscataway,NJ)のカルボシキメチルデキストラン層に共有結合させた。センサーチップ表面を、N-ヒドロキシスクシニイミド(NHS)とN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)との混合物を用いて活性化した。その後、TIE-2 RB(25μg/mL、pH4.5)の固定化および1.0Mエタノールアミン(pH8.5)での未反応部位の失活を行った。一般に、9000〜10000RUの各レセプター体を、センサーチップに結合させた。
このシステムに用いられるランニング緩衝液は、HBS(10mM Hepes、150mM NaCl、0.005% P20界面活性剤、pH7.4)であった。試料を、15分間、4℃にて遠心分離し、そして滅菌した低タンパク質結合0.45μmフィルター(Millipore;Bedford, MA)を用いてさらに明澄化した。デキストラン(2mg/ml)およびP20界面活性剤(0.005%)を、各試料に添加した。40μLのアリコートを、固定化表面(ラットTIE2またはヒトTIE2のいずれか)を横切って5μL/分の流速で注入し、そしてレセプター結合を8分間モニターした。結合活性(共鳴単位、RU)を、試料注入の30秒前に決定した基線値と注入後30秒にとった測定値との差として測定した。表面の再生を、3M MgCL2の15μLパルスにより達成した。
CCM試料(C2C12 ras、Rat2 ras、SHEP、T98G)を、ラットTIE2 RB固定化表面上で試験し、一方、組換えhTL1およびhTL2を、ヒトTIE2 RB固定化表面で試験した。それぞれの場合に、結合活性をアッセイする前に試料を25μg/mlの可溶性TIE-2(ラットまたはヒト)RBまたはtrkB RBのいずれかとインキュベートすることによりTIE-2レセプター体への特異的な結合を評価した。図9および図10に示されるように、可溶性trkB RBの添加は、TIE-2結合活性にわずかな減少を生じ、一方、可溶性TIE-2 RBの添加は、TIE-2 RBの非存在下で測定した結合活性と比較して、結合活性を著しく減少させる。
実施例11 TIE-2 RBは、TIE-2リガンド1によるTIE-2レセプターの活性化を特異的にブロックする
本出願人は、可溶性TIE-2 RBが、TIE-2リガンド1(TL1)によるTIE-2レセプターの活性化をブロックするための競合的インヒビターとして作用し得るか否かを決定しようと努めた。これを行うために、TL-1含有COS培地を、TIE2-RBまたはTrk-RBのいずれかとともにプレインキュベートし、次いで、ヒト内皮細胞株中に天然に存在するTIE-2レセプターを活性化する能力を比較した。
馴化COS培地を、pJFE14発現ベクター単独(模擬)、またはヒトTIE-2リガンド1 cDNA(TL1)含有するpJFE14ベクターのいずれかでトランスフェクトしたCOS-7細胞から生成し、そして培地を滅菌濾過したが濃縮しなかったことを除いて本明細書上記の実施例9に記載されるように回収した。TL1の量を決定し、そしてBIAcore結合アッセイにより測定したTIE-2レセプター特異的結合活性の量(共鳴単位、R.U.として)として表した。
ノーザン(RNA)分析は、HUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)のヒト初代内皮細胞(Clonetics, Inc.)における有意なレベルのTIE-2転写物を明らかにした。従って、これらの細胞を用いて、TIE-2-RBまたはTrkB-RBの存在下でTL1含有COS培地に曝した場合に、TIE-2レセプターがチロシンリン酸化をし得るか否かを試験した。HUVEC細胞を、37℃、5%CO2下で、完全内皮細胞増殖培地(Clonetics, Inc.)中に維持した。この培地は、5%ウシ胎児血清、10μg/mlヘパリンを有する可溶性ウシ脳抽出物、10ng/mlヒトEGF、1μg/mlハイドロコルチゾン、50μg/mlゲンタマイシン、および50ng/mlアンホテリシンBを含有する。TL1がHUVEC細胞中のTIE-2レセプターを活性化し得るか否かの評価を、以下のように行った。HUVEC細胞のコンフルエントなディッシュを、低グルコースダルベッコMEM中で、37℃、5%CO2で2〜4時間血清飢餓させ、その後、0.1mMオルソバナデートナトリウム(これは、ホスホチロシンホスファターゼの強力なインヒビターである)を含有する飢餓培地中で10分間インキュベーションした。一方では、馴化COS培地を、30分間、室温で、50μg/mlで添加したTIE-2-RBまたはTrk-B-RBのいずれかと共にプレインキュベートした。次いで飢餓培地を、HUVECディッシュから除去し、そしてRB含有COS培地で7分間、37℃にてインキュベートした。続いて、HUVEC細胞を溶解させ、そしてTIE-2レセプタータンパク質をTIE-2ペプチド抗血清で免疫沈降することにより回収し、その後、実施例1に記載のように抗リン酸チロシン抗体でWesternブロットした。結果を図11に示す。TIE-2レセプター上のホスホチロシンのレベルを、TIE-2リガンド1(TL1)でのHUVEC細胞の処理により、コントロール培地(模擬)で見られるレベルに対して誘導した。この誘導は、TIE2-RB(TIE2-Fc)とともに先にインキュベートすることにより特異的にブロックされるが、TrkB-RB(TrkB-Fc)とインキュベートすることによりブロックされない。これらのデータは、可溶性TIE-2 RBが、TIE-2リガンド1によるTIE-2レセプターの活性化をブロックする選択的インヒビターとして作用し得ることを示す。
