JP4067178B2 - レーザ光照射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カテーテル等の体腔内へ挿入可能な本体の先端部よりレーザ光を照射するためのレーザ光照射装置に関し、詳しくは、レーザ焼灼治療や検査を行うためのレーザ光照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より体腔内部に生じた癌や腫瘍等の病変部を焼灼治療する目的で、種々の装置が開発されている。この中で、例えば、特開平4−285550号や特開平5−237132号には、形状記憶材料を用いてレーザ光の照射方向を変えるものが開示されている。
【0003】
これらの装置は、レーザ光を導く光ファイバを、例えば形状記憶合金の変形力によって湾曲させ、その先端(出射端)の向きを変えさせることにより、レーザ光を目的の方向へ照射するというものである。これらの装置を用いれば、光ファイバのレーザ光出射端の向きを制御することが可能となり、レーザ光を所定の部位に照射することが出来るという特徴があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これら従来例の装置では、レーザ光照射方向を変えるために、光ファイバそのものを湾曲させる仕組みとなっている。しかし、光ファイバは最小曲率半径より小さく曲げることはできず、また体腔内、特に脈管内等の狭い空間の中では湾曲の角度が大きく制限され、レーザ光を挿入軸方向の側方に向けるような使い方は困難であった。
【0005】
本発明においては、挿入部の前方と側方へのレーザ光の照射が切り替えでき、管腔臓器内や脈管内のように狭い空間でも挿入部周囲の管腔組織内壁に照射が可能なレーザ光照射装置を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明においては、挿入部の前方から側方へレーザ光を照射走査することが可能で、かつレーザ光を体腔内に照射走査するための機構を簡素でかつ小型のものとし、患者への負担が軽く、かつ信頼性の高いレーザ光照射装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(5)の発明により達成される。
【0008】
(1)長尺な挿入部と、該挿入部内にレーザ光を導光する導光手段と、前記挿入部の先端近傍に設けられたレーザ光反射手段とを有し、前記レーザ光反射手段は平板状に形成した形状記憶合金からなるカンチレバーと反射表面とを備え、前記カンチレバーを加熱により変形させる加熱手段を更に有し、前記挿入部の先端にはレーザ光が透過する先端キャップを有、前記カンチレバーは、前記加熱手段の加熱による温度に応じて、レーザ光を軸方と側方向前方の間の任意の向きに照射可能であることを特徴とするレーザ光照射装置。
【0009】
(2)前記カンチレバーが全方位性形状記憶合金であることを特徴とする上記(1)記載のレーザ光照射装置。
【0010】
(3)前記カンチレバーが二方向性形状記憶合金であることを特徴とする上記(1)記載のレーザ光照射装置。
【0011】
(4)前記カンチレバーが一方向性形状記憶合金であって、前記レーザ光反射手段が前記カンチレバーを湾曲させるような力を加えるバイアスバネ材を更に有することを特徴とする上記(1)記載のレーザ光照射装置。
【0012】
(5)前記カンチレバーの周囲に冷却用流動体を供給・排出する冷却手段を更に有することを特徴とする上記(1)記載のレーザ光照射装置。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のレーザ光照射装置について、添付図面に示す好適実施例を参照しつつ、詳細に説明する。
【0014】
図1、図2は、本発明に係るレーザ光照射装置の先端部の構成を説明するための図であり、図1は側方へレーザ光を照射する状態を示すものであり、図2は前方へ照射する状態を示すものである。また、図3は図2の状態の正面図およびそのA−A断面図であり、図4は図1の状態の正面図およびそのB−B断面図である。
【0015】
図1乃至図4において、レーザ光照射装置1は、体腔内への挿入部であるカテーテル2の内部に、レーザ光照射装置1の基端に接続される図示しないレーザ光源より発生するレーザ光を導光する光ファイバ3が挿入されており、カテーテル2の先端にはレーザ光が透過するようアクリル樹脂や石英等の光透過性材料からなる先端キャップ4が取り付けてある。
【0016】