実施例12 TIE-2リガンド体の構築
ヒト免疫グロブリンγ-1定常領域(IgG1 Fc)に融合したヒトTIE-2リガンド1(TL1)またはTIE-2リガンド2(TL2)の完全なコード配列からなる分泌タンパク質を生じる発現構築物を作製した。これらの融合タンパク質を、TIE-2「リガンド体」(TL1-FcまたはTL2-Fc)と呼ぶ。TL1-FcおよびTL2-FcのFc部分を、以下のように調製した。ヒトIgG1のFc部分(このタンパク質のヒンジ部からカルボキシ末端におよぶ)をコードするDNAフラグメントを、ヒトIgG1の開示された配列に対応するオリゴヌクレオチドを用いるPCRにより、ヒト胎盤cDNAから増幅した;得られたDNAフラグメントを、プラスミドベクター中にクローン化した。完全長TL1またはTL2をコードするプラスミド由来の適切なDNA制限フラグメントおよびヒトIgG1 Fcプラスミド由来の適切なDNA制限フラグメントを、TL1またはTL2とヒトIgG1 Fcタンパク質コード配列をインフレームで融合するように設計された短いPCR由来フラグメントのいずれかの側に連結した。
ミリグラム量のTL2-Fcを、TL2-Fc DNAフラグメントをpVL1393バキュロウイルスベクター中にクローン化し、続いてSpodoptera frugiperda SF-21AE昆虫細胞株に感染させることにより得た。あるいは、細胞株SF-9(ATCC寄託番号CRL-1711)または細胞株BTI-TN-5b1-4が用いられ得る。TL2-FcをコードするDNAを、EcoRI-NotIフラグメントとしてバキュロウイルストランスファープラスミドpVL1393中にクローン化した。プラスミドDNAを、3mgのプラスミドDNAを0.5mgのBaculo-Gold DNA(Pharminigen)と混合し、その後30mgのLipofectin(GIBCO-BRL)を用いてリポソーム中に導入することにより、ウイルスDNA中で再び組み合わせた。DNA-リポソーム混合物を、TMN-FH培地(改変Grace昆虫細胞培地(GIBCO-BRL))中のSF-21AE細胞(2×106細胞/60mmディッシュ)に27℃にて5時間添加し、次いで5%ウシ胎児血清を補充したTMN-FH培地中で27℃にて5日間インキュベートした。組織培養培地を、組換えウイルスのプラーク精製のために回収した。これは、上層のアガロースが125mg/mL X-gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-b-D-ガラクトピラノシド;GIBCO-BRL)を含有すること以外は、以前に記載された方法(O'Reilly, D.R., L.K.MillerおよびV.A.Luckow, Baculovirus Expression Vectors-A Laboratory manual. 1992, New York: W.H.Freeman)を用いて行った。
27℃での5日間のインキュベーション後、非組換えプラークを、X-gal基質に対するポジティブな色素生産性反応により数え、そしてそれらの位置をマークした。次いで、組換えプラークを、100mg/mL MTT(3-[4,5-ジメチルチアゾール-2-イル]2,5,ジフェニルテトラゾリウムブロミド;Sigma)を含有する第2の上層の添加により可視化した。推定される組換えウイルスプラークをプラグ吸引(plug aspiration)により採取し、そして均一性が保証されるまで多数回のプラーク単離により精製した。ウイルスストックを、プラーク精製ウイルスの一連の低多重度継代により作製した。1つのウイルスクローン(vTL2-Fcクローン番号7)の低継代ストックを生成した。
SF-21AE細胞を、1×抗生物質/抗真菌性溶液(Gibco BRL)および25mg/Lゲンタマイシン(Gibco BRL)を含有する無血清培地(SF-900 II, Gibco BRL)中で培養した。Pluronic F-68を、界面活性剤として1g/Lの最終濃度で添加した。培養物(4L)を、インフェクションの少なくとも3日前にバイオリアクター(Artisan Cell Station System)中で培養した。細胞を、50%溶解酸素まで80mL/分のガス流速(散布リングで通気)でガスを通しながら、27℃にて増殖させた。撹拌は、100rpmの速度で船舶用回転翼を用いた。細胞を、対数増殖期(約2×106細胞/mL)の中期に、遠心分離による濃縮により回収し、そして細胞あたり5プラーク形成単位のvTL2-FCで感染させた。細胞および接種物を、400mLの新鮮培地に入れ、そしてウイルスを27℃にて2時間、回転式フラスコ中で吸着させた。次いで、培養物を、新鮮な無血清培地を有する8Lの最終容量で再懸濁し、そして細胞を、先に記載した条件を用いてバイオリアクター中でインキュベートした。