カンチレバー5は、全方位性形状記憶合金からなるアクチュエータであり、カンチレバー5のレーザ光が照射される表面にはレーザ光を効率的に反射できるよう、反射表面6が設けてある。また、加熱手段として、通電用のリード線7が、カンチレバー5に接続されるよう設けられている。リード線7を介してカンチレバー5に電流を流すことにより、形状記憶合金自体が自己発熱し、変形に必要なだけの熱量が得られる仕組みである。
【0017】
光ファイバ3のレーザ光出射端にはコリメート用のレンズ8が設けられている。通常の光ファイバでは、出射されたレーザ光は光ファイバのコアの屈折率で決まる開口角度(40度前後)で広がってしまう。これでは、出射されたレーザ光のごく一部しか反射表面に達しないだけでなく、反射した後のレーザ光のプロファイルも著しく低下する。コリメート用のレンズ8は、レーザ光の拡散を出来るだけ抑制し、収束光を出射するためのものである。
【0018】
コリメート用のレンズ8を取り付けた状態での光ファイバ3の出射端の直径は1.5mm、カンチレバー5上に設けられた反射表面6の大きさは1mm×1mmであり、これらが外径(直径)3mmのカテーテル2に内蔵されている。
【0019】
カテーテル2は、光ファイバ3の周囲に空隙を有するように形成され、周囲の空隙は給気用ルーメン10aおよび排気用ルーメン10bとして作用することができる。カテーテル2の内孔には、仕切壁11が形成されており、この仕切壁11が、光ファイバ3を固定しつつ、給気用ルーメン10aと排気用ルーメン10bとを分離して形成する。これらルーメン10a、10bを介して、カテーテル2の基端部より図示しない冷却流体循環装置から、冷却流体として二酸化炭素ガスを循環させる。本装置の冷却に用いられる二酸化炭素ガスは、カテーテル2の内部を流通するのみであり、カテーテル2の外部に漏れ出ることはない。
【0020】
カンチレバー5はリード線7により通電されていない状態(加熱がない状態)では、図2に示すように、まっすぐに延びた状態になっている。反射表面6はレーザ光の照射範囲から完全に外れており(図3)、この状態では、レーザ光はカテーテル軸方向先端の向き(前方)に照射されることになる。
【0021】
リード線7に電流を流し、形状記憶合金を自己発熱させ、徐々に温度を上昇させていくと、カンチレバー5は図1および図4のように、レーザ光の光軸と約45度で交わるような形状となる。本実施例では、このときの温度は約80度であるが、加熱はカンチレバー5近傍のごく局所的なものであるため、カテーテル2の外部まで加熱されることはない。このとき、カテーテル2の先端方向から光ファイバ3の出射端の方を見た状態を図示すると、図4のように、光ファイバ3の出射端はカンチレバー5の反射表面6の陰に隠れた状態となる。レーザ光は反射表面6で反射され、その結果カテーテル2の軸から90度側方へ照射されるようになる。
【0022】
本実施例では、形状記憶合金として全方位性形状記憶合金を用いたため、加熱による温度に応じて、カンチレバー5は図1の状態と図2の状態の間の任意の角度を取ることが出来る。このとき、レーザ光はカテーテル2の軸方向前方と側方の間の任意の向きに照射されることとなる。
【0023】
リード線7による通電を停止し、加熱をやめると、形状記憶合金はカテーテル2のルーメンを通って通気された二酸化炭素ガスの流れによって急速に冷やされ、これに伴って形状記憶合金は常温での形(真っ直ぐな状態)にもどる。この通気冷却によりカンチレバー5の温度を急速に低下させることが可能となるため、自然冷却時と比べてカンチレバー5を急速に常温時の角度に復帰させ、ひいてはレーザ光の走査速度を向上させることが出来る。
【0024】
ここで、リード線7への通電を断続的に繰り返すことにより、カテーテル2から外部へ照射されるレーザ光を走査することができる。また、ある向きに照射を固定したい場合は、形状記憶合金の温度が一定となるように通電量を調整すればよい。
【0025】
本実施例においては、形状記憶合金として全方位性形状記憶合金を用いたが、二方向性形状記憶合金を用いることも出来る。二方向性形状記憶合金は、カンチレバーで保持できる角度が特定の二つの角度(通常は、まっすぐの状態とレーザ光に対して45度の状態)に限られ、その間の任意の角度を保持することは出来ないが、それ以外は同様の仕組みでレーザ光の照射に用いることが出来る。
【0026】
さらに、形状記憶合金として一方向性形状記憶合金を用い、これを湾曲させるような力を加えるバイアスバネ材をカンチレバーに積層し、組み合わされた構造を用いることもできる。このように構成すれば、バイアスバネでカンチレバーが湾曲したことにより得られるカンチレバーの角度と、加熱手段で加熱されたときに形状記憶合金が記憶していたカンチレバーの角度との2つの角度が得られるため、加熱の程度に応じてレーザ光がカンチレバー上の反射表面に入射する角度が変わり、レーザ光を2方向へ照射することが出来る。
【0027】