vTL2-Fc感染SF21AE細胞由来の培養培地を、遠心分離(500×g、10分間)により培養後72時間に回収した。細胞上清を、NaOHを用いてpH8にした。EDTAを、10mMの最終濃度で添加し、そして上清のpHを再び8に調整した。上清を濾過(0.45mm、Millipore)し、そしてプロテインAカラム(protein A sepharose 4 fast flowまたはHiTrap protein A,両方ともPharmaciaによる)にロードした。カラムを、280nmでの吸光度が基底線まで減少するまで、0.5M NaClを含有するPBSで洗浄した。カラムを、PBS中で洗浄し、そして0.5M酢酸で溶出させた。カラム画分を、1M Tris(pH9)を含有するチューブ中に溶出させることによりすぐに中和させた。TL2-Fcを含有するピーク画分をプールし、そしてPBSに対して透析した。
寄託
以下のものを、アメリカンタイプカルチャーコレクション、12301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852に、ブダペスト条約に従って寄託した。TIE-2リガンドをコードするプラスミドクローンを、ATCCに1994年10月7日に寄託し、そしてATCC受託番号第75910号の下で「TIE-2リガンドをコードするpJFE14」と命名した。TIE-2レセプター体をコードする組換え体Autographa californicaバキュロウイルスを、ATCCに1994年10月7日に寄託し、そしてATCC受託番号第VR2484号の下で「vTIE-2レセプター体」と命名した。ヒトtie-2リガンドDNAを含有するλファージベクターを、ATCCに1994年10月26日に寄託し、そしてATCC受託番号第75928号の下でhtie-2リガンド1をコードするλgt10と命名した。第2のTIE-2リガンドをコードするプラスミドクローンを、ATCCに1994年12月9日に寄託し、そしてATCC受託番号第75963号の下で「ヒトTIE 2リガンド2をコードするpBluescript KS」と命名した。
本発明は、本明細書中に開示される特定の実施態様により範囲を限定されない。実際に、本明細書中に開示された実施態様に加えて、本発明の種々の改変が、先の記載および添付の図から当業者に明らかとなる。このような改変は、添付の請求の範囲内に含まれることが意図される。
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Claims (37)

  1. TIE−2リガンドをコードする単離された核酸分子であって、該核酸配列が、以下:
    (a)配列番号1または配列番号3に記載のヒトTIE−2リガンドのコード領域を含む核酸;
    (b)(a)の核酸配列において1個または数個の核酸の置換、欠失または付加を含み、かつTIE−2レセプターに結合するTIE−2リガンドをコードする核酸;または
    (c)(a)または(b)の核酸配列に縮重し、かつTIE−2レセプターに結合するTIE−2リガンドをコードする核酸、
    である、核酸分子。
  2. 前記のコードされたTIE−2リガンドがTIE−2アゴニストである、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  3. TIE−2リガンドをコードする単離された核酸分子であって、該核酸配列が以下:
    (a)配列番号5に記載のヒトTIE−2リガンドのコード領域を含む核酸;
    (b)(a)の核酸配列において1個または数個の核酸の置換、欠失または付加を含み、かつTIE−2レセプターに結合するTIE−2リガンドをコードする核酸;または
    (c)(a)または(b)の核酸配列に縮重し、かつTIE−2レセプターに結合するTIE−2リガンドをコードする核酸、
    である、核酸分子。
  4. 前記のコードされたTIE−2リガンドがTIE−2アンタゴニストである、請求項3に記載の単離された核酸分子。
  5. 請求項1または3に記載の配列の縮重物であり、かつTIE−2レセプターに結合するリガンドをコードする、核酸分子。
  6. 列番号1、配列番号3、または配列番号5のいずれか1つに記載の配において、1個または数個の核酸の置換、欠失または付加を含む、TIE−2レセプターに結合するTIE−2リガンドをコードする核酸分子。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の核酸分子を含有するベクター。
  8. 前記核酸分子が宿主細胞においてその発現を制御し得る発現制御配列に作動可能に連結されている、請求項7に記載のベクター。
  9. プラスミドである、請求項7または8に記載のベクター。
  10. TIE−2リガンドをコードする遺伝子を含有するpJFE14(ATCC受託番号第75910号)と称される、請求項9に記載のプラスミド。