なお、カンチレバー5に用いる形状記憶合金としては、NiTi系合金、Cu−Zn−Al系合金等が好ましい。また、これらの形状記憶合金の変態点は40度〜80度程度であることが好ましい。変態温度は、カテーテル2の外へ熱が漏れることなく、かつ非加温時に変形する虞の無い温度が選択されるべきである。
【0028】
また、反射表面6は、カンチレバー5の表面に電気絶縁膜を介して金属薄膜を形成する事によって得ることが出来る。具体的には、Al、Ti、Pt、Au等の金属を蒸着することによって、反射率の高い反射表面が好適に得られる。また、形状記憶合金の表面を鏡面処理する事によって、形状記憶合金そのものを反射表面として利用することも出来る。
【0029】
なお、以上説明した本発明の実施例は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を実施例に限定するものではない。したがって、上記実施例に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属するすべての設計変更や均等物をも含むものである。
【0030】
たとえば、本実施例はカテーテルを用いたレーザ焼灼治療や検査の場面で本発明によるレーザ光照射装置を用いる場合について説明したが、機械の内部検査に用いるレーザポインタやレーザマーカなど、工業分野での利用に応用してもかまわない。
【0031】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、病変部へのレーザ光の走査が形状記憶合金によって駆動されるカンチレバーの角度変化によって実現されるため、体腔内へ挿入されるカテーテルの本体は動かすことなく、一定の範囲にレーザ光を照射することが可能となる。すなわち、管腔臓器内等の狭い空間でもレーザ光の走査照射が可能となり、効率的かつ安全にレーザ光による治療や検査が出来るようになる。
【0032】
また、形状記憶合金への加熱に、形状記憶合金自身の自己発熱を利用したため、発熱用のヒータ等を別途設ける必要が無く、ヒータを屈曲・変形させるような内部損失がないため、効率的な駆動力を得ることができる。また、レーザ光を走査する機構が非常に簡素でかつ小型であるため、レーザ光照射装置を内蔵するカテーテルも細径のものを用いることができ、治療、検査を受ける患者の身体的負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ光照射装置の実施例を示す先端部の透視図である。
【図2】本発明のレーザ光照射装置の実施例を示す先端部の透視図である。
【図3】図2の状態の正面図および側面断面図である。
【図4】図1の状態の正面図および側面断面図である。
【符号の説明】
1 レーザ光照射装置
2 カテーテル
3 光ファイバ
4 先端キャップ
5 カンチレバー
6 反射表面
7 リード線
8 レンズ

Claims (6)

  1. 長尺な挿入部と、該挿入部内にレーザ光を導光する導光手段と、前記挿入部の先端近傍に設けられたレーザ光反射手段とを有し、前記レーザ光反射手段は平板状に形成した形状記憶合金からなるカンチレバーと反射表面とを備え、前記カンチレバーを加熱により変形させる加熱手段を更に有し、前記挿入部の先端にはレーザ光が透過する先端キャップを有、前記カンチレバーは、前記加熱手段の加熱による温度に応じて、レーザ光を軸方と側方向前方の間の任意の向きに照射可能であることを特徴とするレーザ光照射装置。
  2. 前記加熱手段は前記形状記憶合金への通電により自己発熱を発生させる手段であることを特徴とする請求項1記載のレーザ光照射装置。
  3. 前記カンチレバーが全方位性形状記憶合金であることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ光照射装置。
  4. 前記カンチレバーが二方向性形状記憶合金であることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ光照射装置。
  5. 前記カンチレバーが一方向性形状記憶合金であって、前記レーザ光反射手段が前記カンチレバーを湾曲させるような力を加えるバイアスバネ材を更に有することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のレーザ光照射装置。
  6. 前記カンチレバーの周囲に冷却用流動体を供給・排出する冷却手段を更に有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のレーザ光照射装置。
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