  11. ヒトTIE−2リガンド2をコードする遺伝子を含有するpBluescript KS(ATCC受託番号第75963号)と称される、請求項9に記載のプラスミド。
  12. hTIE−2リガンド1をコードする遺伝子を含有するλgt10(ATCC受託番号第75928号)と称される、請求項7または8に記載のベクター。
  13. (a)配列番号2、配列番号4または配列番号6のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、あるいは(b)TIE−2レセプターに結合する、(a)のアミノ酸配列において1個または数個のアミノ酸の置換、欠失もしくは付加を含むアミノ酸配列を有する単離されたTIE−2リガンド。
  14. 請求項1または2に記載の核酸によってコードされる、単離されたTIE−2リガンド。
  15. 請求項3または4に記載の核酸によってコードされる、単離されたTIE−2リガンド。
  16. 請求項13〜15のいずれか一項に記載のリガンドの産生のための宿主−ベクター系であって、該系は、宿主細胞中に請求項7〜12のいずれか一項に記載のベクターを含有する、宿主−ベクター系。
  17. 前記宿主細胞が、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞である、請求項16に記載の宿主−ベクター系。
  18. 請求項13から15のいずれか一項に記載のリガンドを産生する方法であって、該リガンドの産生を可能にする条件下で請求項16および17のいずれか一項に記載の宿主−ベクター系の細胞を増殖させる工程、およびそのように産生された該リガンドを回収する工程を包含する、方法。
  19. 請求項13から15のいずれか一項に記載のリガンドに特異的に結合する抗体。
  20. モノクローナル抗体である、請求項19に記載の抗体。
  21. 免疫グロブリン定常領域に融合した、請求項13から15のいずれか一項に記載のTIE−2リガンドを含む、リガンド体。
  22. 請求項21に記載のリガンド体であって、前記TIE−2リガンドは、配列番号2、配列番号4または配列番号6に記載のアミノ酸配列を有し、そして前記免疫グロブリン定常領域は、ヒトIgG1のFc部分である、リガンド体。
  23. 請求項13から15のいずれか一項に記載のTIE−2リガンドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物。
  24. 請求項19または20に記載の抗体、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物。
  25. 請求項21または22に記載のリガンド体、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物。
  26. 人体もしくは動物の体の処置方法、または診断方法において使用するための、請求項13から15のいずれか一項に記載のリガンド、請求項19もしくは20に記載の抗体、請求項21もしくは22に記載のリガンド体、または請求項23から25のいずれか一項に記載の組成物。
  27. 人体または動物の体の処置方法において使用するための、請求項14に記載のリガンド。
  28. 人体または動物の体の処置方法において使用するための、請求項15に記載のリガンド。
  29. 哺乳動物における血管成長をブロックする方法において使用するための医薬の製造における、請求項14に記載のリガンドに特異的に結合する、請求項19または20に記載の抗体の、使用。
  30. 前記哺乳動物がヒトである、請求項29に記載の使用。
  31. 哺乳動物において新生血管形成を促進する方法において使用するための医薬の製造における請求項14に記載のリガンドの、使用。
  32. 哺乳動物においてTIE−2リガンド活性を阻害する方法において使用するための医薬の製造における請求項19または20に記載の、TIE−2リガンドに特異的に結合し得る抗体の、使用。
  33. 哺乳動物においてTIE−2リガンド活性を阻害する方法における使用のための医薬の製造における、請求項15に記載のリガンドの、使用。
  34. 前記哺乳動物がヒトである、請求項32または33に記載の使用。
  35. 培養培地中でTIE−2レセプター発現細胞を維持する方法であって、該方法が、TIE−2レセプター発現細胞に請求項14に記載のリガンドの有効量を投与する工程を包含する、方法。
  36. 前記TIE−2レセプター発現細胞が内皮細胞である、請求項35に記載の方法。
  37. TIE−2レセプターのアンタゴニストを同定する方法であって、以下の工程:該TIE−2レセプターを発現する細胞と
    a)テスト化合物;および
    b)請求項14または15に記載のリガンド;
    とを、該リガンドを該レセプターに結合し得る条件下で接触させる工程、および該テスト化合物が該リガンドの該レセプターへの結合を妨害し得るか否かを決定する工程、
    とを包含する、方法。
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